金 正 日

治山治水事業を強力に展開して
祖国の山河を労働党時代の錦の山河に変えよう
党、国家、軍隊の責任幹部への談話 
−2002年3月6日− 


 春と秋の国土管理総動員期間と植樹の時季に治山治水事業を全国家的・全人民的運動として力強く展開すべきです。

 金日成同志は、治山治水は天下の大本であるとし、祖国の解放後、治山治水事業に大きな力を注ぎました。解放直後、金日成同志は紋繍峰に登って植樹をおこない、普通江畔に出向いて普通江改修工事の鍬入れもおこないました。この時から、わが国の治山治水の新しい歴史が始まりました。金日成同志の正しい指導のもとに、朝鮮人民は治山治水事業を強力に展開し、日本帝国主義の略奪によって荒廃し、アメリカ帝国主義の爆撃で焼け焦げた祖国の山々に樹木を植えて多くの森林を造成し、河川を整理して全国に潅漑網を張りめぐらせました。

 ところが、幹部が治山治水事業を根気よく推し進めなかったため、次第に山の樹木は減少して山林は荒れ果て、河川は見すぼらしいものになってしまいました。そのうえ、帝国主義者の孤立・圧殺策動と数年続きのひどい天災によって国の経済状況が困難になると、樹木を乱伐し、焼畑を起こしたので、丘陵地帯をはじめ、少なからぬ山が禿山になり、川は土砂や砂利が積もって川底が盛り上がってしまいました。それでわたしは、数年前から治山治水事業の改善について、現地指導の際にも述べ、機会あるごとに強調してきました。それ以来、植樹と河川整理は大々的に進められましたが、治山治水事業はまだ党が要求する相応の水準でおこなわれていません。全党、全軍、全人民が、総がかりで治山治水事業をさらに力強く繰り広げなければなりません。

 治山治水事業は、人民の幸福と国の富強、繁栄のための崇高な愛国事業であり、万年大計の自然改造事業です。

 わが国は、山と川の多い国です。ところが、その山の大部分は石が多くて土壌の深さも浅く、川は傾斜が急で流れが速いのです。ですから、治山治水事業を怠れば、ちょっとした出水や日照りでも被害を免れません。治山治水事業を強力に展開して山に樹木が生い茂るようにし、河川整理と砂防渓流工事をきちんとおこなえば、耕地をはじめ、国土を保護し、人民の生命、財産の安全を守り、祖国の山河をいっそう美しく豊かにすることができます。

 わが国は、山河麗しく天然資源に富んでいるので、昔から「三千里錦繍江山」と呼ばれています。朝鮮民族が代々暮らしてきた「三千里錦繍江山」を我々の時代により良く保護し手入れをして、風光明媚で、あらゆる果実がたわわに実る社会主義の桃源郷に、労働党時代の錦の山河に変えなければなりません。これが現在、党が立てている構想であり、決心でもあります。

 すべての党組織と幹部は、党の構想と意図を正しく認識して治山治水事業に力を入れ、祖国の山河を社会主義の桃源郷に、労働党時代の錦の山河に変えるうえで新たな転換をもたらさなければなりません。

 何よりもまず、樹木をたくさん植え、その管理を怠らないことです。

 森林は国の貴重な資源であり、また祖国の富強、発展と人民の幸福に資する重要な財源でもあります。山に樹木をたくさん植えてうっそうとした森林をつくれば、国の天然資源を増やして国土の面目を一新し、人民により充実した生活条件と環境を整えてやることができます。

 金日成同志は、つとに山をひかえているところでは山の幸をとって暮らすべきだと話していましたが、これは、山の多い地方では、造林に努め、経済発展と人民生活の向上に有効に利用すべきだという意味です。山地が国土の大部分を占めているわが国では、造林を着実におこなって効果的に利用すれば、国の経済発展と人民の生活向上における多くの問題を解決することができます。

 わが党は、造林事業を2000年代から新たに繰り広げ、全国を緑林化、園林化する方針を打ち出しました。我々は、党のこの方針を貫き、朝鮮劇映画『風にそよぐ森』のように祖国の山野を緑に覆われた森林につくり変えなければなりません。

