金正日「建築芸術論」−2 建築と創作

1 チュチェ建築は、革命的領袖観で貫かれなければならない


 時代の要請と人民の志向をもりこんだ革命的な建築は、それにふさわしい革命的な創作原則を堅持してのみ創造される。革命的な創作原則は、建築創作を成功に導くカギであり保証である。

 建築を革命的領袖観で一貫させることは、チュチェ建築の創作において堅持すべき根本原則である。

 革命的領袖観は、チュチェ建築創作の大本である。チュチェ建築は、人民大衆に社会主義・共産主義社会の要求に即した生活条件を保障しようという領袖の構想と意図、領袖に忠義をつくそうとする人民大衆の念願を実現し、領袖の偉大さと功績を輝かすことに大いに寄与する。建築創作において領袖の構想と意図を実現することは、領袖の指導を実現することを意味し、それは領袖にたいする立場と姿勢にかかわる問題である。建築創作において領袖の構想と意図を実現する問題と、領袖に忠義をつくし、その偉大さを高くたたえる問題は、ともに領袖観にかかわる問題であり、領袖観で一貫させてこそ正しく解決される問題である。

 革命的領袖観で一貫させることは、社会主義的・共産主義的建築、チュチェ建築の生命線である。チュチェ建築は革命的領袖観で貫かれてこそ、時代の要請と人民の志向どおりに創造され、労働者階級の革命的な建築としての使命と役割を果たすことができる。我々の時代に領袖観で貫かれていない建築は人民大衆のための建築ではなく、時代の要請と人民の志向に背を向けた反動的なブルジョア的建築である。建築を革命的領袖観で一貫させるかどうかによって、それが労働者階級の建築なのか、搾取階級の建築なのかが決まる。労働者階級の建築創作においては、革命的領袖観で一貫させることを根本原則とし、それを堅持しなければならない。

 革命的領袖観で貫かれた建築は、領袖の構想と意図が立派に具現された建築、領袖を丁重に迎えられるように創造された建築、領袖の偉大さを高くたたえられるように創造された建築である。

 革命的領袖観で貫かれた建築の創造において重要なのは、建築に関する領袖の構想と意図を完璧に実現することである。

 建築に関する領袖の構想と意図は、国の富強発展と人民の幸せな生活をもたらすことに寄与する社会主義的・共産主義的建築を創造するための構想であり、意図である。建築に関する領袖の構想と意図には、時代の要請と人民大衆の志向が完璧に集約されている。領袖の構想と意図の実現は、人民大衆の志向と時代の要請の最も完璧な実現となる。領袖の構想と意図は、チュチェ建築創造の指針であり、創作実践の基準であるのみでなく、成果の保証でもある。したがって、チュチェ建築の創造においては、領袖の構想と意図を絶対化し、寸分の狂いもなく実現しなければならない。

 革命の首都、平壌市の中心部に位置している人民大学習堂は、民族的形式に社会主義的内容を立派にもりこんだ朝鮮人民の誇るべき記念碑的大作である。金日成同志は、人民大学習堂の建築設計がはじまった当初、建物の形式を朝鮮式にするよう教えた。そのとき、一部の幹部や建築家は、人民大学習堂は首都の中心部の中心に置かれる建物であるから、現代的に大きく建ててこそ中心部が生かされるとし、朝鮮式にではなく現代的に建設することを主張した。建築様式は多種多様であるが、我々はそれらを無視して金日成同志の教示どおり、人民大学習堂を朝鮮式の建築様式で建設した。金日成同志の意図どおり朝鮮式の建築様式で建設したため、人民大学習堂は世界的な大作となったのである。

 建築に関する領袖の構想と意図を絶対化し、無条件そのとおり実現することは、建築創造において領袖の唯一的指導を保障することであって、建築の高い実用性と思想性・芸術性を保障し、チュチェ建築を開花させる根本的保証であり、古く退廃的で反動的な建築思想と潮流を断固排撃し、チュチェ建築の純潔を保つ根本条件である。

