「日本人女性拉致説」は、卑劣極まりない謀略
『朝鮮中央通信』論評
−1988年2月15日−


 南朝鮮旅客機事件の責任をむりやり我々に転嫁し、反共和国謀略騒動を繰り広げてきた南朝鮮独裁集団が最近、日本反動層と組んで我々を中傷する新しい悪らつな捏造情報を広めている。

 南朝鮮「安全企画部」と日本の警視庁が、旅客機事件にたいする第2回「捜査結果」
の発表でもちだした「日本人女性拉致説」が、まさにそれである。

 かれらは、北の「工作員」に仕立て上げた「真由美」が、「拉致された日本人」から「日本人化教育」を受けたとし、あたかも我々が日本人女性を拉致してきたかのように騒ぎたてている。

 しかも、この発表に「信憑性」を与えるため、「拉致」されたという「日本人女性」に「恩恵」(ウネ)という朝鮮名まで付け、それが「真由美」の「陳述」によるものであると言っている。あまりにも拙劣で幼稚極まりない謀略である。

 我々は、南朝鮮独裁集団と日本反動が我々に「拉致」の汚名まで着せようと、こうした謀略説をでっちあげ、騒ぎを起こしていることにたいし、これを平和愛好的な共和国のイメージを損ない、情勢をいっそう緊張させようとする許しがたい挑発行為、捏造と謀略に狂奔する者たちの無礼な妄動として厳しく断罪し、糾弾する。

 元来、嘘に頼りはじめれば、それをとりつくろうため、さらに新しい嘘を企てるものである。しかし、そうすればそうするほど嘘の底がわれる。南朝鮮の謀略家とその共謀者の行為がまさにそうである。

 独裁集団が、第1回「捜査結果」の発表でもちだした北の「爆破説」もそうであるが、その謀略のシナリオの続編として、日本の反動層とともにもちだした「日本人女性拉致説」もやはり、荒唐無稽で矛盾だらけのものである。

 我々が日本人女性を「拉致」し、彼女に「真由美」を「教育」させたというのは、自主と平和、正義を重んじる共和国の対外政策上の見地からはもちろん、正常な道理から見ても、とうていあり得ないことである。

 我が共和国には、日本語学者や日本で暮らした帰国公民が数多くいるし、帰国する夫とともにきた日本人女性も数百人いる。

 しかるに、我々がかれらをさしおいて、なにゆえ、こともあろうに日本に行って人を「拉致」し「日本語教育」を行わせるというのか。

 日本公安当局の発表によっても、「恩恵」という日本人女性が「拉致」されたという1979年に、日本全国で5万2千人の女性が失踪、または家出したと申告されたという。だとすれば、こり数字自体、日本がテロと拉致の巣窟であることをみずから示すものであるのに、日本で毎日数十、数百件ずつ発生している女性行方不明事件の責任所在を海を隔て、国交もない我が共和国に求めようとするのは、異常極まりないことである。

 しかも、南朝鮮独裁集団と日本反動について言えば、15年前の夏、東京のど真ん中で白昼に金大中氏を拉致し、荷物のようにして南朝鮮に連れ去った許しがたい国際テロ、拉致犯の前科者、共犯者である。

 このような者が、我々に「拉致」の言いがかりをつけることこそ、泥棒が「泥棒!」と居直っているようなものであると言わざるを得ない。

 「真由美」の「陳述」であるとして独裁集団と日本反動が発表した「恩恵」という女性と関連した「資料」も、すべて嘘でかためられたものである。

 高等学校までしか出ていないという「恩恵」が、大学をでたという「真由美」を「教育」したというのも道理に合わないし、彼女が「日本語教育」ばかりでなく「革命歴史教育」まで受けもったというのは、あきれたお笑いぐさである。

 「真由美」が「教育」を受けたという1981年7月から1983年3月まで、共和国では兌換券が発行されておらず、「恩恵」がこれをもって日本製の化粧品を買って使ったというのも真っ赤な嘘である。

 南朝鮮「安全企画部」が、名前まで変えて出身や経歴、家族関係をすべてでっちあげ、北の「工作員」に変身させた「真由美」の「陳述」というものすべてが、その類のものであることは明白である。虚構にもとづいてつくられたものは、いま一つの虚構でしかない。

 南朝鮮独裁集団と日本反動が、何のために「日本人女性拉致説」をでっちあげ、我々を誹謗中傷する騒ぎを起こしているかは明白である。

 独裁集団は、アメリカの背後操縦のもとに日本反動と共謀結託し、旅客機事件の「捜査結果」を捏造発表して、反共和国キャンペーンに狂奔しているが、それは日が経つにつれ謀略の真相が暴かれ、世界の人々の冷遇と嘲笑にさらされている。

