金 正 日

反帝闘争の旗を高くかかげ、
社会主義・共産主義の道を力強く前進しよう
朝鮮労働党中央委員会の責任幹部とおこなった談話
-1987年9月25日-


 今日、革命の全般的情勢は複雑を極めています。現在、国際舞台における諸般の事態を分析してみると、たんに朝鮮革命だけでなく、世界革命の運命にかかわる深刻な問題をはらんでいます。

 偉大な領袖金日成同志によって切り開かれたチュチェの革命偉業をあくまで継承し完成すべき我々朝鮮の共産主義者には、現情勢の朝鮮労働党に対する正しい見解をもって労働者階級の革命的立場をしっかりと守り、革命の新たな高揚をもたらすべき歴史的な任務が提起されています。

 今日の革命情勢を正しく評価し、革命的立場を堅持するためには、何よりもまず現代帝国主義の実態とその運命に対する正確な認識をもたなければなりません。

 世界帝国主義は第2次世界大戦によって甚大な打撃をうけました。ファシズム・ドイツと日本、イタリアなどの戦敗国が致命的な打撃をうけたのというまでもなく、イギリスやフランスなど連合国側の資本主義列強も戦敗国に劣らぬ大きな被害をこうむりました。一言でいって、第2次世界大戦によって資本主義は著しく弱体化しました。

 しかし、アメリカ帝国主義だけは第2次世界大戦をつうじて莫大な利得にあずかり、急激に肥大しました。戦争の過程でアメリカの国内産業は破壊されなかったばかりでなく、かえって工業生産が二倍以上に成長しました。戦争期間、アメリカは連合国に対する兵器と軍需物資の調達者として軍需産業を大々的に拡張し、余剰商品を高値で実現して暴利をむさぼりました。アメリカは戦争を契機に、世界最大の債権国となりました。

 こうしてアメリカ帝国主義は経済的にも、軍事的にも、資本主義世界で圧倒的地位を占めるようになり、それは第2次世界大戦後の資本主義世界の変化過程を規定づける主な要因となりました。

 第2次世界大戦後、アメリカの独占資本家にとって、法外に拡張された軍需産業をいかに維持し、莫大な余剰資本をいかに処理するかが死活的な問題となりました。

 アメリカ帝国主義者は、拡張された軍需産業を維持する口実をもうけるため「共産主義の脅威」について喧伝し、「自由世界」を守るという看板のもとに社会主義諸国に反対し、国際緊張を激化させる冷戦政策を実施しました。これがほかならぬ「トルーマン・ドクトリン」でした。他方、アメリカ帝国主義者は経済恐慌を切り抜け、余剰資本を処理する方策として、破壊された経済を復興するための「援助」という名目のもとに、ヨーロッパの主要資本主義諸国に投資してこれらの国の経済を掌握する政策を実施しました。これが「マーシャル・プラン」でした。

 こうしてアメリカ帝国主義者は、資本主義世界を軍事的に掌握し、経済的に自己の統制下にいれるようになり、成長する社会主義勢力を牽制し、世界制覇の野望を実現するための侵略政策をますます追及するようになりました。

 アメリカの独占資本は、発達した技術と優秀な経済力によって資本の対外進出を強め、各国に子会社を設置する方法で多国籍企業をつくりだしました。1960年代に入って、他の発達した資本主義諸国でも多国籍企業が多数出現しました。こうして資本の国際化が急速に推進され、アメリカをはじめ、発達した資本主義国の多国籍企業は資本主義世界の経済を牛耳るようになりました。

 多国籍企業による資本の国際化が急速に推進されるにともなって、資本主義諸国の相互関係には新たな変化が生じました。

 第2次世界大戦以前、資本主義列強は商品市場と勢力圏を争奪するための激しい競争をくりひろげ、それは破壊的な武力衝突や戦争にまで拡大しました。第1次世界大戦や第2次世界大戦はいずれも、資本主義列強の激化した矛盾と対立の爆発であったといえます。しかし第2次世界大戦後、資本の国際化が促進されるにつれ、資本主義列強は経済的、技術的に相互に依存し、結託するようになりました。資本主義列強はかつては互いに競争し打ち負かすことに大きな力を消耗したとすれば、このときからは社会主義に反対し、資本主義的搾取と略奪を強化するため協力しあうようになりました。資本主義列強間の関係が、必死になって角逐する関係から互いに結託し協力する関係にかわったことは、第2次世界大戦後、資本主義世界で起こった最も大きな変化だといえます。もちろん、資本主義列強間に矛盾がないわけではありませんが、現在、その矛盾は二次的なものとなり、むしろ結託関係が主なものとなっています。第2次世界大戦後今日にいたる40余年間、 170回以上の大小の戦争が起きましたが、資本主義列強間の戦争は一度もなく、かえって軍事ブロックをつうじて資本主義列強間の軍事的な結託関係がさらに強化されました。

 アメリカ帝国主義を中心に資本の国際化が促進され、世界帝国主義が結託する方向で再編された結果、滅亡に直面していた資本主義は復活し、経済的、技術的に急速な発展をとげました。

 第2次世界大戦後、帝国主義者は政治、経済、軍事の各分野で互いに結託したばかりでなく、その支配方法と略奪方法もいっそう狡猾になりました。これがまた現代帝国主義の重要な特徴の一つです。

