金 正 日

幹部は人民のために献身する人民の
真の奉仕者にならなければならない
朝鮮労働党中央委員会の責任幹部への談話 
−2003年10月28日− 


 党が「人民に奉仕する!」というスローガンを打ち出してから、幹部の活動態度と活動気風には大きな変化が起きています。特に、「苦難の行軍」、強行軍の時期に生まれた江界精神を見習う運動を繰り広げる過程で、幹部のあいだで人民のために誠実に働く気風がかつてなく強く発揮されました。「苦難の行軍」、強行軍の時期、少なからぬ幹部は、人民のなかに深く入り、彼らと苦楽をともにしながら、骨の折れる仕事に真っ先に身を挺して突破口を開きました。彼らは人民のために、中小発電所の建設や耕地整理、二毛作の導入で先頭に立ち、塩田や農村住宅、ヤギ牧場の建設でも先頭に立って献身的に働き、人民から高く評価されています。わたしは、いままで現地指導をする過程で、人民のために熱心に働く幹部にしばしば会いましたが、彼らのなかには、わたしがじかに評価した幹部も少なくありません。

 人民は、自分たちのために献身的に働く幹部に「ウリ(我々の)」という言葉を付けて「ウリ道党責任書記」「ウリ郡党責任書記」「ウリ支配人」「ウリ管理委員長」「ウリ初級党書記」と呼んでおり、自分たちを家族のように世話してくれる人民班長にたいしては、「ウリ人民班長」と言って尊敬し慕っています。

 人民軍にも、軍人のために真心を尽くして働き、軍人に尊敬され愛される指揮官、政治幹部がたくさんいます。わたしが前に視察した人民軍のある機械化旅団直属の偵察中隊で政治指導員を務め、偵察大隊の政治委員に転任した人もそういう幹部の一人です。その中隊の軍人たちは、彼が大隊政治委員に転任していった後も彼を忘れることができず、「ウリ政治指導員」と呼んでいるそうです。

 わたしは「ウリ」という言葉に格別な愛着を覚えて時おり心に反芻してみるのですが、前線視察や現地指導の道で軍人や人民が所属機関の責任幹部をウリ誰それと呼ぶのを聞くときがいちばんうれしいです。そう呼ばれる幹部がわたしと志を同じくするわたしの革命戦友であり、真の同志であると言えます。

 「ウリ」という言葉は、深い意味をもつ実にすばらしい言葉です。軍人や人民が、所属機関の責任幹部を呼ぶとき、ただ誰それと言うのと、ウリ誰それと言うのとでは意味が違います。「ウリ」という呼称は、何かの官職や名誉称号ではなく、軍人や人民が自分たちのために献身する幹部に与える最も高い称号であり評価でもあり、真の人民の幹部にたいする尊敬と愛情、信頼と親近感の代名詞です。「ウリ」という呼び名にはまさに、領袖・党・大衆が渾然一体となり、すべての人が信頼し愛し合う我々の社会の姿がそのまま映し出されています。

 わが国は真の人民の国であり、我々の社会は人民大衆中心の社会主義社会です。我々の社会では、幹部のために軍人と人民が存在するのではなく、軍人と人民のために幹部が存在するのです。人民大衆は国の主人であり、幹部は人民大衆の奉仕者、忠僕です。人民に奉仕する幹部にとって、人民からウリ誰それと呼ばれ、人民に支持され愛されることより大きな栄誉と誇りはありません。そういう栄誉はおのずと与えられるものではなく、望むからといって与えられるものでもありません。幹部が人民の奉仕者としての本分を自覚し、人民のために献身的に働くとき、そういう栄誉が与えられるのです。わたしは、幹部が人民からウリ誰それと呼ばれることを望んでいるので、最近、この言葉についてしきりに強調しているのです。すべての幹部は、党が望んでいるとおり、「ウリ」という貴い称号で呼ばれる人民の真の奉仕者にならなければなりません。そうなれば、朝鮮革命の天下の大本である革命隊伍の一心団結は盤石のごとく打ちかためられ、軍人と人民は党をいっそうかたく信じ、わが祖国は富強になり、人民の生活はさらに向上するでしょう。

 幹部が人民から「ウリ」という称号で呼ばれるようになるには、「人民に奉仕する!」という党のスローガンを高くかかげ、人民の利益を擁護し、人民に忠実に奉仕しなければなりません。人民の要求と利益を擁護し実現するのが朝鮮革命であり、我々の社会主義です。人民の利益、これは人民に忠実に奉仕する使命を担った幹部にとって、思考と実践の唯一の基準です。幹部は、人民の利益を最も大切にし、何か一つのことを計画しても人民の利益を先に考えるべきであり、ある仕事を手配し展開しても人民の要望の実現を優先視すべきです。人民の利益はどうあれ自分だけ裕福に暮らせればよいと思い、人民の要望に無関心な人は、人民に奉仕する幹部だとは言えません。幹部は、常に思考と実践の中心に人民の利益を据え、そのために献身すべきであり、いかなる場合にも絶対に人民の利益を侵すことをしてはなりません。幹部はいかなる持ち場でどんな仕事をするにしても、人民の幸せと理想を実現させることに生の価値とはりあいを求め、人民のために献身的に働くべきです。苦労は自分がし、楽は人民に享受させるべきだという立場と姿勢で、人民の利益のために努力し実績を上げる幹部であってこそ人民に愛され尊敬されるのです。

