金 日 成

増産と節約運動を強力に展開し、社会主義建設で
大高揚を起こそう
 朝鮮労働党中央委員会第6期第17回総会での結語
 −1990年1月5日、9日−


 我々は今回の総会で、人民経済のすべての部門、すべての単位で増産と節約運動をいっそう強力に展開する問題を真剣に討議しました。

 総会で発言したすべての人が、増産と節約運動を強化するという党のスローガンを積極的に支持し、最大限に増産し節約して生産を高い水準で正常化し、社会主義建設で新たな高揚を起こす立派な決意をかためました。私はこれを非常に満足に思います。

 今年の新年の辞でも強調しましたが、1990年代は朝鮮人民がいっそう発奮して力強く前進すべき希望の年代であり、闘争の年代です。1990年代の初年である今年、我々は自力更生の革命精神をもって最大限に増産し節約する運動を大衆あげての運動として力強く展開し、社会主義建設でいま一度革命的大高揚を起こさなければなりません。

 我が党は、すぐる時期にも党中央委員会総会で増産と節約の問題を討議し、党員と勤労者を奮い立たせて社会主義建設で大きな成果を達成しました。

 いまから33年前に開かれた党中央委員会1956年12月総会は、全党員と勤労者を増産と節約運動へ奮い立たせ、社会主義建設で革命的大高揚を起こした歴史的な総会でした。今回の総会も1956年12月総会のように、増産と節約運動によって大高揚の端緒を開く歴史的な総会になるものと思います。

 党中央委員会1956年12月総会が開かれる当時の我が国の情勢は複雑をきわめ、国情は非常に困難でした。当時、新たな人民経済計画の遂行に着手する我々には、資金も労働力も欠乏し、設備や資材も不足していました。そのうえ、アメリカ帝国主義者と李承晩かいらい一味は再び「北進」をすると騒ぎ立てていました。また、党内にひそんでいた反党分派分子は頭をもたげて党に挑戦し、我が党にたいする外部の圧力も甚だしいものでした。しかし、党中央は少しも動揺したり、落胆したりせず、朝鮮人民は革命的気迫にみちていました。

 我が党は人民大衆に依拠して難関を克服することを決心し、12月総会で全党員と勤労者に、増産と節約運動を強力に展開して社会主義建設で一大高揚を起こすよう呼びかけました。

 私は総会後、直ちに、人民大衆を奮起させるために降仙(カンソン)製鋼所を訪れました。当時、主な工場、企業所には、党中央委員会常務委員会の委員を派遣しました。

 降仙製鋼所へ行って責任幹部を集め、来年に9万トンの鋼材を生産できないだろうかと問うと、かれらは分塊圧延機の能力が6万トンなので9万トンは無理だというのでした。私はその日、朝早く降仙製鋼所に出かけたので、睡眠不足であったうえに食事も満足にとっていませんでした。それで工場の支配人と昼食を一緒にしたあと、少し休もうとベッドに横になりましたが、なかなか寝つかれませんでした。なんとしてでも鋼材は増産しなければならないのに、工場の責任幹部とはこれ以上討議しても見込みがなさそうなので、直接労働者に呼びかけることに決心し、かれらを集めるよう指示しました。労働者を集める満足な場所もなくて、倉庫用に建てた建物にドラム缶を入れて火をたかせた後、そこに労働者を集めて演説をしました。私は、労働者に国情と党中央委員会総会の決定を知らせ、いま建設をさらに進め、国防力を強化するにも多くの鋼材が必要なのだが、みなさんが余力を探し出して鋼材を計画より1万トン増産してくれまいかと呼びかけました。すると、かれらはいっせいに立ち上がって万歳を叫び、9万トンの鋼材を生産すると誓いました。降仙の労働者は党の呼びかけにこたえ、圧延機を丹念に補修整備して奮闘し、6万トン能力の分塊圧延機で9万トンどころか12万トンの鋼材を生産する奇跡を生みだしました。

