チュチェ思想国際研究所創立大会基調報告
チュチェ思想に学ぼう
チュチェ思想国際研究所組織委員会委員長・安井郁
−1978年4月9日−

 尊敬する組織委員会委員のみなさん!

 親愛な同志と友人のみなさん!

 我々一同が長いあいだ待望していたチュチェ思想国際研究所創立大会が、きょうついに開幕のはこびとなりました。

 チュチェ思想を研究し、それに学ぼうとする世界の進歩的人士と人民の崇高な志向を反映して開催された、歴史的な本創立大会は、我々一同の一致した念願と共同の努力の立派な結実であります。日本人民をはじめ、世界の進歩的人民と広範な社会層が、この意義深い大会を注視し、大会の成果を熱望しております。

 きょう、この意義ある創立大会に参席した私たちは、チュチェ思想を確信し、研究、普及する先覚者としての大きな栄誉と誇りに胸を高ならせ、この偉大な思想の創始者である金日成主席に対する尊敬と感謝の気持ちにみちておりす。

 わたしは、この盛大な大会の壇上を借りて、不滅のチュチェ思想を創始し世界史の発展に偉大な貢献をされただけでたく、進歩的人民をチュチェ、自主偉業の実現へと励まし勝利と栄光の道に導いておられる、尊敬する金日成主席に対し、参加者一同の敬慕の念をこめ、つつしんで最大の栄誉と感謝をささげるものであります。

 わたしは、チュチェ思想国際研究所組織委員会の名で、チュチェ思想を研究しそれに学ぼうとする崇高な志向をいだいてここにお集まわりになったみなさんを熱烈に歓迎し、みなさんに最もあつい挨拶を送るしだいであります。同時に、その間、チュチェ思想国際研究所の創立に向けてあらゆる誠意と努力を惜しまなかった組織委員会のみなさんと、日本各界のみなさんに心から感謝いたします。

 わたしはまた、本大会に代表のみなさんを送ってくださった各国の党と人民に深い謝意を表するとともに、本大会に関心を払い、大会の成果を願っている各国人民と著名な人士のみなさんに崇高な敬意を表するしだいであります。

 チュチェ思想国際研究所組織委員会は、わたしに創立大会の基調報告をおこなうよう委任しました。 わたしは、これを光栄に思い、喜んでな引き受けしました。

 では、組織委員会の協議を経て準備してまいりましたチュチェ思想国際研究所創立大会の基調報告をおこないたいと思います。

 同志と友人のみなさん!

 きょう我々が創立を世界に宣言するチュチェ思想国際研究所は、チュチェ思想の旗印を高くかかげ、自主性をめざしてたたかっている進歩的人民の念願を反映して生まれた一つの研究組織であります。それゆえ、わたしは、本大会の基調報告を述べるにあたってまず最初に、チュチェ思想の創始と思想的理論的内容について、かいつまんでお話しすることにいたします。それはこのことが、チュチェ思想国際研究所創立の歴史的背景と、その崇高な目的を正しく理解する出発点となると考えるからであります。

 広く知られていますように、人民大衆の自主性を実現する明るい道をさし示したチュチェ思想は、尊敬する金日成主席によって独創的に創始された科学的な学説であります。

 歴史の主体であり、社会発展の原動力である人民大衆は、社会に支配と従属の関係が生まれて以来、自己の自主性を擁護するたたかいをたゆみなく続けてきました。しかしながら、自己の運命を切り開く正しい道を見出せなかった人民大衆は、数千年の長い歴史にわたって、自主的に生きようという久しい宿望を実現するととができませんでした。 人民大衆は、自己の念願を実現する正確な道を示す科学的学説を待望し、そうした学説を創始する卓越した指導者、傑出した思想家の出現を渇望しました。

 自主性をめざす人民の長年の宿望を実現するための正確な道を示す歴史的課題は、金日成主席によって不滅のチュチェ思想が創始されたことによって、立派に解決されたのであります。

 尊敬する金日成主席は、革命運動にのりだした初期に偉大なチュチェ思想を創始され、すぐる5千年の間、自主性を擁護する人民のたたかいを勝利の道ひとすじに導くなかで、チュチェ思想を絶えず発展させ、豊かにしてこられました。

