金正日総書記革命活動史

第5章 全社会の金日成主義化をさらに促進するために

第3節 金日成主義を深化発展させるための思想・理論活動を展開、著作『チュチェ思想について』を発表

 金正日総書記は、精力的な思想・理論活動によって金日成主義をよりいっそう深化発展させ、自主時代の指導思想としてさらに輝かせた。

 金日成主席は、次のように述べている。

 「わたしは、朝鮮革命の要請と新しい自主時代の人民の志向を反映してチュチェ思想を創始し、それを指針として革命と建設を指導してきましたが、チュチェ思想の原理を総合し体系化することについては別段考えませんでした。この問題は、金正日同志によって立派に実現されました。彼は、チュチェ思想の根本原理と真髄をなす内容を深く研究したうえで、わが党の指導思想をチュチェの思想、理論、方法の全一的な体系として定義づけました」

 金日成主席は、以前から、外国の多くの元首や政界をはじめ、各界の人士からチュチェ思想に関する本を書いて世界の人々に贈ってほしいと請われていた。

 主席は1972年9月、日本の『毎日新聞』記者の質問にたいする回答『わが党のチュチェ思想と共和国政府の対内対外政策のいくつかの問題について』をはじめ、外国人との談話で、チュチェ思想の出発点と創始の経緯、本質と指導原則など、チュチェ思想の原理的問題について解答を与えたが、チュチェ思想の原理を総合的に体系化することは先に延ばしてきた。

 1980年代の初めに至り、チュチェ思想は、朝鮮革命の実践において巨大な生命力を発揮していただけでなく、その科学的真理性と時代性、独創性と革命性、普遍性により世界の進歩的人民の間で大きな共感を呼び、急速に伝播していた。すでに1970年代の中ごろから、チュチェ思想を全一的に総合、体系化することを重大な思想・理論的課題とみなし、精力的な思想・理論活動を続けてきた総書記は、主席の誕生70周年を迎えてこの問題を解決することを決意した。

 総書記は、第6回党大会の決定を貫徹するために精力を傾けながらも、チュチェ思想の原理を体系化し、理論的に定立するために思索と探究を深めるとともに、これを集大成した論文を執筆することに心血を注いだ。

 こうして、論文『チュチェ思想について』は、主席の誕生70周年を控えて完成された。

 総書記は、主席の誕生70周年記念全国チュチェ思想討論会の最終日である1982年3月31日、討論会に論文『チュチェ思想について』を寄せた。

 この論文で総書記は、チュチェ思想の構成体系を明示した。

 チュチェ思想は、哲学的原理と社会・歴史原理、そして、それを具現するための指導的原則を基本構成部分とする全一的な思想・理論体系である。

 論文で総書記は、チュチェ思想の各構成部分の思想・理論的内容を明示し、整然と体系化した。まず、チュチェ思想の哲学的原理を解明した。

 金正日総書記は、次のように述べている。

 「チュチェ思想は、人間を本位にして哲学の根本問題を提起し、人間があらゆるものの主人であり、すべてを決定するという哲学的原理を明らかにしました」

 総書記は、チュチェ思想の哲学的原理は、世界における人間の地位と役割を解明した人間本位の哲学的原理であり、それは人間にたいする新たな哲学的解明にもとづいていることを明らかにし、人間は、自主性、創造性、意識性をもつ社会的存在であるという主体的見解をよりいっそう深化発展させた。そして、チュチェの哲学的世界観が新たな哲学的原理にもとづき、世界が人間によって支配され改造されるという見解と、人間の利益から出発し、人間の活動を基本にして世界とその変化発展に対応する観点と立場を明らかにしていることを論証した。

 総書記は、ついで、チュチェ思想の社会・歴史原理の重要な原理を科学的に体系化し、その思想・理論的内容をよりいっそう深化発展させた。総書記は、チュチェ思想の社会・歴史原理の重要な原理は、人民大衆は社会・歴史の主体であるという原理、人類の歴史は人民大衆の自主性をめざす闘争の歴史であるという原理、社会的・歴史的運動は人民大衆の創造的運動であるという原理、革命闘争において決定的役割を果たすのは人民大衆の自主的な思想・意識であるという原理であることを明らかにし、その具体的な内容と要求、真理性と独創性を論証した。

