金 日 成

幹部は真の人民の忠僕になろう
党および行政・経済機関の幹部との談話 
1992年12月28日

 私がいつも言っていることですが、幹部は、党の中核力量であり、革命の指揮メンバーです。幹部のレベルによって党の質的状態が左右され、幹部の役割によって党のすべての活動が保障されます。国家・経済・文化機関を管理、運営するのもほかならぬ幹部です。結局、幹部がすべてを決定するのです。したがって、幹部をいかに育て、その役割をいかに高めるかということに、党の運命、革命の運命、社会主義の運命がかかっているといえます。労働者階級の党は、革命と建設を指導する全過程において、幹部を立派に育てて自己の役割を十分に果たせるよう、常に深い関心を払わなければなりません。

 わが党は、新社会建設の当初から民族幹部問題の解決を重要な課題として提起し、それに大きな力をそそいできました。解放直後、わが国には民族幹部が非常に不足していました。当時、我々には、なすべきことが山積していましたが、大学を出た人は少数でした。抗日武装闘争に参加した人たちは革命精神が強く、帝国主義者との戦いでは勇敢でしたが、彼らには国家を建設し、管理、運営したり、経済と文化を建設した経験はありませんでした。こうした状況のもとで、民族幹部の問題を解決せずには、新社会を成功裏に建設することができませんでした。

 我々は解放直後、国の事情が困難を極めていたにもかかわらず、自力で民族幹部の問題を解決することを決心し、総合大学と万景台革命学院の建設に着手しました。我々は、金済元をはじめ、農民たちが、分与された土地で初年度の農作をして国に献納した愛国米を建設資金にして総合大学と万景台革命学院を建て、革命家の遺児と労働者、農民の子女を勉強させました。また、高級党学校と人民経済大学を新設し、国の経済状況の改善に伴って各級養成機関と多くの大学を設立し、幹部を系統的に養成しました。

 我々は、敵との決戦を繰りひろげる厳しい祖国解放戦争(朝鮮戦争)の時期にも、民族幹部養成事業を中断しませんでした。皆さんのなかにも、祖国解放戦争のときに前線で戦っていて、党の措置で大学へ行って勉強した人がいるだろうと思います。

 我々が解放直後から困苦欠乏に耐え、あらゆる難関を克服して民族幹部を系統的に養成したので、わが国で極めて困難な問題となっていた民族幹部の問題を円滑に解決することができました。現在、我々は、160余万のインテリ大集団を擁しています。

わが党が育てた160余万のインテリ大集団は、我々の財産のうちでも最も貴いものです。チュチェ思想で武装し、現代科学技術を身につけた有能な民族幹部の大集団を擁しているのは、わが党と人民の大きな誇りであり、これはチュチェの革命偉業を成功裏に前進させる強固な保証です。

 わが国を訪れる外国人は、我々が有能な多数の民族幹部をもっていることをたいへんうらやんでいます。彼らは、朝鮮には有能な民族幹部が多いので後顧の憂いがないと言っています。そう言われるたびに、私は誇りを覚え、我々が困苦欠乏に耐えて民族幹部を養成したことを話し、わが国の幹部の自慢をしたりします。数年前、ある国の党代表団と会見したときにも、我々は有能な民族幹部を多くもっているので、決心さえすれば何でもできる、わが国の幹部はみな私が手塩にかけて育てた人たちだ、それで彼らは私を父と呼んでいるが、私もそれに異をとなえはしない、彼らには、父によく仕えて国の忠臣となり、人民の忠僕になるべきだといつも強調していると話しました。

 我々が育てた幹部のなかには、忠臣が大勢います。党と革命のために、祖国と人民のために貴い生命をささげた人、社会主義建設で勤労の偉勲を立てた人、革命の重要な持ち場で陰ひなたなく一生を黙々と、誠実に働いている人が大勢います。これは非常によいことだと思います。

 しかし、幹部のなかには、自分を育てて幹部に登用してくれた党の信頼と配慮に忠実に報いていない人がなきにしもあらずです。仕事に熱意を示さず現状を維持しているだけの人がいるかと思うと、幹部のポストを生来の官職であるがのように思いこみ、権柄をふるい官僚主義的にふるまう人もいます。党のふところで幹部に育ったのなら、当然、党の配慮に報いるため懸命に働くべきです。にもかかわらず、仕事に熱意を示さず現状維持にとどまったり、権柄をふるい官僚主義的にふるまうのは間違っています。幹部は、決してそういうことがあってはなりません。

