金 正 日

党の思想教育活動で提起される諸課題について
朝鮮労働党中央委員会の責任幹部におこなった演説
1990年1月11日


  現段階において、党員と勤労者に対する思想教育を強化することは非常に重要です。

 党員と勤労者に対する思想教育を強化してこそ、彼らを我が党の革命思想で武装させて革命と建設に力強く立ち上がらせることができ、また帝国主義者の思想的文化的浸透を防ぎ、彼らが我々の内部に足がかりをつくれないようにすることができます。特に、革命の試練を経ていない世代が朝鮮革命の指揮メンバーとして登場している現状のもとで、思想教育活動を強化するのは極めて切実な問題となっています。解放直後、 建党、 建国、建軍の事業を進めるときには、金日成同志に従って抗日革命闘争に参加した革命家が根幹となって活動しました。ところが今は、その革命家たちも頭に霜をいただき、革命の試練を経ていない世代が革命隊伍の主力をなしています。彼らは、我が国の解放直後の複雑な環境のもとで党と人民政権、革命武力がいかに建設されたかをよく知らず、祖国解放戦争(朝鮮戦争)の時期、人民軍軍人と人民が祖国を守るためにいかに血を流して戦ったかもよく知っていません。こうした状況のもとで、党員と勤労者を政治的、思想的にしっかり準備させる思想教育は、対象の特性に即して綿密に取り組まなければなりません。

  現在、思想教育は対象の特性に即して着実に行われていません。宣伝部では学習テキストや講演テキストを作成して配布し、学習会や講演会の回数を集計するくらいのことで思想活動にかえています。講演会の運営状況をみても、多くの場合、党員と勤労者を政治的、思想的にしっかり準備させうる内容のものになっていません。

  思想教育の筋金も明確に入っていません。思想教育は明確な筋金を入れて当該時期の革命任務と闘争目的、社会的政治的環境に即して行わなければなりません。我が党は解放直後と祖国解放戦争の時期、戦後の各時期に革命任務と闘争目的、社会的政治的環境に即して思想教育活動に明確な筋金を入れ、党員と勤労者を正しく教育したため、ゼロの状態から新しい祖国を建設し、祖国解放戦争の輝かしい勝利を達成し、戦後短期間に破壊された経済を復興し、チョンリマ(千里馬)の大高揚を起こすことができました。ところが、現在の思想教育状況を見ると、明確な筋金が入っていません。我々がいくらすぐれた思想と制度、立派な人民をもっているとしても、思想教育を着実に行わず形式主義に陥るならば、好ましからぬ結果をまねくようになります。

  宣伝部では、思想教育での形式主義を一掃し、党員と勤労者に対する思想教育を実質的に行わなければなりません。

  党員と勤労者に、我が国の社会主義制度の優越性を明確に認識させるべきです。

  現在、社会主義制度の優越性を認識させるうえでは、個人主義に基づく資本主義と集団主義に基づく社会主義を対比して教育するのも重要ですが、それよりも、ほかの国の社会主義と比較したうえでの我が国の社会主義の本質的特性と真の優越性を正しく認識させることが重要です。

  我が国の社会主義は、指導思想、指導理論、指導方法においても、建設過程の特殊性においても、自主性の実現の幅と深みにおいても、またその強固さにおいても、ほかの国の社会主義とは異なる朝鮮式の独特な社会主義です。

  我が国の社会主義は、指導理念においてほかの国の社会主義とは異なります。もちろん、どの国でも社会主義を建設する目的は同一であるといえます。しかし、社会主義建設で堅持している指導思想と指導理論、指導方法はそれぞれ異なります。我が国の社会主義はチュチェ思想に基づく朝鮮式の社会主義です。我が党は、人間中心の思想であるチュチェ思想を指導指針として社会主義を建設しており、社会主義建設で提起されるすべての問題を主体的立場で朝鮮人民の力に依拠し、朝鮮人民の要求と我が国の具体的実情に即して解決しています。