 建築家は、領袖の構想と意図を創作実践に具現することを命令や義務としてではなく、かぎりない喜び、光栄として受け入れるべきである。それでこそ、建築家の胸が領袖へのあつい忠誠心と創作的情熱に燃え、領袖の構想と意図を立派に実現することができるのである。

 革命的領袖観で貫かれた建築の創造において重要なのは、忠誠をもって領袖を戴こうという人民大衆の念願を実現することである。

 領袖を丁重に迎えられる建築を創造するということは、領袖の安泰と万年長寿を保てるように建築空間を構成するということである。これは、建築の実用的機能と関連して提起される最も重要かつ第一義的な問題であり、認識的・教育的機能と関連して提起される根本問題である。建築は実用的機能を果たすため、人間は建築空間を生活と生産活動に便利に構成することを求めるのである。建築空間の合理的な解決は、健康と長寿の必須の要求であり前提である。

 建築は領袖の革命活動を補佐する物質的手段の一つであるため、建築空間を合理的に構成しなければ領袖を丁重に迎える環境をつくることはできない。そのため、領袖を丁重に迎えるために、建築の空間構成と構造空間の換気と暖房、照明と照度、音響など建築学的、建設工学的、物理学的、衛生学的な要求の完璧な解決に第一義的な関心を払い、これに建築上の要求をすべて服従させなければならない。これは、領袖を恒常的に迎える建物の空間構成においてだけでなく、暫時迎える建物の空間構成においてもひとしく守るべき最も重要な原則である。

 清津競技場は、金日成同志が訪れるかどうか判じがたい建築物である。しかし、そういう建築物の建築上の要求解決においても、この原則は厳守されなければならない。この競技場を設計するとき、スポーツ関係者は長径を国際競技規定どおり設定すべきだとし、建築家はそうすると幹部壇が位置する方に、既に体育館が設けられているから、そうはできないと主張した。それで、それが国際的に公認されないとしても、競技場の長径を金日成同志の安泰と万年長寿を基本にして設定するよう指示した。建築家は、いかにすれば金日成同志の安泰と万年長寿のためになるかという確固たる立場と観点に立ってすべてを考え、設計し、創作してこそ、建築創作において金日成同志を丁重に迎えるという根本問題を立派に解決することができる。

 革命的領袖観で貫かれた建築の創造において重要なのは、領袖の偉大さを高くたたえ、万代に輝かすことである。建築物は物質的材料によってつくられる創造物であり、材料の耐久性、構造の堅固性によって万年大計のものとなる。建築の芸術的形象は、領袖の偉大さを高くたたえるための思想的・精神的保証となり、材料の耐久性と構造の堅固性は領袖の偉大さを万代に輝かすための物質的保証となる。

 領袖の偉大さを高くたたえるうえで基本となるのは、領袖の影像を明るく丁重に建立することである。領袖の影像は、常に建築空間の中心におくべきである。

 建築空間の構成においては、領袖の影像が空間要素全般を支配すべきであり、すべての建築構成要素は領袖の影像を浮き彫りにするのに服従すべきである。そうしてこそ、人々に領袖の影像を常に仰ぎ見させ、領袖のふところで幸せを享受しているという強い誇りと自覚を与えることができる。

 領袖の影像を戴く建築空間は、できるだけ丁重かつ重みのあるものにすべきである。領袖の影像をすえる建築空間に壁灯などの装置をあちこちにあしらうと、空間が雑然とした感じで、人々の目が散って領袖の影像に視線が集中しなくなる。これは、建築空間の構成において中心を明確に生かすべき要求にも合わない。

 領袖の偉大さを高くたたえるうえで重要なのは、領袖の革命業績を万代に輝かす大記念碑を立派に形成することである。

 大記念碑は、労働者階級の領袖の革命事績に関する歴史文献の内容を基本テーマとする建築創造物である。

 大記念碑の使命は、革命の道を切り開き勝利に導いた労働者階級の領袖の革命偉業とその功績をたたえ、末永く伝えることにある。労働者階級の領袖の革命事績を哲学的に深く形象化することは、大記念碑の比べようもなく大きい思想的・精神的生命力の確固たる保証であり、ほかの記念碑と区別される深奥な思想的・美学的特徴である。