 帝国主義者は、社会主義勢力の急激な成長と労働運動、植民地民族解放運動の高揚に大きな脅威を感じざるをえなくなりました。それで帝国主義者は、社会主義の影響力を弱め、労働運動と植民地民族解放運動をなだめるために、より狡猾な新しい支配方法と略奪方法を考案しました。

 国内の労働運動を瓦解させることなしには資本主義体制そのものの維持が不可能であることを切実に感じた帝国主義者は、労働貴族を大々的に育てる一方、資本主義的搾取をおおいかくし、失業と貧困による勤労者大衆の抵抗をなだめることに力を傾注しました。

 帝国主義者は、植民地に対する略奪の方法も変えざるをえませんでした。帝国主義の生命線はあくまでも植民地を搾取し略奪するところにあります。第2次世界大戦の結果、民族解放運動がかつてなく高揚し、植民地体制が崩壊して、帝国主義は致命的な打撃をうけました。帝国主義者は失った植民地を取り戻すため、狡猾な新植民地主義的方法を追及しました。帝国主義者は、むきだしの強圧的な方法によって植民地を支配し略奪した以前とは異なり、新興独立諸国と発展途上諸国の自主権を名目上認め、「援助」を提供する方法でこれらの国を政治的、経済的に従属させ、搾取と略奪を強行しました。

 新植民地主義は、帝国主義者が発展途上諸国に容易に浸透できる方法となりました。帝国主義列強は、かつては植民地をめぐってはげしい争奪戦をくりひろげましたが、新植民地主義に依拠するようになってからは共謀結託して発展途上諸国に浸透し、特に「援助」をエサにしてこれらの人民の抵抗をおさえ、容易に商品市場と原料資源を手に入れることができました。

 資本主義諸国が経済的、技術的に結託し、発展途上諸国の膨大な市場と原料資源を掌握するようになった結果、資本主義世界では生産の社会的水準が急激に高まり、生産と技術は急速な発展をとげるようになりました。

 資本主義世界におけるこのような変化は、帝国主義の代弁者たちに、資本主義の矛盾は解決され、資本主義はもはや滅びゆく資本主義ではなく、成長し繁栄する資本主義であるとうそぶく口実を与えました。

 しかし、資本主義の基本的矛盾は決して解決されたのではなく、帝国主義の略奪的本性が変わったわけでもありません。資本はいくら国際化されようと、資本以外の他のものにはなりえません。多国籍企業は、世界的範囲で資本主義的搾取を強化し、帝国主義の支配権を保障する大独占資本の存在方式にすぎません。変わったのは資本主義的搾取と略奪の方法がより狡猾になったことであり、資本主義の矛盾が国内の範囲から国際的な範囲にさらに拡大されたことです。資本主義的搾取によって、以前は個々の資本主義国の範囲で「富める者はますます富み、貧しき者はますます貧しくなる」傾向が支配したとするなら、今では世界が富める資本主義諸国と貧しい発展途上諸国とにわかれ、世界的な範囲で「富める者はますます富み、貧しき者はますます貧しくなる」傾向が強まっています。

 今日、資本主義世界の矛盾はいっそう激化しており、帝国主義は政治的、経済的に深刻な危機にさらされています。

 帝国主義者の新植民地的搾取と略奪によって、発展途上諸国の民族産業はますます没落し、人民の貧困化はいっそう深まり、これらの国の対外債務は日を追って増大しています。発展途上諸国では、資本主義商品に対する購買力が減退し、対外債務に対する支払い能力が弱まっています。これは、発展途上諸国を犠牲にして肥え太ってきた帝国主義列強にとって打撃とならざるをえません。

 資本主義の発展は市場の拡大を前提とします。ところが、発展途上諸国が商品市場と資本投下地として限界にいたるようになって、帝国主義者は発展途上諸国において余剰商品を実現することがむずかしくなり、これらの国に対するクレジット(借款)をしだいに減らさざるをえなくなりました。これは発展途上諸国の経済状態をさらに悪化させただけでなく、発達した資本主義諸国における生産の制限を余儀なくさせました。現在、発達した資本主義諸国では、互いに生産を制限しようとする深刻な争いがくりひろげられています。資本主義諸国の技術は絶えず発展するのに、生産を制限するので失業者群の増大と通貨膨張を防ぐことができなくなりました。今日ヨーロッパの主要資本主義諸国では失業率が12~13%に達しており、通貨危機が資本主義世界を襲っています。

 資本主義の危機は、世界帝国主義の頭目であるアメリカの地位が日増しに低落していることに明白にあらわれています。

 アメリカは今日、資本主義列強が直面している共通の危機に見舞われているだけでなく、資本主義世界で占めてきた支配的地位をしだいに失うことによって苦境にたたされています。ヨーロッパ資本主義諸国と日本の経済が発展し、アメリカの経済的支配権が弱まるにつれて、アメリカ帝国主義者は資本主義世界に対する支配権を維持し、ふくれあがった大軍需独占体の利潤を保障するため、経済をいっそう軍事化する方向に進んでいます。そのため、国家予算の赤字が途方もなく増大して対外債務がふえ、ついにアメリカは世界最大の債務国に転落しました。

