金 日 成

社会主義陣営の統一と国際共産主義運動の新たな段階
朝鮮労働党中央委員会拡大総会でおこなった報告 
−1957年12月5日− 


 同志のみなさん!

 全世界の進歩的人民はソ連人民とともに、十月社会主義大革命40周年を盛大に祝いました。モスクワでの今度の祝典には、世界各国の共産党・労働者党の代表とその他多くの国の人民の代表が参加しました。

 十月革命40周年祝典に参加した朝鮮労働党と共和国政府の代表団は、ソ連共産党とソ連政府と偉大なソ連人民に送る朝鮮人民の兄弟的祝賀のあいさつを伝えました。

 十月革命40周年記念行事は、偉大なソ連人民の歴史的勝利と40年にわたる国際共産主義運動の成果を総括した大きな政治的意義をもつ出来事でありました。

 十月革命40周年記念行事は、ソ連をはじめ、社会主義陣営諸国人民と全世界数億の勤労者の不抜の団結力を示威し、共産主義の最終的勝利にたいする信念を深めさせました。

 ソビエト政権は創建以来、半分近くの期間を敵の侵略を退ける苛烈な戦争と戦後の復興にふり向けなければなりませんでした。結局、経済建設は20年のあいだおこなわれたことになりますが、その間ソ連の人民経済は人類史上未曾有の飛躍的発展を遂げました。

 1957年現在、ソ連の工業総生産高は1913年に比べ33倍に、そのうち生産手段は74倍に増大しました。農業でもこの間、大きな成果が達成され、特に近年ソ連共産党中央委員会の講じたさまざまな重要な措置によってめざましい伸展を見せています。

 ソ連は、一連の重要な科学分野でアメリカその他の資本主義国をはるかに引き離しています。ソ連は、大陸間弾道弾を完成し、人工衛星を打ち上げて、世界の科学発展史に新時代を切り開きました。これによってソビエト科学は、平和愛好諸国人民と人類にたいし大きな寄与をしました。

 ソ連人民の共産主義建設におけるこれらの歴史的成果は、資本主義制度にたいする社会主義制度の決定的な優位性を誇示するものです。

 いまソ連人民は、苦難と勝利にいろどられた40年の歩みを総括しながら、共産主義のすばらしい建造物が望める丘に立っています。

 ソ連は近い将来、主な工業製品の生産でアメリカを追い越し、数年内に食肉、牛乳、バターの人口一人当たり生産量でアメリカをしのぐようになるでしょう。これは、社会主義体制と資本主義体制間の歴史的な競争における社会主義体制の決定的な勝利と資本主義体制の全面的な没落を意味します。

 同志のみなさん!

 人類の英才である偉大なレーニンを首班とするソ連共産党の指導のもとにロシアの労働者階級は、資本主義の鉄鎖を断ち切り、社会主義革命を遂行して、地球の6分の1にあたる広大な地域で現代史の緊切な任務を初めて完遂しました。

 十月革命の勝利とその後のソ連における社会主義建設の成果は、マルクス・レーニン主義の偉大な生命力を確証し、地球上の数億の勤労大衆を資本の抑圧に反対する闘争に力強く奮起させました。マルクス・レーニン主義の現実的具現であるソ連の強化は、世界数億の勤労者にたいするこの学説の牽引力を著しく強め、かれらの解放闘争に新たな歴史的時代を開きました。

 ソ連共産党の指導のもとに英雄的なソ連の労働者階級とすべてのソ連人民は、あらゆる困難と犠牲をかえりみず、節約に努めすべてを強力な重工業の建設にふり向けて、資本主義の包囲下で国の工業化を完成しみずからの社会主義祖国を守ったばかりでなく、ヨーロッパとアジア諸国人民を植民地奴隷化の危機から救いました。

 偉大なソ連は、国際共産主義運動と人類の解放闘争に大きな貢献をなしました。最初の社会主義国ソ連の40年間の闘争は、地球上における共産主義思想のこんにちの大きな勝利に多大の寄与をなしました。

 こんにち、若い社会主義諸国はかたく団結しており、ソ連の経済・技術援助と支持を得て、その豊かな経験を創造的に取り入れています。こうして、これらの国は、帝国主義者の侵略の企みを粉砕して自主独立を守り、社会主義を成功裏に建設しています。

 国際労働運動と平和勢力の団結は、帝国主義戦争放火者に反対し、平和と民主主義、社会主義をめざす闘争で勝利する決定的な裏付けであります。

 同志のみなさん!

 十月社会主義大革命40周年祝典を契機として、モスクワでは社会主義諸国の共産党・労働者党代表者会議とこれらの国の党をふくむ世界64の共産党・労働者党代表者会議が開かれました。これらの会議では、国際労働運動における重要な問題、社会主義革命と社会主義建設の諸問題、現在の国際情勢とそれを踏まえた各国の党の共同闘争課題が討議されました。

 今度の会議は、国際共産主義運動史上、最も多くの国の党の代表者が参加したもので、社会主義陣営の威力と共産主義運動および労働運動のめざましい成長を示威する世界史的出来事でした。

 第2次世界大戦の前夜には、世界各国で約420万の党員を擁する43の共産党が活動していましたが、こんにちでは75か国で共産党および労働者党が活動しており、これらの党には3300万以上の党員がいます。現在、共産党・労働者党は、平和と民主主義、社会主義をめざす世界各国人民のすべての闘争の場で前衛の役割を果たしており、マルクス・レーニン主義思想は全世界のますます多くの人民の解放闘争の旗印となっています。

 共産主義運動は、その発生初期から支配階級の激しい抵抗と苛酷な弾圧のもとで鍛えられ、成長してきました。特に、近年、国際反動勢力は、社会主義諸国と国際共産主義運動にたいし激しい攻勢をとっていますが、各国の党は敵の攻勢を英雄的に撃退し、厳しい試練のなかで鍛えられ、相互間の団結をかためています。

 モスクワ会議は、マルクス・レーニン主義とプロレタリア国際主義の旗のもとに各国の共産党・労働者党がかたく団結しており、帝国主義に反対し、平和と社会主義をめざす共同闘争でその意志と行動の統一が保たれていることを示しました。それはまた、国際共産主義運動発展の新たな段階を意味するものでありました。

 会議で採択された宣言は、平和と社会主義をめざす各国の党と人民の闘争において極めて重要な意義をもっています。社会主義諸国共産党・労働者党代表者会議の宣言は、国際共産主義運動と労働運動の歴史的経験、社会主義建設の経験を一般化し、各国の共産党・労働者党の共通の闘争課題を明らかにしたものとして各党の綱領的文献となっています。

 同志のみなさん!

