「舞踊芸術論」−4 舞踊表記
 
3 新しくつくられた舞踊表記法は、
舞踊を正確かつ簡便に表記する


 わが国では1970年代にいたって、芸術の創造で一大革命が起こった。わが党は、映画と歌劇、演劇芸術をはじめ、すべての芸術部門で新たな創作的高揚を起こすとともに、舞踊芸術の発展にも大きな力を注ぐようにした。党は、舞踊芸術部門が、固有な朝鮮舞踊のリズムに、我々の時代の人民の自主的な志向と要求を反映した革命的な作品を創作するように導いた。舞踊芸術部門では、『雪が降る』『祖国のツツジ』『箕の踊り』『リンゴの豊作』の4大名作をはじめ、朝鮮人民の思想・感情と生活を反映したすぐれた舞踊作品を多数創作した。

 わが党は、時代の要請と人民の思想・感情と生活を反映した舞踊作品を多く創作させる一方、舞踊表記法の作成にも力を入れるようにした。党は、新しい舞踊表記法の作成のために、振り付け師をはじめ、舞踊専門家と当該部門の活動家で研究チームを組み、それに必要な一切の条件を保障した。

 舞踊表記法研究チームは、党の意図に従い、舞踊芸術の発展に寄与する科学的で大衆的な舞踊表記法をつくるために奮闘した。

 研究チームは、多年にわたって緊張した探究活動を展開し、朝鮮式の舞踊表記法をつくることに成功した。

 わが国で新たにつくられた舞踊表記法は、従来の舞踊表記法の制約性が克服され、科学性と大衆性が保障されている。新しい舞踊表記法は、踊りの動作の構成要素を科学的に明かし、それを基本表記符号として定めている。すなわち、踊りの動作をなすもっとも基本的な要素を符号化し、その符号を基本表記符号としている。

 舞踊表記法は、踊りの動作の構成要素を基本表記符号としてこそ、少ない符号で多様かつ複雑な踊りの動作をすべて表記することができる。踊りの動作の構成要素を基本表記符号としたのは、踊りの動作が成り立つ原理を科学的に解明したことにもとづいている。

 踊りの動作は、具体的に見ると動きとポーズからなっている。動きとポーズは、構成要素の見地からすると、形態と位置などの要素の結合と言える。動きとポーズは、静止と運動の過程における形態と位置の結合によって成り立つ。形態と位置は、踊りの動作の要素のうちでもっとも基礎的で基本的な要素である。

 新しい舞踊表記法では、踊りの動作をなす構成要素を科学的に解明し、形態と位置をあらわす符号を基本とする30余の表記符号が定められており、それを結合して、さまざまな動きとポーズを表記し、動きとポーズからなる踊りの動作を表記することになっている。

 新しい舞踊表記法では、踊りの動作をなす要素の結合方式が、朝鮮文字で単語をなす要素の結合方式と同じであることを明らかにし、踊りの動作をなす要素の結合方式を朝鮮文字の結合方式と同じ方法にしている。

 朝鮮文字は、子音と母音が結合して文字をなし、文字が結合して一つの単語をなす。朝鮮文字は、結合方式が科学的なので、いかに多様で複雑な発音でもすべて表記することができる。

 新しい舞踊表記法は、朝鮮文字で子音と母音が結合して文字をなし、文字が結合して単語をなす原理を応用して、動きとポーズをあらわす基本的な要素である形態と位置のうち、形態符号を母音、位置符号を子音とし、それを結合して動きとポーズをあらわし、動きとポーズを結合して踊りの動作をあらわすようになっている。この表記法は、踊りの動作を構成要素の結合原理に従って科学的に表記することにより、朝鮮文字の結合方式で人間生活のさまざまな現象を表現するように、多様で複雑な踊りの動作を表記することができる。

 新しい舞踊表記法では、踊りの構図も踊りの動作と同じ原理にもとづいて科学的に、わかりやすく表記される。そして、踊りの構図まで科学的に、わかりやすく表記することによって、舞踊を科学的に、わかりやすく正確に表記することができる。

 新しい舞踊表記法で表記符号の結合方式を朝鮮文字の結合方式と同じにしたのは、まったく独創的なものである。

 新しい舞踊表記法では、表記符号を記録する譜表も合理的につくられている。

 新しい舞踊表記法には、踊りの動作譜表と踊りの構図譜表がある。

 踊りの動作譜表は、3本の線からなっている。この譜表では、3本の線と線間に多様な踊りの動作が簡便かつ合理的に表記される。3本の線のうち一番目の線には線上に肩の動き、線の上の部分に頭の動き、線の下の部分に腕の動きを表記し、中央線には線上に腰の部位の動き、線の下の部分に下半身の動きがそれぞれ表記される。

 踊りの構図譜表は、1本の線からなっている。この譜表では、線の上の部分に構図の形態と位置、線の下の部分に舞踊手の人数と相互関係が表記される。踊りの構図を譜表で簡便に表記することにしたのは、新しい舞踊表記法における一つの革新である。舞踊譜で踊りの構図譜表は、踊りの動作譜表の上部に位置する。舞踊譜には、踊りの動作と構図、舞踊音楽が形象上の統一をなすように、動作譜表と構図譜表、楽譜を統一させて表記するようになっている。

 この舞踊表記法では、小道具は踊りの動作譜表に踊りの動作とともに表記される。

 新しい舞踊表記法では、舞踊表記符号とともに朝鮮の文字も使われる。この舞踊表記法では、楽譜のように叙情的に、迫力をこめて、緩く、速くといった表現を符号化して表記せず、朝鮮文字をそのまま使う。朝鮮文字をそのまま使うことは、舞踊表記法の大衆性を保障するうえで大きな前進となる。

 新しい舞踊表記法をもってすれば、朝鮮の舞踊をすべて表記することができる。朝鮮舞踊は、腕や肩など上半身の動きを基本としながら、それに下半身の動きを合理的に組み合わせ、動作がしなやかでありながらも迫力がある。特に、朝鮮舞踊は、音楽の拍子とリズムに合わせてくりひろげられるのが特徴である。この表記法では、リズムに合わせてくりひろげられる朝鮮の民族舞踊を立派に表記することができる。

 新しい舞踊表記法をもってすれば、外国の舞踊も表記することができる。限られた国の民族舞踊しか表記できない舞踊表記法は広く一般化されない。舞踊表記法が広く一般化されるには、世界各国の舞踊がすべて表記できなければならない。新しい舞踊表記法では、世界各国の民族舞踊をはじめ、さまざまな形式の舞踊を表記することができる。

 新しい舞踊表記法は、誰が見ても容易に理解できる。舞踊表記法は、すべての舞踊が表記できるとともに、誰が見ても容易に理解できるものでなければならない。それでこそ、作品の創作や形象化など舞踊芸術の発展に広く利用される。新しい舞踊表記法は、基本表記符号が30余しかないので、誰でもすぐ覚えられる。また、表記符号の結合原理が、単語を形成する文字の結合原理と同様にできているので、字の読める人なら誰でも容易に読解することができる。





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