 建築物の性格と価値は、その内容にもりこまれている思想性によって決まる。

 不滅の革命的な大記念碑的建造物は、内容全般が領袖の偉大さで貫かれ、高度の思想性・芸術性によって裏打ちされなければならない。これは、革命的な大記念碑的建造物の創作における最も重要な思想的・美学的要求であり、まさにここに、ほかの建築物と区別される特性がある。

 大記念碑的建造物は、思想的内容が革命的で生き生きとし、リアルでなければならないだけでなく、建築様式も内容と合ったものでなければならない。不滅の革命的な大記念碑的建造物の創作においては、思想的内容の深さと幅、その価値に合う建築様式を探求し、立派に創造することが極めて重要な問題として提起される。

 記念碑が記念碑としての様相を立派にととのえるためには、固有な造形的および構造的属性であるモニュメント性、壮大さ、荘厳さを完全に具現しなければならない。この属性は、大記念碑の思想的・芸術的価値と品格を規定する基本的尺度であり、記念碑の高い思想的・芸術的形象を保障する基本的条件である。

 領袖の偉大さをたたえる大記念碑は、そこにもりこまれる思想的内容が豊かで深奥であるため、壮大に形成しなければならない。

 大記念碑の壮大さはなによりも、平凡なものを超越する絶対的大きさと膨大な数の量的規模によって表現される。壮大さは、記念碑の造形的属性のうちでも直観性が強く、心理的・情緒的感興を最も明確に、強く呼び起こす美的属性である。規模が膨大であってこそ、領袖の偉大さをたたえる記念碑としての品格をととのえ、その思想的内容を立派に反映することができ、人々に領袖の功績をさらに深く体得させることができる。

 壮大さは、膨大かつ壮大な建築空間で記念碑の建築造形的特徴を深く感じさせる美的属性である。そのため、大記念碑の規模を正確に設定することは、建築形成上の重要な要求として提起される。

 建築物の規模は、その様式創造において重要な意義をもつ。建築物の思想的内容がいかに深く価値あるものであるとしても、その思想的内容に適した規模をそなえなければ、その建築物はみすぼらしさをまぬがれない。いかなる建築物であれ、その思想的内容にふさわしい壮大さと荘厳さをあらわすには、規模がある程度、大きくなければならない。三池淵記念碑やチュチェ思想塔をはじめ、大記念碑的建造物は、その思想的内容にふさわしく大規模に、壮大に建立され、金日成同志への朝鮮人民の忠誠心と無限の力、自立的民族経済の威力と科学技術の発展レベルを示している。規模が壮大さをあらわすからといって、なんの根拠もなく建築物の内容とは不つりあいに規模を大きくすれば、かえってその質をそこねる結果をまねくことになる。不滅の革命的な大記念碑的建造物の創造においては、思想的内容に第一義的な注目を払い、それにふさわしい規模と形式を探求すべきである。

 大記念碑の規模は周辺の建築物より大きく定めるべきである。大記念碑は、その思想的内容が偉大かつ豊かであるため、規模をそれにふさわしく定めなければ、大記念碑としての品格をそなえることができない。

 大記念碑の規模は、その思想的内容にふさわしく、しかも周辺の空間とも調和しなければならない。規模は芸術的調和を前提とし、芸術的調和は規模設定の基準となる。領袖の偉大さをたたえる大記念碑は、その思想的内容からしても建築形成上からしても、まず規模が大作とならなければならない。

 大記念碑はその思想的内容の深奥さと豊かさからして、建築空間の形成上、常に中心に置かれる。それでこそ、記念碑としての容姿が周辺の建築物より目立ち、全般的な建築形成において主導的役割を果たすことができる。