 アメリカでは、軍需独占体が軍需産業を引き続き拡張してより多くの利潤を得ようとしている状況のもとで、経済の軍事化をくいとめることはできません。今、アメリカは核兵器削減の交渉に応じていますが、これは決して、アメリカの独占体が軍事産業拡張の要求を放棄したことを意味するものではありません。アメリカの軍需独占体は、すでに生産して売り渡した核兵器の削減には直接の利害関係をもたないとしても、核兵器の生産制限または禁止については決して容認しようとしません。したがってアメリカは、核兵器削減のための交渉に応じながらも、数兆ドルの膨大な軍事費を要するという無謀な「スターウォーズ」計画を引き続き推進させています。アメリカは毎年増大する膨大な軍事費の負担から抜け出すことはできず、アメリカの予算赤字と対外債務はますますふくれあがらざるをえません。これは結局、アメリカの経済を抜き差しならぬ破局に追い込むようになるでしょう。

 帝国主義者が政治的・経済的危機から抜け出す正しい道は、何よりも発展途上諸国を新植民地主義的方法で搾取し略奪する旧国際経済秩序をすてて公正な新国際経済秩序をうちたて、これらの国の経済・技術の発展を可能にすることです。

 膨大な天然資源と人的資源をもっているアジア、アフリカ、ラテンアメリカの発展途上諸国の経済が発展してこそ、発達した資本主義諸国の市場問題が解決されます。発達した資本主義諸国がいきのびる道はこれ以外にありません。しかし帝国主義者は、その搾取的本性からして、新国際経済秩序をうちたてようという発展途上諸国人民の要求を受け入れようとせず、依然として新植民地主義的搾取と略奪に汲々とし、自滅の道を歩んでいます。

 今後、帝国主義列強間の矛盾と対立もいっそう激化するでしょう。今日、帝国主義列強はその独占的地位を維持するため互いに結託してはいるものの、市場がさらに狭くなり、資本の増殖と蓄財の道がとざされるようになると、彼ら相互間の利害が対立し、矛盾が激化することは疑う余地もありません。割前が少なくなれば、狼は互いにかみつきあうものです。

 現代帝国主義はまた、滅亡から抜け出しがたい自分自身の深刻な内部矛盾をかかえています。

 今、発達した資本主義諸国は外見上、繁栄しているように見えますが、内実は日ごとに深まる矛盾によって腐朽しつつあります。

 資本家は、商品の販路がしだいにとざされていくにつれ、非人間的な需要を人為的につくりだし、人々の物質生活を奇形化する方面に進めています。資本家によって奢侈と腐敗堕落した生活が助長され、人間の肉体と精神を麻痺させるいろいろな手段がつくりだされた結果、麻薬中毒患者やアルコール中毒者、変態的欲望を追い求める堕落分子が日を追って急激にふえており、人々は精神的・肉体的障害者にかわりつつあります。これについてはブルジョア弁護人たちでさえ、いやすことのできない現代資本主義の癌疾であると慨嘆しています。

 資本家は、勤労者大衆の自主的な思想・意識を麻痺させ、人々を資本主義的な搾取制度に従順に従わせるため、反動的で反人民的な思想と文化、腐りきったブルジョア的生活様式をヒステリックにまきちらしています。資本主義諸国では、各種の反動思想と迷信が流布されて麻薬のように人々の健全な精神を麻痺させ、人々を蒙昧にしており弱肉強食の生活方式が助長されて不倫・背徳と殺人、強盗などの社会悪がはびこり、人々を恐怖と不安におののかせています。こうして資本主義社会においては、物質富がますにつれて、人々の精神生活はますます貧困化しています。

 資本家階級は、日増しに危うくなっていく彼らの特権的地位を維持するため、大衆を懐柔、欺瞞、買収する狡猾な策動にとりすがる一方、反動的な支配機構をファッショ化し、侵略と戦争政策をさらに強化する道につき進んでいます。

 物質生活における奇形化、精神・文化生活における貧困化、政治生活における反動化、これがまさしく現代帝国主義の反人民性と腐朽性を示す資本主義社会の基本的特徴であるといえます。

 人間は、豊かな物質生活を営みながら肉体的に健康に暮らし発展することを求めるだけでなく、みちたりた精神生活を享受し、精神的、文化的に発展することを求めます。人間は物質的に、精神的、文化的に裕福に生活することを望むとともに、社会の平等な主人としてお互いに結びつき、永遠に生きる社会政治的生命をもって生き、発展することを求めます。これは社会的人間の本質的要求であるといえます。

 社会的人間の本質的要求にそくして社会生活を発展させるためには、物質生活が豊かになるにつれて人々の精神・文化生活と政治生活を発展させなければなりません。しかし資本家は、人々が腐りきった物質生活と金銭の奴隷になることを求めるので、精神・文化生活を豊かにすることには金を使おうとしません。かえって彼らは、勤労者の精神的・文化的発展を阻害するために莫大な金を費やしています。また資本家は、勤労者大衆の政治的地位と役割の向上は彼らの政治的支配を危うくするので、勤労者の政治生活の発展を極力おさえようとしています。資本主義社会の人々は、ますます金品の奴隷になりさがっており、政治的生命を抑圧されています。

 資本主義社会では、物質生活における不平等をなくすことができないばかりでなく、高まる物質生活と貧困化する精神・文化生活のあいだの不均衡、人民大衆の高まる自主的要求と悪化する政治生活のあいだの不均衡を克服することができません。このような不平等と不均衡をなくし、勤労者大衆の物質生活と精神・文化生活を等しく均衡的に発展させるためには、社会主義の道に進まなければなりません。しかし、帝国主義者はその階級的本性からして資本主義をすてようとしないばかりか、人間の自主的本性に反してますます反動化しています。

