『金日成主席革命活動史』

第7節 生産関係の社会主義的改造の完成。
社会主義下における思想、技術、文化の三大革命路線提示


 金日成主席は、チョンリマ運動をおし進めながら、生産関係の社会主義的改造の完成に力を傾けた。ここではなによりも農業協同化の完成に力を注ぎ、未加入の農民を協同組合に速やかに加入させる措置を講じた。

 金日成主席は、次のように述べている。

 「当時まで協同組合に加入していない階層は、主に、富農と都市周辺の商業を兼業している農民、それに山間部に分散している農民、新解放地区の農民などでした。我々はこうした農民の実情を考慮して、その特性と地帯的条件に即してさまざまな方法で協同組合に加入させる措置を講じました」(『我が国における農村問題解決の経験について』1978年7月28日)

 都市周辺の兼業農民にたいしては、その実情に即して、農業協同化を私営商工業の社会主義的改造と密接に結びつけておし進め、希望に応じて農業協同組合または生産販売協同組合のいずれかに加入させた。農家が分散している山間部では、居住地単位に総合作業班を組織し、地帯的特性に合わせて共同畜産場をつくり、それを中心に農民を一定の地域に集めて協同組合に加入させた。新解放地区の農民にたいしては、その意識水準が他の地域の農民に比べて立ち後れており、土地の私有観念が強い実情に即して、思想教育と実物教育を強め、農村の中核分子の隊列を拡大し、組合の形態を実情に応じて選定するようにした。また富農にたいしては、農業協同化運動の妨害行為を厳しく統制する一方、搾取行為をやめて誠実に働こうとする人には組合への加入を認める方針を貫いた。

 主席は、農業協同組合にたいする党と国家の指導と援助を強めた。そして、農業協同組合にたいする政治的指導を強め組合を政治的、思想的にかためる一方、財政的・物質的支援を強めて組合の物質的・技術的基盤を強化し、組合員の生活の向上をはかった。特に、岐陽(キヤン)、オジドン潅漑など大規模潅漑と数千の中小潅漑工事を起こし、農業機械賃耕所を増設して農業協同組合の耕転作業の機械化を促し、化学肥料の生産を伸ばして農村に供給する措置を講じた。

 協同経営はひましにその優位性を発揮し、農民はそれを深く認識するようになった。

 主席の正しい指導によって、未加入の個人農が自発的に協同組合に加入し、農村における搾取の最後の地盤が崩れだすと、富農も協同組合に加わらざるをえなくなった。こうして、1958年8月共和国北半部では農業協同化が完成した。

 農業の社会主義的改造の完成についで、協同組合を里単位に統合する措置が講じられた。

 1958年9月、農業協同組合の具体的な統合方針を示した主席は、青山里を現地指導してその実例を示し、直ちに、その全国的普及をはかった。こうして、1958年10月からはじまった複雑な組合の統合事業はわずか1、2か月で完了した。その結果、組合の平均の規模は、農家戸数は80戸から300戸に、耕地面積は130ヘクタールから500ヘクタールに拡大した。農業協同組合の統合によって組合の規模が拡大し、その結果、協同経営の管理運営の改善と技術革命が促されて、農業生産力の向上と農業の多角的発展が可能となった。また、生産単位と行政単位を一致させ農村建設で提起されるさまざまな問題を円滑に解決できるようになった。

 一方主席は、私営商工業の社会主義的改造を積極的におし進めた。当時、個人手工業の社会主義的改造はほぼ完成し、したがって、資本主義的商工業の社会主義的改造を促進する問題が日程にのぼっていた。

 主席は、資本主義的商工業者が協同経営を進んで受け入れるよう一連の措置を講じた。企業家の改造にあたっては業種別に希望する生産協同組合に加入させる方法をとったが、まず手工業者で組織された組合を強化したうえで、そこへ企業家を加入させ、またその意識水準や組合の経済状態を考慮して半社会主義形態を広く採用するようにした。商人の改造にあたっては、かれらが労働に不なれな点を考慮して、まず販売協同組合をつくり、それを生産販売協同組合に発展させたのち、生産協同組合に切り替えるか、または最初から生産販売協同組合をつくり、しだいに生産の比重を高めて生産協同組合に切り替えるようにした。また、一律に完全な社会主義形態の組合を組織しようと先走ったり、組合の半社会主義形態を考慮せずに、生産手段や現金など組合員の出資による分配をしぶる一部の偏向を適時に是正した。

 主席は、生産協同組合の強化に深い関心を払い、党と国家の指導と援助を強めて生産協同組合を組織的、経済的に強化し、組合員の生活水準の向上をはかった。これは、企業家、商人の組合加入に大きな影響を及ぼした。

