金 正 日

偉大なチョンサンリ精神、チョンサンリ方法を深く体得しよう
金日成総合大学学生への談話 
−1962年2月10日− 

 今日は、金日成同志が青山里と江西郡を現地指導してから2周年に当たる日です。この意義深い日に金日成同志が創始したチョンサンリ(青山里)精神、チョンサンリ方法について討論するのはよいことだと思います。

 金日成同志は1950年代末、わが国に生じた新たな環境の要求を深く洞察し、大衆指導に関する思想、方法としてチョンサンリ精神、チョンサンリ方法を創始しました。

 1950年代の末、わが国では生産関係の社会主義的改造が完成し、都市と農村に長い間存続してきた個人経営がなくなり、社会主義的集団経営が全一的に支配するようになりました。生産成長の速度が速まり、経済の規模も非常に大きくなりました。党中央委員会1956年12月総会を契機に革命的大高揚が起こり、チヨンリマ(千里馬)運動が始まることによって、社会主義建設の各分野で世人を驚嘆させる奇跡と革新がもたらされました。チョンリマ大高揚の炎のなかで工業生産は毎年30〜40%の成長を遂げました。

 人民大衆の政治的・道徳的統一が強まり、彼らの革命的熱意も一段と高まりました。社会主義革命の勝利と社会主義制度の樹立によって、すべての人が社会主義的勤労者となり、彼らの間には互いに助け合い、導き合う同志的関係がきずかれ、国と社会の真の主人としての人民大衆の革命的志向と熱意も一段と高まりました。

 ところが、党、国家、経済機関の活動体系と活動方法は依然として古い枠から抜け出せず、幹部の指導水準も発展する現実に追いつけないありさまでした。そうして、新たな環境と古い活動体系、急速に発展する現実と幹部の指導水準との間に不一致が生じるようになりました。こうした不一致は、農業部門にいっそう顕著にあらわれました。

 金日成同志は、党、国家、経済機関の古い活動体系と活動方法をそのままにしておいたのでは革命と建設を速く前進させることはできないと考え、党中央委員会1959年12月総会で新たな環境に即して活動体系と活動方法を改めるという賢明な方針を打ち出し、1960年2月に青山里と江西郡に出向き、25日間も現地にとどまって歴史的な現地指導をおこない、その過程で偉大なチョンサンリ精神、チョンサンリ方法を創始しました。

 チョンサンリ精神、チョンサンリ方法は、金日成同志が抗日革命闘争の炎の中で生み出した大衆指導方法を社会主義制度が樹立された新たな環境に即して、さらに深化、発展させたものです。

 チョンサンリ精神は、革命的大衆路線を具現した大衆指導思想です。革命的大衆路線を貫徹するというのは、人民大衆の利益を擁護し、人民大衆の力と知恵を信じ、それに依拠して革命闘争と建設事業を進めていくということです。金日成同志が述べているように、革命と建設は、人民大衆のための事業であり、人民大衆自身がおこなう事業です。労働者階級の党と国家は、人民大衆の利益を擁護してたたかう政治組織であり、人民大衆の要求と利益を守ることは党と国家活動の最高原則です。労働者階級の党は、人民大衆の利益をしっかりと守り、その実現のために断固たたかうほど、広範な人民大衆の積極的な支持を受け、彼らの間に深く根をおろすことができます。

 党、国家、経済機関の幹部にとって、人民大衆の要求と利益を尊重し、それを擁護し実現することより重要なことはありません。党、国家、経済機関の幹部は、人民を治める官僚ではなく、人民に奉仕するしもべです。党、国家、経済機関の幹部は、人民大衆の利益を擁護する精神をもち、人民大衆の要求と利益を実現し、彼らに奉仕することを自分の活動における最高の原則としなければなりません。

 人民大衆は、底知れない力と知恵をもっています。この世に人民大衆より力と知恵のある者は存在しません。人民大衆の力を引き出すなら、いかなる困難な革命課題も立派になし遂げることができます。

 人民大衆の力に依拠して、すべてのことを解決していくには、彼らの力を信じなければなりません。人民大衆は師であり、彼らの力と能力が一番だという観点に立たなければ、人民大衆の力に依拠してすべての問題を解決していく立場と態度をとることはできません。革命の過程で試練や難関に直面することもあります。困難な時であるほど人民大衆の力を信じなければなりません。人民大衆の力を信じなければ自信を失い、意気消沈してしまいますが、人民大衆の力をかたく信じ、それにしっかり依拠するならば、自信と勇気が生まれ、難関を切り抜ける方途も生まれるものです。

 人民大衆の利益を擁護し、彼らの力に依拠するのが革命的大衆路線の基本的要求であり、それを具現した大衆指導思想がほかならぬチョンサンリ精神です。

 みなさんの発言を聞くと、一部の人はチョンサンリ精神とチョンサンリ方法を同じものとみなしていますが、チョンサンリ精神とチョンサンリ方法を別個のものとみなしてもなりませんが、同じものとみなしてもなりません。チョンサンリ精神がチョンサンリ方法に貫かれている大衆指導に関する思想であるなら、チョンサンリ方法はチョンサンリ精神を具現している大衆指導方法です。

 チョンサンリ方法は、非常に豊富で奥深い内容をもっています。

 チョンサンリ方法の基本は、何よりも上部が下部を助けることです。上部が下部を助けるというのは、上部機関が下部機関を助け、上部の人が下部の人を助けることを意味します。

 上部が下部を助ければ、金日成同志の教えとその具現である党の路線と政策が下部に速やかに浸透し、上下が心を合わせてそれを立派に貫徹することができます。

 上部が下部を助けるのは、大衆指導において既存の指導陣容を効果的に利用し、全般的な指導水準を高めるよい方法です。準備の程度が高い上部機関の幹部が下部に出向いて下部機関の幹部と心を合わせれば、指導を高い水準でおこない、その過程で下部機関の幹部の活動水準と能力を早く高めることができます。

