金正日総書記革命活動史

第2章 先軍革命指導の開始、チュチェの革命偉業継承のために

第2節 精力的な思想・理論活動を展開

 金日成総合大学時代、金正日総書記は金日成主席の革命思想を擁護し、さらに深化、発展させるための精力的な思想・理論活動を展開した。総書記は、その過程に卓抜な思想家・理論家としての風格と資質を遺憾なく発揮した。

 金正日総書記は、金日成主席の革命思想を完璧に体得し、自然と社会にたいする幅広く深い知識を積むために精力的な努力と探究を重ねた。

 すでに、初・高級中学の時期に体系的に学習した主席の著作と教示を改めて歴史的に、全面的に深く研究し、この時期の重要な会議での主席の報告と結語、演説、各分野への教示などをすべて学習した。とりわけ、主席の現地指導に随行して、革命と建設で提起されるすべての問題を人民大衆を中心におき、国の具体的実情にもとづいて独創的に解いていく主席の卓越した思想と理論を深く体得するための探究を深めていった。

 総書記は、人類が残した進歩的な思想・理論的遺産、特に、先代の労働者階級の革命思想と理論を主体的立場で幅広く深く研究、分析し、その時代的制約を明らかにした。

 大学に入学した当初から『共産党宣言』『資本論』『反デューリング論』『資本主義の最高段階としての帝国主義』『国家と革命』『マルクス主義と民族問題』などの古典を多く読破し、それらの本のスペースに「我々の時代には、もはや合わない理論」「輪郭を描くにとどまり、それ以上展開されていない」などと、それらの限界や当該の問題に対する見解を書き入れた。

 総書記は、専攻分野の政治経済学のみでなく、哲学、歴史学をはじめ、社会科学と自然科学、文学・芸術、軍事学など各分野の膨大な書籍を全面的に熟読し、その過程で多方面にわたる豊富な知識を蓄積していった。こうした探究を重ねて、傑出した思想家・理論家としての実力をより立派に備えていった。

 金正日総書記は、金日成主席の革命思想を擁護するための思想・理論活動を精力的に展開した。

 まず、主席の革命思想の独創性と偉大さを明らかにすることを第一の課題とした。

 そして、『社会主義経済建設の基本路線の正当性を正しく認識することについて』『社会主義経済建設における若干の問題』『わが党の自立的民族経済建設路線を断固擁護しよう』『テアンの事業体系は独創的な社会主義経済管理システム』をはじめ、多くの著作や談話で、社会主義経済建設の基本路線、自立的民族経済建設路線、テアンの事業体系、社会主義のもとでの労働の性格に関する理論、政治的・道徳的刺激と物質的刺激の結合に関する理論、経済建設と国防建設の並進路線など、金日成主席が示した社会主義建設に関する思想と理論は古典のどこにも見出せない独創的な思想・理論であることを全面的に論証した。特に1962年5月4日、金日成総合大学の学生への談話『わが国での農業協同化運動の特徴を原理的に正しく認識することについて』で、朝鮮労働党の農業協同化方針は社会的変革に関する新しい原理にもとづいているとし、技術的改造に先立って経営形態を社会主義的に改造するという方針は、社会的変革に関する理論の発展に大きな転換をもたらした金日成主席の独創的な歴史的発見であると述べた。

 また1962年1月、古典に関する討論会では、金日成主席の革命思想は、世界的規模で搾取制度を一掃し社会主義を建設すべき課題が実践的問題として提起された革命発展の新たな高い段階の要請を反映している独創的な思想であるとし、こんにちの歴史的状況において革命と建設を成功裏に遂行していくための指導指針は当然、金日成主席の偉大な革命思想に求めるべきであると説いた。

 1963年7月19日、金日成総合大学の学生への談話『新しい時代は新しい思想を求める』で、金日成主席の革命思想は我々の時代の労働者階級の指導理念であり、マルクスとレーニンの段階を越えた新しく独創的で偉大な思想であることを掘り下げて論証した。

 総書記は、金日成主席の革命思想は、我々の時代の要請を反映してあらわれた新しい指導理念であるとし、金日成主席は新しい歴史的時代、我々の時代の要請を反映した革命思想を創始し、それにもとづいて革命と建設に関する理論全般を新たな高い境地に引き上げたと述べた。

 主席の革命思想の独創性と偉大さを理論的に解明したことは、その後、主席の革命思想を金日成主義と定義づける思想・理論的基礎となり、確固とした起点となった。

 総書記は、日和見主義的思想潮流に反対する思想・理論活動を果敢に展開した。1962年12月29日、金日成総合大学の学生への談話『現代修正主義の反動的本質と反修正主義闘争でわが党が堅持している革命的立場について』をはじめ、多くの著作や談話で、現代修正主義の発生根源と反動的本質、その弊害を深く分析している。

