金正日「建築芸術論」−1 建築と社会 

2 社会主義的・共産主義的建築は、領袖の革命偉業に寄与する


 社会主義的・共産主義的建築は、自然と社会の主人である人民大衆の志向と要求の徹底した実現を重要な使命とする労働者階級の革命的な建築である。

 社会主義・共産主義社会において建築にたいする人民大衆の志向と要求は、かれらの自主的で創造的な活動を物質的に完璧に保障できるように創造することにある。

 社会主義社会における建築創造は、自然を改造し変革する偉大な事業であり、国の富強発展と、人民の物質・文化生活を保障する万年大計の誇らしい事業である。

 建築創造によって橋梁、港湾、発電所、閘門、干拓地、工場が建設され、都市と村落に近代的な公共建築や住宅が建てられる。建築創造によって国土の面貌は一新され、社会主義の自立的民族経済の土台がより強固に築かれ、人民の物質・文化生活がさらに向上し、都市と農村が共産主義的面貌をととのえるようになる。

 労働者階級の党は、革命の勝利をかちとり新社会の建設をはじめる当初から、建築創造に重要な意義を付与し、大きな力を注ぐ。

 政権を掌握した労働者階級が新社会建設の壮大な建築創造を成功裏に推進するためには、必ず人民大衆の利益を擁護し代表する労働者階級の党の指導を受けなければならない。労働者階級の党の指導は、本質上、領袖の指導である。

 労働者階級の領袖は党と革命、労働者階級と人民の利益を代表し、その実現をめざすたたかいを勝利に導く革命の指導者である。

 労働者階級の革命偉業が卓越した領袖の指導を得て成功裏に遂行されるように、国の万年大計の事業である建築創造も労働者階級の領袖の指導によってのみ紆余曲折をへず正しく進められ、立派な成果を達成することができる。

 労働者階級の領袖は、建築にたいする人民大衆の志向と要求を全面的に反映し、総合、体系化して、革命的な建築思想を創始する。

 労働者階級の領袖によって創始された建築思想は、人民大衆にたいする最も正しい見解と観念にもとづく建築思想であり、社会主義・共産主義建設の全期間にわたって建築家が堅持すべき指導指針であり、建築創造を成功へと導く強力な理論的・実践的武器である。

 労働者階級の建築思想は、革命と建設の指導思想にもとづき、それを立派に具現してのみ、社会主義・共産主義偉業に積極的に寄与する革命的な建築思想となる。したがって、労働者階級の革命的な建築思想は、ただ革命と建設の指導思想を創始した領袖によってのみ提示される。

 領袖は、建築創造の指導指針である革命的な建築思想にもとづき、その実現において堅持すべき根本原則と要求、総体的方向と方途を提示する。労働者階級の領袖が示す壮大な建築構想は、建築にたいする人民大衆の志向と要求を反映し、共産主義の物質的基礎をきずき、社会主義・共産主義社会の要求に即して人民の物質・文化生活を保障し、都市と農村を共産主義の理想郷にする壮大な設計図であり、作戦図である。

 領袖は非凡な組織的手腕をもって人民大衆を万年大計の壮大な建築創造へと奮い立たせ、巧みな作戦と指揮によって国の様相を変革する困難かつ複雑な闘争を勝利に導く。

 もちろん、建築創造の直接の担当者は建築家、建設者であり、人民大衆である。しかし、個々の建築家は、いかにひいでた知恵と才能、深い科学知識を身につけているとしても、人民大衆の志向と要求に即して国土の様相を改造、変革し、国の富強、発展をはかり、人民の物質・文化生活を向上させる建築創造のような万年大計の事業を全般的、総合的に構想し、設計することができないことはもちろん、人民大衆をその実現へと奮い立たせることもできない。個々の建築家は、領袖の示した建築創造の総体的方向に従って、領袖の構想を実現する技術者であり、創作家である。

 建築創造において領袖の構想と意図を絶対化するのは、創作の基本原則であり、成功の秘訣である。

 領袖の意図と構想どおり創造された建築物は、人民大衆の志向と要求に合うだけでなく、創造物としての価値が高い。

 我々が分派分子の残滓をとどめていた平壌市の環状線通りをすっかりとりこわし、そこに近代的な共産主義的理想街の蒼光(チャングァン)通りを建設したのはその好例の一つである。