 宣言に指摘されているように、現時代の基本的特徴は、ロシアにおける十月社会主義大革命によって始まった資本主義から社会主義への移行がおこなわれていることであります。

 こんにち、国際情勢は、社会主義が国際舞台で決定的に勝利する偉大な歴史的転換期に処しています。

 ロシアで始めて社会主義革命が勝利してから40年が経過したこんにち、すでに世界人口の3分の1以上、すなわち9億5000万以上の人々が社会主義の道を歩みだしています。社会主義の旗は、地球の4分の1以上の広大な地域にひるがえっており、社会主義は世界的体制となっています。

 社会主義勢力のめざましい成長は、植民地、従属諸国人民の解放運動を大きく励まし、帝国主義植民地体制の崩壊を促しました。第2次世界大戦後、朝鮮、中華人民共和国、ベトナム民主共和国を除いても7億以上の人民が植民地のくびきをかなぐり捨て、自主的な独立国家を建設しました。第2次大戦以前は世界人口の半数以上が帝国主義植民地支配下にありましたが、それは、いまでは1億6000万にすぎず、かれらも民族の解放をめざしてさらにねばり強くたたかっています。

 アジアには植民地がほとんどなくなり、アジアの情勢には根本的な変化が生じました。長年のあいだ抑圧されていた数億のアジア人民は、自分の運命を自分の手に握り、人類史の発展においていっそう大きな役割を果たしています。アメリカ侵略者は、人民から見捨てられた蒋介石、李承晩、ゴ・ジン・ジエムなど人間のクズを糾合し、再びアジアを支配しようと狂奔しています。これは、おぼれた者がワラにすがるようなものです。

 帝国主義が、世界の大部分を支配していた時代は過ぎ去りました。現在、帝国主義諸国の人口は5億ですが、その内部では階級的対立と帝国主義国間の矛盾がますます激化しています。

 40年間の歴史は、世界の政治地図を根本的に変え、帝国主義にたいする社会主義の偉大な勝利を立証しています。

 ソ連における経済と科学・技術の著しい発展とその他の社会主義諸国における社会主義建設の成果は、社会主義世界体制を不敗の力に発展させました。すべての社会主義国の人民経済は、資本主義社会では見られない速いテンポで発展し、人民の物質・文化生活水準はたえず向上しています。世界工業生産における社会主義国の比重は約3分の1に達し、それはひきつづき高まっています。

 こんにち、社会主義世界体制は、人民に平和と社会主義の勝利をさらに強く確信させており、それは社会の進歩を促す決定的な力となっています。

 社会主義勢力の大きな成長と植民地体制の崩壊によって、帝国主義は弱体化しています。帝国主義国では、生産力と生産関係の矛盾が極度に激化し、近代科学と技術の諸成果は社会の発展と人民のために役立っていません。

 資本主義世界経済は極めて不安定な状態にあり、深刻な危機に直面しています。資本主義世界を支配している独占体は、高率の利潤を確保するため労働者階級にたいする搾取を強め、資本主義社会のいっそう広い階層の利益をおかしています。これは、資本主義の矛盾を激化させ、資本主義国の労働者階級をはじめ、広範な勤労者を帝国主義に反対し社会主義をめざす闘争へと励ましています。

 社会主義の全世界的範囲における最終的勝利は、おしとどめることのできない歴史発展の必然的趨勢であります。

 アメリカをかしらとする帝国主義の侵略的階層は、「力の立場」の政策を実施し、愚かにも人類史の合法則的発展に歯止めをかけようと策しています。アメリカ帝国主義者は、世界各地で民主主義的自由を抹殺し、民族の独立を脅かし、解放された人民に新たな形の植民地的支配をおしつけようとしているばかりでなく、社会主義諸国にたいする系統的な破壊活動を強行しています。

 アメリカ帝国主義は、世界反動の元凶であり人類の凶悪な敵であります。かれらは、軍備の縮小、原水爆の製造と使用の禁止を拒否し、軍拡競争をつづけ、世界各地に軍事基地を設けて新たな戦争の準備に狂奔しています。

 しかしこんにち、社会主義と平和勢力は、帝国主義者の戦争の陰謀を十分破綻させうる強大な力をもっています。

 エジプト人民にたいするイギリス、フランス帝国主義者の武力侵犯と、ハンガリーにおける社会主義制度の転覆をはかったアメリカ帝国主義侵略者の策動は恥ずべき敗北を喫しました。シリア人民にたいするアメリカ帝国主義者の侵略の企みも失敗しています。

 これらのことは社会主義陣営の威力と不抜の統一の前に、アメリカをはじめ、帝国主義者がどの社会主義国も侵犯することができず、世界のどの地域でも意のままに戦争を起こすことができないことを示しています。

 アメリカ帝国主義者の侵略計画は、ヨーロッパや中近東と同様、アジアでも失敗をまぬがれないでありましょう。朝鮮戦争やインドシナ戦争におけるアメリカをはじめ、帝国主義者の敗北はそれを立証しています。

 社会主義陣営の不敗の威力、帝国主義に反対する社会主義諸国とともに広大な平和地帯を形成しているアジア、アフリカの平和愛好諸国の存在、国際労働者階級とその前衛部隊である共産党・労働者党の戦争に反対する決定的進出、植民地・半植民地人民の民族解放運動、平和をめざす人民の大衆的運動の大きな高まり、これらは現在戦争を防止する現実的可能性となっています。

