金 日 成

当面の難局を打開し、革命を引き続き前進させよう
南牌子での朝鮮人峠革命軍軍事・政治幹部会議でおこなった演説 
1938年11月25日

 皆さん!

 きょう、我々は革命が直面している難局を打開し、朝鮮革命を引き続き前進させる対策を協議することにしました。

 皆さんも知っているように、いま、我々の前には複雑かつ困難な情勢が到来しています。

 朝鮮人民革命軍の積極的な政治・軍事活動と朝鮮人民の大衆的な反日闘争によって、至るところで打撃を受け混乱に陥った日本帝国主義侵略者は、惨敗の穴埋めをしようと朝鮮人民革命軍部隊を幾重にも包囲し、大規模な「討伐」攻勢を企てる一方、革命組織と愛国的人民に大々的な弾圧を加えています。

 そのために、朝鮮人民革命軍の活動は、かつてない障害にぶつかっており、各地で革命組織が破壊され、数多くの革命的大衆が、検挙、投獄、虐殺されています。

 日本帝国主義の狂気じみた暴圧によって、現在、朝鮮革命は大きな試練にさらされています。

 最近、革命が難局に直面することになったのは、何よりもコミンテルンの一部の者の冒険主義的な妄動による悪影響がその主な原因です。極左冒険主義に染まった一部の者は、実情を知りもせずに情勢判断を誤り、コミンテルンの名で中国東北地方の各抗日武装部隊に無謀な指示を与えました。その指示というのは、満州の各武装部隊が「満州国」の首都長春を半月形に包囲、攻略して熱河方面に進出し、北上する八路軍部隊と合流して、中国関内を侵攻する日本帝国主義侵略軍に打撃を加えよ、というものでした。

 これは、実際の軍事・政治的状況からしても、遊撃戦の原則からしても極めて無謀な計画でした。当時、日本帝国主義侵略者は、中国関内への侵攻を拡大するために、満州で関東軍をはじめとする侵略兵力を急速に増強していました。

 特に、中国関内侵攻の関門ともいえる熱河地方と奉天平野一円には、万端の戦闘準備を整えた日本帝国主義の大兵力が集結していました。敵味方の力関係から見れば、熱河遠征は全く向こう見ずな作戦でした。

 遊撃戦の基本法則は、自己の兵力を最大限に温存しながら、各方面から敵を攻撃し弱体化させることです。遊撃戦のこの法則を実行に移すためには、正規軍が自由自在に活動しにくい山岳や密林地帯を利用して敵を無力化し、臨機応変の霊妙な戦法で敵を絶えず掃滅しなければなりません。

 ところが、抗日連合軍部隊が進出することになっていた長春地区と奉天平野は広漠たる広野です。ですから、山地に頼って奇襲戦や伏兵戦を戦ってきた抗日連合軍部隊が、このような平野部に進出して「精鋭」を自負する日本帝国主義侵略軍を正面攻撃するというのは、遊撃戦術の基本法則とはあまりにもかけ離れた行動です。

 遠征の過程で抗日連合軍の一部の部隊が被った損失は、熱河遠征計画が遊撃戦の基本法則に反する軍事冒険主義の所産であることを如実に示しています。

 昨年の夏、奉天平野に進出した抗日連合軍の一部の部隊は、威力のある火砲や機動手段をもった関東軍の追撃を受け、満足に戦うこともできずに大損失を被り、結局、敗残の兵をおさめて山岳地帯へ戻らざるを得ませんでした。

 熱河遠征計画が無謀な作戦であったということは、また、この遠征が大衆の積極的な支持、声援を受けられない地域に対しておこなわれたのを見てもよくわかります。

 革命的大衆の積極的な支持、声援は、我々が日本帝国主義侵略者との戦いで勝利を得るための重要な要因の一つです。我々はここ数年来、東満州と南満州の広い地域に武装闘争の大衆的地盤を築き上げたため、広範な反日大衆から物心両面の支持、声援を受けながら抗日武装闘争を粘り強く繰り広げ、日本帝国主義侵略者に大きな政治的・軍事的打撃を与えることができました。ところが、抗日連合軍の一部の部隊が熱河遠征計画に従って大衆的地盤の築かれていない不案内な地域に進出したため、組織化された大衆の支持、声援を受けることができず孤立無援の状態で活動せざるを得ませんでした。熱河遠征が無謀の挙であったことは明白です。