 大記念碑の壮大さはまた、記念碑建築空間の立体的解決によって表現される。立体性は壮大さをあらわす基本的手段である。大記念碑の建築空間を立体的に構成すれば記念碑正面の奥行きを深く構成することができ、またそれでこそ、その壮大さをきわだたせることができる。大記念碑の奥行きの問題は、壮大さを表現する建築形成上の問題であるだけでなく、記念碑の思想・テーマの内容と形式をきわだたせることによって、領袖の偉大さをより掘り下げて表現できるようにする根本問題となる。領袖の偉大さをたたえる大記念碑は、幅が広く、正面奥行きの軸が深く形成されなければならない。

 真の立体性は、すべての対象を中心テーマをきわだたせることに服従、集中させ、バランスよく配置して、形成上の統一性を保障してこそつくりだされる。

 領袖の偉大さをたたえる大記念碑は、領袖の指導業績を基本テーマとするため、丁重かつ荘厳に形成されなければならない。丁重さと荘厳さは高尚、荘重にして偉大な感情を呼び起こす建築物の美的属性である。大記念碑を荘厳に形成すれば、人々に情緒的感興と深い思索、心理的余韻を与え、気高い思想・感情と尊厳を感じとらせる。

 大記念碑を丁重かつ荘厳に形成するには、周辺の空間に重みをもたせなければならない。そうすれば人々が大記念碑の前でおのずと姿勢を正すようになる。大記念碑の周辺空間に重みをもたせるうえで、特に重要なのはその均衡を保つことである。均衡性は建築の形成を整頓し、静的で静粛な感じを与える。均衡性はシンメトリックな構成手法によって保たれる。シンメトリーは形態と重さの均衡の外的表現の形式と手段であり、丁重さの前提である。

 大記念碑の周辺空間をシンメトリックに形成するのは、その空間を重みのあるものにし、大記念碑に丁重さと荘厳さをもたせる重要な条件となる。

 不滅のチュチェ思想をたたえて建立したチュチェ思想塔の周辺空間の形成においては、シンメトリーを鉄則とし、背景には塔状アパートを、両側の空間には亭を、前方空間の大同江のまんなかには噴水をそれぞれシンメトリックに配した。チュチェ思想塔の壮大さと荘重さは、その周辺空間のシンメトリックな処理によってさらに補充され、浮き彫りにされている。

 領袖の偉大さをたたえる大記念碑は、不滅の思想的内容をもりこんでいるだけに、永久性を保たなければならない。

 大記念碑は物質的材料によってつくられるので、物質的材料の耐久性と構造の堅固性は大記念碑の永久性の決定的保証となる。大記念碑の永久性を保障するという基本的要求に即して耐久材料や、さまざまな外気の影響にわざわいされない技術を取り入れ、その構造を堅固にすることによって、大記念碑を万年大計として創造すべきである。

 領袖の偉大さをたたえる大記念碑は概して、領袖の銅像、塔、彫刻群像によって形成される。大記念碑の建築形成においては、これらの相互関係を正しく解決することが大切である。大記念碑形成の中心テーマはあくまでも領袖の銅像であり、塔と彫刻群像は領袖の銅像を擁護し、その革命業績を幅広く、掘り下げて描きだす副テーマである。副テーマは、中心テーマをきわだたせバックアップする手段であり、大記念碑の必須の構成要素である。

 大記念碑では領袖の銅像が中心テーマとなるため、その形成においては銅像が浮き彫りになり、人々に壮大感を与えることが基本課題となる。銅像と塔の高さ、その位置が適確に設定されてこそ、この課題が立派に解決される。塔が銅像に比べて高すぎるとか、銅像と塔があまり近づきすぎると、銅像がきわだたず、人々に塔が高いという印象をさらに強く与える。そうなると、領袖の銅像が中心テーマになるのでなく、塔が中心テーマになってしまう。これは、大記念碑の形成における許しがたい過ちである。領袖の銅像と塔は一つの統一体をなすべきであるが、あくまでも銅像が中心テーマであるため、人々の関心を銅像に集めるようにしなければならない。これは、大記念碑の建築形成において守るべき最も重要な原則である。

