金 日 成

社会主義建設と祖国の統一をめざす
朝鮮人民の闘争について
−アメリカ共産党代表団との談話− 
1988年6月24日 

 私は朝鮮労働党中央委員会を代表して、書記長同志を団長とするアメリカ共産党代表団のわが国訪問を熱烈に歓迎します。

 書記長同志が、アメリカの政治情勢とアメリカ共産党の活動についてくわしく紹介し、社会主義建設と祖国の統一をめざすわが党と人民の闘争を積極的に支持する立派なお言葉を述べてくれたことに感謝します。

 こんにち、わが党と人民は、2つの課題を遂行しています。それは第1に、共和国北半部で社会主義建設をおし進めて社会主義の完全な勝利を達成することであり、第2に、自主、民主、祖国統一をめざして闘う南朝鮮人民と力を合わせて、一日も早く祖国の自主的平和統一を実現することです。

 我々はいま、第6回党大会が示した方針に従い、社会主義の完全な勝利を達成する闘いを力強く展開しています。

 第6回党大会では、全社会のチュチェ思想化を朝鮮革命の総体的任務と規定し、社会主義の完全な勝利の達成を全社会のチュチェ思想化のための当面の闘争課題として提示しました。

 全社会をチュチェ思想化して共産主義社会を建設するためには、二つの要塞、すなわち、思想的要塞と物質的要塞をともに占領しなければなりません。物質的要塞を占領するだけでは、共産主義社会を建設することができません。物質的要塞と同時に、思想的要塞を必ず占領しなければならず、それに、第一義的に力をそそがなければなりません。すべての人を共産主義的に教育改造することなしには、共産主義の物質的要塞を占領することもできません。だからといって、物質的要塞の占領を軽視してもいけません。人々がいくら思想的にしっかり準備できていても、物質的要塞の占領がスムーズにいかず、物資の欠乏をきたし、生活上の不便を感じるようでは、社会主義・共産主義社会を心から支持しないようになります。
 社会主義の完全な勝利を達成し、共産主義社会を建設する基本的方途は、思想、技術、文化の3大革命を強力に展開することです。思想革命、技術革命、文化革命を強力に展開してこそ、共産主義の思想的要塞と物質的要塞をともに成功裏に占領することができます。わが党は、思想、技術、文化の3大革命を社会主義社会で遂行すべき革命の基本内容、共産主義を建設するまで遂行すべき継続革命の課題と規定し、その遂行に大きな力をそそいでいます。
 わが党は、何よりもまず、思想革命を力強く推進しています。

 思想革命は、社会の全構成員を教育改造して共産主義的人間にするための革命です。言いかえれば、社会の全構成員を革命化、労働者階級化する事業です。

 社会主義の完全な勝利の達成で極めて重要なのは、人々を革命化、労働者階級化する教育活動を強化することです。人々のあいだで思想教育を強化してこそ、全社会に一人はみんなのために、みんなは一人のために働き生活する共産主義的気風を確立することができます。労働者階級の党が、社会主義革命を遂行し社会主義制度を樹立したのち、思想教育をおろそかにすれば、人々の頭に残っている古い思想が息を吹き返すようになり、のちには、思想的変質をきたし、働くことをいやがり、遊んで暮らそうとするようになります。そうなれば、人々のなかからアヘン中毒者や飲んだくれも生まれるようになり、社会主義、共産主義を成功裏に建設することができなくなります。

 人々を革命的に教育する活動は、革命が前進し、人々の生活が裕福になるほど、いっそう強化しなければなりません。人々は、生活が苦しいときには革命への熱意が高く、仕事に励みますが、食・衣・住の心配がなくなるとそれに満足してしだいに革命的熱意が冷め、仕事に励まなくなります。

