金正日「軽工業革命を立派に遂行するために」

2 軽工業革命遂行のための基本的課題


 人民により豊かで文化的な生活を保障するには、軽工業革命の課題を立派に遂行しなければなりません。

 軽工業革命の中心的課題は、既存の軽工業の土台を効果的に利用してそれを拡大、強化し、軽工業部門の工場の現代化をおし進めて国の軽工業を新たな高い段階へと発展させ、一般消費物資にたいする人民の需要をみたすことです。

 我々は、軽工業革命の中心的課題をしっかりとらえ、一般消費物資の生産に新たな転換をもたらさなければなりません。


 1 一般消費物資を量産するために

 一般消費物資を量産することは、現時点において軽工業革命を立派に遂行するために提起される基本的課題の一つです。軽工業部門ではまず、一般消費物資の生産量をすみやかにふやすことに主力をそそがなければなりません。

 織物の生産を早急にふやすべきです。我々は織物の生産をふやし、ここ数年のあいだに15億メートルの織物生産目標を達成しなければなりません。国産の化学繊維で人民の好みに合う、丈夫で色合いと柄のきれいな各種織物をより多く生産すべきです。良質の織物を量産するために織物組織を改善し、捺染・先染織物の比重を高め、樹脂加工、防水加工をはじめ、先進的な織物加工方法を広く取り入れなければなりません。

 人民経済の各部門で要求される綿製品と平織織物、装飾用や芯地用、製靴用の織物も量産すべきです。

 織物の生産でニットの比重をさらに高め、服装をニット化すべきです。ニットは糸が少なくてすみ、それで服をつくれば着るのに便利であり、見栄えがします。現在、ニットの生産をふやすのは世界的な趨勢となっています。ニット工場では、国産の繊維で各種のニットウェアを量産すべきです。ニット生産でレーヨン織物の比重を高め、季節に適し、バランスのとれるように衣服の問題を解決すべきです。

 織物生産の増大にともなって、衣服の生産をすみやかにふやさなければなりません。被服工場をより立派にととのえて、朝鮮人民の好みに合う各種の既製服をたくさん生産すべきです。洋裁店を多く設け、服を仕立てる家内作業班と公共サービス部門の人員をふやして、人民が季節に応じて自分の好みの服をあつらえられるようにしなければなりません。

 履物は、人民の生活に不可欠の重要な消費物資です。人民の生活水準が向上するにともなって、履物の需要はひきつづき増大しています。履物の生産能力を高めその質的構成を改善して、性別、年齢、季節、職業の特性に適した各種の履物を量産しなければなりません。革靴と防寒靴の比重をさらに高め、ブーツとハイヒール、ビニールサンダルを大量に生産し、勤労者の作業靴の需要をみたすべきです。製靴工業部門では今後、年に1億2千万足以上の履物を生産しなければなりません。

 食品工業の発展に力を入れて、美味で栄養価の高い各種食品をより多く生産すべきです。しょう油とみそ、食用油の生産を大幅にふやして人民の需要をみたすべきです。変性加工法によってトウモロコシを良質の粉末とひき割りにし、乾麺、パンをはじめ、各種の主食加工品も多く生産すべきです。副食物加工品の生産を増大させ、人民の食生活を多様なものにしなければなりません。幼児用食品の生産基地も充実させ、栄養価の高いいろいろな幼児用食品を量産すべきです。

 ビールとサイダー、果汁シロップ、タバコなど各種の清涼飲料と嗜好品も量産すべきです。

 日用品の生産をすみやかにふやして、人民の生活をより豊かなものにすべきです。日用品工業部門では、人民の需要が高いミシン、自転車、冷蔵庫、洗濯機、テレビ、テープレコーダー、電子時計など鉄製日用品と家庭電化製品、電子日用品の生産を大幅にふやすべきです。家具と台所用品、学用品と玩具の生産もふやし、化粧品と日用雑貨の生産にも深い関心を払い、人民がいささかの不便も感じることのないようにしなければなりません。

 一般消費物資の生産を画期的にふやすためには、既設の軽工業部門工場の生産を高い水準で正常化しなければなりません。

 現在、我が国には、人民に各種の一般消費物資を十分に生産、供給できる軽工業のすべての部門がそなわっていますが、生産が正常化されていないため、それが効果を発揮していません。軽工業部門では何としても生産を正常化し、我々が困苦欠乏にたえ、勤倹節約して建設した工場が真価を発揮するようにしなければなりません。

 軽工業部門の工場の生産を高い水準で正常化するうえで重要な要求は、すべての生産設備をひきつづきフルに稼働させ、生産計画を指標別に間違いなく遂行することです。生産を高い水準で正常化するというのは、既存の生産潜在力の効果を最大限に発揮させるということです。軽工業部門の工場の生産を高い水準で正常化することは、現時点において一般消費物資の生産を画期的にふやすキーポイントと言えます。

 軽工業部門の工場の生産を正常化するうえで重要なのは、原料、資材の問題を円滑に解決することです。

 生産はすなわち原料と資材を消費する過程です。原料と資材がなくしては生産はできません。いくら近代的な設備と労働力があっても、原料と資材を十分に供給しなければ、生産の正常化は不可能です。いま我が国の軽工業の土台が真価を発揮できないのも、つまるところ原料と資材が十分に供給されないことに起因しています。

 軽工業部門に必要な原料と資材の問題を解決するうえで基本となるのは、国内の資源と原料源にしっかり依拠することです。国内の資源と原料源に依拠して軽工業を発展させるのは、軽工業建設において我が党が堅持している一貫した方針です。この方針を貫徹してこそ、軽工業の主体性と自立性を強化し、一般消費物資生産の安全性を保障することができます。我々は、人民の消費財を生産する軽工業を外国の原料源に依存して発展させるわけにはいきません。