 モスクワ会議の参加者は、帝国主義の侵略的階層の策動に警戒心を高め、すべての平和勢力を結集するならば、戦争を防止し恒久平和を維持することができることを一致して認めました。帝国主義者が侵略の野望を捨てず、あくまで新たな戦争を挑発するならば、かれらは完全な滅亡をまぬがれないでありましょう。

 宣言にそれぞれ指摘されているように、戦争か平和共存かの問題は、世界政治の基本的問題であり、平和擁護闘争は各国の共産党・労働者党および世界各国人民の第一義的課題であります。

 朝鮮人民は、全世界の平和愛好諸国人民とともに世界平和の維持のために、特にアジアの平和と安全のためにたたかっています。我々は、原水爆実験の即時中止とその製造および使用の全面的禁止をめざす闘争を全人民的運動で展開しなければなりません。

 我々は、社会制度の異なる国々の平和共存にかんするレーニン的原則を踏まえて、すべての国と友好関係を結ぶために努力しています。

 我々は平和を強化する闘争と植民地主義に反対する闘争で、インド、インドネシア、エジプト、シリア、ビルマ、セイロンをはじめ、アジア、アフリカ諸国との相互協力と連帯を強化すべきであります。

 朝鮮人民は、日本人民と親善関係を結ぶことを願っており、日本におけるあらゆる民主運動を支持し、日本との関係正常化のために努力するでありましょう。日本軍国主義の復活に反対し日本を民主化することは、極東の平和を強化するうえで重要な意義をもっています。

 我々は、アジアのどの国にも帝国主義侵略軍が駐屯することに反対し、アジアのどの国、どの地域もアメリカ侵略軍の核基地になることに反対して、すべての国、すべての人民と共同闘争を展開すべきです。ここにこそ、アジアの平和を維持する最も確かな保証があります。

 同志のみなさん!

 国際情勢の根本的な変化は、我が国の情勢にも反映せざるをえません。それは、祖国の平和的統一と社会主義建設をめざす朝鮮人民の闘争に決定的に有利な条件をもたらしています。

 朝鮮の平和を維持し祖国の平和的統一を実現するためにたたかうのは、現段階における朝鮮人民の最も重要な課題であります。この課題を実現するために、我が党は北半部で社会主義建設を促進し、民主基地を強化すると同時に、南朝鮮のあらゆる愛国勢力を結集して反帝反封建闘争に決起させるためにたたかってきたし、現にたたかっています。

 戦後、我が国の情勢は、朝鮮人民にいっそう有利に変わりました。我が国の現情勢の特徴は、共和国北半部で社会主義勢力が急速に強化されている反面、南朝鮮でアメリカ帝国主義侵略者の植民地支配が破綻し、アメリカ帝国主義と広範な人民のあいだの矛盾が日増しに激化していることです。

 我が党と共和国政府の指導のもとに、北半部の人民は戦後の人民経済復興発展をめざす闘争で大きな成果をおさめました。

 戦後3か年計画期間に、工業と農業生産は戦前の水準を回復したばかりか、それを大きく上回り、廃墟のうえに新たな都市や農村が建設されました。

 3か年計画が成功裏に遂行される過程を通じて、破壊された生産力が単に復旧されたのではなく、民族経済の自立的土台が基本的にきずかれ、国の社会的・経済的基盤に根本的な変化が生じました。工業の植民地的跛行性が著しく取り除かれ、その技術的土台が強化されました。社会主義的生産関係が拡大強化され、特に農業協同化が決定的勝利をおさめて、社会主義的経済形態は都市と農村で支配的地位をしめるようになりました。

 技術改造の進捗と社会主義的生産関係の確立にともなって、人民経済各部門では新たな高揚が起こっています。概略的な資料によれば、今年度の工業総生産高は昨年度の約40%に増加し、戦前の水準を2.8倍に上回るでありましょう。今年度の穀物生産は320万トン以上に達することが予定されていますが、日本帝国主義支配当時にはこのような収穫高は想像すらできませんでした。さらに、これは極めて不利な気候条件のもとで達成されたことを指摘する必要があります。人民生活も改善され、教育・文化も発展を遂げています。

 社会主義は、人民経済において決定的な勝利をおさめ、勤労者の生活に深く浸透しています。

 社会主義経済建設での大きな成果は、階級関係を根本的に変え、国家社会制度を強化しました。労農同盟にもとづく人民大衆の政治的統一と団結は、新たな社会主義的基盤のうえで強化されました。全人民の政治的・勤労的熱意は高度に高まり、すべての人が明確な見通しとかたい信念をもって社会主義建設に参加しています。

 共和国北半部で社会主義革命は勝利しています。北半部における社会主義勢力の大きな成長は、我が国の情勢を朝鮮人民に有利に変える根本的要因であります。それは、朝鮮で敵の挑発的陰謀を粉砕する決定的な力であり、アメリカ帝国主義と反逆者李承晩一味にたいする南朝鮮人民の闘争を励ます強力な推進力であります。

 こんにち、南朝鮮は、政治・経済生活の各分野で手のほどこしようのない深刻な危機に直面しています。

 アメリカ帝国主義と反逆者李承晩一味の戦争政策とアメリカ帝国主義の植民地的略奪政策によって、南朝鮮経済は破綻の一路を歩んでいます。

 アメリカ余剰商品のはんらん、アメリカ独占資本と買弁資本による原料および金融の独占、過重な租税負担などによって、民族産業は破産の一路をたどっています。多くの中小企業が閉鎖され、今年のはじめには残りの企業もその約80%が休業または操業短縮状態に陥っています。

 反逆者李承晩一味の主な略奪対象である農業は極度に疲弊しました。耕地面積は毎年減少し、1956年度に穀物生産は日本帝国主義支配当時の末期に比べてほぼ30%も減退しました。

 1956年度にかいらい政府の予算のうち軍事費と警察費の割合は65%に達し、人民からの租税収入は、歳入総額の86%を占めました。財政における赤字が急増し、通貨が膨張し、物価は天井知らずに騰貴しています。

 経済の零落と略奪によって、南朝鮮の労働者、農民をはじめ、すべての勤労者は、失業と飢餓と貧困に苦しんでいます。南朝鮮人民には、初歩的な自由すら保障されていません。かれらにたいするアメリカ侵略者の蔑視と蛮行は、ますます激しくなり、南朝鮮であらゆる民族的で進歩的なものが抹殺されています。