 かつて日本帝国主義植民地支配の時期、朝鮮人民は非常に貧しい暮らしをしました。当時、朝鮮人民は、日本帝国主義者に搾取され抑圧されただけでなく、地主、資本家からも搾取され抑圧され、奴隷の生活を強要されました。しかしいま、朝鮮人民は立派な暮らしをしています。朝鮮人民はまだみちたりた物質生活をしているとは言えませんが、食・衣・住の心配をせず幸せに暮らしています。わが国では、この世に生まれたときから国家から食糧の供給を受ける権利を有するようになります。労働者、事務員は、国家からただも同然の安い価格で食糧の供給を受けています。国家は、農民から米を1キログラム当たり60チョンで買い、労働者、事務員には8チョンで供給しています。国家が労働者、事務員に米を供給して受け取る金は事実上、米の輸送費にもならないくらいです。わが国では人民に住宅を無料で提供しています。労働者、事務員の住宅はいうまでもなく、協同農民の住宅も国家が建てて提供しています。わが国では、全人民が無料治療制の恩恵をこうむっています。人民は誰であれ病気にかかれば、無料で病院で診察を受け、薬ももらい、必要であれば入院治療を受けることもできます。わが国では、全般的11年制無料義務教育を実施しています。国家は、学生・生徒の勉強に支障がないよう制服を無料で供給し、学用品は他の商品より格安の値で売っています。大学生には、国家から奨学金まで支給しています。このような状況のもとで、人民により裕福で文化的な生活を営ませるためには、彼らが革命の主人としての高い自覚をもち、創意を発揮して熱心に働くよう、思想教育を力強く展開しなければなりません。

 思想革命を遂行するうえで最も重要なのは、社会構成員の革命的組織生活を強化することです。わが国では、社会の全構成員が一定の政治組織に網羅されて組織生活をしており、組織生活を通じて思想的に鍛練しています。学校に通う少年は少年団で、青年は社労青で、党員は党で組織生活をしています。そして、労働者は職業同盟で、協同農民は農業勤労者同盟で、女性は女性同盟で組織生活をしています。

 わが国では、全党、全人民、全軍が学習しています。人民は、誰もが自分の水準と職業別の特性に即して一定の学習網と講演綱に加わって政治的・思想的水準を高めています。幹部は幹部学習班で、党員と勤労者は党員および勤労者学習班で定期的に学習しており、全人民が1か月に2回、講演会に参加しています。わが国では、幹部と党員、勤労者はいうまでもなく、幼い少年団員までわが党の思想と政策で武装しており、共産主義教育を日常的に受けています。

 我々は思想革命を他のすべての活動に確固と優先させて力強くおし進めた結果、人々の革命化、労働者階級化において大きな成果をおさめました。こんにち、朝鮮人民の思想・精神状態は極めて健全です。

 我々は、技術革命と文化革命も力強く展開しています。

 我々が進めている技術革命は、勤労者を骨のおれる労働から解放する革命です。我々は、帝国主義者と地主、資本家の搾取と抑圧から解放された勤労者を骨のおれる労働からも解放しようとしています。

 勤労者を骨のおれる労働から解放するためには、人民経済のすべての部門で古い技術を新しい技術にかえ、労働を機械化、半オートメ化、オートメ化、ロボット化しなければなりません。そういう意味からして、技術革命はとりもなおさず機械革命だといえます。発達した資本主義国であるアメリカのような国では、資本家を打倒し人民が政権を握りさえすれば、社会主義社会に相応する物質的土台を築くのはそれほど難しいことではないでしょう。しかし、立ち後れた植民地経済を引き継いだわが国で、生産工程全般を機械化、半オートメ化、オートメ化、ロボット化するというのは、決して簡単なことではありません。わが国で生産工程全般を機械化、オートメ化、ロボット化するには、まだ多くの仕事をしなければならず、それにはかなりの期間を要するでしょう。

 我々は、農村技術革命の促進に大きな力を入れています。

 我々が示している農村技術革命の基本的課題は、農業の水利化、電化、機械化、化学化を実現することです。農業を水利化、電化、機械化、化学化すれば、農業生産を高め、農民を骨のおれる労働から解放し、農民にも労働者のように8時間労働をさせることができます。我々はすでに農業の水利化と電化の課題を完遂し、いまは総合的機械化と化学化を完成するために努力しています。

 我々は、社会主義農業をあくまでも我々の方式で発展させています。一部の社会主義国では農村で個人生産責任制や所帯請負制を実施しているといいますが、我々はそのようにはしません。我々は、『わが国における社会主義農村問題に関するテーゼ』が示した方針にもとづき、社会主義的協同経営をたえず強化発展させる方向に進んでいます。『わが国における社会主義農村問題に関するテーゼ』は私が久しい前に提示したものですが、これには社会主義社会で農業を発展させる原則と方途が明示されています。社会主義農村テーゼを立派に実践しているわが国では、毎年豊作をおさめています。我々はまだ、穀物を輸出できるほどではありませんが、自給自足しています。人口に比べ耕地の少ないわが国で、食糧を自給自足するというのは容易なことではありません。現実は『わが国における社会主義農村問題に関するテーゼ』の正当性と生命力を明白に示しています。一部の社会主義国では、改革、改編をしているといいますが、わが国ではそういうことはしていません。我々はすでに、社会主義を建設する過程で誤りはすべて改革、改編したので、これ以上改革、改編することはありません。

