金 日 成

総聯教育活動家代表団との談話
−1992年10月17日− 
 
 私はきょう、祖国を訪問した総聯教育活動家の皆さんに会えて非常にうれしく思います。

 総聯の活動において民族教育事業は、極めて重要な位置を占めています。総聯の民族教育事業は、一言でいって、在日同胞を朝鮮人にする活動です。朝鮮人になるには、血筋も同じでなければなりませんが、朝鮮民族の精神をもたなければなりません。

 いくら血筋が同じであっても、わが民族の精神をもたない人は真の朝鮮人だとはいえません。総聯の民族教育事業は、日本に住んでいる同胞に朝鮮の言葉と文字、わが民族の悠久な歴史と燦然たる文化を教え、彼らが民族精神をもって生きていけるようにする崇高な愛国活動です。

 総聯の教育活動家は、在日同胞を朝鮮人にする重要な活動を担当している職業革命家です。我々は、総聯の教育活動家が異国の困難な状況のもとでも社会主義祖国への強い忠誠心をいだき、総聯の代を受け継ぐべき後続隊を立派に育てている話を聞くたびに深い感動をおさえることができません。総聯の教育活動家は、今後の総聯を担う数多くの愛国者を育てるうえで大きな功労を立てました。

 私は、総聯の教育活動家が、わが党の主体的な民族教育政策にもとづき、同胞の学生・生徒・児童に朝鮮の言葉と文字を教え、わが党の思想を深く植えつけて、彼らを祖国と民族のために、祖国の統一のために闘う愛国者に育てていることを高く評価し、わが党と共和国政府、そして私自身の名で皆さんにあつい感謝を送ります。

 革命闘争と新社会の建設において、インテリは極めて重要な役割を果たします。労働者、農民だけでは、新社会を成功裏に建設することができず、まして、人民大衆の自主的要求にそって自然と社会と人間を改造し変革する社会主義を立派に建設することはできません。ところが、かつての労働者階級の理論はもとより、他の国の党では、インテリは資本家階級にも労働者階級にも奉仕する社会の中間層とし、彼らを革命の対象として位置づけました。しかし、我々はインテリを他の国の党のように革命の対象としてではなく、革命の原動力とみました。我々は、抗日革命の初期から、労働者階級、農民とともにインテリを朝鮮革命の原動力と規定し、解放後、党を創立するときには、わが党のマークに労働者、農民を象徴するハンマーと鎌とともにインテリを象徴する筆を描き入れました。これまでの革命運動史上、インテリを革命の原動力として位置づけた党はわが党しかありません。

 かつて日本帝国主義者は、わが国を占領し、朝鮮民族に対する愚民政策を実施しました。そのため、わが国には、解放前も解放直後も大学出のインテリがそれほどいませんでした。抗日武装闘争の時期、遊撃隊員のなかに大学卒業者は2、3名しかいませんでした。当時、「パイプじいさん」と呼ばれる李東伯という人がいましたが、彼は多少学識のある人でした。彼は、抗日遊撃隊に入隊する前に各種の派閥とかかわりがあったので、我々に対する正しい認識をもっていませんでした。その彼が、実地の体験を通じて朝鮮の真の革命家、愛国者は新しい世代の共産主義者であることを知り、抗日遊撃隊に入隊して多くの仕事をしました。彼は、祖国光復会の機関誌『3・1月刊』の主筆を務めました。

 国が解放されたのち、我々がいざ新しい社会の建設にとりかかると、技術を身につけたインテリが多数要求されましたが、技術を身につけ経済を管理運営できるインテリがそれほどいませんでした。当時、わが国には、理科系大学出身のインテリがわずか12名ほどしかいませんでした。それで、民族幹部の養成を新社会建設における第一義的課題とし、金日成総合大学を創立しました。総合大学の創立当時、最大の隘路は教員の不足でした。我々は、これを解決するため南朝鮮に人を送り、インテリを招いてくる措置をとりました。いま高年で知名の金日成総合大学の教授のなかには、そのとき南朝鮮から来た人が少なくありません。

 我々がこれまで困難な状況のもとでも民族幹部養成事業に大きな力をそそいだ結果、いまでは160余万のインテリ大集団を擁するようになりました。ソ連や東欧諸国の社会主義は滅びましたが、わが国の社会主義が生々発展しているのは、わが党がこれまでチュチェ思想で武装した勤労インテリを数多く養成したこととも大いに関連しています。

 総聯でもこれまで朝鮮大学校で1万名近くのインテリを養成したそうですが、非常に大きな仕事をなし遂げました。朝鮮大学校を卒業したインテリが、いまは総聯の各級組織で重要な役割を果たしているはずです。総聯がこれまであらゆる障害と難関を克服してインテリを養成したので、愛国偉業の代がしっかりと受け継がれ、在日朝鮮人運動がチュチェの道を力強く前進できるのです。

 総聯は、民族教育事業にひきつづき大きな力を入れ、育ちゆく新しい世代をチュチェ朝鮮の真の息子、娘に、総聯の愛国偉業を立派に受け継ぐ頼もしい継承者に育てなければなりません。