 これらはアメリカが12年間、南朝鮮にたいし植民地的支配をおこなった結果であります。

 南朝鮮を支配しているアメリカ独占資本と一握りの地主、買弁資本家を一方とし、労働者、農民、都市小ブルジョア、民族資本家など広範な階層を他の一方とする両者の利害関係は鋭く対立しています。

 アメリカ帝国主義の植民地的支配は、南朝鮮人民が現状では生きていけない状態に追い込んでいます。南朝鮮人民は、アメリカ帝国主義の植民地的支配を一掃し、祖国の平和的統一をなし遂げずには、耐えがたい苦境からぬけだすことができないことを深く悟っています。

 南朝鮮の支配層内部でも矛盾が激化しています。自由党と野党間の確執が激しくなり、李承晩一味にたいする野党各派の不満はいっそうつのっています。

 これらのことは、アメリカ帝国主義と反逆者李承晩一味が人民大衆から孤立化し、その支配の基盤が弱まっていることを物語るものです。それはまた、南朝鮮で労働者、農民をはじめ、広範な階層の参加するすべての愛国勢力の統一戦線を結成しうる可能性が強まっていることを示すものです。

 アメリカ侵略者は、南朝鮮にたいする政策の破綻をおおいかくし、当面の危機からぬけだそうと狂奔しています。

 かれらは、南朝鮮人民にたいする搾取と弾圧を強化すると同時に、朝鮮で再び緊張をつくりだす方向に進んでいます。最近、アメリカ側は、停戦協定の一部条項の一方的破棄を宣言し、南朝鮮に新型兵器を搬入し、南朝鮮をアメリカの核基地にしようと策動しています。しかし、これらの政策は疑いもなく、かれらの期待を裏切る結果をもたらすでありましょう。

 南北朝鮮の情勢は、朝鮮の平和的統一のために全人民がいっそう頑強にたたかうことを求めています。

 朝鮮の平和を維持し、平和的統一を実現するのは、全朝鮮人民の一致した念願であり、朝鮮人民の死活的な問題であります。それはまた、アジア、ひいては全世界の平和の維持、強化に大きく寄与するでしょう。

 我が党は、祖国の平和的統一のために繰り返し合理的で現実的な方案を示し、その実現に向けてたたかってきました。

 停戦協定の遵守は、朝鮮における平和維持の第一歩であります。アメリカ側は、軍事境界線におけるさまざまな挑発と不法な武器搬入をはじめ、あらゆる停戦協定違反行為を速やかに中止すべきです。停戦は、当然、恒久平和に転換されるべきです。

 朝鮮の平和を脅かし、平和的統一を妨げる主な要因は、アメリカ侵略軍の南朝鮮駐屯であります。アメリカ軍が南朝鮮に駐屯しその侵略政策がつづく限り、朝鮮の平和は望めず、平和的統一も実現されません。

 アメリカ侵略軍は、南朝鮮から撤退すべきです。我々は、中国人民志願軍をふくめすべての外国軍隊が朝鮮から撤退することを要求します。

 李承晩一味は「北進」騒動をつづけながら、南朝鮮人民を過酷に収奪して70万以上のかいらい軍を保有し、軍備拡張に狂奔しています。

 我々は朝鮮における緊張を緩和し、特に南朝鮮人民の過重な軍事費負担を軽減するために、南北の軍隊をそれぞれ10万あるいはそれ以下に縮小することをひきつづき主張します。

 現在、軍事境界線をはさんで南北間には、極めて非正常な状態が生じています。我々は、軍事境界線が民族分裂の障壁となっている現在の事態を腕をこまぬいて見ていることはできません。

 一国内で、一つの民族のあいだに、自由な往来や物資の交易はもとより、書信のやりとりすらできない理由がどこにあるのでしょうか。現在の事態は、どの朝鮮人にも利益を与えるものではなく、朝鮮民族の禍根となっています。

 朝鮮民族の利益、特にあらゆる苦痛をなめている南朝鮮人民の利益のために南北間の人為的な障壁は取り除かれなければなりません。人々が自由に往来し、南北間の書信のやりとりが正常化され、各種物資の交易がおこなえるようにならなければなりません。

 もし、これを直ちに実現することができないとすれば、とりあえず南北朝鮮にそれぞれ一定の地点と通路を定めて物資を交流し、南北朝鮮人民が会えるようにしなければなりません。北朝鮮の豊富な電力、石炭、セメント、化学肥料をはじめ、多量の工業製品を南朝鮮人民が利用しうる道を開き、南北朝鮮の海上で自由に漁獲ができるようにすべきです。

 南北朝鮮の政党、大衆団体、個別的人士の接触と協商の機会がつくられるべきです。なによりも、南朝鮮で政治生活が民主化され、すべての政党、大衆団体の活動の自由が保障されるべきです。

 我々は、南朝鮮のいかなる政党、大衆団体、個別的人士にも、北朝鮮で自由に活動できる条件を保障するでありましょう。

 これらの問題の解決は、祖国の平和的統一を促進し、その現実的可能性をつくりだすでありましょう。こうして我が国は、いかなる外国の干渉も受けることなく朝鮮人民の民主的意思にもとづく南北総選挙を実施して、平和的に統一されなければなりません。朝鮮問題は、朝鮮人民自身の意思にもとづいて、みずからの手で解決されなければなりません。

 祖国の平和的統一を実現するためには、すべての愛国勢力をアメリカ帝国主義と反逆者李承晩一味に反対する統一戦線に連合することがなによりも大切です。南朝鮮でアメリカ帝国主義と結託した一握りの地主、買弁資本家を除き、労働者、農民をはじめ、知識人、手工業者、商人、民族資本家その他の広い階層の参加する統一戦線を結成してはじめて、祖国を平和的に統一する闘争を成功裏に進めることができます。こんにち、南朝鮮でこのような統一戦線の結成は、すでに機の熟した問題となっています。

 我々は、アメリカ帝国主義と反逆者李承晩一味に反対し、祖国の平和的統一を支持するすべての政党、大衆団体、個別的人士およびすべての階層と連合して共同闘争を展開するでありましょう。我々は民族の独立と平和的統一のためにたたかう人であれば、その過去を問わず手を携えていくでありましょう。

 これが、平和的統一にかんする我が党の立場と主張であります。

 同志のみなさん!

