金 日 成

水産業を発展させて人民生活をさらに向上させよう
 ―全国水産部門活動家大会でおこなった演説―
1980年3月21日 

 同志の皆さん!

 私はまず、朝鮮労働党中央委員会と共和国政府の名で、全国水産部門活動家大会を熱烈にお祝いします。

 私はまた、わが党の政策を高くかかげ、人民の幸せのために荒波の海であらゆる困難にうちかって漁獲作業を勇敢に繰り広げている労働者、技術者、事務員とすべての水産部門の活動家にあつい感謝を送ります。

 このたび水産部門の活動家が、第6回党大会をひかえ、高い目標をかかげてさらに勇敢に前進するため、全国水産部門活動家大会を開いたことを非常にうれしく思います。

 私はきょう、この大会に参加した機会に、水産部門のこれまでの成果と今後の課題について簡単に述べようと思います。

 これまで水産部門では、実に多くのことをなし遂げました。

 停戦直後、我々には、小船1隻満足なものがありませんでした。わが国が、日本帝国主義の植民地支配から解放されたとき譲りうけた船は幾隻にもならぬ零細漁民の小船でしたが、それすら祖国解放戦争の時期、アメリカ帝国主義者の艦砲射撃と爆撃によってことごとく破壊されました。

 停戦直後、わが国の水産業は、全くみじめな状態にありました。1953年8月、党中央委員会第6回総会で戦後の復興建設問題を討議するとき、我々には素手しかありませんでした。

 戦後、我々の水産業は、何もないゼロの状態から出発せざるをえませんでした。

 しかし人民は、党があり、政権があり、領土があり、党の正しい指導がある以上、いかなる難関も克服し、必ず富強な新しい祖国を建設できるという信念にもえ、すこしも気を落としませんでした。

 戦後、水産部門の活動家は、党の呼びかけにこたえて勇敢にふるいたち、力と知恵を合わせて漁船の建造に取り組みました。

 最初は小船をつくり、次は焼玉エンジン船をつくり、いまは近代的な漁船を建造しています。こうして、こんにち我々は、数万隻の大小の漁船と近代的な水産基地をもつようになりました。

 昨年、水産部門では、魚類をはじめ水産物をほぼ200万トンも水揚げしました。200万トンならわが国の人口1人当たり120キログラム以上ゆきわたりますが、これなら毎日300グラム食べることができます。これは、世界的に最も高い水準です。1人当たり水産物が毎日300グラムゆきわたる国は、世界にわが国しかないでしょう。ある国では1日300グラムの米も食べられないというのに、わが国では毎日700グラムの米に300グラムの水産物を食べています。こんにち、朝鮮人民はご飯と魚だけでなく、野菜類も十分にとっています。これは、わが国社会主義制度の優位性をはっきりと示すものです。

 わが国には水産物の加工施設も少なくありません。各水産基地に魚類冷凍工場と水産物加工工場があり、消費地にも冷蔵施設が少なからずととのっています。また、魚類冷凍車や冷蔵車もたくさんあります。我々がすでに設けた施設を効果的に利用し、加工事業をさらに発展させるなら、人民への水産物供給をさらに円滑におこなうことができるでしょう。

 これまで水産業分野では、世人を驚嘆させる偉大な成果をおさめました。このような成果は、チョンリマ(千里馬)の国である朝鮮でのみ可能なことであり、チョンリマの速度で前進する朝鮮人民でなくては、なし遂げられないことです。水産部門でなし遂げられた成果は、我々の大きな誇りであり、栄光であります。私は、水産部門がおさめた成果に対し、たいへん満足に思っています。

 これまで、水産部門がおさめた成果は、わが国の全人民と労働者階級の支援のもとに、この部門の活動家が奮闘した結果です。

 今後、水産部門の従事者がより立派に闘って、瓦屋根の家で白米のご飯に肉汁を食べて暮らしてみたいという、人民の世紀的な願望を完全にかなえるならば、人民は水産部門の労働者、技術者、事務員をさらに称賛するでしょう。

 私はきょう、水産部門の従事者がおさめた成果を高く評価するとともに、今後、この部門に提起される若干の課題について述べようと思います。

 何よりも、水産物の加工で一大革新を起こさなければなりません。

 現在、魚類をはじめ、水産物を大量に水揚げしていますが、加工が下手なため、人民への水産物の供給が円滑におこなわれていません。魚をたくさん捕ったと手放しで喜んでいるだけではなんにもなりません。捕った魚を無駄なく上手に加工して人民に十分供給してこそ、漁業労働者が寒い冬に荒波をついて出漁し、苦労して大量の魚を捕ってきたかいがあるというものです。