  我が国の社会主義は他人から贈与されたものでもなければ、他人の力に頼ってうち立てたものでもなく、朝鮮人民の志向と要求を反映して我々自身が選択し、自力で建設した朝鮮式の社会主義です。朝鮮人民は既に解放直後、抗日革命闘争の輝かしい伝統を継承して朝鮮式の人民民主主義制度をうち立てました。朝鮮人民は祖国解放戦争の厳しい試練に直面したとき、みずからうち立てた新しい制度を守るため命を賭して戦いました。朝鮮人民は人民民主主義制度を継承、発展させて、困難な戦後の復興建設を進めながら朝鮮式の社会主義制度を樹立し、社会主義建設の困難な闘争によってそれを強化し発展させています。

  我が国の社会主義は、勤労人民大衆の自主性を十分に実現する最もすぐれた社会主義です。我が国では勤労人民大衆が国の真の主人となっており、あらゆる社会的恩恵が勤労人民大衆にほどこされています。これは、食糧供給問題一つをとってみてもよくわかります。外国では人民が金をだして食糧を買っていますが、我が国では人民にただも同然の廉価で米を供給するので、だれも食の心配をしていません。これは、人間を最も大事にする我が国でのみ実施されている人民的な施策です。我が国でのように社会的恩恵を人民に最大限にほどこす国は世界にまたとありません。

  我が国の社会主義の強固さは、社会的政治的生命体をなしている領袖、党、大衆の一心団結にあります。我が国では歴史の主体である人民大衆が領袖を中心に、党のまわりに鉄のように結束しています。まさにここに、我が国の社会主義の強固さがあり、ほかの国の社会主義と根本的に異なる本質的特性の一つがあるのです。

  我が国の社会主義の優越性については、外国人も口をそろえて言っています。金日成同志は、日本のある衆議院議員が我が国を訪れたとき、彼に、我々はチュチェ思想をもって自主的に、創造的に革命と建設を進めている、チュチェ思想は人民大衆を教師とみなし、人民大衆の力に依拠して革命と建設を進めるべきだという思想である、我が党はチュチェ思想を指導思想とし、それを革命と建設に具現しているため、自己の政策に人民大衆の要求と利益を正確に反映している、我々は人間中心の政治をほどこしているので、我が党には官僚主義がありえない、と述べました。金日成同志の話を聞いて感動した彼は、帰国途中ある国に立ち寄ったときのインタビューで、朝鮮労働党はチュチェ思想を指導思想とし、人間中心の政治をほどこしているので官僚主義がない、朝鮮は東欧社会主義諸国のようにはならない、朝鮮の社会主義は特色のある社会主義だと言いました。彼は、我が国の社会主義が東欧諸国の社会主義とは異なることを正しく指摘しました。我が国に駐在しているある国の大使は、チュチェ思想が具現された朝鮮の社会主義はすぐれた社会主義だ、チュチェ思想を深く体得するために努力する、と語っています。

  我々は社会主義の建設で誤りを犯したことがなく、改編すべきものもありません。我々は金日成同志によってうち立てられた最もすぐれた社会主義社会で生き、働く強い誇りと民族的自負をいだき、党員と勤労者に、我が国の社会主義制度にまさる制度はないということを深く認識させるべきです。我々が世界で最もすぐれた社会主義制度をもっていながら、それについて宣伝しないならば、人々はその優越性をよく理解することができません。我が国の人たちに、我が国の社会主義とほかの国の社会主義がどう違うのかと問えば、満足に答えられない人が少なくないでしょう。

  我々は党員と勤労者に、我が国で建設している社会主義はほかの国の社会主義とは根本的に異なる、我が党は社会主義建設を人間中心の思想であるチュチェ思想に基づいてはじめたのであり、社会主義建設で提起される諸問題を朝鮮人民の力に依拠し、朝鮮人民の利益と要求に即して解決している、我が国の社会主義はチュチェ思想を具現した朝鮮式の独特な社会主義である、ということを深く認識させ、彼らが我が国の社会主義制度の優越性を明確に知り、社会主義制度をさらに輝かすため積極的にたたかうようにすべきです。

