『金日成主席革命活動史』

第11節 帝国主義に反対し、社会主義諸国の統一と
国際共産主義運動の団結を強化するたたかい


 戦後、朝鮮で社会主義基礎建設が成功裏に進められていたとき、国際情勢には大きな変化が生じ、複雑かつ深刻な問題があいついで提起された。アメリカをかしらとする帝国主義者と国際反動勢力は、世界各地で侵略と戦争挑発をこととし、「反共」騒ぎに血道をあげながら社会主義諸国を崩壊させようと反動攻勢を強めていた。他方、国際共産主義運動内部に発生した修正主義は、「情勢の変化」「創造的発展」を云々しなから労働者階級の革命思想の真髄を骨抜きにしようと策動し、自分らの誤った主張を他党におしつけて、国際共産主義運動の内部に混乱をひき起こしていた。

 当面した情勢は、一方では反帝闘争を強めてその侵略政策と戦争策動を破綻させ、他方では修正主義に反対し労働者階級の革命思想の純潔性を守るたたかいを強めて、国際共産主義運動と世界革命を新たな段階に発展させることを切実に求めていた。主席は、こうした情勢を見きわめて1957年12月党中央委員会拡大総会の報告や論説『社会主義諸国の親善と団結』など一連の著作のなかで、国際共産主義運動において解決が求められている原則的問題に全面的な解明を与えた。

 主席は、現時代は世界的に社会主義が勝利する歴史的転換期であるとし、現時代を世界的範囲で帝国主義にたいする社会主義勢力、民主主義勢力の激しい闘争の時代として特徴づけ、共産主義者と革命的人民の闘争課題を示した。

 主席は、アメリカ帝国主義を反帝闘争と世界革命の主な闘争対象、世界反動の元凶として規定した。

 金日成主席は、次のように述べている。

 「アメリカ帝国主義者は、世界各地で民主主義的自由を抹殺し、民族の独立を脅かし、解放された人民に新たな形の植民地的支配をおしつけようとしているばかりでなく、社会主義諸国にたいする系統的な破壊活動を強行しています。
 アメリカ帝国主義は、世界反動の元凶であり人類の凶悪な敵であります」(『社会主義陣営の統一と国際共産主義運動の新たな段階』1957年12月5日)

 主席は、アメリカが帝国主義の旗頭として世界各地で人民の革命闘争を抹殺し、侵略と戦争をこととしている現状にあって、反帝闘争を強め世界革命を促すためには、なによりも反米闘争を強化しなければならないと指摘した。また、アメリカ帝国主義が、日本軍国主義を復活させてアジアの平和を脅かそうとしている実情のもとで、日本軍国主義の復活にたいしても積極的にたたかわなければならないと強調した。そして、反帝反米闘争を強化するためには、世界のすべての革命勢力と反帝勢力が団結しなければならないとし、そのためには、社会主義諸国と国際共産主義運動の統一と団結を強め、植民地民族解放闘争と新興諸国人民の闘争を積極的に支援し、世界平和愛好勢力との連帯をたえず強めなければならないと強調した。また、反帝反米闘争を強化するにあたって、共産主義者と革命的人民の当面の課題は、アメリカ帝国主義の「力の政策」を恐れたり、「二面戦術」に欺かれず、アメリカ帝国主義にたいして強硬政策を堅持し、原則的で非妥協的な闘争を展開することであると指摘した。

 この反帝反米闘争戦略は、アメリカをかしらとする帝国主義の反革命攻勢を主導的に撃破し、国際共産主義運動と世界革命を強める科学的で革命的な方針であった。

 主席は次に、修正主義などさまざまな日和見主義に反対してたたかうことを強調した。

 金日成主席は、次のように述べている。
 「ブルジョア思想の反映としての修正主義は、現在、国際労働運動の主な危険となっています」(同上)

 主席は、反修正主義闘争は、各国の共産主義者と革命的人民の最も重要な課題の一つであるとし、反修正主義闘争の原則を明らかにした。

 主席は、国際共産主義運動の歴史的発展過程で、その正しさと生命力が実証された労働者階級の革命思想の根本原則を「修正」しようとする試みを絶対に容認してはならず、また、民族的特殊性と具体的な歴史的条件を無視し、それを教条的に受け入れてもならないと指摘した。特に、社会主義諸国は、労働者階級の党の指導と労働者階級の指導する労農同盟の強化、資本主義的所有の廃止と基本生産手段にたいする社会的所有の確立、農業の社会主義的改造、人民経済の計画的発展、社会主義文化革命の遂行、内外の敵の侵害からの社会主義獲得物の守護、各国労働者階級間のプロレタリア国際主義的連帯の強化など、革命と建設で正しさが立証された革命的原則をかたく守らなければならないと強調した。

 修正主義に反対し、労働者階級の革命思想、革命と建設の革命的原則を堅持するという主席の方針は、反修正主義闘争を成功裏に進め、国際共産主義運動と世界革命を発展させる方法を示した革命的方針であり、共産主義者と人民が自国の革命と世界革命を進めるための指導指針であった。