 人類の思想史に最高の輝かしい地位を占めるチュチェ思想は、金日成主席が一身に備えておられる、ぬきんでた品性と、ひたすら人民のためにたゆみない思索と探求を重ねてこられた思想・理論活動の偉大な結実であります。

 チュチェ思想の創始によって、人民は、自主的かつ創造的生活を願ってやまなかった宿望を実現する強力な思想的理論的武器、最も科学的な学説をもつようになりました。

 まさにそれゆえ、世界の人々は、不滅のチュチェ思想を創始された金日成主席を、「人類の太陽」とたたえ、主席に感謝と賛辞を送っているのです。

 尊敬する金日成主席が教えているように、チュチェ思想とは一口に言って、革命と建設の主人は人民大衆であり、革命と建設を推し進める力もまた人民大衆にあるという思想であります。言いかえれば、自己の運命の主人は自分自身であり、自己の運命を切り開く力もやはり自分自身にあるという思想であります。

 革命と建設は、人民大衆のための事業であり、人民大衆自身の事業であります。それは、人民大衆が自然と社会の主人として、自主的で創造的な生活をするための事業であり、人民大衆の創造的力によってのみ成功裏に遂行しうる事業であります。

 チュチェ思想は、人民大衆の自主的かつ創造的生活をめざす闘争における人民大衆自身の地位と役割を科学的に解明することによって、人民大衆が主人としての自覚をもって自己の運命をみずからの力で切り開く最も正確な道をさし示しています。

 チュチェ思想の世界史的意義は、まさにここにあるのです。

 チュチェ思想は、人類の思想史上、初めて発見された新しい哲学的原理に根ざしています。

 尊敬する金日成主席は、次のように述べています。

 「チュチェ思想は、人間があらゆるものの主人であり、すべてを決定するという哲学的原理に根ざしています」

 人間があらゆるものの主人であり、すべてを決定するという哲学的原理は、チュチェ思想の全体系の出発点であり、その全般的内容を貫く根本原理であります。この哲学的原理は、人間に対する新たな解明にもとづいて、人間と、それをとりまく世界との相互関係、世界における人間の地位と役割を科学的に解明してくれます。

 チュチェ思想が明らかにしているように、人間は自主性と創造性をもつ社会的存在であります。人間は自主性と創造性をもつ社会的存在であるがゆえに、世界を支配する主人として自然と社会を自己の要求に合わせて改造し、変革していく有力な存在となるのであります。

 まさにこの哲学的原理から、すべてを人間を中心に考え、人間のために奉仕させ、あらゆる問題を人間の役割を高める方法で解決するチュチェ思想の根本要求が生まれるのであります。チュチェ思想はまた、世界における人間の地位と役割を明らかにすることによって、自然と社会に対する最も正しい見解と、世界を認識し改造する強力な武器を与え、社会発展の合法則性を科学的に解明してくれます。

 人間があらゆるものの主人であり、すべてを決定するという哲学的原理は、実に史上初めて人間をして自己の尊厳ある地位と無限の力を自覚させたすぐれた思想であり、人類の哲学的思惟の領域に根本的転換をもたらした偉大な思想であります。

 チュチェ思想は、自然と社会を改造し変革する実践活動において、人民大衆が堅持すべき根本的立場と根本的方法を明らかにしています。ここにまた、チュチェ思想の大きな意義があるのです。自主的立場は、自然と社会を改造する闘争において人民大衆が主人としての権利を守り、責任を全うするために堅持すべき根本的立場であり、創造的立場は自然と社会を改造する闘争において主人としての役割を果たすために依拠すべき根本的方法であります。

 あらゆるものの主人であり、すべてを決定する基本要因である人民大衆は、当然、自然と社会を改造する闘争において、主人らしい態度、自主酌立場と創造的立場を堅持しなければなりません。そうしてこそ、人民大衆は自然と社会を成功裏に改造し、自己の運命の真の主人となることができます。これは、自主性をめざす人民大衆の歴史的闘争経験を通じて実証されている明白な真理であります。

