金正日総書記革命活動史

第8章 先軍の旗を高く掲げて社会主義強盛国家を
建設するために

第13節 国の対外的威信を高めるために

 金正日総書記は、朝鮮の対外的威信を高めるための活動を指導した。

 1990年代末期から2000年代初期にかけて世界の政治情勢は複雑をきわめていた。アメリカは、世界一極化の野望を抱いて他の国と民族にたいする無分別な侵略と干渉、支配と略奪策動をはばかることなくおこなった。アメリカの傲慢な軍事的侵略と戦争策動によって、世界の多くの国と民族の自主権と生存権は無残に踏みにじられていた。

 複雑な国際政治情勢は、強力な軍事的抑止力とそれに依拠した自主外交によってアメリカの強権政策に打撃を加え、国と民族の自主権と尊厳を守り、国際関係を自主化、民主化することを求めていた。

 金正日総書記は、アメリカと日本の対朝鮮敵視政策を破綻させるための闘争を賢明に導いた。

 朝米基本合意文を採択した後、アメリカが新たな「核疑惑」説を持ち出してきたとき、それは共和国を孤立圧殺しようとする粗暴な蹂躙行為だと糾弾し、もし、その「疑惑」を解消しようとするなら、卑劣な中傷冒涜によってわが共和国のイメージを汚したことにたいし、政治的、経済的に補償させるようにした。

 総書記は、アメリカが喧伝する朝鮮の「ミサイル脅威」説の侵略的本質と危険性を鋭く看破し、朝米会談で強硬な立場をとるようにした。こうして、1999年9月にベルリンで開かれた朝米会談で、アメリカは彼らが会談に持ち出してきた要求を放棄せざるをえなくなり、2000年6月には共和国にたいする経済制裁を一部解除する措置を取った。

 総書記は、先任の政権と合意した公約をすべて覆し、朝鮮を「悪の枢軸」「圧制の拠点」呼ばわりして対朝鮮強硬政策をとるブッシュ政権の策動に超強硬の態度で対抗するようにした。これにもとづき、2003年1月10日に核拡散防止条約からの完全脱退に関する共和国政府声明が、2005年2月10日には核兵器保有に関する朝鮮民主主義人民共和国外務省声明が発表された。そして、2006年7月、人民軍のミサイル発射訓練と同年10月と2009年5月、2度にわたって地下核実験が成功裏におこなわれた。

 金正日総書記は、アメリカの共和国圧殺政策に積極的に追従する日本の策動を粉砕するための対日外交戦を賢明に指導した。歴史的にアメリカの対朝鮮圧殺政策に便乗して共和国にたいする敵視政策をとってきた日本の執権層は、新世紀に入って対朝鮮政策に一連の変化をもたらした。

 そうして、朝・日政府間の第8回会談の決裂後8年ぶりの2000年4月、平壌で第9回会談が再開され、それは第10回、第11回会談と続行された。まさに、こうした延長線として2002年9月に日本の首相が平壌を訪問することになった。

 総書記は2002年9月14日、日本の共同通信社社長の質問にたいする回答で、朝・日両国は、いずれもアジアにある国であって、近くて遠い国ではなく近い隣邦として互いに仲よく過ごし、共存、共栄をはかるべきだというのが朝鮮の意志であり、一貫した立場であるとし、朝・日関係を正常化するうえで解決すべき基本問題は、両国間のしこりとなっているいまわしい過去をきれいに清算することだと述べた。

 総書記はその後9月17日、平壌を訪問した日本の首相と対面し会談をおこなった。この対面と会談では、朝・日間のいまわしい過去を清算し、懸案事項を解決し、結実のある政治・経済・文化関係を打ち立てることが双方の基本的利益にかない、地域の平和と安定に大いに寄与することになるという共通の認識を確認した。

 会談についで採択された朝・日平壌宣言では、日本が過去、朝鮮を軍事的に占領して朝鮮人民に莫大な損害と苦しみを与えた歴史的事実を謙虚に受けとめ、痛切な反省と心からの謝罪の意を表明した。そして、双方は、国際法を遵守し、相互の安全を脅かす行動をしないということと、北東アジア地域の平和と安全を維持、強化すべく互いに協力していくことを確認した。

 その後、2004年5月に再度平壌を訪問した日本首相は、朝・日平壌宣言を誠実に履行することがきわめて重要であるということと、朝・日平壌宣言が両国関係改善の基礎となることを再確認した。

 金正日総書記は、朝鮮の自主権を尊重し、友好的にたいする世界のすべての国と友好・協力関係を発展させていくようにした。

 先軍政治によって朝鮮と好ましい関係を結ぼうとする国の数が日増しに増えている状況に即して、朝鮮の自主権を尊重するすべての国と国家関係を結び発展させていくための活動を推し進めた。

 まず、自主性の原則で中国、ロシアとの友好・協力関係を発展させていった。

 総書記は、精力的な対外活動によって朝中友好をいっそう強固にしていった。

 2000年3月5日と2007年3月4日、2008年3月1日に朝鮮駐在中国大使館を訪問し、2000年5月、2001年1月、2004年4月、2006年1月、2010年5月と8月、2011年5月と8月、8回にわたって中国を訪問し、朝中友好を深めた。

