金正恩時代の朝鮮
−チュチェ思想の偉大な生命力−
 「チュチェ思想化と日朝友好運動に学ぶ」研究会での報告
 −2013年7月8日−


 2011年12月17日、朝鮮労働党総書記であり国防委員会委員長であり、朝鮮人民軍最高司令官である偉大な指導者・金正日総書記が逝去しました。

 2011年12月30日、朝鮮労働党政治局会議で金正恩副委員長を朝鮮人民軍最高司令官に任命。2012年4月11日、朝鮮労働党第4回代表者会は、金正日総書記を永遠の総書記に、金正恩氏を第1書記に推戴しました。2012年4月13日、万寿台議事堂で最高人民会議第12期第5回会議が開催され、金正日総書記を永遠の国防委員会委員長に、金正恩氏を第1委員長に推戴しました。


朝鮮における社会主義建設

 金日成主席は1962年12月、朝鮮労働党中央委員会第4期第5回総会を開き経済建設と国防建設を並進させる戦略的方針を示しました。

 金日成主席は、次のように述べています。

 「我が党は、…すでに1962年に開かれた党中央委員会第4期第5回総会で経済建設と国防建設を並進させる方針をうちだし、経済建設をくみかえるとともに、国防力をいちだんと強化する一連の重要な対策を立てました」(『現情勢と我が党の任務』1966年10月5日)

 経済建設と国防建設の並進は、両者のいずれをも弱めず、ほとんど同じ比重で発展させることを意味します。


 金日成主席は1964年2月25日、『我が国における社会主義農村問題に関するテーゼ』で思想、技術、文化の3大革命の推進を提起しました。

 1973年から「3大革命グループ運動」が始まりました。

 この運動は、思想・文化・技術の3大革命をより強力に推進するため、人民経済の各部門に、政治的・技術的水準の高い党の中核活動家とインテリからなる「3大革命グループ」を組織、派遣しておこないました。同グループは、党、国家、大衆団体の幹部と、科学者、技術者、青年インテリから、およそ20〜30人程度(規模の大きい工場、企業所では50〜60人)で構成されています。3大革命運動は、青山里方法を具現した現代的な革命指導方法です。

 金正日総書記は1975年11月、「3大革命赤旗獲得運動」を提起し、その指導にあたりました。

 3大革命赤旗獲得運動は、全社会のチュチェ思想化の要求に即して思想、技術、文化の3大革命を力強くくりひろげ、社会主義建設を推進するための全人民的運動です。社会の全構成員を熱烈な革命家にするための大衆的思想改造運動と人民経済を現代技術で装備するための集団的技術改造運動であり、勤労者の文化・技術水準を高め、かれらに文化的な生活条件を保障するための大衆的文化改造運動を包括します。3大革命の遂行で模範を示した単位に「3大革命の赤旗」が授与されます。こんにち朝鮮では、2重、3重の授与者が続出しています。

 最近報道された、3大革命グループ運動について紹介します。

 3大革命グループは、新しいものに敏感で進取の気性に富む大学卒業生で、人民経済の各部門に派遣されて新世紀の産業革命を推し進めることに主眼を置く一方、朝鮮労働党の思想・技術・文化の3大革命路線を積極的に推進している。
 平壌紡織機械工場で活躍している3大革命グループも、科学技術の威力によって経済強国の建設を推し進めているこんにちの大進軍の道で斥候兵、旗手としての責任と役割をまっとうしている。
 グループ責任者をはじめグループは、金日成総合大学と金策工業総合大学、平壌機械大学、韓徳銖(ハンドクス)平壌軽工業大学の卒業生である。
 彼らは派遣された初日から機械設備と生産工程の近代化をめざす工場の技術革新目標を達成するため知恵を絞り、情熱を傾けている。
 製品の加工精密度を保障し、実収率と生産能力を高める紡織機械設備など、工場でここ数年新しく創案、製作した機械と加工設備には、3大革命グループの陰の努力が秘められている。
 グループは、技術革新の先頭に立つだけでなく、教師となって、労働者、技術者に先進科学技術知識も教えている
 そして、工場の幹部、従業員と力を合わせて職場をきれいに整備し、さまざまな大衆文化活動と大衆スポーツ活動も多彩に繰り広げている。
 3大革命グループ! 彼らの献身の努力によって工場の生産実績はさらに高まっており、社会主義経済強国建設が推進されているのである。


