金 正 日

国土管理事業に新たな転換をもたらすために
朝鮮労働党中央委員会の責任幹部への談話 
−1996年8月11日− 


 国土管理事業を改善しなければなりません。

 国土管理事業は、土地と山林、道路、河川、沿岸、領海など国の全領土を管理し保護する事業です。この事業は、社会主義建設においてきわめて重要な位置を占めます。国土管理事業を立派におこなってこそ、わが国、わが祖国を富強にし、人民に自主的で創造的な生活を享受させることができるのです。国土管理事業と環境保護事業に力を入れるのは、世界的な趨勢となっています。

 国土管理事業はきわめて重要であるため、党は十数年前に全国国土管理部門の活動家大会を開いて国土管理の方向と方法を全面的に示し、機会あるごとに国土管理事業を改善するよう強調してきました。しかし、党の国土管理政策は、満足に実行されていません。

 一部の地方では、原料基地の造成にかこつけて山林を乱伐し、山を丸はだかにしてしまいました。そのため、大雨が降ると土砂崩れが生じ、河川の堤防が決壊して国の大事な土地が浸水したり流失したりしています。最近の洪水による被害は、例年にない大雨に見舞われたことにも起因しますが、それよりも、多くの樹木を切り、出しながらそのつど植樹をしなかったことが主な原因です。山に木を多く植え、砂防渓流工事を着実におこなっていたならば、大雨が降ってもさほどの被害はなかったはずです。党は植樹を大衆運動として繰り広げるようたびたび強調しましたが、幹部は、党の方針を着実に実行せず、植えた木の管理もおろそかにしました。毎年、植樹をしているとはいうものの、山林は別段増えていません。

 河川や田畑の整備、道路の整備と管理の現状にしても同じです。将来と当面の計画を立てて、河床をしゅんせつしたり、堤防を築いたりするなど絶えず河川を整備すべきですが、党組織と行政・経済機関はおろそかにしています。そのため、大雨が降ると川の水があふれて道路や耕地を台無しにしています。先日、球場地区に行ってみたところ、河床がかなり浅くなっていました。地方へ行ってみると、道路管理や田畑の整備が不十分なところが少なくありません。

 最近、国土管理事業に重大な欠陥が見られたので、国土管理事業に関する記録映画やビデオを作製し、中央と地方の党および行政・経済部門の幹部に見させたところ、呵責の念に打たれたということです。幹部が国土管理事業に無関心なのは、見過ごすことのできない問題です。これは幹部に、人民に奉仕する精神、愛国主義思想が欠けているあらわれです。

 すべての幹部は、国土管理事業の重要性と、この事業にたいする無関心さがまねいた大きな弊害を明確に認識し、こぞって国土管理事業の改善に取り組まなければなりません。

 国土管理事業を改善するためには、すべての幹部と党員と勤労者に国土管理事業の改善を強調する党の意図をしっかりと認識させる必要があります。国土管理事業は、わが国、わが祖国の富強・発展と子孫万代の繁栄のための万年大計の事業であり、国土管理事業を立派におこなって三千里錦の江山をよりすばらしい人民の楽園に変えるというのが党の意図であり決心です。各党組織は、幹部と党員と勤労者に党の意図を正しく説明、宣伝して、彼らがみな国土管理事業に自発的かつ真剣な気持ちで参加し、金日成同志から引き継いだ祖国の大地をより立派に整備していかなければなりません。

 国土管理事業を改善するためには、この事業を全党的・全社会的事業として繰り広げる必要があります。

 国土管理事業は国の全領土を保護し管理する事業であるため、この部門の活動家だけに任せては順調に進めることができません。共和国領土内のすべての機関、企業、協同農場、そして、すべての幹部と党員と勤労者がこぞって立ち上がってこそ円滑に進めることができます。特に、すべての部門、すべての機関の責任幹部が、主人としての自覚と高い責任感をもって積極的に立ち上がってこそ、国土管理事業に画期的な転換をもたらすことができます。各道・市・郡党責任書記をはじめ、党の責任幹部は、植樹と河川整備、道路管理など全般的な国土管理事業を直接把握し、それを党あげての事業として強力に推し進めなければなりません。各市・郡党責任書記は、国土の200分の1を受け持っているのですから、それぞれの市、郡内の国土管理を円滑におこなえば、全国の国土管理事業は立派に進められるはずです。すべての市・郡党責任書記は気を奮い立たせて国土を立派に整備し、保護、管理するー大旋風を巻き起こして、国土管理事業に決定的転換がもたらされるようにすべきです。

