金 正 日

革命的同志愛は一心団結の基礎であり、
朝鮮革命の推進力である
朝鮮労働党中央委員会の責任幹部への談話 
−2004年4月7日− 


 わたしが党中央委員会で活動を始めてからもう40年になろうとしています。40年といえばほぼ半世紀に当たり、これは決して短い期間ではありません。過ぎ去った革命の道を振り返ってみると、追憶を呼び起こすことが数々ありますが、そのなかでも最も感慨深く思い出されるのは、難関や試練に耐えながらも変わることなく党に従ってきた革命同志のことです。わたしの同志のなかには、老革命家の抗日革命闘士もいれば、チュチェ偉業継承のための党の基礎構築当時の忠実な戦士もおり、「苦難の行軍」の時期に革命の首脳部を決死の覚悟で擁護した勇士もいます。年代と世紀を越えてこんにちまで、わたしが革命活動を続けてくることができたのは、多くの同志たちがわたしを心から支持し押し立て、援助してくれたおかげです。わたしは、党に忠実な革命同志を永遠に忘れず、金日成同志が切り開き導いてきたチュチェの革命偉業を同志愛によってあくまで達成するつもりです。

 もともと革命は、あらゆる社会的束縛を一掃し、人民大衆の自主性を実現するための困難かつ試練に満ちた闘争であり、革命を成功裏に前進させるためには同志が多くなければなりません。同志は、思想と志を同じくし、運命をともにする戦友です。革命の道で苦難と試練にともに耐え、喜びと悲しみも分かち合って運命をともにするのが革命の同志です。同志という言葉は、革命家のあいだで呼ばれる誇りある貴い称号です。同志がいなければ革命を切り開くことも、前進させることもできません。そういう意味で、革命は、すなわち同志であり、同志は、すなわち革命であると言えます。

 革命の道では、同志ほど近しく貴い人はいません。昔から、父母と兄弟、親戚がいちばん近い間柄だと言われており、人間の生活において血続きの父母や兄弟、親戚が、親密な間柄であることは確かです。しかし、革命は、肉親だからといって一緒に参加できるものではありません。父母や兄弟、親戚であっても、思想と志が同じでなければ苦難に満ちた革命の道をともに歩んでいくことはできません。まして、一時的な利害や打算によって結ばれた人間関係によって革命に参加できるものではありません。革命の道で生死、運命をともにできるのは同志しかいません。失い易く得難いのが同志なのです。同志のために死をもいとわぬ人でなくては、真の同志を得ることはできません。いったん手を結べば、命を捨てることがあろうとも捨てられないのが同志なのです。同志さえいれば、千万の大敵も恐れるに足らず、吹き荒れる狂風にも耐え抜くことができます。同志こそ、この世で第一の貴い存在です。千金をもっても買えないのが同志であると言われるゆえんです。

 同志は、革命家にとって最も大きな財産であり、資本でもあります。革命家は、親もとを離れても生きてはいけますが、同志の傍を離れては生きることができません。革命家にとって、父母から授かった生命が第一の生であるなら、同志を得るのは第二の生を得ることだと言えます。

 革命家は同じ思想と志をもって共通の目的を実現するためにたたかう人たちであるため、父母や子どもがみな革命家であるなら、彼らの関係も当然、肉親という関係を超越した同志の関係にならなければなりません。

 金亨稷先生は、金日成同志が幼いとき、店に連れていき誕生祝いとして懐中時計を買ってあげた際、「成柱トンム(同志)、おめでとう」と言ったそうです。金亨稷先生が金日成同志を「トンム」と呼んだのは、父と息子としての血縁関係を超越し、金日成同志を革命の同志とみなしたからだと思います。金日成同志は、父から「トンム」と呼ばれたことを、革命家になって日本帝国主義侵略者とたたかい、必ず奪われた国を取り戻せという意味であると解し、胸に刻みつけたと話していました。

 金日成同志も生前、わたしを革命の同志として接していたし、わたしも常にみずからを金日成同志に従う革命戦士、同志とみなしてきました。

 革命の道で同志のあいだに行き交う愛がほかならぬ革命的同志愛なのです。革命的同志愛は、同志への絶対的な信頼であり、同志のためにすべてを尽くす自己犠牲の精神であり、同志への限りない献身でもあります。革命的同志愛は年齢や血筋に関係なく、思想と志を同じくするところに主眼点があるのです。思想と志、闘争の目的の共通性にもとづいているがゆえに、革命的同志愛は、いかなる肉親の愛情や友情よりも深く熱烈な思想・感情であり、人間愛の頂点であり、最高峰であり得るのです。

