金 正 日

偉大な領袖金日成主席の統一遺訓を貫徹しよう
-1997年8月4日-


 朝鮮人民は遠からず、偉大な領袖金日成主席が民族再生の道を開いた歴史的な祖国解放52周年を迎える。

 この日に際して朝鮮人民は、敬愛する主席が祖国解放の日から半世紀をついで祖国統一のためにささげた不眠不休の労苦と築き上げた偉大な業績を胸熱く振り返っている。祖国統一は、偉大な領袖金日成主席の終生の偉業であり、切々たる願いであった。偉大な主席は、国の分裂によって我が民族が強いられる不幸に何よりも胸を痛め、次代に統一した祖国を譲り渡そうと生涯の最期の瞬間まで労苦と心血の限りを注いだ。

 敬愛する金日成主席の気高い志を継いで祖国統一偉業を実現することは、我が党と人民の革命的義務、信義であり、我々の世代に課された神聖な民族的任務である。祖国統一の前途にいかなる難関と障害が横たわろうとも、我々は偉大な領袖金日成主席の祖国統一遺訓を貫徹して祖国と民族の前に負った我々の世代の責任と任務をまっとうしなければならない。

 



 偉大な領袖金日成主席は、祖国と民族のために全生涯をささげ、祖国統一偉業に不滅の業績を築き上げた民族の太陽であり、祖国統一の救い星である。敬愛する金日成主席は卓越したした思想と指導により、祖国統一偉業を切り開き勝利へと導いて祖国統一実現の強固な土台を築き、祖国統一の明るい展望を開いた。

 我が祖国の統一問題は、第2次世界大戦の終結とともに、外部勢力によって国土が分断された結果生じた問題である。国が北と南に引き裂かれたこの半世紀の歴史は統一と分裂、愛国と売国の相反する二つの路線の鋭い闘争の歴史であり、祖国統一を志向する愛国勢力の勝利の歴史である。

 偉大な領袖金日成主席は、国の分裂当初から祖国統一を民族史上の課題として掲げ、一貫して一つの朝鮮路線、統一路線を堅持し、祖国統一をめざす闘争を賢明に導いて祖国統一運動を全民族的な運動に強化発展させた。

 偉大な主席が示し一貫して堅持した祖国統一路線は、国と民族の完全な自主独立を実現する徹底した民族自主の路線であり、統一祖国の富強発展と全民族の隆盛繁栄のための真の愛国愛族の路線である。我が国の統一問題は、南朝鮮に対する外部勢力の支配と干渉を終わらせて全国的範囲で民族の自主権を確立し、引き裂かれた民族の血脈を再びつなぎ、一つの民族として民族的団結を実現する問題である。数千年間、同じ国土の上で単一民族として暮らしてきた我が朝鮮民族が、外部勢力によって二つに引き裂かれていては民族的不幸と災難を免れず、外部勢力の支配と従属から脱することもできない。統一だけが国と民族の自主権を完全に確立して民族の尊厳と栄誉を輝かせ、祖国と民族の富強繁栄を達成することのできる唯一正しい道である。統一路線は、我が民族の根本利益と要求、一致した念願と志向を反映したものゆえ、全朝鮮人民の絶対的な支持を得ている。

 敬愛する金日成主席は、アメリカ帝国主義の南朝鮮占領と内外の分裂主義勢力の反統一策動が続く複雑かつ困難な情勢のなかでも一貫して統一路線を確固と堅持し、祖国統一運動を主動的に導いた。偉大な主席は、北半部を祖国統一のとりでとしてうち固める一方、北半部人民が片時も南の兄弟を忘れず、自主、民主、祖国統一めざす南朝鮮人民の愛国闘争を積極的に支持声援するようにし、内外の分裂主義勢力の挑戦と反統一策動をその都度粉砕して祖国統一運動を絶え間なく強化発展させた。解放直後、国連の看板のもとに南朝鮮で「単独選挙・単独政府」が捏造された厳しい時期に歴史的な南北朝鮮政党・社会団体代表者連席会議を招集して事大売国勢力の民族分裂策動を粉砕する挙族的な闘争を展開するようにしたのも主席であり、我が国において一つの朝鮮か、「二つの朝鮮」かという二つの路線間の対立と闘争が鋭く繰り広げられた時期に分裂主義者の「二つの朝鮮」捏造策動を阻止し破綻させる闘争へと全同胞を呼び起こしたのも主席であり、隔絶状態にあった北と南の間に対話と協議の道を開き北南間に共同声明と合意書を採択させて祖国統一運動の新しい局面を開いたのも主席であった。限りなく気高い祖国愛と民族愛を備えた偉大な主席は、1日たりとも祖国統一問題を心配しなかった日がなく、片時たりとも心安らかに休んだんだことがなかった。