 都市に領袖の銅像を立派に建立することは、都市形成において重要問題となる。都市に領袖の銅像を建立することは、都市そのものが領袖の構想と指導によって形成されたのであるから、領袖の不滅の功績を高くたたえるうえで重要な意義を有する。壮大かつ華麗な都市は、領袖の指導業績をたたえる大叙事詩的画幅であり、不滅の大記念碑である。都市に領袖の銅像を建立することは合法則的であり、必須の要求であると同時に、革命的領袖観で貫かれた都市づくりの原則的要求である。

 都市に領袖の銅像を建立するときは、人民がいかに領袖を欽慕し、領袖を中心にいかにかたく統一団結しているかを造形的に立派に解決することが重要である。領袖の銅像を都市に建立するときは、なによりもその位置を正しく定め、その地帯を立派に形成すべきである。銅像の位置と周辺の空間は、その壮大さを拡大し統一させる重要な要因であり、銅像形成の必須の構成部分となる。そのため、概して建築では位置の選定を芸術ともいう。

 領袖の銅像は人民が常に仰ぎ見られ、多く集まる都市中心部の最もすばらしい場所に建立し、銅像を都市建築空間の構成中心とする構造構成体系を確立すべきである。これは、領袖の銅像に都市の建築空間全般を調和させ、都市建築形成において領袖の銅像が主導的役割を果たせるようにする根本条件となる。

 領袖の銅像を人の多く集まる場所に建立するのがよいからといって、大通りのそばに建立してはならない。街路はあくまでも人の通行を保障する手段であるだけに、大勢の人が一定の時間とどまるように空間をつくったり、静かで荘厳な雰囲気をつくるのは、街路の使命や建築形成の原則にも合わない。領袖の銅像を大通りのそばに配置すると、街路の形成では重要な役割を果たせるが、都市の全般的建築形成では二次的で補助的な役割しか果たせない。これは、都市に領袖の銅像を建立する目的に合わないばかりか、領袖の偉大さを矮小化することになる。領袖の銅像を建立する位置は、都市形成上の中心部でなければならず、静かで荘厳な雰囲気をかもす広い空間がつくれる場所、地形上でも中心でありながら、最も高いところでなければならない。

 領袖の銅像周辺の空間を立派に形成することは、銅像の建立において特に重要な意義を有する。周辺の空間をぬきにしてはいかなる記念碑の存在も考えられない。周辺空間は銅像の造形的構図を構成する基礎、銅像の性格を表現する手段となり、銅像の造形的形象を完成する裏付けとなる。したがって、銅像周辺空間の形成においては、領袖の指導的風格の本質的特徴を表現することに基本をおくべきである。これは、銅像周辺空間の構成において守るべき重要な原則である。

 銅像周辺の空間には、労働者階級の領袖の不滅の革命業績を集大成した革命博物館、革命事績館や劇場、映画館、文化会館、住宅などを配置し、公園を設けて、それが思想教育と文化・情操教育の中心となるように形成すべきである。それでこそ、人々に領袖の偉大さと指導業績を深く体得させ、常に領袖のふところで誇らしい生を営んでいるということを切実に感じさせることができる。銅像周辺の空間をにぎわうように形成するからといって、そこに商店や食堂などのサービス施設を配置してはならない。遊園地も銅像の間近に設けてはならない。これは、銅像の丁重さと荘厳さをそこねる要因となる。遊園地は銅像から一定の距離をおいた場所に設けられてこそ、銅像周辺の空間の丁重さを保ち、人々が高ぶった感情を静める時空的余裕をつくることができる。

 革命の首都平壌市の中心部形成は、領袖の銅像をすばらしい場所に気品をもたせて建立するうえで模範となる。平壌を革命的領袖観で貫かれた人民の都市に整備するため、都心部のいちばん高い万寿台(マンスデ)に金日成同志の銅像を建立し、その周辺に金日成同志が切り開き導いた朝鮮革命の栄光に輝く道程を示す大記念碑と朝鮮革命博物館を建てた。銅像周辺の大記念碑は、造形的には金日成同志の銅像を擁護し、思想的・芸術的には銅像と密接な統一をなし、金日成同志の不滅の革命業績を大叙事詩的画幅で現出している。