 同志間の愛は、すなわち団結であり、革命的同志愛によって結ばれた力ほど強いものはありません。同志間の愛と信頼、革命的同志愛にもとづく団結は、いかなる狂風にも揺るぐことはなく、いかなる力をもってしても負かすことのできない威力を発揮するものです。革命的同志愛を抜きにしては、わが党の存在や強化、発展についても、我々の一心団結についても語ることはできず、朝鮮革命の前進についても考えることはできません。革命的同志愛は、一心団結の基礎であり、わが党の精神力、朝鮮革命の推進力です。

 革命的同志愛は、朝鮮革命の源にかかわる重要な思想です。金日成同志の歴史、わが党の歴史は同志愛の歴史であり、「トゥ・ドゥ(打倒帝国主義同盟)」の旗のもとに始まった朝鮮革命は、同志愛によって切り開かれ、同志愛によって勝利してきた聖なる偉業です。

 金日成同志はつとに、同志を獲得することから革命活動を始め、気高い革命的同志愛の新しい歴史を開いてきました。金日成同志は、同志はすなわち第二のわたしであり、同志を得れば天下が得られるということを信条とし、同志を得る道、同志のための道であるならわが身を顧みることなく、数百里の夜道もいとわなかったのです。金日成同志は、まず同志を得てから武器を手にし、同志を結束して党組織を結成し、同志を奮起させて革命を進めました。抗日革命闘争の時期、卡倫で結成された初の党組織の名称は「建設同志社」とされましたが、ここに生死、運命をともにする同志を見いだし、結束して朝鮮革命を前進させ、達成しようとする金日成同志の遠大な抱負と革命的意志が如実に反映されています。

 みなさんも金日成同志の回顧録を学習してよく知っているでしょうが、金日成同志は、誰であろうといったん同志の関係を結べば、限りなくいたわり愛し、最上の信頼を寄せ、同志のためにできることはすべておこなってきました。苦難の行軍のときの一合のはったい粉にまつわる話、革命同志が戦死すれば誰よりも心を痛め、夜を明かして追悼文を書いた話、いわれもなく「民生団」の嫌疑をかけられた100余名の隊員の前で「民生団」関連の書類を焼却し、彼ら全員を朝鮮人民革命軍の主力部隊に編入させた話など、同志への愛と信頼の数々の伝説的な話は、金日成同志の革命的同志愛がいかに熱烈かつ高潔なものであったかを示しています。金日成同志は解放後、金策同志と一緒に撮った一枚の写真を生涯を終えるときまで、ほぼ半世紀もの間、金庫に大切に保管していましたが、これは万人をいたく感動させました。金日成同志は、敵のまえでは無敵の総帥としての威厳を示しましたが、同志には情が厚く涙もろい偉大な人間、偉大な同志であり、革命的同志愛の最高の化身でした。

 金日成同志は気高い同志愛と高い徳望を備えていたがゆえに、まわりには、いつも多くの同志がいました。すぐる革命闘争の日々を振り返ってみれば、朝鮮革命の黎明期に金赫、車光秀などの青年共産主義者が、金日成同志を団結の中心、指導の中心として仰ぎ、金日成同志のために生命をためらうことなくささげました。そして、抗日革命烈士の後を継いで幾千幾万の革命戦士が金日成同志を忠誠をもって仰ぎ、金日成同志を擁護して断固たたかいました。金日成同志は生前、折あるごとに、31歳の幼いころに親元を離れてからというものは、同志たちとともに一生を過ごしてきた、自分が抗日革命闘争の時期から長期にわたって朝鮮革命を成功裏に指導してくることができたのは、同志たちの愛に支えられたからだと感慨深く述べていました。

 革命は同志を得ることから始まるという真理は、わたしが先代から受け継いだ貴い遺産です。わたしは、この遺産を大事にし、革命の同志をこよなく愛し、わたし自身を信じるがごとく信じています。同志がいるからこそ金正日もおり、同志がいなければ金正日もいないというのがわたしの思想的信条であり、わたしはすなわちあなたであり、あなたはすなわちわたしであるという同志への信頼、これがわたしの同志観です。わたしが『同志愛の歌』を特別に愛するのも、同志を貴い存在とみなしているからです。『同志愛の歌』は、領袖にたいする欽慕と忠誠心、革命の同志への愛を哲学的に深く歌い上げています。この歌詞のなかにある「雨雪つのれど 革命の道 誓いは変わらじ ハンビョル(一星)仰ぎみる」というくだりがいちばん感動的です。これには、いかなる試練にあっても動揺したりしりごみすることなく、革命の指導者に誓った決意を守ってたたかうべきだという思想がこもっています。

