金 正 日

金策工業総合大学は国の強力な科学技術人材養成基地である
金策工業総合大学を現地指導した際の教職員への談話 
−2001年9月19日− 


 今年に入って金策工業総合大学を一度訪ねようと考えていました。今回ロシア訪問を終え、帰国して人民軍部隊を視察しながらもそのことを忘れず、きょう、時間を割いてこうして来ました。

 金日成同志の現地指導事績碑がみかげ石で立派に建立されました。金策工業総合大学は、金日成同志じきじきの発案と指導によって創立され、富強な祖国建設の頼もしい科学技術人材養成基地として強化、発展してきました。この大学が歩んできた誇りある歴史の軌跡には、金日成同志の不滅の指導業績が記されています。

 大学の教育科学展示館に展示されている教育事業と科学研究活動の成果に関する資料は、金策工業総合大学の発展過程と業績を示しています。大学が、社会・政治科目に相応の関心を払い、全科目の講義の党政策化を実現し、科学技術教育の講義内容を近代的にして、学生を政治的・思想的に、科学技術的に準備された人材に育成することに力を注いでいるというのは結構なことです。大学の教員、研究士が、価値ある種々の研究成果を上げ、それを生産と建設に導入しているのも好ましいことです。

 科学者の研究活動を十分に援助し、積極的に後押ししなければなりません。科学者の研究活動にたいし、いたずらにあげつらったり、干渉するようなことがあってはなりません。黒鉛について研究している研究士が、なんくせをつける者が多くて悩んでいるということを耳にしました。科学技術上の問題なので、誰の主張が正しいのか詳しく調べてはみませんでしたが、研究活動に力を貸し、押し立てるのでなく、あれこれとあげつらい、干渉するのは間違っています。科学研究の過程で提起される意見の相違は科学審査を通じて解決すべきであって、科学者の性格上の問題や生活上のいろいろな問題を取り上げて科学研究の成果を無視するならば、科学者は新しい発明をすることができず、彼らが一生苦労して探究したものが無駄になってしまいます。

 大学の幹部は、新しい科学研究の成果によって外貨をいくら獲得し、いくら節約したと言っていますが、科学研究活動をそのようにみてはなりません。科学研究は、金もうけのためにするのではありません。科学者が外貨獲得を念頭に置いたのでは、国の科学技術を発展させることはできません。科学者にとってもっとも重要なのは、研究活動に励んで国の科学技術の発展に寄与しようという一念で働くことです。科学者は、科学研究活動に全力を打ち込まなければなりません。

 情報産業に対する認識を正し、情報産業時代の要請に即して働くべきです。いま一部の幹部は、何台かのコンピュータを備えて資料を閲覧したり文章を入力したりすれば、情報産業時代に適合した働き方であるかのように考えていますが、そういうものではありません。コンピュータでさまざまな複雑かつ精密な作業ができるようにならなくてはならず、そうするのが情報産業時代の要請に即した働き方なのです。

 金策工業総合大学で各種のプログラムを開発しているのはよいことです。大学ではプログラムを作成して外国にも輸出しているとのことですが、そうすることも必要ですが、それより重要なのは、国の情報産業の発展に必要なプログラムを多く開発することです。プログラムの開発において基本とすべきことは、朝鮮式プログラムの開発です。我々は、朝鮮式のプログラムを開発する方向へと進まなければなりません。すべての科学研究機関が取り組めば、この問題は4、5年の間に解決することができるでしょう。

 プログラムの研究、開発において機関本位主義を排すべきです。現在、プログラムの研究、開発は平壌プログラムセンターや朝鮮コンピュータセンターでもおこない、科学院や金日成総合大学、金策工業総合大学などの教育機関でもおこなっていますが、そのように統一的な指揮なしに、てんでにやっては望ましい成果をおさめることはできません。プログラムの研究、開発は、統一的な指揮のもとにおこない、同じ問題の研究においては力を分散させず、一つの目標に集中させるべきです。プログラムの研究、開発をはじめ、情報技術、情報産業を発展させるには、この部門に対する国の統一的な指揮システムを確立しなければなりません。これは、以前から考えてきた問題です。

 自動制御工学実験室に各種の近代的な実験設備と器具を備え、学生の実験・実習教育を強化しているのはよいことです。大学の実験室には、この実験室のように実験設備と器具がすべてそろっていなければなりません。

 科学技術情報閲覧室では、大学の教員、研究士がコンピュータを利用して人民大学習堂と中央科学技術通報社、発明局の科学技術書と資料を閲覧していますが、コンピュータが電話回線につながっているのでは資料の転送速度が遅いでしょう。教員、研究士に転送速度の速いネットワークを利用させるべきです。