 降仙の労働者の模範を見習い、多くの工場、企業所が、従前の公称能力と基準量をうち破って新たな奇跡と革新を起こしました。金策(キムチェク)製鉄所の労働者は、19万トン能力の製鉄設備をもって27万トンもの銑鉄を生産する革新を起こしました。増産運動の炎のなかで我々の前に横たわった難関は克服され、国の経済事情が緩和され、社会主義建設でチョンリマ(千里馬)の大高揚が起こりました。

 党中央委員会1956年12月総会決定の実行において、楽元(ラクウォン)の労働者も立派な模範を示しました。

 戦時中、数台の工作機械と小さな溶銑炉で手榴弾程度のものを生産していた楽元機械工場の労働者は、12月総会の決定に呼応して自力更生の革命精神を発揮し、最初はトラッククレーンを製作し、次には大型揚水機を立派につくりだしました。かれらがつくった初の大型揚水機は、岐陽(キヤン)潅漑2段揚水場に据えられていますが、いまもフル稼働しています。みなさんは楽元の10名の党員の革命精神を見習うためにも、その揚水機を一度見てくるのがよいと思います。

 楽元の労働者のたたかいぶりを描いた劇映画や長編小説も創作されましたが、かつての楽元の労働者は、革命性が強く、闘争精神が非常に旺盛でした。

 私はいまも、戦争のさなかに楽元機械工場鋳物職場の10名の党員の細胞総会に参加したことが忘れられません。その日は、ちょうど新義州(シンイジュ)市が敵の空襲をうけた日でした。細胞総会での党員の発言を聞き、私が、戦争が終わった後の復興建設のことが心配になるというと、一女性党員が立ち上がって、「首相さま、心配なさらないでください。敵に勝ちさえすれば、復興建設は私たちが立派にやります」というのでした。私は彼女の言葉を聞いて、勝利の確信をいっそう、かためたものです。楽元の10名の党員は党に忠実な人たちでした。

 現在、我々は戦後の困難な時期に比べれば非常に有利な状況のもとで社会主義を建設しています。いまの有利な状況のもとで、我々が、チョンリマ大高揚期のあの精神、あの気迫で奮闘するならば、不可能なことはありません。当時、朝鮮の労働者階級は廃墟のなかから徒手空拳で工場を建て、都市や町村を建設しながら無から有を創造する困難な闘争をしましたが、いまはしっかりした経済的土台に依拠して、それを効果的に利用し、効力を発揮させる張り合いのある闘争をしています。

 朝鮮人民が、刻苦奮闘して築きあげた経済的土台は極めて強力なものです。我々が現在の生産潜在力を効果的に動員し利用するならば、人民の生活をはるかに向上させることができ、富者になれます。ところが現在、人民経済各部門の年産能力を効果的に利用していません。

 現有の生産能力を効果的に利用していないばかりか、生産された動力と原料、資材をかなり浪費しています。

 いま、工場、企業所をフル稼働できず、人民経済各部門で浪費が多いのは、経済活動を指導する幹部に革命性が欠けているのが主な原因です。

 いまの幹部は、以前なんの苦労もせず、党の配慮のもとで幸せに育てられて大学を卒業し、衣食の心配を知らずに暮らしてきたので、大金持ちの息子のように安逸をむさぼり、革命的に活動しようとしていないようです。

 現在の工場をフル稼働させるのは、工場を新しく建設するよりむずかしいことではなく、まして、かつて楽元の労働者がゼロの状態で大型揚水機を製作したように骨のおれることでもありません。生産の正常化で提起されるすべての問題は、幹部が強い革命性をもって努力すれば十分解決できることです。実際上の問題はほかにあるのではなく、政務院の責任幹部と道の責任幹部、工場、企業所の責任幹部の思想にあるのです。

 いま、生産の正常化で石炭不足が問題だといっていますが、それも結局、幹部の革命性の欠如に起因しています。

 人民経済の発展において石炭が非常に重要であるため、私は石炭工業に常に深い関心を払ってきました。毎年1月初に政務院の責任幹部に経済活動の方向を示すとき、なによりも鉄道運輸を先行させ、石炭生産を増大させることを強調し、炭鉱で提起される問題はいつも優先的に解決するようはからいました。数年前、炭鉱に削岩機やキャップ・ランプ、小工具が不足し、壮健な労働力が足りなくて石炭を計画どおり生産できないというので、必要な装備と小工具を購入して供給し、多くの中核党員と除隊軍人を炭鉱に送りました。その後も、炭鉱労働者に食用油が十分に供給されないというので、生産した石炭の一部を輸出し、食用油と砂糖などを輸入して供給するようはからいました。

