金 日 成

非同盟情報は、諸国人民の自主偉業に寄与すべきである
第4回非同盟諸国情報相会議でおこなった演説
−1993年6月15日−


 尊敬する代表のみなさん!

 同志と友人のみなさん!

 私は第4回非同盟諸国情報相会議が我が国で開かれたことをうれしく思い、参会した各国の閣僚と代表ならびに国際機構の代表を熱烈に歓迎します。

 自主性を志向する非同盟諸国の情報相が一堂に会し、情報分野におけるこれまでの成果と経験を分かちあい、交流と協力をさらに発展させるための共同の戦略を立てることは、極めて重要な意義をもちます。

 私は、今回の会議が代表のみなさんの積極的な努力によって立派な結実をもたらし、非同盟諸国と発展途上諸国の民族情報活動の発展と新国際情報秩序の樹立、非同盟運動の強化と全世界の自主化偉業の実現に寄与するものと確信します。

 尊敬する代表のみなさん!

 こんにち、人類は新たな歴史的転換の時代に生きており、世界の進歩的人民には、自主の時代の潮流をさらに力強くおし進め、自主的な新世界を建設すべき共通の課題が提起されています。

 支配と従属がなく、侵略と戦争のない自由で平和な新世界を建設するのは、世界各国人民の共通の志向であり、現代が提起している歴史的な課題であります。

 歴史の前進運動の障害となっていた冷戦は終結しましたが、自主の潮流に逆らい力で世界制覇を遂げようとする旧勢力はまだ残っています。冷戦の時代には超大国間の対決のため一時的におおい隠されていた帝国主義の諸矛盾が、冷戦の終結とともに露呈されてさまざまな問題を生みだしています。現在、西側の世界では利害関係によって互いに排斥し、また結託するという複雑な関係のなかで、新たなブロックを形成しようとする動きがみられ、政治的・経済的・軍事的支配圏を拡大する策動が露骨化しています。同時に、発達した資本主義諸国と発展途上諸国との貧富の差はますます大きくなっています。旧勢力の手中にある核兵器と軍事ブロック、財力と反動的なブルジョア文化をはじめ、あらゆる手段が支配と略奪、侵略と干渉の道具に利用されており、ほかならぬ非同盟諸国と発展途上諸国がその主なる対象となり、いけにえとなっていることを忘れてはなりません。

 人類が願望する自主的な新しい世界を建設するためには、歴史によって否定された冷戦時代の遺物を一日も早く清算し、歴史の潮流を過去へ逆行させようとするあらゆる策動を阻止するとともに、すべての国と民族が国際舞台で平等な自主的権利を行使することができるよう国際社会を民主化しなければなりません。

 非同盟運動は、侵略的なブロックに対応して支配と従属に反対し自主性を擁護する運動であり、自主的な諸国間の国際的連帯を強化する運動です。非同盟運動は本質において、全世界を民主化、自主化する運動です。地球上に支配と干渉、侵略と略奪を追求する支配主義勢力が存在するかぎり、非同盟運動はひきつづき発展し、自主的な新しい世界を建設する主導的勢力としていっそう強化されなければなりません。非同盟運動を発展させていく過程は、とりもなおさず全世界の民主化、自主化を実現する過程となります。

 すべての非同盟国の政府と人民は、自主、平和、親善の旗のもとにかたく団結し、非同盟運動の拡大発展のために、全世界の自主化偉業の実現のために力強くたたかうべきであります。

 非同盟運動を発展させ、自主化された新しい世界を建設するうえで、情報活動の果たす役割は極めて重要です。

 人民大衆が歴史の舞台に登場して自己の運命を自主的に切り開いている現時点において、情報活動は新しいものと古いもの、進歩と反動のあいだに鋭い対決と闘争が展開される重要な分野となっています。