 我々は今後、協同的所有を全人民的所有に切り換え、協同農場を社会主義的な大規模の農場に発展させる計画です。わが国ではすでに久しい前から、社会主義的な大規模の農場を試験的に運営しています。我々は、8千ヘクタールの耕地を有する国営農場に近代的農業機械を十分に供給し、農作業をすべて機械化させています。いまその農場では、農業労働者一人当たり30ヘクタールの耕地を管理しています。これは、社会主義国では農場を大規模の国営農場に切り換えるのが、農業生産力を発展させ、農民を骨のおれる労働から解放する最も正しい道であることを示しています。

 アメリカは、農業の発達した国です。アメリカの農業は、機械化が高い水準に達しています。いまアメリカでは、穀物を大量生産して外国に輸出しています。出版物の資料を見ると、アメリカの農業が発達したのは、大規模農場を組織し、科学技術的に農業を営むからだとされています。アメリカでは、大規模農場の主人が農業資本家であり、農場で生産された農産物の大部分は彼らの手中に入ります。ですから、農場に雇われている農業労働者は創意を発揮して働くことはできませんが、機械化水準が高いので農業生産で小規模農場経営では達成できない成果をおさめています。

 今後、わが国で組織する大規模農場は、アメリカの農場とは性格が根本的に異なります。わが国での大規模農場の主人は農業労働者であり、農場の生産物はもっぱら農業労働者のものになります。したがって、農業労働者は、社会と自分自身のために、あらゆる創意を発揮して働くようになるでしょう。今後、わが国で協同農場を大規模の国営農場に発展させれば、それは資本主義的大農場とは比べるべくもない、大きな優越性と生命力を発揮するようになるでしょう。

 我々はいま、人民経済発展第3次7か年計画を遂行するために努力しています。第3次7か年計画は1993年に終わりますが、そのときになれば年間、1千万トンの鋼鉄、1千億KWhの電力、1億2千万トンの石炭、2200万トンのセメント、720万トンの化学肥料、15億メートルの織物、170万トンの非鉄金属、1500万トンの穀物、1100万トンの水産物を生産することになります。我々はまた、それまでのあいだに30万ヘクタールの海面干拓をおこなうことになります。そうなれば、わが国は先進国と肩を並べられるようになるでしょう。

 文化革命は、思想革命とともに人々を共産主義的人間にする革命です。文化革命は、思想革命と密接な関係にあります。人は、革命化、労働者階級化されるだけではなく、高い文化知識を身につけてこそ、真の共産主義的人間になれます。人は文化知識水準が高くてこそ悪いことをせず、仕事にいっそう励むようになり、そうなってこそ共産主義の物質的要塞も成功裏に占領することができます。

 文化革命を力強く推進するのは、かつて36年間も日本帝国主義の植民地であったわが国では、特に重要な問題として提起されました。我々が日本帝国主義と闘って祖国を取りもどしたとき、わが国には多くの非識字者がいました。しかし、文化革命を力強く展開した結果、いまではわが国のすべての勤労者が中等一般教育を受け、高い文化・技術知識を身につけるようになりました。

 こんにち、わが党が文化革命の遂行にあたって重要な問題としてうちだしている方針は、全人民の文化知識水準を大学卒業程度に到達させることです。いわば、全社会をインテリ化するということです。

 以前、わが国には、インテリがほんのわずかしかいませんでした。日本帝国主義者は、長いあいだわが国を占領し、植民地支配を実施して、朝鮮人には大学で学べなくしました。日本帝国主義植民地支配の時期、朝鮮人が大学に入ろうとすれば、姓と名を日本人式にかえなければなりませんでした。解放前に大学を出た人にしても、工科のような自然科学技術ではなく、主として法学や文学などを学びました。当時、朝鮮人は大学は出てもたいしたことはできず、せいぜい他人の手紙や苦情申し立てのようなものを書いてやる代書屋をしたり、小説を書くくらいでした。当時、朝鮮人は、小説を善くにしても、祖国をたたえる小説は書けませんでした。

