金 日 成

新 年 の 辞
 −1994年1月1日−


 親愛なる同志のみなさん!

 同胞、兄弟姉妹のみなさん!

 きょう我々は、英雄的な闘争と偉勲に輝く1993年を送り、自信と楽観にあふれて1994年の新春を迎えています。

 私は新年を迎え、党と革命にたいする限りない忠誠心をもってチュチェの社会主義偉業のために献身している労働者階級と協同農民、知識人と人民軍将兵をはじめ全人民に、熱烈な祝賀とあいさつを送ります。

 私は、祖国の平和的統一をめざして積極的にたたかっている南半部の兄弟と在日同胞をはじめ海外
のすべての朝鮮同胞に、熱烈な祝賀と同胞愛をこめたあいさつを送ります。

 私は、正義と平和を貴び、自主的な新しい世界を志向している5大陸の進歩的人民と友人に新年のあいさつを送ります。

 1993年は、我が党の自主的な革命路線の正しさとチュチェ朝鮮の威力を誇示した歴史的な年でした。

 昨年、我が共和国を孤立させ、我々の社会主義偉業を圧殺しようとする帝国主義者と反動派の策動は悪辣をきわめ、そのため、我が国の情勢は極度に先鋭化しました。祖国と革命に厳しい試練が迫ったとき、我が党はかもしだされた情勢に対処して、全国、全民、全軍に準戦時状態を宣布する自衛的措置をとり、全人民に厳しい祖国解放戦争当時の革命精神と戦闘的気勢で敵の挑戦に立ち向かい、社会主義建設で一大高揚を起こすよう呼びかけました。

 党の戦闘的呼びかけを受けとめた勇敢な人民軍将兵と全人民は、必勝の信念をいだき、意気衝天の勢いで国の自主権と革命の獲得物を守るたたかいに立ち上がり、敵の挑戦と侵略策動を粉砕し、社会主義祖国の尊厳と安全を守り抜いて、チュチェ朝鮮の不屈の気概を遺憾なく示しました。これは、我が党の革命路線の勝利であり、領袖、党、大衆の一心団結の偉大な勝利であります。

 昨年、朝鮮人民は、党の指導のもとに敵との政治的・軍事的対決であいつぐ勝利をおさめながら、高度の革命的熱意をもって社会主義経済建設を力強くおし進め、第3次7か年計画の最終年度を立派にかざりました。第3次7か年計画期間に、我々は予期しなかった国際的事変と国内に生じた厳しい情勢のため、経済建設で大きな難関と障害につきあたりましたが、社会主義経済建設の各分野で大きな前進を遂げました。

 我が国の主体的工業は、生産能力が全般的にいちだんと拡大され、技術装備水準が著しく高まり、部門構造がいっそう完備して、その自立性と威力がさらに強まりました。農業部門では、水利化を高い水準で完成させる大自然改造事業が成功裏に進められ、機械化と化学化に転換がもたらされ、主体的農法の要求どおり農業科学技術がさらに発展し、万年大豊作の強固な農業生産土台が築かれました。第3次7か年計画の期間、我が党の首都建設構想により、平壌市に建設された壮麗な光復通りと統一通り、祖国解放戦争勝利記念塔と3大革命展示館、メーデー・スタジアムなど数多くの記念碑的建造物は、勤労者の底知れない創造的エネルギーと我が国の自立的民族経済の威力を集中的に示し、世界的な情勢変動にも微動だにせず、勝利のうちに前進する社会主義朝鮮の英雄的気概を象徴しています。

 こんにちの複雑な情勢のもとでも、朝鮮人民は人民大衆中心の我が国社会主義制度下で、いかなる社会的・政治的不安や生活上の心配もなく、誇らしく幸せな生活を営んでおり、全社会に、一人はみんなのために、みんなは一人のために助け導きあい、苦楽をともにする共産主義的美風がいっそう美しく開花しています。