 今日、資本主義社会では不平等と不均衡が深まり、帝国主義の反動性と反人民性が強まるにつれ、自主的に生き、発展することを求める人民大衆と資本家階級との矛盾はさらに深化しており、資本主義は破滅の道をひた走っています。

 現代帝国主義は対外的にも対内的にも窮地に追いこまれており、日増しに激化する破滅の危機から抜け出そうとあがいています。

 アメリカ帝国主義者と国際反動層は、平和と進歩のとりでである社会主義諸国に攻撃の矛先を集中しており、自主性を志向する世界の進歩的人民の闘争を抹殺しようと恥知らずな策動をしています。金日成同志が述べているように、今日、帝国主義者は片手では核兵器をふりまわし、片手では財布をちらつかせて踊りまわっています。軍事的には脅迫し、経済的には買収して従属させ、思想的、文化的には瓦解させる方法で社会主義諸国人民と世界の進歩的人民を屈服させようとする社会主義者の策動は、いっそう悪辣さと狡猾さを増しています。

 元々、帝国主義は、危機に瀕するほどその反動性と侵略性を強め、自己の生存を維持するために狂奔するものです。帝国主義者の狂気じみた策動は彼らの強大さを示すものではなく、脆弱さを示すものです。帝国主義者が反動化してやっきになればなるほど、人民大衆は革命的にめざめ、帝国主義の滅亡の日はますます近づいてくるでしょう。

 現代帝国主義が臨終に近づいているのは厳然たる事実であり、帝国主義が滅亡し、社会主義が勝利するのは歴史的必然性であります。

 しかし、帝国主義はおのずと滅亡するのではありません。帝国主義は、ひとえに労働者階級を先頭とする勤労人民大衆の革命闘争によってのみ滅亡するものです。

 帝国主義を滅亡させ、革命の勝利を達成するうえで決定的意義をもつのは、革命の主体的力量をしっかりと整えることです。特に、革命の前衛部隊である労働者階級の党を強化し、その役割を高めることが重要です。

 革命勢力を強化するためには、社会的・階級的構成における変化について正しく分析、評価しなければなりません。

 第2次世界大戦後、資本主義諸国では社会的・階級的構成に大きな変化が起こりました。発達した資本主義諸国では技術が発達し、生産の機械化、オートメ化が推進されるにしたがって、肉体労働に従事する勤労者の数が著しく減り、技術労働と精神労働に従事する勤労者の隊伍が急激にふえ、勤労者の隊伍において彼らは数的に圧倒的比重を占めるようになりました。

 社会の発展に伴って勤労者の技術、文化水準が高まり、知識人の隊伍がふえるのは合法則的現象だといえます。

 もちろん、知識人の隊伍が急速に拡大すれば、勤労者のあいだで小ブルジョア思想の影響が増大するのは確かです。特に、革命的教育を系統的にうけることのできない資本主義制度のもとで、多数の知識人がブルジョア思想と小ブルジョア思想に毒されるのは避けがたいことです。それゆえ、彼らを革命の側に獲得することは困難な問題となります。だからといって社会的・階級的構成におけるこうした変化が、共産党、労働者党の社会的・階級的基盤の弱化を意味したり、社会主義革命に不利な条件とみなすことはできません。技術労働にたずさわる勤労者であれ、精神労働にたずさわる勤労者であれ、彼らはいずれも生産手段の所有者ではありません。技術労働や精神労働をする勤労者と肉体労働をする労働者とでは技術・文化水準や労働条件においてある程度の差がありますが、彼らはいずれも資本家に雇われ、賃金をもらって生きているという点で本質的な共通性をもっています。

 今日、発達した資本主義諸国で、従来の意味での労働者大衆と新しくふえた技術労働や精神労働にたずさわる勤労者をあわせれば、資本家に雇われている勤労者の数は、職業をもつ全住民の80~90%をしめます。これは、共産党、労働者党の社会的・階級的基盤が弱くなったのではなく、むしろ拡大したことを示しています。

 問題は、社会的・階級的構成の変化した現実に即応して、共産党、労働者党が広範な勤労者大衆を革命化し、獲得するための政治活動をいかにおこなうかにあります。

 勤労者大衆は自然成長的に革命に参加するものではありません。労働者階級も階級的にめざめてはじめて革命に参加することができます。

 労働者階級をはじめ勤労者大衆を革命的にめざめさせることは、今日いっそう切実な問題として提起されています。

 今日の労働者階級は、かつてのような無産階級であるとばかりみなすことはできません。社会主義社会の労働者階級が無産階級でないのはいうまでもないことであり、発達した資本主義諸国の労働者階級も、マルクス主義の創始者たちが、失うものは鉄鎖のみであると言った、かつての無産者とは異なります。革命に参加できるかどうかは、無産者か有産者かということだけにかかっているのではありません。

 人間は飢餓と貧困に耐えられないという理由のみで革命に参加するものとみなしてはなりません。自己の運命の主人として、国家と社会の主人として生きようとするのは、自主的人間の根本的要求です。金日成同志が教えているように、自主性が踏みにじられるところには抵抗があり、抵抗があるところには革命闘争がおこるものです。