 社会主義制度が確立された後にも転覆された搾取階級の残存分子の蠢動があり、人々の頭に古い思想の影響が残っている状況下で、帝国主義者の圧力に屈服する者があらわれかねず、現代修正主義は、このような革命の背信者が党と国家の最高権力を奪取して修正主義を押し付けることによって発生したのだと説いた。そして、現代修正主義の反動的本質は、労働者階級の革命的原則を骨抜きにし、帝国主義者と反動階級の利益に奉仕しながら革命闘争を放棄することにあるとし、現代修正主義の弊害は領袖の権威と威信を切り崩し、革命と建設に対する党の指導、階級闘争とプロレタリアートの独裁を否認し、アメリカ帝国主義の核威嚇政策に恐れをなして、彼らに屈服し、帝国主義にたいする幻想をふりまいて反帝闘争から退き、社会主義諸国と国際共産主義運動の団結を破壊することにあるとした。同時に現代修正主義の危険性は、大国、革命の古い歴史を有する国の指導部に発生し、その国の党員と勤労者に修正主義的政策を組織的に押し付けるだけでなく、国際関係の発展にも大きな障害をまねいていることにあると説いた。そして、反修正主義闘争において朝鮮労働党が堅持している革命的立場の正当性を論証し、修正主義を克服するためには金日成主席の革命思想でしっかり武装しなければならないと述べた。

 金正日総書記は、金日成主席の革命思想をさらに深化、発展させるための思想・理論活動を精力的に展開した。

 総書記は、労働者階級の革命闘争における領袖の地位と役割に関する問題、領袖の後継者問題の重要性を新たに解明した。1963年6月12日、金日成総合大学の学生への談話『労働者階級の領袖は革命闘争において決定的役割を果たす』などで、労働者階級の領袖は全人民大衆の利益の最高代表者であり、人民大衆との関係で頭脳の地位を占め、労働者階級の革命闘争において決定的役割を果たすということを掘り下げて論証した。

 総書記は、チュチェの革命理論の根本的原理を深化、発展させた。

 革命理論の論理的出発点となる社会革命の本質についての問題において、革命を単に社会制度の交替とみなしてはならず、社会主義制度が樹立された後続けられる思想・技術・文化分野の革命も包括して革命の概念を新しく定義づけるべきだとした。そして、革命の類型も従来の理論を機械的に踏襲するのでなく、我々の時代の実践的経験にもとづいて新しく規定すべきだとし、植民地、半植民地諸国での反帝反封建民主主義革命をブルジョア革命や社会主義革命に帰結させるのでなく、独自な類型の革命とみなすべきであることを明確にした。

 総書記は、チュチェの軍事思想と理論をさらに深化、発展させた。

 金日成総合大学の軍事野営参加者への談話で、金日成主席によって創始されたチュチェの軍事思想と理論は、人間を基本にして展開された独創的な軍事思想と理論であることを明確にした。

 総書記は、戦争は一定の社会的集団、社会勢力が自己の根本的要求を実現するために武器を持っておこなう組織的な闘争であるとその本質を規定し、戦争勝利の決定的要因は兵器ではなく人間であり、したがって、軍建設と軍事行動において提起される問題はすべて人間を基本にして解明すべきであることを明らかにした。また、それぞれの国での戦争勝利の決定的要因は外的要因ではなく内的要因であり、内的要因に属する人的要因と物的要因のうち人的要因が、政治的・思想的要因と軍事技術的要因のうち政治的・思想的要因が決定的役割をするということを論証した。

 同時にチュチェ戦法の基本的特徴と優越性を独創的に解明するとともに、チュチェ戦法を具現するうえで提起される原則的諸問題を掘り下げて展開した。

 総書記は、革命軍隊の性格と使命を明らかにし、政治活動を優先させながらこれに軍事技術的活動を正しく結合していくことは、革命武力建設において堅持すべき革命的原則であるとした。

 この他にも1962年9月18日の金日成総合大学の軍事野営参加者への談話『全人民的防衛体制の不抜の威力について』をはじめ、多くの談話で、金日成主席の自衛的防衛力建設に関する理論の正当性と独創性を論証し、その内容をさらに発展させ、豊富にした。

 金正日総書記は、金日成主席の主体的文芸思想と理論をさらに深化、発展させた。

 抗日革命闘争の過程で創作された文学・芸術作品、特に、金日成主席が創作した名作を大々的に発掘して再現させること、労働者階級の領袖を形象化すること、金日成主席に限りなく忠実で自主的人間である我々の時代の真の人間の典型を主人公にして生活を幅広く掘り下げて形象化することは、革命的文学・芸術建設における原則的問題であると強調した。