  朝鮮人民は、革命の各年代に党と指導者の愛国的アピールに新たな進軍速度の創造でこたえて社会主義の建設を力強く前進させてきました。


各年代における「速度戦」

  金日成主席が1956年12月総会以後に提示した「チョンリマ(千里馬)を駆る勢いで前進しよう!」という戦闘的な呼びかけにこたえて朝鮮人民は、チョンリマの勢いで前進して工業化の歴史的課題をわずか14年間という短期間に成功裏に遂行するチョンリマ速度を創造しています。

  このような大飛躍の炎の中で1958年には、平壌市建設者たちによって14分間に住宅が1所帯ずつ組み立てられる平壌速度が生み出されました。長編小説『平壌時間』は、党と領袖(指導者)のまわりにかたく団結し、金日成主席(当時は首相)の同志愛にこたえ、建設に邁進する人民の姿を描き出しています。

  1970年代には世界を驚かす工業の成長速度が記録され、革命と建設の各分野で労働党時代の一大全盛期が開かれることになりました。

 金日成主席は1980年の『新年の辞』で次のように述べています。

 「昨年、革命と建設の誇らしいたたかいのなかで、我々の革命隊伍はいっそう強化されました。全社会をチュチェ思想化する活動で大きな前進が遂げられ、チュチェ思想にもとづく人民大衆の政治的・思想的統一が盤石のようにかためられました。
 昨年、社会主義建設で達成されたすべての勝利と成果は、全人民が我が党のまわりにかたく団結し、高度の革命的熱意と創意を発揮してたたかったたまものです。
 私は昨年、革命闘争と建設事業で不滅の偉勲を立てた労働者、農民、兵士、勤労インテリをはじめ、全人民にあつい感謝を送ります」

  「チョンリマ大高揚期の勢いで『80年代の速度』を創造しよう!」という朝鮮労働党の戦闘的スローガンのもとに全人民的な進軍運動が力強く展開されて、1980年代が社会主義の建設において新たな偉勲の年代として歴史に記されました。

  金日成朝鮮の100年代を総括する歴史の分水嶺で軍人建設者たちは、新たなチョンリマ速度で従前には10年以上かかると言われていた煕川(ヒチョン)発電所の建設をわずか数年間に終える奇跡を生み出しました。

  金正日総書記は2009年9月、同建設場を訪ねて彼らが創造した建設速度を「煕川速度」と命名しました。

  チュチェ朝鮮の新たな100年代が始まったこんにち、金正恩第1書記は、『新年の辞』で、朝鮮労働党の呼びかけにこたえて洗浦(セポ)台地の開墾現場に果敢に駆けつけた人民軍軍人と突撃隊員は、今年の戦闘で新たな奇跡と英雄的偉勲を立てて党の大自然改造構想を早期に実現する明るい展望を開かなければならないと強調しました。

  洗浦台地の開墾は、江原道の洗浦、平康、伊川地区の広大な大地に数万ヘクタールの人工および自然草原を造成し、牛、羊、ヤギ、兎、豚を飼育することのできる数百棟の畜舎と現代的な畜産物加工拠点、貯留池、放牧道路、住宅を建設し、防風林を造成しなければならない膨大な工事です。

 金正恩第1書記は2013年6月4日、「『馬息嶺(マシクリョン)速度』を創造して社会主義建設の各部門で新たな全盛期を開いていこう」と題するアピールを発表。アピールに接した朝鮮の軍隊と人民が、経済建設などすべての分野で一大革新を起こしています。

 金正恩第1書記は2013年3月31日、朝鮮労働党中央委員会2013年3月総会でおこなった報告で次のように述べています。

 「こんにち、我々には日を追って増大する敵の反共和国圧殺策動を粉砕するための反米全面対決戦で決定的勝利をおさめ、チュチェの社会主義祖国を永遠にこの世界の誰も手出しできない白頭山大国に輝かすべき重大な課題が提起されています。
 現情勢と革命発展の要求から党中央は、経済建設と核武力建設を並進させることに関する新たな戦略的路線を示すことになります。
 経済建設と核武力建設を並進させることに関する我が党の路線は、偉大な総書記が譲り渡した核武力を強化し、発展させて国の防衛力を鉄壁にかため、経済建設にさらなる力を入れて、我が人民が社会主義の富貴栄華を思う存分享受する強盛国家を建設するための戦略的路線です。
 経済建設と核武力建設を並進させるのは、生じた情勢の必須の要求です」