 朝鮮における平和の維持と祖国の平和的統一は、闘争なくしては達成されません。腕をこまぬいて待つべきでなく、たたかいとらなければなりません。

 社会主義陣営諸国人民と世界の平和愛好勢力の支援に依拠し、北半部の社会主義勢力と南朝鮮のすべての愛国勢力を結集してアメリカ帝国主義と反逆者李承晩一味に反対する闘争に動員するならば、祖国の平和的統一は達成されるでありましょう。

 我々の重要な革命課題は、北半部で社会主義建設を促進し、民主基地を強化することです。

 いま共和国北半部の勤労者は、膨大な第一次5か年計画を遂行するために、高度の勤労の熱意と創意を発揮しています。5か年計画が完遂されれば、北半部における社会主義の経済的基盤がさらに強化されると同時に、人民の衣食住問題が基本的に解決され、我が国は立ち後れた農業国から自立的な工業・農業国に変わるでありましょう。

 5か年計画期間に、共和国北半部が政治・経済・文化生活の各分野で大きな発展と変革をなし遂げることは疑いをいれません。我々には、5か年計画遂行のあらゆる条件と可能性がそなわっています。

 アメリカ帝国主義者の占領下にある南半部の状態が、今後いっそう悪化することは明らかであります。南朝鮮では、経済がさらに零落し、人民の苦痛は増大し、アメリカ帝国主義と人民間の矛盾は激化するでしょう。アメリカ帝国主義の植民地略奪政策は、これ以外の結果をもたらすことはできません。

 北と南のあいだの力の対比におけるこうした根本的な変化がいかなる結果をまねくかは自明のことであります。

 南朝鮮人民は、こうした変化に気づくでありましょう。かれらは、北半部と同様、人民のための政治を要求して積極的にたたかい、アメリカ帝国主義と反逆者李承晩一味の反動支配に反対して頑強にたたかうでありましょう。平和的統一は、朝鮮人民の長期の困難な闘争を通じてのみ実現されます。革命の敵は、我々の前進を阻むことができず、朝鮮人民は最後の勝利をたたかいとるでありましょう。

 同志のみなさん!

 社会主義国の共産党・労働者党代表者会議では、社会主義陣営と共産党・労働者党の団結の強化が最も重要な問題の一つとして提起されました。

 各国の共産党・労働者党の代表は、平和と民主主義、社会主義をめざす共同闘争で連帯と団結を強化し、帝国主義者の侵略策動とあらゆる挑発行為にたいし社会主義国の団結した力で立ち向かうかたい決意を表明しました。

 モスクワ会議は、民族問題にかんするレーニンの命題と世界社会主義陣営諸国間の相互関係における経験にもとづき、社会主義諸国は完全な平等と領土保全、国家的自主性と主権の尊重、内政不干渉の原則にもとづいて相互関係を確立していることを再確認しました。この原則は、資本主義国のあいだには存在したことがなく、また、存在するはずもありません。この原則は、社会主義陣営諸国人民間の相互信頼を深め、団結を強化するでありましょう。

 しかし、これは社会主義諸国間の関係の本質をすべて包括するものではありません。社会主義陣営の不敗の威力は、この陣営に属する国々の国際主義的団結にあります。社会主義国は、思想と社会制度の共通性、相互支持と援助の必要性、帝国主義に反対し社会主義の勝利をめざす闘争における利害関係と目的の共通性によって団結しています。

 モスクワ会議は、社会主義建設と帝国主義侵略者に反対する闘争で社会主義陣営諸国と各国共産党・労働者党がかたく団結することを特に強調しました。これは当然なことです。兄弟諸国の党と人民の団結が、社会主義陣営と国際労働運動の全般的利益ばかりでなく、各国人民の利益のためにもいかに貴重なものであるかは、十月革命後40年間の国際労働運動の経験、特にここ数年間の出来事の教訓がいっそうはっきり実証しています。

 朝鮮人民は、ソ連をはじめ兄弟諸国人民との親善と団結に深い利害関係をもっており、みずからの生活と闘争を通じてプロレタリア国際主義の偉大な力を体験した人民であります。

 ここ数年来、社会主義陣営と各国の党は厳しい試練を経てきました。帝国主義者のさまざまな「反ソ・反共」挑発策動に呼応して、修正主義者はプロレタリア国際主義を中傷し、ソ連を誹謗し、社会主義諸国と兄弟党の団結を破壊しようと悪辣に策動しました。

 敵と右翼日和見主義者が公然と策動すればするほど、我が党はプロレタリア国際主義の旗を高くかかげ、社会主義陣営と国際労働運動が団結すべきであるという原則的な態度と不動の決意を表明しました。

 朝鮮人民は、今後もソ連人民を支持し、中国人民との血の通った親善関係を強め、すべての兄弟的社会主義諸国人民との団結を強化するために努力するでありましょう。我々は、これを崇高な共産主義的義務とみなしています。

 大衆のあいだで、国際主義教育とともに愛国主義教育を強化すべきです。

 我々の愛国主義は、社会主義的愛国主義であります。我々は、あらゆるブルジョア民族主義と排外主義に反対します。民族主義は、諸国人民の親善関係をそこなうばかりでなく、自国の民族的利益と勤労大衆の階級的利益にも反します。ブルジョア民族主義と排外主義は、プロレタリア国際主義と社会主義的愛国主義に敵対するものであり、大衆の真の愛国主義の発揚を妨げます。我々は、南朝鮮で李承晩一味が「愛国主義」の看板のもとにいかに勤労人民を欺瞞し、抑圧搾取し、国の自主権を売り渡しているかをよく知っています。

 我々は、勤労人民がたたかいとった社会主義の獲得物と社会主義制度をなによりも愛護し、あらゆる搾取と抑圧に反対してたたかうものです。

 我々は、祖国の過去と現在の進歩的なものをすべて大切にし、愛し、我が国の美しく立派なものがすべて人民の所有となり、人民の幸せな生活に奉仕するようにするためにたたかうものです。

 我々は、兄弟諸国人民との国際主義的親善団結の強化に努めると同時に、労働者、農民をはじめ、勤労人民が主人となっている栄えある祖国を愛するものです。これが、我々の社会主義的愛国主義であります。

 党員と勤労大衆の重要な課題はまず、朝鮮革命の任務を成功裏に遂行し、我が国を富強にするための闘争に自発的に参加することです。これは、我々の愛国的義務であり、そうしてはじめて、我々は世界社会主義勢力の強化に実質的に寄与するプロレタリア国際主義の義務を立派に果たすことができます。

 同志のみなさん!