 金日成主席は、祖国統一運動に対する国際的支持と連帯を強化するために精力的に活動した。主席が繰り広げた積極的な対外活動によって、我が党の祖国統一路線の正当性が世界各国の政界、社会界、言論界に広く知れわたり、朝鮮の統一問題に対する国際的な関心が高まり、我々の祖国統一運動に対する世界の進歩的人民の支持と連帯が強化された。

 敬愛する領袖金日成主席が祖国統一路線を確固と堅持し、祖国統一のために労苦の限りをささげてきた偉大な功績により、祖国統一運動は分裂主義勢力の妨害策動を退けて引き続き発展し、不敗の力量に拡大強化された。祖国統一への民族の熱望は日ごとに高まっており、北と南、海外の全民族が祖国統一運動に立ち上がっている。我が祖国の統一運動が今日のように強力な全民族的運動に拡大強化され、世界的な関心と進歩的人民の支持声援のなかで前進しているのは、分裂路線に対する統一路線の輝かしい勝利である。

 偉大な領袖金日成主席は、祖国統一の根本原則と方途を明らかにする祖国統一の3大憲章を示して国の統一偉業遂行で堅持すべき指導的指針を設けた。

 自主、平和統一、民族大団結の3大原則は、祖国統一問題を民族の意思と利益に即して民族みずからの力で解決できるようにする根本的立場と根本方途を明らかにした祖国統一の礎である。祖国統一の3大原則は、北と南が7・4共同声明を通じて確認し、内外に厳かに宣言した民族共同の統一大綱である。

 祖国統一のための全民族大団結10大綱領は、全民族の団結を遂げて祖国統一の主体的力量を強化するための政治綱領である。この綱領には、民族大団結の目標と理念的基礎、団結の原則と方途が全面的に明らかにされている。

 高麗民主連邦共和国創立方案は、統一国家の全貌とその実現方途を明らかにした設計図である。この方案には、国の統一を北と南の思想と制度を互いに容認したうえで最も公正かつ順調に実現することのできる基本方途が示されている。

 祖国統一の3大原則と全民族大団結10大綱領、高麗民主連邦共和国創立方案は、金日成主席が偉大なチュチェ思想と祖国統一めざす闘争の過程で積み上げた貴い経験に基づいて祖国統一の根本原則と方途を全一的に体系化し集大成した祖国統一の3大憲章である。祖国統一の3大憲章は、民族の自主権と尊厳を生命とする民族自主精神で一貫しており、北と南の和解と全民族の大団結を遂げて祖国を平和的に統一しようとする気高い祖国愛と民族愛を具現している。3大憲章は、北と南に互いに異なる思想と制度が長い間存在してきた我が国の現実的条件と、統一を渇望する全民族のひとしい志向に即して一日も早く祖国統一を実現することのできる最も公明正大で合理的な方途を明らかにしている。

 偉大な主席が祖国統一の3大憲章を設けることで、我が民族は明確な目標と方向、信念と勇気をもって祖国統一めざす闘争を力強く繰り広げられるようになり、民族の団結した力で祖国統一の宿願を成功裏に実現できるようになった。祖国統一の3大憲章こそ、祖国統一の旗印であり、祖国の自主的平和統一を実現するための最も正当で現実的な闘争綱領である。

 偉大な領袖金日成主席は、民族大団結の旗印のもとに全民族を結集させて祖国統一の主体的力量を築き上げ、さらに強化した。

 祖国統一の主体は我が民族であり、その威力は民族大団結にある。主体的統一力量が強固に築かれるとき、祖国統一偉業の勝利が確固と保証される。

 金日成主席は、祖国愛と民族自主精神を民族的団結の基礎とみなし、思想と理念、政見と信仰の相違を超越してすべてを祖国統一偉業に服従させることを民族大団結の原則として掲げ、広い度量と雅量ある包容力で統一を志向するすべての人を、その過去を問わず統一愛国の道へと立ち上がるよう導いた。

