社会主義の絶対的真理性に対する歴史の確証
−2011年10月16日−


 朝鮮中央通信は16日、「社会主義の絶対的真理性に対する歴史の確証」と題する記事を発表した。その全文は次のとおり。


 資本主義の危機が全面的に深まっている。

 全世界の勤労者が団結して資本の鉄鎖を壊すたたかいに立ち上がった。

 詐欺とペテン、偽善と虚栄に満ちた資本主義社会の構造的な矛盾と病弊が全世界であらわになっている。

 資本主義市場経済が招いた金融経済危機は、世界を収拾できない混乱に陥れている。

 黄金万能、弱肉強食、富益富貧益貧(富める者はますます富み、貧しい者はますます貧しくなる)の資本主義は、決して人類が進むべき道ではないということがさらに明白な真理となっている。

 個人主義、自由主義に基づく資本主義は、あらゆる不幸の禍根であり、前途がなく滅亡していく社会である。

 人類の未来は、集団主義に基づいて勤労人民大衆が自主的で創造的な真の生を享受できるようにする社会、歳月が流れるほどその真理性を輝かし、限りなく前進する社会主義にある。

 激動するこんにちの歴史的現実はこれを証明している。


300余年来の最大規模の反資本主義闘争

 15、16の両日、世界各地で同時に行われた勤労大衆の反資本主義闘争は、資本主義の300余年史にかつてない最大規模の組織的進出である。

 80余力国の1500余都市で、数百万人の各階層の人民が一斉にたたかいに立ち上がった。

 たたかいの炎は9月17日、資本主義経済の心臓部であり、独占資本の代名詞と称される米国のニューヨーク・マンハッタンのウォール街で燃え上がった。

 「ウォール街を占拠せよ!」のスローガンのもと、数十人のデモ参加者がニューヨーク証券取引所(NYSE)の前にテントを設置して抗議行動に突入した。これは瞬時にワシントンとボストン、ロサンゼルス、サンフランシスコなど米国各地で連鎖的な運動に拡大した。

 「ウォール街占拠デモ」は、搾取階級に対する被搾取階級の積もり積もった怒りの爆発であった。人民大衆に搾取と抑圧、失業と貧困だけをもたらす資本主義の牙城を根こそぎにする意志の噴出であった。カリフォルニア州のサンディェゴ市では、40代の男性が高層建物から飛び降りて富益富貧益貧の腐り病んだ社会に死で抗拒(注:抵抗して拒絶する。反抗して妨害すること)した。

 初期に、青年が主流をなしていたデモ隊に日雇い労働者、生活貧窮者、失業者だけでなく会社員、主婦など、それこそ異なる年齢、異なる階層の市民が合流した。

 闘争方式も多様になった。デモ行進、座り込み、橋の占拠のようなさまざまな抗議行動が猛烈に展開されている。夜には、テントを張って中断のない徹夜の座り込みを行っている。

 デモ参加者は、「平等、民主主義、革命」のように性格がより明白なスローガンを掲げて隊伍を拡大している。

 米国の執権層の間では、「階級闘争が起きている」という悲鳴が大きく上がっている。当局が膨大な警察武力を駆り出してデモ参加者を逮捕、弾圧し、階級的矛盾をうやむやにするのにきゅうきゅうとしているが、たたかいの拡大を防げずにいる。

 米国の執権者は、これが米国社会に対する挫折感のあらわれであることを公式に認めた。

 米国の抗議運動参加者は15日を「国際的な行動の日」と定め、これに呼応するよう全世界の勤労者に呼びかけた。

 これに伴って15、16の両日、英国、イタリア、ドイツ、スペイン、フランス、ベルギー、オーストラリア、日本、フィリピン、台湾などでも反資本主義デモが同時に行われた。参加者は、資本主義経済危機の原因は、貪欲な金融資本と腐敗した政治家にあると糾弾した。「資本主義に反対する!」「職場をよこせ!」などのスローガンを叫び、貧困と経済的不平等を終局的に清算することを主張した。

 南朝鮮では、400余の市民団体と労働界が、「ソウルを占領せよ!」と叫んで抗議行動を展開した。

 資本主義諸国で搾取階級に対する勤労大衆の怒りが前例のない規模で爆発することになったのは、2007年の世界金融危機発生以降、社会的・階級的矛盾が極度に激化した結果である。

 金融危機発生後、西側諸国が講じた異なる救済措置は本質上、破産の危機に瀕した大独占資本を救うためのものであった。それは、大独占体への資本の集中だけを深め、絶対多数の勤労大衆の生活をさらに零落させている。