 それでも、石炭生産には転換がもたらされていません。現在、石炭が十分に供給されないため生産に支障をきたしている工場が少なくありません。最近、炭鉱の実態を調べたところによると、前に買い入れた装備と小工具は管理をおろそかにして少なからず使いものにならなくなり、削岩機も不足しているとのことです。

 しかし、政務院の責任幹部と道党の責任幹部は、石炭が足りないとはいいながらも切羽に入ろうとせず、難問を解決するための積極的な努力もしていません。平安南道には大規模の炭鉱が集中しているのですから、平安南道党委員会の責任幹部は当然、炭鉱労働者の働く切羽に入って石炭生産での難問を調べ、それを解決する仕事の手配を綿密にすべきですが、そうしていません。採掘工業委員会の幹部も切羽に入らないだけでなく、下部から提起される問題もよく解決していません。幹部が石炭生産を増やすため、そのつど切羽に入り、先を見越して対策を立てていたなら、石炭不足で生産に支障をきたすようなことはないはずです。

 石炭問題一つをとってみても、いま、幹部がどれほど革命性と責任感、規律性に欠け、官僚化、貴族化しているかがわかります。幹部は、自分を革命化、労働者階級化するため意識的に努力しなければ、官僚化、貴族化していきます。

 北倉(プクチャン)火力発電連合企業所が、電力生産を正常化せず、石炭を多く浪費しているのもやはり、幹部の革命性の欠如に起因しています。

 北倉火力発電連合企業所では、設備管理を怠ってボイラー管に水垢が付着し、管に損傷をきたしているのを知りながらも適時に補修整備せず、火をたきつづけて多くの石炭を浪費しています。ボイラー管に水垢が付着すれば、いくら石炭をたいても思うように水温が上がらないので、石炭をたいただけの電力を生産することができません。北倉火力発電連合企業所の幹部は、能力どおりの電力を生産できないのがあたかも補修用資材と冷却水の不足のためであるかのようにいっていますが、それは口実にすぎません。企業所の責任幹部が積極的に提起すれば、北倉火力発電連合企業所の設備補修に必要な資材くらいは十分供給することができます。冷却水も問題になることはありません。大同江発電連合企業所の貯水池は満水になっており、寧遠(ニョンウォン)発電所も建設中なので、北倉火力発電連合企業所に冷却水を十分に供給することができます。

 これまで、政務院の責任幹部は、北倉火力発電連合企業所にたいする指導を正しくおこないませんでした。政務院の責任幹部は、北倉火力発電連合企業所に出向いても、発電設備を計画的に補修してフル稼働させる対策を立てたのではなく、石炭が切れれば他に供給することになっている石炭を先に発電所に振り向けるといった、その場しのぎの対策を講じるだけでした。これは、経済幹部の正しい指導方法だとはいえません。

 検察所をはじめ検閲・統制機関では、工場、企業所が、企業管理をおざなりにして生産を正常化せず、労働力と資材を浪費しているのを厳しく統制していません。

 すべての幹部は、強い革命性と責任感を発揮し、あらゆる浪費をなくして生産で新たな高揚を起こすため大いに努力すべきです。

 今回の総会では増産と節約運動をいっそう強力に展開する問題を上程して討議しましたが、結局は今年度の人民経済計画まで審議したことになります。

 我々は今年、社会主義建設をさらに促進し、人民の食・衣・住の問題をより円滑に解決し、人民生活を向上させるうえで決定的な転換をもたらさなければなりません。

 我々が社会主義建設で成果をあげれば、帝国主義者の反社会主義策動が強化されるいま、世界の人民に社会主義の優越性と生命力をはっきり示し、南朝鮮人民の闘争を励まして祖国統一の歴史的偉業を促進することができます。

