金 正 日

実習を通じて学校で学んだ知識を確かなものにしよう
金日成総合大学学生への談話 
−1961年4月18日− 

 我々は、このたび20日間ほど平壌紡織機械製作所で生産実習をおこなうことになりました。

 金日成同志は、早くから理論教育と実践教育、教育と生産労働を密接に結びつけるという革命的方針を打ち出しました。生産実習は、理論と実践を正しく結びつける教育の一形態であり、在学中に必ず経なければならない教育学的過程です。

 在学中に生産実習をおこなうのは、学生を理論と実践を兼備した有能な革命的人材に育て上げるための重要な要求の一つです。生産実習をおこなってこそ、講義や本で学んだ知識を確かなものにし、革命と建設に実際に役立つ生きた知識にすることができます。理論と実践は、密接に統一されています。理論は実践的経験を一般化させたものであり、実践は真理の基準です。講義や本で学んだ理論は、ただ実践を通じてのみ、その真理性を検証し、確実に自分のものにすることができます。

 生産実習をおこなうのは、学生の認識能力と実践能力を養ううえでも重要です。認識能力と実践能力を養うのは、革命的人材を育成するために解決しなければならない二つの要素です。

 実践は、科学的認識の基礎であり出発点であるとも言えます。現実は、講義で聞いたり本で読んだものより生き生きとして多様です。それゆえ、生産実習をおこなってはじめて、現実のなかでさまざまな知識を幅広く深く体得することができます。

 生産実習は、すでに得た知識の実践能力も養ってくれます。生産実習は、学校で学んだ知識を現実に応用できるようにし、今後、革命課題を手際よく処理する能力を養ってくれます。我々が在学中に教室でただ理論を学ぶにとどまり、生産実習を通じて実践能力を養わなければ、理論を知っているだけで実践できない「頭でっかち」になってしまいます。理論を知っているだけで実践できない「頭でっかち」は、朝鮮革命に何の役にも立ちません。

 生産実習は、みずからを革命的に鍛えるためにも不可欠です。

 我々は躍動する社会主義建設の現実に身を投じてこそ、党政策の正当性とその生命力を深く体得し、みずからを思想的に修養し革命的に鍛えることができるのです。

 大学生は、自然科学を専攻しようと社会科学を専攻しようと、生産実習に積極的に参加して実践能力を養わなければなりません。

 我々は、今回の生産実習の重要性と意義を明確に認識し、着実に生産実習をおこなうべきです。

 今回の生産実習で重要なのは、何よりも技術工学科目で学んだ理論を完全に自分のものとし、現代的な技術知識と工場管理・運営方法を学ぶことです。

 現代は科学と技術の時代であり、至る所で求められているのは技術です。技術を知らなければ経済組織活動と生産の指揮を正しくおこなうことができず、社会主義建設に寄与することができません。我々は大学を卒業すれば、国の頼もしい民族幹部、革命の指揮メンバーとして働くことになります。卒業後、革命の指揮メンバーとしての本分を果たすためには、在学中に経済学の理論だけでなく、常識的な技術知識と経済管理・運営方法を身につけなければなりません。

 我々は生産実習期間に、生産工程に関する技術知識と旋盤など一般の工作機械の扱い方を習得しなければなりません。

 生産実習期間に仕事の手配を綿密におこなえば、生産工程に関する技術知識と旋盤、ボール盤、フライス盤など一般の工作機械の扱い方を十分学ぶことができます。生産工程に関する技術知識と一般の工作機械の扱い方を学ぶには、労働者と技術者のなかに入り、機械を直接扱ってみなければなりません。

 工場の管理・運営システムと方法についても学ぶ必要があります。

 経済学を専攻する人なら、当然、工場における生産の手配と指揮、資材の供給、設備管理、労力管理、財政管理などの方法を知らなければなりません。もちろん、生産実習をしながら工場の管理・運営方法まで学ぶというのは容易なことではありません。しかし、努力すれば十分学ぶことができます。

 我々は工場の幹部と労働者の助けを借りて、工場の管理・運営システムと計画化、技術指導、生産の手配、労力管理、資材の供給、財政管理などの経済管理知識を学ぶべきです。

 生産実習期間に労働者階級の革命精神を積極的に見習うべきです。

 労働者階級は、社会主義・共産主義を建設する歴史的使命を帯びた、最も先進的で革命的な階級です。労働者階級は、農民やインテリより気高い革命精神をもっています。我々は労働者階級の革命精神を見習ってこそ、みずからを真の革命家に仕立て上げ、党と革命に忠誠を尽くすことができるのです。我々は、今回の生産実習を単に機械を扱いながら技術・技能を習得する機会と考えるのでなく、躍動する現実のなかで労働者階級の革命精神を見習う重要な契機とすべきです。.

