金 日 成

朝鮮共産主義者の任務
朝鮮人民革命軍の隊内機関誌『曙光』に発表した論文
-1937年11月10日-


 日本帝国主義者が朝鮮を占領して、既に27年にもなる。

 この期間に日本帝国主義は、我が祖国をかれらの原料源泉地、労働力の供給地、商品市場に変え、また、大陸侵略のための軍事基地に変えた。

 朝鮮人民は、暴虐非道な日本帝国主義の植民地政策により、民族的権利と自由を奪われ、亡国の民の悲哀をなめている。朝鮮人民は、日本帝国主義とその手先から二重三重の中世的抑圧と搾取を受けているだけでなく、うるわしい自国の言葉と民族の文字まで奪われる危険にさらされている。

 日本帝国主義が引き起こした中日戦争は、朝鮮人民を塗炭の苦しみのなかに陥れている。かれらは「後方の安全」を保障する目的のもとに、軍隊と警察、監獄と絞首台など、あらゆるファッショ的植民地弾圧機構を無数に増大し、殺人的な悪法をさらに多くつくりだして、三千里錦の山河を生き地獄に変えた。日本帝国主義者は、革命勢力に対する狂気じみた攻勢と罪なき人民大衆に対する弾圧と虐殺をかつてなく強化している。絞殺吏──日本帝国主義者は、この夏から朝鮮の北部国境一帯で祖国光復会の下部組織を破壊し、数多くの地下工作員と祖国光復会の会員を検挙、投獄する蛮行をはたらき、国内各地で多くの罪なき人民を検挙、投獄し、手当たりしだいに虐殺している。またかれらは、ますます増大する大陸侵略戦争の人的および物的需要をみたすために、公然と強制徴集、強制供出などの騒ぎをくりひろげている。こうして朝鮮の貴重な青壮年がかれらの弾よけとしてかりだされており、祖国の豊かな資源はことごとく略奪されている。

 5千年の悠久な歴史とさん然たる文化をもってその名を知られていた朝鮮人民は、今、危急存亡の岐路に立たされており、祖国の大地は民族的悲運の暗雲にとざされている。この厳しい民族受難の時期に、民族改良主義者、左右の日和見主義者、分派・事大主義者など、さまざまな革命の裏切り者は、仮面をすべて脱ぎすてて、日本帝国主義侵略者と公然と結託している。

 現時代は、我々共産主義者のみが、祖国と人民の運命に対してあくまで責任を負うことのできる革命の中枢勢力であることを証明しており、我々にいっそう困難かつ重大な任務を課している。

 朝鮮革命の前途には厳しい試練と難関が横たわっているが、情勢は依然として革命の側に有利に変わりつつある。

 日本帝国主義者の気違いじみた戦争政策とファッショ的弾圧は、かれらの強大さを示すものではなく、滅亡に瀕した者の最後のあがきを反映したものである。日本帝国主義者が挑発した中日戦争は、帝国主義列強間の矛盾をさらに激化させ、帝国主義陣営全体を弱体化させている。日本帝国主義者は戦争を拡大すればするほど、奈落の底におちこみ、必ずやみずから放った戦争の炎によって焼きつくされるであろう。

 今日、日本帝国主義と朝鮮人民との民族的および階級的矛盾は極度に先鋭化している。労働者、農民、青年学生、知識人、民族資本家、商人、豪家など、すべての朝鮮人は、日本帝国主義を不倶戴天の敵として呪い、かれらの滅亡を一日千秋の思いで待ちこがれており、いたるところで反日闘争をくりひろげている。

 昔から朝鮮人民は、例え、戦って倒れようとも、敵に屈することを知らない勇敢で英知に富む人民である。日本帝国主義の占領後、朝鮮では義兵運動、独立運動、労働者、農民の暴動、青年学生の反日運動などさまざまな形態の反日闘争が力強く展開された。

 1930年代に入ってからは、共産主義者の指導のもとに抗日武装闘争が展開され、日本帝国主義に甚大な打撃を与えながら、反日民族解放闘争を新たな段階に発展させている。日本帝国主義の占領後、朝鮮人民が歩んできた道は、このように血みどろの闘争でいろどられた救国の道程であった。

 朝鮮の共産主義者は内外情勢のあらゆる有利な局面を効果的に利用し、朝鮮人民の栄えある愛国的伝統を生かし、人民大衆を闘争へと正しく動員して、日本帝国主義を打倒し、祖国を解放する正義の大業を必ず実現しなければならない。


金日成主席の論文「朝鮮共産主義者の任務」原稿
(1937・11・10)

1 現段階における朝鮮革命の性格

 革命の性格を正確に規定することは、革命軍を正しく指導し、革命の勝利を早めるうえで極めて重要な意義をもつている。革命の性格を正確に規定することなしには、科学的戦略・戦術を立て、それに基づいて確信をもって人民大衆を革命闘争に立ち上がらせることができない。

 かつて一部の人は、現段階における朝鮮革命の性格を「社会主義革命」とし、また一部の人は「ブルジョア革命」であると主張した。これらは誤った主張である。

 革命の性格は、それぞれの革命の段階における革命の基本任務とその社会的・階級的諸関係によって規定される。朝鮮の革命を「社会主義革命」、または「ブルジョア革命」とする見解は、現段階における朝鮮革命の基本任務と、朝鮮の具体的な社会的・階級的関係を正しく理解していないところからくる左右の偏向である。こうした主張は、革命勢力の強固な団結を妨げ、闘争のほこ先をそらせる反革命的な見解である。

 朝鮮は日本帝国主義の植民地支配のため、資本主義的発展が極度に抑制され、封建的生産関係が支配している植民地半封建社会である。

 こうした条件のもとで現段階における朝鮮革命の基本任務は、日本帝国主義の植民地支配をくつがえし、祖国を解放するための反帝民族解放革命の課題を遂行すると同時に、封建的な諸関係を一掃し、国の民主的発展の道を切り開くための反封建民主主義革命の課題を遂行することである。この2つの革命課題は、互いに密接なつながりをもっている。それは、植民地支配者である日本帝国主義侵略者と、封建関係の守り手である地主および元封建官僚が結託している事情と関連している。

 日本帝国主義は、買弁資本家と封建地主を手先にして朝鮮に対する植民地支配制度を維持しており、封建地主は日本帝国主義の庇護のもとにもろもろの封建的搾取関係を維持している。したがって反日闘争と反封建闘争は、統一的な過程のなかで進めなければならない。

 それゆえ現段階における朝鮮の革命は反帝反封建民主主義革命である。

 それでは、現段階における朝鮮革命の対象は具体的にはなんであろうか。

 朝鮮革命の主な対象は、日本帝国主義侵略勢力である。日本帝国主義の植民地支配は朝鮮人民がなめているすべての不幸の根源であり、朝鮮におけるあらゆる社会的束縛の根源である。日本帝国主義者は朝鮮をかれらの永久の植民地に、朝鮮人民をその永久の奴隷にする目的から、あらゆる方法と手段をもちいている。かれらは、朝鮮人民のもつ民族的なものをことごとく抹殺しているだけでなく、朝鮮の労働者階級をはじめ、勤労大衆の革命運動に残酷な弾圧を加えており、かれらの植民地支配に有利でさえあれば、いかに世紀末的で腐敗したものであろうとも、ためらうことなく朝鮮の地に扶植している。

 日本帝国主義の植民地支配をくつがえし、祖国の独立をかちとることなしには、朝鮮人民の民族的および階級的解放をかちとることはできず、朝鮮の社会的進歩を実現することはできない。朝鮮人民にとって日本帝国主義とのたたかいは、奪われた祖国を取り戻し、政治、経済、文化などあらゆる分野で自己の民族的権利を取り返すための闘争であると同時に、民族的および社全的発展を阻むあらゆる障壁を打破し、民族繁栄の道を切り開くたたかいである。