 ところが現在、魚類の加工は、非常に立ち後れた状態にあります。

 水産部門では漁獲高の増大にあわせて魚類の加工能力を増やすべきですが、魚を捕ることにのみ力を入れ、加工能力の造成には力を入れませんでした。そのため、冷凍施設をはじめ、魚類加工施設が足りなくて、少なからぬ魚を加工できずに腐らせています。加工する場合も上手に加工せず、いい加減にする場合が少なくありません。商店に出まわる魚の加工品を見ても、上手に加工したものはあまりありません。塩漬けしたものは塩をふりすぎて味がまずく、アミや貝などの塩辛もおいしく加工されていません。

 水産部門での水産物の加工がいい加減であるばかりでなく、輸送部門や商業部門での水産物の取り扱いもぞんざいなものです。鉄道ではメンタイを、他の荷物を運んだ貨車にそのまま積んで運び、駅構内にところかまわず積んでおり、商店ではワカメ、コンブなどをきれいに保管せず、片隅におおざっぱに積みあげて販売しています。

 これまで魚類の加工がこのように満足になされなかったのは、この部門の活動家が人民の生活に無関心で、人民の生活を一日も早くより豊かにしようとする、党の意図を貫徹するため積極的に努力しなかったためです。水産部門の幹部と水産物加工部門の従事者には、党性、労働者階級性、人民性がないというほかありません。水産物加工部門の党組織も自己の役割を正しく果たしていません。

 水産物加工部門では、これから再出発して、水産物加工革命を起こさなければなりません。

 水産物加工革命を起こすためには、この部門の活動家が新たな決意と高度の革命的覚悟のもとに取り組み、積極的に努力しなければなりません。これとともに、この部門に対する国家の投資を増やし、この事業に全党的、全国家的、全人民的な関心を払わなければなりません。そうして水産物加工施設を大々的に増やし、魚を冷凍品や塩蔵品、乾燥品、缶詰、塩辛などいろいろな方法でたくさん加工して、人民に十分に供給すべきです。

 魚類の冷凍施設を決定的に増やすべきです。

 現在、1日の魚類急速冷凍能力は5500トンにすぎず、これではメンタイの盛漁期である冬期に捕った魚を全部処理することができません。党中央委員会第5期第19回総会の決定どおり、冷凍工場の建設を急ぎ、1段階では急速冷凍能力をさらに5000トンほど増やして1万トンの水準に引き上げ、つぎの段階では1万5000トンの水準に引き上げるべきです。

 魚類冷凍工場と同時に魚類貯蔵庫もたくさん建設すべきです。そうすれば、冷凍した魚を長く貯蔵して人民に切らさず供給することができます。魚類の貯蔵能力は生産地に30万トン、消費地に30万トンと合わせて60万トンにし、ゆくゆくは100万トン水準に引き上げなければなりません。漁獲量の増大に伴って、冷凍、貯蔵施設をひきつづき拡張すべきです。

 魚類貯蔵施設を備えるうえでは、貯蔵庫をたくさん新設するとともに、自然洞窟や炭鉱、鉱山の廃坑などいろいろな地下坑道なども大いに利用すべきです。

 魚の冷凍施設と貯蔵施設を十分に備えておけば、捕った魚を一尾も無駄にすることなく人民に供給することができます。

 今後は12月と1月、2月にかぎって鮮魚を供給し、あとの期間は加工した魚を供給すべきです。

 魚の冷凍施設と貯蔵施設を早急に増やすためには、冷凍設備を適時に提供しなければなりません。政務院と当該経済部門、そして、道党委員会と工場党委員会をはじめ、各級党組織は、魚の冷凍工場と貯蔵庫の建設に必要な冷凍設備が適時に、間違いなく供給されるよう対策を講じなければなりません。

 鉄道をはじめ、運輸部門では、冷凍した魚を適時に、円滑に運べるよう、冷凍車、冷蔵車を多く製造し、輸送の手配を綿密におこなうべきです。

 魚の塩漬けもすべきです。

 以前は樽をつくって魚をたくさん塩漬けにしたものですが、いまはあまりしていません。なかには塩漬けにするともっとおいしくなる魚があります。そういう魚をきれいに洗い、適当に塩をふりかけて樽に漬ければ、立派な加工品になります。魚の塩漬けで重要なのは、加工品の質を高めることです。魚類加工部門では、従業員の技術・技能水準を高め、仕事の手配を綿密におこなって、清潔で味のよい加工品を量産すべきです。

 各種の魚類加工品が量産できるよう包装容器と包装材を十分に供給すべきです。樽やガラスびんもたくさんつくり、ブリキ板や各種の合成樹脂包装材も大量に生産して供給すべきです。