 官僚主義は、搾取社会で官僚層が人民を抑圧し搾取するのに用いる反人民的な統治方法です。勤労人民大衆が国の主人となっている社会主義社会では、官僚主義は許されません。社会主義社会の幹部は、官僚ではなく、人民の忠僕です。社会主義社会では、幹部が官僚主義的にふるまうと、重大な結果をまねきます。

 官僚主義の弊害がどんなに大きいものであるかは、国際共産主義運動の歴史的教訓が如実に示しています。近年、ソ連と東欧諸国で社会主義政権党が崩壊し、社会主義が挫折したのは、幹部が権柄をふるい官僚主義的にふるまって、党が人民大衆の支持を失ったことが主たる原因です。人民大衆から遊離し、人民大衆に見放された党は崩壊せざるをえず、党が崩壊すれば、社会主義はその存在を維持することができません。官僚主義は結局、労働者階級の党の大衆的基盤を崩し、社会主義制度を破壊する悪作用を及ぼします。まさにここに、官僚主義の大きな危険性があるのです。

 金正日同志は、幹部が大衆のなかに入って人民大衆のために献身的に奉仕するのは補薬を服用するにひとしいが、大衆のうえに君臨して権柄をふるい官僚主義的にふるまうのはみずから毒薬をあおるにひとしいと述べていますが、まさにそのとおりだと思います。

 こんにち、権柄と官僚主義を克服するか否かは、社会主義偉業を固守するか否かという死活の問題となっています。幹部は、官僚主義の弊害を明確に認識し、絶対に官僚主義的にふるまってはならず、一意専心、人民のためにつくすべきです。

 人民に忠実に奉仕するのは、党のふところで育った幹部の崇高な使命です。人民大衆中心のわが国の社会主義社会で革命にたずさわる幹部にとって、人民の忠僕になること以上に誇らしく張り合いのあることはありません。幹部が、自己の崇高な使命感を深く自覚し、人民に忠実に奉仕するならば、人民から尊敬され愛され、結果的には党と人民大衆の結びつきも強くなるでしょう。人民の忠僕、これは実に誉れ高い称号です。幹部は、どこでどんな仕事をしようとも、人民が我々の社会の主人であり、自分は人民に仕える忠僕であることを片時も忘れてはなりません。

 最近、党が「人民に奉仕する!」というスローガンを示しましたが、これは非常に立派なものです。これには、党と大衆の血縁的つながりをさらに強め、人民大衆中心のわが国の社会主義の優越性をより高く発揮させようという党の意図と深い意味がこめられています。幹部は「人民に奉仕する!」という党のスローガンを活動と生活の座右の銘とし、人民のために忠実に働かなければなりません。

 幹部は、心から人民を愛しいたわり、彼らの運命と生活を責任をもって見守るべきです。幹部は、どんな仕事をするにしても、まず人民の利益を考え、人民の利益のために誠実に働かなければなりません。幹部は、いかなる名誉や評価も望まず、人民の幸福と理想を実現させることに生きる価値と誇りを見出すべきです。

 私は現地指導にあたるときも、人民により豊かな暮らしをさせようと努力する幹部に会ったときがいちばんうれしいのです。何年度だったか、農業部門の活動家協議会を現地で指導したことがあります。そのとき、その協議会に参加したある協同農場の幹部は、他の人のようにトラクターや肥料をもっと供給してほしいと要請するのでなく、農場員に必要などんぶり鉢を少々解決してほしいと提起するのでした。それを聞いた私は、彼が農場員のどんぶり鉢を心配しているからには、その農場員の生活については心配する必要がないと思いました。人民のどんぶり鉢の問題をおろそかにしてはなりません。どんぶり鉢を十分に供給しなければ、人民に不自由な思いをさせるようになります。私はその幹部がどんぶり鉢の問題を提起したことから、農場員の生活向上のために努力している人だと思いました。

