金 日 成

朝鮮労働党第3回大会でおこなった
中央委員会の活動報告
−1956年4月23日− 


  同志のみなさん!

 我が党第2回大会から本大会にいたるまで、8年が過ぎました。この間、内外情勢には大きな変化が生じました。

 国内では、党は、祖国の平和的統一のために終始一貫たゆみなくたたかい、共和国北半部に樹立された人民民主主義制度をあらゆる面から強化しました。

 我が党の指導のもとに、労働者階級をはじめ全人民は、人民民主主義制度を世界帝国主義反動の武力侵略から誇らしく守りぬき、祖国統一の物質的土台である北半部の社会主義基礎建設を成功裏に進めています。

 この間、国際的には、ソ連と中華人民共和国をはじめ、社会主義陣営諸国の威力が比べようもなく強化され、世界政治と世界経済でのその役割はいっそう決定的なものとなり、戦争と帝国主義に反対する世界の平和勢力と民主勢力は不敗のものに拡大強化されました。

 報告期間、我々は困難かつ厳しい道を歩んできました。しかし、百戦百勝のマルクス・レーニン主義学説を指針とする我が党は、すべての障害と難関を打開して勇敢に前進し、また、前進しています。


 1 国際情勢

 同志のみなさん!

 報告期間、社会主義および民主主義陣営は、より偉大な勢力に拡大強化され、この陣営内の人民の団結と同盟はさらに強化されました。

 こんにち、社会主義は、すでに一国の範囲から抜け出して世界的な体制に発展しました。資本主義から社会主義に移行する歴史の流れは、すでに世界史的過程となっています。

 アメリカをはじめ、世界帝国主義者は没落の運命から逃れ、最高利潤の基盤をひきつづき拡大するため、侵略と新たな戦争挑発の策動を弄していますが、これは平和愛好諸国の平和政策と戦争に反対する全世界人民の力強いたたかいによって日ごとに破綻しています。

 国際緊張の緩和をめざす社会主義陣営諸国と平和愛好諸国の積極的な措置により、世界の平和運動はいっそう高まりつつあります。

 資本主義体制にたいする社会主義および民主主義陣営の決定的な優位性は、日がたつにつれていっそう明白に実証されています。

 ソ連では、戦後2回にわたる5か年計画が期限前に完遂され、国の政治的・経済的威力がいっそう成長し強化されています。人民経済の各分野では、最新科学と技術にもとづいて生産が増大しており、急速に発展する科学、文化の成果がすべて人民の福祉増進に奉仕しています。そうしてこんにち、ソ連は、人類最高の願望である共産主義社会をめざして力強く前進しています。

 報告期間、アジアでは、中国の人民革命が勝利しました。6億の中国人民は、帝国主義の植民地支配から完全に解放され、いまでは社会主義へと確信をもって前進しており、民主主義および社会主義陣営の重要な構成員となりました。これは、植民地従属諸国人民の高まる民族解放運動に大きな影響を与えました。

 こうしてこんにち、中華人民共和国は、東方におけるゆるぎない平和の砦となっています。

 ヨーロッパでは、2回にわたって世界大戦の発源地となったドイツの国土に労働者、農民の国家であるドイツ民主共和国が誕生し、日ごとに発展しています。これは、ドイツにおける平和と民主勢力の重要な勝利となるばかりでなく、社会主義および民主主義陣営の力を強化し、ドイツの領土を足場にして再び新たな戦争を引き起こそうとする帝国主義陣営にたいする大きな打撃となります。

 こんにち、朝鮮人民は、ソ連と中華人民共和国をはじめ、ポーランド、チェコスロバキア、ハンガリー、ルーマニア、ブルガリア、ドイツ民主共和国、アルバニア、モンゴル、ベトナム民主共和国の人民とともに強力な社会主義陣営を形成し、共通の目的である平和と民主主義と社会主義のために力強く前進しています。

 こうして、資本主義の勢力範囲は決定的に縮小され、こんにち、社会主義は世界の広大な地域と多くの人口を擁するようになりました。ヨーロッパ人口の半数を占める3億の人民が社会主義の道に踏み出しており、アジア総人口14億のうち、そのほとんど半数を占める人民が人民民主主義制度のもとで生活しています。

 社会主義および民主主義陣営の強大さは、この陣営が、このように多くの領土と人口を擁していることだけにあるのではなく、この陣営の人民間に強い親善団結と統一がなされていることにあります。

 このような統一と団結は、マルクス・レーニン主義党によって指導され、労働者階級をはじめ、勤労人民の手中に政権があるという社会制度の本質に根ざすものであり、この統一と団結はいかなる力によっても破壊することのできないものです。