 そのため、我々は、最初から熱河遠征のような無謀な作戦に賛成しなかったのです。

 朝鮮人民革命軍の主力部隊は、柳河、通化一帯で夏中、丘陵地帯を拠点にして、平野部にたむろしていた敵を誘引、奇襲する機動作戦を盛んに展開し、敵に手痛い打撃を与えました。特に、我々は、この一帯で日本帝国主義の大陸侵略戦争を阻止、破綻させるため、敵背を突く作戦を強化しました。これは、熱河遠征に参加して苦境に立たされていた抗日連合軍部隊を危機から救うたたかいでもありました。

 そして、昨年の冬には、長白一帯で新入隊員をはじめ、朝鮮人民革命軍の隊員を政治的、軍事的にしっかり鍛えるため、集中的な軍事・政治学習をおこないました。

 このように、朝鮮人民革命軍は、敵に大きな軍事的・政治的打撃を与えながらも、自己の兵力を温存したばかりでなく、さらに拡大、強化しました。

 しかしながら、敵が熱河遠征の途についた部隊に対して「攻勢」を強め、革命組織と革命的大衆に対しても全面的弾圧を加え始めたことで、朝鮮革命の前途に重大な難関が横たわるようになりました。

 周知のように、南湖頭会議以降、朝鮮人民革命軍部隊が鴨緑江沿岸に進出して白頭山根拠地を設けて軍事・政治活動を強化した結果、わが国の反日民族解放運動は新たな高揚期を迎えました。普天堡戦闘をはじめ、国内と国境一帯で朝鮮人民革命軍がおこなった軍事・政治活動は、朝鮮人民に祖国解放の明るい曙光を与え、朝鮮人民の反日気運を著しく高めました。

 こうして、国内と白頭山西南部に至る広大な地域に祖国光復会の傘下組織が結成されて各階層の広範な反日的大衆が結集し、朝鮮人民の反日民族解放闘争はさらに高い段階へと発展するようになりました。

 中日戦争に伴い、「後方の安全」を必要とした日本帝国主義は、朝鮮人民の反日闘争の高揚に危惧の念を抱き、朝鮮と白頭山西南部一帯の革命的組織と大衆に対して全面的な
「討伐」を強行しました。敵は人民に対する弾圧を強化しながら、特に、地下革命組織を破壊するために大々的な検挙旋風を巻き起こしました。その結果、この一帯で数多くの共産主義者や祖国光復会の会員が検挙、投獄され、革命組織は破壊されました。

 このように、主観主義者によって押し付けられた熱河遠征は、中国人民の反日武装闘争は言うまでもなく、朝鮮人民の反日民族解放闘争にも重大な悪影響を及ぼし、日本帝国主義侵略者にさらなる暴威を振るわせる結果をもたらしました。

 革命が難局に直面したのは、さらにまた、熱河遠征で一部の抗日連合軍部隊が大きな被害を被った機会を利用して、日本帝国主義者が朝鮮人民革命軍に対する「討伐」をいっそう強化したこととも関連しています。

 日本帝国主義は、最近、朝鮮人民革命軍の活動を制圧することなくしては中日戦争の
「速戦即決」は不可能と断じて、関東軍主力師団のほとんどと奉天、安東警備司令部所属の満州国軍部隊、さらには、地元の武装警察まで総動員し、東辺道一帯にある軍事戦略上の要地に配置しました。

 日本帝国主義侵略者は、新たな「討伐」作戦の狙いを朝鮮人民革命軍司令部に定め、おびただしい数の兵力をもって南牌子を幾重にも包囲しており、連日のように飛行機で我々人民革命軍を誹謗し惑乱させるビラをまいています。

 最近、日本帝国主義侵略者は、朝鮮人民革命軍に対する「討伐」の戦術も変更しました。彼らは「集中討伐」の戦術を採用するかたわら、人民革命軍を発見するとダニのように食いついて離れずに追撃することで、飢えと疲労で弱体化させようとしています。

 日本帝国主義侵略者は武力による「大掃討戦」を推し進める一方、我々、人民革命軍を内部から「瓦解」させようと革命の裏切り者たちを集めて、「帰順工作班」や「宣撫班」などのスパイ・手先団体をつくり、方々に送り込んでいます。そのため、いま、集落や山地などには、商人や狩人を装った手先やさまざまな仮面をかぶった回し者がのし歩いています。

 皆さん!

