金 正 恩

朝鮮労働党中央委員会2013年3月総会でおこなった報告
 −2013年3月30日−


 同志の皆さん!

 今日、我々は現情勢と革命発展の要求に即して白頭山で開拓されたチュチェ革命偉業の勝利を早めるための重大な戦略的路線を討議、決定する党中央委員会総会をおこなうことになります。

 我が革命は、偉大な金日成同志と金正日同志の賢明な指導のもとに帝国主義連合勢力に反対する長く峻厳なたたかいのなかで最悪の逆境と挑戦を果敢に切り抜け、栄光に満ちた勝利の一路を歩んできました。

 党の指導のもと、最後の勝利に向かって自信満々に突進していく我が軍隊と人民の激しい気勢に恐れおののいた敵は、政治的・経済的・軍事的力を総動員して我が共和国を孤立、圧殺するための策動に狂奔しており、それにより我が国の情勢は戦争前夜の重大な段階にまで至りました。

 こんにち、我々には日を追って増大する敵の反共和国圧殺策動を粉砕するための反米全面対決戦で決定的勝利をおさめ、チュチェの社会主義祖国を永遠にこの世界の誰も手出しできない白頭山大国に輝かすべき重大な課題が提起されています。

 現情勢と革命発展の要求から党中央は、経済建設と核武力建設を並進させることに関する新たな戦略的路線を示すことになります。

 経済建設と核武力建設を並進させることに関する我が党の路線は、偉大な総書記が譲り渡した核武力を強化し、発展させて国の防衛力を鉄壁にかため、経済建設にさらなる力を入れて、我が人民が社会主義の富貴栄華を思う存分享受する強盛国家を建設するための戦略的路線です。

 経済建設と核武力建設を並進させるのは、生じた情勢の必須の要求です。

 偉大な大元帥たちが生涯をささげてもたらした自衛的な戦争抑止力にもとづいて、もはや、人民がこれ以上ベルトを締め上げず社会主義の富貴栄華を享受できるよう経済建設に力を集中しようとした我々の前には大きな難関が生じました。

 米国とその追従勢力は、昨年12月に成功裏におこなわれた我々の平和的な衛星打ち上げにかこつけて強盗さながらの国連安全保障理事会「制裁決議」をでっち上げ、主権国家の合法的な衛星打ち上げの権利まで不法化する暴悪非道な敵対行為をはたらきました。

 生じた事態に対処し、我々はやむを得ず国の自主権と安全を守るための実際的な対応措置の一環として自衛的な第3回地下核実験を断行しました。

 すると、米国をはじめ、敵対勢力はさらに狂気をふりまいて、またもより強度の「制裁決議」をでっち上げる一方、膨大な侵略武力を動員して核戦争に火を付けるための「キー・リゾルブ」「フォールイーグル」合同軍事演習をおこないました。

 我が軍隊と人民は、党中央委員会のまわりにかたく結集し、侵略戦争には正義の祖国統一大戦で立ち向かう反米全面対決戦にこぞって立ち上がりました。我々の超強硬対応に敵は恐怖に駆られ、あえて発砲できず慌てふためいているが、我が共和国を圧殺しようとする野望は捨てていません。

 経済建設と人民生活の向上のための我々の平和的な努力は、緊迫した対敵闘争を伴うことになっており、制裁の圧迫で首を絞めて我々の核抑止力を壊し、社会主義制度を倒そうとする米国の反共和国圧殺策動は長期化するでしょう。

 いま、米国は、小型化、軽量化、多様化された我々の核抑止力を最も恐れており、核兵器を握り締めた我々が経済的復興をなし遂げれば、自分らの対朝鮮敵視政策は終わりであるとみなして最後のあがきをしています。

 米国の対朝鮮敵視政策が最近になってより悪辣になっているのは、米国が世界支配のための戦略的中心をアジア太平洋地域へと移し、我々を第一の攻撃目標にしたことにも関連します。

 それで米国は、我々の平和的な衛星打ち上げにまでむやみに言いがかりをつけて人為的に緊張を激化させ、それを口実に膨大な侵略武力を投入して大規模な合同軍事演習を絶えずおこなっています。米国の目的は、手段と方法を尽くして、我々の核武装解除と制度転覆をなし遂げようというものです。