 世界の各国ではもちろん、アメリカと日本、南朝鮮内でも独裁集団の「捜査結果」発表が、「信じられないもの」であり、旅客機事件がかれら自身の自作劇であるという当然の疑惑と糾弾の声が高まっている。

 独裁集団は、この拍子抜けした謀略に再び息を吹き込み、窮地に陥った境遇を立て直すため、日本反動との「合作品」として新たな謀略のシナリオをでっちあげたのである。

 全斗煥、盧泰愚一派は、こうした卑劣な手法で目の前に迫った「政権交代」劇や、新学期を機に軍政延長に反対する大衆的闘争の大きなうねりを巻き起こそうとしている南朝鮮青年学生と人民の注目をほかにそらし、南朝鮮人民や世界人民のなかで熱烈な支持、共感を受けている我々の北南連席会議提案の影響力を阻もうと企んでいる。

 独裁集団は、日本反動と同時に「捜査結果」を発表することで、謀略劇の「効果」をいっそう高め、日本反動を反共和国、反朝鮮総聯策動へとさらにあおり立てようとした。

 日本反動は今回、独裁集団と共謀して何の証拠もない謀略説をもち出し、共和国の尊厳に挑戦することで、朝・日南国人民の利益に背き、歴史の前にもう一つの罪悪を記録している。

 日本当局は、旅客機行方不明事件が発生するや、最初からバーレーンで死亡した「蜂谷真一」がいわゆる「宮本」のようだ、あるいは「小住健蔵」の可能性があるなどという憶測を広め、この事件を我々と結びつけようとしたし、当然行使すべき「真由美」に対する捜査権を放棄して南朝鮮独裁集団に引き渡し、北の「工作員」に仕立てるようにした。

 独裁集団と歩調を合わせ、反共和国、反総聯騒ぎを大々的に起こしてきた日本当局は、アメリカに続いて共和国にたいする「制裁措置」を発表し、我が国の貿易船「松林」号にたいする乱暴な挑発を強行するなど、共和国にたいする敵視政策の度をさらに高めている。

 朝鮮には、“自分の癖は犬にやれない”(“三つ子の魂百まで”−編集部注)ということわざがあるが、日本当局者は、いまだに朝鮮民族をあごで使ったかつての植民地支配者の傲慢無礼な姿勢を捨てきれずにいる。

 かれらが、「日本人女性拉致説」という捏造品をもちだし、「捜査」や「身元確認」などと無礼にも我々に挑戦してきたのも、そうした時代錯誤的悪癖のあらわれであり、南朝鮮独裁集団の反共対決をあおり立てる代償として、南朝鮮にさらに深く侵略の手を伸ばし、植民地支配者のかつての地位を取り戻そうとするところにその目的がある。

 しかし、南朝鮮独裁集団も日本反動も、愚かに打算し、行動している。

 かれらは、虚偽捏造や謀略からは何の得るものもないことをはっきりと知るべきである。

 理性のある人ならば、誰もまともに受け入れない嘘にたより、反共和国謀略を起こせば起こすほど、謀略家としてのかれらの正体はいっそうあらわになり、内外世論のさらに大きな糾弾と排撃にさらされるであろう。

 南朝鮮独裁集団は、自分の手で自分の目を突く愚かな行動をやめ、我々に反対する卑劣な謀略を直ちに取りやめねばならない。

 日本反動も、独裁集団と結託して共和国を敵視することで何かを得ようとするつまらない考えを捨てなければならず、軽挙妄動してはならない。

 我々は、挑発者の無謀な動きを決して黙過しないであろうし、挑発者に当然の反撃を加えるであろう。

 もし、南朝鮮独裁集団と日本反動が、我々のたび重なる警告を無視して、不純な政治的謀略にたよって情勢をさらに緊張させる道を進むならば、必ず高い代償を支払うことになるであろう。


 (注)1988年当時の兌換券は、共和国の国内で使用する紙幣(50ウォン、10ウォン、5ウォン、1ウォン)と鋳貨(50チョン、10チョン、5チョン、1チョン)の裏面に中央銀行が星印のマークを刻んでいる。紙幣の場合、赤色マークは資本主義国の通貨、青色マークは社会主義国の通貨との兌換券である。鋳貨の場合には星マーク1つが社会主義国、2つが資本主義国である。なお、1ウォン鋳貨はまだ通用していない。



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