 解放前、日本帝国主義の支配のもとで、我が国の知識人も、一般労働者に比べては高い待遇をうけ、比較的裕福な暮らしをしました。しかし彼らは、植民地の知識人として民族的差別をうけたので、反帝的な革命性をもっていました。

 今日、発達した資本主義諸国で、技術労働や精神労働にたずさわる労働者の生活水準が高くなったとはいえ、彼らは依然として資本主義的搾取と抑圧のもとにあるため、資本主義制度に対して反感をいだいており、資本の支配から解放されて自主的に生きることを要求しています。自主的に生きることを要求するということは、すなわち社会主義を志向することを意味します。実際上、資本主義国の知識人で、いっときなりとも社会主義に共鳴しない人はほとんどいません。彼らが引き続き社会主義をめざしてたたかっていけないのは、社会的・階級的立場の制約というよりは、むしろ彼らを思想的に正しく教育し導いていない事情と関連しています。

 勤労者大衆を革命化し、獲得するうえで、主体はあくまでも労働者階級の党です。党を組織的、思想的に強化し、現実の要求にそくして党活動の方法を改善することなしには、大衆を意識化、組織化して党の周りに結集することができず、革命勢力をしっかりと固めることもできません。党を強化し、大衆を党の周りに結集して、革命の主体的力量を強化する活動を優先させずに、革命の成果を期待するのは、あたかも果樹の手入れもせずに果実を摘もうとするに等しい愚かなことです。

 党を強化するためには、何よりもまず、思想と指導の唯一性を保障する原則で党を建設しなければならず、党が知識人を含めた広範な大衆のなかに根をおろし、彼らを革命へと導く新しい指導思想、指導理論をもたなければなりません。革命理論は独断的な主張ではなく、行動の指針です。人民大衆の自主的地位と決定的役割に関する理論に基づいて、変化した現実にそくして革命理論を発展させ、党活動の方法を不断に改善していかなければなりません。このようにすれば、各階層の広範な大衆を革命化し、獲得し、革命を新たな高揚へと導くことができるでしょう。

 我々は滅亡を前にして虚勢をはり、狂気になっている現代帝国主義の正体をみきわめ、その滅亡の不可避性を確信しなければなりません。そうしてこそ、革命勝利のかたい信念と楽観をもって、革命的立場を堅持していくことができます。

 今日の革命情勢を正しく評価し、革命的立場を堅持するためにはまた、社会主義の優位性とその勝利の必然性に対する確固たる認識をもたなければなりません。

 我々は、第2次世界大戦後の歴史的発展の過程を、社会主義の勝利の歴史として考察すべきです。

 第2次世界大戦でファシズム・ドイツと日本帝国主義が敗退し、ソ連が勝利したのは社会主義の偉大な勝利であり、これは帝国主義にとって甚大な打撃でした。

 第2次世界大戦の結果、ヨーロッパとアジアの多くの社会主義国が新たに出現して、社会主義が世界的体制に発展し、今日、アジアとヨーロッパ、ラテンアメリカとアフリカの多くの国が社会主義を志向しています。社会主義の牽引力はかつてなく強まり、社会主義は世界の進歩的人民の希望の灯台となっています。

 社会主義の発展過程はもちろん平坦なものではありませんでした。新しいものの誕生と勝利は常に陣痛を伴うものです。

 社会主義諸国は、前人未踏の新しい道を開拓する過程で、さまざまな難関を克服しなければなりませんでした。

 資本主義から社会主義への移行は、人類史の発展過程における最も深刻な社会変革です。社会主義は、数千年ものあいだ積もりつもったあらゆる歴史の汚物を一掃する長期間の困難な闘争をつうじて、自己発展の新たな道を開拓しなければなりません。そのうえ、世界に帝国主義が存在している状況のもとで、社会主義の勝利をめざすたたかいは、内外の敵とのするどく複雑なたたかいを伴うようになります。

 社会主義諸国は元来、立ち遅れた経済と技術をひきついだにもかかわらず、最初から経済建設に力を集中することができませんでした。政権を掌握した労働者階級には、何よりもまず古い搾取制度を一掃し、新しい社会主義制度を樹立する深刻な社会的変革を実現し、反革命から革命を守りとおすことが差し迫った課題として提起されました。最初の社会主義国であるソ連をみても、資本主義の包囲のもとで社会主義制度の勝利を保障するための困難かつ複雑なたたかいをくりひろげ、ついで第2次世界大戦の重い負担をになうことになりました。ソ連は戦後も、帝国主義の冷戦政策に対処して、社会主義を守るため国防建設に大きな力をそそがなければなりませんでした。社会主義諸国の人民は、帝国主義者の軍事的脅迫と経済封鎖策動に対抗して社会主義を建設し、革命を守るためにたたかう一方、世界革命運動と新社会の建設をめざす世界の進歩的人民のたたかいを支援するのにも大きな力を傾けなければなりませんでした。

 こうした事情を考慮にいれるなら、政治生活と思想・文化生活の分野はいうまでもなく、経済建設分野においても社会主義諸国の達成した成果は並大抵のものではないといえます。最初の社会主義国が出現して以来、今日に至る半世紀余りの期間に、社会主義諸国は、資本主義のもとでは数百年かかっても到達できない経済的、科学技術的進歩をとげ、今後、より早い発展をとげる土台をしっかりと築きあげました。