 最近、各国で起きた悲劇的な事態は、自分の力が強くなければ国の自主権と民族の尊厳を守ることができないし、人民の幸福と繁栄もなし遂げられないことを示しています。

 我々は、大国を仰ぎ見て強力な自衛的国防力を備えられず、帝国主義者の圧力と懐柔に勝てずに既存の戦争抑止力まで放棄して、結局は侵略の犠牲になったバルカン半島と中東地域の諸国の教訓を絶対に忘れてはなりません。

 いま、敵は我々に核兵器を放棄しなければ経済発展をなし遂げられないと威嚇、恐喝すると同時に、他の道を選択すれば豊かに暮らせるよう助けてやると懐柔もおこなっています。

 そうすればするほど、我々は、核の宝剣をさらに力強く握り締め、強盛復興の活路を開かなければなりません。

 こんにち、経済建設と核武力建設を並進させるのは、我が革命発展の法則の要求です。

 偉大な大元帥たちの貴い生涯が宿る先軍革命偉業はこんにち、新たな歴史的転換期を迎えています。

 我々は、先軍の威力をあらゆる面から強化し、それに依拠してすべての人民が他人をうらやむことなく豊かに暮らす天下第一の強国、人民の楽園を必ず打ち立てなければなりません。

 万難の試練を排し、党に従って変わりなく一路を歩んできた我が人民が、先軍の恩恵により世界で最も幸福で豊かな生活を送るようにしようとする我が党の決心は確固としています。

 経済を発展させて人民生活を高めるたたかいは、強力な軍事力、核武力によって保証されてこそ成功裏におこなわれます。我々は、宇宙を征服(人工衛星打ち上げ成功)したあの精神、高い水準の核実験に成功したあの気迫で祖国守護戦と経済強国の建設を同時に推し進め、人民の幸福と白頭山大国の富強繁栄を必ずなし遂げなければなりません。

 経済建設と核武力建設を並進させるのは、外部勢力の支配と干渉を徹底的に排撃し、我が民族の最大の宿願である祖国統一の歴史的偉業を早めるための差し迫った要求として提起されます。我々の核は、統一祖国の隆盛繁栄を永遠に保証する民族共同の貴重な富です。

 経済建設と核武力建設を並進させることに関する戦略的路線は、我々の戦争抑止力を著しく強化し、経済建設にさらに拍車をかけて社会主義強盛国家建設偉業を輝かしく実現できるようにする正当な路線です。

 我々の核武力は、頼もしい戦争抑止力に、民族の自主権を守る保証になります。核兵器が世界に出現した以降およそ70年間、世界的規模の冷戦が長期間続いて多くの地域で大小の戦争もたくさんあったが、核兵器保有国だけは軍事的侵略を受けませんでした。

 侵略者と侵略の本拠地が地球上のどこにあろうが、核兵器で精密攻撃できる能力さえしっかり備えればどんな侵略者もあえて襲いかかれないし、核攻撃能力が強大であるほど侵略を抑止する力はそれだけさらに大きくなります。特に、我が国の場合は、相手が世界最大の核保有国である米国であり、米国が我々に恒常的に核の威嚇を加える状況で、核武力を質・量的にしっかり打ちかためなければなりません。強力な核武力のうえに平和もあり、富強繁栄もあり、人民の幸福な生もあります。

 経済建設と核武力建設を並進させることに関する戦略的路線は、我々の実情に合わせて国の経済発展と国防力の強化で最大の効果をあらわすようにする現実的な路線です。

 いま、米国とその追従勢力は、我々を軍備競争に引き込んで何としても経済強国の建設と人民生活の向上のための我々のたたかいに難関を生じさせようと策動しています。新たな並進路線は、国防費を増やさずとも少ない費用で国の防衛力をさらに強化しながら経済建設と人民生活の向上に大きな力をまわせるようにします。

 我々には、偉大な大元帥たちが千里慧眼の英知と卓越した指導、鋼鉄の胆力でもたらした強固な原子力工業があり、限りなく強大なウラン資源もあります。

 党の並進路線は、主体的な原子力工業に依拠して核武力を強化すると同時に、緊張した電力問題も解決できるようにする合理的な路線であり、生じた情勢に主動的に対処しながらも人民が心配せず幸福に暮らすようにしようとする我が党の構想と意図を十分に実現できるようにする正当な路線です。