 革命的同志愛は、わが党の革命哲学、政治哲学です。わが党の仁徳政治、幅の広い政治は、チュチェ思想を具現した以民為天の政治、気高い同志愛で貫かれた人民への愛と信頼の政治です。わが党がおこなっている先軍政治にも革命的同志愛の思想がしっかりと具現されています。わたしは、銃を手にした軍人を単に最高司令官の戦士という軍職関係ではなく、思想と志を同じくする革命の同志とみなし、彼らを限りなく愛しています。わたしは、軍人がいるところであれば、どんなに遠く険しいところであっても、訪ねては信を置き情を注ぎ、愛の懐に抱いて先軍革命の同志として押し立てています。人民軍の軍人は、最高司令官を最も親しい同志と呼び、絶対的に信頼し慕っています。

 わが党は、革命の先駆者である先達を敬い、革命のために功績を残し生涯を終えた烈士を永生の丘に丁重に安置しています。大城山革命烈士陵と新美里愛国烈士陵は、わが党の歴史に気高い同志愛の象徴としてとわに輝くことでしょう。

 先軍の旗のもとに革命の同志の大集団が育ち、革命的同志愛に根差した革命隊伍の一心団結はより強固になっています。こんにち、わが国では、同志のためであれば破裂寸前の手権弾をわが身で塞ぎ、戦傷栄誉軍人のためであれば青春もためらうことなくささげ、両親を失った子どもを引き取って肉親のように育て、身寄りのない老人を実の親のように面倒をみる同志愛の美風が発揚されています。チュチェ革命の新しい時代、先軍の時代に革命的同志愛の伝統的な美風がさらに開花していることは、我々にとって大きな誇りです。

 白頭山で始まった朝鮮革命は、まだ終わっていません。革命の道は依然として遠く険しいのです。我々が苦難に満ちた革命の道を確固と歩んでいくには、同志愛のスローガンをさらに高くかかげなければなりません。こんにち、我々に提起されている革命任務と国の現状は、これまでにもまして同志愛のスローガンを高くかかげることを求めています。わが党は、金日成同志の遺志を継いで、この地に社会主義強盛大国を建設するという偉大な構想を示し、全党、全軍、全人民がその実現をめざしてたたかっています。アメリカ帝国主義者は、社会主義のとりでであるわが共和国を圧殺しようとあらゆる策動を弄しており、わが国は社会主義と帝国主義との熾烈な対決の場となっています。生死、運命をともにする革命同志の大集団がなくては、「最強」を誇る大敵とたたかって勝利することも、こんにちの厳しい難局を打開し社会主義強盛大国を建設することもできません。我々は革命的同志愛のスローガンを高くかかげ、社会の全構成員を信念の同志、先軍革命の同志に育て、全社会を同志の世界へと変えていかなければなりません。

 同志の世界で最も大切なのは、領袖と戦士のあいだに結ばれる愛です。領袖は同志愛の中心です。領袖の指導のもとで同志の大集団は育まれ、領袖の思想にもとづいて人々は同志として結ばれるのです。領袖なくしては同志愛について語ることも、同志の世界について考えることもできません。

 領袖と戦士の関係は、単に指示し服従する関係ではなく、革命的信念と信義にもとづいた真の同志的関係でなければなりません。戦士は、確たる信念と汚れない良心をもって自分の領袖、自分の指導者を絶対的に信頼し、高く戴き、あくまで従うべきです。幹部は、形式や格式にばかりこだわらず、いかなる私心や嬌飾もなく、心から指導者を戴き擁護し、指導者の思想と志に従うべきです。何ごとも指導者の思想と意図どおりに思考し、指導者と同じことを語り、指導者と足並みを揃えて歩くべきです。指導者の思想と志どおりに生き働く人が指導者の真の革命の同志です。

 わが国では、すべての人が年齢や生活の経緯、職場や職務は異なっても、党の指導のもとで共通の目的を実現するためにたたかう革命の戦友であり、同志であります。我々の社会では、誰もが同志としての道義を守り、互いに信頼し愛し、同志の苦しみを自分の苦しみとし、同志のために献身しなければなりません。すべての人が、革命の道で運命をともにする同志として助け合い、導き合い、共通の目的のために心を合わせて働くようにしなければなりません。同志愛は、熱く真実なものでありながらも、原則的なものでなければならず、原則にもとづく批判によって同志愛を具現しなければなりません。革命の同志間の批判は、すなわち信頼であり、愛なのです。同志が大切であればあるほどその欠点を黙過せず、そのつど批判して是正させなければなりません。上下の関係においても、同志愛は正しく具現されるべきです。上下のあいだに心が通い、情が通うことが大切です。目下の人は目上の人を敬い助け、目上の人は目下の人を親身になって見守り導いていくべきです。