 主席は「力のある人は力で、知識のある人は知識で、資金のある人は資金で」という民族団結のスローガンを示し、各界各層の朝鮮人が祖国と民族を愛する心で祖国統一偉業に貢献するようにした。偉大な主席が示した民族大団結の思想と理念、主席が備えた気高い人間愛と民族愛は、各界各層の同胞を民族的団結と祖国統一の道に果敢に立ち上がるようにした力の源であった。

 金日成主席は全民族的な統一戦線の形成に大きな意義を付与し、北と南、海外の統一勢力を結集する活動を精力的に導いた。偉大な主席が抗日革命闘争時期に積み上げた反日民族統一戦線の経験に基づいて祖国統一のための民族大統一戦線の形成に関する方針を示し、その実現をめざす闘争を賢明に導くことにより、北と南、海外の同胞を祖国統一の旗印のもとに組織的に結集させる活動で大きな前進が遂げられた。祖国統一運動が全民族的な運動に拡大発展し、祖国を統一しようとする民族の熱望がかつてなく高まった環境のなかで北と南、海外の同胞を網羅した汎民族大会が開かれ、全同胞の統一意志を代表する祖国統一汎民族連合が誕生した。祖国統一汎民族連合の結成は、祖国統一の主体的力量を強化し祖国統一運動をより高い段階へと発展させるうえで達成された重要な成果である。

 今日、統一愛国の主体的力量は北と南、海外の全民族的範囲に拡大強化され、さらに固く結集しており、事大売国的な分裂主義勢力を圧倒しつつ祖国の自主的平和統一に向け力強く前進している。

 偉大な領袖金日成主席が祖国統一の道に築き上げた業績は、朝鮮人民と我が民族に残した限りなく貴重な遺産であり、祖国統一偉業を実現することのできる強固な源である。金日成主席が祖国と民族のためにささげた終生の労苦と祖国の統一独立めざす神聖な偉業に積み上げた偉大な業績は祖国の青史に永遠に輝くであろう。
 


 偉大な領袖金日成主席が切り開き、導いてきた祖国統一偉業を継承して我々の代に必ずや祖国を統一することは、我が党の揺るぎない決心であり、朝鮮人民の革命的意志である。

 半世紀以上も持続している国土分断と民族の分裂は、5千年の悠久な歴史をもつ我が民族の統一的発展を阻み、全民族におびただしい不幸と苦痛をもたらしている。我々の世代に祖国を統一できなければ、育ちゆく新しい世代も民族分裂の悲劇を強いられ、北南間に民族的共通性すらも消え、民族が永遠に二つに引き裂かれかねない。帝国主義植民地体系が崩壊し、抑圧されていたすべての国と民族が自主独立の道に進んでいるときに、民族の尊厳と栄誉を命のように重んじる我が民族が外部勢力によって自主権を侵害されていることは耐えがたい民族的恥辱である。

 我々は、敬愛する金日成主席の終生の志であり、民族の死活的要求である祖国統一を必ず成就しなければならない。祖国統一は、我々にとってこれ以上遅らせることのできない最大の民族的課題である。万難を排し祖国を統一して民族分裂の悲劇の歴史、恥辱の歴史を終わらせなければならない。我々は、祖国を統一して民族の運命を危機から救い、次代に統一した祖国を譲りわたし、民族の尊厳と栄誉をさらに輝かせなければならない。

 祖国統一を達成するためには、偉大な領袖金日成主席が生涯をささげて祖国統一偉業に積み上げた不滅の業績を固守し、祖国統一の主体的路線と方針を徹底的に貫徹しなければならない。

 偉大な主席が示した祖国統一の3大憲章は、統一を願う我が民族すべてが従うべき綱領的指針である。祖国統一めざす闘争で情勢の変化に従い具体的方法は変化しうるが、祖国統一の根本原則と立場には変化がありえない。我々は今後、情勢がいかに変化し環境がいかに変わろうとも、祖国統一の3大憲章に基づいて祖国統一偉業を実現しなければならない。