 先日、環境整備や副業など部隊をきめ細かく管理している朝鮮人民軍第770軍部隊を模範として広めるための講習をおこなうよう指示しましたが、各軍団の司令官と道党責任書記はこの部隊を参観すべきです。国土管理事業で模範となる機関の経験をもって現地でモデル講習を催すのがよいでしょう。各道・市・郡党責任書記と行政・経済委員長を講習に参加させ、彼らに国土管理にたいする正しい思想的観点を確立させ、実質的な方法を教えるべきです。

 各機関、企業、協同農場が、自己に課された国土管理事業を着実におこなうように正しい方法を立て、強く推し進めていくべきです。各機関、企業、協同農場に毎年、植樹と河川整備、道路整備の課題を具体的に与え、その遂行状況を厳しく総括するなどして、課題が必ず遂行されるようにすべきです。特に、春と秋の植樹に適した時期を総動員期間として定め、その期間に植樹もし、道路整備や河川整備も義務的におこなわせることが必要です。毎年、農繁期に全国が総動員して農村を支援しているように、国土管理事業もそうしたやり方で進めるべきです。

 農閑期には、農民も動員して道路整備に参加させるべきだという金日成同志の教えもあります。国土管理総動員期間には、機関、企業ばかりでなく、協同農場も植樹や道路および河川の整備に参加させるべきです。

 国土管理事業では、人民軍隊も例外ではありません。国土管理総動員期間には、各人民軍部隊も駐屯地域の道路や河川を整備し、植樹もすべきです。

 植樹や河川整備、道路整備などの国土管理事業を日常的におこなう一方、毎年春と秋の植樹に適した時期を総動員期間として定め、全党、全人民、全軍を動員して国土管理事業を集中的におこなえば、多くの問題を解決することができます。すべての機関、企業、協同農場、人民軍部隊それぞれに明確に国土管理に関する任務を振り分け、それを無条件に遂行させるようにすることが必要です。

 植樹や河川整備、道路管理などの国土管理に責任を負わず被害が生じた場合は、該当する機関、企業、協同農場に復旧と損害賠償を求めるべきです。国土管理事業を度外視し、主人の立場に立って参加しない傾向にたいしては、愛国心のない思想的問題として問題視すべきです。

 今年の秋から、全党、全人民、全軍が、総動員して国土の姿を一新させる事業を強力に繰り広げることが必要です。

 国土管理事業を改善するためには、この部門の幹部陣容をしっかりとかためなければなりません。現在、国土管理部門では力が不足しているばかりか、幹部陣容もしっかりとかためられていません。社会安全部に所属していた国土管理総局を国土環境保護部に格上げして政務院に移管した際、能力のある人を一部安全機関に残して置いたため、国土管理部門では幹部陣容に欠員が多いとのことです。社会安全部は、国土管理部門に従事していた人たちを無条件に、国土環境保護部門に配置転換する措置を講ずるべきです。

 全国の道路建設とその管理を一本化できないものか、検討してみる必要があります。今度の豪雨でかなりの被害がありましたが、平壌──香山観光道路は無事でした。これは、その道路が堅固に建設されていたことを物語っています。道路建設にとどまらず、何をするにしても質を第一とすべきです。いま、国土管理部門は国土管理や監督業務も担当し、道路建設をはじめ、多くの仕事を受け持っています。道路建設総局は、国の主要道路の建設を主管し、国土環境保護部は地方の道路建設を主管していますが、今後は道路建設陣を一本化して利用できるかどうかを検討し、対策案を提出すべきです。

 今年の作柄は良好だったのですが、先日の豪雨で予想外の大被害を被りました。我々の先祖は、営農に関する暦をつくり、一番暑い時期を初伏、中伏、末伏と定め、それに合わせて農事を営んできました。末伏は猛暑が終わるという意味だけでなく、農事をきちんと締めくくらなければならないという意味も含まれています。いまは、雨期も過ぎ、末伏も終わったのですから、作物の肥培管理を正しくおこない、今年の農事を締めくくる準備をしっかりしなければなりません。

 農業部門では、自然・気候条件と地域の特性に合わせて作物を栽培し、農業を多角的に発展させるための研究に力を注ぐことが必要です。いまのように変わりやすい自然・気候条件と地域の特性を考慮せず、穀物の栽培面積だけを一律に増やそうとしてはいけません。穀物の収穫量が少ない地帯では、穀物よりも各種の工芸作物を栽培して軽工業を発展させ、外貨を多く獲得して穀物を輸入するほうが経済的です。

 出典:『金正日選集』14巻


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