 主席は、資本主義的商工業の社会主義的改造を妨害する者との闘争にも力を入れた。一部の商工業者は、法をおかして暴利をむさぼり、投機をこととして協同化に応じようとしなかった。なかには、業者の組合加入を妨害したり、または組合にもぐりこんで、内部から協同経営を破綻させようと策動する者もいた。主席は、不純分子にたいしては厳しい制裁を加えるよう指導しながら、資本主義的商工業の社会主義的改造を強くおし進めた。

 主席は、開城市内の生産協同組合など各地の組合を訪ねて組合を政治的、経済的に強化する対策を講じ、組合員の仕事と生活にこまかく心を配るなど生産協同組合に加入して誠実に働く商工業者に大きな配慮を払った。これに励まされた組合員は、力と知恵をつくして仕事に励んだ。

 個人手工業と資本主義的商工業の社会主義的改造は、農業協同化の完成とほとんど同時に完成し、その結果、共和国北半部では社会主義的生産関係の全一的支配が確立し、社会主義革命の全面的勝利が達成され、階級解放の課題が完遂された。

 共和国北半部における生産関係の社会主義的改造の主な特徴は、生産力の発展水準がかなり低い状況のもとで、技術的改造に先立ってわずか4〜5年のあいだに比較的順調にそして徹底的に遂行されたことである。

 生産関係の社会主義的改造の完成は、チュチェ思想と独創的な協同化方針の勝利であり、朝鮮革命の発展において画期的な変革であった。生産関係の社会主義的改造は、朝鮮において人間による人間の搾取と抑圧を永久になくし、勤労人民大衆の社会的・政治的自主性を完全に実現し、国の生産力を古い生産関係の束縛から解放して、人民経済を計画的に、均衡的に不断に発展させる道を開いた。また、労働者階級と協同農民、勤労インテリの団結と協力が社会関係の基本となるようにし、労働者階級の指導のもとに、労農同盟にもとづく全人民の政治的・思想的統一を新たな社会的基盤のうえで強化させた。生産関係の社会主義的改造の完成によって確立された朝鮮の社会主義制度は、勤労人民大衆があらゆるものの主人となり、社会のすべてが勤労人民大衆に服務する最もすぐれた社会制度である。

 共和国北半部における生産関係の社会主義的改造の完成と社会主義制度の樹立は、南半部人民に強い革命的影響を及ぼし、南朝鮮革命と祖国統一のたたかいへと力強く励ました。

 生産関係の社会主義的改造にかんする主席の独創的な方針とその実現過程における貴重な経験は、社会主義革命にかんする労働者階級の理論を発展させ、労働者階級の革命理論を骨抜きにしようとする日和見主義者に痛打を加え、社会主義をめざしてたたかう革命的人民に生産関係を社会主義的に改造する正しい道を示した。

 朝鮮民主主義人民共和国最高人民会議常任委員会は1958年9月、全朝鮮人民の一致した念願をこめて、朝鮮における社会主義革命と社会主義建設を勝利に導き、祖国の歴史と人類の解放闘争史に不朽の業績を積んだ金日成主席に朝鮮民主主義人民共和国労働英雄の称号を授与した。

 主席は社会主義制度の樹立後、社会主義下における革命の問題を新たに解明した。

 労働者階級の党は、社会主義下における革命の問題を正しく解決しなくては、社会主義・共産主義建設理論を発展させ、科学的な戦略・戦術を作成し、社会主義・共産主義建設をたえず高揚へと導くことができない。当時、一部に社会制度と生産様式の交替だけを革命とみて、社会主義制度の樹立後革命を中断し、社会主義・共産主義建設の偉業を放棄する傾向が生じていた状況のもとで、それはいっそう緊切な問題となっていた。主席はそうした実情のもとで、『朝鮮民主主義人民共和国創建10周年記念慶祝大会でおこなった報告』と『我が国における社会主義的農業協同化の勝利と農業の今後の発展について』など一連の著作で社会主義下における革命の問題を全面的に体系化した。

 主席は、生産関係の社会主義的改造によって革命が終わるのではなく、社会主義・共産主義建設の全期間革命をつづけなければならないことをはじめて明らかにした。

 金日成主席は、次のように述べている。

 「社会主義社会を建設するには搾取の根源をなくし、社会主義的生産関係を確立するだけでなく、社会主義の物質的・技術的土台をしっかりときずき、人々の意識も社会主義的に改造しなければなりません。こうすれば、社会主義が完全に建設されたといえます」(『平安北道党組織の任務』1956年4月7日)