 それゆえ、すべての革命勢力を動員して反日民族解放闘争を展開することは、朝鮮の共産主義者と革命的人民にとって最も先決的な革命課題である。

 朝鮮革命の対象は次に、日本帝国主義者にこびへつらいその忠実な手先としてつかえている親日派地主、買弁資本家、民族反逆者、親日派官僚である。

 これらは、朝鮮に対する日本帝国主義の植民地支配を積極的に助け、かれらと一体になって人民大衆を抑圧し、搾取しており、人民大衆の反日闘争を最も悪らつに妨害している。かれらは日本帝国主義の庇護のもとに、農村において封建的な土地所有関係に基づき、農民を封建的な方法で悪らつに抑圧、搾取しており、都市においても資本主義的および封建的な方法で労働者を過酷に搾取している。かれらはまた、立ち後れた封建関係の遺習とともに奴隷的な屈従の思想を鼓吹する伝道者の役割を果たしており、日本帝国主義植民地支配の魔手があらゆる分野に深くのびるのを助ける案内人の役割を果たしている。

 したがって、かれらをそのままにしておいては、反日民族解放闘争を成功裏に展開することも、国の民主的発展の道を切り開くこともできない。したがって日本帝国主義に反対すると同時に親日派地主、買弁資本家、民族反逆者、親日派官僚に反対してたたかわなければならない。

 革命闘争を正しく行うためには、革命の性格と対象ばかりでなく、革命の原動力についても正確な認識をもたなければならない。いかなる革命においても、それに利害関係をもつ階級と階層がすべて立ち上がるようにすることが、革命勝利の重要な保障である。

 現段階における朝鮮革命の原動力は、労働者、農民をはじめ、青年学生、知識人、小ブルジョア階級などの広範な反帝民主勢力である。良心的な民族資本家と宗教家も反帝闘争に参加することができる。

 労働者階級は、将来遂行される社会主義革命と社会主義・共産主義建設の時期にはいうまでもなく、反帝反封建民主主義革命においても指導階級となる。それは労働者階級のみが勤労大衆の根本的な利益を代弁しており、革命性と組織性が最も強く、すべての勤労大衆を指導して革命を勝利へ導く能力をもつ最も先進的な階級であるからである。

 朝鮮の労働者階級は、他のどの階級よりも反帝民族解放革命に切実な利害関係をもっている。

 日本帝国主義の植民地支配下における朝鮮労働者階級の境遇は悲惨そのものである。日本帝国主義は朝鮮の民族経済の発展を極度に抑制する一方、ほとんどすべての産業部門をその手に集中し、朝鮮の労働者を前代未聞の過酷な方法で搾取している。かれらは労働者の膏血をさらに多く搾り取るために、あらゆる方法と手段を使って労働強度を最大限に強めており、1日の労働時間も12~18時間にまで延長している。こうした悪条件のもとですら、すべての労働者が職を得ているのではない。かれらは最大限の植民地的超過利潤を得るため、安い賃金で少年労働者と婦人労働者をもちい、成人労働者をたえず解雇するなど、最も悪らつな植民地的略奪政策を実施している。このため数多くの労働者が職場から追われて産業予備軍を形成しており、初歩的な生存の権利すら奪われている。

 かれらは同一の労働であっても、朝鮮人労働者には日本人労働者の半分にもならない賃金しか支払っておらず、しかも「国防献金」「公債」「罰金」などの名目でその大半を再び奪い取っている。こうして朝鮮人労働者はあらゆる苦役にさいなまれながらも、生計すら維持できない状態に陥っている。

 中日戦争が始まってからは、労働者の生活はさらに惨めになった。かれらは労働者を軍事施設の工事場に連行しては、わずかな飢餓賃金さえも支払わずに奴隷労働を強要しており、あげくは「秘密保持」の口実で虐殺している。

 朝鮮の労働者階級が強いられているこうした悲憤にたえない惨めな境遇は、かれらの革命性を強めているだけでなく、実際の闘争を通じて、かれらをますます階級的に組織化し、鍛練させ、反日民族解放闘争の先頭に立たせている。

 20余年にわたる朝鮮の民族解放闘争を検討してみるとき、労働者階級以外のいかなる階級も、反帝反封建民主主義革命において指導的役割を果たしえないことを示している。

 朝鮮のブルジョアおよび小ブルジョア知識層は、その階級的弱さから、反日民族解放闘争の難関を前にして常に動揺し、革命的方法ではなく安易な方法によって朝鮮の独立を達成しようと試みた。かれらが朝鮮独立を云々してつくった「物産奨励会」「研政会」「新幹会」といった団体は、いずれも革命と闘争ではなく、改良と妥協を指向する民族改良主義団体であった。

 それゆえ反帝反封建民主主義革命を徹底的に遂行するためには、この革命に最も積極的な利害関係をもち、困難を恐れず勇敢にたたかっている労働者階級の指導的役割をゆるぎなく保障することが何よりも重要である。

 朝鮮革命において労働者階級とともに、農民のしめる位置もまた重要である。農民は労働者階級の頼もしい同盟者として、労働者階級とともに革命の主力部隊を形成する。

 朝鮮のように農民が人口の絶対多数をしめている国では、革命において農民のしめる位置に、特に重要な意義を与えなければならない。朝鮮で農民は人口の80%以上をしめている。こうした条件のもとで農民を獲得するかどうかという問題は、革命の勝敗を左右するかぎとなる。朝鮮の現状で、農民を革命に引き入れる問題をゆるがせにするならば、労働者階級を孤立させ、その指導的役割を弱めるばかりでなく、人口の圧倒的多数を敵の影響下にゆだねる結果をもたらしかねないであろう。

 朝鮮の農民が革命において重要な位置をしめる理由は、農民のこうした数のうえでの比重からだけでなく、かれらもまた反帝反封建民主主義革命に最も切実な利害関係をもっているということにある。

 日本帝国主義の植民地支配は、朝鮮の農民に恐るべき飢えと貧困を強要した。日本帝国主義者は農村で封建的土地所有関係をそのまま維持し、地主を手先にして農民を搾取する一方、「土地調査」「東洋拓殖会社創立」などを口実に朝鮮農民の肥沃な土地を奪い取っている。

 日本帝国主義の占領直後である1914年に、朝鮮農民の60%以上が自分の土地で農業を営み、小作農と雇農は全農家戸数の35%にすぎなかったのが、現在では自作農が18%以下に減少し、その反面、小作農と雇農は全農家戸数の70%以上に増大した。こうして朝鮮農民の絶対多数が農村プロレタリアートの状態に陥るようになった。先祖伝来の農地から追い出された多くの農民は、異国の地を流浪し、食を乞い歩いているか、あるいは日本人や地主、資本家から人間以下の虐待を受けながら、露命をつないでいる。いまなお自分の土地を耕している農民にしても、その大部分が過酷な雑税のため、自分の食糧さえもまかないきれず、草根木皮で命をつないでいる状態にあり、いつなんどき追い出されるかわからない不安な状態におかれている。

 日本帝国主義は戦争の需要をみたすために、農村の青壮年を軍隊と軍事施設の工事場に手当たりしだいにかりだし、毎年数百万石の米を略奪し日本へ運び出している。このような軍事的負担は、農民の生活状態をこれ以上耐えることのできない最悪の状態に陥れている。

 こうして朝鮮の農村は史上類例のない悲惨な飢饉地帯と化した。

 農村のこうした悲惨な現状は、農民に日本帝国主義と封建地主に対する骨身に徹した恨みをいだかせ、革命のみが生きる道であることを悟らせ、反帝反封建闘争へ積極的に立ち上がらせた。