 こうした団結の威力は、朝鮮人民の正義の祖国解放戦争のときに、朝鮮人民にたいする民主主義および社会主義陣営の積極的な支持と援助、特に中国人民志願軍の貴い兄弟的援助によってはっきりと示されました。

 こんにち、ソ連と中華人民共和国をはじめ、社会主義および人民民主主義諸国の人民は、つきることのない創造力を発揮して平和的な労働を守っており、社会主義と共産主義の勝利をめざし確固として前進しています。

 これらすべてのことは、全世界の平和愛好諸国人民を限りなく励まし、かれらに新しい希望と強い勝利の信念を与えています。

 同志のみなさん! 全世界人口の過半数を占めるアジア人民を束縛していた呪わしい植民地体制は完全に崩壊しつつあり、こんにちのアジアはその姿を全く一新しています。

 広大な中国の領土では、社会主義への道を切り開く人民革命が勝利をおさめ、中国共産党の指導のもとに、現在、人民経済のあらゆる分野で社会主義建設が速いテンポで進んでいます。日ごとに成長している中華人民共和国の政治的・経済的威力は、民族独立と平和のためにたたかうアジア人民を勝利へと力強く励ましています。

 朝鮮をアジアでの新たな戦争の火口にしようとしたアメリカ帝国主義武力侵略者に反対する3年間の祖国解放戦争で朝鮮人民がかちとった勝利は、植民地主義者に抗するアジア人民の重要な勝利の一つであり、自由と独立をめざす従属諸国人民の闘争を力強く励ましました。

 ベトナム人民は、帝国主義者との8年間の英雄的闘争で輝かしい勝利をおさめました。ベトナム労働党に指導されるベトナム人民は、社会主義陣営諸国人民の援助と全世界の平和愛好勢力の支持のもとに、ベトナムの平和的統一と戦後人民経済復興のたたかいで大きな成果をおさめています。

 インド人民は、数世紀にわたるイギリス帝国主義の支配から解放され、国の独立をかちとりました。特に、最近にいたってインド共和国は、植民地主義と戦争挑発に反対し、各国人民間の親善と平和のための大業で大きな役割を果たしています。

 ビルマ、インドネシア人民も植民地的従属から脱して民族独立の道を踏み出し、最近にいたっては、アフリカ大陸のスーダン、チュニジア、モロッコも独立をかちとりました。まだ植民地従属国として残っているアジア、アフリカの国々でも民族解放運動が力強く展開されています。

 これらすべての事実は、こんにち、アジア、アフリカで植民地民族解放運動が怒涛のように起こっており、また、いかなる武力、いかなる軍事ブロックの策動をもってしてもこの運動を阻むことができないことを示しています。

 アジア、アフリカでの帝国主義植民地体制の終焉を告げるこれらすべての出来事は、朝鮮革命の勝利に極めて有利な影響を与えています。

 同志のみなさん! 第2次世界大戦後、さらに深まりつつある資本主義の全般的危機は、資本主義の基盤を根底からゆさぶり、帝国主義者を袋小路に追い込んでいます。

 社会主義国家であるソ連では、人民経済が戦争によって大きな被害をこうむったにもかかわらず、1929年に比べて1955年には、工業生産が20倍以上に増大したのに反し、全資本主義世界の工業生産は同じ期間に93%しか増大しておらず、非常に有利な条件にあるアメリカでも、その生産は2倍をやや上回ったにすぎません。

 アメリカは、戦後3回も著しい生産の減退をまねき、1948年から深まっている経済危機は、3年間の朝鮮戦争を契機に軍備競争を強めることにより一時緩和されました。

 アメリカ帝国主義者は、朝鮮人民に強要したはかり知れない犠牲と苦痛の代価として経済危機から脱し、独占資本の最高利潤で腹を肥やそうとしました。

 しかし、帝国主義者のいかなる手段によっても、世界資本主義の深まりつつある全般的危機は食いとめることができなくなりました。

 新しい世界社会主義市場の形成によって、世界資本主義市場が縮小されたため、市場をとりまく資本主義列強間の矛盾はいっそう先鋭化しています。そればかりか、帝国主義列強と植民地諸国人民間の矛盾が激化しており、支配層集団による経済の軍事化、軍備競争の強化と勤労者の貧困化のため、労資間の矛盾はさらに先鋭化しつつあります。このような状況で、帝国主義諸国の支配層、特にアメリカの戦争商人たちは、社会主義の道を歩み出した国々で勤労者の政権を転覆し、これらの国を再びかれらに従属させることにより、世界支配を実現しようと狂奔しています。