 『朝鮮労働党中央委員会2013年3月総会でおこなった報告』で明らかのように金正恩第1書記は、チュチェ思想、金日成−金正日主義をさらに深化、豊富化させ、2013年6月13日発表したアピール「『馬息嶺速度』を創造して社会主義建設の各部門で新たな全盛期を開いていこう」で人民愛に基づく戦略的路線を提示しています。

  他国なら10年かかってもやり遂げられない世界一流のスキー場の建設でわずか1年もならないうちに勝利の突破口を開いた人民軍軍人たちが先頭に立って創造している「馬息嶺速度」には、難関に屈せず、勝利におごらず、継続革新、継続前進する朝鮮人民固有の闘争精神と気風が反映されています。

 2013年6月14日付けの朝鮮中央通信は、「洗浦台地開墾に参加した軍人建設者と突撃隊員の軍民大会」について、要旨次のように伝えました。

 「馬息嶺速度」を創造して社会主義建設の各部門で新たな全盛期を開いていこうという金正恩元帥の歴史的アピールに提示されている綱領的課題を貫徹するための洗浦台地開墾に参加した軍人建設者と突撃隊員の軍民大会が13日、現地で行われた。

  報道は、金正恩元帥が送ったアピールが伝達されたことと参加者、洗浦台地開墾参加者が全国の勤労者に送る手紙が朗読されたことを伝えています。

  手紙は、洗浦台地を世界的な畜産拠点としてだけでなく、スキー場とソリ場、競馬場と生態公園、宿泊施設をはじめ観光サービス施設を完備して世界の人々が大勢集まる観光地につくると指摘した。
  また、「馬息嶺速度」に前進の歩幅を合わせて先軍朝鮮の軍民大進軍速度を創造し、金正恩時代の大繁栄期を開くことをアピールした。

 「馬息嶺速度」を創造しながら奮発し、また奮発する朝鮮の軍隊と人民の底知れない力とたたかいによって、社会主義の建設では必ず新たな転換的局面が開かれるでありましょう。あわせて、各部門における新たな全盛期をつくりだす朝鮮の社会主義建設は、チュチェ思想、金日成−金正日主義の偉大な生命力、社会主義の優位性をあますことなく示しています。


朝鮮半島の核問題について

 2013年3月から4月にかけて、朝鮮半島核戦争危機が全世界を覆いました。
 
 朝鮮半島における核問題は、アメリカが、朝鮮戦争(1950.6.25−1953.7.27)で、すでに広島、長崎で実験済みであった原爆を38度線以北に投下する計画と、朝鮮戦争に敗北した後、南朝鮮に核兵器を持ち込むことによって発生しました。

 金日成主席は1950年12月、慈江道(チャガンド)長江郡(チャンガングン)香河(ヒャンハ)で開催した朝鮮労働党中央委員会第3回総会でおこなった報告で次のように述べています。

 「強盗アメリカは、こんにち朝鮮で侵略的目的を達成することができなくなると、原爆を投下するといって我々を威嚇しています。かれらのこのような威嚇は、全世界平和愛好諸国人民の怒りをさらに激しくさせているばかりでなく、帝国主義陣営の内部でもアメリカ帝国主義にたいする非難が高まっています」(『現情勢と当面の任務』1950年12月21日)

 アメリカは、1950年代中ごろから朝鮮停戦協定を無視し南朝鮮に核兵器を不法に持ち込んだばかりでなく、1970年代からは南朝鮮の核基地化を本格的に図り、1980年代中ごろには海外最大の核兵器貯蔵庫につくりあげました。

 *1985年度南朝鮮の「国会」議事録には、1720余発の各種核兵器が南朝鮮に配備されていると記されている。

 これにより南朝鮮の核兵器配備密度は、100平方キロメートル当り1発であり、これは15カ国が網羅されたNATOのそれより4倍も稠密なものであり、総爆発力は1万3000キロトンで、広島に投下された原子爆弾の1750倍(1979年1月にアメリカのブルッキングス研究所が分析した資料による)にもなります。