 それにもかかわらず、極左日和見主義者や分派・事大主義者は、農民を「二面派」だとか、「農民は小ブルジョア階級であるから動揺しやすく、革命を最後までやりおおせない階級」だといって朝鮮農民の革命性を過小評価した。

 これは現実と一致せず、革命勢力を強化する立場とは全くあい反する行動である。

 朝鮮共産主義者は、朝鮮農民に対するすべての誤った立場と態度を排撃し、かれらを獲得するため積極的にたたかうことによって、革命の主力部隊を強化していかなければならない。

 朝鮮革命はその反帝反封建民主主義的性格から、労働者、農民だけでなく、青年学生、知識人、小ブルジョア階級および民族資本家と良心的な宗教家までも革命の側に引き入れることを求めている。日本帝国主義のファッショ的植民地支配は、青年学生と知識人、小ブルジョア階級および民族資本家と良心的な宗教家をして、日本帝国主義を憎み、祖国の独立と民族の解放のためにたたかわざるをえなくしている。

 一般的に青年学生と知識人は科学と真理を探究するがゆえに正義感が強く、先進的思想と時代の趨勢に敏感である。そのため、かれらのうちの先進分子はマルクス・レーニン主義を先に把握し、労働者、農民を啓蒙、覚醒させて革命運動へ導く先駆的役割を果たすのである。

 特に、朝鮮の青年学生と知識人は、かれらが直接日本帝国主義の民族的抑圧と差別待遇を受けているだけでなく、日本帝国主義の植民地支配のために同胞がなめている悲運を体験しており、現社会の不合理をだれよりも痛感している。

 朝鮮の青年学生と知識人は、こうした境遇ゆえに、特に民族的に目覚めることが早く、反帝意識が強い。そのため、かれらは正義のためにたたかおうとする先進的思想と、外国帝国主義侵略勢力を追い出し、立ち後れた祖国を他国に劣らぬ国に発展させようとする反帝反封建民主主義的な革命性をもつて、民族解放革命に積極的に参加している。

 朝鮮の青年学生と知識人の多くは、日本帝国主義の朝鮮占領当初から、これに反対する闘争に決然と立ち上がり、労働者、農民をはじめ、広範な反日大衆を目覚めさせて革命闘争に参加させるうえで大きな貢献をなした。抗日武装闘争準備期にも、革命的な青年学生と知識人は、革命の隊列を組織的、思想的に強化し、闘争の大衆的基盤をきずく活動で大きな役割を果たし、現在も抗日遊撃隊と地下革命組織に加わって不屈のたたかいをくりひろげている。

 これらの事実は、青年学生と知識人が、革命闘争で重要な役割を果たしていることを示している。

 しかし、青年学生と知識人は独自の政治勢力とはなりえず、その軟弱性と動揺性、不徹底さから、革命闘争で決定的役割を果たすことはできず、共産主義者と労働者階級の指導のもとにおいてのみ、反帝反封建民主主義革命で革命的役割を果たすことができる。

 民族資本家についても問題を具体的に考察しなければならない。植民地および半植民地国の民族資本家は、資本主義団のブルジョアジーと区別される一連の特質をもっている。

 民族資本家は階級的にみれば搾取階級であるが、外国帝国主義者とそれと結託した買弁資本家によってその経済活動が抑えつけられており、常に破産の脅威にさらされている。したがって、かれらには不徹底ではあるが反帝意識と民族独立への念願がある。

 特に、朝鮮の民族資本家は、日本帝国主義のファッショ的植民地テロ支配と、それに伴う日本独占資本の大々的な浸透により、急速に破産、没落しつつある。工業総生産額で朝鮮人資本の比率は、1928年に26%以上をしめていたのが、いまでは10%程度にすぎない。それさえも精米業、綿打業などの極めて副次的な部門のみでかろうじて余命をつないでいる程度である。

 日本帝国主義の植民地支配のもとで民族資本家に強いられているこうした破産の運命は、かれらが反日民族解放革命に利害関係をもって、それに参加できるようにする。

  買弁資本家は帝国主義の侵略以上に人民の反帝革命闘争を恐れるが、民族資本家は帝国主義の侵略に抵抗し、人民の反帝革命闘争を支持する。ごく少数の買弁資本家の売国的・反民族的行為をみて民族資本家までも反動とみなすのは、反帝革命勢力を弱める結果をもたらすのみである。民族資本家を反帝民族解放闘争に引き入れることは、敵を最大限に孤立させ、革命勢力を強化するうえで少なからぬ意義をもつ。

 以上述べたように、朝鮮革命の現段階では、広範な反日勢力が革命の原動力となる。我々は革命に参加できるすべての階級と階層に対する原則的で度量のある態度を堅持し、かれらを包容し、結集してすべての反日勢力を反帝民族解放闘争に総動員しなければならない。

 それでは、朝鮮の反帝反封建民主主義革命において遂行すべき課題は何か。

 朝鮮の反帝反封建民主主義革命で遂行すべき第一義的で根本的な課題は、いうまでもなく日本帝国主義侵略者と、それと結託した親日派地主、買弁資本家などすべての反動勢力を打倒することである。しかし、それでもって反帝反封建民主主義革命が完遂されるものではない。日本帝国主義とそれと結託した反動勢力を打倒した後は、政治、経済、文化などあらゆる分野でかれらがよりどころにしていた社会的・経済的諸関係を一掃し、先進的な新しい民主主義制度を確立して、古い制度が永久に復活できないようにしなければならない。

 我々は日本帝国主義侵略者を打倒した後、何よりもまず民主的な政権を樹立しなければならない。権力の問題は革命において根本的な問題である。権力を掌握せずには、朝鮮人民の完全な民族的および階級的解放をかちとることも、祖国の大地に富強な自主独立国家をうちたてることもできない。朝鮮人民は今、権力をもたない民族がどのような運命をたどるかを、亡国の民としての苦い体験を通して骨身にしみて悟っている。みずからの真の権力をもつこと以上に重要なことはない。

 権力の問題を解決するにあたって、その時期の革命の性格と任務、階級関係を考慮して、それに適した政権形態を規定することは極めて重要である。

 それでは、我々はいかなる形態の民主主義政権をうち立てるべきか。

 民主主義政権には2つの形態がありうる。その1つはブルジョア政権の範疇に属する民主主義政権、すなわち、ブルジョア階級が指導する民主主義政権であり、もう1つはプロレタリア政権の範疇に属する民主主義政権、すなわち、労働者階級の指導する民主主義政権である。

 ブルジョア階級が指導する民主主義政権は、ブルジョアおよび小ブルジョアなど限られた階層の利益を擁護する政権であって、常に動揺し不徹底であり、人民大衆を労働者、貧農の最高目的である社会主義・共産主義へと導くことはできない。

 これとは反対に、労働者階級が指導する民主主義政権は、広範な労働者、農民の根本利益を擁護する政権であり、反帝反封建民主主義革命の課題を徹底的に遂行し、人民大衆を労働者階級と貧農の最高目的である社会主義・共産主義の道へ導くことができる。

 したがって日本帝国主義を打倒した後、我々がうち立てるべき政権は、プロレタリア政権の範疇に属する人民的民主主義政権、すなわち労働者階級の指導する民主主義政権である。

 政権を樹立した後は、それにしっかり依拠して、土地改革をはじめ、民主的諸改革を実施しなければならない。ここで最も重要なのは、日本帝国主義が残した帝国主義の残存勢力を一掃することである。

 日本帝国主義の植民地支配機構を一掃した後にも、政治、経済、文化などの各分野に残っている日本帝国主義め残存勢力をひきつづき掃滅してはじめて、反帝民族解放革命の課題を遂行し、国の完全な政治的独立をかちとることができ、ひいてはいっさいの封建勢力を一掃し、民主的基礎のうえにたって国を発展させることができる。

