侵略、テロ、謀略の張本人である
アメリカの「制裁」云々は笑止にたえない
朝鮮民主主義人民共和国外交部スポークスマン声明
−1988年1月25日−


 去る21日、アメリカは南朝鮮旅客機行方不明事件と関連して我々を中傷し、共和国にたいする「制裁措置」なるものを発表した。

 かれらはここで、「テロ国家」「旅行制限」「接触緩和措置撤回」などをもちだし、あえて我が共和国の自主権と尊厳を冒涜し、損なわせようとした。これは、世界の人々の疑惑につつまれている南朝鮮独裁集団の「捜査結果」なるものを合理化し、反共和国謀略に手助けして国際世論を誤らせるための卑劣な行為である。

 我々が既に明らかにしたように、南朝鮮旅客機事件は、共和国とは何のかかわりもない南朝鮮独裁集団の自作自演劇であり、かれらの「捜査結果」というのは嘘と欺瞞、矛盾でつづられた捏造品である。

 ところがアメリカが、今回ソウルで独裁集団の「捜査結果」が発表されるやいなや、ワシントンで同じような笛を吹いたのは、かれらこそが南朝鮮旅客機事件の陰の共犯者であることをすすんで明らかにしたものである。

 アメリカが、既に、ソウル・オリンピックを前にした今年5月を始点にして、日本訪問の南朝鮮「外務部長官」が搭乗する航空機を朝鮮東海上空で爆破させ、それを口実に共和国への軍事的報復をおこなうという「対北朝鮮シナリオ」を作成し、模擬訓練までしたということは、公開された秘密となっている。

 今回の南朝鮮旅客機事件は、まさにアメリカがつくりあげたこうしたシナリオが、南朝鮮軍部独裁者によって軍政延長のためのショック療法として、日時が早められ舞台が変わって昨年11月に、中東で演出されたという以外のなにものでもない。

 歴史的にアメリカは、南朝鮮で植民地支配に危機が生じるたびたびに各種謀略事件をでっちあげ、我々を攻撃する反共和国挑発騒動を起こしてきた。

 かれらは1973年8月、南朝鮮のファッショ的な「維新体制」が人民大衆の強力な抵抗にぶつかり、「二つの朝鮮」政策を糾弾する声が高まるや、南朝鮮独裁集団と共謀して「金大中拉致事件」を起こし、その責任を我々に転嫁しようとしたし、1974年8月には、南朝鮮の青年学生と人民の大衆的進出によって「維新体制」がぐらつくや、南朝鮮独裁集団をそそのかして「朴正煕狙撃事件」を起こし、「北の工作員の犯行」であるかのように捏造、発表した。かれらが1980年5月、光州人民蜂起でかつてない植民地支配が危機に直面するようになると、それを「北のスパイ」の指図によって起こったかのようにデマ宣伝を流し、甚だしくは1986年11月、南朝鮮人民の反米反ファッショ闘争のもりあがりに、「共和国の異常事態」(「狙撃説」)なる途方もない嘘まで捏造し、危機の収拾に利用したのも周知の事実である。

 アメリカと軍部ファッショ集団が今回、旅客機事件をでっちあげ、共和国と結びつけたのも、「安保」を口実に「大統領選挙」で野党と在野民主勢力を抑えつけ、軍部独裁を延長するための今一つの常套的な謀略劇である。

 我々の同胞兄弟を殺した旅客機事件の共犯として、当然責任を負うべきアメリカがかえって居直り、誰かへの「制裁」を云々することこそ、黒白を転倒させる強盗の論理といわざるをえない。

 我々は、アメリカのこうした恥知らずな行為を、我が共和国の対外的権威を傷つけ、朝鮮半島情勢を極度に緊張させる重大な挑発行為、人類の良心と文明に挑戦する蛮行と認め、これを全朝鮮人民の名において断固糾弾する。

 アメリカが言う「テロ国家」について言えば、それは我が共和国ではなく、アメリカ自身である。

 アメリカこそ、地球上のいたるところで国際テロを専業とする世界最大のテロ国家であり、他の国にたいする公然たる武力干渉と陰険な謀略、転覆活動を生存方式とする侵略の頭目である。