  我が国の社会主義制度の優越性を党員と勤労者に明確に認識させるだけでなく、外国人にも十分に解説すべきです。外国人から我が国の社会主義制度の優越性について質問された場合には、わかりやすく解説するだけでなく、我が国に来てじかに見てほしいと言うのがよいでしょう。

  一部の社会主義国で実施している改革、改編についても、我が国の社会主義制度の優越性と結びつけて党員と勤労者に正しく認識させる必要があります。改革、改編とは文字通り、これまでやってきたことを改めくつがえすという意味ですが、いまごろ社会主義を投げだし、資本主義を取り入れてよいことは一つもない、我が国にうち立てられた社会主義制度が世界で一番なのに、なぜ資本主義を取り入れると言うのか、我が国では間違っていることが何もないから、改めるべきことも何もない、というようにわかりやすく説明すべきです。

  我が国で人権が十分に保障されていることについても明確に認識させるべきです。今、アメリカをはじめ帝国主義者は社会主義諸国を攻撃しながら人権が蹂躙されていると喧伝していますが、我が国に対しても人権が保障されていないと言いがかりをつけかねません。西ドイツの女流作家ルイズ・リンザも、初めて訪朝したときは人権問題について疑問をいだいていましたが、数回訪朝してからは、朝鮮では人権が十分に保障されていると述べています。

  アメリカ帝国主義者は、社会主義諸国では人権が保障されていないと難癖をつけていますが、世界で人権が最も蹂躙されている国はアメリカです。アメリカでは職を失って路頭に迷う失業者が数千万を数え、数多くの人が家もなく野宿しています。病気にかかっても金がなくて治療を受けられず、学齢期になっても金がなくて学校にも行けず、アヘン常習者、非識字者が日増しに増えているのがほかならぬアメリカの現実です。アメリカでは初歩的な人権さえも踏みにじられています。しかし我が国では、だれもが金一銭かけずに思う存分学び、無料治療を受けています。我が国の人民は失業というものを知らず、だれもが食・衣・住の心配をせず幸せに暮らしています。

  宗教問題についてもよく解説すべきです。我が国では信教の自由が保障されています。我が国の憲法には、信教の自由を保障するという条項があります。これまで我が国では宗教を禁止したことがありません。金日成同志は我が国で宗教勢力が衰えた経緯を明らかにしながら、それは祖国解放戦争のとき、アメリカ帝国主義者が礼拝堂を爆撃し、宗教家を殺戮したからだと述べています。我が国では憲法に明記されているとおり、信教の自由が保障されているので、だれでも自由に教会に行けますが、何の心配事もなく、また贖罪することもないので教会へ行きません。

  我々は党員と勤労者にこうした内容でよく解説し、彼らが、人権問題をもって我が国に難癖をつける帝国主義者に立ち向かってたたかうようにすべきです。

  党員と勤労者に対する朝鮮民族第一主義精神の教育を着実に行うべきです。

  朝鮮民族第一主義精神の教育は、ただ朝鮮民族が世界で一番だというように強調したり、押しつけたりするやり方でおこなってはなりません。朝鮮民族第一主義とはなんであり、なぜそういう精神をもたなければならないのか、朝鮮民族第一主義の精神をもつためにはどうすべきかということを人々に原理的に、しかもわかりやすく解説し、だれもがそれを道理として認識できるようにすべきです。

  我々の言う朝鮮民族第一主義は、生物学的概念や地理学的概念、経済学的概念ではなく、政治的思想的概念です。朝鮮人の体格は人並はずれて大きくもなく、国の面積も広くなく、経済の発展水準も高い段階に達しているとは言えません。しかし、朝鮮民族は思想と伝統、歴史においてほかのどの民族よりもすぐれています。朝鮮民族第一主義とは、朝鮮民族がずばぬけた人種であるということではなく、思想と伝統、歴史において一番であるということです。

