金 正 日

党活動と社会主義建設に転換をもたらし、1990年代を輝かそう
朝鮮労働党中央委員会および政務院の責任幹部との談話 
−1990年1月1日− 


 今日、我々は、大きな感激と喜びのなかで偉大な領袖金日成同志の新年の辞に接しました。

 我々は、金日成同志が新年の辞で示した栄誉ある革命課題を立派に遂行し、1990年代を朝鮮人民の闘争史において最も輝かしい年代にすべきです。

 そのためには、党活動から新たな転換をもたらさなければなりません。

 革命と建設の成否は、党をいかに強化し、党の指導的役割をいかに高めるかにかかっています。

 朝鮮人民が解放後こんにちまで、国が分断され世界帝国主義の元凶であるアメリカ帝国主義と対峙している困難な状況のもとでも、かれらの絶え間ない挑戦と妨害策動を粉砕し、革命と建設を成功裏に推進することができたのは、まさに、わが党が革命と建設を正しく指導してきたからです。こんにち、帝国主義者の反社会主義策動がかつてなく悪辣になっている複雑な情勢のもとで、朝鮮人民がいささかも動揺することなく確固と革命の道を歩んでいるのも、わが党が強く、党と大衆が混然一体となっているからです。

 わが党は、抗日革命闘争の深く強い根から育ち、チュチェ思想を指導指針としているチュチェ型の革命的党です。金日成同志はわが党を創立した後、チュチェの思想体系を確立し、党の組織的・思想的統一を盤石のごとく強化し、革命的な指導方法を貫いて大衆の熱意と創意を高く発揮させ、党と大衆の血縁的なつながりをあらゆる面から強化してきました。こんにちわが党は、党中央委員会から下部末端の細胞にいたるまで、全党が呼吸をともにし、一体となって行動しており、全人民から絶対的に信頼され愛されています。わが党は、全党の一心団結、党と人民大衆の一心団結の立派な模範を創造しました。わが党は、豊かな闘争経験と正確な戦略戦術をもって革命と建設を何の偏向もなく勝利に導く老練かつ洗練された党であり、人民大衆の底知れない創造力を遺憾なく引き出す組織力と戦闘力をもった威力ある党であります。我々はこれについて、当然の誇りと自負をいだくことができます。

 我々は、これまでの成果に慢心してはなりません。我々は、革命と建設が深まり、朝鮮革命と世界革命にたいするわが党の任務がいっそう重大になっている現実の要求に即応して、党活動を決定的に改善しなければなりません。党の組織的・思想的基盤がしっかりとかためられ、党の唯一的指導体系が確立されたからといって、万事がうまくいくものと思い、万歳を唱えるだけではいけません。我々は、党活動に残っている形式主義と官僚主義、行政代行を根絶し、党活動をチュチェの要求どおり、より清新かつ創造的に進めなければなりません。

 なによりもまず、形式主義を一掃すべきです。

 こんにち形式主義は、党活動において一つの慢性的な病根となっており、それは革命と建設に少なからぬ弊害を及ぼしています。形式主義は、党の組織活動や思想活動にもあらわれ、行政・経済活動にたいする党の指導にもあらわれています。

 党生活は、党組織と党員の生命活動であり、党生活を正しく指導するのは党組織の基本的任務です。党内に党生活体系は整然とうち立てられていますが、党生活の指導には形式主義が少なからずあらわれています。党会議と党生活総括の現状を見ても内容がなく、空論が多いのです。会議のための会議を開く場合が多く、体裁をつくろうため、中心がなく非現実的な決定書や計画書を長々しく作成して採択する傾向が少なくありません。そのため、党生活が、革命課題を立派に遂行するための党生活、党員の党性を鍛え、思想・意識水準を高めるための党生活になっていません。

 幹部事業では、本人の忠実さと能力を基本にして人を評価するのが党の確固たる方針です。ところが、幹部事業ではまだ、生きた人間を具体的に把握せず、文書などを見て幹部を抜擢し配置する傾向がなくなっていません。そのため、忠実で有能な活動家を登用できずにおり、幹部陣容には革命の指揮メンバーとしての資質に欠けた人が少なからずまじっています。

 仕事を手配りし、下部を掌握し指導するうえでも形式主義が多分にあらわれています。党の方針が示されれば、それを実行する方法論を深く研究して仕事を手配りするのではなく、受け売り式の姑息な手段をつかっており、大衆のなかに入って現実を調べ、実情を把握するのではなく、上部に居座って統計などを受け取る安易な方法をとっています。

 昨年、党中央委員会は、新たな情勢の要求に即して、幹部と党員と勤労者の組織生活をさらに強化し、党組織の戦闘的機能と役割を高めるため、各級党組織に書記局の特別指示文を下達しました。ところが一部の党組織は、特別指示文を下達した党中央委員会の趣旨を深く把握し、自己の実情に合わせてそれを実行する対策を練ってから実質的な討議をするのではなく、会議を開き一般的な決定書を採択するのにとどまりました。そのため、特別指示文を再討議せざるを得なくなりました。

 基層党組織をうちかため、その戦闘力を高めるのは、全党を強化する基本的条件です。生物有機体が健全であるためには細胞が健全でなければならないように、党が強力であるためには基層党組織がしっかりかためられなければなりません。基層党組織がしっかりしている党は、いかなる風波や試練に直面しても微動だにしませんが、基層党組織が弱い党は、砂上の楼閣のようにたやすく崩れてしまいます。基層党組織を強化する活動は、綿密な設計のもとに着実に進めるべきです。ところが、基層党組織を強化する実際的な手配りを着実にしていません。