 経済建設と核武力建設を並進させることに関する戦略的路線は、偉大な主席が示して偉大な総書記が徹底的に具現してきた経済と国防並進路線の継承であり、深化、発展です。

 偉大な主席は、1962年12月の党中央委員会第4期第5回総会で史上初めて経済建設と国防建設を並進させることに関する路線を打ち出し、「片手には銃を、もう片方の手には鎌とハンマーを!」の革命的スローガンを示しました。主席が、並進路線を宣明して自立的民族経済とともに自衛的国防力を備えたので、我々は各国で社会主義が崩壊する大動乱のなかでもびくともせず革命の獲得物をしっかり守ることができました。

 偉大な総書記は、卓越した先軍政治で熾烈な反米核対決戦を連戦連勝へと導き、核保有の大業をなし遂げてチュチェの社会主義を守り抜き、強盛国家建設へと跳躍できる確固たる土台を築きました。

 こんにち、我々が、米国とその追従勢力の悪辣な反共和国孤立・圧殺策動を断固粉砕し、自分の信念と意志、胆力にもとづいていったん決心したことをすべてやれるようになったのは、偉大な大元帥たちが生涯をささげてもたらした強力な核抑止力があるからです。我が国を核保有国として世界に高く押し立てた大元帥たちの業績は、民族史とともに末永く輝くでしょう。

 核武力を中枢にして国の防衛力を鉄壁にかためながら強盛国家の建設に拍車をかけることに関する党の並進路線は、社会主義強盛国家の建設と祖国統一を早める宝剣であり、我が国が民族の自主権と尊厳を子々孫々しっかり守ることができるようにする旗印です。

 経済建設と核武力建設を並進させることに関する戦略的路線には、偉大な大元帥たちが開拓して継いできた、自主の道、先軍の道、社会主義の道に沿ってチュチェ革命偉業を最後まで完成しようとする我が党の確固たる信念と意志が具現されています。

 経済建設と核武力建設を並進させることに関する党の路線をしっかり堅持し、徹底的に貫徹しなければなりません。

 経済強国の建設を推し進めて人民生活を画期的に高めるのはこんにち、我が党に提起される最も重要で差し迫った課題です。

 愛する祖国の地に経済強国を打ち立てて我が人民を世界にうらやむものがなく豊かに暮らすようにするのは、偉大な総書記の生涯の念願でした。我々は、総書記が願ったとおりに経済強国の建設を推し進め、人民生活を早く高めなければなりません。

 経済強国建設の勝敗は、何よりも人民経済の先駆け部門(電力、石炭、金属、鉄道運輸)と基礎工業部門をどうもり立てるかというところに決定的にかかっています。電力・石炭・金属工業と鉄道運輸部門が先頭に立って力強く進んでこそ人民経済の全般が立ち上がり、活気を帯びて前進することができます。人民経済の先駆け部門、基礎工業部門は、経済強国建設の斥候兵、開拓者らしく、こんにちの大高揚進軍で勝利の突破口を開かなければなりません。

 経済強国建設の主力を注ぐ方向である農業と軽工業の発展で新たな転換を起こさなければなりません。

 農業に対する国家的投資を増やし、農業をチュチェ農法の要求どおり科学技術的に営み、党が示した穀物の生産目標を無条件遂行しなければなりません。

 軽工業部門は、人民生活向上大進軍の砲声を大きく響かせることに関する党の呼びかけを体して軽工業工場をフル稼働させ、人民の好評を博す良質の一般消費財を大々的に生産しなければなりません。

 新世紀の産業革命の炎を激しく起こして、人民経済の主体化、現代化の水準をさらに高め、国の経済を知識経済に確固と転換させなければなりません。

 科学技術の発展によって経済と社会の発展の高さと速度が規定されているこんにち、我々が建設する経済強国は、科学技術を原動力とする知識経済強国にならなければなりません。

 我々自身の資源と技術に依拠して経済強国の建設で切実に求められる原料、燃料、資材を国産化し、特に、金属工業、化学工業をはじめ、基幹工業部門の主体化の実現に大きな力を入れなければなりません。・

 人民経済のすべての部門で新しい技術開発力を整えて科学技術と経済を有機的に組み合わせ、工場、企業所を現代技術で更新しなければなりません。

 また、宇宙科学技術の発展に力を入れ、通信衛星をはじめ、各種の実用衛星をさらに多く開発して打ち上げなければなりません。

 経済強国の建設で転換をもたらすためには、経済指導と管理を改善しなければなりません。

 内閣をはじめ、国家経済機関は、経済発展戦略と部門別、段階別の目標を現実みをもって立てて徹底的に執行し、既に築かれた経済の基盤を立派に活用して生産の高揚を起こすための生産の組織と指揮を抜かりなく綿密におこなわなければなりません。