 総書記はまた、チュチェ思想の指導的原則を全面的に体系化して明らかにした。

 総書記は、チュチェ思想の指導的原則は、自主的立場を堅持するという原則、創造的方法を具現するという原則、思想を基本にとらえるという原則からなっていることを明らかにし、その思想・理論的内容を整然と論述した。

 論文『チュチェ思想について』を読んだ金日成主席は、金正日同志はわたしの革命思想を久しい前にチュチェの思想、理論、方法の全一的な体系として定式化し、論文『チュチェ思想について』でチュチェ思想の哲学的原理と社会・歴史原理、指導的原則を基本論題とし、それを科学的、理論的に解明することによって、わたしの革命思想がチュチェの思想、理論、方法の全一的な体系であることを全面的かつ完璧に論証したとして、これまで多くの哲学論文を読んで評価をくだしたが、満点の出来だと評価した論文は金正日同志のこの論文が初めてだ、金正日同志は希世の哲学者だと語った。

 論文『チュチェ思想について』は、思想や政見、体制や信教、言語や風習を異にする世界の人民の間で絶対的な共感と賛辞を呼び起こし、大陸と大洋を越えて全世界に急速に普及された。論文発表後、1年足らずの間に90余カ国の雑誌、新聞が、この論文の全文または詳細な要旨を掲載し、単行本も144カ国に普及された。そして、多くの国で研究討論会や講演会が開かれた。

 金正日総書記は、論文『チュチェ思想について』を発表した後、金日成主義をよりいっそう深化発展させるために精力的な思想・理論活動を展開した。

 1983年5月3日に発表した論文『マルクス・レーニン主義とチュチェ思想の旗を高く掲げて進もう』、1986年7月15日の朝鮮労働党中央委員会の責任幹部への談話『チュチェ思想教育における若干の問題について』、1987年9月25日の朝鮮労働党中央委員会の責任幹部への談話『反帝闘争の旗をさらに高く掲げ、社会主義・共産主義の道を力強く前進しよう』、1987年10月10日の朝鮮労働党中央委員会の責任幹部への談話『チュチェの革命観を確立するために』など、数多くの著作を執筆、発表した。これらの著作で総書記は、新しい思想と理論によって金日成主義をさらに発展させ豊富にし、その正当性と独創性、生命力を論証した。

 総書記は、チュチェ思想の原理的内容をさらに深化発展させた。

 総書記は、チュチェの哲学的世界観の独創性と優越性を解明し、チュチェの社会・歴史観、革命観の原理的内容をさらに深化発展させた。特に、歴史の主体に関する理論をさらに深化発展させ、革命の主体についての独創的な理論を打ち出した。

 金正日総書記は、次のように述べている。

 「革命の主体は、領袖、党、大衆の統一体です」

 革命の主体に関する理論は、チュチェの社会・歴史原理において核をなす。

 総書記は、社会的政治的生命体における領袖、党、大衆の地位と相互関係を明らかにした。

 人民大衆は、党の指導のもとに領袖を中心に組織的、思想的に結束することにより、不滅の自主的な生命力をもつ一つの社会的政治的生命体をなす。

 社会的政治的生命体において、領袖は最高頭脳であり生命活動を統一的に指揮する中心であり、党は領袖を中心に組織的、思想的に強固に結合した人民大衆の中核部隊として、自主的な生命体の中枢をなす。個々人は、党組織を通じて領袖と組織的、思想的に結合してこそ不滅の社会的政治的生命を持つことができる。