  朝鮮民族第一主義について深く認識させるには、朝鮮人民の民族性を、思想と伝統と歴史をもって十分に解き明かす必要があります。

  朝鮮人民は昔から同じ文化と言語を有し、同じ国土で暮らしてきた単一民族であり、聡明かつ勤勉であり、柔和でありながらも強靭です。朝鮮人民は5000年の長い歴史と燦然たる民族文化を誇り、すぐれた民族的伝統と偉大な思想をもっています。まさにこういう民族性が朝鮮民族第一主義の基礎となるのです。

  どの民族も長い歴史的期間に形成され強固になったみずからの固有な民族性をもっており、民族性がどのようなものであるかは、思想と伝統と歴史がどんなものであるかにかかっています。朝鮮人民の民族性は、どの国の人民の民族性よりも強いといえます。

  朝鮮人民の民族性が強いのは、偉大なチュチェ思想を民族の魂としているからです。我々はチュチェ思想をもって朝鮮人民の民族性をさらに強く培わなければなりません。我が党は創立当初から今日にいたるまで、革命闘争と建設事業において一貫してチュチェ思想を堅持してきました。金日成同志は不滅のチュチェ思想を創始し、チュチェ思想の要求どおり党と国家を建設し、革命闘争と建設事業を勝利に導いてきました。我々は、金日成同志の創始したチュチェ思想を民族の魂としている朝鮮人民が世界で一番であるということを堂々と誇ることができます。

  朝鮮民族第一主義を、朝鮮人民の民族的伝統と歴史によって説明すべきです。朝鮮人民は長期間の革命闘争の過程を通じて、みずからの手で人民政権を樹立し、社会主義制度をうち立てました。我が共和国は、我が党と人民が血をもってかちとった革命の獲得物です。我が国で人民政権と社会主義制度がどのようにうち立てられたかを掘りさげて解説、宣伝すべきです。民族的伝統は信義の問題をもって説明することもできます。朝鮮人民にとって信義を守るのは、固有の民族的伝統となっています。

  我々は朝鮮民族第一主義を思想と伝統と歴史に基づいて正しく解説することによって、党員と勤労者が我々の領袖と我が党が一番であり、我が党の指導思想と我が国の社会主義制度が一番であることを深く認識し、高い民族的誇りと自負をいだいて我が国のものを愛し、さらに輝かすため奮闘するようにしなければなりません。

  党員と勤労者のあいだで革命伝統教育をいっそう強化すべきです。

  党員と勤労者のあいだで革命伝統教育を強化してこそ、彼らが抗日革命闘士の気高い革命精神に習い、不屈の闘争精神と革命的楽観主義精神をもってあらゆる試練と難関をのりこえ、革命闘争と建設事業を立派に進めることができます。社会主義を建設している今日の環境と状況は、かつて抗日革命闘士が日本帝国主義をうち破って祖国を解放するために戦ったときとは異なりますが、抗日革命闘士の発揮した革命精神は朝鮮人民がいつまでも見習い受け継ぐべきとうとい財貨です。特に、育ちゆく新しい世代は社会主義社会で苦労というものを知らず幸せに暮らしてきたので、かつて抗日革命烈士がいかに困難な状況のもとでどれほど困難な戦いを繰り広げてきたかをよく知りません。彼らは抗日革命闘士の回想記にある「一合のはったい粉」の内容もよく知りません。

  革命伝統教育で大切なのは、抗日革命闘士の発揮した自力更生、刻苦奮闘の革命精神を見習わせることです。抗日革命闘士は自力更生、刻苦奮闘の革命精神を高く発揮して、国家的後方もなく正規軍の支援もない状況下で自力で武装をととのえ、強盗日本帝国主義をうち破って祖国の解放をなしとげました。我々はすべての党員と勤労者が、抗日革命闘士の発揮した自力更生、刻苦奮闘の革命精神を見習い、社会主義建設でつきあたる難関と障害を勇敢にのりこえ、絶え間ない高揚を起こすようにすべきです。