 こんにち、帝国主義者は大規模の近代的情報手段を独占し、その要求と利害関係によって、反動的な思想と文化、ゆがめられた情報を大々的にまき散らしています。かれらは人民の正義の声を押さえつけ、意のままに社会世論をまどわしており、デマを流して反人民的な社会を美化し、侵略と戦争をあおりたてています。帝国主義者が独占的地位を占めている現在の国際情報秩序をそのままにしておいては、世界の進歩的諸国人民の自主性を守ることができず、国際関係で正義の原則を具現することもできません。

 現状は、非同盟諸国と発展途上諸国の情報活動をすみやかに発展させ、進歩的情報の役割を決定的に高めることを求めています。

 非同盟情報の基本的使命は、自主、平和、社会進歩をめざす諸国人民の正義の偉業に積極的に寄与することです。非同盟情報は、自主性を擁護する進歩的諸国と人民の真の代弁者となり、人民を自主偉業の遂行に導く有力な先導者となるべきです。また、正義を擁護し不正を弾劾する歴史の公正な審判官となるべきです。

 非同盟情報がその時代の使命と役割を果たすためには、非同盟諸国が情報活動において反帝・自主の立場を堅持し、正義の原則を確固と具現しなければなりません。

 反帝・自主は、非同盟運動の根本理念です。非同盟諸国の情報機関は、帝国主義の侵略的・略奪的本性と新植民地主義の手口を鋭い筆鋒によってあますところなく暴露し、人民の健全な精神をむしばむ麻薬のようなブルジョア思想と文化の浸透に断固と反対し、帝国主義者の反動的な情報攻勢を進歩的な情報攻勢をもって粉砕しなければなりません。非同盟諸国の情報は、自主、独立、社会進歩をめざす諸国人民の正義のたたかいを広く紹介、宣伝し、それにたいする国際的連帯の声を高めるとともに、人間の自由と権利を踏みにじり、国と民族の自主権を侵害し、世界の平和を脅かすあらゆる形の支配と干渉、侵略行為を糾弾すべきです。

 非同盟諸国の情報活動を発展させ、進歩的情報の役割を高めるためには、情報分野での国際的な交流と協力を発展させなければなりません。

 国際的な交流を発展させ協力を強化することに、非同盟諸国の民族情報を発展させ、世界の進歩的人民の正義の声をさらに高める重要な保証があります。

 これまで非同盟諸国の共同の努力によって、非同盟諸国首脳会議をはじめ、多くの国際会議で情報分野での交流と協力を発展させるための共同の戦略と決議が採択され、それに従って非同盟諸国の国際的情報協力システムが創設され、国際情報機構が設立されて活動しています。これは貴重な成果であり、情報分野において南南協力を実現しうる重要な条件となります。

 非同盟諸国は情報分野におけるこれまでの成果にもとづいて、集団的自力更生の精神と、平等、互恵、有無相通ずる原則に立って成果と経験を分かちあい、緊密に協力しなければなりません。こうすれば、各国の民族情報手段を拡大強化し、情報活動家を養成し、情報の多様化と迅速性を保障するなど、情報活動の発展に好ましい結果をもたらすでしょう。

 国際情報機構と国際的情報協力システムを強化し、その機能と役割を高めるのは、正義の原則に合致する新国際情報秩序の樹立において重要な意義をもちます。非同盟諸国は共同の努力によって、既に創設、運営されている非同盟諸国間の情報調整のための政府間理事会と非同盟諸国ニュースプールをはじめ、国際情報機構の機能と役割を高め、国際的情報協力システムをさらに強化する対策を立てるべきです。現在、多くの国の政府と進歩的な組織、人士のあいだでは、正義と自主の声を公正に代弁する国際情報センターを新設しようという正当な要求が提起されています。世界の各大陸の一定の地域にこうした国際情報センターを設置すれば、旧国際情報秩序を打ちこわし、新国際情報秩序を樹立するうえで重要な役割を果たし、全世界の自主化偉業をおし進めるうえで実質的な寄与をなすことができるでしょう。