 党組織活動における形式主義は、党活動全般に重大な弊害を及ぼします。党組織活動は党活動の基本分野であるため、ここで形式主義に陥れば弊害が大きいばかりでなく、他の分野にも形式主義を生むようになります。党の組織活動家は、これを明確に認識し、強い責任感をもって党組織活動での形式主義を根絶しなければなりません。

 形式主義は、党の思想活動にもっと甚だしくあらわれています。

 党の思想活動の根本目的は、党員と勤労者をわが党の革命思想で武装させ、党政策の実行へと奮起させるところにあります。党思想活動の成果は、学習会や講演会の回数によってではなく、党員と勤労者が党政策の実行にどれほど自覚的に、献身的に立ち上がるかによって評価されなければなりません。わたしがいつも言っていることですが、思想活動において形式主義は最大の禁物です。しかしいまなお、党の思想活動は、人びとを実質的に教育し改造し奮起させる活動になっておらず、学習のための学習、宣伝のための宣伝になっている場合が少なくありません。こんにち、帝国主義者が社会主義を内部から瓦解させようと思想的・文化的浸透をかつてなく執拗に強行しているときに、党思想活動における形式主義を克服しなければ、朝鮮革命に取り返しのつかない重大な結果をまねくようになります。

 いま、宣伝活動に見られる主な欠陥は、明確な目的と中心がなく、量的に多く広げていることです。学習会や講演会のやり方を見ても、各種のテキストを作成して配布し、つめ込み式にするので、多くの時間をかけながらも相応の効果をおさめていません。下部の党組織に出向いてみると、上部からおりてくるテキストが多過ぎて消化しきれないくらいだそうです。学習テキストや講演テキストなどの教育資料も、党の意図と現実の要求に即応してつくられておらず、空論をならべ立てているので内容が不明確です。

 思想教育を対象の特性と具体的実情に合わせておこなうようたびたび強調していますが、依然として一律におこなっています。人は、それぞれ水準も速い、担っている革命任務も異なるので、それに合わせて教育を具体化すべきですが、いまはその内容と方法においてこれといった違いがありません。現実に足をつけていない、宙に浮いた抽象的な教育は成果をおさめることができません。

 朝鮮人民は立派な人民であり、わが国の社会主義制度は最もすぐれた制度です。朝鮮人民は栄えある革命伝統をもっており、困難な闘争のなかで鍛えられた革命的人民であり、悪い思想潮流に汚染されていない純潔な人民です。わが国の社会主義制度は、他国の真似をしたものでもなく、他人の思想を具現したものでもありません。わが国の社会主義制度は、金日成同志によって創始されたチュチェ思想を具現したものであり、わが党の指導のもとに人民がみずから選択し自力で建設した朝鮮式の社会主義制度です。そのため、わが国の社会主義はいかに複雑な情勢のもとでも微動だにしません。わが国の社会主義のこうした特性と優越性を党員と勤労者に正しく認識させれば、かれらは社会主義にたいするかたい信念と自負をいだき、社会主義偉業の勝利のためにいっそう力強くたたかっていくでしょう。ところが、社会主義の一般的特徴を抽象的に強調しているため、わが国の社会主義の真の優越性を正しく認識させることができません。

 朝鮮民族第一主義の教育においても、問題は同じです。我々が朝鮮民族第一主義を強調するのは、民族主義を鼓吹しようというのではありません。我々が朝鮮民族第一主義を強調するのは、党員と勤労者がわが国の悠久な歴史と輝かしい革命伝統、わが党の指導思想とわが国の社会主義制度がいちばんであるという誇りと自負をいだいて、わが国のものを愛し、それをいっそう輝かすため愛国的献身性を発揮するようにさせるためです。しかしいま、朝鮮民族第一主義教育は、原理的に深くおこなわれていないばかりか、朝鮮民族の事実上の優越性にもとづいて納得できるようにおこなわれていません。最近、抗日革命闘士の回想記の出版が満足におこなわれていませんが、これを見ても、党思想活動部門の活動家が朝鮮民族の誇りである革命伝統で人びとを教育する活動をおろそかにしていることがわかります。

 一部の幹部が、宣伝活動で現実を誇張したり、みだりに万歳を多く唱えるのも一つの偏向です。わが国のすぐれたもめを広く宣伝して人びとの民族的誇りと自負を高めるべきではありますが、だからといって事実を誇張したり、みだりに万歳を多く唱えては真実味がなくなり、大衆が党の宣伝を信用しなくなります。大衆が信用しない宣伝はかえって逆効果をもたらします。宣伝活動におけるこうした偏向は、各種の行事にもあらわれ、出版・報道部門と文学・芸術部門にもあらわれています。

 党の思想活動は徹頭徹尾、革命実践に役立てられなければなりません。党思想活動部門の活動家は、宣伝活動をするとき、まず実践的効果を考え、その結果について責任を負う立場に立たなければなりません。

 党思想活動部門の活動家は、人びとが思想的に奮起せず党政策が立派に実行されないときは、それを自分の欠陥として受けとめて責任を感じ、思想的に難問がなんであるかを見つけ出し方法論を研究して思想教育活動を改善し深めるべきです。