 歴史的経験が示しているように、建築家は領袖の構想と思想を創作の指針としてこそ、立派な建築物を創造することができる。建築家は鉛筆を手にする前に、領袖の構想と意図を深く研究し把握しなければならない。

 建築家、建設者が領袖の指導に忠実に従い、領袖の構想と意図を立派に貫けば、建築創造において事大主義、教条主義をはじめ、あらゆるブルジョア形式主義を克服し、人民大衆の志向と要求を建築に立派に具現することができる。これは、我々がこれまでの建築創造過程でえた貴重な経験であり、歴史的教訓である。

 金日成同志は、既に抗日革命闘争の時期に、解放された祖国に楽園を築く構想を練り、主体的な建築思想を創始し、解放後、各段階の革命闘争と建設事業を指導する過程でそれを深化、発展させた。

 主体的な建築思想と理論は、チュチェの哲学的世界観を大本としている人間中心の建築思想であり、建築にたいする人民大衆の自主的で創造的な生活上の要求を全面的に実現させる建築学説である。

 主体的な建築思想の創始によって、史上はじめて社会主義的・共産主義的建築創造の理論的・実践的武器がもたらされ、人類建築史において人民大衆中心のチュチェの建築創造への転換がもたらされた。

 戦後、ゼロからはじめなければならなかった困難な時期、基本建設部門に潜入した事大主義者、教条主義者、反党・反革命分派分子らは、国の経済状態と、人民の志向と要求は一顧だにせず、自分たちの誤った主張に固執して外国の設計をそのまま取り入れさせた。その結果、一時我が国では朝鮮人民固有の民族的な生活習慣と生活感情に合わないぺチカをつけた住宅が建設され、ヨーロッパの建築様式を模倣した建築物があらわれるようになった。

 金日成同志は党中央委員会1957年10月総会で、反党・反革命分派分子の策動を暴露、粉砕し、建設部門で主体性を確立することを強調した。

 金日成同志は、建築分野で主体性を確立し、すべての建築物を朝鮮の実情と人民の生活習慣、生活感情に合い、便利でこざっぱりとし、美しく堅固に設計し建築するよう建築家を賢明に導いた。また、大工場建物の生産空間の構成から生活空間の構成にいたるまで、建物の柱、欄干、壁、そして色素をはじめ、すべての構造構成要素と細部要素にいたるまで、こまごまと関心を払い、それを人民の生活習慣と生活感情、現代的美感に合わせて解決するよう具体的に指導した。

 我々は、建築創造にたいする金日成同志の賢明な指導によって、戦後、帝国主義者が百年かかっても立ち直れないだろうといった都市と村落を十年足らずの短期間に以前よりはるかに立派に建設して朝鮮人の気概を示し、いまは数百年の建設史を誇る国ですらうらやむほどの人民の楽園を築きあげた。そして、先進工業国でも建設には半世紀、または数世紀もかかるという世界屈指の西海(ソヘ)閘門をわずか5年のあいだに完工して、歴史に類例のない奇跡を生んだ。

 金日成同志の賢明な指導によって、史上はじめての真の新しい人民的建築史が創造され、共産主義的理想街、共産主義的理想郷、共産主義的住宅が誕生するようになった。今後、我が国のすべての村落と都市は、この共産主義的理想街、理想郷をモデルにしてさらに立派に、近代的に建設されるであろう。そのときになれば、建築にたいする人民の志向と要求は完全に実現されることになる。

 我が国の建築史は、労働者階級の領袖によってのみ社会主義的・共産主義的建築の全容が明らかにされ、建築への人民の志向と要求を完全無欠に実現できる基本方途が示され、領袖の指導によってのみ、それが立派に実現されることを示している。このように、社会主義的・共産主義的建築は、領袖の構想とその指導によって創造されるのである。

 社会主義的・共産主義的建築は、労働者階級の領袖の偉業を擁護し、その偉業の遂行において領袖の功績を末永く伝えることを崇高な使命とする、最も革命的な建築である。社会主義的・共産主義的建築の崇高な使命には、労働者階級の領袖を高く戴こうとする人民大衆の切々たる願いが反映される。

