世界的な関心集める羅先経済貿易地帯
「労働新聞」羅先市幹部インタビュー
−2011年11月7、8、9日−


 朝鮮民主主義人民共和国の朝鮮労働党機関紙「労働新聞」(11月7、8、9日付)によると、同紙のオ・チョルフン記者はこのほど、羅先市の幹部と会い、世界的な関心を集めている羅先経済貿易地帯について話を聞いた。その全文は次のとおり。


(1)

 記者:羅先経済貿易地帯をなぜ黄金のデルタ地帯と呼ぶのか?

 黄哲男羅先市人民委員会副委員長:羅先経済貿易地帯は、豆満江をはさんで中国、ロシアが隣接し、太平洋とつながった朝鮮東海に接しており、同地帯を通じて東北アジアとヨーロッパ、北アメリカ地域を結ぶことができる。したがって、世界的な貿易および投資の中心地となりうる有利な条件が整っている。

 そのため、国連豆満江地区開発事務局の元局長は、豆満江をはさんで朝鮮民主主義人民共和国、中国、ロシアの三国が接している羅先は、東北アジアと東南アジアを結ぶ中継貿易の要衝地として自然地理的に非常に有利である。今後、21世紀の経済発展の中心地に変わっていく東北アジアで羅先は、それこそ「黄金の土地」「黄金の鉱脈」と言える。


 記者:今年6月に羅先市で行われた朝中共同開発、共同管理のためのさまざまな行事は、どのような意義があり、羅先経済貿易地帯はいつ宣布されたのか?

 ゙正浩羅先市人民委員会委員長:朝鮮民主主義人民共和国政府は、自主、平和、親善の理念のもとに平等と互恵の原則で世界各国との経済協力と交流を発展させていくとの一貫した対外政策に基づき、1991年に羅先経済貿易地帯を宣布した。

 その時から羅先市は、世界の経済界、実業界の関心を集めている。こんにち、羅先市は、東北アジアでの経済の命脈をしっかりと握ることのできる発達した対外経済貿易地帯、製造業と加工業を一緒に促進させられる加工貿易地帯、国際的な観光業を大々的に展開できる地帯に発展している。

 去る6月、羅先市では、朝中両国の最高指導者の深い関心のもとで共同開発、共同管理のための対象の着工式と羅先港を通じた中国の貨物の中継輸送のための出港式が行われた。これは、両国の最高指導者によって築かれた朝中友好をいっそう強化し、東北アジアと世界の経済の発展に積極的に貢献しようとする朝鮮人民と隣国の中国人民の共通の理念を反映している。


 記者:羅先経済貿易地帯の開発と活性化のための制度的および法律的基礎が、既に築かれているが。

 ファン・ヨンナム羅先市人民委員会局長:朝鮮政府は羅先市を経済貿易地帯に宣布し、それと関連したさまざまな法を採択し、発表した。

 我が国の合法的な経済貿易特区となった羅先経済貿易地帯では、朝鮮民主主義人民共和国の主権が行使される。

 国家は、自身の中央指導機関と羅先市人民委員会を通じて羅先経済貿易地帯での開発と管理運営を統一的に指導する。羅先市人民委員会は、羅先経済貿易地帯開発と管理運営を担当する現地の執行機関である。

 朝鮮政府では、羅先経済貿易地帯法をはじめ、50余の法と部門別規定を制定、公布したことで、外国人の投資をはじめ、多様な経済貿易活動に必要な法的基礎と制度的環境を築いた。


 記者:羅先経済貿易地帯の税務規定を新しく定めたという話を聞いたが?

 チョン・イル羅先市人民委員会局長:そうだ。羅先経済貿易地帯の税務規定を新しく制定した。

 羅先経済貿易地帯での税金政策の特徴は、税金の項目に伴う税率が非常に低く、場合によって減税、または免税政策を実施するということにある。


(2)

 記者:法的、制度的環境が投資に有利に築かれた羅先経済貿易地帯の各対象のなかで、羅津港と先鋒港について具体的に知りたい。

 黄哲男羅先市人民委員会副委員長:羅先経済貿易地帯には、東北アジアと各大陸間の中継貿易に有利な羅津港と先鋒港、雄尚港がある。羅先市から遠くない所には能力が大きい清津港もある。

 シン・ボンヨン羅津港港長:今後第4埠頭から第7埠頭まで新らしい埠頭を建設すれば、従来より貨物の通過能力がさらに高まることになる。

 羅津港から豆満江、ロシアのハサンを結ぶ鉄道と南陽、中国の豆満を結ぶ鉄道引き込み線があり、貨物を陸路だけでなく鉄道でも運搬することができる。

 羅津港沖にある大草島と小草島は沖合からの大きな波を自然とせき止めている。大草島の沖合では波の高さが最高6メートル、平均2.1メートルであるが、内側には波が来ない。