 国と民族の運命を切り開くうえで主体性を堅持し民族性を生かしてゆくことは、国の自主独立と富強発展を保障し民族の隆盛繁栄をもたらすための原則的要求である。偉大な領袖金日成主席は、朝鮮革命を導く全期間、主体性と民族性を固守し輝かしく具現して祖国解放の歴史的偉業をなし遂げ、祖国の地に自主、自立、自衛の社会主義強国を建設し、我が民族の限りない力と才能、不屈の気概を全世界に高くとどろかせた。金日成主席が示した祖国統一路線と祖国統一憲章は主体性と民族性固守の原則的要求から導き出され、それで一貫している。祖国の統一独立めざす闘争において主体性と民族性を徹底的に固守し具現するところに、祖国統一偉業を我が民族の利益と要求に即して成功裏に実現できる根本的保証がある。

 国の統一問題は、あくまでも民族自主の原則に基づいて解決されなければならない。民族自主の原則を堅持することは、主体性と民族性を固守するうえでの基本である。

 すべての民族は、自身の運命をみずからの手でみずからの意志に従って自主的に切り開いていく権利をもつ。民族の自主権は何者も奪えず、侵害することもできない。祖国統一は我が民族自身の問題であり、民族の自主権に関する問題であるだけに、我が民族が主人となり、民族の自主的な意思と要求に従い民族自身の力でなし遂げてゆくべきである。

 民族自主の原則に基づいて国の統一を実現するためには、民族のすべての構成員が民族自主意識でしっかりと武装し、事大主義や外部勢力依存思想を徹底的に反対、排撃すべきである。

 民族自主意識が民族を強力にし、国を栄えさせる思想的力であるとすれば、事大主義と外部勢力依存思想は民族を卑屈で無力にする思想的毒素である。事大と外部勢力依存が亡国の道であることは、民族受難の長い歴史を通じて我が民族が身をもって体験した深刻な教訓である。我が国が日本帝国主義に併呑されたのも、初期の共産主義運動が失敗し民族主義運動が挫折したのも、結局は自身の力を信じずに大国を崇拝する事大主義のせいであった。

 祖国の解放後も、崇米・事大主義に陥った南朝鮮の歴代執権者たちは、米国を担いで米国の侵略政策に追従し、反統一的な売国・反民族行為を働いてきた。外部勢力に奪われた民族の自主権を取り戻す祖国統一問題を外部勢力に依存して解決しようとするのは、従属の罠にみずから進んではまる愚かな行為である。

 民族の自主権と尊厳を守り民族の意志に即して祖国統一を実現するためには、事大と外部勢力依存を排撃し、外部勢力の侵略と干渉に反対して断固たたかわなければならない。我々は、我が祖国の統一問題に干渉してその侵略的、支配主義的野望を遂げようとするいかなる試みも許さないであろう。我々は、民族自主の旗を高く掲げて祖国統一めざす闘争をより力強く繰り広げ、国と民族の完全な自主独立を達成しなければならない。

 祖国統一偉業を自主的に実現するためには、民族の主体的力量を構築しなければならない。全民族大団結は、祖国の自主的平和統一を実現するうえでの決定的な保証である。祖国統一の直接的担い手は我が民族自身であり、だれも祖国統一の闘争を我が民族にかわって行うことができない。全民族が民族大団結の旗印のもとに固く団結して祖国統一の主体的力量を強固に築いてこそ、内外の分裂主義勢力の反統一策動を粉砕して祖国統一偉業を遂げることができる。

 民族の大団結を遂げるためには、思想と理念、制度の相違を後回しにし、民族共通の利益を前面に押し出し、それに基づいて団結する原則を堅持すべきである。祖国統一偉業は民族内部の階級的矛盾や体制上の対立を解決するためのものではなく、全国的に民族の自主権を確立するための民族的偉業である。民族なくして階級や階層がありえず、民族の自主性が実現されなくては民族構成員の自主性も保障されない。祖国統一が民族至上の課題として提起された今日、いかなる階級、階層も自己の利害関係を民族共同の利益よりも優先させてはならない。北と南に存在する思想と制度の相違がいかに大きくとも、悠久な歴史を通じて形成され、強化発展した我が民族の民族的共通性に勝るものではない。北と南が民族的共通性と民族共同の利益を優先させ、ともに祖国統一を志向してゆけば、思想と制度の違いを超越して全民族の大団結を達成することができる。

