金 正 日

航空兵を政治的、軍事的にしっかり準備させよう
朝鮮人民軍第855軍部隊の幹部への談話 
1964年10月18日 

 航空兵が曇った日や夜間にも無事故で飛行訓練ができるなら、飛行術が上々だと言えます。もともと、朝鮮人は器用なのです。今や、我々は頼もしい空軍を持つようになりました。

 航空兵の土気が盛んなのはよいことです。

 これまで部隊内の航空兵が、わが国の領空を侵犯した敵機を撃墜したのは痛快なことです。敵機を撃墜した航空兵が言っているように、敵との戦いにおいては強い思想的覚悟を持つことが大切です。

 金日成同志が述べているように、祖国の領空を侵犯する敵機はすべて撃墜すべきです。現代修正主義者は、敵機がわが国の領空を侵犯しても撃墜しないようにと言っていますが、我々は絶対にそうすることはできません。我々は、敵との対決で哀願するのではなく、革命的立場を堅持すべきです。

 みなさんは、平壌の空を守る任務を担っています。ですから、すべての航空兵に負わされた戦闘任務の重要性を明確に認識させ、常に緊張した動員態勢で戦闘準備を整えさせ、特に、戦闘当直勤務で気を緩めることのないようにすべきです。有事の際に、敵はまずこの飛行場から攻撃しようとするでしょう。敵は航空機による先制攻撃を狙っているため、徹底した防備対策を講ずるべきです。

 アメリカ帝国主義者は「技術的優位」に大きな期待をかけていますが、我々は敵のその「技術的優位」に政治的・思想的優位と戦術的優位をもって対抗すべきです。

 飛行訓練を強化し、すべての航空兵がいかに不利な状況でも戦闘任務を立派に遂行できるよう、準備させるべきです。

 すぐる祖国解放戦争の時、敵機は曇った日や夜間にもたびたび爆撃をしました。ですから、曇った日や夜間の飛行訓練に力を入れるべきです。航空兵は曇った日や夜間でも空中戦ができるからといって、絶対に自己満足してはなりません。航空兵は、夜間空中戦はもちろん、昼間と夜間とにかかわりなく地上目標に対する攻撃も上手にできるよう準備すべきです。

 敵の核兵器などの大量殺りく兵器に対する防衛対策に万全を期するべきです。

 今、アメリカ帝国主義者は原子爆弾を持っておごりたかぶっていますが、恐れることはありません。彼らは原子爆弾を持っていても、思いどおり使用することはできず、使用するとしても山の多いわが国では大した威力を発揮することはできません。至るところに坑道をつくっておけば、敵のいかなる攻撃からも人員と兵器、戦闘技術機材をしっかり守ることができます。しかし、みなさんは、敵が核兵器などの各種大量殺りく兵器を使用しうることを予見して、敵の蠢動に警戒心を高めるべきです。

 みなさんは、今後、アメリカの航空機だけでなく、日本の航空機とも戦うこともあることを肝に銘じ、日本空軍に対する研究もおこなうべきです。日本軍国主義者は、朝鮮に対する再侵略の野望を遂げようと悪辣に策動しているので、彼らに対する警戒心を高めるべきです。

 飛行指揮官は、飛行指揮を立派におこなうべきです。高速の近代的な飛行機に対する指揮を科学的におこなうことが大切です。飛行指揮を誤ると、大事故を発生させます。最近の国際航路上での旅客機の事故を見ると、飛行指揮のミスと少なからず関係しています。

 飛行指揮官は、地上での飛行指揮をするだけでなく、飛行機に搭乗すべきです。飛行連隊では連隊長も戦闘員です。連隊長は、編隊の先頭で指揮をしながら模範を示すべきです。
 政治幹部は、航空兵との活動を正しくおこなうべきです。

 航空兵との活動には、一連の特性があります。航空兵は軍官(将校)ですが、突撃線上に立った兵士と同じです。航空兵は、戦争が起きれば真っ先に敵に立ち向かって戦う基本戦闘員です。

 歩兵部隊の政治幹部は、状況によって戦闘員と対話をしたり、隊伍の先頭に立ってスローガンを叫び、彼らを突撃へと奮起させることができますが、空軍部隊の政治幹部は地上にいるため、空中の航空兵と対話をしたり、彼らに「わたしに続け!」と号令をかけながら突撃することができません。航空兵の知識水準や思想的覚悟は高いものです。ですから政治幹部は、航空兵の特性にふさわしく活動を正しくおこなうべきです。対人活動は創造的な活動であるため、公式というものがありません。政治幹部は航空兵としばしば対話し、彼らの心の内を知りつくしていなければならず、航空兵が党と領袖のためにすべてをささげて戦えるようにすべきです。

 政治幹部は、航空兵に対する思想教育にしっかり取り組むべきです。

 革命伝統教育を強化すべきです。革命伝統教育を強化することは、人々を革命的に教育するうえで極めて重要な意義があります。以前は、反党反革命分派分子の策動によって革命伝統教育がおろそかにされました。

 反修正主義教育もしっかりおこなうべきです。航空兵に、現代修正主義の反動的本質と表現、弊害を明確に認識させ、彼らの間にさ細な修正主義的要素もあらわれないようにすべきです。