 金日成主席は、チュチェ思想を自主性をめざす人民大衆の実践活動に具現するためには、思想におけるチュチェ、政治における自主、経済になける自立、国防における自衛の原則をあくまでも貫かなければならないと教えています。これらの原則は、人民大衆を自然と社会改造の真の主人たらしめ、かれらに真に自主的で創造的を生活をもたらす尊厳ある富強な自主独立国家を成功裏に建設するための指導指針であります。

 人民大衆の自主性を擁護する闘争を勝利に導くためには、科学的な指導理論がなければなりません。チュチェ思想は、勤労人民大衆を中心にすえて展開され、勤労大衆の役割をもとにした新たな指導理論を示すことによって、この問題に全面的な解答を与えています。自然と社会を改造する闘争の主人は人民大衆であり、その決定的な力も人民大衆にあります。これは、自然と社会を改造する闘争が人民大衆の志向と要求を実現するためのたたかいであり、その過程は人民大衆自身の活動の過程であることを意味します。

 チュチェ思想は、人民大衆の地位と役割の解明を出発点としているがゆえに、自然と社会を改造するための豊かな理論をもち、人民大衆の自主性を擁護するためのあらゆる闘争段階の課題とその遂行方途を明示するととが可能であったのです。チュチェ思想によってはじめて、民族の独立を達成し新しい社会をきずくための道と、相異なる社会経済的状況のもとで社会主義へと進む最も普遍的な道が明らかにされましたし、社会主義制度の樹立後、旧社会の遺物を成功裏に一掃し、人民大衆を自然と社会のあらゆる束縛から終局的に解放する明るい前途が広々と開かれたのであります。

 科学的な指導方法にかんする学説の創始は、チュチェ思想のいま一つの偉大を功績であります。

 人民大衆は自然と社会を改造する闘争の主人ではありますが、おのずと、主人としての責任と役割を果たせるのではありません。人民大衆は正しい指導を受けてこそ、自主性を擁護する闘争の真の主人となりうるのであります。

 整然たる指導体系と科学的指導原則、革命的活動方法と人民的活動作風を内容とするチュチェの指導方法は、人民大衆をして自然と社会を改造する闘争において主人としての責任と役割を全うし、かれらの創造的知恵と力を高度に発揮させる最も正しい指導方法であります。チュチェの指導方法の確立によって、広範な人民大衆を一つの力量に結集して自主性をめざす闘争へと力強く動員しうる強力な武器がもたらされました。

 チュチェ思想の創始は、人類の思想発展と自主性をめざす人民の闘争において、きわめて大きな意義をもっています。チュチェ思想の創始によって、人類の思想史にはじめて人間本位の世界観が確立し、人民大衆の自主性を立派に実現しうる科学的な指導理論と指導方法が全一的に確立したのであります。

 チュチェ思想は、人民大衆をあらゆる奴隷的屈従の思想的くびきから解放し、人間の思惟を人間中心の科学的思惟に転化させた偉大な思想であります。

 チュチェ思想の創始による思想領域でのこの偉大な転換は、自主性をめざす人民の実践闘争における歴史的変革を確固と裏付けています。この変革は遠い将来のことではなく、すでに我々が目撃している歴史的現実であります。

 それゆえに、まさに1976年9月、マダガスカルの首都タナナリブで開かれたチュチェ思想国際科学討論会は、チュチェ思想を金日成主席の名前と結びつけて呼ぶのは当然のことであると認める宣言をしましたし、日本・東京での第5回チュチェ思想科学討論全国集会は、金日成主席の思想・理論体系はチュチェの哲学思想をはじめ、大衆指導理論およびその他幅広い領域にわたる一貫した体系であると認め、それを金日成主義と呼ぶのが妥当であると内外に宣言しました。

 親愛な同志と友人のみなさん!

