南朝鮮独裁集団「身柄引き渡し」は、
国際法と国際慣例に全的に反する行為
朝鮮民主主義人民共和国外交部声明
−1987年12月15日−


 最近、南朝鮮の独裁集団は、「大統領選挙」を前に失踪した旅客機事件を共和国とむりに関連させ、前例のない反共和国謀略を悪らつに行っている。

 旅客機失踪事件が発生するや、理由もなく「北の関連説」から広めだし、共和国を誹謗・中傷した独裁集団は、選挙が切迫するにつれさらにヒステリックになり、ソウルをはじめ、南朝鮮のいたるところで群衆を強制動員して、反共和国の官製行事を大々的にくり広げている。

 我々が先に朝鮮中央通信社スポークスマン声明で明らかにしたように、南朝鮮旅客機事件が共和国とは全く関係のないことが明白になったにもかかわらず、独裁集団が何の根拠もなしに共和国に結び付けて反共和国の謀略騒ぎをおこしているのは、それだけかれらが選挙戦で不利な立場にあり、内部の危機が深刻な局面に置かれていることを物語っている。

 かれらは最初から旅客機事件をいち早く利用して選挙局面を有利に展開させようと画策したが、それはかれらの自作劇という内外の疑惑をいっそう濃くさせ、より不利な状況をつくりだしただけで何ら得るものはなかった。

 事実上、汚れをとろうとして余計汚れを大きくした形になった全斗煥、盧泰愚一派は、何としても破滅的な現難局から脱する活路を共和国と旅客機事件を関連することに求め、いま反共和国キャンペーンをさらに強める方向に進んでいる。

 独裁集団が15日、バーレーンに抑留されていた日本旅券所持者「蜂谷真由美」なる女性と、死亡した「蜂谷真一」なる男性の遺体を、にわかにマナマからソウルに移送したのも、まさにこうした企みの一環として強行されたものである。

 かれらが日本旅券をもった人たちを南朝鮮に引き入れるいかなる条件や名分もないにもかかわらず、あえて押送したのは反共謀略に利用する新たな材料をつくり出すのに目的がある。

 独裁集団が絶体絶命の危機を免れようと反共キャンペーンも、うまくいかず、日本旅券所持者まで利用して新たに途方もない謀略を企てている状況で、我々は「身柄引き渡し」と関連した共和国の原則的立場を明らかにせざるをえない。

 かれらが突然、2人の身柄を中東から極東に移したという事態は、今、人々の驚きを引き起こしている。

 既報のように南朝鮮旅客機が失踪してから15日も経過したが、いまだに事故原因も明らかにされたものはなく、残骸すら確定的に見つけだしたものはない。しかも、かれらが「旅券偽造容疑」で逮捕された「真由美」なる女性を「犯人」と断定し、バーレーン、日本側とともに15日間も合同捜査したのに旅客機爆破犯としうる何の物的証拠も探しだせないでいる。

 日本旅券をもった「真由美」なる女性はバーレーンに収監されている際、捜査官の尋問に自分は「KAL機事件とは何の関係もない」とし、ただ「真一」から受け取った旅券をもって彼と一緒にヨーロッパと中東を旅行しただけだと明白に答えたという。

 もともと、科学的な物的証拠もなしに犯人でない人間を「犯人」として取り扱うことはできないし、その身柄を引き渡せないことは一つの常識的問題になっている。

 南朝鮮や世界の広範なマスコミが、南朝鮮支配層の非常識な「身柄引き渡し」要求を非難するとともに、「99%の心証があったとしても1%の物証がない限り身柄引き渡しの名分は立ちにくい」と事前に警告したのは、決して理由のないことではない。

 独裁集団の不当な「身柄引き渡し」行為は、国際法と国際慣例にも全的に反するものである。

 民間航空の安全に関する国際条約には、飛行機に脅威を与えたり事故を起こした犯人の場合、最優先的捜査権が犯人を逮捕した国にあり、その次に犯人の国籍国にあることを明白に規定している。この協約には、被害当事国といえどもその捜査権が犯人を逮捕した国や犯人の国籍国より優先されないことも規定している。