 祖国愛と民族愛は、全民族構成員共通の思想感情であり、民族的団結の思想的基礎である。国と民族を熱烈に愛し、民族の尊厳をこのうえなく重んじることは、我が民族の誇らしい伝統であり、民族的特質である。朝鮮民族の血筋と魂を受け継いだ人であれば、朝鮮民族のすぐれた民族性を重んじ守らなければならない。今日、朝鮮人にとって真の人生の価値と生きがいは自身の運命を民族の運命と結合させ、祖国の統一独立と民族の隆盛繁栄のための神聖な偉業に身も心もささげることにある。みずからの祖国と民族を愛し、祖国と民族の運命を心配する人は、北と南、海外のいずこで暮らそうとも、みなが思想と理念、信仰と政見、階級と階層の相違に関係なく祖国統一の旗印のもとに固く団結しなければならない。

 我々は、北と南の思想と制度の相違を超越して共存、共栄、共利を図り、祖国統一の大業をなし遂げるために力を合わせてゆくことを主張する。我々は、民族的良心をもって祖国統一のために立ち上がる人であれば、どのような思想や信仰を持っていようと、資本家であろうと、軍将官であろうと、執権上層に身を置こうと関係なく、ともに手を取り合ってゆくであろう。我々は、かつて民族の前に罪を犯した人であろうとも過ちを悔い改め
て民族の側に立てば過去を白紙に戻し寛容をもって相対し、彼と団結するであろう。

 民族大団結のための我が党の路線と政策は愛国、愛族、愛民の幅広い政治である。祖国の統一独立と富強発展のための闘争の全過程で変わることなく幅広い政治を貫徹することは我々の一貫した立場である。愛国、愛族、愛民の思想を全面的に具現した民族大団結路線は祖国解放の闘争、新社会建設の闘争、祖国統一の闘争での長い間の実践過程でその正当性と生命力が余すところなく誇示された。我々は愛国を志向し統一偉業に立ち上がるすべての政党、団体、すべての人の思想と理念、信仰を尊重し、彼らと連合して民族の前に負った義務と信義を守るであろう。

 祖国統一を武力行使に依拠せず平和的方法で実現することは、我々の原則的立場であり、我が党の変わりない路線である。

 我が民族が統一問題をもって同族同士が互いにたたかわなければならない根拠はない。北南間に存在する思想と制度の違いも武力行使の条件にはならない。思想と制度は強要するからといって受け入れるものではなく、強圧的方法では北と南の思想や制度の相違はなくせない。北と南が互いにたたかえば、戦争の惨禍を被るのは我が民族であり、その漁夫の利を得るのは帝国主義者である。朝鮮の平和統一は我が民族の要求であるばかりか、世界の平和愛好人民の念願でもある。国と民族を愛し、平和を重んじる人は、だれもが祖国の平和的統一のために全力を尽くすべきである。

 朝鮮半島で平和を保障し、国の平和的統一を遂げるためには、侵略と戦争の策動に反対し戦争の危険を除去しなければならない。

 侵略と戦争の策動に反対する闘争なくして平和は保障できず、平和統一について考えられない。朝鮮半島では現在、米国と南朝鮮統治層の反社会主義、反共和国策動によって緊張が激化し、任意の時刻に戦争が勃発するやもしれない危険が生じている。

 我が国での緊張を緩和し戦争の危険を除去する問題は何よりも、米国が共和国に対する敵視政策を捨て、朝米間の平和協定が締結されてこそ解決されうる。共和国と米国はいまだに一時的な停戦状態に置かれており、我が国での戦争の危険は除去されていない。戦争の危険を除去し平和を保証するためには、我々と米国の間に平和協定を締結し、新たな平和保障体系を設けるべきである。それとともに、すでに世界に発表されている北南不可侵に関する合意を再確認し徹底して履行しなければならない。

 米国は現在、口では「冷戦の終息」や「緊張緩和」について公言しながらも、旧態依然たる「力の政策」に固執して絶え間ない軍事演習と侵略策動で我々を威嚇しており、南朝鮮統治層の戦争挑発騒動を積極的に後押ししている。軍事的威嚇や圧力で我々を屈服させようとするのは無益な企図であり、危険な行動である。

 我々は我々の社会主義を鉄壁のごとく守り、国の自主権と民族の尊厳が侵害されるのを許さないであろう。帝国主義者と南朝鮮統治層による戦争挑発策動に対処して革命武力を強化して国と人民の安全を守ることは、我々の当然の自衛的措置である。帝国主義の好戦階層は武力で我々の軍事的威力を試そうとしてはならず、軍事的威嚇や挑発で朝鮮人民を脅し屈服させようとしてはならない。そのような分別のない行動は、破局的結果を招きかねない危険極まる冒険となりうる。我々は決して戦争を望んでおらず、一貫して国の統一を平和的に実現するために努力している。