 チュチェ思想の創始以来、輝かしい半世紀がすぎました。この半世紀のあいだ、人民大衆の自主性をめざす偉業を勝利のうちに導いてきたチュチェ思想は、その真理性と不敗の偉力を誇示しながら、全世界に広がっていきました。チュチェ思想ほど広範な人民の心をつかんだ思想は、歴史にいまだ例がありません。チュチェ思想は、すでに我々の時代の確固たる思潮となっております。

 チュチェ思想がこれほど大きな感化力と牽引力をもって、数億人民のあいだに急速に普及しているのは、全く合法則的なことであります。

 尊敬する金日成主席は、次のように述べています。

 「チュチェ思想が、こんにち世界の広範な人民のあいだで大きな共感を呼びおこしているのは、何よりもチュチェ思想が、自主性を要求する世界の人民の志向と念願にかなっているからだと思います」。

 チュチェ思想は、自主性を求める我々の時代の人民の根本的志向と念願に全的にかなった思想であります。

 こんにちの時代、我々の時代は、自主性を求める人民の志向がかつてなく高まり、すべての人民が自主の道を進む世界史的発展の新しい時代であります。かつて、自主性を奪われ従属と支配のもとで迫害と蔑視を受けてきた人民がこんにちでは歴史の舞台の主人として登場し、自己の運命を自主的、創造的に切り開いています。なんぴとも他人に支配され、従属しながら生きることを望まず、国と民族の尊厳が踏みにじられるのを許そうとしません。社会主義諸国人民はもとより、資本主義諸国人民も自主の道を歩もうとしており、特に長いあいだ、帝国主義・植民地主義の支配下に苦しんできた新興勢力諸国人民が自主の旗を高くかざして進んでいます。先行する時代とは比べようもないほど変化した世界の政治地図は、我々の時代のこの根本的特徴を如実に示しています。数世紀ものあいだ強国の植民地支配圏に分割されていた諸大陸が、こんにちでは大小の独立国でおおわれ、自主独立の旗は大洋の島々にもへんぽんとひるがえっています。

 国際舞台では、少数の強国が人民の運命を左右し、すべての問題を自分たちにのみ有利に決定してきた古い秩序をうち破り自主性にもとづく新しい国際秩序をうち立てる闘争が激しく展開されています。自主性をめざす共通の志向のゆえにかたく団結した人民の力によって、支配主義勢力はいたるところで孤立し排撃されており、もはや勝手な振舞いができなくなりました。実に、民族の独立と社会的進歩のための闘争、社会主義をめざす闘争、人種主義に反対し、真の人権を擁護する闘争、世界平和をめざす闘争など我々の時代のこれらすべての闘争は、いずれもあらゆる形の従属と支配を一掃するための闘争であり、それは結局、国と民族、人民の自主性を擁護するための闘争であるといえます。

 人民が自主性を求め、多くの国が自主の道を進むのは、我々の時代のおしとどめることのできない趨勢であります。

 チュチェ思想はまさに、我々の時代の人民の根本的志向である自主性を最も徹底的に擁護し、それを実現する明るい道をさし示した偉大な思想であります。

 チュチェ思想は史上初めて、世界における人間の尊厳ある地位と創造的役割、自然と社会を改造する闘争での人民大衆の主人としての地位と決定的役割を明らかにすることによって、また、自主性をめざす人類の歴史的偉業を成就するうえでの問題に科学的解答を与えることによって、人民大衆の深い共感を呼んでいるのであります。

 かって、いかなる思想も、チュチェ思想ほどに人民大衆の地位を高く引きあげることはできなかったし、かれらの根本的志向と念願をこれほどまでに徹底して代弁し、擁護することもできませんでした。

 人民の志向と念願にかなう思想は、どんな壁をもつき破って人々の頭や胸にしみこみ、そこに定着するものであります。人民の自主性をあくまで擁護するチュチェ思想が、自主の道を歩もうとするかれらの絶大な支持と共感を得て、急速に普及するのはきわめて当然なことであります。

 人民はチュチェ思想を求めており、チュチェ思想に学んでいます。いまわしい植民地支配をくつがえし、民族の自由と尊厳をとり戻すために勇敢にたたかっている闘士と人民は、チュチェ思想の旗印を高くかかげて進んでいます。民族の独立を達成し、自由で繁栄する新しい社会をきずくために決起した人民はまた、この偉大な思想に学び、そこにみずからの進路を見出しています。チュチェ思想は、こんにち資本主義国人民のあいだにも広く普及しています。