 労働者階級の革命精神を見習ううえで重要なのは、党と領袖への忠誠心を見習うことです。

 党と領袖への忠誠心は、労働者階級の革命精神の核心をなしています。労働者階級は、党と領袖の正しい指導のもとでのみ、その崇高な使命と任務を立派に遂行することができます。それゆえ、労働者階級は、どの階級よりも党と領袖への忠誠心が強いのです。わが国の労働者階級は、解放後からこんにちに至るまで、常に党と金日成同志を断固として守り、党の路線と政策を貫徹してきました。党と領袖を断固として守り、党と領袖の要求であれば水火も辞せずたたかうのは、朝鮮の労働者階級に固有な品性です。

 わが国の労働者階級は、解放直後、あれほど困難で複雑な環境のもとでも、金日成同志が示した新しい民主朝鮮建設の歴史的課題を心に受け止め、短期間に破壊された工場、企業を復旧し、国の経済を復興し発展させました。

 祖国解放戦争(朝鮮戦争)の時期にも、わが国の英雄的労働者階級は前線と後方で戦争の勝利のためにすべてをささげてたたかいました。特に、戦争によってあらゆるものが破壊され、反党反革命分派分子が党に挑戦した戦後の困難な時期に、彼らは金日成同志を断固として守り、金日成同志が独創的に打ち出した社会主義経済建設の基本路線を貫徹しました。こんにち、彼らは金日成同志の呼びかけにこたえて、第4回党大会の前に今年度の人民経済計画を完遂するために勤労闘争を力強く繰り広げています。

 我々は、生産実習期間に、党と領袖の要求であれば水火も辞せず、あくまでなし遂げる労働者階級の燃えるような忠誠心を積極的に見習うべきです。

 革命的組織性と規律性、集団主義精神は、労働者階級の重要な思想的・精神的特質の一つです。

 労働者階級は、みずからの崇高な使命と任務からして組織性と規律性が強く、個人の利益や享楽のためではなく、ただ、社会と集団のために積極的にたたかう強い集団主義精神をもっています。労働者階級の力が強いのも、彼らが革命的組織性と規律性、集団主義精神をもっているからです。

 労働者階級が掲げた「一人はみんなのために、みんなは一人のために!」というスローガンは、彼らの組織性と規律性、集団主義精神を如実に反映しています。いま、わが国の労働者階級は、このスローガンを高く掲げ、社会主義建設で集団的英雄主義を余すところなく発揮しています。我々は生産実習期間に、労働者階級が発揮している革命的組織性と規律性、集団主義精神を大いに見習い、それを活動と生活に具現するために努力を尽くすべきです。

 労働者階級の強靭な意志と自力更生の革命精神も見習う必要があります。

 労働者階級は、意志が強く、自力更生の革命精神が非常に強いと言えます。労働者階級には、やろうと思えばできないことはないという革命的信念と、党と革命の要求であれば、いかに困難で膨大な課題もいとわず自力で必ずやり遂げるという、強靭な意志と自力更生の革命精神があります。

 これまで、わが国の英雄的労働者階級は、社会主義建設において困難で膨大な課題が提起されるたびに、いつも自力更生の革命精神を発揮して、それを間違いなく遂行してきました。

 わが国で初めてトラクターとトラックをつくった時のことを考えても、わが国の労働者階級がいかに意志が強く、自力更生の革命精神が高いかがよくわかります。わが党が技術革命の方針を打ち出し、トラクターとトラックを生産することを呼びかけた時、岐陽と徳川の労働者は、設計図もなく、技術や機械設備も足りないきわめて困難な状況のもとでトラクターとトラックの生産に取り組みました。彼らは、外国のトラクターとトラックを分解して設計図を自力でつくり、数百、数千種もの付属品と部品をハンマーでたたいたりヤスリをかけたりしてつくりだし、数十回も失敗を重ねたすえ、ついにトラクターとトラックをつくりあげました。

 わが国の労働者階級は、金日成同志の教えを貫徹するためなら、足りないものは探し出し、ないものはつくりだし、知らないことは学び、研究して、立ちはだかる難関と試練を勇敢に乗り越えています。我々はまさに、労働者階級からこのような精神、このような仕事ぶりを見習うべきです。

 労働に対する共産主義的態度を養うために極力努力すべきです。

 労働は、社会の物質的富の創造であり、我々のあらゆる幸福の源泉です。人々の創造的な労働なくしては国を富強にすることができず、人類の最高の理想である社会主義・共産主義社会を建設することができません。