 官僚主義を克服する闘争をひきつづきくりひろげるべきです。

 わが党は創立当初から、官僚主義との闘争をねばり強くくりひろげてきました。特に、社会主義制度の樹立後、金日成同志が革命的大衆路線を具現してチョンサンリ(青山里)精神、チョンサンリ方法を創造し、革命的な活動体系を確立したのは、官僚主義を克服するうえで歴史的な転機となりました。わが党は、チョンサンリ精神、チョンサンリ方法を貫く過程で、大衆の創造力をくみ上げる革命的活動方法の模範を創造しました。しかしまだ、一部の党活動家には、官僚主義が少なからず残っており、それは党活動に重大な弊害を及ぼしています。

 いま、党活動家の官僚主義は、党の権威をふりかざして大衆を無視し大衆の要求と利益を侵害することにあらわれています。一部の幹部は、自分を人民の忠僕と考えるのではなく大衆の上に君臨する特殊な存在と考えて、大衆をどなりつけたり、なじったりし大衆の声に耳を傾けるのではなく、自分の主観的意思をむやみに押しつけています。一部の幹部にいたっては、党の権威を悪用して人びとを押さえつけ、人の一身上の問題を自分勝手に処理しています。職権を乱用して国家・社会財産を浪費、横領する活動家もいます。

 党活動家には大衆をどなりつける権利などなく、革命と建設の主人である人民大衆が党政策を自分のものとして受け入れ、革命課題の遂行に主人らしく参加するように導く義務があるだけなのです。政治活動を優先させる原則で、解説と説得の方法で忍耐強く助け導くのは、わが党が大衆との活動において一貫して堅持している方針です。党のこの要求を守らない人は党活動家としての資格がありません。

 人の政治生命を守り、人民の権利と利益を擁護するのは、党活動家の本分であり、党と領袖が党活動家に与えた大いなる信任です。党活動家がその本分を忘れ、党と領袖の信任を悪用して人びとの政治生命をもてあそび、人民の財産を侵害するのは、許しがたい背信行為であり犯罪行為です。

 官僚主義を活動家の単なる作風上の欠陥とみなしてはなりません。官僚主義の最も大きな弊害は、党と大衆を遊離させることです。領袖、党、大衆が、一つの社会的・政治的生命体をなしている我々の社会で、大衆と離れた党は生命を保つことができません。党活動家の官僚主義は、党と大衆を遊離させて党そのものの生命をむしばみ、我々の社会において基本の基本である領袖、党、大衆の統一を破壊する重大な結果をまねくようになります。

 社会主義社会には、官僚主義を生む社会的・階級的根源がないからといって、決して官僚主義との闘争をおろそかにしてはなりません。幹部の頭のなかにまた古い思想が残っている状況のもとで、社会主義社会でも官僚主義があらわれるおそれがあり、党が政権を握り、すべての社会生活が党の指導のもとに統一的におこなわれている状況のもとで、その重大さはさらに甚だしくなることを知るべきです。

 官僚主義を一掃するには、幹部のあいだで革命的大衆観点を確立しなければなりません。革命と建設の主体は、あくまでも人民大衆であり、底知れない力と知恵も人民大衆にあります。わが党は、人民に奉仕する党であり、党の路線と政策はすべて人民のためのもので一貫しています。党活動家は、常に、大衆のなかに入って大衆から学び、大衆と生死、苦楽をともにするのを慣習化し、人民に奉仕するのを最も大きな栄誉と誇りとすべきです。党活動家は、大衆に号令するのではなく、大衆の号令を受けるべきです。

 仕事にたいする厳格な要求と官僚主義は、区別しなければなりません。仕事における強い要求は官僚主義ではありません。革命と建設は人民大衆のためのことですから、革命闘争と建設事業をより立派に進めるよう要求の度合を強めるのは、ほかならぬ人民大衆のためになることです。党活動家は、無気力なお人好しになるのでなく、厳格な要求をする革命家になるべきです。

 人民に忠実に奉仕し、人民から支持され愛される活動家であってこそ、真のチュチェ型の党活動家であるといえます。人民軍には「祖国に奉仕する!」というスローガンがありますが、党活動家のスローガンは、「人民に奉仕する!」でなければなりません。

 現在、党活動を改善するうえで行政代行をなくすことが重要な問題として提起されています。

 いま、少なからぬ党活動家は、行政代行の弊害について正しく認識していません。一部の活動家は、行政・経済活動も党活動家が先に立たなければうまくいかないかのように考えており、さらには行政代行を避けがたいことのように考えています。そのため、行政代行をなくすようひきつづき強調していますが、なかなかなくなっていません。

 少なからぬ工場、企業所の党責任幹部は、テアン(大安)の事業体系を無視し、行政・経済活動まで直接掌握して采配をふっています。工場、企業所の党責任幹部は、生産関係の行政実務的な会議においても支配人と技師長などの行政・経済幹部をさしおいて独善的にふるまっており、生産の手配と労働の組織のみならず、資材の割当てと製品の処理、配車まで受け持っています。そのため、人びとは生産と関連した問題が提起されても、支配人や技師長ではなく党書記を訪ねており、他所から資材や製品を受け取るために来る人までも党書記に頼むとのことです。