 全国の緑林化、園林化で最も重要なのは、良種の樹木をたくさん植えることです。

 現在、わが国には樹木がまばらな山が多く、樹木がある山でも、松のように曲がっていて用材にならない木や灌木が多いのです。このような木はいくら多くても、経済的にたいして有益とは言えません。役に立たない樹木は切り払い、良種の樹木を植えれば、10〜20年後には利益を得ることができるはずです。人間は自然を征服すべきであって、自然の奴隷になってはなりません。「苦難の行軍」の時期に樹木を乱伐したので、少なからぬ山林が荒れ果ててしまいましたが、樹種の劣る樹木ならそれほど惜しむこともありません。我々は、良種の樹木をたくさん植えて禍を転じて福となすべきです。

 樹木の品種を我々の時代の現実に即して改良する必要があります。わが国の名勝や古跡をはじめ、有名な山林や名山などの老樹を見て、その樹木の優越性とともに、高麗時代に植えたものだ、李朝時代に植えたものだと自慢していますが、このようなことは他の国でも同様です。我々は一本の木を植えても、我々の時代、チュチェ時代の世相が反映されるように良種の樹木を選んで植えるべきです。

 わが国には、カラマツ、アカシア、ポプラ、チョウセンゴヨウマツ、イチョウなど良種の樹木が豊富に分布しています。我々は、良種の樹木をたくさん植えて植樹が実際に祖国と民族の富強、発展に役立つようにし、全国に用材林、繊維林、油脂林、食用果実林を大々的に造成して、樹木が生い茂り、「黄金の山」「宝の山」に様変わりした祖国の山河を次の世代に譲り渡さなければなりません。我々は、きょうのためのきょうを生きるのでなく、明日のためのきょうを生きるのですから、森林を造成して全国を緑林化、園林化するのも将来を見通し、次の世代のためを思って、長期的な展望のもとに着実に進めるべきです。

 良種の樹木を植えるからといって、これこれの樹木を植えるようにと押し付けてはなりません。樹種によってその生物学的特性が異なり、また、それぞれの地方や山によって気候風土も違います。わが国の少なからぬ山は、石が多く土壌の深さが浅いうえに、長い間針葉樹が生い茂っていたため、ひどく酸性化してしまいました。良種の樹木だといって何の考慮もなしに押し付けるような形で植えさせてはなりません。農作で適地適作の原則を守るのと同様、植樹においても適地適樹の原則を厳守しなければなりません。

 やせて酸性化した土地には、アカシアを植えるのがいちばん適しています。アカシアは環境保護に格好の木で、成長も速く生命力も旺盛です。それに、根に根粒バクテリアが多いので、やせ地に植えてもよく育ち、数年後には緑したたるようになります。アカシアを植えれば土地を肥やし、酸性化を防ぐのにも有利です。アカシアは、薪炭用としてだけでなく、材が堅く湿気によく耐えるので、大きく育った木は建築や家具の材料としても利用できます。アカシアは、花がたくさん咲き、花には蜜が豊富なので、養蜂に格好の木として世界的に広く知られています。また、虫がわかず、葉は蛋白質に富んでいるので、ヤギ、ヒツジ、ウサギなど家畜の飼育にも適しています。最近、わが国で植えられている無刺アカシアは生長が速く、用材や街路樹にも適していると言われています。下の方の枝を切り取って、上の方を傘形に整えれば見栄えがするでしょう。良木である無刺アカシアを各地に広く植えるようにすべきです。

 わたしは最近、アカシアを大々的に植えるようたびたび強調しています。幹部と党員、勤労者に、アカシアを朝鮮の樹木にしようとする党の意図を正しく認識させ、全党、全国、全人民が、アカシアの植樹とその管理に積極的に参加するようにしなければなりません。