 軽工業部門に合成繊維、合成樹脂、基礎化学製品とさまざまな規格と材質の鉄鋼材、金属二次加工製品、非鉄金属加工製品など、消費財の生産に必要な原料と資材を切らさず供給しなければなりません。

 軽工業部門に必要な原料と資材の輸入にも力を入れるべきです。主体的で自立的な軽工業を建設するというのは、必要な原料や資材を一切外国から買い入れないということではありません。軽工業部門に切実に必要な原料と資材のうち、我が国になかったり、生産量の少ないものは輸入しなければなりません。軽工業の発展にともなって製品の品目がおびただしくふえ、その質的水準がたえず向上している状況のもとで、それに必要な一切の原料と資材を自国で生産、供給することは不可能です。生ゴム、砂糖、油など、我が国で生産されないか生産量の少ない軽工業の原料と資材は、外国から買い入れるべきです。切実に必要な軽工業の原料と資材は、国家が輸入して供給する一方、軽工業部門がみずから獲得した外貨で買い入れるべきです。

 軽工業の原料と資材の輸入に必要な外貨は、良質の軽工業製品を生産して輸出する方法で解決すべきです。軽工業部門が積極的に取り組みさえすれば、良質の製品をいくらでも生産して輸出し、必要な原料と資材を少なからず解決することができます。外国の原材料を使う軽工業部門の工場では、生産された軽工業製品の一部を輸出して得た外貨でそれを買い入れるようにすべきです。

 軽工業部門では、外国との加工貿易もさかんにおこなうことができます。軽工業部門で余裕の生産能力を利用して外国と加工貿易をおこなえば、外貨も獲得し、不足する原料と資材も少なからず解決できます。軽工業部門では、将来性のある軽工業製品をもって外国との加工貿易を広くおこなうのがよいでしょう。

 外国との合弁、合作も発展させて軽工業製品の輸出を伸ばし、先進技術を取り入れるべきです。

 軽工業部門では原料と資材を節約し、少ない原料と資材でより多くの製品を生産するために奮闘すべきです。人民経済のすべての部門、すべての単位で増産・節約運動を強力に展開することは、経済建設において我が党が一貫してうちだしている重要な要求です。軽工業部門で節約運動を力強く展開すれば、生産の正常化に必要な原料と資材の不足を少なからず補うことができます。軽工業部門のすべての工場、企業所では製品単位当たりの原材料消費基準を厳格に守り、それを系統的に引き下げるため積極的に努力し、手持ちの原料と資材で、実用的で丈夫な製品を増産しなければなりません。倉庫をよく整備し、原料と資材の供給、利用において厳格な規律と秩序をうち立て、原料と資材の保管と供給、利用の過程でそれが流失したり使い物にならなくなるようなことのないようにすべきです。軽工業部門の工場では、さしあたり使わない原料と資材を倉庫にしまいこんでおかずに、一般消費物資の生産に効果的に利用すべきです。

 軽工業部門の工場の生産を正常化するうえで重要なのはまた、設備の管理を丹念にすることです。

 設備は重要な生産手段であり、軍隊での武器にひとしいものです。軍人が武器の管理をおこたり、それを上手に扱えなければ、弾薬がいくらあっても敵を掃滅することかできないように、工場、企業所で設備の管理をおろそかにすると、原料と資材が十分に供給されても生産を正常化することができません。

 設備の管理を丹念にするには、軽工業部門の活動家と勤労者が、国の主人、生産の主人としての高い自覚をもって設備を大事に扱い、それに精通しなければなりません。主人らしく設備を管理させるうえで重要なのは、忠誠の模範機械創造運動を力強くくりひろげることです。忠誠の模範機械創造運動は、かつての模範機械創造運動をこんにちの新たな要請に即して発展させた大衆的設備管理運動であり、設備を大事に管理し、それに精通するように勤労者を導くうえで大きな生命力を発揮しています。軽工業部門では、忠誠の模範機械創造運動を力強く展開するため、これに本腰を入れて設備管理をさらに改善し、すべての設備がいかなる条件でもその能力を十分発揮できるようにすべきです。設備管理において勤労者の自発的熱意を呼び起こすとともに、設備管理にかんする規定と規範を具体的につくり、それを厳守するよう統制しなければなりません。

 設備の点検補修を定期的におこなうべきです。軽工業部門の工場では、日ごろから設備を点検して適時に整備し、計画的な予防補修システムを立て、設備の状態を具体的に把握したうえで、前もって補修することに力を入れるべきです。設備の補修に必要な予備部品と、設備を正常に稼働させるのに必要な機料品の準備を確固と優先させ、作業工具と装備も十分にそろえるべきです。

 軽工業部門の工場の生産を正常化するうえで、生産の手配と指揮を綿密におこなうことが極めて重要です。生産は、労働力と設備、原料、資材の有機的結合によってなりたつ非常に複雑な過程です。正しい手配と指揮がなくしては、労働力と設備、原料、資材を合理的に利用することができず、生産が正常におこなわれません。社会主義経済は資本主義経済とは異なり、国家の統一的な指導のもとに管理、運営され、部門間に複雑な有機的連係が保たれている経済であるため、生産の手配と指揮を綿密にすることが極めて重要です。軽工業部門の活動家は、計画化と資材の供給、労働力の配置、設備の管理など生産の手配と指揮を綿密におこない、生産を高い水準で正常化しなければなりません。