 最近の厳しい試練とたたかいを通じて、我が党は鉄の意志と洗練された指導力をそなえた偉大な党であり、朝鮮人民はゆるぎない革命的信念と不屈の闘争精神をもった英雄的人民であり、チュチェ思想が具現された朝鮮式の社会主義は人民大衆のなかに深く根をおろした不敗の社会主義であることを、いま一度はっきりと実証しました。

 私は、昨年、党の指導に従い、革命と建設で輝かしい偉勲を立てた労働者、農民、知識人、人民軍軍人をはじめ、全人民にあつい感謝を送ります。

 この1994年は、我が国の社会主義建設が新たな発展段階に入る革命的転換の年であり、全党、全国、全民が、総動員して、すべての部門で革命的大高揚を起こすべき闘争の年であります。

 朝鮮革命の内外情勢は依然として複雑と緊張をきわめ、我々は敵との鋭い対決のなかで社会主義を建設しています。

 我々は、現情勢と朝鮮革命発展の要請に即して、自主、自立、自衛の革命路線を貫徹し、思想、技術、文化の3大革命を強力に展開して、国の政治的・経済的・軍事的威力をさらに強化しなければなりません。

 社会主義建設における、これまでの成果を強化、発展させ、新たな勝利を達成して、人民大衆中心の我が国の社会主義を輝かし、チュチェの社会主義の旗をいっそう高くなびかせなければなりません。

 社会主義経済建設では、党中央委員会第6期第21回総会の決定どおり、この先3年間を調整期とし、この期間に、農業第一主義、軽工業第一主義、貿易第一主義の方針を貫徹しなければなりません。同時に、人民経済の先行部門である石炭工業と電力工業・鉄道運輸を確固と優先させ、金属工業をひきつづき発展させなければなりません。

 我々は、社会主義経済建設の調整期に我が党の革命的経済戦略を貫くことによって、国の自立的経済の土台を盤石のようにかため、社会主義的要求に応じて人民生活をいっそう円滑に保障し、社会主義のより高い目標を達成するための新たな陣地を占めることになるでしょう。

 今年、我々は、農業と軽工業、対外貿易の発展に力を集中しなければなりません。

 今年は、社会主義農村テーゼ発表30周年にあたる意義深い年です。農村テーゼの歴史的課題を完成する闘争を強力に展開して、農業の発展に新たな転換をもたらさなければなりません。農村の水利化と電化の成果をうちかため、機械化、化学化を高い水準で実現し、主体的農法を貫徹して、穀物をはじめ農業生産のすべての部門をさらに発展させなければなりません。労働者階級は、トラクターとトラック、近代的な農業機械と化学肥料、農薬など各種の営農資材をより多く生産して農村に送らなければなりません。協同農民とすべての農業勤労者は、国の米倉を受け持った主人としての立場で、すべての農作業を丹念にして、今年、党が示した穀物生産の高い目標を必ず達成しなければなりません。

 軽工業革命を力強く推進し、一般消費物資の生産で一大革新を起こさなければなりません。軽工業部門の工場を整備、補強して現代化し、化学繊維と合成樹脂をはじめ、軽工業原料の生産を増大させる積極的な対策を講じ、軽工業部門のすべての工場をフル稼働させ、生産を高い水準で正常化すべきです。大規模の中央軽工業から中小規模の地方産業、「8.3大衆消費物資」の生産にいたるまで、各部門、各単位で各種の一般消費物資を大々的に生産し、その品目を増やし、品質を決定的に高めなければなりません。

 変化した環境にふさわしく対外貿易を発展させるためには、対外市場を積極的に開拓し、信用をかたく守らなければなりません。人民経済の各部門で輸出品生産基地を強固に築いて生産の増大をはかり、品質を高めるべきです。各部門、各地方で輸出源を積極的に探求して輸出をいっそう増やし、加工貿易の発展もはかるべきです。

