金 正 日

4・15文学創作団を設けることについて
―朝鮮労働党中央委員会宣伝扇動部の責任幹部への談話― 
1967年6月20日 

 朝鮮文学芸術総同盟で、反党反革命分子が文学・芸術部門に及ぼした思想的毒素を一掃するための思想闘争会議が昨日成功裏におこなわれたというなら、それは結構なことです。

 今回、文学芸術総同盟中央委員会の初級党委員会拡大会議で暴露、批判された資料を総合してみると、文学・芸術部門には党の唯一思想体系が確立されておらず、反党反革命分子の思想的毒素が根強く残っていることが分かります。

 これまで反党反革命分子は、作家、芸術家の間に封建的儒教思想、ブルジョア思想、事大主義、教条主義など雑多な思想とブルジョア生活様式を流布し、彼らを政治的、思想的に変質、堕落させることにより、我々の革命的文学・芸術を右傾化しようと策動しました。

 すでに、暴露、批判されたように、かつて党内の責任ある地位にあった反党反革命分子によってつくられた演劇『ひたむきな心』は、わが党の革命伝統をねじ曲げ、その代わりに彼らの「闘争経歴」を売り物にしようとしたペテン劇にすぎません。それにもかかわらず、文学芸術総同盟中央委員会にいたある幹部は、このペテン劇を何かすばらしい「傑作」でもあるかのように吹聴しました。そうかと思うと、農村の中核である一作男の運命を扱ったシナリオ『闇をついて』では、主人公を愚か者に描いて、わが党の階級政策をねじ曲げました。

 反党反革命分子とその追随分子らは、金日成同志が抗日革命闘争の時期に築き上げた栄えある革命的文学・芸術の伝統を押し立てるのでなく、一部の不健全な者をかつぎだして「『カップ』(朝鮮プロレタリア芸術同盟)の伝統」を継承すべきだという雑言まで吐かせ、民族文化遺産の継承においても、党の路線と原則に反して復古主義と民族虚無主義の偏向をあらわしました。

 反党反革命分子が文学・芸術部門にふりまいた思想的毒素は、一部の作家の間で「創作の自由」を云々し、意のままに安易な生活をする現象が持続していることにもあらわれています。

 このような現象はすべて、党と領袖の権威にかかわる極めて深刻な問題であり、文学・芸術部門に党の唯一思想体系が確立されていないために生じたゆゆしい思想的な誤りです。

 文学芸術総同盟でおこなっている思想闘争会議を性急に締めくくろうとせず、忍耐強く続けながら、文学・芸術のすべての分野で新たな創作的高揚が起こるようにすべきです。

 ここで何よりも重要なのは、新しい革命文学を建設するための決定的な対策を講じることです。

 私は、文学芸術総同盟の思想闘争会議で暴露、批判された資料を見て、労働者階級の領袖の形象化問題を核心とする新たな革命文学を建設するのは現在、文学・芸術部門において一時も遅らせることのできない焦眉の問題として提起されていることをいっそう切実に感じました。

 反党反革命分子が文学・芸術部門にまき散らした思想的毒素は、作家、芸術家の創作活動と生活にさまざまな形であらわれましたが、彼らが犯した誤りと欠陥を分析してみると、党の唯一思想体系が確立されていないことに根本原因があります。今度、文学芸術総同盟の思想闘争会議の過程で暴露、批判された誤りと欠陥も、すべて党の唯一思想体系にかかわる深刻な問題であるので、それは当然、党の唯一思想体系を確立する実践闘争の過程で徹底的に克服しなければなりません。

 最近おこなわれた党中央委員会第4期第15回総会では、党の唯一思想体系を確立することを現段階における党の思想活動の総体的方向として示しました。

 党の唯一思想体系を確立するというのは、すべての党員と勤労者が金日成同志の革命思想で武装し、金日成同志のまわりに固く団結し、その指導のもとに革命と建設を遂行していくようにするということです。こんにち全党と全社会に唯一思想体系を確立するのは、わが党と人民、朝鮮革命の運命にかかわる重大な問題です。

