金正日「社会主義建設における郡の位置と役割」


金 正 日

社会主義建設における郡の位置と役割
−1964年3月18日− 

 金日成同志は『わが国における社会主義農村問題に関するテーゼ』で、郡の役割を高めることを農村問題を最終的に解決し、社会主義建設を推し進めるうえで戦略的意義をもつ重要な問題として提示した。遠大な社会主義・共産主義建設を展望し、郡を強固に築くという構想を練り上げてきた金日成同志は、歴史的な地方の党および経済活動家昌城連席会議で郡の役割を高めるという新たな方針を打ち出し、このたび、社会主義農村問題に関するテーゼでさらに具体化した。

 農村問題を最終的に解決し、社会主義建設を強力に推進するためには、郡の役割を高めるという金日成同志の思想を深く体得し、それを具現していかなければならない。

 郡の役割を高めることは、立ち後れた山間部の郡のみならず、平野部、中間部を問わずすべての郡に該当する原則的な問題である。

 郡の役割を高めて都市と農村の格差、労働者階級と農民の階級的格差をなくすのは、社会主義制度が確立した後、労働者階級の党と国家が力点を置くべき戦略的課題である。

 こんにち、郡の役割を高めるうえで、特に重要な問題は、地方経済発展の総合的単位としての郡、都市と農村の経済的連係の拠点としての郡の役割を全面的に高めることである。

 本論文では、社会主義建設において郡の役割を高めるという金日成同志の独創的な思想を、主に経済学的見地から考察することにする。

                                                                               

1 社会主義建設において地域的拠点を設定すべき必要性
 1 社会主義・共産主義建設における地域的拠点の問題
 2 郡は社会主義農村建設の地域的拠点
2 地方経済発展の総合的単位としての郡
 1 郡を単位とする地方工業の発展
 2 郡内の経済部門の発展と部門間の連係の強化
 3 郡の経済の総合的発展による各郡の格差の是正
3 都市と農村の経済的連係の拠点としての郡
 1 都市と農村の経済的連係と郡
 2 郡を拠点とする工業と農業の直接的な生産的連係の発展
 3 郡を拠点とする都市と農村の商業的連係の発展
出典:『金正日選集』増補版1

<参考>金日成主席の革命思想を擁護し、よりいっそう深めた論文

 金正日総書記の労作「社会主義建設における郡の位置と役割」は、卒業論文として執筆・発表された論文である。

 社会主義建設における郡の位置と役割についての問題は、朝鮮革命の前進を図るための焦眉の問題のひとつとして、金日成主席がはじめて解明した問題であり、社会主義制度が確立されて以後、農村建設の具体的な方法と関連して実践的に至急に解答を待たれる重要な内容を包括していた。しかし、いまだ誰もこの問題を科学・理論的に解明してはいなかった。

 総書記は、革命実践の切実な要求を洞察し、社会主義・共産主義建設の地域的拠点としての郡が、政治、経済、文化のすべての面にわたって、自己の役割を果たすためにはどのようにしなければならないかという問題を解明しようと、卒業論文のテーマを決めた。

 この事実を知った指導教授は、それが簡単な問題ではなかったので難色を示しながら、総書記に他のテーマを選択するようすすめた。しかし総書記は、いまだ多くの人たちが、社会主義建設における郡の位置と役割についての主席の独創的な思想の本質を深く知らないでいる条件のもとで、いくら難しくても、これが革命と建設のために切実な問題である以上、必ずとりあげるべきであるという自分の決意を表明し、その論文の執筆に着手した。

 「郡の役割をたかめることは、立ち後れた山間地帯の郡のみならず、平野部、中間部を問わず、すべての郡に該当する原則的問題である。
 郡の役割をたかめて都市と農村の格差、労働者階級と農民の階級的格差をなくすのは、社会主義制度が確立した後、労働者階級の党と国家が力点を置くべき戦略的課題である。
 こんにち、郡の役割をたかめるうえで、特に重要な問題は、地方経済発展の総合的単位としての郡、都市と農村の経済的連係の拠点としての郡の役割を全面的にたかめることである」

 総書記は、論文のはじめの部分においてこのように述べながら、社会主義建設において拠点に関する問題は、誰もいまだ解明しなかった全く新しい問題であると指摘し、次のように記述している。

 「わが国の場合は、郡を地域的な拠点として設定するのが最も合理的である。
 金日成同志は、すでに郡をわが国の農村事業と地方の事業全般を直接指導する統一的な指導の単位、都市と農村を結びつける拠点として設定した。
 わが国において郡は、政治、経済、文化の各分野で地域的拠点としての役割を立派に果たすためのすべての条件を満たしている。
 かつて、日本帝国主義の植民地支配当時は、郡は地方の住民を統治し収奪するための主要な単位であった。しかし、こんにち、わが国の郡は、党と国家の末端指導単位であり、地方の経済を総合的に発展させ、都市と農村を結びつける拠点としてほどよく整えられた。
 わが国の郡は、郡内のすべての対象を直接指導するのに適切な単位であり、郡内のすべての活動を統一的に、総合的に指導しうる陣容を党と行政の末端指導単位である。党と政府のすべての政策が郡を通して直接農村と労働者区の住民に伝わり、地方の住民の意志が郡をとおして総合される」

 ひきつづき総書記は、郡が地方経済発展の総合的単位、何よりも農業生産と地方工業、そして地方の文化発展の総合的単位として、地方の全般的事業を成功裏に解決し得る最も適当な地域的単位であり、国の社会主義建設をはやく推し進めることのできる合理的な拠点であるということを科学的に解明し、地域的拠点である郡の役割をたかめるうえにおいて提起される、具体的な方法を明確に示したのである。

 総書記は、論文の結論部分において、郡の位置と役割についての金日成主席の革命思想がもつ理論・実践的意義と正当性を科学的に解明している。

 総書記の卒業論文「社会主義建設における郡の位置と役割」は、金日成主席の革命思想を擁護し、よりいっそう深めた模範であった。この論文が発表されることによって、主席によって、歴史上はじめて提示された社会主義制度が確立された以後の農民に対する労働者階級の政治的指導の強化に関する問題と、農村における思想、技術、文化革命を加速化するための方法、そして、地方経済を総合的に発展させる問題などが、より明確に解明された。

 金正日総書記の卒業論文は、社会主義建設の実践に多大な寄与をなす労作となった。(参考文献:『偉大な指導者「金正日」』 1985年2月16日 未來社)



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