 農業と軽工業を発展させ、国の経済建設全般を力強くおし進めるためには、石炭工業、電力工業、金属工業部門に力を入れ、鉄道輸送をいっそう円滑化しなければなりません。石炭工業部門と電力工業部門では、既存の生産土台を効果的に利用し、生産能力をさらに造成して、石炭と電力の生産を決定的に増やすべきです。鉄道の物質的・技術的土台を強化し、輸送の手配と指揮を綿密におこない、鉄道の重量化を積極的に実現し、日を追って増大する輸送の需要を円滑にみたすべきです。

 人民経済の各部門、各単位で増産・節約運動を大衆的運動として力強く展開して、現有の労働力、設備・資材を効果的に利用し、内部の潜在力を残らず動員し、生産を最大限に増やさなければなりません。

 すべての経済幹部は、党の経済戦略の要求に即して経済組織と生産指揮を綿密にし、大衆の革命的熱意と創造的積極性を高く発揮させ、今年度の人民経済計画を超過遂行できるようにすべきです。

 科学知識と技術をもって社会主義建設に寄与するのは、知識人の栄誉ある任務です。知識人は、党の文化革命方針を高くかかげ、科学と教育、文学・芸術と保健医療をはじめ、社会主義文化建設の各分野で新たな発展を遂げるため献身しなければなりません。

 今年も、敵の戦争挑発策動に対処して、国防力の強化に相応の力を傾注すべきです。いかなる不測の事態にも主動的に対処できるよう、政治的・思想的準備と軍事的・物質的準備をしっかりととのえ、全社会に軍事を重視し人民軍を積極的に援護する気風を確立しなければなりません。

 現情勢のもとで革命と建設を力強くおし進めるためには、我が党の思想革命方針を堅持し、革命隊伍の一心団結をさらに強め、自力更生の革命的気風を高く発揮しなければなりません。

 一心団結と自力更生は、朝鮮革命の不滅の栄えある伝統であり、勝利の旗印であります。我々は、一心団結の威力をもって厳しい試練を乗り越えて輝かしい勝利の道を切り開き、自力更生の革命精神をもってあらゆる難関を克服し、革命と建設で偉大な変革をなし遂げました。全人民が、党と領袖のまわりに一心団結し、自力更生、刻苦奮闘の革命精神を高く発揮して力強くたたかうならば、我々はいかなる試練に直面しても朝鮮式社会主義を擁護し、限りなく輝かし、チュチェの社会主義偉業を成功裏に完成していくことができます。

 我々は、我が党の指導のもとに鉄のように強化された革命隊伍の一心団結を瞳のように守り、さらに発展させなければなりません。

 我々は、自力更生、刻苦奮闘の革命精神をいっそう高く発揮し、立ちはだかる障害を乗り越え、社会主義建設で新たな高揚を起こさなければなりません。「自力更生、刻苦奮闘の革命精神で、社会主義総進軍を力強くおし進めよう!」 これは、こんにちの我が党の呼びかけであり、朝鮮人民のかかげるべき戦闘的スローガンであります。すべての幹部と党員と勤労者は党の戦闘的呼びかけにこたえ、チョンリマ(千里馬)に「90年代の速度」をプラスした勢いで継続革新、継続前進することにより、この1994年を我が国の革命と建設において歴史的な転換の年にしなければなりません。

 祖国の統一は、朝鮮人民にとって一刻の猶予もならない民族至上の課題であります。我々は、一日も早く祖国統一の偉業をなし遂げて全民族の一致した切なる願いをかなえ、統一した祖国を次代に譲り渡さなければなりません。

 我が党と共和国政府は昨年、民族の団結した力によって祖国統一の前途を切り開くため、『祖国統一のための全民族大団結10大綱領』を示し、その実現をめざしてあらゆる努力を傾けました。この全民族大団結10大綱領は、思想と理念、体制の違いを超越して全民族が一つにかたく団結し、5000年の悠久な歴史をもつ我が民族の統一と繁栄をなし遂げようという7000万同胞の崇高な願いを具現しています。我々は、南朝鮮当局者が我々の民族大団結10大綱領に呼応して和解と協力の道を歩むことを望み、双方の最高位級の特使交換にかんする重大な措置も講じました。