 朝鮮半島における核の脅威の根源は、南朝鮮での核戦争演習が繰り返しおこなわれ、アメリカの高位当局者が共和国に対する核恐喝発言をおこない、危険な状態になっています。

 核配備は、使うことの意思表明です。米国はこれまで、核兵器の使用を機会あるごとにほのめかしてきました。

 その1 1976年6月20日、シュレジンジャー米国防長官は記者会見で、「我々は、いかなる選択肢も除外することはできない。周知のことと思うが、我々は韓国に戦術核兵器を展開している。1945年以来、我々は怒りにまかせて核兵器を爆発させることはやらなかった。もし、状況が戦術核兵器の使用を必要とするようになるなら、もちろん慎重に考慮されるものと思う」と、共和国にたいする核兵器の使用を示唆しました。

 その2 1977年5月29日、カーター米大統領は「西太平洋地域(朝鮮半島を含む)などに核兵器が配備されているそのこと自体、必要とあればこれを使用する可能性があることを意味している」と言明しました。

 「南朝鮮をアジアの軍事橋頭堡として絶対手放さない」。これは、ベトナム戦争に敗北した後の1977年4月の米国防次官の発言です。

 アメリカは、1976年から核戦争演習である「チーム・スピリット」合同軍事演習の規模を毎年拡大してきました。さらには、朝鮮半島を核兵器使用対象の「一級地域」に該当する「戦略上要衝地帯」としながら「朝鮮半島有事の際には、北朝鮮の中心部を核攻撃する」というアメリカ高位当局者の核恐喝発言が随時、発されています。

 軍事演習は、言うまでもなく、戦争への道であり、遂行のための準備です。まして、銃乱射事件による殺人事件が発生している社会で育ち、「軍事演習」下の異常な精神状態に陥っている米軍兵士の暴発の危険性は否定できません。指揮官ですら、その範疇にあることを銘記すべきだと考えます。

 朝鮮半島における核の脅威は増大の一方をたどり、ついに、2013年朝鮮半島核戦争の危機をつくりだしました。

 これらすべてのことは、朝鮮半島における核問題が、南朝鮮に配備された核兵器と核基地、軍事演習から生じる問題であり、それに対する全的な責任がアメリカの核政策にあるということを示しています。


2012年5月から2013年4月に強行された主な米韓合同軍事演習

 「若い指導者」の「政権不安定」のうちに、「北朝鮮をつぶす」ことを意図する米国は、2012年に入るやいなや北侵軍事演習を強化しました。

 2012年からの1年間の米韓合同軍事演習には、「過去最大規模」の主な合同軍事演習が2つあります。

 その1つは、2012年5月7日から12日に実施された朝鮮半島の西部上空で大規模な連合空中戦闘訓練である「マックス・サンダー」演習。戦争演習は、「韓」国軍からはF15やF16戦闘機など38機、米軍からは空中給油機や空中警戒管制機(AWACS)など22機が参加。両軍合わせ戦闘機など60機を動員する過去最大規模の演習で、敵の攻撃拠点を特定した「精密爆撃」の訓練。

 2つめは、2012年6月22日に実施された米「韓」合同実弾訓練。南朝鮮の陸・空軍と在「韓」米軍のアパッチ攻撃ヘリ部隊など38個部隊の兵士2000人余りが参加。多連装ロケット砲やK9自走砲、戦車、F16戦闘機などを動員し、約1時間にわたり機関銃や砲弾などを共和国国旗めがけて数千発発射しました。場所は、非武装地帯に近い京畿道抱川演習所。
 
 このほかに2012年からの1年間における主な米韓合同軍事演習は、次のとおりです。

 2012年5月28日から29日に、「韓」・オーストラリア海軍合同演習。内容は、済州島近海で潜水艦の発見、追跡、魚雷兵器使用に関する共同訓練。


 同年6月21日、米・日・「韓」合同軍事演習。朝鮮半島南部の公海上で、米原子力空母「ジョージ・ワシントン」を旗艦とする機動部隊と日本の海上自衛隊のイージス艦「キリシマ」など3隻が参加。


