金 日 成

総聯の活動について
 金正日同志の誕生50周年慶祝在日本朝鮮人祝賀団との談話
1992年2月24日

 私は、在日本朝鮮人祝賀団が祖国を訪れ、祖国の人民とともに金正日同志の誕生50周年を意義深く記念したことをうれしく思います。

 私はきょう、皆さんに会った機会に、総聯の活動について若干話そうと思います。

 総聯は何よりもまず、活動家と同胞のあいだで思想教育を強化しなければなりません。

 これまで総聯は、同胞のあいだで思想教育を根気よく進め、彼らを総聯組織に結集するうえで大きな成果をおさめました。総聯は、わが共和国の有力な海外同胞組織です。これまで日本の反動派は、わが共和国を敵視し、総聯を弾圧し破壊しようと悪辣に策動しました。しかし総聯は、同胞大衆の団結した力で、日本反動派の弾圧策動を勇敢にはねのけ、組織を守りとおしました。これは、民族の尊厳と栄誉を輝かせた非常に誇るべきことです。外国人も、我々が日本に強力な総聯組織をもっていることに感嘆しています。

 我々は、総聯が内外反動派の策動がいかに激しく、どんな狂風が吹きつけようと微動だにしないものと思います。だからといって、総聯活動家は決して慢心してはいけません。いま南朝鮮かいらいは、総聯組織を破壊しようと血眼になっています。つい最近も、南朝鮮かいらいは「民団」のリーダーたちを呼び寄せ、東欧諸国の社会主義はみな崩壊したのに総聯一つこわせないのか、日本反動派と協力して総聯を破壊せよという指令をくだしたとのことです。日本反動派は、アメリカの指示のもとに南朝鮮かいらいとぐるになって、ひきつづき総聯に圧力をかけています。総聯は、敵の破壊策動が激しくなればなるほど同胞に対する思想教育をさらに強化し、彼らを総聯組織にかたく結束しなければなりません。

 総聯活動家と同胞に対する思想教育で重要なのは、朝鮮式社会主義に対する強い信念をいだかせることです。

 帝国主義者と反動派は、ソ連と東欧諸国の社会主義が崩壊した事態をもって、それが「社会主義の終焉」を意味するかのように喧伝し、諸国人民の心から社会主義を永久に抹殺しようと策動しています。しかし、社会主義は、人民大衆の自主的要求を具現した理念であり、人類の理想であるため、人民大衆が存在するかぎり絶対になくなりません。一部の国で社会主義が崩壊したのは、革命の裏切り者によって社会主義が変質したからです。

 わが国の社会主義は、他の国の社会主義とは根本的に異なります。わが国の社会主義は、チュチェ思想を具現した人民大衆中心の社会主義です。朝鮮式の社会主義は、人民がみずから選択し、わが国の実情に合わせて自力で建設した最もすぐれた社会主義であり、領袖、党、大衆の一心団結の力によって前進する不敗の社会主義です。それゆえ、帝国主義者と反動派は、わが国の社会主義を抹殺しようと、やっきになっていますが、朝鮮式の社会主義はびくともせず生々発展しています。

 敵は、なんとしても、わが共和国を孤立させ内部から瓦解させようとあらゆる策動を弄しています。いま敵は、わが共和国を経済的に封鎖しようとしていますが、我々は自立的民族経済の土台を強固に築いてあるので恐れを感じません。先般、南朝鮮から来たある実業家が、自動車工場と工作機械工場、紡織工場を見せてほしいというので、当該部門の幹部に全部見せるよう指示しました。彼は、地方にある工場を見学したのち案内した幹部に、北の経済は完全な自立的民族経済だ、だからいかなる封鎖にも耐えていける土台が強固に築かれているといいました。そして、北の経済は心配がないが、南朝鮮の経済は手内職の針仕事のように外国の製品を賃加工したり外国から部品を取り寄せ製品を組立てて輸出する経済であるため、取り引き国との連係が断ち切られ封鎖されさえすれば、すぐ無に帰してしまうと言いました。南朝鮮の人たちは、経済が外国経済の付属物になっているため封鎖されれば崩れ去るのではないかと心配していますが、我々は自立的民族経済を建設したので、いかなる封鎖にも耐えていくことができます。いま我々に多少不足しているものがあるとすれば、生活必需品をはじめ、一部の軽工業製品が豊富でないことです。それで我々は、今後2〜3年間、軽工業革命を起こしてこの問題を解決するつもりです。

 いまではアメリカも、わが共和国を孤立させ内部から瓦解させようとどんなに画策しても無駄であることがわかったようです。それで、いま彼らは、我々と仲よくすごそうとしています。アメリカが仲よくしようというのですから、我々もアメリカとの関係を改善していこうと思います。