 チュチェ思想は少数の先覚者にとどまらず、各階層の広範な人民が確信し学んでおり、かれらの共同の思想的精神的財宝となっている偉大な思想であります。世界各国の労働者、農民はもとより、青年学生、知識人、学界、政界の進歩的人士、平和擁護者など人間の尊厳を守り真理を愛するすべての人々が、この偉大な思想に学んでおり、真の人生をそこに見出しています。

 チュチェ思想に学び、この不滅の思想を信念として生きようとする人民の念願を反映して、金日成主席の古典的労作が世界的に毎年数十の民族語で翻訳、出版されており、世界各国の無数の新聞、雑誌が、主席の労作を紹介しています。5大陸の多くの国にすでに多数のチュチェ思想研究組織が結成され、チュチェ思想を確信する人々の数はますます急速に広がっています。また、多くの国々でチュチェ思想を研究し体得するための討論会が幅広くもたれています。

 チュチェ思想を研究し体得するための活動が世界各国で広く展開されるなかで、この活動はついに国際的なものに発展したのであります。

 こうして、1971年10月、レバノンの首都ベイルートで中近東諸国の社会科学者や政治活動家、出版界代表ならびにチュチェ思想研究グループ代表の参加のもとに、初の国際的討論会──「金日成同志の創造的チュチェ思想研究討論会」がもたれ、以来、このような国際的討論会は毎年大規模かつ盛大に開催されています。

 1972年12月には、シェラレオーネの首都フリータウンで「全アフリカ金日成同志のチュチェ思想討論会」が、1973年11月にはソマリアの首都モガジシオでソマリア政府主催の「中近東・アフリカ地域チュチェ思想にかんする討論会」が開かれました。

 そして、1974年にはトーゴの首都ロメで金日成主席の農村テーゼ発表10周年を記念してトーゴ政府が主催した「農村問題解決のための第三世界人民の課題にかんする討論会」がおこなわれ、1975年10月にはラテンアメリカ諸国の初のチュチェ思想科学討論会がペルーの首都リマで開催されました。

 これら5回にわたる国際討論会以後、この事業は急激な拡大、発展をみました。こうして1976年9月には、マダガスカルの首都タナナリブで世界50余か国の代表が集まって「チュチェ思想にかんする国際科学討論会」が開かれましたし、1977年9月には朝鮮民主主義人民共和国の首都・平壌で、5大陸73か国と4つの国際機構から89の党および政府代表団と広範な各界代表が参加した、文字どおり史上最大の国際討論会が盛大にもたれました。

 これらの事実は、こんにち、チュチェ思想に学び、それを指針にして自己の運命を切り開いていこうとする人民の熱望がいかに大きなものであるかをはっきり示しています。

 チュチェ思想国際研究所の創立は、チュチェ思想に学ぼうとする人民のこのような熱望をそのまま反映しております。多くの国が自主の道を歩むのは時代の基本的趨勢となっており、すべての人民がチュチェ思想に学ぶのは時代のおしとどめがたい潮流となっているこんにち、チュチェ思想を研究し普及する国際組織が創立されたことは、一つの歴史的必然であると言えましょう。これが、まさしくチュチェ思想国際研究所創立の時代的背景なのであります。

 事実、チュチェ思想を研究し普及する国際組織の創設に対する要求は、すでに久しい前から、この思想を確信し研究する多くの個別的人士や世界各国の研究組織、そして数回にわたる国際討論会でしばしば提起されました。

 タナナリブ討論会は、各階層人民のこのような意思を反映して、その宣言で、チュチェ思想を研究し普及する国際組織の創設を緊要な問題であると表明し、また、タナナリブ宣言にもとづいて開催された平壌討論会は、チュチェ思想にかんする国際的研究組織を創設するための組織委員会を構成しました。

 チュチェ思想国際研究所の創設を表明したタナナリブ討論会と平壌討論会の決議は、広範な社会層の熱烈な支持を受け、進歩的人民の多大な共感を呼びおこしました。

 組織委員会はその間、事務所を日本の東京におき、活発な活動をおこなってきました。組織委員会は、日本の多くのチュチェ思想研究家と各界の人士、世界の広範な社会層の積極的な協力を得て、チュチェ思想に関する国際研究組織の創立準備を成功裏にすすめてきました。その結果、きょう、ついにチュチェ思想国際研究所を創立する誇らしい実りを結ぶにいたったのであります。