 きょう来てみると、これまで金策工業総合大学は多くのことをなし遂げました。創立後50余年の間に、大学は金日成同志と党の指導のもとに科学技術教育の最高学府、世界的水準の技術総合大学に成長し、科学技術人材養成事業と科学研究事業で大きな成果をおさめました。この大学の卒業生は、国の科学技術の発展と人民経済の近代化の実現において中核的な役割を果たしています。これまで大学が、革命性が強く、高い科学技術を身につけた有能な人材を多数養成したことを大変満足に思います。

 わたしは以前から、金策工業総合大学に好感を抱いています。40年近く党活動に携わりながらみると、金策工業総合大学出身の幹部は頭が整理されており、思考が論理的で、何事であれ掘り下げて根気よく進めています。彼らは外国語も堪能です。自動化工学部を卒業した人は英語はもとより日本語もマスターしており、彼らの外国語のレベルは外国語を専攻した人に劣りません。一部の幹部の履歴書を見ると、辞典に頼らなくても外国の図書を翻訳できると記されていますが、実際そのようにできる人はわずかに過ぎません。金策工業総合大学を卒業して党機関で働く活動家も少なくありませんが、彼らはいつみても責任感が強く、何事に対しても探究心をもち、自分の責務を果たしています。これは、大学がこれまで教育事業を着実におこなってきたことを示しています。

 これまで金策工業総合大学は、主体的な立場に立って科学研究活動を積極的におこない、社会主義経済建設における科学技術上の問題を解決し、新しい科学技術分野の開拓でも大きな成果をおさめました。

 わたしは、金策工業総合大学の老教授をはじめ、すべての教員、研究士が、もっとも厳しかった「苦難の行軍」、強行軍の時期に、党と生死、苦楽をともにし、いささかの動揺もなく党に従って忠誠の道を揺るぎなく歩んできたことを高く評価します。

 現在、社会主義強盛大国の建設を科学技術的に裏打ちできる人材を多数育成することが重要な問題として提起されています。強盛大国は口先で建設することはできません。強盛大国を建設するためには、国の科学技術を早急に発展させ、人民経済の近代化を高い水準で実現しなければなりません。科学技術は強盛大国建設の推進力であり、強盛大国は科学技術に裏打ちされてこそ、成功裏に建設されるのです。

 国の科学技術を早急に発展させ、人民経済を近代化して強盛大国を建設するうえで、金策工業総合大学は、とりわけ重要な使命と任務を担っています。わたしがきょうこの大学を訪ねたのも、強盛大国の建設に寄与する科学技術人材を多数育成できるようにするためです。いまもそうですが、やがて、国の科学技術が発達し、人民経済が活性化して強盛大国の建設がいっそう力強く推進されれば、最新の科学技術を身につけた人材がより多く求められるようになります。金策工業総合大学は、大学の使命と任務に即して、強盛大国の建設を担って立つ科学技術人材の育成を基本としてとらえ、科学技術人材をより多く、より立派に育てなければなりません。

 強盛大国の建設を担っていく科学技術人材を育成するためには、新世紀、情報産業時代の要請に即して教授活動をさらに改善する必要があります。教育綱領を再編し、講義案もさらに充実させるべきです。科学技術教育の教授内容を絶えず近代化し、すべての技術科目の講義で情報技術、コンピュータの応用比率を高めなければなりません。

 大学教育では、理論教育と実践教育を密接に結びつけるべきです。大学の実験・実習室に先端実験設備と機械設備を1、2台ずつ備えるといったように、実験・実習基地をさらに充実させ、実験・実習教育を強化して、学生がそれを巧みにこなせるようにすべきです。

 学生のレベルは、教員のレベルにかかっています。強盛大国建設の要請に即して科学技術人材を育てるには、何としても教員のレベル向上に力を注がなければなりません。既存の知識や経験だけでは、発展する現実に追いつくことはできません。いまは、教員が既存の知識と経験だけで教育する時代ではありません。教員は、豊かな教授経験を積む一方、絶えず新しい先進科学技術を身につけなければなりません。ニワトリは微量添加剤を十分に摂取できなければ充実した卵を産めないように、教員が豊かな知識を身につけていなければ、時代が求めるすぐれた科学技術人材を養成することはできません。最新の科学技術を修得した教員であってこそ、有能な科学技術人材を育てることができるのです。教員は、より高い知識、より深い知識、より豊かな知識を身につけるために絶えず努力しなければなりません。