 こんにち、我々には、当面の情勢に対処して日本帝国主義の大々的な「討伐」攻勢を粉砕し、熱河遠征の後遺症を一刻も早くいやして朝鮮革命を引き続き前進させるべき重大かつ栄誉ある任務が課されています。

 我々、共産主義者がこの栄誉ある任務を遂行できなければ、朝鮮革命はその前進が止まり、取り返しのつかない結果を招くことになります。我々は、朝鮮革命の責任をもった共産主義者であるため、困難にあっても尻込みすることなくいっそう力強くたたかって、課された革命任務を立派に遂行しなければなりません。

 朝鮮革命を引き続き高揚させるためには、何よりも、我々、共産主義者が自主的立場を堅持することが重要です。

 我々が『朝鮮共産主義者の任務』でも明示したように、自主的立場を堅持してこそ、自分の力と自国人民の力を固く信じて、自国の実情に合った革命的路線と方針を打ち出すことができ、いかなる逆境にあっても自国の革命のために最後までたたかうことができるのです。このような定見と立場を持して革命をおこなえば、自国の革命を成功裏に遂行することができ、ひいては世界革命にも大きく寄与することができます。

 それゆえ、我々は、革命闘争に身を投じた当初からこんにちに至るまで、朝鮮革命は朝鮮共産主義者が責任をもって遂行するという自主的立場を堅持してきたのです。我々は、朝鮮共産主義者が朝鮮民族の解放と独立をめざしてたたかうのを陰に陽に妨げていた雑多な日和見主義者や極左分子の策動を、腰営口会議やその他の会議で暴露、粉砕し、朝鮮革命の主人としての立場を固守しました。さらに、その後の南湖頭会議でも、朝鮮革命は我々自身が責任をもって自力で行うとの立場から、新たな戦略的・戦術的方針を打ち出しました。

 我々は、中日戦争が勃発した際にも、この戦争が日本帝国主義の敗亡を促進させ、朝鮮の独立を一日も早く達成する契機になるものと判断して、敵背撹乱作戦を大胆に展開する一方、集中的な軍事・政治学習をおこなって、隊員たちに革命の主人としての自覚をさらに高めさせました。

 朝鮮人民革命軍部隊内のすべての指揮官は、今後とも朝鮮革命の主人として自主的立場を堅持し、自己の本分を尽くさなければなりません。

 我々が革命の主人としての本分を尽くすためには、朝鮮革命の路線と方針を把握しなければなりません。すべての指揮官が朝鮮革命の路線と方針で武装すれば、新たな情勢の要請に応じて軍事・政治活動を能動的に展開することができます。我々は、隊員たちのあいだで朝鮮革命の主人としての立場と民族的自負心を高める教育をいっそう着実におこなうだけでなく、彼らが万難を排して革命の旗を最後まで守り抜くよう導いていかなければなりません。

 朝鮮革命を引き続き高揚させるためにはまた、情勢を正しく判断することが重要です。

 情勢を正しく分析し判断することは、目下の情勢に即して闘争路線と方針を打ち出し、革命勢力を編成し直して敵に強力な打撃を加え、革命を勝利へ導くうえで極めて重要な意義をもちます。ですから、常に、敵の策動と企図、人民の自覚の程度と革命への進出ぶり、敵味方の力関係などを正しく分析し判断しなければなりません。