 社会主義が資本主義とは比べようもない大きい優位性と不抜の生命力をもっていることは、すでに歴史的実践をつうじて実証されました。

 人民大衆が等しく国家と社会の主人として、自主的で創造的な生活を思う存分享受できる社会主義的生活と、人間が金銭の奴隷となって一個人の享楽のみを追及する資本主義的生活とを対比すれば、天と地のような差があります。こういう差をみることのできない人は、ブルジョア思想に毒されて人間の理性が麻痺した人です。

 これから社会主義がさらに深く根をおろし、旧社会の遺物が一掃されて、人民の政治的・思想的統一と創造的威力が強まるにつれ、社会主義制度はその優位性をいっそう高度に発揮するようになり、近い将来に経済・技術面においても、社会主義諸国が発達した資本主義諸国をはるかにしのぐようになることは明らかです。

 もちろん、これまで社会主義諸国では、社会主義制度の優位性を十分に生かしてきたとはいえません。

 はっきりいって、社会主義諸国では新しい社会制度の管理・運営において左右の偏向もおかしました。社会主義制度の樹立過程にも偏向はあらわれましたが、特に社会主義制度が樹立されたのち、革命と建設をいかにおし進めるかという新しい問題を解決するうえで、深刻な欠陥があらわれました。また、革命と建設がおし進められる歴史的条件が互いに異なる社会主義諸国相互間の関係を処理するうえでも、一連の重大な偏向があらわれました。これらのことは、社会主義のイメージをくもらせる結果をもたらしました。

 社会主義諸国にあらわれたこのような偏向は、決して社会主義制度の本性とはゆかりのないものです。それはあくまでも、社会主義制度を管理・運営する人々の経験が浅く、政治的、思想的にしっかりと準備されていなかった事情と関連しています。

 社会主義と資本主義のたたかいは、新しいものと古いもののたたかいです。新しいものが勝利し、古いものが滅亡するのは歴史発展の動かすことのできない法則です。新しいものの勝利が紆余曲折をへることはあっても、歴史のこの法則は決してかわりません。

 人類お歴史発展過程は、歴史の主体である人民大衆の自主性が実現されていく過程です。歴史の発展過程で人民大衆の自主性の実現に寄与するのはまさしく新しいものであり、反対に人民大衆の自主性の実現をおさえるのは古いものです。資本主義は封建的身分制度を撤廃し、ブルジョア的自由と平等を実現したという点で、封建主義にくらべて新しいものでした。しかし資本主義は、封建的従属からだけでなく、資本主義的搾取と抑圧からも脱し、社会の完全な主人になろうとする人民大衆の自主的要求を抑圧することによって、歴史発展に逆行する古いものになりました。利潤を追求しない資本家がありえないように、勤労大衆を搾取し抑圧しない資本主義はありえません。

 搾取と抑圧から脱し、国家と社会の完全な主人となろうとする人民大衆の要求を実現する道は、社会主義の道以外にありません。資本主義は、それをいくら粉飾しても、搾取社会の古い枠をこえることができません。ただ社会主義社会でのみ、人民大衆は政治、経済、文化のすべての分野で完全に主人の地位をしめ、主人としての役割を果たすことができます。社会主義社会こそ、人民大衆の自主的本性と社会発展の要求に適応した新しい社会です。

 古いものが新しいものの仮面をかぶることもあり、死に瀕したものが一時よみがえるかのようにみえることもありますが、古いものは死滅する運命にあるので、前途がありません。革命家は一時的な現象にまどわされることなく、新しいものと古いものとをはっきりと識別し、新しいものは必ず勝利するという確信をもって、社会主義の勝利のために最後までたたかわなければなりません。

 労働者階級の革命的立場を断固と守り、社会主義の道を最後まで進むためには、社会主義社会発展の現実的要求にそくして党の指導的役割を高めなければなりません。

 社会主義諸国では、社会主義建設がおし進められるにつれ、労働者階級と勤労者大衆の物質・文化・技術水準が全般的に高まり、知識人の隊伍が著しく増大しました。社会主義が共産主義の高い段階に接近すればするほど、肉体労働と精神労働の差がちぢまり、全社会が知識人化されるのは合法則的なことです。だからといって、社会主義社会の労働者階級的性格がかわるものではありません。社会主義社会の変化発展過程は、階級的差がしだいに消滅し、全社会が労働者階級化される過程です。社会主義社会の知識人は、精神労働に従事する労働者階級であるといえます。社会主義社会が発展するほど、社会主義社会の労働者階級的性格は弱まるのではなく、反対にさらに強まります。

 社会主義社会は、労働者階級本来の要求を具現した社会です。労働者階級本来の要求は、利己主義に反対し、集団主義に基づいて全人民大衆の自主性を完全に実現するところにあります。労働者階級本来のこのような要求は、自主性を志向する人類共通の念願と合致します。

 社会主義社会が労働者階級本来の要求を具現した社会である以上、社会主義、共産主義建設は、必ず労働者階級の前衛部隊である党の指導によってのみ実現されます。社会主義、共産主義建設が進捗すればするほど、党の指導を弱めるのではなく、反対にいっそう強化しなければなりません。党の指導を抜きにしては、人民大衆の思想、意志の統一が保障されず、社会主義に固有の集団主義的優位性を発揮させることができず、共産主義への前人未到の道を切り開いていくことができません。