 外国の大学と姉妹関係を結び、科学教育分野での交流も活発におこなうべきです。大学の教員、研究士は、外国に行って工場を見学したり、図書館に立ち寄って書物を見たりするだけではレベルを高めることはできません。外国の大学に行ったら、講義に参加し、実験室を参観し、教員の講義案やカリキュラムも参考にして、先進的な教育方法や科学技術を修得しなければなりません。教員はそれにとどまらず、よいものはカリキュラムや講義案に反映させて教授活動を改善すべきです。

 金策工業総合大学をさらに立派に整備しなければなりません。

 大学の全景模型を見ると、まだ建設されていない建物があります。大学の図書館と体育館を追加計画に組み入れ、平壌市が市を挙げて早急に建設すべきです。これは、社会的に科学技術を重視する雰囲気を醸成するうえでも有益です。

 大学の図書館は、電子図書館として建設すべきです。現在の図書館の建築模型を見ると、設計がよくできていません。図書館に必要な書物をすべて収蔵するには建物が大きくなくてはなりませんが、電子図書館なら建物がさほど大きくなくても済みます。外国の電子図書館を参考にして設計をし直し、アジア随一の電子図書館として立派に建設すべきです。金策工業総合大学の図書館には、人民大学習堂にない新しい科学技術書も多く購入して備えるべきです。今後、大学の電子図書館を立派に建設し、インターネットで資料を閲覧できるようにする考えです。

 体育館も立派に建設すべきです。党は、国のスポーツ発展を重要な政策として打ち出しています。体育館を建設すれば、学生は活発に運動するようになり、スポーツを発展させることもできます。図書館を建ててから体育館を建てようとせず、図書館と並行して建設すべきです。体育館は、さまざまな機能を果たせるように建設し、スポーツ競技や芸術公演、会議などもできるようにすべきです。いまは、建物を多目的なものとして建設するのが世界的な趨勢です。本校舎に会議室があるのなら、体育館には科学技術展示場を設けて、他の機関の人々も参観できるようにすべきです。金策工業総合大学の体育館は、金日成総合大学の体育館にひけをとらないように立派に建設すべきです。

 本校舎の玄関を手直しすべきです。建物は申し分ないのですが、玄関の正面の壁に石材を張りつける際、継ぎ目の処理が上手になされなかったようです。シリコン樹脂のようなもので処理すればよかったのですが、大ざっぱにしたので、貴重な資金を投じて建設したにもかかわらず見栄えがしません。本校舎玄関の側壁に張ったタイルの面も不揃いです。正面の壁と柱は石張りで、側壁はタイル張りなので、建築学的な調和がとれず、品もありません。金策工業総合大学は重要な大学なのですから、正面の壁はもとより、側壁もすべて石張りにして、玄関に重みと気品をもたせるようにすべきです。

 大学の教授活動と管理・運営で提起される問題は、すべて解決することにしましょう。大学に近代的なコンピュータをはじめ、教育科学実験設備と図書の購入に要する資金を提供し、老教授や博士たちが地方出張の際に利用できるようにマイクロバスと乗用車も提供することにします。老教授と博士に乗用車を提供すれば、社会に科学技術重視の気風を確立するうえでも好都合であり、教育者、科学者を優遇する気風を確立するためにもよいでしょう。大学の運営に役立つよう8トン積みのトラックも何台か提供することにします。

 金策工業総合大学にたいする社会的関心を高めるべきです。これまで、この大学出身のなかから出た英雄は数十名に過ぎないとのことですが、大学の規模や発展史に比べると少な過ぎます。これまで、英雄称号は、農業部門をはじめ、他の部門の人たちに多く授与しましたが、科学技術の探究に打ち込んで新しい発明や考案をした科学者、技術者にはあまり授与しませんでした。これは、幹部に科学技術にたいする正しい観点が確立しておらず、この分野をおろそかにしたことに主な原因があります。それに、科学者、技術者のあいだで、人民経済の発展に大きく寄与する価値ある科学技術的成果がそれほど出なかったこととも関係しているでしょう。科学者は、科学技術面で成果を上げなければなりません。年輩の科学者は、肉体的には老化しても、コンピュータを操りながら精神労働を続けているせいか、他の部門の人に比べて頭脳は老化しないようです。今後、科学技術部門にたいする社会的関心をさらに高め、科学者を社会的に優遇すべきです。

 大学の党組織は党活動に力を入れ、すべての学生を、高い知識と科学技術をもって党と祖国のために貢献する忠実な人材に育てなければなりません。

 金策工業総合大学は、国の強力な科学技術人材養成基地であり、科学技術の中核を育てる原種場です。金策工業総合大学にたいする党の信頼と期待は大なるものです。わたしは、大学のすべての教職員、学生が、国の科学技術人材の育成に力を入れ、高い実力と科学技術の成果をもって社会主義強盛大国の建設に寄与するものと確信します。

 出典:『金正日選集』15巻


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