 これまで、我々が勝利をおさめることができたのは、その時々の革命情勢を正しく判断し、それに即したたたかいをしてきたからにほかなりません。

 我々が正しい情勢判断に基づく行動方針を立ててたたかったため、常に主導権を握って敵を打ち破り、勝利の一途を歩むことができたのです。

 情勢の判断を誤るといかに重大な結果を招くかは、一部の抗日連合軍部隊の熱河遠征が如実に示しています。ですから、我々は、その経験から重要な教訓をくみ取り、今後も正しく情勢判断をしていくよう努めなければなりません。

 当面の難局を打開し、朝鮮革命を引き続き高揚させるためには、さらに、朝鮮人民革命軍部隊が速やかに白頭山周辺の国境一帯に進出しなければなりません。

 朝鮮人民革命軍部隊が、白頭山を中心に鴨緑江、豆満江沿岸一帯で積極的な軍事・政治活動を展開すれば、日本帝国主義の植民地支配に強力な打撃を与えることができ、朝鮮人民に革命勝利の信念を抱かせ、彼らを反日民族解放闘争に成功裏に立ち上がらせることができます。日本帝国主義者は、我々が一時的に白頭山根拠地を離れ遊動作戦を展開する機会を利用して、あたかも朝鮮人民革命軍を「鎮圧」したかのように人民を欺く悪宣伝をしています。このような状況のなかで、朝鮮人民革命軍部隊がこの一帯に進出してその威容を人民に示すことは、彼らにとってはこのうえない励ましとなり、日本帝国主義侵略者にとつては大きな打撃となります。

 我々は、破壊された革命組織を建て直すためにも、一日も早く国境一帯に進出しなければなりません。いま、国内と国境一帯では、祖国光復会をはじめ、破壊された革命組織の再建が日本帝国主義の執拗な圧迫のため思うように進んでおらず、多くの革命家が組織ルートを絶たれて人民革命軍の進出を待ち焦がれています。それゆえ、我々は早急に鴨緑江と豆満江沿岸一帯に進出して破壊された革命組織を建て直さなければなりません。

 朝鮮人民革命軍部隊が、再び白頭山一帯に進出するのはもちろん容易なことではありません。いま、日本帝国主義者は、西間島一帯に膨大な「討伐」兵力を集結しており、朝鮮人民革命軍の活動を制圧しようと狂奔しています。

 しかし、我々は、朝鮮革命を引き続き力強く前進させるため、いかなる難関と危険が行く手をさえぎろうと、勇敢に乗り越えて鴨緑江と豆満江一帯に進出しなければなりません。

 日本帝国主義の必死の「大討伐」攻勢を打ち破り、朝鮮革命を絶えず高揚させていくためには、人民革命軍部隊が広範な地域で猛烈な軍事・政治活動を展開しなければなりません。

 我々は、まず軍事活動において、遊撃戦の基本要求を正しく具現することで、敵に対して戦術上、絶対的な優位を保たなければなりません。敵に対して戦術上の優位を保つことは、戦闘行動で主導権を握って敵を打ち破る重要な要件の一つです。

 我々は、敵の「討伐」戦術に対処して、集中と分散、巧みな機動戦を展開しなければなりません。最近、敵は、大兵力を要所要所に配置し、人民革命軍が出現すれば直ちに追跡して「包囲せん滅」しようと躍起になっています。我々は、敵が大部隊で攻めてくるときは迅速に分散行動に転じて敵を欺瞞誘引し、その場からすばやく抜け出して敵を背後から大胆に叩くことが重要です。また、敵の小部隊が攻撃してくる場合には、ちゅうちょすることなく敵の増援部隊が到着する前に大部隊で、包囲、せん滅し、早々に撤退しなければなりません。しかしながら、我々の戦闘行動は、広大な地域で大勢の敵を相手におこなわれるため、常に、臨機応変の処置を取らなければなりません。

 そして、敵の動静をうかがい、敵が我々の跡を追って密林地帯に押し寄せれば、直ちに丘陵地帯にひそかに移動し、また、敵が丘陵地帯に攻め寄せれば敏速に山岳地帯に移動するなどして、敵を混乱させ窮地に追い込むべきです。