 万寿台に建立された金日成同志の銅像にさらに尊厳をそえ、銅像が都心部のどこからも望めるように、万寿台と南山丘の間に残っていた西門通りを取り払って大噴水公園と緑地に変え、銅像周辺の空間を開放し、周囲環境にふさわしく近代的な万寿台芸術劇場を建てた。万寿台正面の大同江の対岸、紋繍(ムンス)地区には、万寿台記念碑の中心軸と一致させて大通りをつくり、その両側に東平壌大劇場と青年中央会館、高層住宅を建設させた。その結果、万寿台周辺の空間はいつも大勢の人でにぎわうようになり、常に人民とともにあって国事を語り合う金日成同志の偉大な指導風格にふさわしく中心部を整備することができた。

 平壌市が一望のもとにおさまる万寿台に建立された金日成同志の銅像と、その銅像を仰いで歓呼するように豪壮に立ち並ぶ首都の街並みや大記念碑的建造物は、金日成同志を戴いた人民の首都としての平壌の姿そのものを示しており、金日成同志のまわりに一致団結した朝鮮人民の不敗の統一団結と、金日成同志に永遠に従うという人民の一致した願いを立派に形象化している。平壌のように立派に整備された都市はまたとないであろう。

 革命的領袖観で貫かれた都市モデルの創造は、労働者階級の建築発展において輝かしい里程標をうち立てた新たな転機となり、人類建築の新時代を開いた歴史的出来事となる。

 革命戦跡地と革命史跡地を立派に整備することは、労働者階級の領袖の不滅の功績をたたえ、万代に輝かす誇らしくはりあいのある事業である。

 革命戦跡地と革命史跡地は、領袖の革命思想と革命業績がこもっているゆかりの地である。人類解放闘争史に記された領袖の功績を高くたたえ、万代に伝えることは、領袖への労働者階級の革命的信義にもとづく崇高な使命であり、自己の領袖へのあつい忠誠心のあらわれである。

 革命戦跡地と革命史跡地は、国と民族の万年の財宝であり、人民大衆を領袖によって築かれた栄えある革命伝統で武装させ、領袖が切り開いた労働者階級の革命偉業をあくまで完成するよう教育するうえで絶大な感化力をもつ。

 こんにち帝国主義者と反動勢力の反社会主義策動がかつてなく悪辣になっている複雑な情勢下においても、朝鮮人民がいささかも動揺することなくチュチェの革命の旗、社会主義の旗を高くかかげて社会主義建設を力強く進めているのは、これまで我々が、金日成同志の不滅の革命業績がこもっている革命戦跡地と革命史跡地を革命伝統教育の拠点として立派に整備し、それを通じての思想教育を地道におこない、人民を政治的、思想的に武装させた結果であるといえる。革命はつづき、世代はたえずかわる。それゆえ、革命戦跡地と革命史跡地を立派に整備することは、労働者階級の党の最も重要な活動の一つとなる。

 革命戦跡地と革命史跡地の整備において基本原則となるのは、領袖の銅像を立派に建立することである。領袖の銅像は革命戦跡地と革命史跡地の中心テーマであり、性格表現の基本手段である。領袖の銅像は、領袖の不滅の軌跡をとどめている革命戦跡地と革命史跡地の最上の位置に建立すべきである。

 領袖の銅像の位置選定においては、壮大さと芸術的調和を基本としてはならない。芸術的側面を基本にすれば、史跡地や戦跡地でない場所に位置を定めるようなことになりかねない。そうなれば、人々に革命史跡地にたいするゆがめられた認識を与えることになり、思想教育の使命をも正しく果たすことができなくなる。これは、革命戦跡地と革命史跡地の整備にあたって厳に警戒すべき原則的問題である。王在山革命史跡地を整備するとき、一部の建築家は、王在山の頂きは狭くて、記念碑を幅広く展開できず、教育の場も満足につくれないとし、隣の峰に建てようと提起した。隣の峰に金日成同志の銅像を建立するなら、参観者はその峰を王在山と勘違いし、解説員が説明するのもむずかしくなり、大記念碑が史跡地の最後の参観コースとなるので、金日成同志の銅像を王在山の中腹に建立することにした。