 生産能力を高めるのは、一般消費物資の生産を画期的にふやす重要な方途です。軽工業部門では、生産能力を計画的に高めるべきです。軽工業部門における生産能力の拡大は、主に内部部門の構造をいっそう完備し、既設の工場、企業所に肉づけをする方向で進めるべきです。

 軽工業部門では、人民の生活をより豊かなものにする新しい製品の生産基地をさらに築くとともに、需要に比して生産能力が不足している絹織物、家庭電化製品、電子日用品といった主要消費財の生産能力をさらに高めるために努力すべきです。既設の軽工業部門の工場でも能率的な新しい設備と生産方法を取り入れ、生産面積を効果的に利用し、生産施設を合理的に配置するという方法で生産能力をたえず高めるべきです。

 軽工業部門工場の操業に必要な部品と機科品、包装材などの生産能力を高めるためにも積極的に努力すべきです。


 2 一般消費物資の品目をふやし、その質を高めるために

 一般消費物資の品目をふやしその質を高めることは、軽工業革命の遂行において提起される基本的課題の一つです。

 一般消費物資の品目をふやし、その質を高めてこそ、人民に豊かで文化的な物質・文化生活を十分に営ませることができます。一般消費物資を量的にふやすだけでは、消費財にたいする人民の需要をみたすことができません。経済と文化が発展し、物質・文化生活の水準が高まるにともなって、人々はより多様で良質な消費財を求めるようになります。人間が物質的・文化的富を創造する目的は、生活をただ豊かなものにするだけでなく、より文化的なものにすることにもあります。文化的な生活を営みたいという人々の志向と要求は、軽工業を発展させて、さまざまな良質の消費財を量産してこそ実現されます。

 一般消費物資の品目をふやしその質を高めれば、人民の民族的誇りと自負はさらに高まるでしょう。消費財の品目が少なく、その質が劣ると、一部の人のあいだに外国のものに目を向ける傾向があらわれかねません。そうなれば事大主義が芽を吹いて育たないとも限りません。各種の一般消費物資を世界的水準で立派に生産すれば、人々が外国のものに目を向けず、自国のものを誇りに思って大事にし、朝鮮民族が他民族にひけを取らないという自尊心がいっそう強まるでしょう。

 一般消費物資の品目をふやしその質を高めることは、設備と資材、資金を節約するうえでも極めて重要です。一般消費物資の品目をふやしその質を高めれば、消費財の質的構成が改善され、同じ量で人民の需要をより円滑にみたすことができるので、結局、設備と資材、資金を節約することになります。製品の生産で質を高めることはすなわち節約であり増産です。

 我が党は、一般消費物資の品目をふやしその質を高めることが重要なので、この問題を解決するいろいろな対策を講じました。ところがいま、軽工業部門で試作品やサンプルは立派につくつて展示し、自慢していますが、実際に人民に供給する商品は品目も少なく、その質もさほど高いとは言えません。軽工業部門の活動家と勤労者は、一般消費物資の品目をふやしその質を高めるため地道に努力しなければなりません。

 一般消費物資の品目をふやすための生産の手配を綿密におこなうべきです。

 人民の生活上の要求を具体的に調べ、その需要と好みに合わせて消費財の品目を定めるべきです。人民が求め好む消費財は、何でもつくるべきです。軽工業部門では食品と台所用品、衣類と履物、学用品と文化用品など、人民の生活に必要な消費財の種類と形を積極的に開発して生産すべきです。人民の需要と好みに合わせて消費財の品目をふやすためには、軽工業部門の活動家が大衆のなかに入り、商業サービス部門とも緊密な連係を保ち、現代的美感と流行にも敏感でなければなりません。

 新しい製品の設計をはじめ、技術準備に深い関心を払うべきです。設計をはじめ、技術準備は、生産の先行工程です。一般消費物資の品目をふやす問題は、設計をはじめ、技術準備をいかに優先させるかに大きくかかっています。

 新しい一般消費物資生産の技術工程をととのえ、原料と資材を供給する対策もそのつど立てるべきです。

 一般消費物資の品目をふやすうえで、民族的特性と社会主義的生活様式の要求を十分に具現しなければなりません。民族的特性と社会主義的生活様式の要求に即して一般消費物資の品目をふやしてこそ、人民に便利で高尚かつ文化的な生活を営ませ、民族性を輝かし、生活気風も正すことができます。一般消費物資の品目をふやすことを口実にブルジョア生活様式を真似るなら、人民の革命的で健全な生活気風が乱れてしまいます。

 一般消費物資の品目をふやすとともに、その質を高めるため大いに努力すべきです。

 軽工業部門の工場で技術工程をさらに完備し、製品の生産において科学技術上の要求をしっかり守るべきです。製品の生産で必ず経るべき技術工程を経なかったり、科学技術上の要求をしっかり守らなければ、製品の質が保障されません。

 軽工業部門の工場では、欠落している工程を補充し、古くて立ちおくれた工程を改造して生産技術工程をさらに完備し、基本生産工程と補助生産工程間の均衡を保つべきです。紡織工場、製靴工場、食品工場では前後処理工程を完全にととのえ、日用品工場では金型生産工程とメッキ工程を十分にととのえ、単能機械をはじめ、すべての設備をそなえなければなりません。

 一般消費物資の生産で原料と資材の材質と純度、規格を科学技術上の要求に即して正確に保障し、技術規定と標準操作法をしっかり守る厳格な規律と秩序をうち立てるべきです。

 一般消費物資の質を高めるためには、生産を専門化する方向に進まなければなりません。

 生産の専門化は近代工業の発展にとって重要な問題です。生産を専門化すれば、生産工程と技術手段の現代化を促し、労働者の技術・技能水準をすみやかに高め、設備と資材、労働力を合理的に利用して、高い生産性を保障しながらも良質の製品を廉価で生産することができます。既設の軽工業部門の工場も生産を専門化する方向で発展させれば、資材をいくつかの工場へ集中的に供給し、技術指導を強化して、生産を早急に増大させながらも、製品の質をいちだんと高めることができます。