 遊園地や道路沿いに植えられている樹種の劣る樹木も、良種の樹木に植えかえるべきです。

 以前にも述べたことですが、大城山の樹木は品種が多様でないだけでなく、あまり良い樹木とは言えません。遊園地に面した大城山南側の斜面にある樹木のほとんどは大きく育たないマツです。コマツのように丈が高くならない樹種の劣る樹木は良種の樹木に植えかえるべきです。大城山の樹木を多種多様の良い樹木に植えかえて美観を引き立たせるべきです。江東方面に伸びる道路周辺の山の木も大部分がコマツですが、その一帯の風景に似合う良種の樹木に植えかえるべきです。マツは何十年たっても幹が曲がるので、万景台や烽火里、東明王陵、金剛山など必要な場所にあるのは保存し、ほかのマツは徐々に別の樹木に植えかえるべきです。

 街路樹は、道路の特徴や周辺の環境に合った良種の樹木を選んで植えなければなりません。

 村に近い小山や農村住宅の周辺には果樹をたくさん植えるべきです。いま、農村住宅の周辺に果樹がいくらもありません。以前、農村では、「ナシの木の家」とか「ナシの木のお向かい」「ナシの木の後ろ隣」などといった言葉がよく聞かれましたが、このごろはあまり耳にしません。農家の庭に果樹をたくさん植えて、こういう言葉がまた聞けるようにすべきです。農家の庭に果樹があれば外見もいいし、果物も食べられるし、また、蒸し暑い真夏に田畑で働いて帰ってから涼をとることもできて、いろいろと有益です。金日成同志は、農家1戸当たり5本以上の果樹を植えるようにと話していましたが、農家に果樹を植える運動を広く展開すべきです。農村の文化住宅を建てるときは、必ず家々に果樹を5本以上植えるようにすべきです。

 山裾などにはクリの木を多く植えるべきです。以前、クリの木の手入れを怠ったため、いまでは残り少なくなってしまいました。昔からわが国の成川クリや金野オオグリは有名でした。かつて、青年同盟では「少年団林」「社労青林」といって植樹や手入れ、クリの木の管理を盛んにおこなったものですが、いまではクリの木の管理がよくおこなわれていないようです。金日成同志は平壌市内で焼きいもや焼き栗をたくさん売るようにとたびたび話していましたが、いまは焼き栗を売る店がないようです。クリの木を多く植えてよく手入れをし、平壌市内の至る所で焼き栗を売るようにすべきです。

 植樹は、着実に手抜かりなくおこなわなければなりません。樹木を植える際、規定どおりに丁寧に植えなかったため、多くの樹木が枯死しています。春に植えた樹木のうち立ち枯れするのもあり、見栄えのしないのもあるので、秋に植樹をする際にそれらを取り除いて別の木を植えなければならないのですが、そうしていません。木を植えようとスローガンを叫んでばかりいないで、植樹を着実におこなうことです。穴を規定どおりに掘って、水もきちんとやり、一本一本の樹木を丹誠をこめて植えなければなりません。

 森林を造成するときは、針葉樹と広葉樹をほどよく取り合わせて植えるべきです。そうすれば、樹木がよく育ち、土壌の酸性化を防ぐこともできます。

 山に植樹する際は、密に植えることが肝心です。幼木をまばらに植えると森林の造成が遅れます。びっしり植えた後、ある程度大きくなってから間引きをすればいいのです。

 植樹の際、あまり幼い樹木は植えないことです。苗圃である程度育ててから移植すれば成長も早く、数年後には森林が造成され、そのおかげをこうむることができるでしょう。

 国土の緑林化、園林化を早く実現するためには、苗木と種子の問題を解決しなければなりません。

 国土の緑林化、園林化では、苗木と種子の問題が重要であるので、党は外国から良種の苗木と種子を取り寄せる一方、チョウセンゴヨウマツのようにわが国の気候風土に合う樹木の種は輸出を禁止する措置を取りました。国土の緑林化、園林化に必要な樹木の種子はすべて国土環境保護省が一括して管理し、苗木の生産にのみ使用するようにしなければなりません。また、世界的に品種がすぐれているとされる苗木や種子は、今後も輸入して植え、全国に広めるべきです。