 行政代行は、党中央委員会の幹部と道・市・郡党委員会の幹部のあいだにもあらわれています。

 党の幹部も行政・経済幹部も同じ朝鮮革命の指揮メンバーであり、ただ革命にたいして担っている任務が異なるだけです。党の幹部が行政代行をするのは、行政・経済幹部を見くびって無視する党の権威乱用の表現であり、甚だしい越権行為です。

 党幹部の行政代行は、こんにち経済指導と企業管理においてテアンの事業体系の正しい貫徹を妨げる主たる原因となっています。テアンの事業体系は、党の政治活動と行政・経済活動を有機的に結びつけ、社会主義経済建設を成功裏に推進していけるようにする、最も理想的な経済管理システムです。党活動家が、自己の本務に専念せず行政・経済活動を代行するので、テアンの事業体系は効を奏しておらず、党活動も行政・経済活動もうまくいっていません。党活動家の行政代行は結局、党の指導的権威を弱め、党政策の実行を妨げ、ひいては、チュチェ思想を具現したわが国の社会主義制度の優越性を損なう重大な結果をまねいています。

 我々は、党活動における形式主義、官僚主義、行政代行を一掃する一大旋風をまきおこすべきです。

 党活動における形式主義、官僚主義、行政代行を一掃するかどうかによって、革命発展の要求に即して、わが党を強化し、その指導的役割を高める問題が左右されます。形式主義、官僚主義、行政代行を一掃して党を強化し、その指導的役割を高めるところに、社会主義建設で新たな大高揚を起こし、1990年代を輝かす重要なカギがあります。

 形式主義と官僚主義、行政代行は痼疾となり、慢性化した欠陥であるため、一、二度の会議を開くくらいでは一掃することができません。組織指導部、宣伝部、経済部署などの党中央委員会の各部署は、形式主義と官僚主義、行政代行を克服するための強い思想闘争をくりひろげ、深く研究、討議して正しい方法論を立て、党活動の方法を改善するために全党的な力をそそぐべきです。

 我々は、金日成同志の新年の辞にのっとって奮闘し、社会主義建設の各分野でいま一度革命的大高揚を起こさなければなりません。

 我々には、社会主義・共産主義建設の正しい道を示す最も正確な路線があり、党と領袖のまわりにかたく団結した英雄的人民がいます。わが党の指導のもとに全人民が奮起してたたかうならば、十分、社会主義の高峰に勝利の旗をひるがえすことができます。

 人民政権を強化し、その機能をたえず高めながら、思想、技術、文化の3大革命を力強く推進するというわが党の総路線は、朝鮮人民が社会主義・共産主義の道をなんの偏向もなくまっすぐに進んでいけるようにする、最も革命的で科学的な路線です。我々は勝利の信念をかたく抱き、社会主義建設でわが党の総路線を立派に貫くことにより、社会主義の完全な勝利をさらに早めなければなりません。

 金日成同志によって社会主義建設の展望目標と重要な課題が既に、示されたので、わたしは、さしあたり力を入れるべきいくつかの問題についてだけ強調しようと思います。

 こんにち、経済活動において力を入れるべき最も重要な問題は、人民生活を速やかに向上させることです。

 これまで社会主義建設でチュチェ思想を正しく具現してきた結果、わが国の社会で人民が享受する政治生活と文化生活の絶大な優越性は既に、はっきりと実証されています。

 我々が社会主義経済建設を促進して人民の物質生活をいちだんと高めれば、朝鮮人民はもう他にひけをとることがなくなり、わが国の社会主義制度の優越性を各分野にわたって明白に示威できるようになるでしょう。そうなれば金日成同志がうちだした新たな祖国統一方針の実現に決定的に有利な条件がととのうはずです。南朝鮮の人民と青年学生は、すべての人が張り合いのある生活を営んでいる共和国北半部の現実を見て、わが党の政策がいかに人民の幸せと民族の繁栄のための正当なものであるかを感じ、祖国の自主的平和統一をめざすたたかいにいっそう力強く立ち上がるようになるでしょう。

 人民生活を速やかに向上させるためには、軽工業に大きな力を入れなければなりません。

 わたしは今年、人民生活第一主義のスローガンをかかげて軽工業に力を入れ、どうあっても人民生活の問題を解決することを決心しました。こんにち我々には、決心さえすればなんでもつくれる自立的民族経済の強固な土台が築かれています。こういう状況のもとで我々が少々力をそそげば軽工業を速やかに発展させ、人民生活の問題を立派に解決することができます。我々は今年、重工業部門の工場、企業所の建設を一部調整してでも軽工業部門への投資を増やす計画です。

 今年、軽工業部門では、現在の工場、企業所での生産を正常化し、新しい現代技術を積極的に取り入れて、人民生活に切実に必要な各種の製品をより多く生産すべきです。そのためには、軽工業部門に繊維と合成樹脂をはじめ、原料、資材を円滑に供給しなければなりません。

 軽工業部門では、中央直轄の軽工業部門工場だけでなく、地方産業工場をフル稼働させるために力を入れるべきです。一般消費物資の生産において地方産業は少なからぬ比重を占めている状況のもとで、地方産業工場をフル稼働させることが重要です。我々は、各地に設けられている地方産業王場をフル稼働させ、各種の一般消費物資を大量に生産しなければなりません。