 我々が、こんにち新しい革命文学の建設について述べながら領袖の形象化の問題を特に強調するのは、まさにこの問題が党の唯一思想体系を確立する活動と直接につながっているためです。みなさんは、領袖の形象化が新しい革命文学の建設において核心となり、第一の重要な課題となることを肝に銘じ、この活動を基本として確固ととらえていかなければなりません。

 労働者階級の領袖を形象化する新しい革命文学を建設する問題はもちろん、こんにち、初めて提起されたのではありません。我々の文学・芸術において労働者階級の領袖を形象化する問題は、朝鮮革命の必須の要求としてすでに久しい前から提起されてきました。我々の文学・芸術が金日成同志の思想を具現し、金日成同志が切り開き輝かしい勝利へ賢明に導いていく革命偉業に真に貢献するためには、必ず領袖の形象化作業を基本とし、これを確固ととらえていかなければなりません。

 労働者階級の領袖を形象化することは、社会主義リアリズム文学発展の合法則的な要求でもあります。

 労働者階級の領袖を形象化することは、社会主義リアリズム文学の運命を左右する根本問題です。ところが、社会主義リアリズム文学の建設過程を振り返ってみると、労働者階級の領袖を形象化した作品はある程度出ていますが、今まで領袖の形象化作業を文学の核心とし、基本として確固ととらえてきた国はこれといってありません。領袖の形象化作業を文学の核心とし、基本として確固ととらえていかずには、社会主義リアリズム文学が時代と歴史に対して担っている自己の崇高な使命を果たすことができません。我々は、領袖を形象化する新しいタイプの革命文学を建設するうえで、これまで社会主義リアリズム文学が見落としていたこの中心の環を確固ととらえていかなければなりません。

 私はすでに昨年、朝鮮作家同盟中央委員会委員長に、党性を生命とする社会主義リアリズム文学が自己の使命を果たすためには、領袖の形象化を核心とする新しい革命文学を建設すべきであると話しました。その時、私は新しい革命文学を建設するためには、当然、領袖の形象化作業を作家同盟の中心的課題とし、基本的環としてとらえ、力強く推し進めなければならないと強調しました。

 労働者階級の領袖を形象化するのは、決して容易な作業ではありません。これは、党と革命、時代と歴史のまえに責任を負う重大かつ聖なる作業であり、万代に輝く記念碑的な作品を創作する誇らしくて光栄ある作業であります。この作業を成功裏に保障するためには、能力をそなえた創作陣がなくてはならず、それを力強く後押しし、導く指導・援助力量が整えられなければなりません。労働者階級の領袖を形象化する新しい革命文学を成功裏に建設するためには、領袖の形象化を基本とする創作集団を別個に組織することが必要だと思います。

 領袖の形象化を基本とする創作集団を別個に組織せずには、領袖の形象化作業を党の唯一的指導のもとに、組織的、計画的に進めることができません。これまで領袖の形象化作業は多くの場合、作家の自覚に任されていたので分散性と自然発生性を免れませんでした。作家の自覚と自然発生性に任せておいては、この作業を時代と人民が要求する高さで円滑に展開することができません。領袖の形象化作業は、あくまでも党の組織的で計画的な作業にならなければなりません。領袖を形象化する集団を別個に組織し創作基地を立派に整えてこそ、この作業に対する党の指導体系を整然と打ち立てることができ、領袖の形象化を基本とする創作活動を党の思想活動の一環として計画的に、統一的に進めることができます。

 領袖の形象化を基本とする創作集団を別個に組織することは、この作業を展望的かつ長期的な作業として力強く展開するためにも必要です。

 最近、作家同盟では、数名の作家を動員して、金日成同志の誕生60周年に際して、金日成同志を形象化した文学・芸術作品を創作するグループを組織したいと提起していますが、これはよいことです。金日成同志の革命活動史を全面的に掘り下げて形象化する作業は、幾人かの作家を動員し、金日成同志の誕生60周年までのわずか数年間で締めくくれる作業ではありません。この作業は、金日成同志の誕生60周年以後も引き続き力強く展開しなければなりません。

 領袖の形象化作業は、労働者階級の革命偉業を完成していく全期間にわたって、中途半端にすることなく、最後まで力強く展開すべき長期的かつ展望的な作業です。我々は、代を継いで金日成同志の偉大さを形象化した立派な革命的文学・芸術作品を創作して、人々を金日成同志に限りなく忠実な革命戦士に教育しなければなりません。