 水産物加工部門の技術者養成事業を改善すべきです。

 水産物加工部門に有能な技術者が多くなければ、加工事業に転換をもたらすことができません。現在、水産大学と高等水産専門学校で加工技術者を毎年少なからず養成しているとはいうものの、彼らが生産現場でそれぞれの役割を十分に果たしているとはいえないようです。教育部門では、水産物加工技術者養成事業を改善する積極的な対策を講じる必要があります。

 水産物加工品の質を高めるための監督、統制を強化すべきです。

 水産物加工品の品評会もたびたびおこない、品質監督も徹底的におこなうべきです。また、水産物加工品をその質によって1等品、2等品、3等品に分け、等級別に価格を定めなければなりません。このようにして、水産物加工部門で加工品をおおざっぱに生産する古い習慣を一掃し、製品の質をたえず高めるようにすべきです。

 次に、漁船を万能化すべきです。

 現在、水産部門に漁船は多いのですが、万能化されていないのが欠点です。漁船を万能化せずには、利用率を高めることができず、漁獲高を増やすことができません。漁船が万能化されていないので、トロール船はトロール漁労しかできず、巾着網漁船は巾着網漁労、刺網漁船は刺網漁労しかできません。漁船を万能化せずには、冬期にメンタイ、ハタハタを捕獲する船で夏期の漁獲を思うようにすることができません。それで我々は、久しい前に漁船万能化の課題をうちだしたのです。

 今後、水産部門では、漁船を万能化する運動を積極的に繰り広げ、中小型漁船をトロール漁労や巾着網漁労、刺網漁労にも利用し、各種の漁具を利用できる万能船につくりかえるべきです。特に、450トン級のトロール船は全部万能化すべきです。船の構造も、漁労工の漁獲作業に便利で、すべての作業を積極的に機械化できるようにしなければなりません。

 船舶研究機関は、わが国の実情に即応した万能化された各種の漁船を多く建造する研究を強化すべきです。

 漁船に冷凍施設と冷蔵施設を備えるべきです。

 漁船に冷凍施設と冷蔵施設を備えず、その日に捕った魚をその日に陸揚げするというふうにしたのでは、大量の魚が捕れず、人民に新鮮な魚を供給することができません。人民に鮮魚を供給するためには、漁船に冷凍施設と冷蔵施設を備えなければなりません。そうして、捕った魚をそのつど冷凍したり冷蔵してこそ、新鮮な魚を加工部門に引き渡すことができ、魚類加工品の質を高めることができます。

 今後、300馬力以上の漁船には、いずれも冷凍施設と冷蔵施設を備え、捕った魚を船内で直接冷凍したり冷蔵できるようにすべきです。冷凍施設の備わっていない船には、氷を積んでいき、捕った魚を冷蔵するようにすべきです。船に塩蔵施設を備え、捕った魚の一部を塩蔵するのも悪くありません。

 また、漁船を近代的に建造し、いかなる天候にあっても出漁して漁獲作業ができるようにすべきです。

 メンタイの漁期に荒波のため漁船が2〜3日出漁できないだけでも、大量の魚が捕れなくなります。わが国では、メンタイの漁期に1日3万トンまで捕ります。今年も日に3万トン以上捕った日が少なくありません。それで私は、漁業労働者に何度も感謝を送りました。

 メンタイを1日3万トンずつ捕れば、3カ月間では270万トンであり、盛漁期の2カ月間だけ日に3万トン捕るとしても180万トンです。わが国で年に150万〜200万トンのメンタイが捕れれば上々といえます。

 メンタイは、蛋白質の多い有益な魚であり、その資源も非常に豊富です。メンタイは毎年冬期にわが国の領海にやってくるので、資源がかれる心配はありません。要は、いかにすればメンタイの漁期に一日も海を空けることなく漁獲作業をつづけられるかということです。水産部門では、漁船を近代的に建造し、大波にたえ、いかなる天候にあっても海を空けずに漁獲作業をつづけられるようにすべきです。

 漁船を万能化し、漁船に冷凍施設と冷蔵施設を備え、大波にたえられるよう漁船を近代的に建造すれば、漁獲で大きな転換をもたらすことができるでしょう。

 次に、漁船の修理を適時におこなうべきです。

 我々は、水産部門に漁船修理を15日間で終える課題を与えました。しかし、いまだに15日間内に修理しているところはそれほどありません。現在、船舶修理をスムーズにおこなっている工場でも17〜20日間はかかり、他の工場ではそれ以上の修理期日がかかっています。そのため、漁船が足りなくて、もっと捕れる魚も捕れないありさまです。