 同年8月20日から31日、米・「韓」合同軍事演習「乙支フリーダム・ガーディアン」の実施。この合同軍事演習は、米「韓」連合軍司令部の主管のもと、米軍側から外国で活動している兵力3000余人を含め約3万人、南朝鮮軍から軍団と艦隊司令部、飛行団級以上の5万6000人が参加。看過できないことは、オーストラリア、イギリス、カナダ、ニュージーランド、デンマーク、ノルウェー、フランス、スイス、スウェーデンの要員が参加していること。南朝鮮では、中央政府と地方自治体など3500余の機関で約41万人が参加したことである。


 同年10月25日から11月2日、「護国訓練」 朝鮮中央通信社(10月31日)は論評で次のように述べています。

 …南朝鮮の全域で大規模の戦争演習である「護国」訓練を開始した。
 綿密に作成された北侵作戦計画に従って南朝鮮占領米軍武力とかいらい陸・海・空軍など24万人余りの兵力が動員されて、共和国への先制打撃を想定した訓練を実戦の雰囲気のなかで強行している。
 軍団級作戦計画の施行、大規模の空中攻撃脅威に対応する合同対空および連合攻撃編隊軍訓練、統合防護訓練、合同上陸訓練など演習の期間、かいらい航空武力が700回以上出撃し、艦艇60余隻が機動、展開される。…

 なお、南朝鮮の「連合ニュース」は、米帝侵略軍の原子力潜水艦「オハイオ」号が10月24日、釜山にあるかいらい海軍作戦司令部基地に入港した、と報道。


 2013年2月4日から6日、東海(日本名:日本海)浦項沖で米・「韓」合同軍事演習。

 米軍から、巡航ミサイル・トマホークを搭載した原子力潜水艦「サンフランシスコ」号(排水量6800トン)と駆逐艦「シャイロ」(排水量9800トン)、イージス艦が参加。南朝鮮軍から軍艦10隻が参加。同海域への原潜派遣は19年ぶりです。


 同年3月11日から21日、米・「韓」合同軍事演習「キー・リゾルブ」

 南朝鮮軍約1万人と米軍3500人が参加する指揮系統の軍事訓練。南朝鮮にある「国連軍司令部」構成国のデンマーク、イギリス、オーストラリア、コロンビア、カナダの5か国からも一部兵力が参加しました。


 同年3月1日から4月30日、米・「韓」合同野外機動演習「フォール・イーグル」

 メディアが、「朝鮮半島で戦争勃発の確率は80%だ」と評した今回の「フォール・イーグル」の概観は次のとおりです。

 核爆弾を積載した米国の超大型原子力空母打撃団とB52、B2をはじめとする核戦略爆撃機、原子力潜水艦、誘導弾駆逐艦集団、F22ステルス戦闘機編隊をはじめ、各種の核打撃手段が朝鮮を目標に機動している。連合上陸訓練(「双竜」訓練)、海辺を通じて燃料と弾薬、各種の補給品を運搬する合同海岸揚陸軍需支援訓練、非常滑走路離着陸訓練などによって軍事的挑発の水位が最も危険な段階に至った。

 米国は、西太平洋にある米軍の戦略的拠点であるグアムに原子力潜水艦7隻を集結させたのに続き、最新型垂直離着陸輸送機「オスプレイ」を南朝鮮に搬入して「フォール・イーグル」合同軍事演習に投入した。迎撃ミサイルを搭載したイージス駆逐艦「ジョン・S・マッケイン」号と「ディケイター」号、弾道ミサイル探知用移動式海上レーダー「SBX1」を展開し、他国に対する侵略戦争を挑発するたびに派遣する原子力空母集団まで朝鮮半島に近い水域に機動させた。

  慶尚北道浦項で行われている連合上陸訓練には沖縄駐屯米第3海兵師団所属海兵隊、米第76機動隊とかいらい軍海兵隊、そして去る朝鮮戦争に参戦したオーストラリア戦闘兵力をはじめ、数多くの侵略武力と高速機動用垂直離着陸輸送機など最新攻撃装備が大々的に投入されている。