 幹部が人民の忠僕として、その本分をまっとうするか否かは、党の路線と政策を実行するためにいかに努力するかにあられれます。

 わが党の路線と政策は、最も人民的な路線であり政策です。そこには、人民大衆の志向と要求が集大成されています。したがって、幹部が人民の忠僕としての本分をまっとうするには、何よりもまず、党の路線と政策をあくまで実行しなければなりません。幹部は、党の路線と政策を最も正しいもの、絶対的な真理として受けとめ、限りない献身性と犠牲的精神を発揮して、それをそのつどあくまで実行しなければなりません。

 現在、党の路線と政策の実行において最も重要なのは、社会主義の要請に即して人民の食・衣・住の問題を円滑に解決することです。

 朝鮮人民は昔から、白米の飯に肉汁を食べ、絹の服を着てかわらぶきの家に住むことを願ってきました。我々は最近、中央人民委員会の決定として、わが党の創立50周年にあたる1995年までに人民のこの世紀的念願を立派に実現する課題を示しました。幹部は、党の意図を明確に知り、人民の食・衣・住の問題を円滑に解決するために奮励努力すべきです。

 人民の食・衣・住の問題で基本は、食の問題です。食の問題を円滑に解決するためには、農業に力をそそいで穀物を増産しなければなりません。穀物を多く生産して食糧を十分に確保してこそ、人民の食生活を豊かにし、社会主義・共産主義を成功裏に建設することができます。それで、私は早くから、「米はすなわち社会主義」というスローガンを示し、こんにちにいたっては、「米はすなわち共産主義」というスローガンをかかげています。

 食糧問題を解決することが極めて重要なので、我々は今年を大農の年と定め、農業に全力を集中する措置を講じました。しかし、今年の営農実績は満足すべきものとはいえません。

 我々はなんとしても、来年度の営農実績を上げなければなりません。

 来年度の営農実績を上げるためには、農業部門への投資を増やし、農業の総合的機械化と化学化をおし進めなければなりません。今年度の営農状況を総括してみると、肥料を十分に供給できなかったため、ヘクタール当たりの穀物収量を高めることができませんでした。肥料生産を大幅に増やし、農村に肥料を十分に供給すべきです。穀物の収量は、施肥量に比例して増減するものです。興南肥料連合企業所の設備を大型化、近代化する工事が完了したので、来年度からは肥料生産をいちだんと高めることができるはずです。化学工業部をはじめ当該機関は、肥料年度の肥料生産計画を必ず遂行しなければなりません。そして、既に中央人民委員会・政務院合同会議で決定したとおり、来年の3月末までにトラクターの修理・整備を完了すべきです。

 緑の革命を推進して、安定した多収穫をもたらす優良種子を多くつくりだすべきです。この秋、平壌市寺洞区域将泉協同農場で農学者と会ったのですが、彼らは研究で少なからぬ成果をおさめていました。幹部は、農学者の研究条件を十分に整えて、稲とトウモロコシの優良種子をつくりだすようにすべきです。

 畜産業の発展にも大きな力を入れて、肉と卵を増産すべきです。現在わが国には、養豚工場、養鶏工場、アヒル飼養工場など、肉と卵の生産基地が随所にあります。しかし、飼料不足でそれらの工場が相応の効力を発揮していません。なんとしても飼料問題を解決して、これらの工場をフル稼働させなければなりません。農家でも、豚、鶏、アヒル、ガチョウなどの家畜を多く飼育するよう奨励すべきです。鶏、アヒル、ガチョウなどの家禽は、繁殖率と生産性が高いばかりでなく、飼料もあまりかからず、飼育も簡単です。農家でその気担って取り組むならば、そういう家禽をいくらでも飼育することができます。

 軽工業部門の幹部は、人民の食・衣・住問題の解決において重要な役目を担っています。わが国に築かれた軽工業の土台は決して貧弱なものではありません。紡織工場、被服工場、製靴工場、食品工場をはじめ、必要な軽工業部門工場はほとんどそろっています。要は、幹部がどのような立場と態度で働くかということです。幹部が、高い党性、人民性を発揮して奮闘するなら、人民の衣料問題を円滑に解決することができます。衣料問題を円滑に解決するには、化学繊維の生産を大幅に増やさなければなりません。幹部は、ビナロン工場をはじめ、化学繊維工場の生産を正常化する積極的な対策を立てるべきです。