 羅津港水域の海は、暖流の影響によって冬でも凍らず、汚染されないので、澄んできれいであり、周辺の景色とよく調和が取れており、それこそ理想的な自然港として広く知られている。

 チャン・ドンチョル先鋒港港長:先鋒港は海の水が澄んでおり、国家的および世界的な汚染防止区域になっている。先鋒港の貨物通過能力を段階ごとに高めようと思う。

 黄哲男羅先市人民委員会副委員長:これらの港は、自然地理的条件が非常に良い。一年をとおして季節の影響を受けず、中断なく港を運営することができる。ロシアの極東地域の港では冬の期間は海が凍るという。

 羅津港や先鋒港では、運航のためのしゅんせつ問題も提起されることはない。

 羅先経済貿易地帯の各港は、中国の吉林省や黒竜江省、ロシアの極東地域と南朝鮮、日本、オーストラリア、米国などの貨物を中継輸送するうえで最も有利な経路である。

 現在、中国と日本の間の貨物の流通の動きは、基本的に大連港や天津港を通じて行われている。国際的に中国の吉林省や黒竜江省、ロシアの極東地域に貨物を運ぶためには、地理的に見ても中国の天津港や大連港より羅先経済貿易地帯の各港を利用するのが非常に効果がある。

 具体的に見ると、中国の延吉から大連港を経由して日本の新潟港までは3200キロであるが、延吉から羅津港を経由して新潟港まではそれより約1000キロも近い。

 羅津港は、吉林省、黒竜江省と北アメリカなどを結ぶ近道となり、四季を通じて運営できるので、利用率が非常に高い港である。


 記者:羅先市の自然地理的および気象気候条件はどうなのか?

 リ・ジュイル羅先建築設計情報研究所所長:羅先市は、地形学的に我が国の最東北端に位置している。

 海岸線は比較的にまっすぐで、8つの湾、11の島がある。

 羅先市は東部地区である屈浦、牛岩方面に湖が多いが、代表的なのは満浦、東藩浦、西藩浦である。

 西藩浦と満浦は、一部の海岸とつながっており、淡水と海水が混ざっている。水深は深くないが、海底の状況が良いので淡水魚と海の魚が繁殖している。そのため、養魚に非常に有利である。

 また、約1400年前に弱い地震があったという記録があるが、最近は地震が起きない地域とされている。

 キム・ウンオク気象水文局羅先市海洋予報所室長:羅先市の気候は北半球の温帯に属し、海岸に面しており、典型的な海洋性気候を帯びている。

 羅先地方の年平均気温は7度で、一年をとおして我が国の東海岸地方では最も低い地域である。一年で空気が乾く時期は12月から3月までで、湿気が多い時期は梅雨の6月から8月までである。年間降水量は703.5ミリで、6月未に梅雨が始まり9月中旬に明け、積雪期間は36日間、冬季の凍結深度は1メートルであり、年間日照時間は2348時間である。


 記者:貨物輸送で鉄道が重要であると思うが。

 金永南羅先市人民委員会副局長:羅先経済貿易地帯には鉄道切り替え線が形成され、南陽、豆満江駅を経て中国、ロシアとつながっている。

 現在、羅先国際貨物輸送合弁会社は、シベリア横断鉄道の重要な部分であるハサン−豆満江−羅先港間の線路幅拡張工事を積極的に推し進めている。

 ロシア極東の建設会社のある技師は、朝鮮人民の誠意によってハサン−豆満江−羅先港間の鉄道更新が成功裏に行われていると語った。

 去る13日(10月)に羅先市にある朝ロ親善閣では、羅先−ハサン鉄道区間の列車試運転行事が行われ、最初の列車がロシアのハサンへと出発した。


 記者:鉄道の話が出たが、羅津港を経由してロシアの鉄道を利用すれば貨物の輸送距離と費用を大幅に減らすことができるのではないか?

