金 正 日

人民軍は金日成同志と朝鮮労働党に限りなく忠実な
革命の前衛部隊になるべきである
朝鮮人民軍総参謀部の幹部との談話 
1964年6月23日 

 組織動員補充局長が元気に勤めているとのことで何よりです。金日成同志は、抗日革命闘士たちの健康についていつも気遣っています。仕事にばかり気を遣わず、健康に特に留意してください。

 金日成同志は数日前わたしに、党中央委員会で活動するよう申しつけました。朝鮮革命の参謀部である党中央委員会で活動することになり、革命に対する責任感のため肩が重く感じられます。わたしが党中央委員会で働くことになったという話を聞いて、みんなが喜んでいるとのことで、ありがたく思っています。わたしは、金日成同志と同志たちの信頼と期待に背かぬよう立派に働いて、わが党を永遠に金日成同志の党に強化し、発展させていくつもりです。

 事務室を別個に設けた方がよいという意見もありますが、わたしは今のように同志たちと一緒にいるのが一番です。わたしも金日成同志の戦士の一人です。事務室をどこに決めようと、仕事さえしっかりすればそれでよいのです。革命家は、ただ人民の自由と幸福のためにすべてを尽くしてたたかうべきであり、そこに生きがいと幸せを感じなければなりません。革命家の真の生きがいと幸せは、課された任務を立派に果たして、金日成同志に喜んでもらい、人民大衆に愛され尊敬されることにあるのです。

 わたしはこれから、党とともに人民軍の強化に大きな力を注ぐつもりです。人民軍は、わが党の革命的武力です。人民軍を強化せずには党を強化することも、政権を維持することもできず、祖国と人民の安全を守ることもできません。新たな情勢は、人民軍を強化することをいっそう切実に求めています。わたしは、幼い時から抗日の戦場で銃声を子守歌のように聞きながら育ったせいか、銃を格別愛し、人民軍のためなら何も惜しむことなくすべて提供したい気持ちです。

 銃はわたしの最初の同志であり、永遠の心の柱です。わたしに銃の貴さとその尊い精神を初めて植えつけ育んでくれたのはわたしの母でした。幼いわたしに「将軍服」を着せて、大きくなったら立派な将軍になってお父さんによく仕えるようにと諭してくれた母の慈愛深い面影が今も忘れられません。人民軍さえ強ければ、この世に恐るべきものはなく、革命の最後の勝利も問題ありません。

 人民軍は、金日成同志と朝鮮労働党に限りなく忠実な革命の前衛部隊にならなければなりません。党と領袖への忠誠心は人民軍の第一の生命です。人民軍は、金日成同志の懐で生まれ、党と領袖の賢明な指導のもとで不敗の強兵に育った金日成同志の軍隊、党の軍隊です。党と領袖を先頭に立って忠実に支え、一命を賭して擁護、防衛するのは人民軍本来の要求であり、誇るべき伝統です。人民軍はこれまでと同様今後とも、党と領袖のために一命を惜しみなくささげて戦うべきであり、金日成同志が白頭の密林で切り開いた革命偉業を達成するための栄えある闘争で常に前衛部隊としての役割を果たさなければなりません。人民軍を金日成同志と朝鮮労働党にあくまで忠実な革命の前衛部隊にするというのは、わたしの揺るぎない決心であり意志です。

 人民軍の幹部は、人民軍が党と革命に対して担っている重大な使命をよく知り、自己に課された革命の任務を責任を待って遂行しなければなりません。

 幹部がすべてを決定します。軍隊の幹部が立派に勤めてこそ、人民軍は不敗の革命武力に強化され、革命の前衛部隊としての役割を立派に果たすことができるのです。

 人民軍の幹部は誰よりも党と領袖に忠実でなければなりません。

 金日成同志は本年4月に、人民軍のすべての幹部は党中央を心から支持し、あくまで忠誠を尽くし、党中央に無条件に服従するよう強調しました。

 人民軍の幹部は、党と領袖のことだけを考え、絶対に異心を抱いてはなりません。

 人民軍の幹部は、党と領袖の指導のもとですべての活動をおこなうことを鉄則とすべきです。軍隊で提起される重要かつ原則的な問題は党中央に報告し、結論に従って処理する厳格な規律を確立しなければなりません。

 人民軍の幹部は、軍隊内に金日成同志の教示と党の指示を無条件に受け入れ、確実に実行する革命的気風を確立しなければなりません。党の指示は、すなわち金日成同志の意志です。人民軍の幹部は党の指示に対しいささかの駆け引きもしてはならず、党の指示をぞんざいに扱い、その実行をおろそかにする行為に対しては、いち早く問題視し、強くたたかわなければなりません。

