金 正 日

大学生の間に革命的世界観を確立することについて
金日成総合大学経済学部の学生初級幹部への談話 
−1962年2月22日− 

 わたしは今日、学部の初級幹部が集まった機会に、大学生の間に革命的世界観を確立することについて簡単に述べたいと思います。

 学生時代は、人々が世界観を形成するうえで非常に重要な時期です。

 人々は、学生時代に人格と品性が完成し、世界観が確立します。学生時代に世界観が確立するのは、意識発展の特性と深い関係があります。

 青年は、新しいものに敏感で、進取の気性に富んでいます。特に、科学を探究する大学生は、新しい思想に敏感で、周囲で起こるあらゆることに深い関心をもち、何か一つ見ても、ただ見るのではなく、それを分析、評価して自分の見解をもつものです。

 大学生は、未来への熱烈な志向と高い理想をもっています。人々は学生時代に、自分は人類のために何をなし、一生をいかに送るべきかをかたく決心するものです。一言で言って、学生時代に世界観が確立するのです。

 学生時代にどんな世界観を確立するかは、その時期にどのような教育を受けるかにかかっています。

 学生時代に革命的な教育を受け、みずから革命思想で武装するために努力を重ねれば革命的世界観を確立することができ、不健全な影響を受け、安逸で怠惰な生活をすれば悪い思想に毒されるでしょう。すべての大学生は、学生時代に革命的世界観を確立するため、努力を尽くさなければなりません。

 金日成同志の尊名を冠した総合大学で学んでいる学生は、人一倍革命的世界観を確立しなければなりません。

 金日成同志によって創立された金日成総合大学は、科学の最高殿堂であり、朝鮮の明日を担って立つ革命的人材を育成する革命の大学です。金日成総合大学の学生は、将来、政治、経済、文化の各分野の重要な持ち場で働く革命の指揮メンバー、祖国と民族の隆盛のために献身する民族幹部になる人たちです。

 我々が真の革命的人材になれるかどうか、将来革命の指揮メンバーとしての本分を果たせるかどうかは、革命的世界観を確立できるかどうかにかかっています。

 金日成同志は総合大学を創立した当初、総合大学の学生は民主祖国の建設と朝鮮民族の隆盛のために献身する優秀な民族幹部にならなければならないとして、教授・教育活動の方向と方途を具体的に示しました。これまで、金日成総合大学は金日成同志の正しい教育思想と方針を具現して、学生を金日成同志の革命思想、労働者階級の革命思想で武装し、先進科学と技術を身につけた国の頼もしい働き手に育て上げ、多くの卒業生が革命発展の各時期に党が与えた課題を責任をもって遂行しました。

 我々は、大学生の間に革命的世界観を確立することが朝鮮革命の明日の運命にかかわる問題であることを深く銘記し、革命的世界観を確立するために極力努力しなければなりません。

 世界観とは、世界に対する見解です。人間が世界をどのような観点から見、どのような立場から対するかということが、とりもなおさず世界観です。

 世界を見て対する人々の観点と立場は、彼らの利害関係によって異なります。資本家階級と労働者階級の世界観が根本的に異なるのは、彼らの階級的要求と利害が対立しているからです。

 労働者階級は、最も先進的で革命的な階級であり、彼らの要求と利害関係はすべての勤労者大衆の志向を代表し、人類史の発展方向と完全に一致しています。したがって、労働者階級の要求と利害関係にもとづく世界に対する観点と立場だけが最も科学的で革命的な世界観なのです。

 革命的世界観で武装するというのは、労働者階級の観点と立場から世界を見て対することを意味します。革命的世界観が確立した人は、搾取階級を憎悪し、自分の祖国と人民、階級を愛し、ひたすら労働者階級の偉業に一身をささげるというかたい決意をもって自分の信念に従って行動し、逆境にあっても動揺せず、難関にぶつかっても屈しません。

 革命的世界観を確立する問題は、スローガンを唱え呼びかけるからといって解決するものではなく、一朝一夕に解決するものでもありません。革命的世界観は、革命の真理を体得するための粘り強い努力と頑強な実際の闘争を通じてのみ確立し強固になるのです。

 革命的世界観を確立するためには何よりもまず、金日成同志の革命思想で武装しなければなりません。

 金日成同志の革命思想は、最も科学的で革命的な世界観です。金日成同志の革命思想は、労働者階級をはじめ、人民大衆の要求と利害関係を正確に反映しており、それを実現する正しい道を示しています。金日成同志の革命思想には、革命と建設で提起されるあらゆる理論的・実践的問題が原理的に解明されているだけでなく、その具体的な方途まで示されています。金日成同志の革命思想で武装してこそ、すべての問題を労働者階級の革命的立場から正確に見て判断し、その解決の正しい方途を見いだすことができるのです。