 労働者階級の卓越した領袖は、人民に真の生と幸せを与え、幸福な現在と希望にみちた未来をもたらす。

 人民大衆は生活を通じてこれを真理として体得し、したがって領袖への人民大衆の信頼と尊敬、欽慕は最も熱烈かつ絶対的なものとして、かれらの心に深く植えつけられるのである。

 労働者階級の領袖を高く戴こうとするのは、人民大衆の気高い思想・感情であり、切々たる願いである。

 領袖のふところで真の生と幸せを享受している人民にとつて、これにまさる思想・感情、これにまさる念願はない。そのため、人民大衆は領袖とその偉業を立派に擁護し、領袖の功績を代を継いで輝かすことを革命と建設の死活の要求とし、すべてをつくしてたたかうのである。

 労働者階級の建築は、領袖への人民大衆の気高い思想・感情と絶対的な念願を十分反映してこそ、自己の使命を円滑に遂行することができる。

 労働者階級の建築では、領袖の偉大さをたたえる記念碑的建造物を最も重要な構成部分とし、領袖を高く戴こうとする人民大衆の気高い思想・感情と絶対的な念願の実現を建築創作の出発点とし、根本的要求とする。

 人民大衆のこのような思想・感情と念願を建築に正しく反映してこそ、領袖の安泰と万年長寿のための生活空間を創造することができ、領袖の功績をたたえる対象を立派にととのえ、高いレベルで創造することができる。

 領袖の功績をたたえる記念碑的建造物を高いレベルで創造するのは、領袖の偉大さを世に輝かし、後世に永く伝える物質的条件をととのえることになる。

 領袖の功績とその偉大さを後世に伝えるための最も直観的で恒久的な手段は、記念碑的建造物である。記念碑的建造物は人間とともに永遠に存在し、社会の発展と世代の交代にかかわりなく人々の思想・意識に能動的な作用を及ぼす。記念碑的建造物は、人民大衆に労働者階級の領袖の偉大さを深く体得させ、領袖の偉業を代を継いで擁護し、あくまで完成するよう教育する。

 我々はこれまで、チュチェ思想塔、凱旋門、普天堡(ポチョンボ)戦闘勝利記念塔、王在(ワンジェ)山記念碑、三池淵(サムジョン)記念碑をはじめ、金日成同志の不滅の革命業績をたたえる建造物と大記念碑を数多く建立した。これらの大記念碑は、金日成同志が歩んできた栄えあるたたかいの道のりと、朝鮮革命を指導する過程で築きあげた不滅の闘争業績を大叙事詩的画幅で示して、人々をチュチェ型の共産主義的革命家に育てるのに大いに寄与している。

 社会主義的・共産主義的建築は、個々の英雄、豪傑ではなく、労働者階級の領袖を戴き、その功績と偉大さを後世に永遠に輝かすことに積極的に奉仕する。

 労働者階級の建築を領袖の革命偉業に奉仕する建築とみなさないのは、建築にたいする修正主義的な見解と観点である。建築を領袖の革命偉業に奉仕する建築とみなさなければ、建築創作において領袖の構想を実現させるために努力しなくなり、領袖の指導を否定して個々の建築家の主張と定見を絶対化するようになる。こうなれば、人民大衆の志向と要求、念願を建築に正しく反映できなくなり、建築が奇形化し、反動的で反人民的なものになる。最近、資本主義が復活し、革命が試練をへている一部の国の建築実態がこれを雄弁に物語っている。それらの国では、かつての労働者階級の領袖の功績をたたえて建立した記念碑をうちこわす事態まで生じており、資本主義諸国ではやっているブルジョア形式主義的建築物が各地に姿をあらわしている。

 我々は、我が国の建築創造経験と外国の建築史が示している教訓をふまえて、金日成同志の構想と指導を立派に実現し、金日成同志をさらに高く戴き、その偉大さと不滅の功績をたたえる建造物と大記念碑をより立派に建てるため、鋭意努力すべきである。

出典:金正日選集 11巻

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