 宣言には、革命的マルクス・レーニン主義理論の原則的諸問題が再確認されており、さまざまな教条主義、修正主義に反対し、マルクス・レーニン主義の純潔を守る問題が特に強調されています。

 マルクス・レーニン主義は、労働者階級と被抑圧勤労大衆の世界観であり、闘争の武器であります。

 プロレタリア政党の生命は、この思想を体現していることにあります。かれらは、この武器を手にしてたたかいに勝利しています。

 それゆえ、最近、マルクス・レーニン主義の敵は、マルクス・レーニン主義の本質をねじまげ、その革命精神を抹殺するためにあらゆる策動をおこなっています。かれらは、マルクス・レーニン主義の最も基本的な問題である、資本主義から社会主義へ移行する時期におけるプロレタリア独裁の歴史的必然性を否定し、マルクス・レーニン主義党の指導的役割を拒否しています。

 こうした時期に、今度のモスクワ会議で各国の共産党・労働者党が、社会主義革命と社会主義建設の根本問題にたいする完全な見解の一致を確認し、マルクス・レーニン主義の不動の原則を改めて明らかにしたことは、特に重要な意義があります。

 社会主義革命の遂行とプロレタリア独裁の確立において、マルクス・レーニン主義党の指導と労働者階級の指導する労農同盟の強化、資本主義的所有の一掃と基本生産手段にたいする社会的所有の確立、農業の社会主義的改造、人民経済の計画的発展、社会主義的文化革命の遂行、内外の敵の侵害からの社会主義的獲得物の守護、各国労働者階級間のプロレタリア国際主義的連帯の強化などの諸命題は、十月大革命後、ソ連その他の社会主義諸国における社会主義建設の実践的経験を通じてその正しさが確証されたマルクス・レーニン主義の一般的合法則性であります。

 これは常に、社会主義を建設するすべての党と共産主義者の原則的立場を規定するマルクス・レーニン主義的規準となり、指針となるでありましょう。

 マルクス・レーニン主義党は、これらの基本原則を堅持し、それらを自国の具体的な歴史的条件に創造的に適用することが大切です。民族的特殊性を過度に重視しマルクス・レーニン主義の一般的原則から逸脱することも、民族的特殊性を無視しマルクス・レーニン主義の一般的原理と他国の経験をうのみにすることも、すべて社会主義の大業に害を及ぼすものです。

 我が党は、創立当初からひたすらレーニンによって示された道を歩み、マルクス・レーニン主義の一般的原則を我が国の具体的現実に具現するために一貫して努力してきました。我が党の経験は、いかに内外の情勢が厳しく、党内に困難な問題が提起されても、党が動揺することなくマルクス・レーニン主義の原則を固守し、その精神でたゆみなく党員を教育し、その原則を実現するためにねばり強くたたかうならば、あらゆる難関と試練を成功裏に乗り越え、さらに統一、団結した隊伍として労働者階級とすべての勤労大衆を結集し、提起された革命課題を成功裏に遂行できることを立証しています。

 社会主義陣営にたいする敵の挑発的攻勢が激化した近年の困難な時期に、我が党は兄弟党とともに帝国主義者と日和見主義者の策動に反対して断固たるたたかいをくりひろげました。このさい我々はまず、朝鮮革命の陣地をかためるため、党を組織的、思想的に強化し、すべての党員と勤労大衆の積極性と創意性を引き出して当面の政治的・経済的課題を成功裏に遂行する緊張した闘争を展開しました。

 反革命分子を摘発し暴露する全人民的運動の展開、1956年末から1957年初にかけて全党的におこなわれた党員証交換と主な党組織にたいする集中的指導と点検、1956年12月総会決定実行の政治的・経済的闘争など党の適切な措置は、我が党と人民民主主義制度にたいする敵の破壊策動を粉砕し、党の純潔を保障し、党と大衆との結びつきを強め、全党員と勤労大衆を党の唯一の思想と意志で団結させるうえで重要な意義をもちました。

 こうして、外部の敵がさまざまな騒動を起こしたにもかかわらず、我が党は不抜の統一の威力を堅持し、すべての党員と勤労大衆は党中央委員会のまわりにかたく団結して社会主義の大業を守り、そのためにたたかう不動の決意と覚悟を示しました。それは、その当時におこなわれた共和国の地方主権機関および最高主権機関の選挙の輝かしい勝利を通じて示され、我が国経済建設の歴史的な成果を通じて明確に示されました。

 現在、朝鮮でマルクス・レーニン主義は、支配的思想となり、社会主義は朝鮮人民のすべての生活で勝利しています。

 我が党と人民は、こうした成果を通じて世界社会主義勢力の強化に寄与し、現に寄与しています。

 しかし、我々には、これに満足するなんの理由もありません。国の内外において敵対勢力との闘争は依然として熾烈であり、資本主義の維持と復活を求めるブルジョア反動思想は、さまざまな形で我々の内部に浸透しています。

 ブルジョア思想の反映としての修正主義は、現在、国際労働運動の主な危険となっています。周知のように、我が国では修正主義が大きな影響を及ぼすことはできません。しかし、国際的に台頭した修正主義の潮流は、我が国でも少数の不堅実な分子と小ブルジョア動揺分子に一定の影響を及ぼし、共感を呼ぶ恐れがあることを忘れてはなりません。