 我々が祖国を解放したのち、新しい社会の建設で最大の難題の一つとなったのは、民族技術人材が足りなかったことです。我々とともに日本帝国主義に抗してたたかった朝鮮人民革命軍の隊員たちは、演説や射撃は上手でしたが、技術は所有していませんでした。当時、インテリ問題を正しく解決するか否かは、新しい社会を成功裏に建設できるか否かという極めて深刻な問題として提起されました。もちろん、革命の基本原動力は、労働者階級と農民です。しかし、労働者階級と農民の力だけでは、革命と建設を成功裏に進めることができません。革命闘争と建設事業において、インテリは、労働者、農民に劣らず重要な役割を果たします。そのため、我々は党を創立するとき、労働者、農民とともにインテリをわが党の重要な構成成分として規定しました。わが党のマークには、ハンマーと鎌と筆が描かれていますが、それは、わが党を構成している労働者、農民、勤労インテリを象徴したものです。

 我々は祖国を解放した後、各地に散らばっていたインテリに手紙を送り、彼らを集める措置をとりました。そのとき、南朝鮮からもインテリが我々を訪ねてきました。けれども科学技術を身につけたインテリはわずか数名にすぎませんでした。我々はそれらのインテリを大切な宝としました。我々は、たとえ彼らが裕福な家庭の出身で日本の大学で学んだとはいえ、それを問題視せず、民族幹部の養成において彼らを親どりのような原種としました。そのとき、親どりの役割を果たしたインテリは、博士、院士になり、いまは大学や科学研究機関で働いていますが、彼らはもう頭に霜がおりるようになりました。彼らは、これまで多くの「ひよこ」をかえしました。こんにち我々は、130万のインテリ大集団をもつインテリ富者になりました。新進のインテリは、夜を明かして鋤いても疲れを知りません。

 わが国で3年にわたる祖国解放戦争が終わって、多くの住宅を建てなければならなくなりましたが、レンガを満足に積める人がいくらもいませんでした。それで我々は、600名余りの労働者を外国にやってその技術を修得させましたが、いまではわが国の人も建設が上手にできます。わが国の技術者と労働者の建設技術が高いので、外国から我々に、劇場やホテルなどのハイクラスの建物を建ててほしいと言ってくるくらいです。

 こんにち、朝鮮人民は、わが党のチュチェ思想で武装しており、勝利の確信にみちて社会主義大建設を力強くおし進めています。いまのわが国人民の気概からすれば、遠からずわが国における社会主義の完全な勝利をめざす課題は成功裏に遂行されるものと思います。

 あなたがたが今回訪朝した機会に、社会主義大建設行軍を早めている朝鮮人民の闘争ぶりをじかに見るなら、わが国での社会主義建設についていっそうよく理解できるようになるでしょう。

 我々は、共和国北半部での社会主義建設を促進する一方、国の統一を達成するために闘っています。

 我々は、第6回党大会で高麗民主連邦共和国を創立して祖国の統一を実現するという方案と、高麗民主連邦共和国が実行すべき10大施政方針を提示しました。

 高麗民主連邦共和国創立方案は、朝鮮の北と南に現存する思想と体制を存続させ、連邦国家を形成して祖国を統一しようというものです。わが国の北と南には、長いあいだ相異なる思想と体制が存在してきたのですから、祖国を統一するためには、双方が互いに相手側に自己の思想と体制を強要しようとしてはなりません。北が南に社会主義体制を強要したり南を吸収しようとしてはならず、南が北に資本主義体制を強要したり北を吸収しようとしてはなりません。互いに相手側に自己の思想と体制を強要しようとしては、祖国を平和的に統一することができません。

 我々は、高麗民主連邦共和国が実行すべき10大施政方針で、高麗民主連邦共和国はいかなる国の衛星国にもならず、いかなる外部勢力にも依存しない完全な自主独立国家、非同盟国家になるべきであることを明示しました。我々は10大施政方針でまた、国の統一以前に南朝鮮に投資した外国資本を侵害せず、その利権をひきつづき保障するということも明示しました。いま南朝鮮には、アメリカだけでなく、日本、フランス、西ドイツなど世界各国の資本が導入されています。南朝鮮に資本を投資した外国人は、朝鮮が統一されればそれを奪われはしまいかと危惧の念をいだいています。