  4月25日、慶尚北道栄州でF15K、KF16をはじめ、各種の軍用機の参加のもとに行う非常滑走路離着陸訓練は1991年以降22年ぶりに初めて実施されるものだという。

  一方、米国は4月22日、原子力空母「ニミッツ」号を西太平洋に派遣したということを明らかにし、空母「ジョン・ステニス」号と交替して北のミサイル発射などの「挑発」行為を抑制すると同時に、西太平洋に配備されたイージス艦とグアムに集結した原子力潜水艦と連携して警戒監視任務を遂行するとした。

  日本の沖縄駐屯米第3海兵師団をはじめ、膨大な武力が動員された今回の上陸訓練は、1カ月間も続くという。


2012年から2013年に党と各分野でおこなわれた主な事業

2012年
 ・平壌の金日成競技場で朝鮮少年団創立66周年慶祝朝鮮少年団全国連合団体大会(6月6日)
 ・4.25文化会館で全国分駐所長会議(11月23日)
 ・平壌で全国司法・検察活動家熱誠者大会(11月26日)
 ・平壌で全国法務活動家大会(12月5日)
 ・平安北道鉄山郡の西海衛星発射場から運搬ロケット「銀河3」による「光明星3」号2号機衛星の打ち上げが成功(12月12日)
 ・北部地下核実験場で第3回地下核実験(2月12日)。

2013年
 ・朝鮮労働党中央軍事委員会拡大会議(2月3日)
 ・平壌で朝鮮労働党中央委員会政治局会議。決定書「朝鮮民主主義人民共和国創建65周年と祖国解放戦争(朝鮮戦争)勝利60周年を勝利者の大祭典として迎えることについて」を採択(2月12日)
 ・平壌で全国3大革命グループ員熱誠者会議(2月27日)
 ・4.25文化会館で全軍宣伝活動家会議(3月28日)
 ・平壌の党中央委員会庁舎で朝鮮労働党中央委員会2013年3月総会(3月31日)
 ・平壌の万寿台議事堂で最高人民会議第12期第7回会議(4月1日)
 ・平壌で朝鮮記者同盟代表者会(4月2日)。


朝鮮の対外政策と最近の外交

 朝鮮労働党の対外政策の基本理念は、自主、親善、平和です。このことは、朝鮮が国際関係分野で自主性を堅持して世界各国との親善・協力関係を深め、世界の平和と安全を確保するために積極的に活動していることを意味します。

 最近の対外活動を集約します。

 1.2013年4月1日、国連軍縮委員会の会議で朝鮮代表は核軍縮に関する共和国の立場をせん明しました。

  代表は演説で、1)朝鮮半島の情勢に関連して米国が執拗に流している「北朝鮮の脅威と挑発」説は荒唐無稽な詭弁であるとし、挑発と脅威は朝鮮ではなく、米国から来ている2)朝鮮がとっている軍事的対応措置は米国の戦争挑発に対処した正当な自衛的措置である3)朝鮮半島の情勢がこんにちのように一触即発の戦争状態へ突っ走っているのは主権国家の合法的な衛星打ち上げの権利をあえて拒否し、朝鮮半島の情勢を全面戦争に追い込んだ米国の極端な対朝鮮敵視政策の所産であると主張し、米国が追求している目的は手段と方法を尽くして共和国の核武装の解除と制度転覆を実現しようとすることであると暴いた4)世界最大の核保有国である米国が朝鮮に恒常的に核脅威を加えている状況のもとで共和国は核の霊剣をいっそうしっかりとらえて核武力を質的・量的に強く打ちかためざるを得ないとし、我々の核武力は地球上に帝国主義と核脅威が存在する限り、絶対に放棄することができず、億万金とも換えられない民族の生命、統一朝鮮の国宝である、共和国の核保有は法的に固着したし、わが人民軍は核武力の経常的な戦闘準備態勢を完備していくだろう5)朝鮮民主主義人民共和国は責任ある核保有国として核拡散を防止し、アジアと世界の平和と安全を守り、世界の非核化を実現するために積極的に努力するだろう。

 2.2013年6月6日、朝鮮の祖国平和統一委員会は特別談話で、「当局者会談」を南朝鮮側に提起しました。

 3.2013年6月16日、朝鮮の国防委員会報道官は、朝鮮半島の緊張局面を緩和し、地域の平和と安全を実現するため、朝米高官会談を提案するとの重要談話を発表しました。