 軽工業部門では、技術装備水準が高いいくつかの工場で主要日用品を専門に生産するようにすべきです。歯磨き、クリーム、化粧石けんなどの化粧品は新義州化粧品工場、平壌化粧品工場、新興歯磨き工場で、万年筆は技術装備水準が比較的高い万景台戦傷栄誉軍人万年筆工場や清津万年筆工場、新義州万年筆生産協同組合などでそれぞれ専門に生産させることができます。はさみ、アイロン、理髪用具のような鉄製日用品と鞄やトランクなどの合成樹脂製日用品は地域別に、軽工業部門と重工業部門の工場の生活必需品職場で、それぞれいくつかの品目を定めて生産させることができるでしょう。軽工業部門における生産の専門化は急ぐことなく、消費財生産の現状と見通しを深く研究し、具体的に見積もつたうえで徐々に進めるべきです。

 一般消費物資の質を高めるためには、労働者の技術・技能水準を向上させなければなりません。

 軽工業部門の工場の設備が近代的で、原料と資材がいくら上質なものであっても、それを扱う労働者の技術・技能水準が低ければ、良質の消費財を生産することはできません。

 軽工業部門の工場では労働者を定着させ、かれらの技術・技能水準を引き上げることに力を入れるべきです。新しく就職した高等中学校卒業生にたいする技能教育と技能教習、労働者の技術学習を強化して、かれらの技術・技能水準をたえず引き上げ、より多くの技能工を養成しなければなりません。

 労働者の技術・技能水準とかれらがつくった製品の質を正しく評価して、すべての労働者が先進技術と技能を修得し、良質の製品を生産するため極力努力するようにしむけるべきです。

 一般消費物資の質を高めるうえで、活動家と勤労者の人民にたいする献身的奉仕精神と主人としての活動気風を高く発揚することが極めて重要です。

 一般消費物資の質は、それをつくる人の人民にたいする観点と奉仕精神、仕事ぶりをそのまま反映します。一般消費物資の質を高めることは単なる技術実務上の問題ではなく、軽工業部門の活動家と勤労者の思想にかんする問題です。人民のために自分のすべてをささげてたたかう覚悟をかためた人であってこそ、一般消費物資をより立派につくりだすことができます。軽工業部門の活動家と勤労者は、人民生活に責任を負った強い自覚と主人としての態度で誠意と努力をつくし、一つの製品をつくるにしても丹念に、実用的で丈夫につくるべきです。

 品質監督業務は、製品の質を高めるうえで重要な作用を及ぼします。過渡的な社会である社会主義社会では勤労者の頭に古い思想が残っているだけに、生産と建設においてかれらの政治的思想・意識水準を高める教育を優先させながら、点検・統制を強化しなければなりません。品質監督の担当者は、工程と製品の検査を責任をもって厳格におこない、製品の質を高めるべきです。

 軽工業部門の工場では、生産環境を文化的、衛生的にととのえるべきです。生産文化を確立してこそ、製品の質を保障し、勤労者の健康を保護することができます。生産施設と環境を、常にきれいに整備し、機械設備を念入りに手入れすべきです。特に、食品工場で衛生美化活動に力を入れるべきです。

 製品の包装問題を何としても解決しなければなりません。一般消費物資をいくら実用的につくつても、包装が粗末であれば見栄えがしません。包装をきれいにすることは、単にうわべを飾るための形式上の問題ではありません。包装の問題を正しく解決しなければ、加工食品などは生産量をふやすことも、その質を保障することもできません。製品の包装をおろそかにすると商品の価値が落ち、国の恥をさらすことになります。軽工業部門では包装革命を起こすという党の方針を貫徹し、製品の包装を根本的に改善しなければなりません。包装材の生産基地を強固に築き、包装材の生産量と種類をふやすべきです。ガラス瓶、プラスチック容器、段ボール箱などの生産基地を増設し、アルミ箔、高圧ポリエチレンフィルム、接着テープなどの包装材を生産する工場をさらに設けるべきです。包装工程を改造し、包装方法を改善してその作業を機械化、オートメ化すべきです。

 商標は製品の顔と言えます。商標がよければ商品が引き立ち、見栄えがするものです。現代的美感に合い、人々の気に入るように商標を立派につくるべきです。現在使われている商標も現代的美感に合うように、改めるべきものは改めるべきです。

 一般消費物資の品目をふやしその質を高めるためには、品評会と外国との商品交易会も広くおこなう必要があります。

 軽工業部門では製品の量と品目をふやし、その質を高めるために奮闘することによって、数年内に一般消費物資の生産を世界的水準に引き上げなければなりません。


 3 軽工業の現代化を促進するために

 軽工業革命を成功裏に遂行するためには、軽工業の現代化を促進しなければなりません。

 現代は科学と技術の時代です。現代科学と技術は、消費財生産の分野においても新たな発展と質的な変化をもたらしています。現代科学技術の発展趨勢に即して軽工業を現代化してこそ、一般消費物資の生産を高い水準に引き上げることができます。

 軽工業の現代化はすなわち生産手段の現代化であり、生産工程の機械化、オートメ化、コンピュータ化、ロボット化です。

 軽工業を現代化することは、軽工業部門の工場を最新科学技術で装備して生産性と製品の質を画期的に高め、消費財にたいする人民の需要をより円滑に充足させ、軽工業部門の勤労者を骨のおれる労働から解放する重要な事業です。