 書記長同志に時間が許されるなら、わが党の第6回大会の報告を一度読んでみてもらうのも悪くないでしょう。第6回党大会の報告を見れば、高麗民主連邦共和国創立方案をはじめ、祖国統一についてのわが党の立場が明白にわかるでしょう。

 現在、全般的内外情勢は、祖国統一をめざす朝鮮人民の闘争に有利に変わりつつあります。

 南朝鮮人民は漸次、わが共和国に対し正しい認識をもつようになってきており、崇米事大主義思想から脱皮しつつあります。これまで南朝鮮の反動層は、アメリカ帝国主義の手先役を務めてきた自己の罪業を隠すために、我々共産主義者をさる外国の手先だとし、南朝鮮人民に共和国北半部の悪宣伝をほしいままにしました。しかし、いまでは南朝鮮人民も、我々が誰よりも自主性を貴び、国家活動において徹底した自主的政策を実施していることをよく知っています。以前、南朝鮮人民はアメリカ帝国主義者を「解放者」、「援助者」とみなし「恩人」と考えてきましたが、彼らが南朝鮮を長いあいだ占領し、植民地従属化政策を実施しながら侵略的な核前哨基地にかえたのを自分の目で見るに及んで、しだいにアメリカの正体を知るようになりました。南朝鮮人民は、アメリカ帝国主義は決して「解放者」ではなく侵略者であり、「援助者」ではなく略奪者であることを認識するようになり、わが国の統一を妨げている張本人もほかならぬアメリカ帝国主義であることを悟るようになりました。南朝鮮人民はこれを誰かの宣伝によってではなく、長いあいだの生活体験を通じて、おのずと知るようになったのです。

 いま南朝鮮の青年学生は、民族の自主化と社会の民主化、祖国統一をめざして奮起していますが、その意気込みはすごいものです。彼らは、去る6月10日、共和国北半部の青年学生たちと板門店で会談をしようというスローガンをかかげ、それを実現するための闘争に立ち上がりました。南朝鮮の反動層は、青年学生の闘争を弾圧するのに6万余の警官を動員しました。南朝鮮青年学生の闘いの模様をビデオにおさめたものがありますから、時間があったら見てください。

 いま、南朝鮮の情勢は好ましい進展を見せていますが、南朝鮮からアメリカ帝国主義を追い出し、祖国を統一するにはまだ多くの問題を解決しなければなりません。

 朝鮮問題を解決するためには、国際的な解決を要する問題も少なくありません。もちろん、朝鮮の主人は朝鮮人民であり、朝鮮問題はあくまでも朝鮮人民自身の力で解決しなければなりません。しかし、朝鮮問題は、国際関係と密接につながっているので、単独で解決するのは困難です。アメリカ帝国主義者は、ソ連と他の社会主義諸国を牽制し侵略するために、南朝鮮を軍事基地として掌握しています。アメリカ帝国主義者は、南朝鮮に1千余個の核兵器を配備しています。もし、アメリカ帝国主義者がわが国だけを侵略しようとするなら、南朝鮮に小型の核爆弾が3個ほどあれば事足りるはずです。アメリカ帝国主義者が南朝鮮に1千余個の核兵器を配備しているのは、わが国だけでなく、ソ連と中国をはじめ社会主義諸国を牽制し侵略しようとするのが目的です。朝鮮問題を速やかに解決するためには、朝鮮問題と関連した諸問題が解決されなければならず、世界の進歩的人民の援助が必要です。

 我々は第6回党大会で、自主、親善、平和がわが党の対外政策の基本理念であることを明らかにしました。我々は、自主、親善、平和の理念にもとづき、自主性を擁護し平和を愛する世界各国の政党、団体、進歩的人民との友好・協力関係を発展させています。

 わが党は久しい前から、アメリカ共産党との関係をさらに発展させることを望んできました。両党の関係を発展させることは、朝鮮労働党にとっても、アメリカ共産党にとってもともに大切な問題であると思います。それは、アメリカ帝国主義がアメリカ共産党の闘争の対象であると同時に、わが党の闘争の対象であるからです。アメリカ帝国主義は、わが国を分裂させた張本人であり、祖国の統一を阻んでいる朝鮮人民の不倶戴天の敵です。朝鮮労働党とアメリカ共産党は、アメリカ帝国主義に反対する共同闘争を力強く展開していくべきでしょう。