 最も大きい打撃を受けているのは、経営損失を減らすための企業の大量解雇の旋風で増える失業者である。

 米国では、10月の最初の1週間の間に40万1000人の失業者を新たに記録した。欧州連合(EU)加盟諸国で8月の失業者数は計2278万5000人であった。

 失業の増大は、必ず貧困者の増大へとつながる。

 米国の貧困者数は、昨年に4620万人に達した。これは、その前年に比べて260万人さらに増えたものである。この4年間に米国の家庭の収入はおよそ10%も下がった。経済学者は、米国人の生活水準が数十年来最悪の状態にあり、景気の沈滞は事実上続いていると見ている。

 EU加盟諸国では、約8000万人が貧困ライン以下で暮らしている。

 ノーベル賞受賞者である経済学者のジョセフ・スティグリッツ氏は、資本主義世界を席巻する抗議運動に支持を表明し、これらの国で金融資本の貪欲によってまねかれた損失を全社会が負担しており、利得金は幾人かの銀行家の懐に入っていると明らかにした。


全面的破産に直面した資本主義市場経済

 資本主義市場経済は今、経済危機の長期化がまねいた新たな金融恐慌に巻き込まれて全面的破産の状態に置かれている。

 世界各地の証券市場で株価が一気に暴落する前例のない事態が生じた。

 去る9月22日、米国のNYSEのダウ工業株30種平均(ダウ平均)株価が3.5%下落して年初来最安値を記録したし、ナスダック総合指数もまた3.3%下落した。

 欧州諸国の証券市場での下落率はさらに大きかった。深刻な債務危機に悩まされるギリシャ、イタリアなど南欧諸国は言うまでもなく、相対的に財政状況が安定しているとされていた北欧諸国も株価暴落の事態を免れなかった。

 この影響を受けて、アジアの証券市場でも株価が平均2%下落した。

 その連鎖反応として国際金融市場で株式だけでなく、カネになるものはすべて売り払う騒動が起きた。

 フランス最大の銀行で、多くの人が預金を引き出しているとのニュースも伝えられた。

 西側諸国の競争的な為替市場介入でドルとユーロ、円など主要通貨の相場が競って上下し、新しい世界的な「通貨戦争」の危機がつくり出された。

 事態の発端は、米国と欧州で金融経済危機が深まって前例のない国債危機が発生したところにある。

 米国は近年、世界金融経済危機で破産を強いられた大企業に莫大な救済金を投じた。その源は、国債の発行で他国から借りてくる金であった。国債が危険ラインに至っても、国際金融決済の基本手段である米国ドルは米国の通貨なので、いつでも自由に発行して債務の返済に使えばよいという打算があるからであった。

 実際に、米国は国債が14兆ドル以上に至ったにもかかわらず、債務を減らすかわりに債務の限度額をさらに引き上げることに活路を求めた。これに関連して最近、米連邦準備制度理事会(FRB)のグリーンスパン前議長はNBCテレビとのインタビューで、米国の公債は一種の安全な投資であり、米国はすべての債務を返済できる、それは続けて紙幣を発行すれば債務返済の約束を破る確率はゼロになるからであるとはばかることなく述べた。

 債務問題解決のための効果的な対策を打ち出すかわりに、国際金融秩序を極度に混乱させる米国の傲慢で無責任な振る舞いに反発して去る8月初、国際信用格付け団体であるスタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は、米国の国家信用格付けを史上初めて引き下げて発表した。

 これにより、世界の資本市場では、株価が暴落し、主要通貨レートが上下するなど衝撃が広がった。

 欧州の債務危機も新たな世界金融恐慌をまねいた主な要因である。

 数年前、米国で発生した金融経済危機が欧州に波及して最も大きな打撃を受けたのはギリシャである。ギリシャは経済規模が拡大するや、国債発行の方法として他国の銀行から金を多く借りて使っていた。米国の不動産投機市場に投資していた欧州の大規模な銀行が資金を回収できずに破産の危機に置かれると、これらの銀行に借金していたギリシャは途方もない債務返済の圧力に苦しめられることになったし、しまいには債務不履行を宣布しなければならなかった。イタリア、アイルランド、ポルトガルなどほかのユーロ圏諸国も類似した危機を経ている。

 資料によると、債務危機を経ているユーロ圏諸国が発行した国債を買った欧州の銀行は、最大3000億ユーロの損失を被りかねないという。

 9月9日から10日まで、フランスのマルセイユで先進7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)が行われたが、欧州の債務危機を解消するための具体的な対応策を示すことができずに世界経済の展望に暗い影だけを落とした。

 国際通貨基金(IMF)は、会議直前に先進7カ国自体の国債が現在、これらの国の国内総生産額(GDP)の80%以上に達していると述べ、日々深刻になっている債務危機が再び世界経済の沈滞をまねきかねないと警告した。