 革命的同志愛は、党の路線と政策を実行する実践闘争のなかで結ばれ、強化されます。党の路線と政策を実行するたたかいのなかで、同志愛を培い、一心同体となって働く同志的団結と協力の気風を確立していかなければなりません。

 革命的同志愛にもとづいて、革命隊伍の一心団結をさらに強化しなければなりません。一心団結は、朝鮮革命にとって天下の大本であり原子爆弾よりも威力ある必勝の武器です。革命隊伍の一心団結は、革命的同志愛と道義に根差してこそ、真実で強固な団結となるものです。強大な敵と対峙しながら社会主義を固守し、困難なたたかいを進めている我々にとって、革命的同志愛とそれに根差した団結は生命よりもさらに大切なものです。我々は革命的同志愛をしっかりと具現して、社会の全構成員を党のまわりにかたく結集し、革命隊伍の一心団結を一枚岩のごとく強固なものにしていかなければなりません。

 革命的同志愛を具現するうえでも人民軍が先頭に立たなければなりません。

 人民軍は、銃剣によって党と革命、祖国と人民を防衛する武装隊伍です。人民軍の威力の源は政治的・思想的優越性にあり、ここで何よりも重要なのは、革命的同志愛にもとづく武装隊伍の団結です。銃剣が革命的同志愛と結合するとき、その威力は必勝不敗となるのです。

 人民軍において、最高司令官と兵士は、生死をともにする運命共同体です。すべての軍人は、最高司令官と志も心も運命もともにする第一の革命の同志となり、全軍が革命の首脳部を決死擁護する結晶体とならなければなりません。

 人民軍は、将兵一体、上下一体の美風を高く発揚させ、全軍を一つの同志的集団にしなければなりません。将兵一体、上下一体が、わが革命武力の伝統的美風であり、重要な特徴となっています。革命武力の戦闘力を強化するうえで武力装備を絶えず近代化していくことも重要ですが、正義の聖戦で血を分け生死をともにする革命の同志である指揮官と兵士をかたく団結させることがいっそう大切です。人民軍のすべての指揮官は、兵士を実の親、実の兄弟の気持ちで愛し、あたたかく見守り、一方、兵士は、指揮官を心から信頼し慕うべきです。

 軍民関係を発展させ、軍隊と人民の同志的団結をさらに強化しなければなりません。軍隊は人民に献身的に奉仕し、人民は軍隊を肉親のように愛し、誠心誠意、援護しなければなりません。軍隊と人民は、党の指導のもとで思想を一にし、闘争気風も一にし、一心団結という力によって党を擁護し、党の偉業に忠実に尽くしていかなければなりません。

 軍人と人民にたいする革命的同志愛の教育に力を注ぐべきです。

 何よりも、軍人と人民のあいだでチュチェ思想の教育を強化しなければなりません。チュチェ思想を抜きにして真の同志的関係は結ばれず、強固な統一団結も保証されません。すべての軍人と人民が、チュチェ思想を信念とし、誰もがその要求どおりに思考し行動してこそ、革命的同志愛は一段と発揚され、我々の一心団結もさらに強化されることでしょう。

 軍人と人民にわが党の同志愛の伝統をしっかりと体得させるべきです。わが党の同志愛の伝統において重要なのは、領袖中心の同志愛、領袖と戦士間の信頼と道義にもとづく同志愛です。わが党の同志愛の伝統は、比類ない困難な革命闘争の炎のなかで生まれ、各段階の革命の実践のなかでその生命力が如実に誇示されました。軍人と人民のあいだで革命的同志愛の伝統を植えつける教育を強化して、彼らに革命的な同志観を確立させることが大切です。そうして、すべての人民軍将兵と人民が、党を決死擁護し、党の先軍思想と指導に忠実に従う先軍革命の同志になるようにしなければなりません。革命的同志愛の模範を大いに推奨し広く一般化して、全社会に同志愛の美風がより高く発揚されるようにしなければなりません。

 我々は、革命的同志愛に根差した党と軍隊と人民の一心団結の威力をもって祖国と革命を擁護し、社会主義強盛大国を打ち立てるべきです。

出典:『金正日選集』15巻


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