 航空兵が、自力更生の革命精神を強く発揮し、自分の力で敵を打ち負かさなければならないという覚悟を持つように教育すべきです。現代修正主義者は、わが国で戦争が起きれば自分たちも被害を被りはしまいかと恐れ、帝国主義者の片棒を担いでいます。我々は、ただ自分を信じ、自分の力で革命を遂行する決意を持たなければなりません。

 航空兵に国際・国内情勢をよく知らせ、彼らの間で安逸をむさぼる傾向があらわれないようにすべきです。新聞をはじめ、各種出版物に載る事柄をもっても、情勢を伝えることができるでしょう。週間情勢資料や月間情勢資料といったものを編集して配付する問題については少々検討してみることにします。

 航空兵が革命的信念を持つように教育すべきです。空には、国境警備陣もなく、軍事境界線の標識もありません。航空兵は、戦闘中に敵陣に墜落することもあり得ます。ですから、飛行士がいかなる逆境にあっても革命的節操を曲げないようにしっかり教育すべきです。

 航空兵に対する教育は、生々しい資料をもっておこなうべきです。祖国解放戦争当時は、敵の蛮行資料などの生々しい資料をもって教育活動を正しくおこなったため、航空兵は燃えるような敵がい心を持って勇敢に戦いました。

 航空兵の党生活を強化すべきです。党組織は、航空兵が飛行任務を立派に遂行できるようにすることに基本を置いて、党生活を指導すべきです。党生活体系についてはもう少し研究してみるべきです。現在、飛行部隊内の党細胞が航空兵と技術要員で構成されているなら、一長一短があると思います。

 航空兵は、みな党員でなければなりません。航空兵を養成する学校で学生を十分に鍛え、党員の資格を備えさせるべきです。

 軍民一致の伝統的美風を高く発揚させるべきです。部隊で軍民関係を損なう行為が一部にあらわれていますが、そのようなことがあってはなりません。金日成同志は、軍民関係を損ねたという報告を受けるたびに心配しています。

 金日成同志は、人民の生活向上に深い関心を払っています。金日成同志は、農民の生活が向上しない問題について心を痛め、夜も安らかに休んでいません。最近は黄海北道の深い山村まで訪ね、山間部農民の生活改善の方途について地元の農民と談合し、トラックまで送りました。社会主義建設において、農村問題は極めて重要です。ある国では、社会主義革命を遂行して以来50年近くになりますが、いまだに農村問題を満足に解決していません。金日成同志は今年の2月、『わが国における社会主義農村問題に関するテーゼ』を発表し、農村問題解決の輝かしい道を明らかにしました。金日成同志は、農村問題の解決のために農業現物税を完全に免除し、農民に文化住宅を建ててやる措置を講じ、その他にもいろいろな対策を講じています。金日成同志は、農民の生活水準を都市住民の生活水準に引き上げることについて、たびたび述べています。

 軍人に、人民への金日成同志の配慮と党の賢明な措置について十分に理解させるべきです。そうして、彼らが人民を愛し尊敬し、忙しい仕事の手助けをしてやるようにすべきです。部隊の衛戌区域内に空地が少なくありませんが、そこに野菜やトウモロコシなどを栽培して、人民の負担を省いてやるべきです。

 政治幹部は、航空兵の生活に深い関心を払うべきです。飛行部隊では指揮官が航空兵を育て、部隊を管理し、直接航空機にも搭乗するので、航空兵の生活にそれほど関心を払えなくなります。特に、指揮官自身が航空機に搭乗するので、航空兵の生活上の問題があっても話さないこともあるでしょう。

 航空兵がいつも生活を楽天的にできるよう、多彩な文化生活スケジュールを組んでやるべきです。映画鑑賞や芸術サークルコンクールやスポーツ競技などもたびたび催し、彼らが楽天的に生活できるようにすべきです。

 航空兵の食生活にも細心の注意を払うべきです。食べ物を選ばずに食べては健康によくないし、飛行にもさしさわるようになります。

 政治幹部が航空兵との活動を正しくおこなうためには、まず、自分自身が真の革命家にならなければなりません。そうせずには、航空兵を革命家に育て上げることも、革命任務の遂行へと立ち上がらせることもできません。

 政治幹部は、政治・実務水準を高めるため積極的に努力すべきです。以前は、航空兵との活動が難しいので航空兵が政治担当副大隊長を兼任していたそうですが、政治幹部の水準さえ高ければ、航空兵でなくても十分その特性に合わせて政治活動をおこなうことができます。

 政治幹部のテキストは、金日成同志の著作です。政治幹部は寸暇を惜しんで金日成同志の著作を深く研究し、政治活動経験の資料もたくさん読むべきです。

 政治幹部は、金日成同志の活動方法と活動作風に見習うため積極的に努力すべきです。

 みなさんは、この部隊に対する金日成同志の期待が大きいことを肝に銘じて、活動を立派におこなうべきです。

出典:『金正日選集』増補版2

<参考>【衛戍】(えいじゅ)軍隊が長く一つの土地に駐屯すること。


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