 チュチェ思想国際研究所の創立は、世界的な規模で不滅のチュチェ思想を研究し普及する活動における一つの新たな歴史的里程標であります。

 チュチェ思想国際研究所の創立は、不滅のチュチェ思想に学び、自主、自立をめざしてたたかう数億人民を力強く励ますでありましょう。チュチェ思想国際研究所の創立によって、我々はチュチェ思想を研究し普及するための強力な国際的拠点をもつことになりました。国際研究所が創立されたいま、世界的な規模でチュチェ思想を研究し普及する活動は、この思想に学ぼうとする諸国人民の期待にそって新たな高い段階でよりいっそう深化発展するでありましょう。

 チュチェ思想国際研究所の創立は、我々の時代の偉大な指導思想であるチュチェ思想を守りぬき、この不滅の思想を広く解説・宣伝することによって、チュチェの旗のもとに自主の道を進む世界人民の闘争にいっそう拍車を加え、チュチェ偉業の世界史的勝利をさらに早めることになるでしょう。

 チュチェ思想国際研究所は、世界の進歩的人民の友好と団結の強化に大いに貢献するでありましょう。いま、世界のいたるところで人民の団結した力の前に敗北を余儀なくされている帝国主義者は、手段と方法の限りをつくして各国人民の分裂と反目を策しています。チュチェ思想国際研究所は、不滅のチュチェ思想を広範な人民のあいだに広く解説し宣伝することによって、帝国主義者の分裂策動を粉砕し、自主性にもとづく各国人民間の最も強力な団結と協力を実現するうえに貢献するでありましょう。

 組織委員会委員のみなさん!

 同志と友人のみなさん!

 チュチェ思想の先覚者と世界の進歩的人士が熱望していたチュチェ思想国際研究所の創立を世界に宣言するこの意義深いときにのぞんで、わたしは、本研究所の性格と任務、活動方向にふれる必要があると思います。

 チュチェ思想国際研究所はその名称が示しているように、チュチェ思想にかんする国際的な学術研究団体であります。我々の時代の偉大な思想潮流であり、不滅の旗印であるチュチェ思想を全面的に研究し、チュチェの深奥な真理をもって数億人民大衆を覚醒させることを誇り高い使命としているところに、本国際研究所の根本的性格があります。

 我々は、国際的な学術研究団体としての性格を正確に表し、わが研究所の目的と理念を明確に示すために本組織の名称もチュチェ思想国際研究所と定めたのであります。

 チュチェ思想国際研究所は、偉大な金日成主席によって創始されたチュチェ思想を研究し広く普及することを基本任務とし、この任務を円滑に果たすために、すべての活動を積極的に進めていくでありましょう。

 チュチェ思想を研究し、それに学ぶのは、自主性を尊び、それを擁護するためにたたかう人々の当然の本分であり、チュチェの偉大な真理を全世界人民に深く認識させること以上に誇らしく有意義な仕事はありません。

 チュチェ思想国際研究所は、時代と人民の前に担った崇高な任務を全うするために、何よりも不滅のチュチェ思想をさらにほりさげて研究する活動を力強くくりひろげるでありましよう。

 我々は、知恵と力のすべてを集めてチュチェ思想の研究を深め、チュチェの思想、理論、方法の諸原理を着実に体得していくでありましょう。そして、チュチェ思想を立派に具現して自主、自立、自衛を実現し、民族の真の独立と繁栄を達成した朝鮮の歴史的経験と世界各国の貴重な経験を各分野にわたって研究することによって、チュチェ思想の偉大さと正しさ、その不敗の生命力をいっそう深く把握するとともに、この思想を実生活に生かす具体的な方途を習得していくでありましょう。