 今年は農業にも大きな力を入れるべきです。

 人民生活の向上をはかるうえで最も重要なのは、食糧問題を十分に解決することです。そのためには、農業部門への投資を増やし、営農に力をそそいで穀物生産を増大させなければなりません。わが国は耕地面積が限られていますが、穀物生産を増やせる余地は十分にあります。現在の耕地だけでも、用水と肥料、農業機械を十分に提供し、主体的農法の要求どおり農業を科学的、技術的に営むならば、穀物生産をいちだんと増やすことができます。

 さしあたって農業部門に提起される重要な課題は、用水の問題を解決することです。農業部門では、平壌市、平安南道、平安北道、黄海南道、黄海北道で、現在進行中の水路工事に拍車をかけて農期以前に早く終えなければなりません。同時に、化学肥料の生産に力をそそいで営農に必要な肥料を農村にそのつど供給し、トラクターなどの農業機械もより多く生産して農村に提供すべきです。

 人民生活の向上をはかるためには、住宅をより多く建設しなければなりません。我々は、金日成同志の誕生80周年までに平壌市に5万所帯の近代的な住宅を建設することにしましたが、これが完成すれば首都市民の住宅問題がかなり解決されるはずです。これは、誇りとすべきことです。平壌市の住宅建設に必要な設備と資材、労働力をそのつど保障しなければなりません。平壌市に限らず、他の道でも住宅を大々的に建設すべきです。

 今年、人民へのサービス活動を改善し、人民の生活上の便宜をより立派にはかるべきです。今年から一般消費物資の生産に大きな力を入れることになるので、それに合わせて商業サービス活動を改善して、商品が人民にひとしくゆきわたるようにしなければなりません。公共給食施設を立派にととのえ、給食サービスも活発におこなうべきです。そのためには、公共給食機関に原材料を円滑に供給しなければなりません。

 今年、重工業部門では、既存の土台が効果を発揮できるようにすることに力を入れるべきです。

 既存の重工業の土台が効果をあらわすようにするためには、電力工業と採掘工業を確固と優先させなければなりません。。

 いま、重工業の土台はしっかり築かれていますが、電力、石炭、鉄鋼材が不足して、十分に効果をあらわしていません。電力と石炭、鉄鋼材を多く生産してこそ、人民生活の向上に必要な外貨問題も解決することができます。

 電力工業部門では、火力発電所をフル稼働させ、電力生産を増やすべきです。火力発電所の電力生産が正常化されるよう石炭を十分に供給し、設備の補修に必要な資材もそのつど提供しなければなりません。電力問題さえ解決されれば、鉄道運輸部門と金属工業、機械工業をはじめ、人民経済の各部門を速やかに発展させることができます。

 採掘工業を優先させるためには、この部門に設備と資材を最優先的に提供するという党の方針を無条件実行しなければなりません。監督・統制機関は、採掘工業部門にたいする物資の供給が円滑におこなわれるよう、監督、統制を強めなければなりません。これとともに、採掘工業部門を支援する全社会的運動を強力に展開しなければなりません。

 今年、我々に提起される膨大な経済課題を成功裏に遂行するためには、政務院が経済組織活動と指揮を綿密にしなければなりません。

 国の経済活動の成果いかんは、政務院が経済組織活動と指揮をどのようにするかにかかっています。政務院は、国の経済活動に全的に責任を負う立場で経済組織活動を綿密にし、 指揮を正しくすべきです。

 政務院は、党の路線と政策、社会主義経済法則の要求にそって、科学的な計画と具体的な方法論を立て、仕事の手配を綿密にしなければなりません。軍隊では、ある高地を占領せよという命令を受ければ、彼我の力関係はどうか、主要攻撃方向はどこに定め、陣容編制はどうするか、攻撃の過程で河川や湿地などの障害はどう克服し、当面の任務を遂行したあと後続任務はどのように遂行するか、進出した界線を強固にし、敵の反攻を撃退するにはどうすべきか、といったことを具体的に検討して作戦計画を立てます。これと同じように、政務院でも経済課題が提起されれば、その遂行過程でのさまざまな条件と状況を具体的に見積ったうえで方法論を立て、実行しなければなりません。

 政務院は国の経済司令部なのですから、金日成同志の教示と党の方針として示される経済課題についても責任をもつ立場で実行対策を講じるべきです。金日成同志の教示と党の方針として示される経済課題は党の権威にかかわることなので、何としても実行しなければなりません。だからといって、下部に受け売り式にしたり、むやみに押しつけたりしてはいけません。党の方針にたいする無条件性を口実に、その実行過程で提起されうる問題を検討せず下部に受け売り式に押しつけるのは、責任を回避する行為です。

 金日成同志の教示と党の方針として示される課題のなかには、直ちに実行するには、力に余るものもあり、実行の順序を設定すべき問題などいろいろな問題がありえます。そういう場合は、いま一度実情を正確に報告し、結論を得て処理しなければなりません。できることをできないというのは敗北主義ですが、できないことをできるというのは党を欺くことになります。新たに提起された課題が早急に実行すべき重要な課題であるなら、他の計画指標を後回しにするか削除して、新たに提起された課題を計画に繰り込むこともできるし、緊急な課題でない場合は、条件がととのい次第実行することもできます。

 経済組織活動を正しくおこなううえで、経済作戦局である国家計画委員会が役割を立派に果たすことが大切です。国家の経済活動は、すべて国家計画委員会を通じて人民経済計画に反映されるため、国家計画委員会が経済作戦を綿密に立ててこそ、政務院が経済組織活動と指揮を正しくおこなうことができます。