 領袖、党、大衆は、一つの生命に結合して運命をともにする社会的政治的生命体であるため、その間には、助け合い、愛し合う革命的信義と同志愛の関係が生まれる。

 総書記は、革命の主体を新たに解明することによって、チュチェの革命観と人生観に関する理論を全面的に深化発展させた。

 チュチェの革命観は、革命の主人がもつべき革命にたいする主体的な観点と立場である。

 総書記は、革命観を確立するうえで革命の対象を把握することも必要であるが、革命の主体にたいする正しい立場と観点をもつことが重要であるとして、革命観を確立するためには、領袖観、組織観、大衆観から正しく打ち立てなければならず、革命観は道徳観によって裏打ちされなければならないと指摘した。結局、チュチェの革命観を確立するためには、革命的な領袖観、組織観、大衆観、道徳観をともに体得しなければならない。

 チュチェの革命観で基本をなすのは、革命的領袖観である。それは、革命の主体をなす社会的政治的集団の中心がこの集団の最高頭脳である領袖であるからである。革命的領袖観を確立してこそ革命的な組織観、大衆観、道徳観を正しく打ち立てることができるのである。

 総書記は、チュチェの革命観を揺るぎない信念とするには、それが人生観化されなければならないとして、チュチェの人生観の本質的特性を科学的に解明した。

 総書記は、チュチェの革命理論を新たな思想・理論的財産としてよりいっそう深化発展させた。まず、共産主義建設において堅持すべき戦略戦術的原則に関するチュチェの革命理論をさらに発展させ豊富にした。

 総書記は、共産主義社会を建設するためには、必ずその思想的要塞と物質的要塞を占領しなければならないということを論証し、思想、技術、文化の3大革命は、社会主義建設の全過程で一貫して堅持すべき戦略的路線であるということを明らかにした。そして、新たな高い段階の革命実践の要求に即して思想・技術・文化革命を深化発展させるための具体的な課題と方途を示した。また、社会主義建設で提起される数多くの理論的・実践的問題に科学的解答を与えた。

 総書記は、労働者階級の党、国家および勤労者団体建設に関する理論を全面的に発展させ豊富にして、革命発展の新たな要求に即して革命の主体をさらに強化し、その威力を最大限に高めることのできる進路を明示するとともに、革命武力建設、経済建設、文化建設など社会主義建設のすべての分野、すべての部門の理論もいっそう発展させ豊富にした。そして、祖国統一と全国的範囲における民族の自主権確立に関する理論、主体的な海外朝鮮人運動に関する思想もよりいっそう発展させた。また、世界革命に関するチュチェの理論をさらに発展させ豊富にした。

 総書記は、帝国主義に反対し、世界の自主化を促進することを世界革命の戦略的課題として提示した。

 帝国主義に反対し、世界を自主化するためのたたかいの主体は、社会主義諸国と国際共産主義運動、植民地民族解放運動、非同盟運動、世界平和運動など、すべての反帝・自主勢力である。世界のすべての反帝・自主勢力は、帝国主義者のあらゆる分裂・離間策動を粉砕し、思想と体制、信教の違いをこえて反帝・自主の旗のもとにかたく団結して、帝国主義を滅亡させ、自主的な新しい世界を創造するためのたたかいを力強く繰り広げなければならない。

 総書記は、チュチェの指導方法に関する理論を全面的に発展させ、革新した。

 総書記は、革命と建設にたいする指導体系において労働者階級の党を嚮導的力量、人民政権を強力な武器、勤労者団体を党の頼もしい援助者と規定し、党の指導的機能と役割を強め、社会主義建設にたいする革命的指導を実現するうえで提起される原則的問題を明らかにした。そして、革命と建設にたいする指導における革命的指導方法の問題の重要性を明らかにし、革命的指導方法の基本的要求は革命的大衆路線を貫徹することにあることを論証するとともに、金日成的活動方法を具現して幹部の活動方法と作風を改善するうえでの原則的問題を全面的に明らかにした。

 金正日総書記の偉大な思想・理論的業績があったがゆえに、朝鮮労働党と朝鮮人民は、金日成主義の革命的旗印を高く掲げて、チュチェの革命偉業達成のためのたたかいをいっそう力強く推し進め、全世界的規模で自主化の偉業を促進することができた。





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