 党の指導を強化するということは、革命と建設において労働者階級の革命的原則を堅持しながら、発展する現実の要求にそくして党活動の水準を高めていくことを意味します。党が発展する現実をみず、古い理論と方法を引き続き踏襲するときは、教条主義、主観主義の誤りをおかし、変化した現実を口実に労働者階級の革命的原則から逸脱するときは、修正主義、改良主義の誤りをおかすようになります。

 社会主義建設を指導する労働者階級の党は、当然、党活動を改善、強化して、革命の主体をうち固め、その役割を高めることに全力を集中すべきです。

 革命の主体を強化し、その役割を高めてこそ、自然と社会を改造する事業を成功裏に進めることができ、敵とのたたかいで勝利をおさめることができます。社会主義制度の優位性を高く発揮させるうえでも、社会主義の物質的・技術的土台をしっかりと築き、社会主義経済の管理方法を改善していくことはもちろん重要ですが、より重要なのは革命の主体を強化することです。経済と技術を発展させるのも人間であり、社会主義制度を管理、運営するのも人間である以上、革命の主体を強化しないことには、社会主義制度の優位性を発揮させることはできません。

 革命の主体を強化してこそ、帝国主義の思想的・文化的浸透も防ぐことができます。金日成同志は、身体をしっかりと鍛えた人は外部から病菌が入ってきても病気にかからないと教えています。帝国主義者の狂気じみた策動がいかに甚だしいものであっても、革命の主体的力量をうち固めれば、修正主義、改良主義も頭をもたげることはできません。

 我々は常に、革命と建設の勝敗の根本的要因を客観的条件に求めるのではなく、主体に求め、革命と建設をおし進めていく根本的方途も、主体を強化し、その役割を高めることに求めるべきです。

 革命の主体を強化するためには、その中核力量であり指導的力量である、党から強化しなければなりません。

 党が思想的に健全であってこそ、大衆が思想的に健全であり、党が思想的に病めば大衆も思想的に病むようになります。党が団結してこそ大衆が団結し、党が分裂すれば大衆も分裂します。したがって、党の革命思想の純潔を保ち、思想・理論水準を絶えず高め、党の組織的・思想的統一と団結を強化することに第一義的な力を傾けなければなりません。

 革命の主体を強化するためにはまた、広範な大衆を革命化し、党の周りにしっかりと結集しなければなりません。

 社会主義建設が推進され、人々の物質・文化生活と文化・技術水準が高まるにつれ、それに即応して人々を労働者階級の革命思想で教育する活動を深化させるべきです。こうしなければ、人々の意識に空白が生じ、ブルジョア思想が浸透しかねず、社会主義、共産主義に対する信念を失って革命を放棄する現象があらわれかねません。

 主体の役割を絶えず高めることは、革命と建設を力強くおし進めるうえで決定的な意義をもちます。

 革命と建設の各分野に対する党の統一的指導を徹底させる基礎のうえで、革命的大衆路線にそって、大衆の創造的熱意と積極性を最大限に発揮させるべきです。社会主義、共産主義建設は人民大衆のための事業であり、人民大衆がなすべき事業であるため、社会主義建設をおし進めるうえで大衆の自覚と献身性をふるいおこす以外に他の方法はありえません。これ以外のところになんらかの妙策を求めようとするなら、結局は社会主義とゆかりのない資本主義的方法に頼るようになり、そうなれば社会主義建設でとりかえしのつかない重大な結果を招くでしょう。

 我が党が、史上類例のない困難かつ環境のもとでも、革命と建設を成功裏に導いてくることができたのは、終始一貫、革命の主体をうち固め、その役割を高めてきたからです。

 世界帝国主義の元凶であるアメリカが国土の半分を占領し、我が共和国に対する侵略策動を絶えず強行している困難な状況のもとで、朝鮮人民は自主的に社会主義を建設し、帝国主義の侵略策動をしりぞけて祖国を統一するという二つの課題を同時に遂行しています。現在、朝鮮人民は二重三重の重荷を背負ってたたかっています。にもかかわらず、我が党が常に必勝の信念をもち、革命的立場を堅持しつづけているのは、ほかならぬ朝鮮革命の主体がうち固められているからです。

 金日成同志はつとに、朝鮮革命と世界革命運動の歴史的経験を科学的に総括したうえで、新たな現実に即応してマルクス・レーニン主義の革命理論を創造的に発展させ、不滅のチュチェ思想を創始して、革命運動をたえまない高揚へと導く現代の指導指針をうちだしました。金日成同志は、主体的な党建設の原則に基づいて党を組織的、思想的に強固に築き、党と大衆との血縁的つながりを各面から強化し、革命と建設の各分野で党の指導的役割を絶えず高めて、朝鮮革命を輝かしい勝利へと導きました。

 金日成同志は、社会主義を建設するためには共産主義の物質的要塞とともに、必ず思想的要塞を占領しなければならず、そのためには社会の主人である人々を共産主義的に改造する活動を優先させる原則で思想、技術、文化の三大革命を強力にくりひろげるべきであると教えています。こうして、社会主義制度の樹立後、革命を続けて共産主義偉業を完成させる正しい道が史上はじめて明らかにされました。