 わたしは、人民軍内の抗日革命闘士の幹部を深く信頼しています。人民軍内の抗日革命闘士の幹部は、人民軍を金日成同志の軍隊、党の軍隊に強化し、発展させ、我々の革命偉業を成功裏に前進させるのに大きく貢献した朝鮮革命の第一世代です。わたしは、人民軍内の抗日革命闘士の幹部を単なる軍事幹部とはみなしていません。人民軍内の抗日革命闘士の幹部は、朝鮮革命の旗手であり指揮メンバーです。

 白頭の密林で始まった我々の革命はまだ終わっていません。革命の最終的勝利を達成するためには、まだ遠く険しい道を歩まなければなりません。我々にはなすべきことが山積しています。抗日革命闘士の幹部は、人民軍を金日成同志と朝鮮労働党に限りなく忠実な革命の前衛部隊として強化し、発展させるために精力を注ぐとともに、若い幹部を党と領袖の思想と指導に忠実に従うよう正しく導くべきです。

 今後、人民軍の活動に関して提起されることがあればいつでも訪ねてきてください。

出典:『金正日選集』2巻


<参考>金正日総書記が、抗日武装闘士をはじめ、革命の第一世代を尊敬していた一例として逸話を紹介します。逸話の標題は「返された拳銃」です。


 いつだったか、革命事績担当部署の人たちは、抗日革命闘士崔賢に抗日武装闘争時代から愛用していた拳銃があると知って彼を訪ね、青少年教育にとって是非必要な事績物だから、拳銃を譲っていただけないだろうかと持ちかけた。

 「な、何だと。前にわしを丸めこんで琥珀のパイプ(抗日武装闘争時代に金日成主席から贈られた記念品)をせしめていき、今度は唯一大事な拳銃まで持ち去ろうと言うのか。いかん。つべこべ言わずに、とっとと消え失せるがいい」

 崔賢は、目に角を立ててどなった。

 顔をしかめて、いかん、いかんと手を左右に振るっていた彼も、5度目の懇請には根負けしてしまった。

 「しょうがない。持って行くがいい」

 声を震わせ、ロッカーから拳銃を取り出した崔賢は、黒光りのする銃を長いことなでさすったあと、前へ突き出した。

 「そら、持って行くんだ。わしの大事な最後の財産だった。青少年教育に立派に役立ててくれ」

 彼は、客が拳銃をかばんにしまうのが見るに耐えず、しかめた顔をそむけた。

 金正日総書記は、後日、このことを知った。

 祖国解放直後のある日、主席の邸宅を訪れた彼が、モーゼル拳銃を枕にして床に横たわっていた姿がまぶたに浮かんだ。

 幼い総書記は、そんな彼に聞いた。

 「どうして枕があるのに、拳銃を枕にしているの?」

 「ずっと前からの癖でね。小さいころは木枕をしたが、遊撃隊に入ってからはいつも銃を枕にしていた。今も、このモーゼルを枕にすると、ぐっすり眠れるんだよ」

 「今は国が解放されたのに、拳銃を枕にしないでもいいんじゃない?」

 「そうじゃない。解放はなったが、38度線みたいなものができて、南側では李承晩とかいうやつが北へ攻め込もうと、しきりにちょっかいをかけているんだよ。どうもわしは、死ぬまで枕を高くして眠れるようにはできておらん」

 「モーゼル拳銃を枕にする闘士」とは、崔賢の別称であった。恋人のようにそんなにも愛し、肌身離さず持ち歩いていた拳銃を手放したのだから、どんなに寂しい思いをしているだろうか。……

 総書記は一人の幹部を呼んだ。

 「崔賢同志に拳銃をお返ししよう。…崔賢同志に会ったら、青少年教育に役立てようと、拳銃をだしてくださって感謝しているという、わたしの挨拶を伝えてください。それから、わが党は崔賢同志の拳銃をはじめ、一連の遺跡・遺物をしばらく日を延ばして展示することにしたので、一応お返しすることにして持って来たと言うのです」

 「承知しました。けれども、いったんこうと決めたら自分のズボンさえ脱いで与えるような崔賢同志が、一度手放した拳銃を受け取るでしょうか」

 「この拳銃は、老闘士に、若い革命同志が、わが革命武力の強化・発展に最後まで献身されることを望む信頼のしるしとして、崔賢同志に改めてお贈りする拳銃だと言うのです。そうしたら、きっと受け取るでしょう」

 彼は早速、崔賢を訪ねて行き、拳銃を渡した。ケースを開けた崔賢は目を見張った。

 「これは、わしの拳銃じゃないか」

 「そうじゃありません」

 「いや、わしの銃に間違いない」

 「崔賢同志がいったん手放したからには、もはや同志のものではありません。これは党から贈られる拳銃です」

 「ふーむ。理屈からすればそうなるわい」

 彼は、総書記のことづけを伝えた。

 おのれの物でありながらもおのれの物でない拳銃。もはや意味が全く違ってしまった拳銃に改めて見入る闘士は、総書記にただただ感謝するばかりであった。(2016.2.27−ネナラ)      


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