 金日成同志の革命思想で武装するには、金日成同志の著作を全面的に深く学習しなければなりません。

 いま一部の人は、金日成同志の著作に盛り込まれている深遠な思想を深く体得するために努力せず、どの文献でどんな問題が強調されており、どの文献ではどんな思想が言及されているかといったことを知っていれば十分だと考え、学習を非常に形式的におこなっています。甚だしい場合は、文献にあるいくつかの命題を抜粋することで著作の学習にかえています。金日成同志の著作の学習をこのようにしていたのでは、いくら学習しても何の役にも立ちません。

 金日成同志の著作を学習する目的は、思想的・精神的糧を得ることにあります。ですから、金日成同志の著作の学習は、原文にもとづいて着実におこない、その真髄の把握に重点を置くべきです。

 金日成同志の革命思想を自分の血とし肉とするためには、著作の学習を着実におこなうだけでなく、実際の活動を通じて著作に示されている思想の正当性と独創性をより深く体得しなければなりません。

 著作の内容を知っているからといって、金日成同志の革命思想を自分の血とし肉とし、信念としたとは言えません。

 著作を一つ読むにしても、そのなかに盛り込まれている金日成同志の意図は何であり、どうすれば金日成同志の高い志をこの地に具現することができるかという見地に立って読むべきです。すべての学生は、金日成同志の著作をただ研究するのではなく、著作に示されている思想を物差しにしてあらゆる事象を見て対する習慣を身につけなければなりません。

 革命的世界観を確立するためにはまた、科学知識を幅広く、深く習得しなければなりません。

 自然と社会に関する知識を幅広く、深く身につけることは、革命的世界観を確立するための前提条件となります。

 昔から、知は力と言われてきました。博識であってこそ、あらゆる問題を全面的に深く考察し、正しく処理することができるのです。搾取制度の反動的本質とその滅亡の不可避性を知らなくては、搾取階級と搾取制度を憎悪し、それを覆すための闘争に立ち上がることができず、現代科学と技術を知らなくては、社会主義建設で提起される困難で複雑な問題を正しく解決することができません。革命的世界観を確立し、革命と建設を成功裏に進めるためには、必ず自然と社会に関する知識を幅広く、深く身につけなければなりません。

 主に、科学知識を習得する過程を通じて革命的修養を積み、世界観を確立していく大学生にとって、自然と社会に関する知識を幅広く、深く身につけることはきわめて重要です。

 大学生は将来、国の民族幹部、革命の指揮メンバーとしての本分を果たすためにも、自然と社会に関する豊富な知識を身につけなければなりません。

 大学生が身につけるべき知識は、革命のための知識、革命的世界観の確立に必要な知識です。革命の役に立たず、革命的世界観の確立に助けとならない知識は、いくら学んでも使い道がありません。

 こんにち、朝鮮革命に不可欠で、革命的世界観の確立に実際に助けとなる知識は、何よりも資本主義滅亡の不可避性と社会主義・共産主義勝利の必然性に関する理論です。

 資本主義が滅亡し、社会主義、共産主義が勝利するのは、歴史発展の動かしがたい法則です。

 大学生は、資本主義が滅亡し、社会主義・共産主義が勝利するという歴史発展の合法則性を深く認識してこそ、革命的世界観が確立した共産主義者となり、社会主義・共産主義偉業のために一生をささげてたたかうことができるのです。

 大学生は、資本主義滅亡の不可避性と社会主義・共産主義勝利の必然性に関する理論を、階級的教育、反修正主義教育の資料と密接に結びつけて着実に学習すべきです。

 大学生はまた、古今東西のすべての史実と進歩的な文化遺産についてよく知るとともに、小説も読み、映画や演劇も鑑賞すべきです。

 金日成同志は、幹部の活動作風と自己修養の問題について言及し、幹部は小説も読み映画も見てこそ対人活動を円滑におこなうことができると述べています。大学生は寸暇を惜しんで勉学につとめ、在学中に豊富な知識を習得しなければなりません。

 革命的世界観を確立するためにはまた、革命的実践を通じて不断に鍛えられなければなりません。

 人々は、実践の過程で自分の準備の程度を試され、世界観をさらに完成していきます。

 大学生は、革命的学習気風を確立するからといって、勉強ばかりする「本の虫」になってはなりません。革命的実践で鍛えられず、勉強ばかりしていたのでは、革命的世界観を確立することはできません。

 大学生は、革命的実践活動に積極的に参加してこそ、党政策の正当性と生命力を深く体得し、それをあくまで貫徹するという決意をかためるようになるのです。革命的実践は、大学生の思想と知識水準を点検するよい機会となり、自分の知識の不十分な点を補うようにしむけます。

