金 正 日

軍人教育に寄与する革命的な映画を
大いに制作すべきである
―朝鮮人民軍2.8映画撮影所を視察に際しての活動家との談話― 
1964年9月15日 

 朝鮮人民軍2.8映画撮影所の位置が申し分ありません。この撮影所の位置は金日成同志がみずから定めてくれた所です。

 2.8映画撮影所の建物が大きく、立派に建てられました。立派な建物が出来上がり、従業員の構成もまずまずと言えるので、これからは人民と軍人の教育に切実に必要な、すぐれた映画をたくさん制作することに力を注がなければなりません。

 2.8映画撮影所の基本的任務は、金日成同志の教えと党の方針を体して、人民と軍人を革命的世界観で武装させ、国防力を強化するのに積極的に寄与する映画をたくさん制作することです。

 2.8映画撮影所の任務は極めて重大であると言えます。映画は、人間の革命的世界観を確立させるうえで重要な役割を果たします。他の形態の文学・芸術作品とは異なり、映画はさまざまな表現手段によって生活を豊かに、生き生きと描写し、歴史的事実を感銘深く示す、強力な芸術形式です。映画は、生活を実際の動きによってそのまま見せるという特性があるので、他の芸術形態に比べて生活をより豊かに、生き生きと描出することができ、したがって人間生活を総合的に、感銘深く見せてくれます。2・ 8映画撮影所がどのような映画を制作するかによって、人民と軍人を革命的世界観で武装させるのに大きく寄与できるかどうかが決まります。2.8映画撮影所の任務が極めて重大なので、金日成同志は撮影所を環境のよい所に建設するようはからい、映画制作の方向まで具体的に示しています。

 ところが今、2.8映画撮影所では、金日成同志が意図し、期待しているような思想性・芸術性の高い、すぐれた映画をたくさんつくっていません。最近つくられた映画にしても、その一部は形象化の水準が低く、俳優の演技水準も高いとは言えません。一部の俳優の演技はぎこちなく感じられますが、彼らは人民軍区分隊で芸術サークル活動をしていた新人俳優なので、演技に熟達していないようです。金日成同志は2.8映画撮影所が制作した映画を見て、映画が枠にはまり、堅苦しいと述べました。2.8映画撮影所は、人民と軍人の教育に積極的に寄与する思想性・芸術性の高い、すぐれた映画をより多くつくるために大いに努力すべきです。

 2.8映画撮影所は、革命伝統を主題にした映画をたくさんつくるべきです。

 偉大な領袖金日成同志によって築き上げられた輝かしい革命伝統は、わが党と革命の歴史的根源であり、代を継いで継承すべき革命の財貨です。わが党の革命伝統にはチュチェ思想が具現されており、朝鮮革命の貴い業績と闘争経験が集大成されています。革命伝統を主題にする映画をたくさんつくって軍人と人民を教育すれば、彼らを我々の革命偉業の正当性と革命的楽観主義の精神で武装させ、チュチェの革命偉業の達成をめざすたたかいに積極的に立ち上がらせることができます。

 革命伝統を主題にした映画をつくるための「種子」はいくらでもあります。最近、2.8映画撮影所が制作した劇映画『女隊員』も革命伝統を主題にしたものですが、内容がすぐれています。映画には感動的なシーンがたくさんあります。劇映画『女隊員』は演出もすぐれており、俳優の演技も上手です。特に、主人公と崔老人、ちびっこ隊員の役を演じた俳優の演技が際立っています。今年に入ってこれまでに制作された映画のうち、劇映画『女隊員』が最高の出来栄えだと言えます。

 2.8映画撮影所は、祖国解放戦争(1950年6月25日〜1953年7月27日)の時期に人民軍軍人と人民が抗日革命闘争(1926年10月〜1945年8月)の輝かしい革命伝統を受け継いで、勇敢に戦った話を主題にした映画もたくさんつくるべきです。

 祖国解放戦争は、日本帝国主義の植民地支配から解放(1945年8月15日)されて5年にしかならない朝鮮人民にとって、厳しい試練の時期でした。しかし人民と軍人は、真の人民政権を打ち立て、自分たちを国のれっきとした主人にしてくれた党と領袖のために、集団的英雄主義と革命的同志愛、自力更生の革命精神を高く発揮して偉大な勝利を収めました。祖国解放戦争の全過程は、人民と軍人が金日成同志の創始した主体的戦法で武装し、金日成同志のまわりに一心同体となって固く団結して戦うならば、いかなる強敵であろうと、ゆうに打倒できるということを示しました。祖国解放戦争の時期に人民軍軍人と人民が抗日革命闘争の輝かしい革命伝統を受け継ぎ、勇敢に戦った内容を主題にした映画をたくさんつくって人民軍軍人と人民に見せれば、彼らを革命的な戦争観点で武装させ、国防力の強化に積極的に寄与させることができます。最近、2.8映画撮影所が制作した劇映画『任務』と『輸送戦士の歌』は、人民軍軍人と人民の教育に非常に有益な映画です。金日成同志は、2.8映画撮影所が祖国解放戦争当時の人民軍軍人と人民の戦いを主題にした映画をつくると非常に喜び、芸術的な面で多少欠点があるとしても、思想的な面で問題がなければ、すべて普及網を通じて上映するようにはからっています。