 搾取社会とは異なり、社会主義社会では上部機関の幹部と下部機関の幹部は盲目的な支配と服従の関係にあるのではなく、共通の目的と理想を実現するためにともにたたかう同志的関係にあります。同志的に助け合い、上下が心を合わせて懸案を解決していくのは、社会主義制度の本性にかなったすぐれた活動方法です。

 チョンサンリ方法の基本はまた、すべての活動で政治活動を優先させることです。

 政治活動を優先させるのは、大衆の創造力を革命課題の遂行に最大限に動員する方法です。政治活動は、人々の思想を啓発し、彼らの自発的熱意と創意性を発揮させる活動です。革命闘争と建設事業は、人民大衆の創造力に依拠してこそ立派に遂行することができるのです。人民大衆の創造力は思想が啓発されてこそ発揮されるのであり、思想を啓発するためには政治活動を優先させなければなりません。

 政治活動を優先させるのは、搾取と抑圧から解放された人民大衆が高い自発性と創意性を発揮して働く、社会主義制度本来の要求にかなったすぐれた活動方法です。資本主義社会では金と鞭で人々を動かすしかありません。資本主義社会では勤労者は金がなければ飢え死にするので、わずかな金のために資本家の鞭のもとで屈辱的な労働を強いられるのです。一部の国で勤労者への物質的刺激を基本としているのも、本質的には資本主義的方法の変種です。革命闘争と建設事業で人々の創造力を最大限に発揮させるには、政治活動を優先させ、政治的・道徳的刺激を基本とし、これに物質的刺激を適切に組み合わせなければなりません。幹部はいつも政治活動をすべての活動に優先させ、そこに革命課題を立派に遂行する鍵を見いだすべきです。

 チョンサンリ方法の基本はまた、現実のなかに入って実情を見極め、問題解決の正しい方途を見いだすことです。

 革命課題を立派に遂行するための方途は、必ず具体的な実情を見極め、それに即して講じられなければなりません。人民大衆の創造力を発揮させ、彼らの役割を高めるには、現実のなかに深く入らなければなりません。

 現実のなかに入ってこそ、大衆の準備の程度や物質的・技術的保障状態など具体的な実情をよく知ることができ、実情を深く把握してこそ、革命課題を立派に遂行するための科学的な方途を見いだすことができるのです。

 現実のなかに入って実情を深く把握し、問題解決の正しい方途を見いだす方法は、事務室に居座って主観的欲求にかられて問題を処理したり、実情に合わず、人民大衆の要求に反することを押し付けたりする、主観主義的で官僚主義的な方法とは根本的に異なります。それは、指導の科学性と現実性、具体性を保障することにより、党の政策を貫徹できるようにします。

 幹部は、チョンサンリ方法の要求どおりに、大衆が働き生活する現実のなかに入り、彼らの準備の程度や物質的・技術的保障状態など具体的な実情を深く把握し、革命課題を立派に遂行するための方途を見いだすべきです。

 チョンサンリ方法はこの他にも、活動でキーポイントを見つけてそこに力を集中し、一般指導と個別指導を正しく結びつけるといった、科学的かつ革命的な方法を幅広く包含しています。

 チョンサンリ精神、チョンサンリ方法は、日ごとにその正当性と生命力を発揮しています。金日成同志が青山里を現地指導してから2年間に我々が革命闘争と建設事業でおさめたすべての成果は、チョンサンリ精神、チョンサンリ方法の偉大な生命力をより明確に実証しています。

 指導方法とは、党が対人活動をおこなう方法、人を動かす方法です。対人活動の方法、言いかえれば正しい活動・方法と活動作風を確立してこそ、人民大衆を革命と建設に正しく導くことができるのです。

 金日成同志は、党の路線と政策が的確で、それを実行するための方途が正しく講じられた後は、幹部がどんな活動方法と活動作風をもって大衆を導いていくかによって革命と建設の成否が決まると述べています。指導方法を確立することは、労働者階級の党の政治的指導で重要な意義をもっています。

 しかし、従来の労働者階級の革命理論では、指導方法に関する体系化された理論が解明されていませんでした。マルクスとエンゲルスの学説には指導方法に関する理論が見られません。レーニンは指導方法に関する思想を若干提起しましたが、断片的であり、理論化されていませんでした。スターリンはレーニン主義的活動作風を論じ、それをロシア式革命的展開力とアメリカ的実務性の結合だと特徴づけただけで、それ以上展開できませんでした。

 金日成同志は、革命は人民大衆のための事業であると同時に人民大衆自身の事業であるので、革命と建設で勝利をおさめるには、何よりもまず人民大衆を目覚めさせ、彼らを革命と建設に正しく導かなければならないと述べました。それゆえ、金日成同志は、人民大衆を党のまわりに結束し、革命に立ち上がらせる指導方法の問題に特に関心を払ったのです。

 指導方法に関する問題は、金日成同志がチョンサンリ精神、チョンサンリ方法を創始することにより完璧に解明されました。

 みなさんも発言したように、大衆指導の原則と方法に関する体系化された理論は金日成同志の著作にしか見られません。我々は金日成同志の革命思想において、指導方法に関する問題を深く理解しなければなりません。

 我々は、今日の討論を通じて、偉大なチョンサンリ精神、チョンサンリ方法についての理解を深めました。しかし、今回の討論だけでチョンサンリ精神、チョンサンリ方法を完全に体得したとは言えません。今後さらに勉学に励み、金日成同志が創始した大衆指導に関する思想と方法で武装しなければなりません。

出典:『金正日選集』増補版1



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