 幹部が人民に奉仕するうえでいま最も重要なのは、人民の生活の問題を解決するために積極的に努力することです。人民の生活の問題はこんにち、わが党が最も関心を寄せている問題の一つです。朝鮮人民は、これまで類例のない困難な状況のもとで革命と建設を進めてきたため、いっときも楽な暮しをしたことがありませんが、それについて不平を鳴らしたり、顔にあらわすことなく、わが党と運命をともにしてきました。国情が困難をきわめていた「苦難の行軍」、強行軍の時期にも、人民は困苦欠乏に耐え、党の指導に従って社会主義を守り、強盛大国の建設にこぞって立ち上がった立派な人民です。朝鮮人民のように党と領袖に忠実で徳義心に厚い人民はこの世のどこにもいません。こんな立派な人民のためであれば何をいとうことがありましょうか。わたしはいま、寝ても覚めても、どうすれば人民に豊かな暮らしをさせられるかを考えています。力一杯働いて、近い将来、人民に何うらやむことのない立派な暮らしをさせ、すべての面で立派に押し立てるつもりです。これは、わが党の確固たる決意です。それでわが党は、新たな情勢に対処して軍事を国事のなかの国事とし、国防工業の発展に第一義的な力を入れる一方、農業革命を起こして草食家畜を多く飼養し、近代的な養鶏工場と養魚場を大々的に建設する方針、軽工業部門の工場を改造・近代化して消費財の生産を増やす方針、都市と農村に近代的な住宅を多く建設する方針など人民の生活にかかわる重要な方針を示し、それを実現すべく精力的に導いています。党の方針が円滑に実行されれば、人民は何うらやむことなく立派な暮らしをすることができます。要は、幹部がいかに努力するかということです。人民の生活を向上させることより重要なことはないのですから、幹部は党の意図をしっかりと認識し、熱心に働くべきです。幹部は、他の人より睡眠時間が少なく、苦労が多くても、党の方針を貫くため、ひた走りに走るべきです。幹部は、人民軍の活動態度、闘争気風をもって人民の食・衣・住の問題を必ず解決し、人民により多くの社会的恩恵をこうむらせ、より幸せな生活をさせるために一所懸命努力しなければなりません。

 幹部が人民に誠実に奉仕するためには、以民為天(人民を天のごとくみなす)の思想をしっかりと体得すべきです。

 金日成同志が、創始し、立派に具現したチュチェ思想は、すなわち以民為天の思想です。金日成同志は、以民為天を座右の銘とし、一生涯人民の自由と幸せのためにすべてを尽くし、人民大衆の自主偉業の達成のために残した傑出した業績によって、こんにちも朝鮮人民の心のなかに人民の父、人民の領袖として生き続けています。

 以民為天は、金日成同志の座右の銘であると同時に、私の座右の銘であり、私の政治哲学でもあります。わが党が示した「人民に奉仕する!」というスローガンにも、党の人民を愛する政治、仁徳政治にも、以民為天の思想は立派に具現されています。人民の運命に責任をもち、あくまで見守る政治、人民の望みであれば石の上にも花を咲かせ、人民のためであれば何をも惜しまない政治が、まさにわが党の仁徳政治なのです。わたしは、金日成同志の気高い意を体し、人民を天のごとく信じ、人民のためにすべてを尽くしており、常に軍人と人民のなかにあって軍民大衆の生活を愛と徳をもってこまかに見守っています。人民が享受する幸せと喜びのなかに、わたしの幸せと喜びがあるのです。

 幹部の精神的・道徳的品性は、党と領袖の品性に習うべきです。幹部は、以民為天の思想を座右の銘とし、人民大衆こそは革命と建設の主人であり、歴史の創造者であるという観点に立って人民大衆を熱烈に愛し敬い、人民大衆に献身的に奉仕しなければなりません。幹部は以民為天の思想を信念とし、その要求どおり思考し、行動し、働くときにのみ、わが党と志を同じくし、心から党に従う真の幹部に、人民の誠実な忠僕になれるのです。