 現実発展の要求に即して我々式の経済管理方法を研究、完成しなければなりません。

 チュチェ思想を具現した我々式の経済管理方法は、生産手段に対する社会主義的所有を確固と固守しながら国家の統一的指導のもとに、すべての企業が経営活動を独自に、創意をこらしておこなうことで、生産者大衆が生産と管理で主人としての責任と役割を果たすようにする社会主義企業管理方法になるべきでしょう。

 対外貿易を多角化、多様化して、敵対勢力の制裁と封鎖策動を粉砕し、経済強国建設に有利な局面を開かなければなりません。

 元山地区(江原道)と七宝山地区(咸鏡北道)をはじめ、国の至る所に観光地区を立派に整えて観光を活発におこない、各道にその実情に合った経済開発区を設け、特色あるように発展させなければなりません。

 我々は、帝国主義者の核の威嚇が続く限り、経済建設とともに核武力建設を絶対不変の路線として堅持し、核抑止力をさらにしっかり打ちかためなければなりません。

 我々の核抑止力は、国と民族の自主権を守り、戦争を防いで平和を守るための正義の手段です。核抑止力さえしっかりしていれば、千万の大敵が襲いかかっても恐れるものはないし、安心して経済建設と人民生活の向上に力を集中することができます。

 軍需工業部門は、我が祖国を天下無敵の核強国に輝かせるたたかいでもう一度大きな一歩を踏み出さなければなりません。

 精密化、小型化された核兵器とその運搬手段をさらに多くつくり、核兵器の技術を絶えず発展させて、より威力ある発展した核兵器を積極的に開発しなければなりません。

 原子力工業を現代化、科学化するのは、核物質の生産を増やして、製品の質を高め、核兵器の小型化、軽量化をより高い段階に発展させるための基本の鍵です。原子力部門は、先端突破戦を力強くおこない、設備と生産工程のCNC(コンピューター数値制御)化、無人化を実現しなければなりません。

 原子力工業を新世紀の要求に即して最先端科学技術の土台の上に確固と押し上げ、自立的な原子力工業を発展させて国の緊張した電力問題も解決しなければなりません。

 人民軍は、戦争抑止戦略と戦争遂行戦略のすべての面で核武力の中枢の役割を高めて核武力の経常的な戦闘準備態勢を完備しなければなりません。

 我々は、偉大な総書記の遺産である核抑止力を恒久的に堅持する問題を法制化しようと思います。

 経済建設と核武力建設の並進路線を貫徹するうえで有利な環境をもたらすための対外活動を積極的におこなわなければなりません。

 核強国の尊厳と威力で対外活動を大胆におこなって、我が党の国際的権威をさらに高め、自主の柱を徹底的に立てて強盛国家の建設を力強く促すことのできる対外的条件と環境をもたらさなければなりません。

 我々を核武力の強化へと後押ししている根源である米国の対朝鮮敵視政策の反動性と不当性を明らかにし、我々の選択と路線の正当性と不可避性を認識させるための対外活動を主動的におこない、国際舞台で我々の支持者、賛同者の隊列を増やさなければなりません。

 我々は、責任ある核保有国として、アジアと世界の平和と安全のため積極的に努力し、国際社会に担った核拡散防止の義務を誠実に履行して世界の非核化実現に寄与するでしょう。

 すべての活動家と党員、勤労者は、必勝の信念と決死貫徹の闘争精神で経済建設と核武力建設を並進させることに関する党の路線貫徹に力強く立ち上がり、社会主義強盛国家の建設を早めなければなりません。

 情勢が複雑であるほど、困難で膨大な課題が提起されるほど、自分の偉業の正当性と勝利に対する信念をかたくもち、自分が選択した道に沿ってさらに果敢にたたかうことは、偉大な大元帥たちが育んだ我が軍隊と人民の革命的気質であり、闘争伝統です。

 こぞって党中央委員会のまわりにかたく団結し、現情勢と革命発展の要求に即して経済建設と核武力建設をともに力強く推し進め、最後の勝利を早めましょう。(出典:「労働新聞」4月2日 朝鮮通信=東京)

 
 金日成主席の著作:『現情勢と我が党の任務』− 朝鮮労働党代表者会議でおこなった報告−(1966年10月5日)
 参考:『金日成主席革命活動史』(第9章 第3節 経済建設と国防建設の並進)


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