 このようにして、我々は、攻め寄せてくる敵は迎え撃ち、退却する敵は追い討ちをかけ、陣営を張っている敵は奇襲するなど、絶妙な遊撃戦術を駆使して、彼らの冬季「討伐」を至るところで徹底的に打ち破らなければなりません。

 朝鮮人民革命軍部隊は、軍事活動とともに大衆政治工作を積極的に展開すべきです。

 現在の情勢は、いつにもまして大衆政治工作を力強く展開することを切実に求めています。日本帝国主義侵略者は、我々、人民革命軍と人民とのつながりを断ち切るためにあらゆる手段を尽くして、人民に対して革命軍の悪宣伝を大々的におこなっています。また、彼らは、大陸侵略戦争の長期化に伴い「国家総動員法」や「陸軍特別志願兵令」など、さまざまな悪法をつくり出して、わが国の人的、物質的資源をことごとく侵略戦争に動員させようと悪辣に策動しています。さらに、朝鮮人民に「同祖同根」「内鮮一体」といった妄説を盛んに宣伝して朝鮮人民の反日意識を麻痺させ、彼らの永遠な奴隷にしようと目論んでいます。

 そのため、こんにち、少なからぬ人が不安にとらわれ、将来への希望すら失っています。

 朝鮮人民革命軍部隊は、人民のあいだで大衆政治工作を活発におこなって日本帝国主義の反動宣伝の欺瞞性を暴露し、士気喪失した人民を力づけ、広範な大衆を反日闘争へと積極的に立ち上がらせなければなりません。

 我々は、闘争のなかで鍛えられて政治的能力を備えた多くの同志たちを政治工作員に抜てきして、国内や満州の広い地域に派遣すべきです。

 朝鮮人民革命軍の指揮官と兵士すべてが、銃を取って戦う戦闘員であり政治工作員でもあるという高い自覚をもち、あらゆる機会や可能性を利用して大衆政治工作を活発におこなうことが大切です。

 大衆政治工作では、まず、広範な人民に『祖国光復会10大綱領』や『朝鮮共産主義者の任務』に明示されている朝鮮革命の路線と方針を浸透させ、朝鮮人民革命軍の威力と赫々たる戦果、さらに日本帝国主義の滅亡が必至であることをはっきり認識させることで、彼らに革命の勝利を確信させるべきです。そして、破壊された革命組織を早急に再建し、広範な地域でその土地の実情と住民の意識水準に合ったさまざまな革命組織を数多く新設すべきです。

 新たな戦略的・戦術的方針に従って軍事・政治活動を積極的に展開するためには、朝鮮人民革命軍の陣容をそれに即して再編することも重要です。

 我々は、各地で活動している朝鮮人民革命軍部隊を幾つかの方面軍と独立連隊に編制して一定の地域に派遣しようと考えています。一つの方面軍は、通化、寛甸、集安など南満州の山岳地帯に進出し、いま一つの方面軍は額穆、寧安などの北満州と豆満江沿岸の北部朝鮮国境一帯に、さらにもう一つの方面軍は、国内と鴨緑江沿岸の国境一帯に勇躍進出しなければなりません。独立連隊も一定の地域を担当して軍事・政治活動を展開すべきです。

 当面の情勢の要求によって我々に課されている難しい革命任務を成功裏に遂行するためには、すべての指揮官と隊員が不撓不屈の革命精神を大いに発揮しなければなりません。

 我々は、今後、日本帝国主義侵略者と激しい戦闘を続けながら国境一帯に向けて長距離行軍をしなければならず、人民のあいだで組織・政治活動も力強くおこなわなければなりません。我々は、この過程でさまざまな障害と難関にぶつかることもあり得ます。我々は、方々で警戒の厳しい敵陣を突破する戦闘をおこない、人民のあいだで教宣活動もしなければならないことから、幾多の試練を経るだろうことは、あらかじめ覚悟していなければなりません。今年の冬は、例年になく大雪が降り、寒さも格別です。そのうえ、我々には食糧と衣類など生活必需品も十分ではありません。そのほかにも、予測もしなかった幾多の障害や難関に直面することもあり得ます。