 総聯は、活動家と同胞に、朝鮮式社会主義の本質的優越性と不敗の威力を正しく認識させて、彼らが社会主義祖国を心の柱としてかたく信頼して生きていくようにすべきです。

 総聯の思想教育では、活動家と同胞に総聯の愛国偉業に対する信念をいだかせることが大切です。

 総聯活動家と在日同胞は、総聯の主人であり、愛国運動の担い手です。彼らが総聯の愛国偉業に対する確固たる信念をもってこそ、総聯組織を固守し、愛国活動で積極性と創意性を高く発揮することができます。総聯は、活動家と同胞に、総聯の愛国偉業の正当性を正しく解説し、彼らが必勝の信念と革命的楽観をいだいて愛国活動を進められるようにすべきです。

 総聯は、同胞のあいだでさまざまな思想教育を力強く繰りひろげるとともに、社会主義祖国の参観をさかんにすべきです。

 社会主義相国の参観は、在日同胞に祖国の現実を実際に見せて愛国心を培ううえで重要な意義があります。祖国について知らなくては、真の愛国者になれません。

 私の闘争経験からしても、現実をつぶさに知ることが極めて重要です。以前モスクワにはコミンテルンが運営する共産大学があって、各国から選抜された人たちが学びました。私も、初期革命活動の時期、コミンテルンと同志たちから、その大学で学ぶよう勧告されました。あれは1930年代初のある年だったと思います。車光秀、朴素心など少なからぬ同志たちが集まって、私の留学を心から祝うというのでした。それで彼らに、組織と同志たちが私に勉学をさせようとするのはありがたいことだ、しかし、私は留学に行かない、ここにもマルクスやレーニンの著書がたくさんあるのに、それを学ぼうとソ連に行く必要はない、革命の方法は人民のなかに入り現実から学ぶべきであって、ソ連の経験を学んで朝鮮革命を正しく進められるはずがない、私はソ連には行かず、同志たちとともに人民のなかに入り、彼らから学び、実践闘争の過程で朝鮮革命の路線と方法を探求することにすると話しました。

 私があの時ソ連に留学せず、同志たちとともに人民のなかに入って彼らから学び、実践闘争のなかで朝鮮革命の主体的路線とその遂行方途を見出したのは至極正しいことでした。もし私が、あの時ソ連で学んできたとするならば、朝鮮革命を正しく指導できなかったかもしれません。

 総聯では、社会主義祖国の参観を広く手配して、多くの在日同胞が祖国の現実を自分の目で見て体験できるようにすべきです。特に、日本で生まれ祖国の土を踏んだことのない青少年学生に、祖国の現実をじかに見せることが大切です。いま総聯では、同胞学生に、社会主義祖国の参観を高級学校の時期に1回、大学の時期に1回と2回させ、朝鮮大学校の政治経済学部と師範教育学部の3年制師範科の学生の場合は、6か月間ずつ祖国で現実を学ばせるとのことですが、よいことだと思います。総聯では、できるかぎり多くの同胞と青少年学生が、祖国に来て白頭山、金剛山、妙高山のような名勝を訪ね、マスゲームなどの観覧や教育、文化、保健医療施設の参観もさせるべきです。それによって、実地体験を通じて人民大衆中心のわが国の社会主義制度の真の優越性を明確に認識させるべきです。

 社会主義祖国に対する総聯活動家と在日同胞の参観を適切におこなうには、輸送条件を円滑にする必要があります。これまで、在日同胞は主に船便で社会主義祖国を訪問しました。しかし、わが国と日本のあいだに航空路も開設されたので、これからは祖国訪問団が飛行機を利用することもできるでしょう。今度新たに建造される「万景峰──92」号貨客船は、速度が速いだけでなく、収容能力も大きく、自動車も数十台積める近代的な設計になっているとのことです。「万景峰──92」号の運航がはじまれば、在日同胞の祖国訪問が便利になるでしょう。

 総聯活動家は、対人活動を正しくおこなうべきです。

 総聯活動の基本は、対人活動を正しくおこなうことです。資本家は金銭で人を動かしますが、人の心は金銭では買えません。人の心を動かすには、対人活動を正しくおこなわなければなりません。それで、私はいつも、党活動の基本は対人活動だと党活動家に話しています。対人活動さえ正しくすれば、万事がスムーズにいきます。

 革命を進めるためには、対人活動に力を入れて同志を多く獲得しなければなりません。我々は、党も国家もないゼロの状態で同志を獲得することから抗日革命闘争をはじめ、抗日革命闘士は互いに信頼し愛し合い、20星霜、厳しい困難に、うちかってあくまで戦い、ついに勝利しました。いま、我々は、あのときの精神で生き、革命をつづけるために「生産も学習も生活も抗日遊撃隊式に!」というスローガンを示し、それを具現しています。