 しかし南朝鮮当局者は、我々の度量のある諸提案と全民族の統一念願に顔をそむけ、民族自主でなく外部勢力依存の道に、民族団結でなく北南対決の道に走っています。南朝鮮当局者は、外部勢力と結託して、我が共和国を標的にした大規模の軍事演習を頻繁にくりひろげ、我々の「核問題」を口実に「軍事的対応」「国際共助体制」を云々して北南関係を危険な局面に追い込んでいます。

 南朝鮮の「文民政権」なるものは外形だけで、実際は歴代の軍部独裁「政権」と変わるところがありません。南朝鮮には依然として反共ファッショ悪法が存続しており、自主、民主、祖国統一をめざす南朝鮮人民の願いは実現していません。南朝鮮の人民と各界の人士が、南朝鮮の現「政権」にたいし、これ以上注視することも、期待することもないと言っているのは当然のことです。

 アメリカとその追随者たちが喧伝している我々の「核問題」について言うなら、それはアメリカが執拗に追求している反社会主義、反共和国策動の産物です。ありもしない「北の核開発疑惑」をもちだしたのもアメリカであり、朝鮮半島に実際に核兵器を持ち込んで我々を脅かしているのもアメリカです。したがって、朝鮮半島における核問題は、あくまでも朝米会談によって解決されなければなりません。

 圧力や脅迫は、我々には効果がなく、そういう方法では問題を解決することができないばかりか、事態を破局に追い込むことになりかねません。アメリカは諸般の事実を直視し、分別のある行動をとるべきです。朝米間の共同声明も採択されているので、双方が合意ずみの原則を守ってそれを履行するなら、朝鮮半島における核問題は公正に解決されるでしょう。

 祖国統一のための我が党と共和国政府の原則と路線にはなんの変更もありません。我々はこれからも、自主、平和統一、民族大団結の3大原則に従って、1つの民族、1つの国家、2つの体制、2つの政府にもとづく連邦制方式で国の統一を実現するためにあらゆる努力を傾けるでしょう。

 祖国の運命は、とりもなおさず民族の運命であり、内外のすべての朝鮮同胞の運命であります。北と南、海外のすべての朝鮮同胞は、全民族大団結の旗のもとに団結し、民族あげてのたたかいを進めることによって、今年は祖国統一の新たな局面を開くべきです。

 こんにち、国際舞台で帝国主義者は、社会主義の「終末」について喧伝し、虚勢をはっていますが、自主、独立、社会主義への諸国人民の志向を阻むことはできず、歴史の潮流を逆行させることもできません。

 世界の進歩的人民が、反帝・自主の旗のもとに団結と連帯を強め、歴史の潮流に積極的に加勢するならば、人類の明るい未来は必ず早められるでしょう。

 我が党と共和国政府は、現情勢の要請に即して、自主、平和、親善の対外政策を一貫して堅持していくでしょう。我々は、自主性の原則にもとづいて社会主義諸国と団結し、非同盟諸国と団結するため積極的に努力するとともに、我が国の自主権を尊重する資本主義諸国とも善隣友好関係を発展させていくでしょう。我が共和国政府は、支配と従属の古い国際政治秩序と経済秩序をうちこわし、平等と正義、公正にもとづく新しい国際政治秩序と経済秩序をうち立て、集団的自力更生の原則で南南協力を発展させるため積極的に努力するでしょう。

 朝鮮人民の現在のたたかいは困難を極めていますが、それは祖国の繁栄と人類の未来のための誇りある聖なる闘争です。偉大な党の指導のもとに正義の偉業のためにたたかう朝鮮人民は必勝不敗であります。

 ともにチュチェ思想の旗を高くかかげ、党中央委員会のまわりにかたく団結し、社会主義建設で新たな勝利を達成し、祖国の自主的平和統一を早めるために力強くたたかっていきましょう。

出典:『金日成著作集』44巻


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