  革命伝統教育で大切なのはまた、抗日革命闘士の発揮した革命的楽観主義の精神、未来を愛する精神を見習わせることです。抗日革命闘士は未来を限りなく愛し、断頭台で最期を遂げる間際にも悲観せず、楽観的にたたかいました。これは、刑場で未来を愛せよと叫びながら壮烈な最期をとげた朴吉松同志の闘争ぶりをみてもよくわかります。抗日革命闘士は革命的楽観主義の精神、未来を愛する精神で武装していたため、必勝の信念をいだいて革命勝利のために最後まで戦うことができたのです。我々は抗日革命闘士が身につけていた革命的楽観主義の精神、未来を愛する精神で党員と勤労者を武装させるべきです。

  革命伝統教育を強化するためには、抗日革命闘士の回想記を多く出版しなければなりません。最近、抗日革命闘士の回想記が出版されていませんが、それを多く出版する措置を講じるべきです。

  党員と勤労者の間で階級的教育をさらに強化すべきです。

  最近『労働新聞』に、金日成同志が1955年に発表した著作『党員に対する階級的教育を強化することについて』が掲載されましたが、金日成同志は久しい前から階級的教育を強化する方針を示し、党員と勤労者に対する階級的教育を根気よく展開するように導きました。その結果、今日、党員と勤労者は搾取階級と搾取制度に対する正しい認識をもち、あらゆる階級敵とのたたかいを積極的に繰り広げています。しかし、我々は絶対に慢心してはなりません。我々の革命闘争は依然として搾取階級と搾取制度、搾取階級の反動思想とのたたかいであり、それは革命が深化するにつれてさらに激しくなります。我々は階級的教育を引き続き強化して、党員と勤労者を労働者階級の階級意識、革命意識で武装させ、彼らが階級敵と断固たたかうようにすべきです。

  思想教育は対象の特性とレベルに合わせて行うべきです。

  対象の特性とレベルを考慮せず、千篇一律の思想教育をおこなっては成果をおさめることはできません。思想教育は労働者と農民、インテリなど各階層の大衆の特性に即してさまざまな形式と方法で着実に行うべきです。

  特に、科学研究部門と出版報道部門の活動家に対する思想教育を強化し、彼らを我が党の革命思想で武装させなければなりません。そうしなければ、科学研究部門と出版報道部門の活動家の間に信念に欠けた行為があらわれかねません。我々は科学研究部門と出版報道部門のインテリに対する思想教育の強化に深い関心を払わなければなりません。

  芸術家に対する思想教育も強化すべきです。我が国の芸術家は、党の指導のもとに教育され、革命的な芸術作品を創作する過程を通じて鍛えられたので、ほかの国の芸術家とは異なります。我が国の芸術家は純潔です。しかし、芸術家のなかにも信念の確固としていない人がありうるので、思想教育を強化してチュチェの革命観を確立するよう導くべきです。

  講演を通じての教育活動を強化すべきです。

  講演は一度に多くの人を教育できる、よい教育方法の一つです。党員と大衆に党の政策を浸透させるのも、講演を利用すれば適時に行うことができます。

  講演は対象の特性に応じて適当なテキストをつくって行わなければなりません。テキストを上手につくってこそ、講演を面白く行うことができます。講演は、講師が十分に準備し、短い時間に面白くしなければなりません。これからは、講師がテキストを自分で作るなり、統一的に配布されるテキストを十分に研究して、自分の口で興味深く行うべきです。講演を通じて秘密がもれないように注意すべきです。

  学習問答をたびたび行うべきです。学習は講義や討論の方法でも行い、学習問答の方法でも行うべきです。学習問答の方法を用いれば、個々の人の特性とレベルに合わせてチュチェ思想を原理的にわかりやすく認識させることができます。今後、幹部と学習講師は、学習問答をたびたびおこなって、党員と勤労者をチュチェ思想でさらに強く武装させるべきです。