 1956年8月総会で暴露、批判された分派分子らが、けがらわしい目的を達成するためにもちだしたスローガンや、かれらの行動はその証左であります。かれらは、我が党のこれまでのすべての成果を否定し、党の指導を拒否し、党の民主集中制に反対し、非原則的な「民主主義」と「自由」を唱え、甚だしきにいたっては「分派有益説」を主張して敵対分子と結託し、かれらに利用される許しがたい反階級的行動さえとりました。元来、不健全な思想的悪弊を改めなかった分派分子らは、一方では外部から浸透した国際修正主義の思想的影響を受け、他方では厳しい革命闘争の試練を克服することができず、敵対勢力に屈従する右翼投降主義に陥って、ついには党と革命を裏切る道を歩むようになったのです。

 党員が思想的鍛練をおこたるならば、あらゆる反マルクス主義的な思想観点や傾向が外部から浸透したり内部にあらわれる恐れがあることを片時も忘れてはなりません。ことに、朝鮮は分裂しており、我々は南朝鮮を占領した国際反動勢力のかしらであるアメリカ帝国主義侵略者と対峙しています。敵は、我々の社会主義の獲得物を奪い、我々の内部のあらゆる好ましくない要素をかれらの敵対行為に利用しようと狂奔しています。

 こうした状況下にあって、我々は、人民民主主義制度を強化し、国家の独裁機能を強めなければなりません。敵対分子を徹底的に鎮圧し、内部に残っているあらゆる好ましくない要素を一掃することによって、敵につけこむ機会を与えないようにすべきです。

 これと同時に、勤労者のあいだで思想教育と思想闘争をたゆみなくおこない、あらゆる古い思想の影響を一掃し、かれらをマルクス・レーニン主義思想で武装させるためにいっそう力を注ぐべきです。

 北朝鮮で生産関係の社会主義的改造が実現した結果、ブルジョア思想の発生する社会的・経済的基盤は基本的に取り除かれましたが、人々の間にはまだブルジョア的・小ブルジョア的思想の影響が残っており、それは今後も長いあいだなくならないでしょう。

 朝鮮の労働者階級は、発展の歴史が浅く、教育者としてのマルクス・レーニン主義党をもったのもそれほど長くありません。特に戦後、工業の復興と拡張にともなって、労働者階級の隊列が主に農民や小市民で補充されて急速に拡大した関係から、まだ、かなりの労働者はプロレタリアートの思想を十分に身につけていないのが実情です。したがって、我々の社会の最も先進的階級である労働者階級の政治・思想教育を強化して、指導階級としての役割を高めることが大切です。

 共和国の農村は社会主義的農村に改造され、農民は社会主義的勤労者となりましたが、その意識はまだ立ち後れています。農民大衆に残っている封建的・ブルジョア的思想の影響と小ブルジョア思想を一掃し、かれらを社会主義思想で武装させることは、農村に樹立された社会主義的生産関係を強化する重要な条件の一つです。同時に、すべての搾取行為を一掃して都市と農村で社会主義陣地を強化しなければなりません。

 我が国のインテリの絶対多数は、動揺することなく勤労人民の利益と社会主義の大業に忠実に服務する我が党の頼もしい部隊を形成しています。党は、労働者、農民のなかから新たなインテリを大量に養成し、インテリのあいだで古い思想の影響を一掃して党と人民にいっそう忠実な社会主義的インテリに育成するために特別の関心を払うべきです。

 解放後に育った若い世代は、搾取されたことがなく、それをよく知らないために、こんにちの南朝鮮の地主・資本家制度の反動性を十分に認識していません。祖国防衛と社会主義建設の重要な担い手となるべき、かれらに地主・資本家制度の本質を明確に認識させ、人間による人間の搾取がなく労働者、農民が主人となった社会主義制度と社会主義祖国を愛し、守りぬくために全力を尽くすようにすべきです。

 南朝鮮の人民大衆に民族の独立をめざしてたたかう精神を鼓吹すると同時に、労働者、農民、勤労インテリを階級的にめざめさせ、社会的解放をめざす闘争の道を示すべきです。

 修正主義と同様、教条主義もマルクス・レーニン主義思想とは緑もゆかりもなく、革命に有害な思想です。教条主義は、特に創立して日の浅い党の活動に大きな損失を与える恐れがあることを、経験は示しています。

 党内での教条主義的活動態度は、党・国家機関の活動家や党員大衆が最大限に創意性を発揮すべき社会主義建設で、複雑多難な課題が提起されたとき顕著にあらわれ、見過ごすことのできないものとなりました。そこで、党中央委員会は特に、戦後に教条主義と形式主義を克服し、主体性を確立する闘争に本格的に取り組みました。

 党は、10年間の闘争を通じて豊かな経験をつむようになり、活動経験をもち、他国の経験を現実に創造的に適用する能力を所有した活動家で幹部陣容を初歩的にととのえました。これは、教条主義を一掃する我々の闘争を容易におこなえるようにしました。

 教条主義者は、発展する具体的な現実を研究、分析し、そこから結論を引き出すのではなく、既存の公式や命題をあてはめて現実を規定しようとし、自分の立場にたいする確固とした信念や定見をもたずに盲目的に他人に追随しようとしています。

 複雑な現実をマルクス・レーニン主義的に判断し、問題を正しく処理するのは、他国の経験や既成理論を慎重に研究せず教条主義的に適用することよりもはるかに困難なことであります。

 現実を研究、分析することができず、頭を使おうとしない人たちにとっては、いかに立派なマルクス・レーニン主義の命題や兄弟党の貴重な経験も生気を失い、むしろ、活動に損失を与えるようになります。これは実際上、マルクス・レーニン主義理論と先進的経験にたいする軽視であり、歪曲であります。

 特に、我が国で教条主義的傾向がなくならない理由の一つは、長年の封建支配と日本帝国主義植民地支配下で民族的自負をもつことができず、他国のものを盲目的に崇拝した立ち後れた思想の影響が一部のあいだにまだ残っているからです。そのため、自国のすぐれたものは見ることができず、他国のものは自国に合わないものでも機械的に模倣し追随する傾向がなくならないのです。