 軽工業の現代化は、既設の工場の立ちおくれた設備と生産工程を先進的なものに改造することに力を入れるとともに、最新技術で装備された工場を新たに建設する方向で進めるべきです。

 既設の軽工業部門の工場の古くて立ちおくれた設備と生産工程を技術的に改造するのは、さほどの投資をせずに現代化をすみやかに実現しうる効果的な方途です。軽工業部門の工場では能率が低く、精密度が劣る立ちおくれた設備と生産工程を先進技術に改造するために努力し、技術装備水準を高め、生産の総合的機械化とオートメ化、コンピュータ化、ロボット化を実現しなければなりません。

 紡織工業部門では、紡織設備の高速化、精密化と生産工程のオートメ化に力を入れるべきです。精紡機のスピンドル回転数を速めることをはじめ、すべての紡織設備を高性能のより精密な設備に改造し、一部の生産工程に残っている手労働を完全に機械化、オートメ化しなければなりません。平壌総合紡織工場をはじめ、一部の紡織工場では、既存の設備と生産工程の技術改造を促進する一方、古くて立ちおくれた設備は思いきって処分し、現代的な設備をそなえるべきです。

 食品工業部門では現代科学技術の成果を広く取り入れて、各種の食品を工業的方法で適時に加工し、美味で栄養価が高く、清潔で食べるのに便利な加工食品を安く、より多く生産するための技術改造に力を入れるべきです。原料の処理と加工から製品の包装にいたるまで、すべての生産工程を総合的に機械化し、オートメ化することにより、食品生産において高い生産性と文化性、衛生性を保障すべきです。

 製靴工業と日用品工業部門でも生産設備と生産工程を近代的に改造し、生産工程の総合的機械化とオートメ化を広く実現しなければなりません。

 軽工業部門工場の現代化は一度に手がけようとせず、実情に即して徐々に進めるべきです。先進技術で改造する対象を具体的に調べたうえで順序を正しく定め、一つ一つ着実におし進めるべきです。部門別、地域別に現代化されたモデル工場をつくり、それをモデルにしてほかの工場を現代化するのがよいでしょう。

 軽工業部門工場の現代化を促進するためには、近代的な軽工業設備の生産を増大させなければなりません。既設の軽工業部門の機械工場と機料品工場、部品工場などに近代的な工作機械をより多く提供し、技術装備水準を引き上げて、その生産能力をいちだんと高めるべきです。特に、近代的な紡織設備とその部品、機料品を精密につくり、その需要をみたさなければなりません。食品加工設備と樹脂加工設備をはじめ、軽工業部門の設備を専門に生産する機械工場も新たに設けるべきです。

 軽工業部門の工場では、集団的技術革新運動を力強く展開しなければなりません。生産者大衆の底知れない知恵と創意性を積極的に引き出せば、価値ある技術革新案と創意考案、合理化案がいくらでも出され、軽工業の現代化を速いテンポで推進することができます。軽工業部門の工場では大衆の熱意と創造的積極性を大いに発揮させて、より多くの技術革新案と合理化案が出るようにし、大衆の発起と創案を積極的に支持し、科学者、技術者と生産者間の創造的協力をいっそう強化して、軽工業の現代化を強力に推進すべきです。

 各工場の現代化は、工場の技術陣が主人になって積極的に推進すべきです。軽工業部門工場の技術者は、技術革命の主人としての強い自覚と責任感をもって、工場の現代化を実現するための技術的問題を深く研究して大がかりに設計し、大胆に実践すべきです。

 軽工業の現代化を促すためには、科学研究活動を強化しなければなりません。

 科学研究活動を優先させなければ軽工業部門の工場の現代化を促進できず、結局、一般消費物資の品目をふやし、その質を高める問題を解決することはできません。軽工業部門の科学研究活動では、工場を技術的に改造し、その技術装備と生産工程を現代化するうえで提起される問題をはじめ、軽工業の発展にとって切実な科学技術上の問題を解決することに力を入れるべきです。

 科学研究活動を強化するには、研究条件を十分に保障する必要があります。科学研究活動が軽工業の発展において非常に重要な位置を占めているので、我が党は党中央委員会第6期第16回総会で、平壌市に総合的な軽工業科学研究基地を新設することにしました。党中央委員会総会の決定に従い、各種の科学研究施設を総合的にそなえた近代的な軽工業科学研究基地を早急に建設しなければなりません。科学研究活動に必要な実験設備と器具も近代的なものをそろえ、資材も十分に提供しなければなりません。

 科学研究活動を強化するには、科学研究部門の陣容をかため、かれらの役割を高めなければなりません。科学研究部門の従事者は科学研究活動の直接的担当者であり、科学研究活動の成果はかれらがいかに仕事をするかにかかっています。軽工業部門の科学研究機関に実力のある優秀な大学卒業生を毎年系統的に配置し、研究士と実験工が定着して科学研究に知恵と精力をつくすようにすべきです。

 軽工業の現代化を促すためには、軽工業部門の技術者の養成に力を入れなければなりません。

 軽工業部門の技術者の養成で重要なのは、教育の質を高めることです。教育部門では、我が国の軽工業発展の現実的要請と現代科学技術の発展趨勢に即して、軽工業部門の技術者養成のための教育綱領と教育内容をさらに改善しなければなりません。軽工業大学をはじめ、軽工業部門と密接な関係にある高等教育機関では、基礎技術教育を強化する一方、専門技術教育の科学的・理論的水準を高めて軽工業部門の工場を近代的に改造し、最新科学技術を広く取り入れることができる技術者を立派に育成すべきです。