 水産部門では、党の方針どおり15日間の船舶修理システムを確立し、漁船修理を適時におこなうようにすべきです。修理を短期間におこなってこそ、漁船の出漁日数を増やして大量の魚を捕り、水産部門従業員1人当たりの生産額も高めることができます。

 漁船の修理を適時におこなわせるためには、予備エンジンや船舶の修理に必要な各種の部品を十分に供給しなければなりません。

 いま漁船の修理を早くできない主な原因は、予備エンジンと船舶の修理に必要な各種部品が満足に供給されないところにあります。船舶修理工場に予備エンジンと各種部品を十分に備えておけば、船がはいってきしだいエンジンを取り替えるものは取り替え、部品を取り替えるものは取り替えて塗装をすればすむはずです。こうすれば、船の修理に15日はおろか10日もかからないでしょう。

 15日間の船舶修理システムを確立するためには、水産部門の幹部が組織・政治活動を綿密におこなわなければなりません。

 水産部門の幹部が、革命の主人としての態度で当該部門の活動家や労働者のなかにはいって解説を十分におこない、必要な仕事の手配を綿密におこなえば、資材や部品の問題も十分解決することができ、修理期日をずっと短縮することができます。

 政務院の各委員会、省は、漁船の修理に必要なエンジンや部品、資材を責任をもって生産、供給すべきです。

 機械工業部門は、エンジンを量産して船舶修理工場に送らなければなりません。また、汎用旋盤も何台か生産、提供して、規格ネジなど各種部品を自力でつくって使えるようにすべきです。

 人民経済のすべての部門が農村を支援するように、水産部門を支援すべきです。

 次に、水産業の主体化、現代化、科学化をはかるべきです。

 人民経済の各部門を主体化、現代化、科学化するのは、こんにち、社会主義経済建設におけるわが党の基本路線です。

 水産業を主体化するというのは、漁獲や加工をはじめ、水産業部門に提起されるすべてのことを、わが国の実情と人民の要求に即応して、我々の方式でおこなうことを意味します。

 人民経済を発展させるうえで極めて重要なのは、主体化を実現することです。わが国は他の国とは自然地理的条件も異なり、人々の体質や生活風習も異なります。したがって、他の国のものを機械的に導入してはならず、すべてのことを我々の方式で、わが国の条件に即しておこなうべきです。

 かつて、農業部門に外国の農法を機械的に取り入れる傾向がありました。農業部門を調べる過程で、農業大学の教科書を検討してみると、外国のものを機械的に翻訳して編さんしたものが少なくありませんでした。そこで、農業大学の教科書をわが国の実情に即して全面的に改訂し、学生を徹底的にチュチェ農法で教育する措置を講じました。

 現在、水産部門の漁獲方法を見ても、魚の加工の仕方を見ても、わが国の条件と実情に即しておこなっていません。まだ、水産大学の教科書は具体的に検討してみませんでしたが、水産大学にもかつて農業大学に見られたような欠陥があるようです。

 水産大学と水産部門の研究機関では、わが国の実情に即して水産業を発展させるための思想闘争と科学研究活動を強化しなければなりません。

 水産部門では船の建造もわが国の条件に即しておこない、漁獲作業の機械化もわが国の実情に即しておこない、水産物の加工や養殖もわが国の特性を考慮しておこなうべきです。

 水産業を現代化するための積極的な対策を講じるべきです。

 水産業を現代化するためには、それに必要な機具や設備を自力で生産しなければなりません。水産業を現代化するには、ロラン受信機、魚群探知器など各種の近代的な機具や設備が多く要求されますが、それをすべて外国から買い入れようとしてはなりません。水産業を全面的に現代化するためには、わが国に工場を建設して、現代化に要する機具や設備を自力で生産しなければなりません。

 近代的な漁獲機具や設備を自力で量産してこそ、水産業の現代化を成功裏に実現して骨のおれる仕事をらくな仕事にかえ、魚を大量捕獲し、人々の頭に残っている事大主義も一掃することができます。解放直後、技術水準が低く、近代的な機械設備を自力で製作できなかったときは、人々のあいだに他国に対する事大主義が少なくありませんでしたが、自立的民族経済を建設し、技術を発展させて近代的な機械設備を自力で生産できるようになってからは、事大主義がかなりなくなりました。

