アメリカの朝鮮戦争
勃発の歴史歪曲策動


目 次
1 朝鮮戦争開始以前、その責任を共和国に転嫁するためのアメリカの謀略
2 戦争開始と時を同じくしてでつちあげた、「北の奇襲」説と国連における謀略
3 戦争の過程で朝鮮戦争勃発の真相を歪曲した謀略行為
4 停戦後の朝鮮戦争勃発にたいするでたらめな「再照明」
5 冷戦終結後さらに甚だしくなった朝鮮戦争勃発の歴史「裏返し」策動
出版に際して

 アメリカは、朝鮮戦争勃発50周年にあたる2000年6月25日から2003年にかけて、朝鮮戦争の歴史を歪曲宣伝するキャンペーンを大々的に繰り広げている。

 その裏面には、戦争犯罪人、侵略者の責任を朝鮮民主主義人民共和国に転嫁しようとする下心がある。

 アメリカは戦争前、朝鮮人民軍が「南征」の目的で組織されたかのように宣伝し、「南伐」だの「人民軍南下」だのといった妖言を大々的に流し、挑発的な38度線衝突事件を起こすたびに、尊厳ある朝鮮民主主義人民共和国の名と結びつけて歪曲宣伝した。そして朝鮮戦争後、数十年が過ぎ去ったこんにちまでも、機会あるごとにその真相を歪曲宣伝して、共和国の権威を失墜させようと狂奔している。

 元来、1953年7月27日に締結された朝鮮停戦協定には、停戦後3カ月以内に双方の一級高位の政治会議を招集して、朝鮮からのすべての外国軍隊の撤退および朝鮮問題の平和的解決のための措置を協議することになっている。しかしアメリカは、こんにちまでも停戦協定をみだりに違反して、それを平和協定にかえるという朝鮮民主主義人民共和国(以下、共和国)の提案を受け入れていない。

 アメリカが、朝鮮戦争の法的終結を意味する平和協定の締結に応じないのは、なんとしても再度北侵を実現して、全朝鮮を植民地にしようとする野望を抱いているからである。

 アメリカが平和協定の締結に応じないいま一つの理由は、朝鮮戦争を起こした者としての責任を免れないということを認知しているからである。

 そのため、アメリカは、朝鮮戦争の法的終結において有利な地位を占めることを前提として、朝鮮戦争勃発の責任を共和国に転嫁するための謀略策動を執拗につづけており、アメリカ式の論理にもとづき「勝利者」の姿勢で戦争を締めくくろうと血眼になっている。

 第2次大戦後、世界の至る所に設けられた米軍事基地が、反米自主化闘争によって撤廃されているのは、一つの趨勢となっている。

 1980年代の後半から、スペイン、ギリシャ、フィリピン、パナマなどに設置されていた米軍事基地が撤廃を余儀なくされている。

 朝鮮においても米軍を撤収させる闘争が強力に展開されている。しかし、アメリカは南朝鮮を自己の侵略基地として確保して北侵を実現し、日本、中国、ロシアを牽制するため、是が非でも南朝鮮に居座りつづけようとしている。

 歴史的にアメリカは、戦争前には、朝鮮人民軍の「南征」を口実に撤収延期策を用い、戦後には、北朝鮮が「南侵」して南朝鮮を「赤化」しようとするので、南朝鮮の「要請」によりそれを防ぐために居残っているのだと弁明してきた。

 1975年の第30回国連総会では、南朝鮮駐屯米軍の撤収に関する決議が採択され、1990年代初には冷戦が終結し、1991年12月には「北南間の和解と不可侵及び協力・交流に関する合意書」が、2000年6月15日には北南間の共同宣言が採択されて米軍の南朝鮮駐留の口実がなくなったのにもかかわらず、アメリカは依然として「核問題」、「ミサイル問題」にこじつけ、米軍の南朝鮮占領を永久化しようと必死になっている。

 注目されるのは、6.25の時のように共和国の「南侵」が懸念されるので、南朝鮮に米軍を引きつづき駐屯させているとし、朝鮮戦争勃発の歴史を歪曲する策動をさらに強化していることである。

 アメリカは、いかなる手段と方法を用いても、朝鮮戦争を起こした者としての正体を隠し、その責任を共和国に転嫁して、米軍の永久占領を合理化しようとしている。

 アメリカは、米軍の南朝鮮永久占領だけでなく、第2の朝鮮戦争の準備と開始を合理化するためにも、6.25「南侵」説を立証するための謀略にすがりついている。

 第2の朝鮮戦争を対朝鮮政策としているアメリカは、その準備と開始を合理化する口実として6.25の時の「南侵」説が説得力を持つと断定し、その目的を達成するために朝鮮戦争勃発の歴史を歪曲する策動をつづけているのである。

 アメリカによる朝鮮戦争勃発の歴史歪曲策動の真相を明らかにすることは、朝鮮半島における新たな戦争の防止と平和保障にとつて大きな意義を有するとみなし、この図書を出版するものである。



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