  党員と勤労者に政治的糧を与える、いろいろな教育資料を上手につくるべきです。

  今つくられている教育資料をみると、要点をおさえておらず、だらだらしています。教育資料は体系と内容が明確でありながらも、事実に基づき理路整然としていなければなりません。教育資料は内容をでっちあげたり、誇張したりしてはなりません。

  学習テキストは、内容を原理的に、具体的に展開して充実したものにすべきです。学習テキストは、対象の特性とレベルを考慮してつくるべきです。幹部向けの学習テキストは内容を原理的に深く展開すべきですが、一般党員や勤労者向けの学習テキストは対象の特性とレベルを考慮して平易なものにするのがよいでしょう。

  講演テキスト、扇動資料、参考資料などの教育資料は、簡潔かつ平易なものにすべきです。教育資料一つつくるにしても、朝鮮式に、朝鮮革命の要請にかなった内容のものにしなければなりません。教育資料が平易で簡潔なものであっても、学習するとき、それに肉づけをして十分な説明を加えるようにすればよいわけです。教育資料の内容を説明するとき、肉付けをするからといって、長々と展開する必要はありません。教育資料の内容を説明するときには、聞き手に興味深く平易に説明して、めずらしいニュースのようにすぐさまのみこめるようにすべきです。そうすれば、聞く面白味もあり、頭に長く残ります。講演テキスト、扇動資料、参考資料は、学習テキストのように長くせず、内容別、問題別に簡潔に展開してつくるべきです。

  今、ある問題について文章を書いたり、講義をしたりするときに、決まって外国の複雑な情勢と結びつけようとしていますが、そうする必要はありません。我々は、我が国のものをもって党員と勤労者を教育し、我々の実践的経験を理論的に正しく証明すべきです。宣伝部では、出版報道部門の活動家が文章を書くとき、我々の立場で、我が国のものをもって書くようにすべきです。

  出版報道部門の役割を高めるべきです。

  出版報道部門の役割を高めてこそ、党員と勤労者を我が党の政策で武装させる活動と、党政策の実行へ立ち上がらせる活動を正しく進めることができます。ところが今、出版報道部門では、党の意図と要求どおり出版報道活動を正しくおこなっていません。

  出版報道部門の活動に欠陥があらわれるのは、この部門の責任幹部の仕事の仕方が無責任だからです。出版報道部門の責任幹部は、変化する情勢に敏感に対応できず、新しい党の方針が提示されても、集団的に協議し方法論を講じてあくまで実行しようとしていません。

  出版報道部門の責任幹部は、だれよりも情勢に敏感に対応し、党の政策に即応して出版報道活動を展開すべきですが、そうしていません。

  出版報道部門の活動に欠陥があらわれているのは、党中央委員会宣伝部がこの部門に対する掌握、指導を正しくおこなっていないこととも関連しています。 宣伝部の当該各課は所轄機関に対する指導を党的方法、政治的方法で行うのでなく、編集内容に干渉してあれこれと指図していますが、それではいけません。宣伝部の各課が所轄機関の活動内容にまで干渉するならば、所轄機関の活動家の無責任さと要領主義、形式主義をなくすことができず、活動で創意を発揮することができなくなります。宣伝部の活動家の行政化、官僚化をなくすことなしには、所轄機関を正しく掌握、指導することができず、その任務を円滑に遂行することができません。宣伝部の当該各課では速やかに欠陥を是正し、所轄機関に対する指導を党的、政治的方法で行うべきです。

  放送事業に対する指導に力を入れるべきです。放送は人々を動かすのに極めて重要であるため、これをおろそかにしてはなりません。宣伝部では、放送部門の活動家の責任感と役割を高め、放送事業を党の意図と要求に即して正しく行うようにすべきです。

  新聞の編集を改善すべきです。今、『労働新聞』も『民主朝鮮』も『平壌新聞』もみな同じ政治行事のニュースを載せていますが、そうする必要はありません。今後『平壌新聞』は、首都の新聞としての特徴が生かされるように記事を編集すべきです。『平壌新聞』には、平壌市民の生活にかかわりのある記事を多く載せるのがよいでしょう。『平壌新聞』の編集をどうすればよいかを検討して案を作成すべきです。『朝鮮人民軍』紙は軍隊内の新聞であるだけに、その特色を生かして、党の唯一思想体系と唯一的指導体系を確立する内容で紙面をみたすべきです。最近、『朝鮮人民軍』紙の編集は充実しています。