 すべての指揮官は、これまでと同様、今後もあらゆる困難と試練を自力で乗り越え万難を克服するうえで、常に、隊員たちの模範となるべきです。そして、全隊員を不撓不屈の革命精神で武装させ、いかなる困難にもひるんだり動揺したりすることのないよう導いていかなければなりません。

 我々はまた、革命的同志愛に基づく隊伍の確固たる統一と団結を保たなければなりません。

 我々の指揮官と隊員はみな、革命闘争の嵐のなかで生死苦楽をともにしてきた革命の戦友です。我々はこれまで、苦難に満ちた革命の途上で喜びも悲しみも分かち合い、障害や試練もともに乗り越えてきました。そうすることで、我々、人民革命軍は長期にわたる革命闘争で、常に勝利をおさめてきました。我々は、今後とも、革命的同志愛にもとづく隊伍の統一と団結をいっそう固め、新たな戦略的・戦術的方針を着実に実行しなければなりません。すべての指揮官は、親身になって隊員をいたわり、日常温かく面倒を見て上げなければなりません。また、隊員は指揮官を心から尊敬して彼らに従い、その命令や指示はいかなる逆境にあっても、あくまでも実行しなければなりません。我々は、隊伍内に生死苦楽をともにする気高い革命的美風がみなぎるよう、常に心がけるべきです。

 我々は、人民を尊重し、彼らの利益を極力擁護すべきです。

 人民の生命、財産を擁護し人民との血縁的つながりを強化することは、革命勝利の決定的な保証です。それゆえ、朝鮮人民革命軍は、常に人民との血縁的つながりを強化することに第一の関心を払ってきました。我々の直面している難局を打開し、革命を引き続き前進させていくためにも、人民との連携をさらに強化しなければなりません。

 我々のすべての指揮官と隊員は、常に朝鮮人民革命軍の目的と使命を肝に銘じ、いかなる苦境に陥っても彼らの生命財産を侵害せず、彼らと生死苦楽をともにしなければなりません。人民から援助を受ける場合でも、彼らの利益を守り暮らしを気遣う立場に立って考え、行動すべきです。

 同時に、すべての指揮官と隊員は、常に人民を信じ、彼らに頼って活動し、我々の偉業の正しさをはっきり認識させるべきです。

 こうすることで、朝鮮人民革命軍と人民が一心同体となって反日闘争を展開するようにしなければなりません。

 我々は差し当たって、敵の包囲陣を突破する戦術を周到かつ綿密に立てなければなりません。いま敵は、南牌子を中心にして大包囲陣を張り、その後方には多数の予備隊まで配置して我々との決戦を企てています。もし、我々が敵の戦術に乗せられて、この森のなかで敵と真っ向からぶつかることにでもなれば、取り返しのつかない結果を招くことになります。ですから、敵との正面衝突は避け、まず敵の後方を撹乱すべきです。そうすることで、敵が混乱に陥って慌てふためいている隙に乗じて、包囲網から抜け出すことです。

 皆さん!

 現在、我々に課されている任務は極めて難しく重大です。しかし、我々は、どのようなことがあろうと、新たな戦略的・戦術的方針をあくまで貫き、目下の難局を打開して朝鮮革命を引き続き高揚させていかなければなりません。

 こんにち、我々にはこの難局を打開する力強い革命勢力があります。朝鮮革命の路線と方針で武装し、我々の遊撃戦法を活用することができ、さらに、革命に限りなく忠実で、司令部の命令と指示とあれば水火も辞さず徹底的に貫く熱血青年で組織された不敗の武装隊伍があります。そして、我々には、生命もためらうことなくささげながら、朝鮮人民革命軍を物心両面から積極的に支持、声援してくれる愛国的人民がいます。これらすべての力は、当面の難局を打開して朝鮮革命を力強く前進させる決定的な要因です。

 指揮官の皆さんは、自分の力を固く信じて、いかなる困難や試練にあってもひるむことなく、百折不撓の革命精神をもって力強くたたかっていかなければなりません。

 皆さん、朝鮮革命を引き続き高揚させるために、抗日武装闘争をより果敢に展開しましょう。
                                               
出典:『金日成全集』1巻


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