金 日 成

人民的な美術作品をより多く創作するために
―万寿台創作社の幹部との談話― 
1991年2月11日 

 前々から万寿台創作社を訪れるつもりでしたが、時間をさくことができず、きょうやっと来ることができました。1975年に万寿台創作社に来たときには、彫刻家たちがつくった大城山革命烈士陵の胸像の原型を見ました。

 きょうは、万寿台創作社でその間創作した美術作品を見たいと思います。

 朝鮮画創作団の創作室に展示されている朝鮮画『国際平和大行進』の第3編『板門店での絶叫』は秀作です。この絵には、祖国の統一を阻んでいる内外の分裂主義者を糾弾する国際平和大行進隊のメンバーの姿が生き生きと表現されています。林秀卿嬢と文奎鉉神父、それに外国人も描かれていますが、それぞれの人物の性格が生き生きと形象化されています。この朝鮮画の第2編『平壌の大歓呼』もすぐれた作品で、祖国統一の前途を楽観している朝鮮人民の姿をよく描いています。

 朝鮮画『汎民族大会』は、みごとな作品です。ここには、汎民族大会に参加した南側推進本部の代表や在ソ同胞も見えますが、すべての人物が生き生きと描かれています。

 彫像『文益煥牧師』は写真を見て形象化したといいますが、よくできています。

 朝鮮画『林秀卿の法廷闘争』には、林秀卿の母親も見えますが、よく描かれています。林秀卿の母親は写真を見て描いたのでしょう。

 朝鮮画創作団の創作室に展示された大型朝鮮画の諸作品はいずれも国宝としての価値を有する作品ですから、歴史遺物として大切に保管しておく必要があります。

 彫刻作団の創作室に展示されている朝鮮画『金剛山釈迦峰』は繊細で自然美がよくにじみでています。あたかも、金剛山を実物で見るような思いがします。

 水墨画『統一の春』は、南朝鮮で開かれる展示会に出品するために描いたのでしょう。水墨画は、彩色画に比べて見劣りがします。この作品に梅の花が描かれていますが、梅は南朝鮮の人たちが好むようです。我々は、あくまでもわが人民の好むオオヤマレンゲを描くよう奨励すべきです。これから祖国を統一しなければならないのですから、梅を描くのも排斥すべきではありません。

 朝鮮画『内金剛の秋』はすばらしいできばえです。朝鮮画『剣の舞』と『長鼓の舞』もよく描かれています。

 絵は、朝鮮画にかぎります。これまで油絵をはじめ、さまざまな技法で描かれた絵をたくさん見ましたが、朝鮮画の技法で描いた絵が最も見ごたえがあります。

 いま南朝鮮では、抽象派の絵が流行し、外国でも抽象画を多く描いていますが、そういう絵は、人民がよく理解できず、また好みもしません。人民が好まない絵はすぐれた絵とはいえません。真の絵は人民が好む絵です。我々の美術は、人民性が立派に具現された真の人民の美術にならなければなりません。美術家は絵を描くにしても、朝鮮人民の情操と美感を満足させる絵を描かなければなりません。

 朝鮮画は、画法と形式が独特で、力強く美しく、高尚なのが特徴です。朝鮮人民は古い民族的伝統をもつ朝鮮画を好みます。朝鮮画を彩色画に発展させたので、いっそうすばらしくなりました。

 朝鮮画は、世界に誇れるものです。朝鮮画のすばらしさは、やがて世界に認められるようになるでしょう。

 朝鮮画がこんにちのように発展したのは、金正日同志の細心な指導の結果だというのは正しい指摘だといえます。金正日同志は美術にも造詣が深いのです。わが国で人民に好まれる立派な朝鮮画がたくさん創作されたのは、金正日同志によって久しい前に示された、朝鮮画を彩色画に発展させるという方針が極めて正しいことを実証しています。万寿台創作社では党の方針をゆるがせにすることなく、朝鮮画をさらに発展させなければなりません。

 刺しゅう『カワセミ』は、とてもすばらしく形象化されています。生きている小鳥のようです。刺しゅう『月夜に』と『月夜の雁』もすぐれています。『月夜に』は、雁が実際に飛んでいるかのように生き生きと描かれています。刺しゅう『虎』と『天女』も上出来です。『虎』が国際コンクールで金メダルを受賞したのはすばらしいことです。

 ここに展示されている刺しゅう品は、みなすぐれています。朝鮮画の技法で下絵を描いて刺しゅうをしたので、いっそうすばらしくなりました。なんと繊細に縫い表わしたことか、刺しゅうではなく実物のように見えます。色糸で色調を合わせて刺しゅうするというのは容易なことではありません。刺しゅう師たちが刺しゅう品の色調を合わせるのにさぞ苦心したことでしょう。