 私は今年の新年の辞で、軍事境界線南側地域のコンクリート障壁を取り払って自由往来を実現し、北と南が相互に全面開放することを主張しました。窮地に立たされた南朝鮮当局者は、いま南側にはコンクリート障壁はないと強弁しています。いくらかれらがないといっても、厳然たる事実をおおい隠すことはできません。いま世界各国の新聞、放送、通信が、朝鮮の北と南を遮断しているコンクリート障壁について暴露しており、世界の進歩的人民はコンクリート障壁を崩せという我々の正当な主張を積極的に支持しています。

 昨年訪朝したイタリア国会下院外交委員会の委員長がヨーロッパのある国で分断の壁を崩していることを話したので、私はかれに、我が国にも軍事境界線の南側地域にコンクリート障壁がある、我々はこれからコンクリート障壁を取り払わせるつもりだ、我が国に来たついでにコンクリート障壁を見ていくようにと話しました。かれは、軍事境界線の南側地域にあるコンクリート障壁をじかに見て帰りました。かれは、私が今年の新年の辞で軍事境界線南側地域のコンクリート障壁を取り払って北南間の自由往来を実現し、相互に全面開放しようと主張したことについて、極めて正当な提案だと積極的に支持しています。

 南朝鮮当局者は、いまはコンクリート障壁を取り払おうとしていませんが、やがては必ず取り払わざるをえないでしょう。こんにち南朝鮮では、分断の障壁を取り払って北南間の自由往来を実現し、祖国を統一しょうという気運がいつにもまして高まっています。昨年、南朝鮮の愛国的民主人士文益煥(ムンイクファン)牧師と「全大協」代表の林秀卿(リムスギョン)が平壌を訪問したことは、南朝鮮人民の統一熱望がどれほど高まっているかを如実に示しています。林秀卿は分断の障壁のため遠回りして平壌に来ましたが、帰るときは板門店を通っていきました。彼女は、たとえ死ぬことがあっても必ず板門店を通って帰るという決心をまげませんでした。我が党は、祖国統一を熱望する林秀卿の愛国的壮挙を高く評価して『統一の花』と題する映画までつくりました。林秀卿が帰るや否や、南朝鮮の当局者は彼女を投獄しました。南朝鮮当局者がいくら弾圧しても、自主、民主、祖国統一をめざす南朝鮮人民の闘争を阻むことはできません。南朝鮮人民のあいだには、文益煥牧師と林秀卿のように祖国統一のために一命を賭してたたかおうとする人の隊伍は日ましに増えることでしょう。そうなればなるほど、我々は社会主義建設をさらに力強く進めて、我が国社会主義制度の優越性を誇示しなければなりません。

 人民経済のすべての部門で生産潜在力を残らず利用して生産を極力増大させるべきです。

 今年我々は、電力と石炭、セメントをはじめ、社会主義経済建設で達成すべき10大生産目標を示しましたが、これは非常に立派な目標であり、十分実現できる目標です。

 電力を例にとってみても、現在我が国にそなわっている発電能力は少なくないので、火力発電所をフル稼働させ、水力発電所の電力生産を正常化するならば、発電所をさらに建設しなくても党が示した電力生産目標を達成することができます。それゆえ、火力発電所の発電設備を適時に、整備、補強し、フル稼働させて計画どおり電力を生産しなければなりません。

 今年、党の示した織物生産目標も問題なく達成することができます。今年度に生産される化学繊維をもっては、織物生産目標を達成しても繊維の予備が生まれます。繊維の予備はこのほかにもあります。現在、ヨーロッパ諸国では、保温材に用いる石綿に発ガン性物質があるといって、石綿のかわりにビナロンを利用しています。そのため、国際市場ではビナロンの需要が増大しています。ビナロンを1トン輸出すれば、約2トンのテトロンを輸入することができるとのことです。今年、2.8ビナロン連合企業所と順川(スンチョン)ビナロン連合企業所で生産されるビナロンのうち、1万トンだけ輸出しても約2万トンのテトロンを輸入することができます。こうなれば、今年さらに1万トンの化学繊維の予備が得られることになります。