 我々は、今後も兄弟党の経験を研究し、それに学ぶべきです。しかし、我々は常に、その経験が、その国のいかなる歴史的発展段階といかなる具体的な社会的・階級的関係のもとで創造され、それを適用する我が国の具体的な実情がどうであるかを考慮しないならば、教条主義的誤りをおかすようになるでしょう。

 レーニンが指摘しているように、マルクス主義のすべての精神とすべての体系は、個々の命題を歴史的に、歴史の具体的な条件との関係において考察することを求めています。

 「各国の共産主義的労働運動の国際的戦術の統一は、決して多様性を排除し民族的差異を抹殺(これは、現在において愚かしい妄想にすぎない)することを求めるのではなく、共産主義の基本的諸原則(ソビエト政権とプロレタリア独裁)を、その特殊性に即して正しく変形させ、民族的および民族国家的差異に正しく適合させ正しく適用することを求める。統一的な国際的任務の解決(略)をめざす各国の具体的な態度において、その民族に特有なものとその民族に固有なものを探求し、研究し、発見し、理解し、とらえることが(略)重要な任務である」とレーニンは述べています。

 教条主義は、事物と現象を弁証法的唯物論にもとづいてではなく、それを形而上学的に観察し、判断し、処理することに、常に安住の地を求めているのです。したがって、教条主義を克服するためには、党員、特に幹部のあいだで弁証法的唯物論の学習を強化し、幹部と党員がいかに複雑で困難な環境にあっても独自に事態を正しく分析、判断し、活動する能力をつちかうようにすべきです。

 ひきつづき、活動作風を改善し、党と大衆との結びつきを強めるべきです。宣言は、「共産党・労働者党は、あらゆる活動において常に人民大衆に依拠し、社会主義の建設と防衛を国の主人としての地位を深く自覚した幾百万勤労者の事業にしなければならない」と指摘しています。

 我々の経験は、難問題が提起されるとき、労働者、農民、勤労者と討議し、その知恵と力に依拠するならば、解決できない難問題や乗り越えることのできない難関がないことを示しています。

 我が党は、一貫して官僚主義に反対してきました。特に昨年の12月総会は、党・国家機関の指導を改善し、党活動家が広範な勤労大衆との結びつきを強め、その創意に依拠する作風を確立するにあたって重要な契機となりました。

 しかし我々は、これまで活動作風の改善でおさめた成果に満足することはできません。国の主人である労働者、農民、インテリをはじめ、広範な大衆の創意を正しく発揮させるならば、工業、農業、文化の発展でさらに大きな成果をあげることができることを忘れてはなりません。

 要は、党と大衆との結びつきを弱め、大衆の創意を抑える保守主義、官僚主義、事務室的作風、形式主義を一掃し、党幹部とすべての党員が大衆のなかに入って学び、生きた結びつきを保ち、大衆の愛国的な発議を支持し、そのつきない力を発揮させる党的活動作風を体得するためにたゆまず努力することにあります。

 社会主義革命と社会主義建設の課題を成功裏に遂行する決定的な保証は、党のマルクス・レーニン主義的統一と団結を守ることにあります。党のマルクス・レーニン主義的統一と団結を破壊する分派や派閥の存在を絶対に許してはなりません。

 周知のように、分派は、朝鮮の労働運動に極めて大きな害悪を及ぼしました。分派分子が党をぎゅうじった結果、1925年に創立された共産党は解散に追い込まれ、その反党的、反革命的な派閥行為は、解放後、南朝鮮で我が党の組織を破壊しました。

 昨年党内に台頭した反党分派分子は、内外の困難な情勢に乗じて、重大な反党的・反国家的陰謀を働きましたが、党はそれを適時に粉砕しました。

 分派に反対する闘争が、我が党の建設と党の組織的・思想的強化において、特に重要な位置を占めるのは当然です。朝鮮の労働運動で分派の毒素を一掃し、党の統一を強化し、党の強固なマルクス・レーニン主義的組織・思想体系を確立する歴史的な課題が、我々の世代の党員に課されています。

 これまでの経験は、敵対勢力との厳しい階級闘争が展開されているときに、党内から分派を適時に除去せず助長させるならば、それは敵対分子と結託するか、利用されることを示しています。

 党の組織的・思想的統一と純潔を保つために全党員は、党の路線をあくまで擁護、貫徹し、党の路線に反するあらゆる傾向とたたかわなければなりません。各党委員会は、すべての党員が党の規約に示された義務を厳守し、党生活を強化し、党生活に不健全な傾向がいっさいあらわれないようにすべきです。党員のあいだに中核隊列をたえず拡大し、初級党組織の活動を強化して、党組織と党員がどこにあっても大衆の頼もしい指導者、組織者としての役割を高めるようにしなければなりません。

 モスクワ会議の宣言が指摘したすべての問題は、我が党の路線と朝鮮人民の利益に合致し、我が党の今後の活動に多くの寄与をなすでしょう。今度のモスクワ会議の宣言は、我が党員と朝鮮人民の信念を深めさせ、かれらを新たな勝利へと励ますでありましょう。

 同志のみなさん!

 国際共産主義運動は、その発展における世界史的勝利を総括し、新たな高揚期を迎えています。

 朝鮮労働党は、国際共産主義運動の前衛部隊の栄えある一員として、世界を改造する進歩的人類の大業を立派に遂行しています。

 我々、共産主義者は近い将来、全世界で共産主義の理念が勝利するものと確信しています。

 朝鮮革命を促進し、それを成功裏に遂行するのは、我々の当面の重要な課題であります。

 我が党は、百戦百勝のマルクス・レーニン主義の旗のもとに、あらゆる難関を乗り越えて、こんにちのような成果と勝利を達成し、今後もこの旗のもとに、朝鮮民族と労働者階級、勤労大衆の最終的解放をめざす歴史的大業をなし遂げるでありましょう。

 朝鮮人民のあらゆる勝利の組織者であり、鼓舞者である我が党の統一と団結を強化し、その戦闘力をたえず高めて、朝鮮革命の最終的勝利を早めなければなりません。

 出典:『金日成著作集』11巻


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