 国家計画委員会は、人民経済計画を社会主義経済法則の要求と現実の条件に合わせて科学的に立てるべきです。社会主義経済は計画経済であるため、計画を正しく立てるのが何よりも重要です。社会主義社会では計画が正しく立てられなければ、経済活動に混乱をまねくようになります。

 計画化では、生産成長のテンポと均衡の問題を正しく解決することが大切です。生産成長のテンポと均衡は不可分の関係にあり、計画化においてその一方を絶対視してはなりません。均衡を絶対視する場合は、生産成長のテンポを現実発展の要請に即して定める問題と潜在力を余すところなく動員する問題を正しく解決することができず、生産成長のテンポのみを絶対視して主観的に速いテンポを主張する場合は、均衡が破れて生産成長の速いテンポを保障することができません。いま、国家計画委員会では、均衡を考慮せず生産成長のテンポを高めに定める傾向がありますが、それではいけません。社会主義経済法則の要求どおり経済発展の速いテンポを保障すべきだとして生産成長のテンポを人為的に高く設定し、現実性のない計画数字を下部に示達すれば、その計画は遂行されないばかりか、均衡が破れて全般的経済活動に混乱をまねきかねません。生産成長の速いテンポを保障するといって、現実性のない高い計画数字を下部に押しつけるのは、党と国家を欺き、人民を欺く行為です。

 計画の作成にあたって、生産成長のテンポをむやみに高く設定してはなりません。計画化では、生産成長のテンポを現実発展の要請に即して高く設定し、それに合わせて均衡を積極的に調整するのが原則ですが、だからといって現実性のない高い生産成長のテンポを設定してはいけません。社会主義社会では生産がたえず速いテンポで発展するのが法則だからとして、計画化において生産成長のテンポを一律に高く設定しなければならないという法はありません。乗用車も高速道路ではハイスピードで走っても、悪い道では速度を落とさなければなりません。乗用車が道路の具合には関係なくむやみにつっ走っては、途中で故障して目的地まで行き着けなくなります。軍隊でも攻撃のときは電撃的に進撃すべきですが、新たな戦闘をひかえて軍人に餅を供して十分休息させるのが必要なときもあります。人民経済計画の作成においても理屈は同じです。生産成長のテンポは、現実の条件によって高く定めることもできれば、低めに定めることもできます。国家計画委員会は、計画化において、生産成長のテンポを朝鮮革命の要求に即応して最大限に高めながらも、均衡が合理的に保たれるように定めなければなりません。

 計画化において速度と均衡の問題を正しく解決するには、国家計画委員会の活動家のあいだで小心さと要領主義をなくさなければなりません。計画化が難しく、複雑であることは確かです。国家計画委員会の活動家は計画化が難しく複雑であるほど、党と革命への忠実性に徹し、責任をもって仕事にあたるべきです。国家計画委員会の活動家は、全般的な国の経済管理に責任をもつ立場で計画化を緻密にし、仕事の過程で提起される重要な問題はそのつど政務院総理を通して報告すべきです。

 計画化における蓄積と消費間の均衡、生産と建設間の均衡、人民経済各部門間の均衡など種々の均衡問題も一律に処理せず、朝鮮革命の展望的利益と当面の利益をともに考慮して正しく処理しなければなりません。

 計画化において重要なのは、後先の順序を正しく定め、重要部分に力を集中できるようにすることです。

 経済課題のなかには、全般的な人民経済で重要な意義をもつものとそうでないもの、緊急なものとさほど緊急でないものもあるのですから、順序を正しく定めて重要部分に力を集中できるように計画を立てるべきです。経済活動における順序と重点は、党の政策的要求と現実の条件にもとづいて定めるべきです。

 今年、党が人民生活の向上を中心的課題として示している状況のもとで、順川ビナロン連合企業所などでは、第2段階の建設を急ぐよりも第1段階で操業した工程での生産の正常化をはかることが第一義的な問題として提起されます。順川ビナロン連合企業所では第1段階で操業した工程での生産正常化の問題を解決するだけでも大きな成果です。既に、操業した工程での生産も正常化できないのに、第2段階の建設を強硬におし進める必要はありません。したがって、順川ビナロン連合企業所の第2段階の建設を少し延ばしても、既に、操業した工程での生産の正常化に力を入れるべきです。

 国家計画委員会はさしあたり、今年度の人民経済計画を正しく作成すべきです。

 今年度の人民経済計画に予見した指標のうち、一部は現実性の少ないものもありますが、それをそのまま下達しては、工場、企業所で計画どおり実行できないおそれがあります。今年度の計画を具体的に検討し、党の意図どおり調整すべきものは調整し、現実性のある計画に完成して下達すべきです。

 今年、人民生活向上のための投資を増やすためには、建設部門の計画指標を一部調整すべきでしょう。平壌───煕川間高速道路の建設を少々延ばすべきです。平壌───煕川間高速道路の建設は、当分のあいだ供給される鋼材で橋脚などを立て、トンネルを掘るくらいでもよいでしょう。今年度の計画に予見した建設対象のうち、順川ビナロン連合企業所の第2段階工事も後回しにし、そのほかの建設対象もさらに検討してみるべきです。しかし、平壌市に5万所帯の住宅を建設する計画は絶対に修正してはいけません。