 主席はまた、社会主義諸国の統一と国際共産主義運動の団結を強化する必要性とその方途を全面的に明らかにした。

 金日成主席は、次のように述べている。

 「わが党は今後も社会主義諸国との団結を強めるためにひきつづき努力するでありましょう」(『祖国統一問題と人民軍の課題』1957年11月27日)

 主席は、社会主義諸国と国際共産主義運動は現代の最も強力な政治的勢力であり、現代史の発展を促す決定的勢力であるとし、国際共産主義運動と社会主義諸国の力の源泉は統一と団結にあると強調した。そして、社会主義諸国の団結を強化するためには、国の大小にかかわりなく、完全な平等と互恵、国家の自主性の尊重、相互援助にもとづく国家関係の発展をはからなければならないとし、各国共産党および労働者党は共通の思想と統一的な闘争目的にもとづいて団結している階級的兄弟であるがゆえに、平等な立場で互いに尊重し、協力する関係を結ぶべきであると強調した。特に、共産党と労働者党は、独自性を口実に団結を妨げ、あるいは団結を口実に自主性を無視する傾向をともに排し、労働者階級の革命的立場と革命の根本原則、自国の具体的現実にもとづいて独自に自党の政策を規定し、共通の関心事となる問題は協議して見解の統一をはかり、協議された結果をともに守らなければならないと指摘した。

 主席は、社会主義諸国の統一と国際共産主義運動の団結を強化するために力を注いだ。そして、社会主義諸国、各国共産党および労働者党との相互接触を通じて、統一と団結の強化をはかった。主席は、1956年から1958年にかけてヨーロッパとアジアの社会主義諸国を公式訪問すると同時に、訪朝した多くの社会主義国の党および政府の指導者と親善的な会談をおこなった。主席はそれらの会談で、現時代の評価、戦争の防止と平和を守るための戦略、植民地民族解放運動にたいする共産主義者の態度、社会主義諸国の統一と国際共産主義運動の団結を強めるための原則的問題などを明らかにした。社会主義諸国の指導者との会談をとおして主席は、修正主義の弊害を防ぎ、社会主義諸国の統一と団結を強化するうえに大きく貢献した。

 主席はまた、この時期に開かれた各国共産党、労働者党代表者会議が、自主性とプロレタリア国際主義の原則にもとづいて正しく進められ、労働者階級の革命理論の真髄を守り、社会主義諸国の統一と国際共産主義運動の団結を守る契機とするために心を砕いた。そして、1957年の社会主義国の共産党・労働者党代表者会議とついで開かれた世界の共産党・労働者党代表者会議に参加して、会議の全期間自主的立場に立ち、演説や会談などで社会主義諸国の統一と国際共産主義運動の団結のために積極的な活動を展開した。

 主席の原則的で断固とした立場と積極的な活動は、各国共産党と労働者党の共同の闘争綱領である革命的な宣言の採択と、社会主義諸国の統一と国際共産主義運動の団結の守護に大きな寄与をした。主席は、1960年の各国共産党・労働者党代表者会議のさいにも、当時の国際共産主義運動の実情にてらして会議が冒頭から難航することを予想し、会議に派遣される朝鮮労働党代表団に具体的な活動方向を与え、会議で1957年会議の宣言の革命的原則から一歩もしりぞかず、他党を攻撃したり孤立させようとする行動に絶対に同調しないよう指示した。主席の正しい方針によって朝鮮労働党代表団は日和見主義的立場にたいし妥協することなく原則的な闘争をくりひろげて、社会主義諸国と共産党・労働者党の公然たる分裂を防ぎ、再び革命的な声明を採択することに大きく寄与した。

 主席は、反帝反米闘争をおし進め、台湾の不法占領後におけるアメリカ帝国主義の中国侵略拡大、ベトナム侵略戦争のエスカレーション、1956年のエジプト政府のスエズ運河国有化を契機としたアメリカ帝国主義の後押しによる英仏帝国主義とイスラエル侵略者のエジプトへの武力干渉、日本軍国主義の復活を狙った「日米安保条約」の改悪と日本の軍国化の促進などに反対する闘争を強くおし進めた。また、植民地・半植民地国人民の反帝民族解放闘争を積極的に支援し、帝国主義の植民地支配から解放された新興諸国が反帝自主の道を進み、民族の独立を強化し、新社会の建設に成功するようあらゆる面から援助した。そして、新興独立国との友好協力関係の発展を、共和国政府の対外政策の重要な方針の一つとしてうちだし、多くの代表団を交換し、革命と建設の成果と経験を分かち、かれらのたたかいを政治的、思想的、物質的に支援した。こうして、これら諸国人民のあいだで共和国の権威はいちだんと高まり、1960年末には40余の新興独立国と経済関係が結ばれ、70余か国とのあいだで文化交流がおこなわれた。

 主席のこうした活動は、アメリカ帝国主義の侵略と戦争の策動を破綻させて世界の平和を守り、反帝反米闘争を強め、植民地民族解放闘争を発展させるうえで大きな寄与をした。





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