 軽工業部門の技術者養成の規模をさらに拡大すべきです。平壌と地方の軽工業大学に必要な学科を増設し、ほかの大学でも軽工業部門の技術者をより多く養成しなければなりません。


 4 地方産業をさらに発展させ、一般消費物資の生産を
     大衆的運動として力強く展開するために

 軽工業革命を成功裏に遂行するためには、地方産業の発展にも大きな力を傾けなければなりません。

 大規模の中央直轄工業と中小規模の地方産業を並行して発展させるのは、我が党が一貫して堅持している独創的な朝鮮式の軽工業建設方針です。この方針は、既に実践によって、その正当性と生命力が実証されています。

 金日成同志が1958年6月の党中央委員会総会で、地方産業をすみやかに発展させ、一般消費物資の生産を大幅にふやす革命的措置を講じた後、急増した地方産業工場は、地元の生産潜在力を最大限に動員、利用して一般消費物資を大量に生産することによって、人民の消費財需要をみたすうえで大きな役割を果たし、国家の財政収入を増大させるのにも少なからず寄与しました。地方産業の急速な発展にともなって、労働者、事務員の扶養家族をはじめ、多くの人が社会的労働に参加して労働者階級化、革命化を積極的におし進めるとともに、農村にたいする供給基地としての郡の役割が高まり、都市と農村間、工業と農業間の経済的つながりがいっそう強化されました。地方産業の飛躍的な発展は、人民の生活を向上させ、地方の創意性と自立性を強め、労働者階級の隊伍を拡大し、革命力量を強化するうえで立派な結実をもたらしました。こんにち、我が国の地方産業部門の工場、企業所は、地方産業が創設された当初に比べて数倍にふえ、その生産能力と現代化水準は著しく高まり、みずからの原料基地もいっそう強固なものになりました。我々がこれまで苦労して建設した地方産業は、人民の福祉増進のための大きな資産であり、それを正常に稼働させさえすれば人民生活における多くの問題を解決することができます。

 地方産業を発展させるうえで重要なのは、地元の原料源を効果的に動員、利用することです。

 地方産業は、地元の原料源に依拠して発展させることが原則です。我が党が地方産業を創設した主な目的は、地元の原料源を積極的に動員、利用して各種の一般消費物資を増産するところにあります。

 我が国の山には野生の果実や木の実、山菜などが多く、海には水産資源が豊富であり、どこでも果物や野菜がよくできます。すべての郡が地元の原料源を最大限に動員、利用して、地方産業工場をフル稼働させるため積極的に努力しなければなりません。

 地元の原料源を動員、利用するためには、みずからの原料基地をさらに造成し、地方産業の原料生産をふやさなければなりません。

 金日成同志が教えているとおり、各郡では2百ヘクタール以上、各食品工場では50ヘクタール以上の栽培原料基地を造成するために奮闘し、肥培管理に努めて地方産業の各種原料を増産すべきです。国家計画機関と農業指導機関では、地方産業の原料生産に必要な肥料と資材、設備の供給システムを確立し、各地方では営農期に協同農場だけでなく、地方産業の原料基地にも支援労働力を送り、自給肥料を提供しなければなりません。

 各地方では果樹園の造成と肥培管理に関心を払うべきです。歴史的な党中央委員会常務委員会北青拡大会議の決定に従い、すべての地方ではリンゴ、梨、桃、アンズ、スモモ、ユスラウメなどの果樹をさらに植えるとともに、現在ある果樹を丹念に管理して、四季を通じて各種の果実をたくさん取り入れ、ようかん、シロップをはじめ、さまざまな果実加工品を量産しなければなりません。

 各地方では事務員と学生・生徒、家庭の主婦をはじめ、大衆の動員を綿密に手配し、野生の果実や木の実、山菜などを毎年適期に取り入れ、原料の貯蔵対策に万全を期し、加工の質を高めるべきです。

 地元の原料源を大いに動員、利用するには、買付け事業を活発におこなわなければなりません。そうしてこそ、農産物と畜産物、農場員の副業生産物と各種の古い資材を効果的に収集、利用することができます。各地方では買付け機関により有利な条件を与えて買付けを積極的におこない、地方産業に必要な農産物と畜産物、農場員の副業生産物を広く収集し、紙くず、古樹脂、古ゴム、ぼろなどを最大限に回収して利用しなければなりません。

 各地方では外貨獲得運動も積極的にくりひろげるべきです。それによって得た外貨は、地方産業の生産正常化と人民生活の向上に切実に必要な物資の購入に使うことを基本とすべきです。地方産業部門みずからも各郡で一、二品目以上の輸出品の生産を手配して、外貨獲得運動を力強く展開すべきです。

 地方産業を発展させるうえで重要なのは、地方産業工場の生産技術的土台を強固に築くことです。

 一定の発展段階で生産に先進技術をたえず導入して現代化を実現するのは、地方産業を発展させるうえで我が党が堅持している原則の一つです。社会主義工業国である我が国で、小規模の地方産業工場を現代化するのは問題ではありません。地方産業工場の不備な生産工程を早急に完備し、立ちおくれた設備と生産工程を新しい技術にもとづいて改造し現代化すべきです。地方産業に奉仕する修理基地と機械設備の生産基地をさらに整備し、各郡の地方産業工場に輸送手段を十分に提供すべきです。

 地方産業工場では生産文化の確立に力を入れて、工場をきれいに整備しなければなりません。

 地方産業を発展させるうえで重要なのは、それぞれの使命と特性、地元の実情を十分に生かすことです。

 地方産業部門では、しょう油、みそ、食用油、キャンデー、菓子、清涼飲料、幼児栄養食品といった各種の食品と日用雑貨、用紙、ノート、家具、木材製品などをつくるにしても、主に地元の原料を加工してつくるべきであり、それによって住民の需要をみたさなければなりません。すべての郡が地方産業の特性とそれぞれの実情に即して地方産業工場を充実させ、その生産を増大させるべきです。各道では、一部の製品はいくつかの工場に専門に生産させ、生産量をふやして道内の需要を自力でみたすべきです。