 訪問期間、中国の党および国家の指導的幹部たちと対面し会談をおこなった。対面と会談では、両党、両国の社会主義建設での成果と経験が交わされ、伝統的な朝中友好をさらに強固にし、朝鮮半島の安定と平和を保障する問題をはじめ、相互の関心事となっている問題について意見が交換され、討議された問題について意見の一致を見た。そして、社会主義建設と国の統一のための両党、両国人民の闘争にたいする支持と連帯を再確認した。

 総書記は2000年10月、中国人民義勇軍の朝鮮戦線参戦50周年を契機に訪朝した中国高位軍事代表団と会見した。そして、江沢民主席(2001年9月)と胡錦濤主席(2005年10月)、温家宝総理(2009年10月)の朝鮮にたいする公式親善訪問を契機に友好・協力関係を新たな高い段階に発展させた。

 また、朝中両国間で党・国家・軍事代表団をはじめ、各分野の代表団を交換して相互の理解と友好の情を引き続き深めるようにし、2009年10月の朝中国交樹立60周年と2010年10月の中国人民義勇軍朝鮮戦線参戦60周年を契機に朝中友好をいっそう強化するようにした。

 総書記は、朝ロ関係の発展においても画期的な転換をもたらすようにした。

 ロシア連邦プーチン大統領の朝鮮訪問を契機に朝ロ友好の新しいページを開いた。

 プーチン大統領は、2000年7月19日から20日にかけて朝鮮を訪問した。総書記は、ロシア大統領としては初めての訪問者であるプーチン大統領との対面と会談で両国間の関係と相互の関心事である国際問題について幅広く意見を交わし、朝ロ共同宣言に署名した。そして、プーチン大統領の訪朝以後、朝ロ友好をさらに強化することに深い関心を払った。

 プーチン大統領が朝鮮訪問を終えて帰国した後、北洋艦隊所属の最新潜水艦「クルスク」号の沈没事件に関して西側と反プーチン勢力が彼を指名攻撃して騒ぎを起こしていた時期の2000年8月22日、プーチン大統領に弔電を送り、ロシアの貫禄ある芸術団体が訪朝して公演をおこなうようにし、両国人民と芸能人間の友好の絆をさらに強めた。

 総書記は、特に、ロシアを何度も訪問して朝ロ友好関係を新たな高い段階に引き上げた。

 2001年7月24日、ロシアのイタル・タス通信社の質問にたいする回答で、朝ロ両国間の関係とその発展展望について明らかにし、ついで同年7月26日から8月18日までロシア連邦を公式訪問した。

 訪問期間にプーチン大統領と数回にわたって対面と会談をおこない、21世紀の朝ロ友好と自主偉業の里程標となる朝ロモスクワ宣言に署名した。そして、レーニン廟と無名戦士の墓を訪ねて、ロシア人民と全世界に大きな衝撃を与えた。

 世界の数多くの国の言論界をはじめ、社会各界の人士と各階層の人民は、金正日総書記を「世界的な政治元老」「自主時代の偉大な指導者」と称賛し、金正日総書記のロシア訪問を「2001年の国際的な出来事」だと激賞した。

 その後2002年8月には、ロシア連邦の極東地方を訪問し、2011年8月にはシベリアおよび極東地方を再度訪問して朝ロ友好関係をさらに強化した。

 金正日総書記は、アジア太平洋地域諸国との関係、ヨーロッパをはじめ、西側諸国との関係を拡大、発展させることに大きな関心を払った。

 こうして、朝鮮は2000年5月に、25年間断絶されていたオーストラリアとの関係を回復し、2000年7月にはフィリピン、2001年4月にはクウェートと国家関係を結び、2000年7月にはASEAN地域フォーラムに加入した。また、2007年4月にはミャンマーと国家関係を回復し、ベトナム、インドネシア、ラオス、カンボジアとの友好関係も発展させた。

 2000年1月、西欧諸国のうちで最初のイタリアとの国交樹立についでイギリス、オランダ、トルコ、ベルギー、スペイン、ドイツ、ルクセンブルク、ギリシャと国交を樹立した。

 総書記は、2001年5月に訪朝した欧州連合の最高位級代表団と会見し、朝鮮と欧州連合間の関係発展と種々の国際問題にたいする原則的で明確な解明を与えた。これは、朝鮮と欧州連合間の関係を発展させる重要な契機となり、同年5月14日、欧州連合は朝鮮との外交関係を結んだ。西欧諸国とともに、カナダ、ブラジルをはじめ、他の地域の国々も朝鮮と国交を樹立した。

 金正日総書記はまた、アフリカ諸国との友好・協力関係を発展させることにも深い関心を払い、長い友好・協力関係を保ってきたアフリカ諸国の間で共和国の対外的イメージを著しく高めた。こうして朝鮮は、アフリカ大陸のすべての国と国交を樹立し、多くのアフリカ諸国は国際舞台で朝鮮の革命偉業を支持した。

 <参考>対外関係の主要な条約・宣言はこちら。





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