 これについては事件以来、バーレーンに「特使」として行った南朝鮮の「外務部次官補」も発言したことがある。

 昨日、この国際法を自分の口で言いだした者が、今日はみずからそれを踏みにじって、一時的な捜査権もなく国籍国でもない南朝鮮に他国の旅券所持者を移送したのは、国際法を無視した不法な盗賊的拉致行為そのものである。

 我々は、バーレーン当局が、南朝鮮側の「身柄引き渡し」要求に対して「法的権利を疑問視」しながらも、旅客機事件の犯人として判明したものもなく身元も確認されていない女性と死んだ男性の遺体を引き渡したことは、弁明できない国際法の乱暴な侵害であると認める。

 主権国家であるバーレーンが、国際法に違反してまでもアメリカの植民地に過ぎない独裁集団と共謀して得るものは果たして何であるのか。まして、かれらと犯人引き渡しに関する双務的協約もない国が初歩的な捜査権すら放棄し、その要求に屈服したのは理解しがたいことである。

 我々は、南朝鮮で謀略的な反共キャンペーンが行われているのと時を同じくして、今回「身柄引き渡し」なる非正常的な事態がソウルとマナマで公然とかもし出されたことに深い憂慮を表明し、これを強く糾弾する。

 世界の人々は、南朝鮮の独裁集団が「真由美」なる女性をソウルに移送しておいて、これから何かの事件をつくり出すであろうことをよく知っている。

 既に、世界のマスコミは適正でない「身柄引き渡し」問題に非難の声を高めており、それが強行される場合「結果は明白だ。無理に『北の仕業』として決着つけるであろう。南側は、やりたいように事件をつくつて報道するであろう」と観測した。

 南朝鮮独裁者は女を男に変えたり、男を女に変えることを除いては、どんなことでもやれる謀略の名人である。いまや、かれらは「真由美」に対する捜査舞台をマナマからソウルに移したことで、彼女を思うままに「料理」して宣伝しようとしている。

 しかし、かれらがいかなる謀略を企てて、でっち上げを行ったとしても、それは世界の人々に何の信憑性も与えないであろう。

 かれらは、選挙前夜に「真由美」をソウルに移送したことで有利な「選挙票田」を劇的につくりだし、選挙後に爆発しかねない大衆的な抗争の火を消す「消防夫」を事前に準備しようとしているが、それは、むしろ、みずからの破滅を促す結果のみをもたらすであろう。

 南朝鮮支配層は、ミイラ取りがミイラになるような愚かな行動を取るべきではない。

 我々は、南朝鮮軍部独裁者が謀略と捏造では何も得るものがないことをはっきり悟り、自殺的な反民族行為や共和国に反対するキャンペーンを無条件中止しなければならないと強く主張する。

 もし、かれらがこの警告にもかかわらず、不純な政治的謀略に頼って北南対決を激化させ、朝鮮半島情勢をさらに緊張させる道に進み続けるならば、そこからもたらされる災いについての全責任を負わなければならないであろう。

 バーレーン当局は今回、南朝鮮の不純な要求に承服して身柄引き渡し問題を不法・不当に処理することで、南朝鮮における軍政延長を助長し民主化実現に障害をつくり、朝鮮半島の平和を危うくする結果をもたらした。

 日本反動は、南朝鮮旅客機が失踪した当初から南朝鮮と結託し、共和国と朝鮮総聯を妨害、中傷し、総聯活動家や同胞子女の民族権利を侵害して身辺の安全に脅威を与える行為を行った。

 我々は日本反動が共和国を敵視し、総聯と在日同胞を迫害する行動をやめ、旅客機事件で漁夫の利を得ようとする振る舞いを中止すべきだと主張する。

 平和と民主主義、社会的進歩のための世界人民の正当な偉業は、国の平和と平和統一のための朝鮮人民の聖なる偉業と一つに結ばれている。

 我々は、世界の各国政府と人民がアメリカの植民地支配下にある南朝鮮の重大な事態に注目し、軍部独裁者の反共対決と謀略を糾弾する声をさらに高めるものとの期待を表明する。



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