 今年度の金属工業部門の計画と機械工業部門の計画も、人民生活の向上に服従させる方向で再検討すべきです。人民生活の向上に必要なら工作機械の生産計画を減らすこともできますが、工作機械は生産し輸出して外貨を獲得する方がよいでしょう。今年、生産される工作機械は、国内に供給できなくても輸出する方向で計画指標を見積もるべきです。国内では工作機械が必要であっても、一年くらいは我慢しなければなりません。

 今年、人民生活の向上にふりむける外貨の源泉を得るには裏付けがなければなりません。計画を調整して鋼材とセメントの源泉を得る場合も、セメント、鋼材の生産計画が遂行されなければ外貨の源泉を得る問題がふいになるおそれがあります。したがって、外貨を獲得する他の方途も考えてみる必要があります。

 人民生活と関連している化学繊維工場をフル稼働させる問題と、水路工事、化学肥料とトラクターの生産など農業と関連した問題も十分に検討すべきです。

 政務院の責任幹部の責任感と役割をさらに高めるべきです。

 特に、総理は、経済司令官として経済組織活動と生産の指揮を正しくおこなうべきです。総理は提起される経済問題を責任をもって検討し、リミットを定めるべきものは明白に定め、棄却すべきことは思い切って棄却すべきです。いったん党の方針が示されれば、それを実行する見地で検討し、決心すべきことは決心すべきであって、優柔不断な態度をとってはいけません。事がうまくいかないことを知りながら決断をくだせないのは、信念のない表現です。総理は、経済活動の過程で困難で複雑な問題に多くつきあたりかねませんが、党の信頼で国の経済管理を任されたことを肝に銘じ、主動的かつ大胆に仕事をおし進めなければなりません。

 政務院の責任幹部は、行政・経済活動だからといって活動を実務的にするのでなく、政治的方法でおこなわなければなりません。困難で複雑な課題が提起されるほど、人びとを啓発し奮起させて、かれらがすすんで課された課題を責任をもって遂行していくようにすべきです。

 政務院の責任幹部は、経済活動で提起される問題について党に事実どおり報告しなければなりません。そうしてこそ、党が正しい対策を講じることができます。政務院では、経済活動で提起される問題をありのままに党に報告しないこともあるようですが、それではいけません。心配をかけまいとして実態をあるがままに報告しないのは、党と領袖に忠実なことではなく、党と領袖の権威を擁護することでもありません。実態をあるがままに報告しなければ結局、党と大衆を遊離させる結果をまねくことになります。事実どおり報告して事がとどこおりなく進むようにする人が忠臣であって、もっともらしい言葉で偽りの報告をする人は忠臣ではありません。実態をありのままに報告し、結論を得て処理する幹部がまさに、革命戦士としての立場と党の原則を守る人です。幹部は、誤りは誤りとして、成果は成果として報告しなければなりません。

 政務院の役割を高めるには、経済活動にかんする問題を政務院に集中させなければなりません。

 いま、少なからぬ機関が、自分の部門や機関の利害関係に合わせて文書を作成し承認を得ようとしていますが、これは非常に正しくない行動です。経済活動にかんする問題はすべて政務院に集中させ、政務院の決断によって処理するようにしなければなりません。国の経済活動にかんする原則的問題はすべて政務院が報告するなり、政務院を通じて報告するなりしなければなりません。党中央委員会の経済担当書記も、経済活動はいっさい政務院に集中させる方向で活動しなければなりません。党中央委員会の経済担当書記は、自分勝手に下部単位に追加的な課題を与えるようなことをしてはなりません。

 経済活動で提起される問題を政務院に集中させるからといって、政務院がすべての事業を掌握して独断専行し、個々の単位の創意を麻痺させてはいけません。国家の中央集権的指導と各単位の創意を正しく結合していくのは、社会主義経済管理の重要な原則の一つです。国家は社会の経済活動全般を統一的に指導すべきですが、だからといって、下部の単位をあまり縛りつけてはいけません。下部単位で創造的に何か一つしようとしても、種々の規定に縛られてできないようにするなら、下部の単位の創意を麻痺させ、社会主義経済制度の優越性を発揮させることができなくなります。

 政務院は、経済問題と関連した法規範と規定を全般的に検討し、下部の単位をあまり縛りつけている条項は修正すべきです。

 計画化においても、個々の単位の創意を無視する行為があらわれないようにすべきです。国家計画委員会は、地方と工場、企業所の意見を無視して独断的に計画を立てたり、計画の一元化、細部化の方針を貫くからといって地方と工場、企業所をがんじがらめにすることがないようにすべきです。

 政務院は、外貨を効果的に利用することにも関心を払うべきです。いま少なからぬ部門では、外貨を効果的に利用していません。外貨は、それをうまく回転させて元金を回収し、生産能力も高めるようにすべきであって、手に入り次第消費してしまってはいけません。政務院が外貨をうまく回転させて拡大再生産をしていたならば、より多くの外貨を獲得することができたはずです。政務院は外貨をやたらに消費せず、うまく回転させて、拡大再生産に大いに役立てるようにすべきです。