 日本帝国主義の残存勢力を一掃するためには、まず日本帝国主義植民地支配の主な基盤となり、日本帝国主義の支配機構を積極的に擁護した反動地主、親日分子、民族反逆者を一掃し、かれらに足がかりとなるようなすきを与えてはならない。

 また日本帝国主義者が制定したいっさいの法律と規定の無効を宣言し、広範な人民大衆の利益を擁護する新しい法律と規定を制定して、国家建設の新秩序をうち立てなければならない。また日本帝国主義思想の残りかすと日本かぶれの風潮を一掃し、朝鮮語で人民教育を発展させ、固有の民族文化を復興させなければならない。

 日本帝国主義と買弁資本家の経済的基盤を除去することなしには、経済の自立的発展の道を切り開くことができず、国の政治的独立を強固にすることもできない。我々は、日本国家、日本人および買弁資本家が所有している鉱山、工場、鉄道、運輸、銀行、逓信、商業、貿易など重要産業を国有化して全人民の所有とし、それによって団の重要生産手段が祖国の独立と繁栄と人民の生活向上のために効果的に利用されるようにし、搾取と抑圧のない新しい社会建設の経済的土台をきずきあげなければならない。

 我々は反帝革命課題とともに、反封建民主主義革命の課題を徹底的に遂行しなければならない。

 ここでまず提起される課題は、土地問題を正しく解決することである。土地問題の解決は反封建民主主義革命の基本内容をなす。それは、人口の絶対多数をしめる農民大衆を封建的搾取と束縛から解放して、かれらの社金的・政治的境遇を根本的に改善し、社会の進歩と生産力のひろびろとした発展の道を切り開くからである。

 我々は日本国家、日本人および親日派地主の土地を没収して耕作する農民に分与し、小作制度と土地売買制度などいっさいの封建的土地所有関係を一掃しなければならない。こうして封建勢力の経済的基盤を完全になくし、それが復活できないようにすべきである。

 また、あらゆる身分上の差別と不平等な関係から人民を解放し、特に人口の半数をしめる婦人が封建的従属から完全に解放されるようにしなければならない。

 これとともに、勤労者の政治的自由と民主的権利をあらゆる面から保障し、8時間労働制、労働保護制、国家保険制など勤労者を社会的に保護する諸施策を講じ、すべての勤労者が国家と社会の保護のもとに、自由に労働に参加して十分に働ける条件をととのえなければならない。

 こうした社会的・経済的諸改革の実施は、悪らつな日本帝国主義の植民地支配の悪結果と、数千年来受け継がれてきたあらゆる社会的悪弊と束縛を一掃する深刻な社会革命である。

 共産主義者はあらゆる社会的抑圧と搾取からぬけだそうとする広範な勤労大衆の宿願を一日も早くかなえることによって、かれらの政治的熱意を高めて革命闘争に積極的に参加させ、ひきつづき革命の道へと導いていかなければならない。

 反帝反封建の革命課題が遂行されたからといって、革命が終わるのではない。共産主義者は反帝反封建民主主義革命が遂行されれば、革命を継続して、朝鮮に抑圧と搾取のない社会主義・共産主義の楽園を建設しなければならない。


2 朝鮮共産主義者の当面の任務

 朝鮮革命を勝利のうちに遂行するために、朝鮮共産主義者に課せられている当面の任務は何か。

 第1に、朝鮮共産主義者は抗日武装闘争をいっそう拡大強化し、それを勝利へと指導して、祖国解放の正義の大業を輝かしくなし遂げなければならない。

 帝国主義侵略者を追い出し、民族解放革命を最後までなし遂げるためには、武装闘争を力強くくりひろげなければならない。帝国主義は反革命武力に依拠して階級的支配をうち立て、植民地を支配し、自己の反革命武力が完全に撃破されないかぎり、侵略と戦争の道からしりぞくものではない。

 まして植民地人民の膏血を搾り取り、「大日本帝国の強大さ」を誇っている最も恥知らずで強盗的な日本帝国主義侵略者が、その反革命軍事力が撃破される前に朝鮮からおとなしくひきさがるとは、とうてい考えられないことである。

 それゆえ朝鮮の共産主義者は、1930年代の初期から強盗日本帝国主義に対する武装闘争を展開して、日本帝国主義の反革命武力に甚大な打撃を加えているのである。

 抗日武装闘争を拡大強化することは、現在いっそう緊急な要求となっている。

 日本帝国主義者は中日戦争を引き起こした後、大陸侵略戦争の速戦即決をねらって大部隊の兵力を中国の華北戦線に投入する一方、「後方の安全」を期する目的のもとに、我が革命武力に対する狂気じみた「討伐」作戦をくりひろげており、朝鮮人民に対する弾圧と略奪をいちだんと強化している。

 日本帝国主義の狂気じみた侵略戦争の拡大は、かえってかれら自身の滅亡を促し、祖国の解放を早めるための朝鮮共産主義者の闘争に有利な局面をつくりだしている。

 このような情勢のもとで、抗日武装闘争を決定的に拡大強化するならば、狂気の日本帝国主義者を撃滅し、祖国解放の崇高な歴史的大業を一日も早くなし遂げることができる。

 また、朝鮮革命全般をひきつづき高揚させるためにも、抗日武装闘争をいっそう拡大強化しなければならない。

 抗日武装闘争は我が国における反日民族解放闘争の主流であり、その最高形態である。抗日武装闘争を強化することによって、労働者、農民、青年学生をはじめ、各階層人民大衆の各種形態の反日闘争も成功裏に発展させることができる。

 それゆえ朝鮮共産主義者は抗日武装闘争を強化して、朝鮮革命全般の新たな高揚をもたらさなければならない。

 抗日武装闘争を発展させるためには、何よりもまず朝鮮人民革命軍の威力とその軍事・政治活動をいちだんと強化しなければならない。

 朝鮮人民革命軍は、抗日武装闘争を遂行する革命の武装部隊であるばかりでなく、広範な人民大衆を教育し組織して、朝鮮革命全般を発展させる組織者的、宣伝者的革命部隊である。

 朝鮮人民革命軍を政治的、軍事的に強化することは、抗日武装闘争とその影響力を全面的に強化するための決定的な裏付けである。

 朝鮮人民革命軍を強化するうえで何よりも重要なのは、すべての指揮幹部と兵士の政治的・思想的水準を高めることである。

 革命軍の不敗の力の源泉は、その政治的・思想的優位性にある。すべての指揮幹部と兵士の、祖国と階級に対する燃えるような忠実さによって、朝鮮人民革命軍はいかなる搾取階級の軍隊をも撃滅できる無敵の力をもつのである。しかし革命軍のこのような本質的な優位性も、指揮幹部と兵士の政治的・思想的水準を高める闘争をたえず行わなければ高度に発揚させることはできない。したがって苦難にみちた長期の革命闘争の過程で、すべての指揮幹部と兵士が不屈の闘志をもって戦うようにするためには、かれらをたえず革命的世界観で武装させなければならない。

 朝鮮人民革命軍のすべての指揮幹部と兵士は、祖国の独立と人民の解放のためにすべてをささげる決意をもった革命闘士である。しかし、我々の闘争がますます厳しくなり、敵の思想攻勢が強化される状況のもとで、革命の勝利に対するかれらの信念をひきつづき高めなければ、朝鮮人民革命軍の政治的・思想的威力を強めることはできない。

 それゆえ、朝鮮人民革命軍の指揮幹部と兵士に対する政治・思想教育活動をたえず強化しなければならない。我々は何よりもまず、かれらをマルクス・レーニン主義の原則で教育するとともに、朝鮮革命の諸路線と戦略・戦術で武装させて、かれらに革命的世界観を確立させなければならない。また、かれらを革命的大衆観点と革命的活動作風、革命的同志愛と自覚的規律の精神で武装させなければならない。