 都市と農村に近代的な住宅をひきつづき大々的に建設すべきです。今後約3年間、都市と農村に毎年、15万〜20万所帯の住宅を建設する計画です。

 金正日同志は、党と国家の活動全般を指導する多忙ななかでも、平壌市民の住宅問題を解決しようと並々ならぬ努力を傾けています。金正日同志の発起と指導により、平壌市には、既に私の誕生80周年を契機に5万所帯の近代的な住宅が建設されました。金正日同志は、祖国解放戦争勝利40周年までに、平壌市に3万所帯の住宅を建設することを新たに発起しました。皆さんは、金正日同志の意をたいして、3万所帯の住宅建設を期限内に完工できるよう万全の手配りをしなければなりません。

 幹部は、党の路線と政策の実行において、自力更生、刻苦奮闘の革命精神を強く発揮しなければなりません。

 自力更生は、共産主義者に固有な闘争気風です。自力更生の革命精神に欠けた人は、革命を進めることができず、前進途上の障害と難関を克服することもできません。朝鮮戦争後、朝鮮人民が幾多の難関と試練にうちかって廃墟のなかから自主、自立、自衛の社会主義国を建設することができたのは、外国への依頼心を排し、自力更生、刻苦奮闘の革命精神を強く発揮して、党の路線と政策をあくまで実行したからです。朝鮮革命の歴史的経験が示しているように、自力更生すれば難関を克服し、無から有を創造することができます。

 こんにち、朝鮮革命の国際的環境は、複雑を極めています。帝国主義者と反動派は、我々の社会主義を孤立、窒息させようと、政治的・軍事的圧力とともに経済的封鎖をいっそう強化しています。こうした状況のもとで、わが党の路線と政策を実行して社会主義偉業を固守し前進させる道は自力更生しかありません。

 自力更生、刻苦奮闘、これは、幹部の党と革命への忠実性の尺度だといえます。幹部の党と革命への忠実性は、口先でなく実績にあらわれなければなりません。党の路線と政策に対する絶対性、無条件性の精神をもって自力更生、刻苦奮闘の革命精神を発揮し、党政策をあくまで実行する幹部のみが党と革命に忠実な人なのです。

 幹部は、党の路線と政策の実行において決して条件を云々してはなりません。幹部は、党が決心すれば我々は実行するという鉄の信念をもち、足りないものは探しだし、ないものはつくりだして、党の路線と政策を根気よく実行しなければなりません。特に、人民生活を向上させるための党の構想と戦略を立派に実現するため不断の努力を傾けるべきです。

 自力更生、刻苦奮闘の革命精神を発揮して党の路線と政策を実行するうえでは、慈江道前川郡商業管理所の従業員が立派な模範を示しました。鄭春実(チョンチュンシル)をはじめ、同商業管理所の従業員は、党政策を実に粘り強く実行しました。これまで彼らは、本業の商業サービス活動を立派におこなったばかりでなく、自力で桑畑と原料基地をつくり、養蚕とトウモロコシ作りで実績をあげ、多くのビーバーと銀狐を飼育しました。こうして、郡内の人民生活の向上に大きく寄与しました。

 昨年、慈江道を現地指導したとき、鄭春実に会って、それまでの仕事について聞きましたが、彼女はたいへん苦労をし、仕事も多くしました。私が鄭春実に初めて会ったのは彼女が17歳の断髪娘のときで、商店の販売員を務めていましたが、いまは二重労働英雄です。二重労働英雄になるというのは、決して容易なことではありません。彼女は、真の人民の忠僕であり共産主義者です。彼女は、いかなる名誉や報酬も望みません。鄭春実の入党推薦人は私ですが、彼女を真の人民の忠僕に育てたのは金正日同志です。

 私は、鄭春実のような人民の忠僕が各部に一人ずつでもいればすばらしいと思います。各部に彼女のような人が一人ずついても、党の政策を実行して人民生活の問題を少なからず解決することができるでしょう。幹部は、彼女のような人民の忠僕になるために尽力すべきです。