 苗圃をよく整備して、苗木を丈夫に育てなければなりません。

 苗木を育てるのは、緑林化、園林化の第一の工程です。現在、市、郡と各地に苗圃があるにはありますが、苗木の需要を満たしていません。そのため一部の機関では、植樹の時季に樹木を植えるようにと言われると、山から木を取ってきて植えていますが、そんなやり方をしてはなりません。山から取ってきた木を植え、それが枯れ死にしたら、結局は損をするだけです。植樹は、苗圃で良種の苗木を丈夫に育ててから移植する方法でおこなうべきです。道、市、郡をはじめ、関係機関は、全国の緑林化、園林化に関する党の方針に従って苗圃を整備し、苗木の肥培管理を着実におこなって丈夫な苗木を多く育てなければなりません。

 樹木をたくさん植えて森林を大々的に造成すると同時に、その保護管理を手抜かりなくおこなわなければなりません。

 何よりもまず、植えた樹木をよく手入れしなければなりません。植えた後は、常に関心を払い、肥やしや水をやり、雑草や雑木を取り除かなければなりません。雑草や雑木がはびこると、日光を好む木や幼い木が枯れてしまったり、生育にさわりが出てきます。

 樹木を乱伐するようなことは、いっさいなくすべきです。乱伐は、国と人民の貴重な財産を侵害する違法行為です。樹木を1本切るにしても、必ず関係機関の許可を得て、指定された林地で切るという厳格な規律と秩序を打ち立てなければなりません。幼木の伐採は禁止し、成木だけを許可すべきです。成長した木を適時に伐採せずに放置すると、幹の中が空洞になって使い物にならなくなります。我々のいう山林保護とは、単に保護そのものだけを意味するのではありません。樹木を切るときは、金日成同志が教えているように、1本切れば10本植えるという原則を守らなければなりません。

 乱伐行為をなくすためには、薪炭林を方々に造成して住民の薪炭の問題を解決する必要があります。最近、山に樹木が少なくなったのは、住民に焚き物を供給できなかったことと少なからず関係しています。現在、各協同農場は農場林を100余ヘクタール所有していますが、管理がおろそかなので、実効をあげていません。協同農場は、農場林の造成と管理を着実におこない、営農資材や農場員の焚き物もそれでまかなうべきです。我々は、すでに国土管理部門が60万ヘクタール、林業部門が20万ヘクタール、合計80万ヘクタールの薪炭林を造成するよう指示しましたが、これを確実に実行しなければなりません。同時に、民需用の石炭問題の解決策も講じなければなりません。各道、市、郡や工場、企業、協同農場などが所有している炭鉱もより合理的に運営すべきです。そうして、住民の燃料問題を必ず解決しなければなりません。住民に焚き物も供給せずに、ただ、山林を保護せよ、樹木を切ってはならないと呼びかけてばかりいては何の効果もありません。

 山林を保護するうえで最も重要なのは、山火事を徹底的に防止することです。党、勤労者団体の各組織が、党員と勤労者のあいだで山火事防止の教宣活動を着実におこなう一方、国土保護管理機関が山火事の監視と統制を強化し、貴重な祖国の山が火災で荒廃することのないようにしなければなりません。

 国土の緑林化、園林化を実現するためには、山林科学を発展させなければなりません。

 現代は科学と技術の時代ですから、植樹や造林も科学技術に立脚しなければ、成果をおさめることはできません。これまで、幹部が山林科学の発展にほとんど関心を払わなかったため、わが国の山林科学は他の科学分野より立ち遅れています。

 山林科学研究機関と植物園を立派に整備し、その役割を高めて、山林科学研究事業に転換をもたらすべきです。農産や畜産、養魚科学の分野で種子問題の解決が基本課題であるのと同様、山林科学の分野でも最も重要な課題は、樹種の問題を解決することです。山林科学の分野では、経済的価値があり、わが国の気候風土に合った良種の樹木を多く確保し、それを速やかに広める研究に力を入れなければなりません。全国の緑林化を実現するためには、樹木をたくさん植えるだけでなく、早く育てることが重要なので、いかにすれば樹木の生育を早めるかについても研究すべきです。この他にも、山林の造成・管理において研究すべき問題は多いと思います。

 植物園は、果樹や食用果実樹など党が提供した樹木の肥培管理を科学的におこない、各種の樹木の育成法を研究するとともに、良種の苗木を大量に育てて全国に広めなければなりません。そのためには、中央植物園と地方の植物園に優秀な植物学者を配置するとともに、活動システムも確立しなければなりません。