 領袖の形象化作業を一時的なキャンペーンとしてではなく、長期的かつ展望的な作業として根気よく展開するためには、この作業を基本任務とする強力な創作基地をつくらなければなりません。特に、政治的、思想的に準備され、専門分野に精通した能力ある創作家で編成された強力な創作集団がなければなりません。今のように専門創作集団を持たず、個々の作家に分担して執筆させたり、臨時動員の方法で創作活動を手配するならば、さまざまな偏向が生じかねません。専門創作集団があってこそ、その集団に網羅された作家が領袖の形象化作業を自己の本務とみなし、より強い責任感を持って遂行するばかりでなく、領袖形象化のための作家陣容を体系的に確保し、見通しを持って育てていくことができます。

 領袖の形象化作業は未開拓地に踏み入るような作業なので、創作実践では新たに解決すべき美学理論上の問題が多く提起されるでしょう。ですから、専門創作集団があってこそ、領袖の形象化作業において集団主義の原則を具現し、創作実践上での困難かつ複雑な問題を解決し、作品の高い思想性・芸術性を保障することができます。

 専門創作集団を組織すれば、領袖の形象化作業に必要なさまざまな取材条件と執筆条件を整えるにも有利なはずです。党中央委員会の当該部署では、領袖を形象化する創作集団を組織する措置を早急に講じるべきです。

 領袖の形象化を基本とする創作集団を別個に組織するというのは、我々が初めて試みることです。これまで世界のどの国でも、専門的な創作集団を組織して、領袖を形象化した文学・芸術作品を創作した例はありません。領袖の形象化を基本とする創作集団を別個に組織すること自体が、いまだかつて人類文芸史に例をみない一つの出来事となります。

 領袖の形象化を基本とする創作集団を別個に組織することは、世界で我々が初めてすることなので、経験を学んでくるところもなく、またそうする必要もありません。これは、わが党の正確な指導があり、党と領袖に忠実な立派な創作家がいる限り、十分立派になし遂げることができます。自信を持って大胆に取り組むべきです。

 領袖の形象化を基本とする創作集団を別個に組織するからといって、直ちに屋舎を大きく建て、大げさに騒ぐ必要はありません。新しく創作団を組織する仕事は静かに、実質的に進めるべきです。まず少数人員で創作に取りかかるべきです。重要なのは形式ではなく内容なのですから、まずいくつかの作品を創作しながら、提起される問題を一つひとつ解決していくようにすべきです。何よりもまず、作家陣容を着実に整えることに力を入れるべきです。

 党中央委員会宣伝扇動部では、これまでの創作活動を通じて点検された有能な作家を選抜し、彼らが自己の使命と任務をはっきりと自覚するように準備させるべきです。最初は比較的創作経歴が長くて創作経験に富む作家と、能力のある中堅作家を基本にして創作集団を整えた後、徐々に新しい世代の作家を引き入れて育てていくようにすべきです。

 先ごろ、金日成同志の革命活動史と革命的家庭の革命活動を内容とする文学作品の創作のため、党中央委員会党歴史研究所に創作室を設ける問題が提起されましたが、もちろん一部の作家を配属し、党歴史研究所の指導のもとに金日成同志の形象化作業に当たらせることもできます。しかし、文学はあくまでも人間学なのですから、金日成同志を形象化する文学作品創作集団を作家同盟に設けるのが妥当でしょう。

 私の考えでは、作家同盟内に少数人員で金日成同志を形象化する文学作品創作集団を別個に設け、その名称を4・15文学創作団とするのがよいと思います。今後、金日成同志を形象化した文学作品の創作で一定の経験が蓄積され、創作の土台が築かれた後で、4・15文学創作団を独立機関に発展させるようにすべきです。

 我々はすでに、金日成同志を形象化する創作集団として、映画芸術部門に白頭山創作団を設けました。

 4・15文学創作団は、金日成同志の栄光に満ちた革命活動史と革命的な家庭を小説で形象化し、金日成同志がみずから創作した不朽の名作を小説化する、歴史的な偉業を遂行する創作集団にすべきです。