 こうして、すべての指揮幹部と兵士が革命勝利の確信をもち、ひたすら祖国解放の正義の大業のために青春も生命もささげる崇高な革命精神を身につけた不屈の革命闘士に、人民の真の教育者、大衆運動のすぐれた組織者になるようにしなければならない。

 朝鮮人民革命軍の政治的・思想的優位性は、強力な軍事的・技術的威力と結合されるとき、より大きな力を発揮することができる。日本帝国主義侵略軍は、近代的な軍事技術装備でつま先まで武装した、最も野蛮で狡猾な侵略者である。このような敵を撃滅するためには、朝鮮人民革命軍を政治的、思想的にしっかり鍛えるばかりでなく、すぐれた軍事技術と巧みな遊撃戦術で武装しなければならない。

 我々は朝鮮人民革命軍の隊列をひきつづき拡大強化する一方、可能なすべての条件を利用して、軍事教育と軍事訓練を強め、すべての指揮幹部と兵士が軍事技術機材と遊撃戦術に精通するようにしなければならない。

 このように朝鮮人民革命軍を政治的、軍事的に強化して、敵の量的優位を政治的・思想的優位をもって、軍事技術的優位を遊撃戦術的優位をもって打ち破る革命部隊に鍛えなければならない。

 朝鮮人民革命軍を政治的、軍事的に強化する一方、その軍事・政治活動をいっそう積極的に進めなければならない。

 朝鮮人民革命軍の各部隊は、中国大陸侵略戦争で四苦八苦している日本帝国主義侵略軍の背後で大々的な軍事攻勢を加え、敵を守勢に陥れ、朝鮮革命に決定的に有利な情勢をつくりださなければならない。

 そのためには、敵味方間の力関係と情勢の変化に応じて能動的に大部隊作戦と小部隊作戦を密接に結びつけ、国内に深く武装闘争を拡大し、これと組み合わせて全人民的抗争を組織しなければならない。朝鮮人民革命軍の積極的な軍事・政治活動と全人民的抗争が結びつくとき、強盗日本帝国主義は撃滅され、祖国の解放は必ずなし遂げられるであろう。

 第2に、朝鮮共産主義者は反日民族統一戦線運動を力強く展開して、全国的・全民族的範囲でより広範な反日愛国勢力をかたく結集し、反革命勢力に対する革命勢力の優勢を確保しなければならない。

 反日民族統一戦線運動は、日本帝国主義に反対する朝鮮のすべての愛国勢力を共産主義者のまわりに結集して、敵味方間の力関係を革命の側に決定的に有利に転化させるための強力な政治運動であり、朝鮮の反日民族解放闘争において極めて重要な位置をしめている。

 革命は大衆のための事業であり、広範な大衆がそれに参加してこそ勝利をおさめることができる。したがって大衆を獲得して一つの政治勢力に結集し、その尽きることのない力に依拠することは、革命闘争において共産主義者と革命家が守るべき根本原則である。

 各階層の反日勢力を獲得し組織的に結集する問題は、反日民族解放闘争の当初から、朝鮮共産主義者に重要な課題として提起された。

 我々は、既に1930年代の初期から、朝鮮革命の主体的・客観的条件を科学的に評価し、そのうえに立って反日民族統一戦線を結成する路線を提起し、その貫徹のためにねばりづよくたたかい、ついに1936年5月には朝鮮における最初の反日民族統一戦線体である祖国光復会を創立した。

 祖国光復会は創立後極めて短い期間に、数多くの反日大衆をその傘下に結集した強力な地下革命組織に、最も広範な大衆的組織に発展した。

 今、満州と朝鮮国内の労働者、農民をはじめ、反日大衆と各階層の愛国人士は、祖国光復会の十大綱領を支持し、反日民族統一戦線に広く参加して、革命闘争を力強くくりひろげている。

 既に広大な満州各地と、咸鏡南北道、平安南北道、江原道の主要都市と農村をはじめ、国内各地に祖国光復会の下部組織が結成されて活発に活動しており、全国に稠密な一つの組織綱が形成されつつある。

 今日、朝鮮では労働者、農民だけでなく、多くの愛国的青年学生や知識人も十大綱領を支持して反日行動を果敢にくりひろげる一方、数十名ずつ集団的に我が部隊への入隊を志願しており、中小企業家と小商人および手工業者、民族主義者とを問わず、祖国と民族を愛し、民主主義を愛するすべての勢力が、共産主義者の指導のもとに統一的な反日闘争の流れに合流している。

 特に長いあいだ、保守主義的なわくのなかで共産主義者との連合に反対してきた民族主義者の武力である朝鮮独立軍は、祖国光復会の宣言と綱領に接するや、これを熱烈に支持して我々との連合を主張しており、既に一部の独立軍部隊は我が部隊との連合作戦に参加しはじめた。このような連合行動は、かれらとの団結を強化し、さらに強固な連合戦線を形成しうる展望を示すものである。

 これにとどまらず、国内の多くの進歩的な天道教信者も、反動的な崔麟一派の親日的な行動に反対し、民族の共同大業をめざす闘争の道に踏み切るようになった。かれらは祖国光復会の十大綱領と呼びかけにこたえて、抗日武装闘争を積極的に支援しており、数十名の代表を派遣して、我々と連合して祖国解放の戦線で共同でたたかうことを誓い、今、物心両面からの援助をよせている。祖国光復会は、既に、朝鮮の北部地帯の多くの郡で多数の天道教信者をその傘下に結集しており、日を追って全国の進歩的な宗教家のなかでその影響力を拡大している。

 このように、今、朝鮮人民は、抗日武装闘争とその直接の影響のもとに発展している祖国光復会運動に民族解放のさん然たる曙光をみいだし、勝利への確信にみちて反日革命闘争に勇敢に立ち上がっている。

 今日の内外情勢は、朝鮮共産主義者に反日民族統一戦線運動をさらに発展させることをさし迫った課題として提起している。

 日本帝国主義侵略者は、朝鮮人民の反日救国抗戦によってその植民地支配が滅亡の危機に直面するや、膨大な軍事力と弾圧手段をすべて動員して、朝鮮人民に対する植民地的弾圧と搾取をかつてなく強化している。かれらの弾圧が強化されればされるほど、朝鮮人民の反日気勢は日を追って高まっており、革命運動も非常に強まっている。

 朝鮮共産主義者はこうした情勢に対処し、高揚した大衆の反日気勢に即応して全民族の広範な反日愛国勢力を民族解放闘争に総動員するため、断固たたかわなければならない。

 反日民族統一戦線運動を強化することは、世界革命のためにも重要な課題となっている。

 今日、全面的なファッショ化の道に乗り出している日本、ドイツ、イタリアなど帝国主義諸国では、ファシスト独裁によって人民の民主的自由とあらゆる政治的権利が剥奪されており、革命運動は厳しい試練に直面している。ファッショ化の危険は日を追って世界的な範囲に広がりつつある。これに対処して、共産主義者は反ファッショ人民戦線運動をくりひろげ、これに広範な人民大衆を参加させるため積極的にたたかっている。

 このような情勢のもとで、反日民族統一戦線運動を強化してはじめて、国際的に連合したファッショ勢力を弱め、全般的な掴際民主勢力の勝利を促進するために寄与し、朝鮮革命に有利な国際的環境をつくりだすことができる。

 朝鮮共産主義者は革命の新しい要請にこたえて、反日民族統一戦線運動をいちだんと発展させるために積極的にたたかわなければならない。

 ここで何よりも重要なのは、祖国光復会の組織を戦闘的にととのえ、その隊列を拡大することである。

 祖国光復会は、朝鮮にまだマルクス・レーニン主義党が創立されていない条件のもとで、共産主義者によって組織された統一戦線組織であると同時に、強力な地下革命組織である。