 記念碑を史跡地に接近させるのは、記念碑建設で守るべき基本原則である。

 大記念碑の前には、革命事績碑を建てなければならない。革命事績碑は、革命戦跡地と革命史跡地にこもっている領袖の不滅の革命事績を文字で刻みこむ万年大計の歴史的記念碑である。革命事績碑は、解説員の説明がなくても、人々に革命史跡地にこもっている領袖の指導業績を深く認識させ、大記念碑建設の目的を明確に示す。革命事績碑は革命戦跡地と革命史跡地の案内役、解説役となるだけでなく、教育者的役割も果たす。

 革命戦跡地と革命史跡地の整備においては、元来の位置に原状保存する原則を守るべきである。

 革命戦跡地と革命史跡地を原状どおり保存できるように整備することは、領袖の偉大な指導風格を実感的に示すことであり、整備の根本目的にも、歴史主義の原則にも合致する。革命戦跡地と革命史跡地は、偉大な歴史的出来事が起こった当時の環境どおり素朴に、こぎれいに整備しなければならない。

 革命戦跡地と革命史跡地の整備においては、都市化、公園化を厳に警戒すべきである。これは、原状保存の原則に反し、戦跡地と史跡地を原状どおり示すことができなくなるだけでなく、領袖の指導の賢明さ、高邁な徳性を全面的に体得できなくする。

 原状保存の原則は、革命戦跡地と革命史跡地を革命伝統教育の学びの場にし、領袖の偉大さと不滅の功績を末永く輝かす重要な保証である。

 建築創造において領袖の後継者の構想を立派に実現することは、建築を革命的領袖観で一貫させるうえで特に重要な意義を有する。

 建築創造は自然を改造し変革する壮大な事業であって、1、2年で終わるものではなく、共産主義社会になってもつづけられる長期的な事業である。建築創造に関する労働者階級の領袖の指導と構想は、領袖に忠実な後継者によって継承され、全面的に実現される。

 領袖の後継者は、共産主義楽園の建設に関する労働者階級の領袖の遠大な構想と領袖の不滅の功績を擁護し、万代に輝かすことを畢生の課題とする。領袖の後継者のこの崇高な課題を遂行するうえで建築創造の果たす役割は極めて大きい。そのため、領袖の後継者は建築創造に深い関心を向け、これを直接掌握し指導することになる。

 建築創造分野において、領袖の後継者の指導と構想を実現することは、領袖の構想を擁護して実現し、労働者階級の建築を領袖の意図どおりたえず開花、発展させる根本的保証となる。

 建築家は、建築創造での領袖の後継者の役割にたいする正しい見解と観点をもち、その構想を立派に実現するため鋭意努力すべきである。

 建築家が革命的領袖観で武装することは、革命的領袖観で貫かれた建築を創造するための重要な保証である。

 建築家は建築創造の直接の担当者である。

 建築創造の成果は、建築家の技術・実務水準と創作技量にも関係するが、それを左右する基本要因は世界観である。いかに技術・実務水準と創作技量の高い建築家であっても、革命的世界観が確立していなければ、人民の志向と要求にかなった建築を創造することはできない。党的で労働者階級的で人民的な建築物は、ただ革命的世界観の確立した建築家だけが創造できるのである。

 建築には建築家の世界観がそのまま反映される。建築家の世界観は、現実の認識から設計の作成とその実現にいたるまで、創作の全過程で能動的に作用する。建築家が革命的世界観で武装することは、建築発展の決定的保証である。建築家は革命的領袖観を確立し、領袖の構想を寸分の狂いもなく実現し、建築の発展に大いに寄与すべきである。

金正日選集 11巻

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