 労働を愛し、誠実に働くのは、共産主義者の重要な品性の一つです。労働を愛し、自覚的に誠実に働く人であってこそ、党と革命に忠実に奉仕する革命家になれるのです。働くのをいやがり、遊んで暮らそうとする人は、我々の社会で何の役にも立ちません。

 労働は、人々の健康のためにも必要です。人間は働いてこそ体が丈夫になり、長生きすることができるのです。

 我々の社会で労働は、最も張り合いがあり栄誉あることです。

 我々は、今回の生産実習期間を労働に対する共産主義的態度を養うよい機会とみなし、自覚的に誠実に働かなければなりません。みなが朝早く出勤して工場の内外を清掃し、機械設備もきちんと整備し、標準操作法に従って責任をもって仕事をすべきです。特に、工場に課された骨の折れる仕事をすすんで受け持ち、模範的に遂行することです。

 労働者の間で社会・政治活動を活発におこなうべきです。

 社会・政治活動は、学校で学んだ知識を現実に適用し、社会主義建設に直接寄与する重要な活動です。我々が在学中に社会・政治活動を盛んにおこなってこそ、革命的に鍛えられ、大衆を教育し立ち上がらせることができる有能な政治活動家になれるのです。

 今回の生産実習は、我々が社会・政治活動を積極的に展開できる絶好の機会です。

 我々は、労働者のなかに入って党政策の本質と正当性をわかりやすく説き、科学技術宣伝と衛生宣伝活動を活発におこなって、彼らを党政策の貫徹へと立ち上がらせるべきです。また、労働者、技術者の間に見られる模範的な事実を積極的に探し出し、速報や壁新聞で広く紹介、宣伝すべきです。労働者の間で歌の普及活動、芸術サークル活動、大衆スポーツ活動なども広くおこなって彼らの士気を鼓舞し、工場全体に革命的熱情と戦闘的気迫がみなぎるようにしなければなりません。

 生産実習期間に教科の学習も強化すべきです。

 生産実習期間だからといって教科の学習をおろそかにしてはなりません。教科の学習と生産実習は別個の問題ではありません。生産実習期間に、学習をおろそかにすれば、すでに学んだ知識を確かなものにすることができず、実習を着実におこなうこともできません。我々が労働者のなかに入り、社会・政治活動を巧みにおこなうためにも学習をしなければなりません。

 我々は学習が学生の本分であることを忘れず、実習期間に学習計画を具体的に立て、毎日、学習課題を確実に遂行し、いつ、どこにあっても本を手元から離すことなく、うまず、たゆまず学習しなければなりません。

 実習規律を自覚的に守るべきです。

 生産実習の時間は、大学で講義を受ける時間と同じです。生産実習期間に所定の規律と秩序をよく守らなければ、実習を着実におこなうことができないだけでなく、労働者に悪影響を及ぼすことになりかねません。我々は、生産実習期間に所定の日課をよく守り、労働時間に勝手に機械から離れてあちこち歩き回ったり外出してはなりません。特に、労働安全規定と秩序を自覚的に守り、1件の事故も起こさないようにしなければなりません。実習の過程で技術実務上の問題が生じたら、必ず機械工や作業班長、職場長と話し合ったうえで処理することです。

 実習期間に生活を謙虚かつ質素に営むべきです。

 工場では、年配の古参労働者や目上の人を尊敬し、若い人たちに親切に対し、礼儀正しく振る舞わなければなりません。常に、身なりを整え、質素に生活すべきです。そうして、工場の幹部と労働者に金日成総合大学学生の気高い品性を見せるべきです。

 生産実習を着実におこなうためには、初級幹部の責任感と役割を高めなければなりません。

 今回の生産実習がカリキュラムにもとづいておこなわれるからといって、初級幹部が指導教員だけに任せて組織・政治活動に無関心であってはなりません。初級幹部は、実習期間に組織・政治活動を綿密におこない、偏向が見られたら、そのつど正さなければなりません。また、すべての活動と生活面で率先垂範しなければなりません。そうしてこそ、クラス全員がそれを見習うようになり、級友に対する要求の度合いを強めることができるのです。

 初級幹部は、実習と学習、生活のすべての面で人の鑑となり、模範的実践によって級友を導くべきです。

 初級幹部は、実習指導教員や工場の幹部と常に連係を保ち、実習過程に生じる問題をそのつど解決しなければなりません。

 我々は、今回の生産実習を着実におこない、みずからを朝鮮革命に役立つ有能な人材として鍛えあげるべきです。

出典:『金正日選集』増補版1



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