 注視しなければならないのは、従来の「2国間協議(会談)」ではなく、「高官会談」を提起していることにあります。

 4.2013年6月19日、北京で朝中戦略対話が開かれ、朝鮮から金桂冠第1外務次官、中国から張業遂外交副部長(外務次官)が出席し、主な議題は、朝中関係、朝鮮半島情勢、関心を共有する国際・地域問題。

 先月には崔竜海・朝鮮労働党中央政治局常務委員が金正恩第1書記の特使として訪中した。崔氏は「朝鮮側は朝中の伝統的友情を非常に大切にしている。中国側とともに上層部の交流と意思疎通を強化し、朝中友好関係をたゆまず強固にし、発展させたい」と表明。「朝鮮側は経済発展と民生改善を真摯に望み、平和な外部環境を築くことを必要としている。関係各国とともに努力して、さまざまな形式の対話を通じて問題を適切に解決し、朝鮮半島の平和と安定を守ることを望んでおり、このために積極的な行動を取る考えだ」とも述べたと伝えられています。


金正恩第1書記就任以降の主な創造物

2012年
 ・黄海南道に建設される自然流下式水路の着工式(1月26日)
 ・改築、拡張された咸・鏡南道咸興市の新興館が竣工(3月21日)
 ・煕川発電所竣工式(4月5日)
 ・テコンドー聖地センター竣工(4月20日)
 ・南浦―平壌海水輸送管が完工(4月30日)
 ・咸鏡北道の茂山鉱山連合企業所の2号大型コーンクラッシャー破砕場と第2選鉱場1個系統の操業式(5月22日)
 ・倉田通り竣工式(6月20日)
 ・綾羅人民遊園地が完工(7月26日)
 ・平壌の竜岳山に建設された国家贈り物館の開館式(8月1日)
 ・平壌穀産工場の玉糖(異性化糖)職場が竣工(8月10日)
 ・平壌の大同江果物総合加工工場の鉄道引き込み線開通式(8月31日)
 ・能力拡張工事が完工した平壌の大同江建材工場の操業式(10月4日)
 ・咸鏡北道の会寧軍民養豚工場の操業式(10月4日)
 ・平壌産院乳腺腫瘍研究所の竣工式(10月8日)
 ・万景台遊園地と大城山遊園地の竣工式(10月9日)
 ・慈江道の3月5日青年鉱山の非鉄金属生産拠点の操業式(10月15日)
 ・平壌の統一通りフィットネスセンターの竣工式(10月16日)
 ・平壌の万寿橋清涼飲料店の竣工式(10月30日)
 ・平壌テギョンノリ加工工場の操業式(10月30日)
 ・咸鏡北道の金策製鉄連合企業所の熱間圧延工程の竣工式(10月31日)
 ・平壌の大同江のほとりに柳京院と人民野外スケート場、ローラースケート場が竣工(11月9日)
 ・咸鏡南道の竜川鉱山選鉱場が竣工(11月14日)
 ・平壌レーヨン工場の竣工式(12月5日)
 ・平壌の錦繍山太陽宮殿の開館式(12月17日)。

2013年
 ・平安南道の千里馬製鋼連合企業所で無煙炭ガス化による高温空気燃焼技術導入工事が終わり竣工(2月25日)
 ・咸鏡南道の剣徳鉱業連合企業所第3選鉱場磨鉱職場が改築され竣工(2月25日)
 ・平壌旅客運輸大学が開校(4月1日)
 ・平壌の大同江に建造された食堂船テドンガンの開業式(4月25日)。


<資料>
 金日成主席の著作
 金正恩第1書記の著作
 朝鮮中央通信
 『朝鮮半島の非核地帯化について』(在日本朝鮮人総聨合会 1991年12月発行 冊子)
 『朝鮮半島における核問題について』(在日本朝鮮人総聨合会 1993年4月発行 冊子)
 『核戦争挑発の張本人、平和の破壊者は誰か』(在日本朝鮮人総聨合会 ビラ)

 ※2013年6月22日長野県松本市における「チュチェ思想化と日朝友好運動に学ぶ」研究会での報告を整理したもの。関連する地図は省略。




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