 朝鮮労働党とアメリカ共産党は、アメリカ帝国主義の軍備競争と兵力増強策動に反対する共同闘争を展開することができます。いまソ連は、核兵器の縮減と核兵器の生産中止問題でアメリカと会談をしています。我々は、ソ米首脳会談で核軍縮問題が討議されるのを支持しています。それは、核軍縮会談が世界の平和と安全を保障するうえでもわが国の統一問題を解決するうえでも有益であるからです。軍備競争は必ず中止されなければなりません。アメリカ政府は、戦略攻撃兵器を50%縮減するというソ連の提案に同意すべきであり、核兵器の生産を中止すべきです。

 ソ連とアメリカが核軍縮問題について会談をおこなっている状況のもとで、我々は南朝鮮から核兵器とアメリカ軍を撤収させ、祖国を平和的に統一するための闘争をいっそう力強く展開する考えです。

 私は、あなたがたとアメリカ共産党に祖国統一をめざす朝鮮人民の闘いを支援するいろいろな活動をしてもらえるものと思います。あなたがたが、アメリカの進歩的人士をはじめ、アメリカ人民と貴国在住の朝鮮同胞に、わが党の祖国統一方針と民族の自主化、社会の民主化と祖国統一をめざす南朝鮮人民の闘争についてよく知らせてくれれば、それはわが国の統一に大きな助けとなるでしょう。アメリカには80万余りの朝鮮人が住んでいるといいますが、彼らにわか党の祖国統一方針を正しく認識させるならば、祖国の統一を積極的に支持して立ち上がるようになるでしょう。我々はいま、在米同胞との活動を在日同胞との活動ほどには活発におこなっていません。我々は、アメリカ共産党が在米朝鮮人によい影響を与え、彼らが我々の偉業を支持し祖国の統一をめざす闘いに立ち上がるよう助力してくれることを望みます。

 我々はまた、わが共和国とアメリカとの会談を促進するうえでも、あなたがたに助力してもらえるものと思います。

 我々はいま、わが共和国とアメリカ間の会談をするなり、あるいはわが共和国とアメリカ、それに南朝鮮が参加する3者会談を開催するなりして、朝鮮停戦協定を平和協定にかえ、我々と南朝鮮のあいだに不可侵宣言を採択することを望んでいます。しかしながら、アメリカ政府は、我々を誤解して3者会談に反対しています。アメリカ政府が我々を誤解しているのは、南朝鮮反動層の話や、朝鮮問題とは無関係の一部の国の人の誤った話にのみ耳を傾けてきたからです。南朝鮮の反動層が、アメリカ政府に朝鮮人民の心からの念願をそのとおり話すはずはありません。朝米関係を改善するためには、わが国に対するアメリカ政府の誤解を解かねはならず、そのためには我々とアメリカ政府が対座しなければなりません。双方が対座せずには、誤解を解くことができません。

 私は、あなたがたが我々とアメリカとの対話の窓口を開くために極力努力してくれるよう望みます。我々はアメリカ政府と、公開であれ非公開であれ対話をする用意があります。その対話が公開であれ非公開であれ、我々は祖国統一のためのわが党の正当な立場をアメリカ政府にじかに説明できる機会をつくりたいと考えています。我々は何としてでも、我々とアメリカとの不信を解消し、朝鮮半島の緊張を緩和しようと思います。

 私はきょう、あなたがたと談話することができてたいへんうれしく思います。あなたがたとまた会って話し合えるとよいのですが、私は近くモンゴル訪問のため出発しなければならないので、それができなくなりました。私はこれを残念に思います。私がモンゴル訪問を終えて帰国するには、10日ほどかかります。あなたのわが国滞在スケジュールは今後1週間程度となっていますが、もう1週間延ばして休息をとるとよいでしょう。そうすれば私が帰国して、あなたとまた談話を重ね、参観も一緒にすることができるでしょう。

 私は、あなたがたがわが国に滞在するあいだ、休息や参観をしたりして楽しい日々を送ってくれるよう望みます。
出典:『金日成著作集』41巻 

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