 皆さんは、対人活動をひきつづき正しくおこない、とりわけ若い世代に対人活動の方法を教えて、彼らが代を継いで対人活動を立派にできるようにしなければなりません。

 皆さんは、金正日同志の指導のもとに総聯活動の質的発展が遂げられ、万事好調にいっているといわれましたが、非常によいことです。金正日同志は、いつも海外の同胞を忘れておらず、海外朝鮮人運動の発展に深い関心をよせています。金正日同志はいま、昼夜を分かたず党と国家、軍隊の活動全般をエネルギッシュに指導しています。

 金正日同志は、文武を兼備した人材であり、忠孝を兼備した忠臣であり孝子です。彼は、政治にも、軍事指揮にもすぐれており、哲学、経済学、政治学などの社会科学にも通じ、文筆にもたけています。金正日同志は、祖国と人民には忠臣であり、私には孝子です。彼は、いつも下部の活動家に、仕事に精励して金日成同志に喜びを与えなくてはならないといい、その模範を示しています。金正日同志は私のいうとおり、党活動、対人活動をみごとにおこなっています。彼が対人活動を立派にするので、いま祖国では万事がうまくいっています。

 金正日同志は、私とともに長いあいだ革命闘争をしてきた老闘士と古くからの幹部を尊敬し、彼らの活動と生活にこまやかに気をくばっています。彼は、抗日革命闘争に参加した老闘士を大いにおし立て、手厚く処遇しています。彼は、自分の休養は考えず、老闘士たちを毎年休養地に送っています。解放直後から私とともに働いてきた幹部もいまは70を越していますが、金正日同志は、彼らが最後まで忠実に勤めあげるよう導き、見守っています。金正日同志が、老闘士と古くからの幹部を正しく導き、あたたかく見守り、彼らの提起する問題をすべて解決してやるので、彼らは金正日同志を心から大事にし愛し、忠実に従っています。それで私は、金正日同志は、誰もが見習うべき忠臣と孝子の亀鑑だといつもいっているのです。皆さんは今後、いかなる風が吹き荒れようと、金正日同志に忠実に従うべきです。

 総聯は、活動家と同胞に、社会主義祖国を物質的に支援する活動も活発におこなわせるべきです。

 社会主義祖国は、在日朝鮮同胞の母のふところであり、民族的尊厳と栄誉のシンボルです。社会主義祖国を物質的に支援するのは、総聯活動家と在日同胞の崇高な民族的義務であると同時に、栄誉ある事業です。なぜなら、それはある一個人にぜいたくな暮らしをさせるためではなく、祖国の富強と全人民の生活向上に貢献する愛国的な事業であるからです。

 いま祖国の各地に、在日同胞の愛国心のこもった工場が建設されて効力を発揮しています。我々は、商工人をはじめ、在日同胞があつい愛国心をこめて工場設備を祖国に寄贈したことをありがたく思っており、今後も社会主義祖国の富強、発展と人民の幸せのために、よいことをさらに多くしてくれるものと信じます。

 総聯は、活動家と同胞が、祖国統一運動をさらに力強く展開していくようにすべきです。

 最近、南朝鮮当局者は「北方政策」について宣伝していますが、それは、わが共和国を孤立させ、吸収統一しようということです。南朝鮮当局者の宣伝する「北方政策」は、アメリカの発案によるものです。アメリカの指示のもとに、南朝鮮当局者は「北方政策」を云々し「吸収統一」の野望を遂げようとしていますが、領袖、党、大衆が一つに結合している我々の社会主義はなんともすることもできません。

 いま、北と南、海外同胞の祖国統一熱望はいつにもまして高まっています。アメリカ帝国主義と南朝鮮かいらい一味が、いくらやっきになっても、祖国を統一しようという朝鮮民族の志向を阻むことはできません。

 わが国の統一は必ず、連邦制の方式で実現すべきです。祖国の自主的平和統一の実現においては、北と南に存在する思想と理念、体制の違いを超越して一つの民族、一つの国家、二つの体制、二つの政府にもとづく連邦制方式で一つの連邦国家を創立する以外に他の道はありません。我々は、祖国の統一が連邦制方式で実現されるものと信じています。

 総聯組織は、日本で民族団結事業を強化して、各階層の同胞大衆を統一愛国勢力としてかたく結束し、祖国の統一を促進するさまざまな形の同胞大衆運動をさらに活発に繰りひろげなければなりません。

 私は、皆さんが、総聯組織をうちかため、社会主義祖国の隆盛と祖国統一をめざす愛国活動をひきつづき活発に展開するよう期待します。
                                                
出典:『金日成著作集』43巻


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