 水産部門の活動家の事大主義を完全になくすためには、水産業の現代化に必要な各種機具や設備を国産化しなければなりません。

 水産業を科学化するためにも積極的に努力すべきです。

 水産業を発展させるうえで経験も必要ですが、より重要なのは科学的な方法でおこなうことです。活動において経験はあくまでも参考とすべきです。

 我々はここ数年間、活動家のあいだで仕事をおおざっぱにする傾向と強く闘ってきました。しかし、まだ水産委員会をはじめ、水産部門の活動家のなかには、科学的な見積りもなく仕事をおおざっぱにする傾向が少なからずあらわれています。

 この冬、メンタイの盛漁期に水産委員会の責任幹部は、アンモニアがなくて冷凍工場を正常に操業できず、塩が不足して捕った魚をそのつど塩蔵できないといいました。そこで、アンモニアと塩がどのくらい足りないのかと尋ねてみると、水産委員会の責任幹部のうちそれを明確に知っている人はいませんでした。

 水産部門の活動家の生産指揮状況を見ても、魚群の位置を具体的に探知せずに漁船を海に送り出すため、船が魚群を探しまわっては多量の燃料油を浪費し、魚をわずかしか捕獲できないありさまです。また、資材を要求する場合にしても、科学的な見積りもせずいい加減に要求し、多くの資材を引きとっては浪費しています。

 水産部門の幹部は、生産指導において主人らしさがなく、科学性と計画性もなく仕事をいい加減にする傾向を徹底的になくすべきです。

 仕事を科学的に、計画的にするためには、計画の細部化方針を貫徹しなければなりません。国家計画委員会が計画の細部化を遺漏なくおこなうばかりでなく、水産部門でも企業所別に計画を細部化し、具体的にかみあわせる活動を正しくおこなうべきです。

 水産部門で独立採算制を正しく実施すべきです。現在、水産部門では、魚類の生産に原価がどれほどかかるのかを毎月正確に計算しておらず、特に、漁獲高の少ない夏期に原価計算を正確におこなっていません。いまはまだ共産主義社会でなく、社会主義社会なのですから、独立採算制を正しく実施し、原価計算を正確にすべきです。そうしてこそ、各企業所と作業班、個人がどれくらい仕事をしたのかを正しく評価することができ、生産を速やかに発展させることができます。

 次に、魚類の供給活動を改善すべきです。

 魚は、人民の食生活で最も重要な位置をしめる副食物の一つです。したがって、魚の供給を円滑におこなうことは、人民の食生活の改善にとって非常に重要な意義をもちます。

 人民への魚類の供給を改善するため、数年前に魚類の供給体系を改編しました。以前は、水産省が直売店をつうじて直接魚を販売したり、機関、企業所を相手に供給したりしましたが、これは誤った供給体系でした。魚の供給は、供給制にする必要がありません。魚は、商業網をつうじて人民に販売すべきです。それで、人民奉仕委員会の商業省に水産物商業局を設け、人民への魚の供給を統一的に担当するようにさせました。しかし、いまだに水産物商業局が自己の役割を満足に果たしていないため、魚の供給ではこれといった改善がみられません。

 魚の供給を改善するうえで重要なのは、魚の供給を正常化することです。人民奉仕委員会は仕事の手配を綿密におこない、メンタイ漁期の冬期にそれを一度に供給して無駄にしたり、魚をある地方にはたくさん供給して処理できなくし、またある地方には少なく供給して不足を感じるようにするといったことがないようにすべきです。魚の供給を正常化するためには、人民奉仕委員会が供給の手配りを綿密におこなうだけでなく、政務院の各委員会、省が党中央委員会第5期第19回総会の決定どおり、魚類貯蔵庫を建設し、冷凍車を大量に生産しなければなりません。冷凍魚を冷蔵車で運搬して貯蔵庫にたくさん貯蔵しておけば、それを日常的に商店に出して販売することができます。

 次に、水産部門における党の政治活動を強化すべきです。

 水産部門の党組織は、この部門の活動家に対する思想教育を強化し、彼らがみなわが党の革命思想、チュチェ思想で武装し、高度の党性、労働者階級性、人民性を身につけるようにすべきです。水産部門のすべての活動家が革命の主人としての態度で、党と労働者階級と人民のためにすべてを尽くして闘うようにすれば、水産部門の活動に革命的転換がもたらされるでしょう。

 今年は、わが党第6回大会を迎える意義深い年です。水産部門の活動家は、第6回党大会をひかえて水産物の生産と加工で新たな革新を起こし、人民生活をいちだんと高めることによって、今回の党大会が、わが党に対する人民大衆のかぎりない愛と深い信頼、党と人民大衆の一枚岩の統一、団結を広く示威する歴史的な大会となるようにすべきです。
出典:サイト「わが民族同士」 参照:『金日成著作集』35巻 

ページのトップ


inserted by FC2 system