 我が祖国の統一問題を順調に解決するための最も合理的な方途は、連邦制方式に基づいて国の統一を実現することである。

 我が民族は、だれにでも受け入れられる合理的な方式で一日も早く祖国統一が実現されることを望んでいる。北と南に相異なる制度が樹立されてからはや半世紀を経た今日に至って、どちらか一方の制度による統一を実現しようとすれば、統一はもとより、逆に分裂を深めて取り返しのつかない民族的災難をもたらすことになるであろう。

 我が民族の切実な要求と国の現実に鑑みると、祖国統一を速やかに実現する最善の方途は1民族、1国家、2制度、2政府に基づく連邦制方式の民族統一国家を創立することである。

 連邦制方式の統一はどちらか一方の優位や利益のみを追求せず、だれにも被害を与えない合理的かつ公明正大な統一方途である。連邦制統一方式は朝鮮半島に常に渦巻いている戦争の危険を払いのけ、世界の平和と安全を保障するうえでも貢献するであろう。

 連邦制統一がなし遂げられれば、我が民族は全国的範囲で自主権を確立して一つの民族として大団結をなし、我が国は自主的かつ平和愛好的、中立的な民族統一国家になるであろう。統一された連邦国家は周辺諸国の利害関係も侵害せず、それら諸国の脅威にもならないであろう。

 我々はいかなる難関や試練にも少しも動揺せず、偉大な領袖金日成主席が示した祖国統一の3大憲章に従い、祖国統一の道へと力強く前進するであろう。
 


 北南間の関係を改善することは、祖国の自主的平和統一を実現するための切迫した要求である。

 北と南の関係を不信と対決の関係から信頼と和解の関係へと転換させてこそ、全民族の団結した力で祖国の自主的平和統一を実現していくことができる。

 今日、祖国統一の機運はかつてなく高揚しているが、北南間の関係はいつにもまして緊張して厳しい。民族の運命も国の統一も眼中にない南朝鮮の現当局者たちは、自身の権力地盤が根元から揺れ動き始めるや、その活路を北南間の緊張激化と対決に求めようとしながら、北南関係を極限的な敵対関係へと転変させ、外部勢力と結託して北侵戦争挑発策動をかつてなく強化している。南朝鮮で現「政権」が出現した以後、北南間には和解ではなく対決が激化し、平和ではなく戦争の危険が色濃くなっている。北南関係を近年にない最悪の状態に導いたのは、南朝鮮の現当局が犯した絶対に許せない反統一的、売国反民族的な犯罪行為である。

 北南関係を改善して祖国統一の転換的局面を開くためには何よりも、南朝鮮当局者たちが外部勢力に依存して外部勢力と「共助」するのではなく、民族自主の立場から同族と力を合わせて外部勢力に反対し排撃する道に進むべきである。

 民族自主か、外部勢力依存かというのは、統一と分裂、愛国と売国を分かつ試金石である。だれであろうとも、民族を見捨て民族の主体的力量に背を向け外勢に依存して「共助」する道に出るならば、民族から見捨てられ歴史の審判を免れないであろう。南朝鮮当局者たちが民族自主の立場、愛国愛族の立場に立つときにのみ、北南関係が信頼と和解の関係に発展し、祖国統一の新たな突破口が開かれるであろう。

 南朝鮮当局者たちは、政策転換をして民族のための民族に依拠する民族自主の立場に戻るべきであり、同族と手を取り合って祖国と民族の運命をともに切り開いていく政策を実施すべきである。

 北南間の政治的対決状態を解消することは、北南関係を改善するための優先的要求である。北南間の政治的対決状態が解消されてこそ、軍事的対決状態も解消され、ひいては民族的和解と団結が実現されうる。

 南朝鮮当局者たちは真の同族意識をもって我々を敵視する反北対決政策を連北和解政策に転換すべきであり、北南間の誤解と不信を助長し民族的和解と団結を阻害する行為をすべきではない。

 北南間の政治的対決状態とともに、軍事的対決状態を解消して緊張状態を緩和すべきである。

 北と南の軍事的対決状態は、同族間に不信と誤解をもたらし、互いに信頼し和解できなくするばかりでなく、緊張を激化させて民族的惨禍をもたらすことになりかねない。軍事的対決状態を解消せずしては北南関係の改善も、朝鮮半島の平和と平和統一も期待できない。