 西側諸国の暗たんたる財政状況に関連して経済協力開発機構(OECD)は、資本主義経済が2011年だけでなく、2012年も依然として沈滞状態を抜け出せないと見通した。

 これは、経済の沈滞が2009年6月に終わったという米国の主張が単なる虚偽にすぎないことを宣言したも同じである。

 諸事実は、資本主義市場経済が、その無政府性と自然発生性によって全面的な破産の深淵へと果てしなく陥っていることを示している。


資本主義には未来がない

 資本主義の現危機には、その制度を根こそぎにすること以外にほかの活路がない。人民を搾取し、人民を捨てたことによって資本主義は歴史の舞台から次第に消えていっている。

 歴史的に見ると、資本主義諸国で経済危機を解消する上では大きく二つの方法が動員された。

 一つは、経済活動に対する国家の干渉をある程度強化することであり、もう一つは国家の干渉と規制に反対して極度の無政府性と自由主義を助長することである。

 前者の実例が、米国で1929−33年の経済恐慌の対案として出た「ニューディール政策」である。後者の実例は、1970年代の経済危機の際に出た「レーガン・ドクトリン」である。

 これらは、どちらも資本主義市場経済制度をそのまま置くことを前提にしたことによって破綻を免れなかった。

 米国とその他の西側諸国で金融経済危機の悪循環が年代と世紀を継いでこんにちも続いているのはその生きた証拠である。米国の現経済政策も本質上、20世紀初のごみ箱から拾ってきた「ニューディール政策」のコピーであって、結果は変わり得ない。

 西側諸国が資本主義市場経済をそのまま放っておいては、どんな方法を用いても危機の悪循環を抜け出せない。

 フランスの人類学・社会学者のポール・ジョリオン氏は、冷戦終息から20年になるのを契機に図書「約束された資本主義の死」を発表して資本主義に弔鐘を鳴らしている。彼は、自身が発表した資本主義の「追悼の辞」が「死亡確認書」になる日が必ず来るとの確信をあらわし、フランス紙「トリビューヌ」2011年3月21日付に発表した文で次のように主張した。

 現在、資本主義が確実に衰退、没落していることは疑う余地もない。なぜなら、資本主義が既に崩壊へとひた走っており、我々の指導者ではそれを阻止できる措置を絶対に講じられないからである。こうした現象を緩和するため信用貸付を増やしているが、資本主義体制は日々衰弱している。金持ちが貸し付ける金は、次第にもっと多くなり、剰余資金は投機に利用されている。消費者は債務の悪循環のなかであえいでいる。事実上、政治はもはや中身が空っぽの見かけになったし、もはや新たな意見を出せなくなった。

 外電は、金融危機と債務危機の衝撃によって欧州の政党政治と社会の思想潮流に冷戦終息以来、最も深刻な変化が起きていると伝えている。

 中南米では資本主義市場経済を排撃し、社会主義の道へ進むことに関する声がさらに力強く上がり、左翼政権の影響力が日々強化されている。

 ベネズエラのウゴ・チヤベス・フリアス大統領は去る7月14日の閣議で演説し、唯一可能なのは資本主義からボリバル社会主義への移行である、特に、今建設しているベネズエラ式社会主義をさらに深めなければならないと述べた。

 ボリビアのエボ・モラレス大統領は9月19日、キューバ訪問時の演説で、資本主義は現在人類が抱えている問題を解決できない、21世紀は寡頭政治勢力のものではなく、人民のものであると言明した。

 歴史は、決して帝国主義者と反動層が望むとおりに流れていない。

 歳月とともに資本主義の腐敗性と虚偽性はことごとくあらわになっており、資本主義に対する幻想は水の泡となって激流に押し流されている。

 自主的に生き、発展しようとする人類の志向を反映した理念はこんにち、よりいっそう死活的なものになっている。社会主義の真理性は、21世紀の新たな歴史的環境のなかではっきりと実証されている。

 我々の社会主義は、人民大衆がすべての主人であり、すべてが人民大衆のために服務する最も人民的な社会主義である。全社会が熱い肉親の情が通う一つの大家庭をなし、互いに助け、導き合う健全な家風が満ちあふれている。

 社会主義は、必ず豊満な実をもたらす最も科学的かつ正当で誇らしい道である。

 明日への大いなる信念に満ちてこんにちの誇らしい現実を見て、偉大な党の指導のもとに我々が歩んできた信念と意志の道がどれほど正しかったのかを胸深く痛感することになる。

 我々は、社会主義を愛し、自負し、誇る。

 金正日総書記が宣明したように、社会主義は科学である。

 科学としての社会主義に人類の未来がある。

 我が人民のもの、人民大衆のもの、全人類のもの、社会主義は必勝不敗である。【朝鮮通信=東京】




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