 朝鮮労働党と我が共和国政府は、新しい社会の建設に着手した当初から主体的な民族情報の建設と発展に大きな力を傾けてきました。我々は情報活動において主体性を確立することによって、すべての情報機関を国家と社会の主人である人民大衆自身のものにし、情報活動が自主、独立、社会主義をめざす朝鮮人民の正義の偉業の遂行に寄与できるようにしました。

 我が国の情報活動は、人民の革命的自覚と創造的熱意を高め、すべての人が一心同体となって社会主義建設において主人としての責任と役割をまっとうするよう、大衆を導いていくパイロットの役を果たしています。我が国における社会の急速な進歩と発展、朝鮮人民が革命と建設でおさめたすべての輝かしい成果は、情報の役割をぬきにしては考えられません。我が国の情報機関は、さまざまな報道・宣伝活動をつうじて非同盟諸国、発展途上諸国との友好・協力関係を発展させ、帝国主義とあらゆる不正に反対する電波戦を強力に展開することによって、世界各国人民の自主偉業の遂行に積極的に寄与しています。

 こんにち朝鮮人民は、帝国主義者の侵略と干渉がひきつづく困難な状況のもとで、チュチェ思想を具現した人民大衆中心の社会主義を固守し、いっそう輝かし、民族自主の原則で祖国を統一するためにたたかっています。

 国際反動勢力は、東方で社会主義の旗を高くかかげて進む我が共和国を圧殺する目的のもとに、反共和国キャンペーンをくりひろげ、朝鮮半島の情勢を複雑にしています。かれらは、反動的な情報手段を動員して我が国の現実をゆがめ、我々の社会主義制度と朝鮮人民の正当な偉業を中傷しています。しかし、虚偽は真実をおおい隠すことができず、いかなる妨害策動も、自己の偉業の正当さを確信し、党のまわりにかたく団結して前進する朝鮮人民の前途を阻むことはできません。朝鮮人民は終始一貫、自己の運命の主人は自分自身であり、自己の運命を切り開く力も自分自身にあるという確信をいだき、一心団結してたたかうことによって、自主、自立、自衛の社会主義国を立派に建設しました。朝鮮人民は、みずからの血と汗で築きあげた人民大衆中心の社会主義を生命のように大事にしています。朝鮮人民はいかなる威嚇や誹謗中傷にも屈服する人民ではなく、厳しい情勢がつくりだされるからといって信念をまげる人民でもありません。朝鮮人民は、情勢が有利であれ不利であれ、チュチェ思想の示す自主の道、社会主義の道をひきつづき力強く前進するでしょう。

 私はこの機会を借りて、朝鮮人民の正義の闘争に支援を寄せている多くの非同盟国の政府と情報機関、非同盟諸国の情報機構に深い謝意を表し、今後も連帯の声を高めてくれるであろうとの期待を表明します。

 非同盟運動の崇高な理念を実現し、その発展をめざしてたたかうのは、我が共和国政府の一貫した対外政策です。朝鮮人民と共和国政府は今後とも、自主、平和、親善の旗のもとに、すべての非同盟国と緊密に協力し、非同盟運動の発展と全世界の自主化偉業の勝利のため積極的にたたかうでしょう。我が共和国政府は、情報分野で非同盟諸国、発展途上諸国との交流と協力を発展させるため全力をつくし、自己の責任と任務を誠実に果たすでしょう。

 代表のみなさんは、非同盟運動の崇高な理念を実現するために献身する社会の先覚者であり、朝鮮人民の賓客です。朝鮮人民は、いたるところでみなさんを暖かく迎え、熱烈に歓迎するでしょう。

 私は、みなさんが我が国に滞在する期間、楽しく有益な日々を送ることを願い、今後のみなさんの正義の活動で大きな成果があるよう心から祈ります。

出典:「金日成著作集」44巻


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