 最近、党では鄭春実の模範を見習う運動を展開する方針をうちだしましたが、仕事に熱心な人の模範を見習う運動を繰りひろげるのはよいことです。党の方針どおり「鄭春実運動」を繰りひろげるうえで重要なのは、党の政策を実行して人民生活を向上させるために鄭春実が発揮した献身性と犠牲的精神、率先垂範、自力更生の模範を見習うことです。

 幹部が真の人民の忠僕になるには、革命的大衆観点を確立しなければなりません。

 革命的大衆観点は、革命の主体は人民大衆であるという観点です。革命と建設の主人は人民大衆であり、革命と建設を推進する力も人民大衆にあります。人民大衆の利益を離れた革命などありえません。人民大衆は底知れない力の持ち主であり、最も聡明で知恵のある存在です。この世に全知全能の存在があるとすれば、それはほかならぬ人民大衆であり、人民大衆こそは革命の偉大な教師です。革命的大衆観点の確立していない人は、自分を特殊な存在と思い込んで大衆を見下し、主観と独断に走り、小才を鼻にかけて傍若無人にふるまいます。

 私は回顧録に「以民為天」と書きましたが、それは人民を天のごとくみなすという意味です。「以民為天」は、私の持論であり哲学です。私は、革命の道を踏みだしたときからこんにちにいたるまで一生涯、人民大衆を天のごとくみなして人民大衆に奉仕し、彼らの力に依拠して革命を進めてきました。革命家が人民を信頼し人民に依拠すれば天下を得て百戦百勝するが、人民を遠ざけ彼らに見放されれば百戦百敗するという真理は、長い革命実践を通じてその真理性が実証されています。

 幹部は、革命的大衆観点を確立し、「以民為天」の思想を活動と生活に具現すべきです。幹部は、常に大衆のなかに入って彼らの声に耳を傾け、大衆から虚心に学び、困難な課題が提起されればぎょうこう(僥倖)をあてこもうとせず、人民大衆の力と知恵に依拠してその遂行方途を見つけださなければなりません。

 幹部は、高尚かつ円熟した人民的品性を身につけなければなりません。

 人民的品性を身につけていない幹部は、いくら努力しても大衆の信望を得ることができません。そういう幹部には人民が心を許しません。幹部が人民的な品性を身につけて大衆に接すれば、それだけ活動上の権威も高まり、大衆の信頼も厚くなるものです。

 幹部は、常に人民を真の同志として接しなければなりません。我々の社会で幹部と人民の関係は、信頼し導き合う同志的関係です。幹部と勤労者は、それぞれ持ち場は違っても、いずれも国の主人として志をともにして闘う革命の同志です。幹部は、いつどこにあっても、謙虚で礼儀正しく人民に接し、どこで何の仕事をする人であっても差別せず、革命同志としてあたたかく接しなければなりません。

 幹部は、人民と苦楽をともにしなければなりません。また、人民と隔たりをおいて、何らかの特典や特恵にあずかろうとしてはなりません。常に大衆とともにあって、食事をしても人民と同じ釜の飯を食べ、人民と喜びも悲しみも分かち合うべきです。幹部はこうした生活を体質化すべきです。

 清廉潔白な品性は、幹部が身につけるべき大切な人民的品性です。大衆にとけこんで苦楽をともにし、人民の忠僕として働くためには、経済的にも道徳的にも清廉潔白でなければなりません。幹部は決して職権を乱用して人民の利益を侵したり、私利私欲にふけってはなりません。特に警戒すべきことは、地位欲と物欲です。物欲は麻薬と同じです。物欲におぼれると 、知らず知らずのうちにブルジョア思想と腐りきった生活風潮に染まって私利私欲をむさぼるようになり、最後には党と革命に背く犯罪行為さえも働くことになります。幹部は、絶対に物欲におぼれてはならず、常に清廉潔白な生活をしなければなりません。

 幹部は、率先垂範の品性を身につけなければなりません。骨のおれる仕事の先頭に立って身を挺し、率先垂範する幹部であってこそ、大衆から愛され尊敬され、人民の奉仕者としての本分を果たすことができます。幹部は、人民のためなら先に山道を歩き、荷も先にかついで常に大衆の先頭に立たなければなりません。幹部が大衆の先頭に立って突破口を開いていくならば、その後につづかない人があろうはずはなく、不可能なこともないでしょう。