 今、南朝鮮でありもしない「南侵の脅威」について騒ぎ立てているが、我が国に実際に存在するのは「南侵の脅威」ではなく、北侵の脅威である。朝鮮半島で北侵の脅威がなければ、北南間の軍事的対決状態も解消されるであろう。

 南朝鮮当局者たちは危険な戦争政策を放棄し、緊張を激化させるのではなく緩和させていくべきである。南朝鮮で武力増強と外部からの武器搬入を中止して外国軍隊との合同軍事演習を止め、無謀な軍事的挑発行為をすべきではない。

 北南間の対決状態を解消して民族的和解と団結を遂げるためには、南朝鮮での社会政治生活が民主化されるべきである。南朝鮮においてだれが執権してもファッショ統治が実施される状況のもとでは北南関係の対決状態を解消できず、南朝鮮の各党、各派、各界各層の自由な祖国統一論議と活動について考えることはできない。ましてや同族を敵と規定して北と南の人民と各界人士との接触と交流を犯罪視し、南朝鮮の統一愛国勢力を弾圧する「国家保安法」のような反民族・反統一悪法が引き続き存在するようになれば、いつまで経っても民族的和解と団結を遂げることはできず、北南間の接触や交流も実現されえない。民族の分断とともに始まった祖国統一運動の苦難にみちた歴史は、南朝鮮で「国家保安法」が撤廃されないかぎり北南関係で進展が期待できないことを示している。

 今日、南朝鮮で愛国的な統一民主勢力が「国家保安法」によって弾圧され、北南関係が極度に悪化している現実は、民主化の課題を遅らせることのできない切迫した要求として提起している。南朝鮮人民に苦痛を強い、全民族に害を及ぼす「国家保安法」は、当然撤廃されなければならず、南朝鮮で各党、各派、各界各層の祖国統一論議と活動の自由をはじめ政治的自由と民主的権利が保障されるべきである。

 我々が主張するこのような問題は、北南関係を改善して祖国統一の新たな局面を開いていくために必ず解決されるべきである。

 今後、南朝鮮当局者が全民族の期待どおり、今日の反民族的で反統一的な対決政策を放棄して実際の行動で肯定的な変化を見せるならば、我々は彼らといつでも会って民族の運命問題について虚心担懐に協議し、祖国統一のためにともに努力するであろう。我々は、南朝鮮当局者たちがいかなる姿勢と立場をもってどのように行動するかを注視するであろう。

 朝鮮問題を正しく解決するためには、関係諸国も朝鮮の統一に協力する誠実な立場で肯定的な役割を果たすべきである。関係諸国は、我が民族の自主権と統一意志を尊重し、我が民族が祖国統一問題を自主的に、平和的に解決できるよう積極的に協力すべきである。

 米国は、朝鮮問題に直接的な責任がある当事者として当然、自身が署名した公約と義務を誠実に履行すべきである。米国は、時代錯誤的な対朝鮮政策を根本的に転換すべきであり、これ以上朝鮮の自主的平和統一に妨害になることをすべきではない。我々は、米国を百年来の宿敵とは見ようとはせず、朝米関係が正常化されることを望んでいる。米国が冷戦時代の古い観念から脱して力の立場で朝鮮問題に対するのではなく、朝鮮半島の平和と統一に有益なことをすれば、朝米関係も両国人民の利益に即して発展するであろう。

 過去、我が人民に計り知れない不幸と災難を強いた日本は、過去を心から反省して共和国に対する敵視政策を捨て、朝鮮の分裂をあおり統一を妨害することをすべきでない。そうすれば我々は、自国の隣邦である日本に対し友好的に接し、非正常な朝・日関係も改善されるであろう。

 祖国統一めざす朝鮮人民の闘争の前途は平坦ではないが、民族の宿願である祖国統一は必ず実現されるであろう。

 朝鮮が統一されれば、我が祖国は7千万の人口を有する富強な自主独立国家として世界の舞台に堂々と登場し、我が民族は英知に富み尊厳ある偉大な民族としての誇りをとどろかせるであろう。

 我々は、偉大な領袖金日成主席の統一遺訓を貫徹するための全民族的な闘争を展開して7千万同胞が統一した祖国の国土で幸福に暮らす歴史の日を早めるべきである。
出典:「月刊 朝鮮資料」 1997年10月号

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