 幹部が人民に立派に奉仕するためには、高い実力を備えなければなりません。時代は進み、我々の闘争目標は高いのに、幹部の水準はそれに追いついていません。幹部は発展する現実の要請に即して実力を高めなければ、いくら努力しても人民のために尽くしたという痕跡をとどめることはできません。こんにちにおいては、幹部の実力が、すなわち実績です。幹部は、人民が立たせた持ち場で人民のために誠実に働くためには、実力がなければならないということを肝に銘じ、実力を高めるために極力努力しなければなりません。幹部は、党の路線と政策をしっかりと体得し、自分の部門の党の政策に精通していなければなりません。政治と経済、軍事と文化分野の知識を身につけ、特に、情報産業時代の要請に即して現代科学技術についても知り、コンピュータの操作もできなければなりません。幹部が身につけるべき知識の幅には際限がありません。幹部は、誰もが幅広く多方面にわたる知識を身につけるため、血のにじむ努力を傾けるべきです。

 幹部が人民のなかに入るのは、人民に奉仕するための重要な要求です。幹部は人民のなかに入ることを日常化、習性化すべきです。そうしてこそ、幹部は人民の奉仕者としての栄誉ある使命を果たすことができます。幹部は常に人民のなかに入り、彼らとへだてなく過ごし、苦楽をともにしながら、人民が何を考え何を望んでいるのか、人民の暮らし向きはどうであり、生活上の隘路は何であるかを把握し、それらの問題を解決するため献身的に努力しなければなりません。上位の責任幹部であるほど、人民のなかに入って彼らの声に耳を傾け、現実的に提起される問題をそのつどとらえ、責任をもって解決してやらなければなりません。人々の運命を守るのが党活動家の本分なのですから、人の心にわだかまっている問題、人の政治生命にかかわる問題は、さ細なことであっても見逃すことなくそのつど解決してやり、人々の心に小さな陰りもないようにすべきです。幹部は常に人民大衆に頼り、大衆と一丸となって活動すべきであり、大衆の心を揺さぶる力強い政治活動によって大衆を奮い立たせ、率先垂範して大衆を導くべきです。

 新世紀の要請に即して幹部の活動態度、活動気風に新たな転換をもたらすべきです。

 幹部は、党の意図と要望を敏感にとらえ、それに即して活動を大がかりに構想し、大胆に展開し、困難なときであるほど身を粉にして党の方針をあくまで実行する革命的気風を発揮しなければなりません。活動をダイナミックに推し進める革命的で戦闘的な活動気風を確立し、提起される課題を立派に遂行し、いったん始めたことは最後までやり遂げなければなりません。

 ありきたりの格式と古いしきたり、既成慣例と既存の公式を打ち破り、すべての活動を創造的に、革新的におこなうのが、わが党の指導方式、活動気風の重要な特徴です。幹部は、党の指導方式、活動気風を見習い、朝鮮革命発展の新たな段階と変化した環境に即して、すべての活動を創造的に、革新的に進めるべきです。

 幹部は、活動において形式主義、要領主義をなくし、すべての活動を党にたいし責任を負う立場で良心的に、着実におこなうべきです。物事を研究せず、方法論もなくおざなりなやり方をしては成果をおさめることができません。幹部は、何か仕事を一つするにしても、それが効を奏するように正しい方法論をもって着実におこなわなければなりません。

 人民に奉仕する幹部は当然、人民的な品性を備えるべきです。それでこそ、人民とよく交わり、へだてなく過ごすことができます。

 幹部は、常に、謙虚で礼儀正しくなければなりません。そうでない幹部は人民に好かれません。それでわたしは、幹部は前の首は短く、後ろの首は長くなければならないと言っているのです。これは、幹部は人民のまえで頭を下げ、謙虚でなければならないという意味です。幹部は、偉ぶって傍若無人なふるまいをしてはならず、謙虚で礼儀正しく行動すべきです。

 幹部には、人情味がなければなりません。人情味は、人間の香りです。かぐわしい花に蝶や蜂が集まるように、人情味のある幹部には慕う人が多いものです。幹部は自分より他人を先に考え、他人のために自分をささげる厚い人情味をもって大衆を熱烈に愛し、温かく接するべきです。

 幹部のあいだでいまなお権威をふりかざし、官僚主義的にふるまう傾向がなくなっていないのが問題です。権柄と官僚主義は、人民的活動作風とは無縁であり、人民に奉仕する幹部にとって禁物です。幹部は、決して権威をふりかざし、官僚主義的にふるまってはなりません。そして、私利私欲を追求し、特典、特恵を望んではならず、経済道徳生活において清廉潔白でなければなりません。

 党組織は、幹部の活動方法と活動作風を改善するたたかいを引き続き力強く繰り広げ、すべての幹部が人民から「ウリ」という称呼で呼ばれ、人民に愛され尊敬される党の信頼すべき戦士になるようにしなければなりません。

出典:『金正日選集』15巻


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