 自主独立の道にすすむ新生グレナダやドミニカを武力で圧殺し、反帝・自主を志向するリビアを宣戦布告なき武装攻撃で脅かし、不意にイラン領土を特攻隊作戦で奇襲して、世界の人々の呪いと糾弾を受けたアメリカが、あえて誰に「テロ国家」の帽子をかぶせようというのか。中米や南米、アジアやアフリカで、陰謀的方法によって国家指導者を殺し、合法政府を転覆させ、最も悪らつで残忍な「国家警察」の役をつとめてきたアメリカが、あえて誰にたいし「制裁」を加えることができるのか。

 まして、アメリカは、朝鮮で最も恥知らずな犯罪の歴史を記録している。

 数世紀にもわたって我が国を侵略してきたアメリカ帝国主義は、既に40年間も我が祖国の半分を占領して、テロと破壊、殺りくを強行してきたし、我が民族に数え切れぬ不幸と災難をおしつけてきた。

 アメリカ侵略者は、南朝鮮を占領した当初から軍政を実施しながら、済州島や大邱、麓水や順天など、足を踏みいれたすべての地で、我が国の数多くの愛国者や人民を虐殺した。

 こんにちも南朝鮮人民の胸中に恨みの傷として残る光州大惨劇を、アメリカが陰で操ったということは、あえて証明するまでもなかろう。

 侵略とテロ、謀略の張本人であるアメリカ帝国主義者が、被害者の我が共和国にたいして「制裁」を云々するのは、笑止極まりない。

 アメリカの日常的な侵略にさらされている我々には、かれらが改めて「制裁」措置をとると言っても驚くことはない。

 自主的に暮らしきた我々は、アメリカの世話になったこともなく、そのつもりもない。

 もちろん、我々は朝鮮問題の平和的解決のために、朝米関係が改善されるべきだと認めるが、問題の解決をアメリカに請うつもりはない。

 我が民族は、つとにアメリカが存在する前からも数千年暮らしてきており、こんにちではアメリカの侵略的存在がむしろ民族的不幸と苦痛の禍根になっているだけである。

 共和国は、アメリカを相手にしなくても暮らすことができるし、我が民族は、アメリカがいなくなれば統一した祖国で平和に暮らせるであろう。

 我が共和国とアメリカの関係で、制裁を誰が加え、誰が受けるべきかをはっきりさせておくべきである。

 朝鮮民主主義人民共和国は、歴史的に見ても、今回の旅客機事件から見ても、アメリカから被害を受けている当事者として、かれらに制裁以上の措置をとる立派な権利を保有している。

 我々は、アメリカが国際テロの主犯で、朝鮮にたいする強盗的な侵略者であることを世界の前に告発するとともに、世界のすべての国の政府と人民が、アメリカを国際裁判に公訴するよう主張する。

 我々は、アメリカの「制裁措置」にたいする対応措置として、1988年2月1日から、国際舞台でアメリカの外交官と一切接触しないし、アメリカ国籍をもつ人物の入国を許可せず、アメリカ人の遺骨問題に関するいかなる協議もしないであろう。

 こんにち、アメリカ帝国主義と南朝鮮独裁集団が、我々がオリンピック競技を破綻させようと武力を大々的に動員して、何らかの「挑発」を起こすであろうと騒ぎたてている状況で、かれらは今後また、どのような捏造を行うかわからない。

 我々は、アメリカが南朝鮮独裁集団とともに、愚かで卑劣な陰謀をつづけて、朝鮮半島で南北対決と緊張状態を先鋭化させ、世界の良心を愚弄するような無謀な行動を直ちに中止するよう警告する。

 アメリカは、共和国にたいする「制裁」を騒ぐ前に、南朝鮮から核兵器とともに自国の侵略軍隊をまとめて撤退すべきであり、朝鮮から手を引くべきである。

 アメリカが、我が共和国の自主権と尊厳を傷つけ、朝鮮半島情勢を引き続き悪化させることで何か得ようとするならば、ただ、厳しい報復と破滅が与えられるだけであろう。

 アメリカに追従しながら軽挙妄動している日本当局も、事態を正しく見て分別をもって処すべきであり、共和国にたいする敵視政策を中止しなければならない。日本当局は、反共和国、反朝鮮総聯謀略騒ぎが、決してかれらに好ましい結果をもたらさないことをはっきりと知るべきである。

 我々は、平和と正義を重んじる世界のすべての国の政府と人民が、アメリカと南朝鮮独裁集団の犯罪的策動を断固糾弾し、国の平和と平和統一をめざす朝鮮人民の正義の偉業に引き続き固い連帯を寄せてくれるものとの期待を表明する。



ページのトップ


inserted by FC2 system