 それゆえ祖国光復会の組織を戦闘的組織にかため、その隊列を拡大することは、反日愛国勢力を全国的な規模で統一的に結集できるようにすると同時に、朝鮮革命運動に対する共産主義者の指導を実現できるようにする。

 反日民族続-戦線運動をさらに強化するために、その組織綱を国内に拡張し、広範な反日大衆をこれに積極的に結集しなければならない。

 また祖国光復会の組織を戦闘的組織に強化し、地下闘争の条件に即した柔軟性のある活動方法を巧みに適用しながら、その組織・政治活動をあらゆる面から強化しなければならない。敵の弾圧が激しい条件のもとで、各組織の名称を一律に決めるべきではなく、地方の具体的な状況、階層別の特質と準備程度などを考慮に入れて多様に決めるべきであり、また各組織の活動形式も具体的な条件に従ってそれぞれ異なったものにすべきである。こうして祖国光復会が広範な人民大衆の中に深く根をおろし、力強く活動する、より強力な大衆的地下革命組織となるようにしなければならない。

 祖国光復会の運動を発展させるためには、この運動全般に対する共産主義者の指導を実現しなければならない。共産主義者の指導が確保されることによって、反日民族統一戦線運動は終始、労働者階級をはじめとする全人民大衆の利益にそって進められ、革命的な戦略・戦術に基づいて勝利のうちに発展することができる。したがって共産主義者は祖国光復会の組織内部で確固たる指導的地位をしめ、それを革命的に指導しなければならない。

 共産主義者は反日民族統一戦線運動を指導するにあたって、あらゆる左右の偏向を正しく識別し、それを徹底的に克服しなければならない¢

 各階層の大衆を結集するためには、革命的な大衆路線と階級路線を正しく結びつけなければならない。階級的偏見にとらわれて、労働者、農民だけを対象にしようとする極左的傾向と、統一戦線だからといって、みさかいなくすべての人と手を握ろうとする右傾的偏向を同時に警戒しなければならない。もし祖国光復会の組織に労働者、農民だけを引き入れ、他の反日愛国勢力を排除するならば、多くの反日大衆を失うことになり、反対に政治的考慮なしに、だれかれなしに祖国光復会に吸収するならば、さまざまな異分子が潜入するようになるであろう。

 したがって我々は、反日的要素をもつ愛国的民主勢力を最大限に獲得するとともに、親日派、民族反逆者など、各種の異分子と敵対分子を徹底的に孤立きせる原則を堅持すべきである。

 反日民族統一戦線運動を指導するうえで重要なのはまた、その隊列内で団結と闘争を正しく結びつけることである。

 各階層の反日大衆は、それぞれ異なる階級的利害関係から、反日闘争においてそれぞれ異なった立場と態度をとっている。反日大衆の中には、日本帝国主義を憎悪しているものの、自己の階級的制約性から反日闘争で優柔不断な行動をとり、動揺する階層も少なくない。このような階層のなかにあらわれる動揺性を克服しないならば、かれらは闘争のなかでつきあたる難関にうちかてず、反日的立場を固守できず、ついには裏切り者となって革命に重大な禍をもたらしかねない。

 それゆえに共産主義者は、反日大衆のなかにあらわれる動揺性と軟弱さを克服するための原則的な闘争を行いつつ、かれらとの団結を強めなければならない。こうすれば、敵の軍事攻勢と思想攻勢が強化される条件のもとでも、統一戦線を保持し、その威力を余すところなく発揮することができる。

 第3に、朝鮮共産主義者は国際革命勢力との連帯を強化するために積極的にたたかわなければならない。

 国際革命勢力との連帯を強化することは、朝鮮共産主義者のプロレタリア国際主義的義務であり、世界の革命勢力を強化し、日本帝国主義者を国際的に孤立させ、朝鮮の革命勢力を強化する重要な裏付けとなる。

 特に今日、日本帝国主義者が満州を占領し、中国に対する大々的な侵略戦争をくりひろげており、ソ連に対する戦争準備に狂奔している時期に、ソ連を擁護し、中国の革命勢力との連帯を強めることは、世界革命と朝鮮革命を発展させるための切実な課題である。

 日本帝国主義は、朝鮮人民の敵であると同時に中国人民の敵である。共通の敵日本帝国主義に対する闘争で、朝鮮人民と中国人民との戦闘的団結を強め、反日統一戦線をさらに強化するならは、日本帝国主義により大きな政治的・軍事的打撃を加え、朝鮮と中国の革命の勝利を促進することができる。

 こうしたことから朝鮮共産主義者は抗日武装闘争の初期から、中国人民の反日勢力とかたく団結して共同の戦線でともにたたかい、特に抗日戦争で大きな勢力となるすべての中国人反日部隊との連合に大きな力を傾けてきた。

 中国人反日部隊のなかには、さまざまな形態がある。そのなかには、中国共産党の影響下にある反日部隊があり、「満州事変」を契機に抗日救国の旗をかかげて立ち上がった国民党の影響下にあったかつての旧東北軍残存部隊と、農民が蜂起して組織した反日武装部隊(紅槍会、大刀会)もある。

 朝鮮共産主義者は中国の共産主義者が指導する反日遊撃隊とは、既に久しい以前から抗日連合軍を組織して反日共同闘争を力強くくりひろげてきた。

 また旧東北軍残存部隊で組織された救国軍と自衛軍、それに蜂起した農民たちが組織した各種の反日部隊との反日連合戦線を形成するためにねばりづよくたたかってきた。我々は9.18事変直後から、反日兵士委員会と別働隊を組織し、救国軍と自衛軍、各種の反日部隊に政治工作員を派遣し、別働隊の役割をあらゆる面から強化するなど、主動的で犠牲的な闘争を忍耐強く展開した。そうしてかれらの頑固さと動揺性、政治的蒙昧さを克服し、連合戦線を形成することができた。

 朝鮮人民革命軍は、反日部隊と協同作戦を組織して、東寧県城戦闘をはじめ、多くの戦闘で連続的に勝利ををおさめて日本帝国主義に甚大な打撃を与え、朝鮮人民と中国人民の団結の威力を示威し、反日部隊との全面的な連合と全面的な行勤続一のための確固たる基盤をきずきあげることができた。

 朝鮮人民革命軍の主力部隊が白頭山根拠地に進出した1930年代の後半期にいたってからも、敵の「討伐」のため萎縮していた多くの反日部隊を革命的に教育して抗日連合軍に編入し、またはかれらと大規模の連合作戦を成功裏に遂行して(我々は、かれらに政治幹部を派遣したばかりでなく、我々の事情が困難であったにもかかわらず、食糧、被服、武器までも送った)かれらの戦闘士気と勝利の確信を高め、抗日戦線に積極的に奮い立たせた。

 しかし一部の人たちは、いまだに偏狭な観点にとらわれて反日部隊との連合戦線に十分に取り組んでいない。もし我々が、かれらに対する活動を正しく行わないならば、かれらは厳しい敵の「討伐」にうちかてずに動揺し、投降変節するか、あるいは土匪に転落することもありうる。したがって、例え動揺し不徹底な勢力であろうとも、軽視することなく、すべての反日部隊との連合戦線を強化し、我々が主動的にかれらを導き、抗日戦争をひきつづき発展させることによって日本帝国主義を最大限に孤立させ、反日武装勢力を強化しなければならない。

 我々は中国人反日部隊に対する活動において、かれらが日本帝国主義に投降することなく抗日救国の旗をひきつづき高くかかげて戦い、人民の利益をおかさないようにし、日本人の財産、親日派の中国人地主、日本の手先の財産を没収して軍費にあてる原則をひきつづき堅持しなければならない。