  新聞と放送では、対外関係の報道を正しく行うべきです。対外関係の報道を正しく行うためには、この業務を中央通信社に統一的に担当させるべきです。そして外国駐在の特派員の役割も高めなければなりません。それでこそ、対外関係の報道を迅速、正確、かつ客観的に行うことができます。現在、外国駐在の特派員は情勢を敏感にとらえず、頭を働かせていません。特派員は、駐在国で入手する資料を鋭く分析して本社に送信すべきです。

  出版物の配布を適切に行うべきです。今は新聞を所帯別に配布していますが、それには有利な点もあれば不利な点もあります。新聞の部数が少ない状況のもとで、一律に所帯別に配布すると、購読すべき対象に配布されない場合があります。『労働青年』紙を所帯別に配布しているので、読者のない所帯に配布されている反面、切実に必要な社労青の初級団体には配布されていません。『労働新聞』や『労働青年』などの日刊新聞は所帯別でなく、機関別に配布するのがよいでしょう。『労働青年』紙は社労青組織に多く配布し、青年の教育に利用させるべきです。各所帯にはすべて放送が入っており、テレビもかなり普及されているので、新聞を所帯別に配布しなくてもさしつかえありません。新聞を所帯別でなく機関別に配布するようになれば、今より組み版の時間を多少ずらせても大丈夫でしょう。人々が職場に出勤する前に所帯別に新聞が配布されるように、各新聞社で早めに版を組むため、ときには当日号に載せるべき記事を翌日号に載せざるをえなくなることもあります。そのため、重要な記事も迅速に報道できず、外国でそれを適時に受信できなくしています。

  第8回4月の春親善芸術祭の準備に万全を期して、成功裏に開催されるようにすべきです。


 (注)「一合のはったい粉」 金日成主席によって組織、指導された抗日武装闘争期の苦難の行軍にまつわる逸話。

 日本帝国主義者は、チュチェ27(1938)年12月初、南牌子から国境地帯へ進出する朝鮮人民革命軍の主力部隊を包囲、攻撃するため数万の兵力を動員し、とりわけ人民革命軍の司令部に「討伐」兵力を集中した。零下40度の酷寒のなかで戦闘は毎日のように続いた。1カ月後には食糧が切れ、数日間,食事もとれずに戦闘と行軍を続けなければならなかった。ある日、伝令たちは背のうの底をはたいて集めた一合のはったい粉を司令官である金日成将軍に差し出した。将軍はそのはったい粉を伝令に与え、伝令は、また、それを将軍に差し出した。最後に将軍は、それを伝令たちに等しく分け与え、自分は一番少ない分をとった。隊員に対する将軍の、このような愛情は、隊伍の統一団結を強め、類例のない苦難の行軍を成功させるうえで大きな力となった。


 (注)『労働新聞』 朝鮮労働党中央委員会機関紙。チュチェ34(1945)年11月1日創刊。当初の題号は「正路」であった。


 (注)『民主朝鮮』 朝鮮民主主義人民共和国政府機関紙。チュチェ35(1946)年6月4日創刊の日刊紙。


 (注)「4月の春親善芸術祭」 太陽節(金日成主席の誕生日の4月15日)に際して毎年平壌で開催される国際的な芸術祭。金日成主席の誕生70周年にあたるチュチェ71(1982)からチュチェ87(1998)年まで16回行われた。世界各国の国際・国内コンクール受賞者をはじめ、多くの名優と芸術団、サーカス団、在外朝鮮人芸術家ならびに国内の芸術家が参加している。この芸術祭は、自主、平和、親善の理念のもとに世界各国の文化人の友好と団結、文化交流の発展に寄与している。

出典:「金正日選集」10巻

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