 わが国の刺しゅう品は、刺しゅうで有名な国のものよりすぐれています。南朝鮮の人たちも我々の刺しゅう品をほめています。前に我々の刺しゅう品が南朝鮮で飛ぶように売れたといいますが、それは我々の刺しゅう品がすばらしいからです。

 万寿台創作社に刺しゅう師が多くないというなら、創作社で多数養成すべきです。

 宝石画『キジ』『雪が降る』とは見事に形象化されています。『フジの花と子犬』も芸術的に生き生きと描かれています。この宝石画は、以前わたしが平壌サーカス団に贈った子犬を描いたものですが、実物そのもののように見えます。贈物の子犬を生き生きと描くために、創作家が平壌サーカス団に何回も足を運んでスケッチをしたり写真を撮ったりしたとのことですが、創作家にはそういう情熱がなくてはなりません。宝石画『鳩の舞』は見事なものです。この作品は、白い鳩の衣装を着け明るい微笑をたたえて舞うようにおどる舞踊家を描いたものですが、実際に鳩が舞い上がるかのように見えます。『鳩の舞』は美しく優雅に形象化されています。

 宝石画も朝鮮画の技法で描かれているので見ごたえがあります。宝石画は、天然の石を粉末にして吹きつける方法で描くそうですが、そういうふうにすれば色がさめないでしょう。朝鮮画にもとづいて宝石画を開拓したのは非常によいことです。宝石画創作集団の陣容を整える必要があります。万寿台創作社では宝石画の美術家を多数養成し、今後世代の交代がなされても宝石画の創作にさしさわりがないようにすべきです。

 油絵『白頭山』と『菊』は、鮮明で簡潔かつ繊細に描かれていて、朝鮮画とよく似ています。これらの作品は、朝鮮民族の好みに合った朝鮮式の油絵だといえます。油絵も朝鮮式に描くとたいへんすばらしいものです。

 このパネルの写真は、以前、朝鮮美術家同盟中央委員会委員長であった鄭寛Kさんの写真です。彼は、私より年下でしたが、不治の病で世を去りました。

 油絵『波』も朝鮮画に似ています。この油絵を描いた画家が私の肖像画を描いた人だとのことですが、彼は我々が解放後に育てた才能ある美術家です。

 平壌に新たに建設する3大革命展示館に建立する3大革命記念碑の形成案では、私と金正日同志の銅像を前に建て、その後ろに3大革命旗手の彫刻群像を建てることになっているとのことですが、そうしないで、労働英雄の彫刻群像を前に建てるべきです。わが国には、チョンリマ運動の最初ののろしをあげたチョンリマ製鋼連合企業所の陳応源さんをはじめ、社会主義建設で偉勲を立てた労働英雄がたくさんいます。社会主義・共産主義建設の総路線である3大革命は、まさに党に限りなく忠実なそういう労働英雄たちによって立派に遂行されているのです。3大革命旗手たちの中心に労働英雄たちを立てるようにした3大革命記念碑彫刻群像の形成案は悪くありません。

 万寿台創作社に建立する金正日同志の銅像と蒼光山大記念碑、将子山記念碑の形成案は、党の結論を得て実現するのがよいでしょう。

 美術作品展示館正面の外壁のモザイク壁画『金剛山の八天女』はすばらしいものです。

 美術作品展示館に万寿台創作社で創作した各ジャンルの美術作品を総合的に展示したとのことですが、展示館のつくりが立派です。

 美術作品展示館に展示された大理石の彫刻『天女』は見事なものです。刺しゅう『金日成花』は長短縫い取り技法を用い、『金正日花』はビロード縫い取り技法を用いたとのことですが、極めて繊細に縫い表わされています。民俗遊戯の彫刻小品が面白くできています。

 美術作品展示館に展示されている高麗青磁はどれを見てもすばらしいものです。『松と鶴の象眼装飾花瓶』も『オオヤマレンゲとツツジの象眼装飾花瓶』もすぐれています。高麗青磁の『どんぶり鉢』『飯茶碗』『砂糖つぼ』『小鉢』などは、祖国を訪問する在日同胞をはじめ海外同胞や外国人がかなり買っていくそうですが結構なことです。高麗青磁は、色と模様、形が際立っていて、昔から世界に名声を博し、人びとから宝物のようにみなされてきました。青磁の開祖は、わが国です。それは最近、黄海南道峰泉郡円山里で発掘された高麗青磁の窯跡と出土した数十種の青磁の遺物を見てもよくわかります。新たに発掘された高麗青磁の窯跡に関する資料は、すでに『労働新聞』やテレビを通じて広く紹介されているはずです。