 チュチェ思想国際研究所はまた、その性格と任務に従って、チュチェ思想を世界の広範な人民大衆のなかにひろく普及する活動を各方面にわたって強力におし進めるでありましょう。研究所は、金日成主席の古典的労作を普及し、チュチェ思想にかんする討論会や講演会を組織し、機関誌「チュチェ思想研究」を定期的に発行し、世界各国のチュチェ思想研究活動に理論的な協力をおこなうとともに、その経験を交流し、チュチェ思想にかんする図書室や図書展示会を開くなどの諸活動を積極的にすすめることになります。こうして、チュチェ思想をいっそう全面的にほりさげて研究し、それに学ぼうとする人民の大きな期待にこたえるでありましょう。

 チュチェ思想国際研究所は、チュチェ思想に関心を寄せる世界全国の諸団体および進歩的人士との緊密な連係のもとに活動をすすめるでありましょう。

 チュチェ思想国際研究所は、世界各国の著名な人士からなる理事会によって指導され、研究所の日常的な活動は研究所の規則と理事会の決定に従って事務局がおこなうことになります。本研究所の活動は、主として、チュチェ思想を研究し、それに学ぶ世界各国の団体および個人の財政的支援によって維持されます。

 わたしは、チュチェ思想国際研究所が、チュチェ思想を生活の信条とし、闘争の指針とする世界の進歩的人民と各界人士の一致した関心と支持のもとに、その栄誉ある使命を立派に果たすであろうと確信を表明するしだいであります。

 組織委員会委員のみなさん!

 同志と友人のみなさん!

 チュチェ思想の不滅の真理を体得しそれを指針にして生き、かつ、たたかおうという熱烈な心情を抱いて、ここ東京に集まった我々は、きょう、チュチェ思想国際研究所の創立を厳かに宣言する光栄に浴しています。

 チュチェ思想を研究し、それに学ぶ学徒である我々は、チュチェの時代、自主の時代の先覚者であり、自主的な新しい歴史の開拓者であります。

 我々は、今後、チュチェ思想をさらに幅広くほりさげて研究体得し、それを自己の不動の信念、生活の信条とし、チュチェ思想の普及に全力をかたむけることでしょう。我々は、この不滅の思想を指針にして、帝国主義およびあらゆる従属を一掃した新しい生活、真に自主的で創造的な生活をするためにたたかいぬくでありましょう。

 我々は、全世界においてチュチェの偉業、自主の偉業が最終的勝利をおさめる日まで、すべての進歩的人民とかたく団結して進むでありましょう。

 我々はこの機会をかりて、自主性を擁議してたたかっている世界各国人民に連帯を表するとともに、自主性を踏みにじる帝国主義、支配主義勢力を断罪します。朝鮮の分裂を固定化し、「二つの朝鮮」をでっちあげるために躍起になっている帝国主義者とその追随者を糾弾し、あわせて南朝鮮社会の民主化と国の自主的平和統一をめざしてたたかっている全朝鮮人民の正義のたたかいにかたい連帯を表するものです。

 我々は、帝国主義と人種主義の鉄鎖を断ち切って、国の独立をかちとるためにたたかう植民地従属国人民と、民族の独立をかため新しい国際秩序を確立するためにたたかっている新興勢力諸国人民に積極的な支持と声援をおくります。我々はまた、民主主義的自由と権利をめざしてたたかう資本主義諸国人民と自主性を擁護するためにたたかっているすべての国の人民にかたい連帯を表します。

 チュチェ思想の不滅の旗印は、我々の洋々とした前途を指し示しており、この道を進む我々に勇気と勝利の信念を与えています。この旗印を高くかかげて進む人民の行く手には、常に勝利と栄光があるのみです。

 みなさん! チュチェ思想が指し示す自主の道にそって、人類の明るい未来に向け力強く前進しましょう。

 基調報告を終えるにあたって、わたしは、偉大なチュチェ思想の創始者である金日成主席に重ねて心からなる敬慕の念を表するとともに、我々一同の一致した念願をこめて、朝鮮の自主的平和統一のために、世界人民の永遠の幸福のために、尊敬する主席の万年長寿をつつしんで祝願いたします。

 不滅のチュチェ思想万歳!

 チュチェ思想国際研究所万歳!

出典:『キム・イルソン主義研究』第5号 1978年4月15日





inserted by FC2 system