 我が党は、金日成同志が明らかにした道にそって前進することにより、いかなる偏向もおかすことなく社会主義を成功裏に建設しており、社会主義制度の優位性を高度に発揮させています。

 我が党は終始一貫、反帝闘争の革命の旗を高くかかげ、帝国主義者の侵略と戦争策動に反対して断固たたかい、社会主義の東方のとりでを固く守っています。

 アメリカ帝国主義者は、その最大の同盟者である日本と隣接し、アジア大陸の要衝にある南朝鮮の戦略的意義を重視して、南朝鮮を核軍事基地にかえ、我々に軍事的圧力を加えるだけでなく、日本帝国主義をはじめ世界の反動派を糾合して、南朝鮮を社会主義に反対する経済的・政治的基盤にし、朝鮮半島で資本主義の「優位性」を誇示しようとあらゆる策動をおこなっています。アメリカ帝国主義者とその手先の狂気じみた策動にもかかわらず、我が共和国は微動だにせず社会主義の道を力強く前進しており、これに励まされた南朝鮮人民は反米・自主化、反ファッショ・民主化の闘争を果敢にくりひろげ、南朝鮮におけるアメリカ帝国主義の植民地支配を大きくゆさぶっています。大きくない我が国が、帝国主義の連合勢力と対決して社会主義建設を成功裏に進め、自主性を堅持している事実は、資本主義に対する社会主義の絶対的優位性と不抜の生命力を如実に示すものです。

 現代は決して帝国主義に有利な時代ではなく、帝国主義の滅亡が近づいており、世界各国の人民が社会主義の道、自主の道を力強く前進している歴史的な転換の時代です。

 現代は、世界の革命的人民が、滅亡に瀕して狂奔する帝国主義を決定的に打ち破り、自主的な新しい世界を創造するたたかいにこぞって立ち上がることを要請しています。帝国主義に反対し、自主性を擁護することは、今日、世界の革命的人民に提起されている共同の闘争課題です。

 個々の国の自主性をめざすたたかいの主体は、その国の人民ですが、帝国主義に反対し、世界を自主化するためのたたかいの主体は、社会主義諸国と国際共産主義運動、植民地民族解放運動、非同盟運動、世界平和運動など、すべての反帝・自主勢力です。

 反帝・自主勢力は、帝国主義勢力とは比べものにならないほどの大きな力をもっています。要は、反帝・自主勢力がいかに団結してたたかうかにあります。

 団結が革命勝利の決定的な要因であるということは不変の真理です。まして今日、帝国主義者が互いに結託し、連合した力で社会主義と世界の進歩的人民に対抗している状況のもとで、世界のすべての反帝・自主勢力がかたく団結してたたかうことは、極めて切実な問題となっています。

 反帝・自主勢力の団結を強化するうえで、社会主義諸国と国際共産主義運動の団結を強めることが何よりも重要です。社会主義諸国と共産党、労働者党は、革命的立場を守り、プロレタリア国際主義の旗のもとに固く団結してたたかってきた誇らしい伝統をもっています。すべての社会主義国と共産党、労働者党は、このような伝統をうけついで反帝的な立場をしっかり守り、民族利己主義に反対し、互いに尊重し協力しあう同志的関係に基づいて固く団結しなければなりません。

 現代帝国主義は、社会主義の敵であるばかりでなく、平和と自主性を擁護する世界のすべての進歩的人民の共通の敵です。社会主義諸国の人民と、平和と自主性を擁護する世界のすべての進歩的人民が固く団結するなら、反帝・自主化をめざすたたかいで勝利することができます。世界の進歩的人民は、社会主義者のあらゆる分裂・離間策動を粉砕し、思想と体制、信教の違いをこえて、反帝・自主の旗のもとに固く団結しなければなりません。

 世界のすべての反帝・自主勢力が一つに団結してたたかうならば、帝国主義を滅亡させ、自主的な新しい世界が創造されるであろうことは疑う余地もありません。

 我が党は、社会主義諸国と国際共産主義運動、非同盟運動をはじめ世界の反帝・自主勢力との団結を強化するためにあらゆる努力をつくすでしょう。

 チュチェ思想の革命の旗を高くかかげ、反帝・自主化の先頭にたって前進する朝鮮人民のたたかいは、自主性をめざす世界の進歩的人民のたたかいを大いに励ましています。我々はこれに対し、当然の誇りと自負をいだくべきです。

 革命家は未来への確信をいだくと同時に、歴史の教訓を忘れず、引き続き断固たたかわなければなりません。かつて朝鮮人民を野獣的に虐殺し略奪し、今日も侵略の機会をうかがっている帝国主義者が存在する状況のもとで、自主的な新しい生活を創造する我々のたたかいが順調にいくものと考えるならば、それは大きな間違いです。今日の幸せな社会主義の新しい生活が我々の革命烈士たちと愛国的人民の苦難にみちた血みどろのたたかいによってもたらされたように、社会主義の完全な勝利と朝鮮革命の最終的勝利も、帝国主義に反対する人民の不屈のたたかいによってのみ達成できます。

 我が党は、今日の複雑な環境のもとで朝鮮革命を勝利に導くべき崇高な歴史的使命をおびています。すべての党員と勤労者は金日成同志と党の周りに固く団結して、反帝闘争の革命の旗をさらに高くかかげ、社会主義、共産主義の道を力強く前進しなければなりません。

出典:「金正日選集」 9巻
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