 金日成同志は大学生を革命的実践で鍛えるため、解放直後には新しい祖国の建設と階級闘争の躍動する現実を体験させ、祖国解放戦争(朝鮮戦争)の時期には戦火の中で鍛え、いまは社会主義革命と社会主義建設の壮大な闘争のなかで、朝鮮革命に責任をもつ真の共産主義者となるように導いています。

 大学生が実践で鍛えられるには何よりもまず、社会・政治活動に積極的に参加しなければなりません。

 大学生が社会・政治活動に積極的に参加すれば、党の政策を深く研究するようになり、党の路線と政策を大衆に宣伝し、彼らを党政策の貫徹へと立ち上がらせる能力を養うことができます。

 いま、一部の人は、社会・政治活動と言えば一部の有能な幹部だけがおこなうものと考えていますが、それは間違っています。大学生が人民班に出向いてわが党の政策と共和国政府の施策を解説、宣伝するのも社会・政治活動であり、田植えや秋の収穫期に農村へ出向き、農民とともに楽しく働きながらわが党の農業政策について解説し、彼らを党政策の貫徹へと奮い立たせるのも社会・政治活動なのです。

 社会・政治活動は、キャンペーン式にではなく、日常的におこなうべきです。大学生は社会・政治活動に日常的に参加してこそ、常に大衆とともに呼吸し活動しながら、みずからを修養し鍛え、現実も把握することができるのです。

 社会・政治活動は、自然の成り行きに任せるのでなく、必ず組織化しなければなりません。個々の大学生の準備の程度と特性に応じて任務を正しく分担し、その遂行状況を総括し、長所は生かし短所は改めるべきです。

 大学生を実践を通じて鍛えるうえではまた、彼らがみずから大学を整えるようにする必要があります。

 もちろん、わが国では、金日成同志の賢明な指導のもとに、党と国家が莫大な資金を投じて大学を建て、奨学金まで支給して大学生を勉強させています。いま、大学生は何の心配もせずに学んでいます。だからといって、上部を当てにし、自分が当然すべきこともしないのではいけません。

 大学生は当然、国が建ててくれた大学を自力できちんと整えて管理するとともに、寮や食堂など学内のすべての設備と施設をきれいにして大事に使うべきです。

 大学生は、生産的な労働にも積極的に参加しなければなりません。

 労働は、革命的世界観を確立するうえで大きな作用を及ぼします。労働を通じて労働に対する共産主義的観点と態度が確立し、難関克服の精神が養われ、集団主義と同志愛が育まれるのです。

 わたしはいまも、昨年の5月、臥山洞──龍城間道路拡張工事に参加し、勤労の偉勲を立てた時のことを思い出します。あの時、みながどしゃぶりの雨や炎天下の猛暑をものともせず、革命歌謡を高らかに歌いながら泥土を掘り出し、もっこも担いだものです。その過程で、革命任務に対する忠実性と労働に対する共産主義的態度がいっそう培われたのです。

 我々は今後も、党の呼びかけにこたえて社会主義建設の現場に駆けつけ、燃えるような青春の気迫と情熱を余すところなく発揮しなければなりません。

 革命的世界観を確立するためには、組織生活に誠実に参加しなければなりません。

 人々は組織生活を通じて革命的修養を積み、党性を鍛え、革命家に成長します。革命的な組織生活を抜きにしては、党性の鍛練や革命的世界観の確立の問題について考えることはできません。革命的な組織生活を通じて、労働者階級の革命性と組織性が培われ、すべての問題を労働者階級的な観点と立場に立って考察し処理する能力が養われるのです。革命的な組織生活は、組織と集団、同志に対する共産主義的観点と態度を培い、個人の利益を階級の利益に従わせ、個人の運命を人民の運命と一つに結びつける集団主義の精神を養います。組織生活を嫌う人は革命家になれず、革命的世界観を確立することができません。

 組織生活を通じて思想を鍛え革命的世界観を確立していくことは、学業を専門とする大学生にとって特に重要な問題です。生産的な労働に参加する機会が少ない大学生は、組織生活を通じて革命的鍛練を強めることに主力を注ぎ、その過程で革命的世界観を確立していかなければなりません。

 すべての大学生は、組織を尊び、組織に徹底的に依拠して生活し、党および民青(朝鮮民主青年同盟)の組織生活に誠実に参加し、組織の決定と分担された任務をそのつど誠実に遂行する革命的気風を確立すべきです。

 みなさんは、革命的世界観が確立した朝鮮の革命家、金日成同志に限りなく忠実な真の共産主義者としてしっかり準備しなければなりません。

出典:『金正日選集』増補版1



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