 河川をしっかり整理し、水を効果的に利用すべきです。

 いま、山に樹木が少ないため、雨が降ると土砂崩れや山崩れが起こったり、河床が埋まったりしています。清川江にしても、以前は深かったのに、いまでは人が歩いて渡れるほど河床が高くなってしまいました。清川江は、もともと水が清く深いのでそう呼ばれていたのですが、いまでは浅く、川幅の狭くなった所もあり、ことに石や砂がむきだしになった所などは見た目にもよくありません。いまの状態では、大水が出れば清川江一帯の農地は被害を免れません。我々は、植樹を積極的におこない、河川整理も着実におこなって風景を引き立て、いかなる長雨にも水害をこうむることのないようにしなければなりません。水路をまっすぐにすべき所はまっすぐにし、堤防を築くべき所は堤防を築き、石張りをすべき所は石張りをきちんとし、護岸林なども造成し、河床にたまる土砂や砂利などを計画的に、定期的にさらわなければなりません。河川への土砂の流入や土砂崩れを防ぐための砂防渓流工事をおこなうとともに、河川保護施設の定期補修や管理にもしっかりと取り組まなければなりません。

 水資源を極力保護し、有効に利用しなければなりません。

 水は、人間の生活に欠くことのできない国の貴重な資源です。人間はもとより、地上のあらゆる生物は水がなくては生存できません。人間は、水を飲んで生きるのであって、石油を飲んでは生きられません。人間は、石油なしに生きることはできても、水なくしては生きていけません。ところが、わが国には、水がいかに大切であるかを知らない人がいます。いま、世界的に用水が深刻な問題となっています。わが国でも地殻変動のせいか、水脈が次第に減少しているとのことです。我々は、いまからでも水を節約し、水源を極力保護しなければなりません。

 河川に閘門を建設し、ダムをつくって貯水し、潅漑用水と工業用水に利用し、また発電所を建設し、養魚場を設けて、電力を生産し、養魚もすべきです。

 河川を治め、水を有効に利用しているのは、咸鏡南道定平郡です。定平郡ではこれまで数カ所に貯水池を建設し、その水で農作を営み、いまは郡をあげて金津江に大規模なダムを建設しており、それも完成段階に入っています。ダム工事が終われば数千キロワットの電力を生産することができ、また、水流を利用して階段式に発電所を建設すれば、そこで生産される電力は、郡が使ってなお余りあるとのことです。以前は、大水が出ると金津江下流の定平郡の下方地区は浸水しましたが、金津江ダムが完成すれば、洪水の被害は完全になくなるそうです。定平郡の住民は、金津江ダム完成の暁には、景色の美しい湖で遊覧船に乗って党の恩恵を謳歌しながら楽しく過ごせると話しています。

 我々は大きな力を入れて价川──台城湖水路工事を進めていますが、それが終盤に入りました。これまで大同江の数カ所に閘門を建設して大同江を大きな湖のようにし、平壌市や大同江流域が水害をこうむらないようにしましたが、价川──台城湖水路工事まで完成すれば、大同江の水は国の経済発展と人民の生活向上により有効に利用され、景観もひときわ美しくなるでしょう。

 治山治水事業は、大衆運動として繰り広げなければなりません。現在、我々が計画している治山治水事業は規模がきわめて膨大なので、国土環境保護部門の何人かの力ではなしえません。全国の人民が、治山治水事業にこぞって参加し、野山に樹木を植え、河川を整理しなければなりません。とりわけ、植樹は適期を逸してはならないので、植樹の時季には、すべての部門、すべての単位、すべての人が総がかりで植樹をしなければなりません。植樹の時季には社会だけでなく、人民軍も樹木を植え、他のすべての事業と同様、植樹においても軍隊が先頭に立つべきです。軍隊と人民が力を合わせて助け合いながら、祖国の山河と我々の住む村々をより美しく住みよくつくり変えなければなりません。