 4・15文学創作団は、金日成同志の幼年時代と万景台の生家を後にして以来こんにちに至る革命活動の全路程を時期別に物語る革命的大作を創作すべきです。金日成同志の革命活動史は、万代に光り輝く闘争と業績でつづられた栄光の歴史であり、万人の胸を高ぶらせる生活と闘争の不滅の教科書です。金日成同志の革命活動史は、現代と朝鮮革命、共産主義運動の本質とその発展の合法則性を最も真実に示す典型的な内容によって輝いており、最も感動深い事実によってつづられています。4・15文学創作団は、金日成同志の革命活動の路程をたどって、金日成同志が築き上げた不滅の革命業績を全面的に掘り下げて形象化し、金日成同志の偉大な思想と理論、指導風格と共産主義的徳性を感動深い芸術的形象によって描き出してみせるべきです。

 4・15文学創作団は、金日成同志の革命的家庭を形象化した革命的大作を創作しなければなりません。金日成同志の革命的な家庭は曾祖父の代から、代を継いで外来侵略者に抗してたたかってきた愛国的な家庭であり、国の独立と民族解放のために強くたたかってきた革命的な家庭です。4・15文学創作団は、金日成同志の革命的一家の闘争と生活に関する資料に基づき、人民を革命的に教育する立派な小説作品を数多く創作すべきです。

 4・15文学創作団は、抗日革命闘争の時期、金日成同志がみずから創作した不朽の名作を小説化すべきです。不朽の名作を小説化することは、わが党の栄えある革命的文学・芸術の伝統を子孫万代に伝える責任重大な仕事であり、不朽の名作を手本としてチュチェの文学・芸術全般を新たな高い水準に引き上げる真に誇らしく栄誉ある仕事です。

 金日成同志の革命活動史と革命的な家庭を形象化した革命的大作を創作し、金日成同志がみずから創作した不朽の名作を小説化するのは、極めて慎重を要する責任ある作業です。この作業は欲求だけではなし遂げられません。大作を創作するからといって、始めからすべての作家にそれを一編ずつ創作せよというわけにはいきません。まず集団の知恵を集め、一・二編をモデル作品として創作しながら経験を積むべきです。大作は規模のうえでの大作ではなく、内容のうえでの大作とならなければなりません。金日成同志の革命活動史を形象化するうえで、いくら大きな歴史的事変や事件を盛り込み、膨大な生活を描くとしても、それに対する深い芸術的解明がなく、新しい人間問題の美学的な明示がなければ、それは革命的大作としての価値を持つことができません。

 これから金日成同志を形象化した小説をどういう形式と方法で創作すべきかについては、さらに研究してみるべきです。

 4・15文学創作団は朝鮮文学の核心を担当した創作集団として、当然、わが党の革命文学建設の前衛隊となり、わが国の文学創作集団のモデル単位とならなければなりません。

 4・15文学創作団は、新しい革命文学建設の旗を掲げて先頭に立つべきであり、創作気風と生活気風などすべての面で模範となるべきです。今後我々は、4・15文学創作団をモデルとし、すべての文学創作機関の活動スタイルを根本的に革新する考えです。

 新しい革命文学の建設に決定的な転換をもたらすためには、4・15文学創作団を設けるとともに、創作団の活動に対する整然たる指導体系を確立しなければなりません。

 金日成同志を形象化する文学作品の創作活動は、党の唯一的指導によってのみ、確固とした目標と明確な展望を持ち、組織的かつ計画的に力強く展開することができます。

 今後、4・15文学創作団では、創作と生活で提起されるすべての問題を党中央委員会に直接報告し、党の唯一的指示と結論に従って処理する厳格な規律を確立しなければなりません。

 小説文学の発展は、他の芸術発展の基礎です。文学を優先的に発展させてこそ、映画芸術と舞台芸術も発展させることができます。これから文学部門では4・15文学創作団をモデル単位にして、領袖の形象化を核心とする新しい革命文学の建設に決定的な転換をもたらすことによって、我々の主体的文学・芸術を世界の革命的文学・芸術の手本として、いっそう立派に開花発展させていかなければなりません。
                                                
出典:『金日成著作集』(増補版)2巻


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