 林秀卿の肖像写真を写しとった宝石画が上手にできています。

 彼女は、1989年の夏に平壌で開催された第13回世界青年学生祭典に、南朝鮮「全大協」の代表として参加して以来、朝鮮人民はいうまでもなく世界の多くの国の人のあいだに広く知られるようになりました。

 両面刺しゅう『鯉』が際立っています。鯉が泳ぎまわっているかのように生き生きと描かれていて、見ごたえがあります。

 万年画『白頭山』『ミミズク』『雲の上の金剛』も鮮やかです。

 羽毛工芸『子犬』が上手にできています。万寿台創作社を参観しに来る人たちはこれを多く買っていくでしょう。

 透かし彫りの大型陶磁器『万景台生家装飾花瓶』と『白頭密営生家装飾花瓶』も立派な作品です。

 今後、人民の生活水準がもう少し向上すれば、高麗青磁や刺しゅう品などの室内装飾品の需要が高まるでしょう。いま人民は住宅問題について心配してはいませんが、だからといって人民の住宅問題が満足に解決されているとはいえません。平壌市にしても、まだ一間の住宅に住んでいる所帯が残っています。最近、金正日同志は、平壌市民の住宅問題を解決するために、5万所帯の近代的な住宅建設を新たに発起し、来年の4月15日までにそれを完工させる運動を手配し指導しています。5万所帯の住宅が完工すれば、平壌市民は近代的な住宅に住めるようになり、そうなればここに展示されている陶磁器や刺しゅう品などの室内装飾品をたくさん求めるでしょう。万寿台創作社では、高麗青磁をはじめ朝鮮人の好みと生活情緒に合うすばらしい室内装飾品をより多く、より立派につくって人民に販売すべきです。

 万寿台創作社では、アフリカ諸国へ進出して銅像を建立する事業を活発におこなっています。それらの国の大統領は、私に感謝の手紙をよこしています。万寿台創作社では、今後とも外国へ進出して銅像を立派に建ててやるべきです。いま万寿台創作社では、アフリカのある国へ行って銅像を建てる準備を進めていますが、この件はその国の大統領が訪朝したときに、自分と前任大統領たちの銅像を建立してほしいという話があったので、私が承認したのです。

 以後、万寿台創作社を外国人の観光対象に定めるのがよいでしょう。そうすれば、外国人に、朝鮮人民の高尚な美学観とわが国の美術の発展ぶりを広く紹介、宣伝することができます。昨年、万寿台創作社に100余の外国代表団が訪れて参観したというのは結構なことです。

 万寿台創作社では美術展示館を創作社だけでなく、各地方にも設けるべきです。創作社にのみ美術展示館があっては、地方から平壌に来る人が見られるだけで、来られない人は、万寿台創作社でどんな美術作品が創作されているのかわかりません。私も、万寿台創作社でこんなにすばらしい美術作品がつくられていることを、きょうここに来てみてわかったのです。今後、万寿台創作社では、咸興、清津、開城、元山、新義州、南浦などの地方都市に美術展示館を設け、創作社で創作したすぐれた美術作品を全国の人民に見せるべきです。万寿台創作社では随時、創作された美術作品を地方の人たちに見せるため、各道を巡回する美術作品展示会もたびたび開催するのがよいでしょう。

 妙香山に朝鮮式の瓦家を立派に建てて、総合美術展覧館にすべきです。国際親善展覧館の入口か普賢寺の横に総合美術展覧館を設け、朝鮮画をはじめ、万寿台創作社で創作されたすぐれた美術作品を展示すれば、国際親善展覧館を参観しに来る人たちがみな見られるでしょう。今後、重要な対象の建設が終われば、妙香山に総合美術展覧館を建てることにすべきです。

 きょう万寿台創作社をまわってみると、規模がたいへんなものです。延坪が7万余平方メートルなら、大したものです。金正日同志の指導によって、万寿台創作社は、総合的な美術創作基地としての面貌を立派に整えました。金正日同志が万寿台創作社を総合的な美術創作基地に築きあげたのは、チュチェの美術の開花に寄与した大きな功績です。万寿台創作社は党の指導業績を擁護し、いっそう輝かさなければなりません。万寿台創作社では、朝鮮画、宝石画、刺しゅう、工芸、陶磁器など各ジャンルの美術を大いに発展させ、機構定員にこだわることなく美術に才能のある人を受け入れ、代を継いで人民的な美術作品を多く創作すべきです。

 私はきょう、万寿台創作社に来て立派な美術作品を見たことを非常に満足に思います。万寿台創作社の幹部と創作家はその間、党の意図どおり多くの実績をあげました。

 万寿台創作社の幹部と創作家が、今後とも党の指導に忠実に従い、立派に働くよう望みます。

 この機会に、万寿台創作社の幹部および創作家たちと記念撮影をしたいと思います。
出典:サイト「わが民族同士」 参照:『金日成著作集』43巻 

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