 幹部が人民の忠僕としての本分を果たすためには、現実発展の要請に即して政治的・実務的水準をたえず高めなければなりません。

 幹部の活動の成果は、その水準によって左右されます。発展する現実は、いつにもまして幹部が高い政治的・実務的水準をそなえて活動することを求めています。こんにちのわが国の経済は、以前とは比べようもなく規模が大きく、技術装備の水準も高くなっています。以前大学を出た人であっても、ひきつづき水準向上に努めないならば、こんにちの近代的な大規模経済を円滑に管理、運営することも、生産組織と指揮を正しくおこなうこともできません。いま、一部の幹部が権柄と官僚主義をふりまわしているのも、水準が低いことと少なからず関連しています。幹部は、政治的・実務的水準を高める努力をして自分の仕事に精通し、どんなことでも適切に処理できるようにならなければなりません。

 幹部が政治的・実務的水準をたえず高めるためには、学習を日常化、習性化しなければなりません。幹部は、革命的な学習気風を確立し、学びに学び、さらに学ばなければなりません。いくら仕事が忙しくても毎日2時間以上学習し、土曜学習会と講演会にも欠かさず参加して誠実に学ばなければなりません。

 学習では何よりも、党政策の学習に力を入れるべきです。党の政策は幹部が活動において堅持すべき指針です。わが党の政策には、各部門の課題とその遂行方途が明確に示されています。党政策で武装すれば、困難で複雑な課題が提起されても自信をもって遂行し、すべての活動を党の意図どおり進めていくことができます。幹部は、党政策の学習を強化して、随時提起される党の政策を熟知し、特に担当部門についての党の政策に精通しなければなりません。

 幹部は、社会主義経済管理知識と現代科学技術知識を身につける学習も強化すべきです。社会主義経済管理知識と現代科学技術知識にうとくては、経済活動を正しく指導することができません。幹部は、経済管理に関する学習を着実におこなって、主体的な経済管理体系と方法、その優越性を深く認識し、社会主義経済法則と経済カテゴリーにも明るくなければなりません。これとともに、担当部門の科学技術上の問題はもとより、現代科学技術発展の世界的趨勢と最新科学技術の成果についてもよく知っていなければなりません。人民大学習堂を利用すれば、より多くの知識を習得することができるでしょう。人民大学習堂は、全民教育の殿堂です。そこには、現代科学技術書がたくさん所蔵されています。人民大学習堂に行けば、科学技術書を思いどおりに閲覧し、科学技術の講義も受けられます。

 各級の幹部養成機関で現職幹部をたえず再教育すべきです。わが党は、既に以前から、幹部が現実発展に後れをとらず活動で成果を上げられるように、現職幹部に6か月間、職務から離れて各級養成機関で勉強させることを制度化しています。幹部を高級党学校や人民経済大学の6か月在職幹部班に計画的に送って勉強させるべきです。6か月は決して短い期間ではありません。この期間に熱心に勉強すれば、多くのことを学ぶことができます。6か月在職幹部班に通う幹部は、時間を惜しんで少しでも多く学ぶため熱心に学習しなければなりません。

 1か月講習も幹部の政治的・実務的水準向上の重要な方途です。幹部は、毎年おこなわれる1か月講習に欠かさず参加して党性を鍛えると同時に、政治的・実務的水準を高めなければなりません。

 幹部の党生活を強化すべきです。

 党生活は、党性鍛練の溶鉱炉であり、革命的教育のすぐれた学校です。幹部の党生活を強化すれば、彼らが思想的に変質することなく、党と人民のために忠実に働くことができます。

 幹部は、正しい党組織観念をもって党生活に自覚的に誠実に参加し、党性をたえず鍛え、自己修養をつまなければなりません。幹部は、常に一般党員のつもりで党組織にしっかり依拠して活動し生活し、党組織の指導と統制を受けようと意識的に努力すべきです。

 皆さんは、党の信頼と配慮を忘れず、党と人民のために変わることなく忠実に働くことを誓いましたが、それがただの決意にとどまってはなりません。幹部は、党の大きな信頼と配慮を片時も忘れず、党と革命、祖国と人民のために献身する真の革命家、人民の忠僕にならなければなりません。
                                                
出典:『金日成著作集』44巻


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