 アメリカ帝国主義者の「力の政策」は、侵略的軍事ブロックを結成し、他国の領土に軍事基地を設置し、軍備拡張に狂奔し、核戦争の危険を増大させることなどにあらわれています。

 周知のように、アメリカ帝国主義者の強要により「北大西洋条約機構」「東南アジア条約機構」「西欧同盟」「バグダード条約」などの軍事ブロックがつくられ、これらの軍事ブロックは世界の緊張を激化させる大きな要因となっています。

 アメリカ帝国主義者は、ヨーロッパでパリ協定を結んで、ソ連および人民民主主義諸国に反対する戦争勢力を形成しようと目にあまる策動をおこない、アジアでは日本と軍事条約を結び、日本を再武装させ「アジア人は、アジア人同士たたかわせる」政策を実施しています。

 アメリカ帝国主義者は、朝鮮停戦協定に調印した後、南朝鮮でかいらい李承晩一味をそそのかして「北進」騒ぎを起こさせ、中華人民共和国の不可分の領土である台湾を占領し、アジアで、偉大な中国人民と平和愛好諸国人民に反対する一連の侵略政策を実施しています。

 アメリカ帝国主義者は、南朝鮮で強行しているように、「防衛」の名のもとに、他国の領土で軍備競争をあおり、当地の人民を弾よけとして使い、戦争熱をあおり、戦争を起こそうと企んでいます。

 しかし、世界各国で労働者階級をはじめ、広範な人民大衆は、戦争挑発者の陰謀を暴露し、自国の自主性を固守し、諸国人民間の平和のために熾烈なたたかいを展開しています。

 社会主義および民主主義陣営諸国の平和愛好的な対外政策は、互いに異なる社会経済体制をもった国のあいだに平和共存が可能であることを認め、平等と内政不干渉の原則にもとづいて諸国間の親善と政治・経済・文化分野での協力を強化することを志向しています。したがってこの政策は、各国人民の切実な念願と利益に完全に合致し、全世界の平和愛好諸国人民から熱烈な支持と歓迎を受けています。

 昨年4月、29か国代表の参加のもとにおこなわれたバンドン会議は、植民地主義に反対し、恒久平和を志向する数億のアジア、アフリカ人民の一致した念願を表明し、有名な5原則にもとづいたこの地域人民の団結を誇示し、帝国主義者に大きな打撃を与えました。

 こうして、ヨーロッパとアジアの社会主義諸国と平和愛好諸国を包括する広大な「平和地帯」が形成されましたが、この地域にはおよそ15億の人口が生活しています。

 こうしたすべての出来事は、こんにち、平和勢力が戦争勢力に比べてはるかに強大であり、その力は国際緊張の先鋭化と戦争挑発をこととする帝国主義者の気違いじみた策動を破綻させていることを示しています。

 もしも、帝国主義者が「力の政策」によって新たな戦争を引き起こすならば、このような「力の政策」と戦争の根源となる世界資本主義体制が根こそぎにされることは疑う余地がありません。

 このように、こんにち我々は、社会主義と民主主義と平和勢力が強化され、帝国主義勢力が日増しに衰退している時期に生きています。

 歴史的な獲得物である人民民主主義制度を守り、民族の統一のためにたたかっている朝鮮人民は、強大な社会主義陣営の一構成員であることを限りない幸せに思い、ここに、最後の勝利の確固とした保障を見いだしています。

 我が党は今後、世界の恒久平和と安全のためのたたかいにひきつづき積極的に参加し、ソ連と中華人民共和国をはじめ、人民民主主義諸国との兄弟的親善団結を大切に守り、これらの国との政治・経済・文化分野での協力を強化していくでしょう。

 これと同時に、相異なる社会制度をもつ諸国間の平和共存にかんするレーニン的原則を堅持し、自主権の相互尊重と平等権に立脚して、世界のすべての平和愛好諸国との政治的・実務的連係を保つために努力しなければなりません。

 特に、アジアにたいするアメリカ帝国主義の侵略と日本軍国主義の復活に断固反対してたたかい、植民地主義にたいするアジア人民の共同闘争を強化するために、インド、ビルマ、インドネシア、日本人民との親善と協力を強め、アジア人民の植民地民族解放闘争を積極的に支持声接しなければなりません。

 また我々は、世界の平和愛好諸国の平和政策と世界列強の軍備縮小、核兵器の生産および使用禁止をめざすたたかいを積極的に支持し、新たな戦争を起こそうとする敵の陰険な策動を警戒心をもって注視し、我々の国防力を強化することにより、我が国の自由独立と共和国北半部での平和的建設を鉄壁のように守りぬかなければなりません。

 
 2 国内情勢
 
 3 党
 出典:『金日成著作集』10巻


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