  社会主義革命に勝利すれば、勤労人民大衆は国家主権ばかりでなく生産手段の主人となり、したがって、かれらの社会的・政治的自主性は実現される。しかし、あらゆる分野で人民大衆の自主性が完全に実現されるのではない。

 社会主義社会では、くつがえされた搾取階級の残存分子の反抗と外部からの帝国主義者の侵略の恐れがあり、勤労者の意識から古い思想の影響も一掃されず、都市と農村の差、労働者階級と農民の階級的差が残っており、国の物質的・技術的基盤も強固でない。これら旧社会の遺物は、人民大衆の自主性をたえず侵害し、かれらの自主的、創造的な生活を束縛する。したがって、勤労人民大衆は社会主義制度の樹立後にもくつがえされた搾取階級の反抗を鎮圧し、古い思想の影響を一掃し、都市と農村の差、労働者階級と農民の階級的差をなくし、国の生産力を発展させるために革命をつづけなければならない。社会主義下で革命をつづけるのは、朝鮮革命の全国的勝利と全世界における共産主義の勝利のためにも必要である。また、祖国を統一し、統一した祖国に社会主義・共産主義を建設し、国際共産主義運動の他の民族部隊とともに、全世界で勤労大衆の自主性を実現する闘争を完成しなければならない。これらのことは、社会主義制度樹立後にも共産主義の高い段階にいたるまで、そして一国で共産主義が建設されても全世界で社会主義・共産主義が勝利するまで革命をつづけなければならないことを示している。

 主席は、社会主義・共産主義建設の戦略的目標を明らかにした。

 金日成主席は、次のように述べている。

 「共産主義を建設するためには、経済と文化、思想と道徳のすべての分野にわたって社会を共産主義的に改造し、共産主義の思想的要塞と物質的要塞を占領しなければなりません」(『朝鮮労働党創立30周年にさいして』1975年10月9日)

 人民大衆が社会主義制度を樹立したのち、自主性を完全に実現するためには、必ず2つの問題を解決しなければならない。その1つは、大衆自身がより自主的で創造的な存在となることであり、他の1つは大衆が生存し生活する条件と環境を自主的で創造的な生活が全面的に保障されるように改造することである。人民大衆が自主的で創造的な存在となるためには、自主的な思想意識と創造的な能力をもたなければならず、人民大衆が生存し生活する環境を自主的で創造的な生活が保障されるように改造するためには、経済と文化など社会生活の各分野をそれに即して改造し変革しなければならない。したがって、人間を改造し、経済と文化を改造する事業である共産主義の思想的要塞と物質的要塞の占領は、社会主義・共産主義建設の戦略的目標となる。

 主席はまた、社会主義下における革命の内容を明らかにした。

 金日成主席は、次のように述べている。

 「思想、技術、文化の三大革命は、社会主義制度を樹立した後に労働者階級の党が遂行すべき革命の基本的内容であり、共産主義を建設するときまでなし遂げなければならない継続革命の任務であります」(同上)

 思想革命は、勤労者を古い思想の束縛から解放し、自主的な思想意識、共産主義的な思想意識で武装させることによって、かれらを共産主義的人間につくり変え、同時に共産主義の物質的要塞の占領を促進する。技術革命は、古い技術を新しい技術で改造し、国の生産力を発展させ、経済土台を強化して搾取と抑圧から解放された勤労者を自然の束縛からも完全に解放し、共産主義の思想的要塞を占領する有利な条件をつくる。文化革命は、勤労者の一般知識水準と技術文化水準を高めて、その創造的能力をたえず高め、社会の全構成員を全面的に発達した共産主義的人間につくり、文化の共産主義的改造を促進する。思想、技術、文化の三大革命は、このように社会主義・共産主義建設の戦略的目標である思想的要塞と物質的要塞を成功裏に占領する革命であるがゆえに、社会主義社会における革命の基本的内容であり、労働者階級の党が共産主義を建設するまで遂行すべき継続革命の課題である。

 主席は三大革命の遂行において、労働者階級の党が堅持すべき原則とその遂行方途についても全面的に明らかにした。社会主義下における継続革命、思想、技術、文化の三大革命にかんする理論は、大きな意義を有する。

 主席は、チュチェの革命原理にもとづいて人民大衆の自主性を基本にして社会主義下における革命問題を全面的に解明し、社会主義・共産主義建設理論を発展させ豊かにした。これによって朝鮮人民は、社会主義・共産主義建設にたいする確信と明確な目標をもってチュチェの革命偉業をおし進め、社会主義・共産主義をめざしてたたかうすべての革命的人民は中断することなく革命を発展させていけるようになった。





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