 我々は中国共産主義者との団結をたえず強化し、そのうえに立ってすべての反日部隊と団結し、中国のすべての革命勢力と団結していっそう広範な朝中反日統一戦線を結成しなければならない。

 国際革命勢力との連帯を強化するうえで、全世界の無産階級の祖国ソ連を擁護することがまた重要である。

 ソ連はレーニンが創建した最初の社会主義国家であり、労働者、農民の利益を擁護する最初のプロレタリア独裁国家として、マルクス・レーニン主義勝利の最初の模範であり、国際労働者階級の偉大な砦である。

 偉大なソ連を擁護することは全世界労働者階級の国際主義的義務である。個々の国の革命は、国際労働者階級の戦闘的団結と連帯のなかで発展し防衛される。今日、社会主義国家としてのソ連の威力の成長は、外国帝国主義と国内支配階級に反対してたたかう全世界の労働者階級と被抑圧人民にとって大きな励ましとなっている。したがって我々は、世界最初の唯一の無産階級の国家──ソ連を擁護してたたかうことによって、世界革命を防衛し、朝鮮革命にいっそう有利な国際的環境をつくりださなければならない。

 我々は「ソ連を武力で擁護しよう!」というスローガンをひきつづき高くかかげ、日本帝国主義の後方をたえず攻撃して敵を戦慄させ、ソ連に対する日本帝国主義の侵略策動をその都度破綻させなければならない。

 我々は今後も、新しい情勢の要請にこたえてプロレタリア国際主義の旗を高くかかげ、ソ連を積極的に擁護し、中国人民との反日統一戦線を強化し、国際労働者階級と植民地被抑圧人民との連帯を強めて、朝鮮人民の主な敵 ──日本帝国主義侵略者に攻撃の矛先を集中し、アジア制覇の野望を粉砕しなければならない。

 第4に、朝鮮共産主義者は朝鮮に革命的マルクス・レーニン主義党を創立するために積極的にたたかわなければならない。

 マルクス・レーニン主義党は労働者階級の前衛部隊であり、革命の参謀部である。労働者階級の党なくしては、革命に利害関係をもつ広範な人民大衆を結集して革命闘争に動員することができず、正しい戦略・戦術をもって人民大衆を勝利へと導くことができない。

 我が国における共産主義運動は、十月社会主義革命の影響のもとに早くから展開され、1925年には最初の共産党が創立された。

 長いあいだ日本帝国主義の植民地支配と封建的抑圧にあえいできた朝鮮の勤労大衆は、無産階級の利益を擁護してたたかうはずの朝鮮共産党の創立を歓迎し、これに期待と希望をかけたのであった。しかし1925年の朝鮮共産党は、その本質的弱点と制約のために朝鮮人民の期待と希望を実現することができなかった。

 1925年に創立された朝鮮共産党は、労働者階級をはじめ、広範な大衆の中に根をおろすことができず、主として階級的立場の不確実なブルジョア、小ブルジョアインテリと、えせマルクス主義者たちで構成されていた。特に上層部に潜入した分派分子のヘゲモニー争いのため、党は隊列の統一を保持することができなかった。こうして朝鮮共産党は、日本主義の弾圧と分派分子の破壊策動を克服することができず、創立後3年目に解散させられた。

 このような状況のもとで朝鮮共産主義者にとっては、1920年代の共産主義運動の深刻な教訓を生かして革命的なマルクス・レーニン主義党を創建することが、最もさし迫った課題となった。

 しかし、かつての分派分子のように、なんらの組織的・思想的準備もなく、幾人かの共産主義者が集まって「党中央」をつくり、党の創立を宣言する方法をもってしては革命的な党を創建することはできない。

 革命的なマルクス・レーニン主義党を創立するためには、まず強固な組織的・思想的基礎をきずかなければならない。

 我々は、既に党創立の組織的・思想的基礎をきずくたたかいをねばりづよく進めて、少なからぬ成果をおさめた。

 我々は党中央を宣言してはいないが、朝鮮人民革命軍部隊内と国内国外の労働者、農民のなかに党組織と各種の地下革命組織をつくり、これに対する統一的な指導を保障している。今日、人民革命軍部隊内には、民主集中制の原則に基づく党の組織指導体系がうち立てられており、正常な党組織生活が行われている。豆満江、鴨緑江沿岸一帯の広範な労働者、農民のあいだにも党組織をつくり、これに対する統一的な指導を保障している。特に国内では、党創立の準備を自主的立場にたって進める方針に従って、共産党組織をつくる闘争を積極的に展開しており、既に少なからぬ成果をおさめている。

 我々はまた、ここ数年間にわたる武装闘争の烈火の中で、また地下革命闘争の実践の中で、労働者、農民をはじめ、勤労人民のすぐれた息子や娘たちを共産主義者に育成して党創立の組織的根幹をきずきあげた。

 これとあわせて、1920年代の共産主義運動が残したセクト主義を克服するたたかいを積極的に進めた結果、今日我々の隊列内では分派が基本的に一掃され、革命隊列の思想、意志の統一と団結が実現した。

 朝鮮共産主義者はこれまでの成果を踏まえて、党創立の組織的・思想的準備を全国的範囲でいっそう力強くおし進め、一日も早くマルクス・レーニン主義党を創立するために努力しなければならない。

 党創立準備のための朝鮮共産主義者の重要な任務は、次のとおりである。

 第1に、朝鮮人民革命軍部隊内と国内および豆満江、鴨緑江沿岸一帯の祖国光復会、反日青年同盟をはじめ、革命的な大衆団体内に党組織を拡大し、共産主義者を統一的な組織体系に結集し、党組織生活を通じて戦闘的に鍛練することである。

 朝鮮革命のゆるぎない指導的中核が形成され、新しい世代の共産主義者が多く育成されており、また祖国光復会をはじめ、各種の革命組織が広範な大衆の中に根をおろしている状況のもとで、党組織を拡大して共産主義者を統一的に結集するのは、機の熟した課題として提起されている。この課題を成功裏に解決すれば、党組織が労働者、農民をはじめ、大衆のあいだに深く根をおろすことができ、その基礎のうえで朝鮮革命に対する統一的な指導を確固と保障することができる。

 我々は党創立の準備にあたって、徹底的に自主的原則に基づいて可能なすべての単位、すべての地域に党細胞、党グループを組織し、共産主義者を残らず組織的に結束しなければならない。特に国内の重要産業地帯と農漁村で革命的な指導的中核を育成して自主的に祖国光復会の組織綱を拡大する活動とともに、これを基礎に労働者、農民の中に党グループと細胞を組織し、それを統一的な組織体系に結集しなければならない。

 初期の共産主義運動の歴史的教訓に照らして、党組織の建設を下から上へと進める方針を堅持しなけれはならない。そうすれば、広範な勤労大衆の階級的覚醒を踏まえて、闘争のなかで鍛えられた労働者、農民出身の先進分子を党に吸収することができ、大衆的基礎が強固な、最も革命的で戦闘的な党を創立することができる。

 人民革命軍部隊と各地方党組織のすべての活動において、民主集中制の原則を厳格に守り、党組織の戦闘力と前衛としての役割を高めなければならない。

 党員は党の組織生活に忠実でなければならず、実践闘争を通じて自分自身を不屈の革命闘士に、共産主義者につくりあげなければならない。

 第2に、革命闘争の実践の中で、労働者、農民出身のすぐれた分子を革命的中核として広範に育成し、党創立の組織的根幹をかためることである。

 朝鮮の初期共産主義運動の苦い教訓に照らして、党創立の組織的根幹を労働者、農民出身の革命的中核でかためることは、将来創立される党の強化発展にとって根本問題である。

 我々は労働者、農民のすぐれた息子や娘たちを人民革命軍に積極的に入隊させ、武装闘争の烈火のなかでかれらを革命にかぎりなく忠実な共産主義的中核に、党の組織的根幹に育成するとともに、地下革命闘争の中で政治的、戦闘的に鍛えられた人を党組織に吸収して、革命的中核として育成しなければならない。