 地方産業の主人は道と郡であり、我が国の地方産業は、郡を基本単位にして発展させなければなりません。地方産業の主人である道と郡の責任感と創意性を高めなくては、地元の原料源と潜在力を広く動員、利用し、地元の実情に即して地方産業をすみやかに発展させることができません。

 地方の責任感と創意性を高めるには、中央が地方産業を統一的に指導するからといって、地方産業の管理・運営活動をあまり拘束しではなりません。道と郡に一定の権限を付与し、道と郡が主人となり、地方産業を地元の実情に即して、責任をもって創造的に運営していくようにすべきです。

 地方産業を発展させるうえで重要なのは、中央直轄工業管下の工場が地方産業工場を積極的に援助することです。中央直軽工業管下の工場では、地方産業工場に必要な設備と部品を製作し、技術的に援助し、地方が自力で解決できない原料と資材を十分に供給し、副産物なども提供して、地方産業の現代化と生産の正常化を積極的に支援しなければなりません。

 大衆的運動によって一般消費物資の生産をふやすのは、我が党の重要な方針です。

 我が党は、以前から一般消費物資の生産を大衆的運動として展開することを提起してきました。我が党は戦後、社会主義建設の時期に一般消費物資の生産を大衆的運動として展開する方針を示し、すべての地方と工場、企業所で食品と日用品を量産するようにしました。

 最近我が党は、増大する人民の物質的・文化的需要をみたすため8.3大衆消費財生産運動を発起し、この運動に広範な大衆が参加するようにしました。8.3大衆消費財生産運動は、大衆的に内部の潜在力を効果的に動員、利用し、かれらの創意性にもとづいて各種の一般消費物資の生産を画期的に増大させる幅広い大衆運動です。我が党によってはじめられた8.3大衆消費財生産運動は、軽工業革命の遂行において大きな効果を発揮しています。この運動がはじまってここ数年のあいだに、全国的に8.3大衆消費財を専門に生産する作業班と生産者が急増し、その量と品目も大幅にふえました。今後も8.3大衆消費財生産運動を強力に展開して、良質の各種一般消費物資を増産しなければなりません。

 遊休労働力で家内作業班と副業理を組織、運営し、家内サービス員の役割を高めることは、8.3大衆消費財の生産を増大させるための重要な課題の一つです。

 都市と農村で扶養家族や高齢者、身体虚弱者などで家内作業班と副業班を実情に即して多様な形態で組織し、工業副産物と土産の農産物、天然原料、栽培原料を積極的に動員、利用して、食品や日用雑貨をはじめ、各種の一般消費物資を生産すべきです。

 家内サービス活動を大いに奨励し、家内サービス員に人民生活に必要な消費財をより多くつくらせるべきです。

 いま一部の活動家は、大衆的運動によって一般消費物資を生産するという党の意図をよく理解していないため、家内作業班と副業班の組織、運営と家内サービス活動に関心を払っておらず、甚だしくはそれを妨げる傾向まであらわれています。党が家内作業班と副業班を多く設け、家内サービス活動を活発にくりひろげるようにしたのは、大衆的運動によって内部の潜在力を動員、利用して消費財の生産を早急にふやし、勤労者の生活上の便宜をはかるためです。家内作業班と副業班を組織、運営し、家内サービス活動をくりひろげるからといって、我が国に資本主義が復活するわけではありません。我が国には、資本主義が復活しうる社会経済的条件がありません。家内作業班と副業班のメンバー、家内サービス員が8.3大衆消費財を生産して売ればかなりの収入が得られるでしょうが、それはみずからの労働の代価として得たものなので、さほど問題になりません。一部の人のあいだに過多な収入を得て利己主義に走るといった否定的な要素があらわれた場合は、思想教育に力を入れ、相応の経済的措置をとれば十分克服できるでしょう。党および行政・経済機関と司法・検察機関の活動家は、家内作業班と副業班を組織、運営し、家内サービス活動を展開することにたいしていたずらになんくせをつけたり、干渉してはなりません。

 中央直轄工業管下の企業所の生活必需品工場、職場、作業班でも、遊休労働力と資材を利用して各種の一般消費物資を量産すべきです。中央直轄工業管下の企業所が内部の潜在力を最大限に動員、利用するなら、良質の各種消費財をより多く生産することができます。中央直轄工業管下の企業所では生活必需品を生産する工場、職場、作業班をきらにふやし、生産を正常化しなければなりません。

 金属工業と機械工業部門の工場、企業所は、生活必需品の生産に積極的に取り組み、鉄製日用品、家庭電化製品をはじめ、良質の消費財を大量に生産すべきです。化学工業と建材工業部門の工場、企業所では、住民の生活に切実に必要な化学製品とセメントをはじめ、建材品を小さく包装して供給し、商店で販売できるようにすべきです。

 生活必需品を生産する工場、職場、作業班では、企業所から出る廃棄物と廃材、副産物を利用するのを原則とし、当該企業所が基本製品の生産に使う原料と資材も一定の量を消費財の生産に利用できるようにすべきです。

 中央直轄工業管下の企業所では、生活必需品を生産する工場、職場、作業班における一般消費物資の生産を大幅にふやし、その販売収入金で従業員の給与をまかなうため積極的に努力しなければなりません。