 思想性・芸術性の高い、すぐれた映画をつくるためには、実在の資料とモデルをそのまま映画化するのでなく、芸術的に典型化して、うまく形象化しなければなりません。実在の資料とモデルは社会主義リアリズムの創作方法によって典型化してこそ、真の芸術的形象となります。社会主義リアリズムの創作方法は、文学・芸術作品の創作において具現すべき正しい創作方法です。実在の資料とモデルを社会主義リアリズムの創作方法によって典型化した映画は、人々を共産主義的革命精神で武装させ、自国の革命のために積極的にたたかう熱烈な革命家に育て上げるのに大いに寄与することができます。映画でモデルを典型化せず、あるがままに描き出しては、特定の人物を押し立てることになりかねないので、人々に特定の人物を崇拝させ、幻想を抱かせるようになります。そうすると結局、映画は党の意図に沿わないものになってしまいます。

 一部の人は劇映画『女隊員』の主人公のモデルを問題にしていますが、それについては論議する必要がありません。主人公が誰であり、そのモデルが実在しているかどうかによって映画の成否を論議するのは、芸術を解しない人たちの難癖と言うほかはありません。作品に形象化されたモデルが実在しているか否かによって作品の運命を決定しようとするのは間違った考えです。今後、2.8映画撮影所ではモデルをそのまま映画にしようとするのでなく、社会主義リアリズムの創作方法によって典型化すべきです。

 俳優の演技水準を高めなければなりません。

 シナリオがいかにすぐれたものであっても、俳優が役柄の性格をうまく表現できなければ、思想性・芸術性の高いすぐれた映画をつくることはできません。俳優の演技は、映画の質的水準を高めるうえで大きな役割を果たします。

 2.8映画撮影所は俳優の演技水準を高めて、彼らの人物形象化に真実味がにじみでるようにすべきです。俳優の演技水準を高めるようにと言われたからといって、小才を利かせようとしてはいけません。俳優が演技でいたずらに小才を利かせようとすれば、実感がなくなります。朝鮮劇映画撮影所の一部の俳優は演技で小才を利かせていますが、2.8映画撮影所の俳優はそういうことのないよう注意すべきです。劇映画『女隊員』でちびっこ隊員の役を受け持った俳優が小才を利かせようとしていますが、彼の演技指導に力を入れるべきです。幼い俳優であるほど、はじめから演技指導に力を入れてこそ、技量を高めて演技を真実味のあるものにすることができます。

 俳優の演技水準を高めるためには技量レッスンを強化しなければなりません。2.8映画撮影所は俳優の顔ぶれが若く、建物も新設であり、機械設備も新しいものをそろえてあるので、俳優の技量さえ高めれば、すぐれた映画をたくさんつくることができます。2.8映画撮影所は展望が開かれています。2.8映画撮影所の俳優は劇映画撮影所の俳優と接触を保って、経験を分かち合い、彼らから虚心に学ぶべきです。軍隊だからといって特殊性をたてにとってはなりません。2.8映画撮影所は朝鮮人民軍総政治局の指導を受けているので、特性があるのは確かです。しかし、芸術作品の創作において特殊性をたてにとっては、発展することができません。

 2.8映画撮影所の物質的・技術的土台を強固に築くべきです。

 2.8映画撮影所の音楽録音室は規模は大きくても、防音装置が不十分なようです。音楽録音室は防音装置が完備されていなくてはなりません。音楽録音をする時、現在のようにスリッパを引きずって歩いては、雑音が入るおそれがあります。録音職場は、創作の雰囲気に合うように静粛さが保たれなければなりません。

 録音技術にも多少問題があるようです。劇映画撮影所で制作された映画はそうでもないのですが、2.8映画撮影所で制作された映画は一部のせりふがよく聞き分けられません。映画のせりふがよく聞き分けられないのをみると、テープレコーダーや設備の性能はよいのですが、録音職場の人たちの技術水準が低いようです。録音職場の人たちを劇映画撮影所に送って録音技術を学ばせるべきです。

 合成職場をしっかり整えなければなりません。合成撮影技術を発展させ、合成撮影の比率を大幅に高めるべきです。そうすれば、映画制作において機動性を保障し、芸術性を高めることができ、費用もあまりかけなくてすみます。

 2.8映画撮影所では周辺の整理にも力を入れなければなりません。撮影所の建物の前をきれいに整理し、木をたくさん植えるべきです。ブドウ、リンゴ、スモモなどの果樹をたくさん植えて丹精し、撮影所を公園のように整えるべきです。
 
出典:『金正日選集』1巻

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