 また祖国光復会、反日青年同盟、反日会、婦女会などの大衆団体に革命的な労働者、農民と広範な反日大衆を結集し、かれらを日本帝国主義に対する実践的な闘争を通じて、熱烈な共産主義者に育成しなければならない。

 第3に、セクト主義に反対するたたかいをひきつづきおし進めて、党組織と革命組織内にセクト主義が浸透できないようにし、共産主義隊列の純潔と思想、意志のゆるぎない統一を実現することである。

 セクト主義を徹底して克服することなくしては、共産主義者の強固な団結と、朝鮮革命の統一的な路線と戦略・戦術に基づく思想、意志および行動の統一を保障することができず、党創立の歴史的大業を実現することができない。

 朝鮮におけるセクト主義は、十月社会主義革命の影響のもとに高まる革命運動の潮流にまきこまれ、マルクス主義の仮面をかぶって労働運動内に入ってきたブルジョア、小ブルジョアおよび没落した両班出身のインテリによって発生した。

 分派分子は、口先では共産主義を叫び労働者階級の解放を唱えたが、労働運動をみずからの功名、出世、地位などの政治的野望をみたすための手段に利用した。

 分派分子は労働運動内に潜入した当初から、5人一党、3人一派というふうに互いに分派的に離合集散して、火曜派、M・L派、ソウル・上海派などの派閥を形成し、なんらの政治的見解と理論的根拠なしに、自派勢力の拡張と指導権をめぎす派閥争いをつづけて党を破壊した。

 党が解散させられた後にも、かれらは派閥争いをやめず、満州にきてまで「党再建」のスローガンのもとに派閥争いをつづけた。

 分派分子らは自派の勢力拡張と功名、出世のために極左冒険主義的な5.30暴動を引き起こし、地下革命組織を露呈させ数多くの共産主義者と革命大衆を犠牲にし、朝鮮共産主義運動に甚大な禍を及ぼした。特に分派・事大主義者は、民族排外主義者を後ろ盾にして、反「民生団」闘争を自己の分派的目的の達成に悪用し、数多くのすぐれた共産主義者と革命家を犠牲にし、革命の隊列内に離間と反目、不信をつくりだして隊列の統一と団結を弱める重大な犯罪的行為をはたらいた。

 もし我々が分派・事大主義者と民族排外主義者との原則的な闘争を通じて、反「民生団」闘争の極左的誤りをいちはやく改めなかったならば、共産主義運動と革命運動は、収拾しがたい重大な事態に陥っていたであろう。

 今日、我々の隊列内の分派は基本的に一掃されたが、民族改良主義者に、あるいは日本帝国主義のスパイに転落したかつての分派分子が、共産主義隊列を内部から切り崩そうとありとあらゆる策動を行っている。

 したがって我々は何よりもまず、党員と人民革命軍兵士、広範な革命大衆に、朝鮮の共産主義運動と革命運動に甚大な害悪を及ぼしてきた分派・事大主義者の罪悪を徹底的に認識させ、かれらが常に高度の警戒心と階級的憎しみをもってセクト主義の浸透を防ぎ、分派・事大主義者の破壊・謀略策動をその都度摘発し、粉砕するようにしなければならない。

 これとともに、全党員と人民革命軍兵士をマルクス・レーニン主義と朝鮮革命に関する路線と戦略・戦術で武装させ、全隊列の思想、意志、行動の統一を保たなければならない。

 こうしてこそ、共産主義隊列の純潔と思想、意志の統一と団結をかたく守り通すことができ、党創立の組織的・思想的基礎をうちかためることができる。

 朝鮮共産主義者は党創立の準備活動で、以上の基本的任務を忠実に実行して、革命的なマルクス・レーニン主義党創立の歴史的大業を一日も早く実現しなければならない。


※   ※   ※

 朝鮮共産主義者は自己の革命任務を成功裏に遂行するために、何よりも自主的立場を堅持しなければならない。

 自主的立場は自国人民の力を信じ、みずからの力で自国の革命を責任をもってあくまで遂行しようとする共産主義者の根本的立場である。革命闘争で自主的立場を堅持すれば、自国の実情に合う革命路線と方針をうち立て、それを徹底的に擁護し貫徹していくことができ、いかなる困難や試練にであおうとも自国の革命のためにあくまでたたかいぬくことができる。

 朝鮮革命の主人は朝鮮人民であり、朝鮮共産主義者である。朝鮮革命は朝鮮共産主義者の指導のもとに、朝鮮人民が遂行しなければならない。

 我々は、これまで分派分子の事大主義のため、朝鮮共産主義運動と革命運動が甚大な被害をこうむり、多くの紆余曲折をへなければならなかった苦い教訓を忘れてはならない。

 朝鮮共産主義者は自己の信念に従って革命闘争を展開すべきであり、みずからの革命勢力を強化し、しっかりとそれに依拠して朝鮮革命を勝利へと導かなければならない。

 個々の国の革命は、世界革命の一環であり、その構成部分である。個々の国の革命は世界革命勢力の強力な支援のもとに進められ、世界革命の勝利のために積極的にたたかうことは、各国共産主義者の国際主義的義務である。

 世界帝国主義と連合した軍事的・封建的日本帝国主義侵略者に反対する朝鮮の民族解放闘争においては、国際反帝勢力の強力な支援が何よりも重要である。

 しかし、いかに国際革命勢力の支援が大きくても、朝鮮共産主義者が自国の実情に合う革命路線と戦略・戦術をうち立て、それに基づいてみずからの革命勢力をうちかためなければ、朝鮮革命を勝利へ導くことはできない。

 朝鮮共産主義者は、今後、国際革命勢力との連帯を強化するとともに、事大主義と左右の日和見主義を排撃し、ゆるぎなく自主的立場に立って朝鮮革命を指導することによって、必ずや民族解放の歴史的大業をなし遂げるであろう。

 朝鮮革命の旗を高くかかげ、不屈の闘争をくりひろげる朝鮮共産主義者の前途には、必ず勝利と栄光が輝くであろう。

 朝鮮革命万歳!

 世界革命万歳!



 (注1)9.18事変 1931年9月18日、日本帝国主義者によって強行された中国東北地方に対する武力侵攻事件。

 久しい以前から大陸侵略の野望をいだいてきた日本帝国主義は、世界経済恐慌(1929~1933年)による政治的・経済的危機から脱するため、朝鮮での軍事ファッショ弾圧政策を強化し、朝鮮を日本の兵站基地に変える一方、中国とソ連に対する軍事的侵攻を準備した。日本帝国主義は、1931年7月に「万宝山事件」、同年8月に柳条溝の「南満鉄道爆破事件」などをでっち上げ、これを中国側の挑発として「自衛的措置」の名のもとに、9月18日夜、審陽近郊北大営の中国軍兵営を奇襲占領し、つづけて一切に強盗さながらの軍事行動を拡大し、審陽など満州の主要都市を占領した。これを「満州事変」ともいう。


 (注2)東寧城戦闘 1933年9月6日~7日、金日成主席の指揮のもとに朝鮮人民革命軍が中国人反日部隊との初の大規模連合作戦を展開し、ソ・満国境の日本帝国主義の重要軍事拠点である東寧県域を攻略した攻撃戦闘。

 この戦闘で200余名の日本帝国主義侵略軍と300余名の「満州国」軍を殺傷し、多くの軍用品をろ獲した。
出典:金日成著作集 1巻

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