 人民経済のすべての部門、すべての単位で3大革命赤旗獲得運動をおこなっていますが、この運動を植樹と河川整理と密接に結びつけることです。最近、工場や企業を現地指導してみると、かなりの工場、企業の生産文化、生活文化はゆき届いていますが、周辺の山には樹木がいくらもありません。これをみると、人々は1を知って2を知らないようです。3大革命赤旗の授与に関する査定要綱に植樹の項目を加え、これを遂行できなかった場合は3大革命赤旗を授与しないようにすべきです。

 治山治水事業を大衆運動として力強く繰り広げるためには、党員と勤労者を社会主義的愛国主義で武装させなければなりません。社会主義的愛国主義は、社会主義制度にたいする愛と祖国にたいする愛が結合した真の愛国主義です。社会主義的愛国主義は、社会主義祖国の一木一草を大切にし、自分の家庭と職場、故郷と村を愛することにあらわれるものです。党組織と勤労者団体組織では、思想教育を強化して、すべての党員と勤労者を社会主義的愛国主義で武装させ、彼らが社会主義祖国を熱烈に愛し、わが国、わが祖国をより富強で美しくするために奮起するようにしなければなりません。

 治山治水事業の成否は、各道、市、郡をはじめ、すべての部門、すべての単位の責任幹部がこの事業をどのような観点と立場に立って手配し、推進するかにかかっています。道、市、郡と機関、企業の責任幹部は、治山治水事業を新世紀にふさわしく、大胆かつ大がかりに設計して各自の管轄下にある山と川の整備をしっかりと進めるべきです。責任幹部は、党の全国緑林化、園林化の方針にのっとって自分の管轄下に植樹すべき面積はどれくらいあり、そこに樹木を植えるにはどれほどの苗畑と労働力が必要か、また、整理すべき河川はどれくらいあり、それには何がどれほど必要かといったことを綿密に見積って年次計画を立て、確実に実行すべきです。我々がなすべき治山治水事業は困難で膨大ですが、幹部が準備万端ととのえ、大衆を立ち上がらせれば、十分早くなし遂げることができます。耕地整理は多くの機械手段と燃料を必要としますが、山に樹木を植えるのにはそうしたものをそれほど必要としません。ただ、仕事の手配をきちんとし、苗畑を設けて苗木を丈夫に育てた後、大衆を立ち上がらせて植えればいいのです。

 治山治水事業に新たな転換をもたらすためには、国土環境保護省の責任感と役割を高めなければなりません。

 国土環境保護省は、党と人民にたいし、国土の建設と管理、国の資源と環境の保護、管理を統一的に指導すべききわめて重要な責務を負っています。党は、国土環境保護事業を強化する一方、この部門を担当する内閣の省を再び設ける措置を講じましたが、国土環境保護省は党の意図に即して国土環境保護事業を責任をもって立派に進めるべきです。現段階において、国土環境保護事業で最も重要なのは樹木をたくさん植えることですから、党の全国緑林化、園林化の方針を堅持して植樹を力強く進めなければなりません。

 国土環境保護省は、国の国土環境保護事業全般を将来を見通して企画し強力に推進するとともに、国土環境保護機関と幹部が任務を立派に果たすよう統轄、指導すべきです。特に、山林監視員が山林をしっかり保護、管理するようにしなければなりません。

 現在、我々の進めている治山治水事業は、単に山に樹木をたくさん植え、河川を治めて、土地と人民の生命、財産を守ることにのみ意義があるのではなく、金日成同志が取り戻してくれた祖国の山河を名実ともに社会主義朝鮮の山河らしく、その面目を一新するためのきわめて重要な事業です。現在、わが党の遠大な構想によって耕地整理が強力に推進されていますが、耕地整理が農地を社会主義朝鮮の土地らしくその様相を一変させる事業であるなら、治山治水は山河を社会主義朝鮮の山河らしくその面目を一新する事業であると言えます。耕地とともに山河を社会主義の山河らしくその面目を一新すれば、わが国は文字どおり、住みよい社会主義の地上の楽園となります。

 わたしは、すべての幹部と全人民が、国土管理総動員期間と植樹の時季に「我々の山河、郷土をさらに美しく整備しよう!」というスローガンを高くかかげてこぞって立ち上がり、野山に樹木を植え、河川を整理する運動を強力に展開して、治山治水事業に革命的転換をもたらすよう期待します。

出典:『金正日選集』15巻


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