 また、朝鮮で公演されていた歌劇の本質的制約を深く洞察して朝鮮式の革命的な歌劇をつくる方向も示した。

 これら革命的文学・芸術建設における原則的問題と朝鮮式歌劇創作についての談論は、1960年代末、1970年代初に進められた文学・芸術革命の強固な思想・理論的基礎となった。

 金正日総書記は、帝国主義と植民地民族解放闘争に関するチュチェの理論を深化、発展させた。

 世界革命と反帝革命闘争の戦略戦術を正しく立て、その勝利を早めるうえで重要な問題となる現代帝国主義に対する研究に心血を注ぎ、その研究結果を総合、体系化して1962年1月15日、『現代帝国主義の特徴と侵略的本性について』と題する論文を発表した。

 この論文で、現代帝国主義を政治、経済、軍事の各側面から全面的に解剖し、それにもとづいて現代帝国主義の特徴を定義づけた。

 金正日総書記は、次のように述べている。

 「…現代帝国主義は、単に独占の支配に基づいているのでなく、国家独占資本主義を政治的・経済的基礎としており、旧植民地主義ではなく新植民地主義に依拠しており、互いに並列的に存在しているのでなく、アメリカ帝国主義を頭目として従属的に再編成されており、成長、強化されているのでなく急速に衰退、没落しながら最後のあがきをしている帝国主義である」

 このように現代帝国主義の特徴にたいし科学的な定義をくだしたうえで、帝国主義の侵略的・略奪的本性はいささかも変わっていないのみか、さらに悪辣さと狡猾さを増しているとし、アメリカ帝国主義の二面戦術、特に「平和戦略」の侵略的本質を鋭く暴露している。

 総書記は、植民地民族解放闘争に関するチュチェの理論を深化、発展させることにも深い関心を払い、1961年3月9日、金日成総合大学の学生への談話『帝国主義植民地体制崩壊の不可避性について』で、世界革命における植民地民族解放闘争の地位と役割を深く解明している。

 植民地民族解放闘争は、世界革命の見地から見れば、帝国主義の生命線を断ち切る独自の強力な革命勢力であり、国際舞台で力関係を社会主義と革命の側に有利に変える一つの新しい政治勢力であり、世界の平和を維持し強固にするうえで大きな役割を果たす強力な平和勢力であると言明した。そして、植民地民族解放闘争の地位と役割に生じたこうした変化は、世界革命と平和のための闘争において勢力配置の根本的転換を求めているとし、世界革命と平和運動の勝利のための勢力編成において社会主義をめざす労働者階級の闘争と植民地民族解放闘争にともに重要な意義を付与し、この闘争を全力を尽くして支援し、強化、発展させていくべきだとした。

 金正日総書記は、社会主義建設において切実に提起される理論的・実践的問題を解明するための思想・理論活動を精力的に展開した。

 1960年代の中期、社会主義建設の実践において最も重要な問題の一つとして提起されたのは農村問題を正しく解決することであった。これは、朝鮮の社会・経済発展において非常に切実な問題であった。

 金日成主席はこうした要求を深く洞察し、1964年2月、『わが国の社会主義農村問題に関するテーゼ』を発表した。

 総書記は、このテーゼに示された社会主義建設における地域的拠点と役割に関する思想・理論をさらに展開し、深化、発展させるため、1964年3月18日、論文『社会主義建設における郡の位置と役割』を発表した。

 この論文で、社会主義建設における地域的拠点に関する金日成主席の思想・理論の革命的本質とその正当性を論証し、主に経済的側面から地域的拠点としての郡の位置と役割を明らかにし、革命と建設の深化、発展に伴ってその役割を強めるための科学的方法を全面的に提示した。

 まず、社会主義建設が深まるに伴って地域的拠点を設ける必要性を説き、社会主義建設において地域的拠点としての郡は地方経済発展の総合的単位であり、都市と農村の経済的連係を実現する拠点となるということを全面的に解明した。

 また、地域的拠点としての郡は、社会主義建設の段階だけでなく、社会主義・共産主義の遠い将来にも依然として重要な役割を果たすことになることを明言した。

 総書記が大学時代に行った精力的な思想・理論活動は、その出発点から目的に至るまで、金日成主席の革命思想を擁護し、さらに深化、発展させることに帰着していた。また、政治、経済、文化、軍事、国際問題など革命と建設の各分野にわたって多方面的に幅広く掘り下げて展開され、朝鮮革命における実践的問題の解決に資することを目的としていた。

 金正日総書記が、大学時代に金日成主席の革命思想を擁護しさらに深化、発展させたことは、朝鮮を輝かし、チュチェの革命偉業、先軍革命偉業を継承、発展させていくうえでなし遂げた不滅の業績である。





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