 外貨獲得にも力をそそぐべきです。外貨獲得は、基地のある単位に限っておこなわせるべきです。

 科学技術を発展させるのは、経済課題を成功裏に遂行するための最も重要な方途です。現代は科学と技術の時代であり、科学と技術は経済的進歩の基礎です。科学技術を速やかに発展させてこそ、人民経済の主体化、現代化、科学化を実現し、勤労者を骨のおれる労働から解放することができます。すべての経済幹部は、経済建設はすなわち技術革命であるという観点に立って、科学技術の発展に第一義的な関心を払うべきです。

 現在、少なからぬ単位では、少しだけ後押しすれば実現可能な新しい科学技術上の問題も、幹部の無関心のため実現されていません。幹部の間で科学技術を無視する傾向は、設備管理を科学的・技術的要求どおりにしないことにもあらわれています。一部の単位では、公称能力を無視して設備をむやみに酷使しています。公称能力を無視するのは、科学技術を無視することです。機械設備には、いずれも科学的、技術的に定められた公称能力があります。かつて、降仙の労働者が、6万トン能力の分塊圧延機で12万トンの鋼材を生産してチョンリマ(千里馬)の大高揚を起こしたのは、技術を革新し、合理的な生産方法を導入したからです。機械設備の公称能力も考慮せずに酷使しては、10年間使えるものも3年しか使えなくなってしまいます。

 科学研究機関と科学者、技術者は、わが国の実情に合い、国の経済発展に寄与できる科学技術上の問題をより多く解決すべきです。

 工場、企業所でも大衆的技術革新運動を力強くくりひろげ、生産の発展に積極的に寄与する技術革新と創意考案を多く出さなければなりません。同時に、経済幹部は、科学技術上の成果を正しく評価し、新しい科学技術を取り入れるため積極的に努力すべきです。工場、企業所での新しい科学技術の導入を積極的に促すよう、経済的手段を正しく利用する対策も講じなければなりません。

 外国で開発された科学技術上の問題のなかで、わが国の実情に合うものを取り入れる活動も正しくおこなうべきです。しかし、科学技術分野において外国に幻想をいだいたり、外国の科学技術にのみ依存しようとする傾向は警戒しなければなりません。いま、少なからぬ部門では、輸入製品にのみ依存しようとする輸入病がなくなっていませんが、そういう傾向はなくさなければなりません。我々はこれまでと同様、今後とも自力更生、刻苦奮闘の革命精神を高く発揮して、提起される問題を自力で解決する原則を守るべきです。各部門、各単位で、自力更生、刻苦奮闘の革命的スローガンを高くかかげて進むべきです。

 幹部のあいだで、縄張り主義的傾向を一掃すべきです。

 縄張り主義は、利己主義の変種であり、功名主義の一種の表現です。縄張り主義を許せば、人民経済の部門間、工場、企業所間の有機的な連係が保たれず、生産を計画的に、均衡的に発展させることができません。いまは、縄張り主義が甚だしいので、党の方針も満足に実行されていません。最近、党は、炭鉱、鉱山に設備と資材を最優先的に提供するよう強調しましたが、一部の幹部は特殊性を云々して、てんでに設備と資材を横取りしていくので、いまだに炭鉱、鉱山には設備と資材が十分に供給されていません。そのため、採掘工業が優先されず、全般的な人民経済の発展に支障を与えています。

 縄張り主義をなくすためには、幹部が、自分の部門、自分の単位の狭小な利益だけを考える誤った観点を捨てなければなりません。一部の幹部は、自分だけ責任感があるかのように行動し、すべての問題を自分の部門、自分の単位の利益に合わせて解決しようとしていますが、それは国の経済活動に混乱をきたし、事を台無しにする行為です。経済幹部は、自分の部門、自分の単位の利益だけを考えるのではなく、国の全般的な経済管理から先に考えなければなりません。幹部は、たとえ、自分の部門、自分の単位の利益にはならなくても、国の経済管理全般に有益であればいいという観点に立つべきです。党中央委員会の責任幹部も、自分の手提げ袋を別個にもって活動しようとせず、国の経済管理に責任をもつ立場で活動しなければなりません。

 幹部のあいだで縄張り主義を一掃するには、機構も改める必要があります。

 いま、国家計画委員会の機構などは、部門別に細分化されすぎているので、設備、資材の配分問題をめぐって、縄張り主義に陥るようになっています。国家計画委員会の部署の機構は国家的立場で編成されるべきであって、縄張り主義が許されるように編成されてはなりません。国家計画委員会の部署のなかで、統合すべきものは統合する方法で機構を整備するのがよいでしょう。機構を整備すれば、国家計画委員会の計画単位も縮小すべきです。中央資材総連合商社と他の委員会、部の機構もこういう見地で検討し、調整すべきものは調整しなければなりません。

 工場、企業所の販売部署も検討して整備すべきです。最近、特殊単位で機構を自己本位に編成して下達したため、工場、企業所の生産は別段増大されていないにもかかわらず、販売部署とその人数はかなり増えています。工場、企業所の販売部署は一つにし、そこで提起される問題をすべて取り扱うようにするのがよさそうです。

 今日から希望に満ちた新しい年代、1990年代に入ったのですから、すべての幹部は、80年代の垢をきれいに落とし、さっばりした気持ちで新たな覚悟と闘志をいだいて新たな進軍の途につくべきです。

 わたしは、すべての幹部が、党の意図と構想に従い、党活動と経済活動に新たな転換をもたらすことによって1990年代の初年の闘争からまず輝かしい勝利を達成するものと確信します。

 出典:『金正日選集』10巻


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