 黄哲男羅先市人民委員会副委員長:陸路で基本となる鉄道輸送を見ると、羅先経済貿易地帯には中国の豆満−羅津鉄道、ロシアのハサン−羅津鉄道のような東北アジアと太平洋、そしてヨーロッパを結ぶ経路がある。ここで注目されるのは、羅先、ハサン、ウラジオストク、モスクワ間の鉄道を利用してアジア、太平洋地域と西ヨーロッパ諸国にも貨物を輸送することである。

 現在、ロシアは、羅先からハサン、ウラジオストク、モスクワ間のシベリア横断鉄道を利用する計画を立て、積極的に推進している。これが完成すれば、ヨーロッパとアジア、太平洋地域の諸国間の貨物輸送の費用が大幅に減ることになる。そのため、ロシアは羅津港を通じてシベリア横断鉄道を利用し、近い将来に貨物輸送量をはるかに増やす計画を立てている。

 資料的に見ると、日本の新潟港からオランダまで行くルートには、スエズ運河を経由するルートと羅津港を経由してロシアのシベリア横断鉄道を利用するルートがある。新潟港からオランダまで行くために、スエズ運河を経由していくなら海上を1万860マイル航行しなければならず、日数も30余日間かかる。しかし、羅津港を経由してロシアのシベリア横断鉄道を利用すれば9300キロであるため、20余日間で行くことができる。結局、羅津港を経由して行くときは、スエズ運河を経由して行く場合より距離は半分以上、運行期日は9日間も短縮する。

 そのため、羅先経済貿易地帯は東北アジア地域だけでなく、アジアとヨーロッパを結ぶ大陸の橋頭と言える。


(3)

 記者:羅先経済貿易地帯には、観光資源も豊かであると聞いている。

 リム・ガンホ羅先観光管理局副局長:もちろんだ。我が国は観光資源が多い国として広く知られている。羅先経済貿易地帯は、それ自体が名勝地であり、別名「羅津海金剛」と呼ばれている。

 外国のある人は、羅先地区は非常に景色が美しい、世界的に珍しい景色である、この有利な条件をうまく利用すれば多くの観光客が訪れるであろうと述べた。

 羅先経済貿易地帯は、観光資源が豊富で、条件が良い。

 鉄道は清津、会寧、穏城、羅津を結ぶ環状線と南陽(中国)、暉春(同)、豆満江を経て中国、ロシアとつながる路線があり、道路を見ると中国の暉春とつながった道路と羅津、穏城、会寧、清津を結ぶ遊覧道路が形成されている。

 最近では中国の長春、延吉、暉春と羅先を結ぶ自家用車観光が始まったが、これから我が国の羅先市と世界各国との観光交流はさらに活性化するであろう。
 
 一方、ハサン−豆満江鉄道を利用した観光も行われており、今後はハバロフスク、ハサン、豆満江、羅津を結ぶ定期旅客列車も運行されることになるであろう。

 羅先市の観光名所としては、渡り鳥が群れをなして飛来し卵を産むことから、その名をアル(卵)島と付けた先鋒のアル島海鳥区域、海水の温度がえさの条件に適してオットセイが集まる牛岩オットセイ保護区など、数カ所の国宝的意義がある自然保護区がある。また、名勝地として有名な琵琶島とチョク島、ソル島などの島とともに、さまざまな海の景色を見ることができる自然地理的条件と環境が整っており、景色の美しい各所に海水浴場がある。

 1996年に羅先市の各名所への観光が始まり、我が管理局では観光客のために新しいサービス対象の開発を計画している。

 今後、羅先経済貿易地帯には、各地区に特色のある観光地が整えられ、観光客は数百万人になるであろう。世界各国の企業家と観光業専門家は、羅先一帯の観光開発目標に深い関心をもって共同開発に積極的に応じている。


 記者:羅先経済貿易地帯に合う現代化された通信インフラを構築するのが必要だと思うが。

 ソン・スングク東北アジア電話通信会社社長:そのとおりだ。経済貿易地帯のインフラで通信は、最も重要な問題の一つに提起されている。

 こんにち、羅先市には、中国、ロシアをはじめ、世界のどの国、どの大陸とも通信を行える現代的な通信インフラ構造が構築されている。

 羅先経済貿易地帯で、我が社が占める位置は非常に重要である。我が社は、世界のどこにでも国際通信を行える地理的に非常に有利な条件にあると言える。1996年から現代的な各種の通信システムを導入・運営し、国内および国際通信を円滑に行っているが、今後は地帯の開発がさらに積極的に行われるのに伴い、通信サービスで迅速さと便宜をいっそう高めるため努力する。


 記者:今後、羅先経済貿易地帯で世界各国との経済協力と交流事業がさらに活気を帯びて行われることを期待する。

 黄哲男羅先市人民委員会副委員長:羅先経済貿易地帯は、国際的な関心を集める展望が確かな地帯である。
 
 我々は、自主、平和、親善の理念のもと、平等と互恵の原則で世界各国との経済協力と交流を引き続き発展させるであろう。【朝鮮通信=東京】




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