 5 人民経済のすべての部門が軽工業を積極的に支援するために

 軽工業革命を成功裏に遂行するには、人民経済のすべての部門、すべての単位が軽工業を積極的に支援しなければなりません。

 軽工業は、機械工業、化学工業、金属工業、農業、水産業など人民経済の各部門と密接につながっています。もちろん人民経済の各部門は互いにつながっていますが、加工工業である軽工業は、どの部門よりもほかの部門への依存度が高いと言えます。軽工業部門は、織物を生産するには化学工業部門から化学繊維を、鉄製日用品と木製日用品を生産するには金属工業部門と林業部門から鋼材と木材を、食品を生産するには農業部門と水産部門から原料をそれぞれ提供してもらわなければなりません。軽工業部門の工場の現代化も、機械工業部門と電子・自動化工業部門が機械設備と電子・自動化要素を提供してこそ実現することができるのです。

 軽工業革命を進めて一般消費物資の生産に一大転換をもたらすには、人民経済のすべての部門、すべての単位が軽工業部門を十分に援助しなければなりません。

 人民経済の各部門が軽工業を十分に援助するには、党の軽工業第一主義の方針を貫徹しなければなりません。

 軽工業第一主義とは、一般消費物資を解決することを最も重要な問題とし、軽工業部門に力を集中することを意味します。

 社会主義社会における生産の目的は、人民の物質的・文化的需要を充足させることにあり、それは農業とともに軽工業を発展させ、一般消費物資の生産をふやすことによって実現します。我々が重工業を建設するのも、結局は軽工業と農業を現代技術で装備し、原料と資材を十分に供給して、人民の物質・文化生活をより立派に保障するところにその目的があるのです。軽工業は社会的生産循環の最後の段階をなしているため、それに力を入れて相応の水準に発展させてこそ、社会的生産循環を完結させて社会的流通を円滑にし、拡大再生産の速いテンポを保障することができます。軽工業革命を強力に推進して一般消費物資の生産に一大転換をもたらすことが要求されているこんにち、軽工業に力を集中することはいっそうさし迫った問題となっています。

 軽工業第一主義は、重工業の土台が強固に築かれた状況下で提起される現実的な要求です。重工業の土台が強固に築かれたからには、それをうちかためるとともに、軽工業を早急に発展させて人民生活を向上させなければなりません。重工業の土台もなしに軽工業第一主義を進めるなら、国の経済的土台を強固にすることも、人民生活の問題を円滑に解決することもできませんが、重工業の土台が強固に築かれたうえで軽工業第一主義を進めるのは、国の経済的土台をさらに強化し、人民生活を実質的に向上させる、革命的で科学的な方途となります。

 軽工業第一主義の方針を貫徹することは、軽工業部門の活動家だけでなく、人民経済のすべての部門の活動家に提起される重要な課題です。

 こんにち軽工業を軽視し、それに原料や資材をはじめ、必要なものを満足に提供せず、積極的な援助を与えないのは、党の方針にたいする絶対性、無条件性と、革命の主人としての態度が欠如している行為だと言えます。すべての部門の活動家は、軽工業第一主義の方針を貫徹してこそ、一般消費物資の生産を画期的に増大させ、軽工業革命を成功裏に遂行できるということを深く認識し、軽工業を積極的に援助しなければなりません。

 化学工業部門では、ビナロン、スフ、レーヨン、オーロンなど化学繊維を量産して紡織工場に十分に提供すべきです。2.8ビナロン連合企業所と順川ビナロン連合企業所に力を入れて、良質のビナロンを増産しなければなりません。プラスチック工業を発展させて塩化ビニール樹脂をはじめ、各種のプラスチックを量産し、苛性ソーダや炭酸ソーダ、塩酸などの基礎化学製品と染料、塗料なども多く生産して提供し、用紙と塩も量産して供給すべきです。

 金属工業部門では、軽工業部門の工場に冷間圧延薄板、ブリキ板などさまざまな規格と材質の鉄鋼材と、金属二次加工製品、アルミニウム、銅製品をはじめ、非鉄金属加工製品を十分に提供すべきです。

 農業部門と水産部門では、軽工業に必要な各種の動物性原料と植物性原料を切らさず生産、供給し、林業部門は木材を適時に提供しなければなりません。

 電力工業部門と石炭工業部門では、軽工業部門工場の生産正常化に必要な電力と石炭を十分に提供して、電力と石炭の不足のため生産に支障をきたすことのないようにすべきです。

 機械工業部門と電子・自動化工業部門では、軽工業部門工場の現代化と能力向上に必要な機械設備と電子・自動化要素を生産、供給しなければなりません。

 輸送は、人民経済の先行者であり、生産と消費を結びつける重要な部門です。輸送部門では鉄道輸送と船舶輸送、自動車輸送を合理的に組織し、軽工業部門の工場に燃料と原料、資材を適時に運搬するとともに、そこで生産された製品を消費地へ運搬することに力を入れるべきです。

 貿易部門では、国内で生産されないか生産量の少ない軽工業の原料と資材を外国から買い入れる手配を綿密におこない、一般消費物資の生産にいささかの支障もきたさないようにすべきです。

 人民経済の各部門が軽工業を積極的に援助するようにしむけるには、政務院と国家計画委員会が軽工業革命を遂行するための経済組織活動に取り組まなければなりません。

 政務院は、党の軽工業革命の方針を貫くための軽工業発展3か年計画が立派に遂行されるよう正しい対策を立て、各委員会、部が軽工業革命の遂行で提起される問題を優先的に解決するようにしなければなりません。

 国家計画委員会をはじめ、各計画機関では、軽工業の原料や資材など一般消費物資の生産で提起される問題を計画に正しく組み入れ、それが必ず実行されるようにしなければなりません。


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