 育ちゆく新しい世代を総聯の愛国偉業の頼もしい継承者に育てるためには、現実発展の要請に即応して教育の質をたえず高めなければなりません。同胞生徒が日本で催された全国的な弁論大会で一位を占めたとのことですが、それはたいへんすばらしいことです。朝鮮人は、もともと才能が豊かです。朝鮮人は、発音がはっきりし、外国語にも堪能です。朝鮮語は語音が豊富なので、朝鮮人が外国語を上手に話せるのです。朝鮮大学校をはじめ、総聯の各級学校では、同胞学生・生徒を、チュチェ思想で武装し、社会主義祖国を熱烈に愛し、すぐれた実力と才能を身につけた立派な愛国人材に育てなければなりません。

 現在の国際情勢は複雑を極めていますが、革命の前途は楽観的です。

 帝国主義者と反動派は、日和見主義者の背信行為によってソ連や東欧諸国で社会主義が崩壊し、資本主義が復活した事態をもって、社会主義が終末を告げたかのように喧伝しています。しかし、革命的諸政党と人民は、そうは見ておらず、南朝鮮の進歩的インテリも滅んだのはエセ社会主義であり、真の社会主義はひきつづき上昇一路をたどっている、と言っています。

 この4月に社会主義を志向する世界の数多くの政党代表団と代表がわが国を訪問しました。彼らが訪朝したのは、言うまでもなく私の誕生80周年を祝うためでした。他方、ソ連や東欧諸国の社会主義がことごとく滅んだのに、ひとり朝鮮でのみ社会主義が微動だにせず、上昇一路をたどっているのはなぜかを知ろうとすることにも目的がありました。これまで外国の党は、人民大衆中心の朝鮮式社会主義制度についてよく知らなかったので、朝鮮もソ連式に社会主義を建設したものと考えたようです。それが、ソ連や東欧諸国の社会主義は挫折して資本主義が復活したが、朝鮮ではひきつづき社会主義の旗を高くかかげて前進しているのですから、誰しも驚かざるをえませんでした。

 このたび、私の誕生80周年の祝賀に来て、朝鮮式の社会主義制度の現実を見て、朝鮮式に社会主義を建設すれば勝利するという確信をもつようになった世界の70の政党代表団と代表は、社会主義偉業を擁護、固守し前進させるべく平壌宣言を採択しました。いま、平壌宣言は、世界の数多くの共産党、労働者党のあいだで大きな反響を呼んでいます。平壌宣言が発表されてからわずか数カ月しかたっていませんが、すでに140余の政党がこの宣言を支持して署名しています。

 平壌宣言が発表されて以来、我々の経験を学ぼうと訪朝する党が以前よりはるかに増えました。数日前にもアイルランド共産党全国執行委員会委員長が訪朝しました。彼は75歳の老革命家ですが、わが国に来て現実を目のあたりにしては朝鮮式の社会主義に感服し、ヨーロッパにもどって朝鮮の社会主義を広く宣伝したいと述べました。

 在日同胞は、日本反動層の民族差別政策により、あらゆる蔑視と迫害を受けながら苦しい生活をしてきたので、誰よりも祖国の貴さをよく知っており、愛国心も非常に強いです。彼らが祖国に来てみれば、朝鮮式の社会主義制度がいかにすぐれており、すばらしいものであるかをいっそうよく知ることができます。いま祖国に生まれ育った新しい世代は、資本の搾取と抑圧を受けたこともなく、また苦労というものも知らずに育ったので、自分たちの暮らす社会主義制度がどれほどすばらしいものであるかをよく知りません。しかし、日本から帰国した人たちは、朝鮮式社会主義制度の優越性、ありがたい社会主義祖国のふところにいだかれて暮らす誇りと幸せを深く感じています。日本からの帰国者が仕事に励んでいるのは、まさにこのような認識をもっているからだと思います。祖国の幹部も外国、特に、資本主義国へ出張して帰ってくると、誰もが朝鮮式社会主義がいちばんで、朝鮮人民が最も幸せな人民だ、と誇りをもって話しています。一部の国の社会主義は崩壊しましたが、人民大衆中心の朝鮮式社会主義はこれからも微動だにせず勝利の前進をつづけるでしょう。

 いま私が執筆中の回顧録『世紀とともに』は何巻まで出るのかという質問ですが、抗日革命闘争期から解放後とこんにちにいたるまでの事柄をすべて書こうとすれば、多分、30巻は越すのではないかと思います。現在は第3巻を脱稿して出版に回し、第4巻もほぼ書き終えました。私の回顧録を読んだ世界各国の人たちの話からして、好評を得ているようです。

 私は、総聯の教育活動家が革命勝利の確信をもって民主主義的民族教育事業を発展させ、日本でチュチェ型の革命家、愛国的インテリをより多く養成することによって、祖国の隆盛と国の統一偉業にひきつづき大いに寄与するよう望みます。
出典:『金日成著作集』43巻 

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