 今年、党の示した織物生産目標の達成において、紡織能力は問題ありません。すでに造成されている紡織能力だけでも、党の示した織物生産目標を十分達成することができます。

 経済幹部は自信をもって、今年、織物生産目標を達成する経済組織活動に綿密に取り組まなければなりません。

 なによりもまず、2.8ビナロン連合企業所のビナロン生産を正常化すべきです。順川ビナロン連合企業所は操業して間もないので、生産を正常化できないかもしれませんが、2.8ビナロン連合企業所は生産を正常化できない理由がありません。2.8ビナロン連合企業所に石炭とメタノールを円滑に供給しなければなりません。化学繊維を生産する工場には電力も十分に供給すべきです。

 今年の生産目標のうちで最も案じられるのは肥料生産問題です。

 現在、肥料が計画どおり生産されていません。興南(フンナム)肥料連合企業所の肥料生産が日程表どおり進められていません。そのため、肥料年度の肥料生産計画の遂行がむずかしくなっています。肥料工場では、いまから5月末までの5か月間に肥料年度の肥料生産計画を完遂するため奮闘しなければなりません。

 人民経済のすべての部門、すべての単位で生産的高揚を起こすためには、採掘工業と輸送を確固と先行させなければなりません。

 採掘工業と輸送が先行してこそ、燃料、動力、鉄鋼材の問題が解決され、人民経済各部門での生産と建設を力強く推進することができます。

 石炭の増産に大きな力を入れるべきです。

 石炭工業部門では、党の示した石炭の日産課題を毎日間違いなく遂行しなければなりません。そうしてこそ、火力発電所と工場、企業所に、石炭を十分に供給することができます。

 石炭生産を増やすためには、炭鉱で掘進とはく土を先行させて予備炭床を十分に確保しなければなりません。いまなお少なからぬ炭鉱では、掘進を先行させるという党の方針を実行していません。今年に入って石炭生産が増えていますが、昨年の12月には多くの炭鉱で炭床確保のため石炭を満足に生産することができませんでした。价川(ケチョン)地区炭鉱連合企業所でも掘進の先行を正常化しなかったため、炭床が底をついて昨年の第4・四半期に炭床確保のため採炭に支障をきたしたとのことです。

 炭鉱では少なくとも2、3か月分の予備炭床を確保していなければなりません。これから炭鉱では、掘進に力を入れて予備炭床を十分に確保しなければなりません。     
 石炭生産を増やすためには、採掘設備を十分に提供し、部品の需要を充足させなければなりません。機械工場では、削岩機とコンプレッサー、炭車などの採掘設備を適時に生産して炭鉱に供給し、炭鉱では必要な部品を自力で生産して使うべきです。

 全国が、石炭工業部門を力強く支援しなければなりません。

 輸送問題を解決すべきです。

 輸送のネックを解消するためには、なによりもまず、鉄道運輸を発展させなければなりません。

 いま、鉄道でなによりも難題となっているのは貨車の不足です。鉄道運輸部門では、貨車不足のため、より多くの貨物を輸送できないありさまです。今後、人民経済各部門で生産が増大すれば、鉄道輸送のネックはさらに深刻になるでしょう。

 鉄道輸送のネックを解消するためには、鉄道運輸部門に鉄鋼材を供給して貨車の生産を増やさなければなりません。私は数年前から機会あるたびに、鉄道運輸部門に毎月1万トンの鉄鋼材を供給するよう強調しています。ところが幹部は、鉄道運輸の重要性については多く口にしながらも、鉄鋼材を供給して貨車の生産を増やそうとはしていません。鉄道運輸部門に毎月1万トンの鉄鋼材を供給するのはむずかしいことでもありません。毎月1万トンの鉄鋼材を供給するとしても1年に12万トンなら間に合うはずです。鋼鉄の年間生産量は数100万トンなのですから、鉄道運輸部門に12万トンの鉄鋼材を供給するのは問題にもなりません。毎月1万トンの鉄鋼材を無条件供給しなければなりません。

 鉄道輸送のネックを解消するためには、鉄道の重量化を実現しなければなりません。

 鉄道の重量化を実現するのは、現在の鉄道輸送のネックを解消する最も合理的な方途です。鉄道の重量化を実現すれば、複線鉄道を敷設しなくても増大する輸送の需要を十分に充足させることができます。

 鉄道を重量化するためには、100トン積み貨車を量産し、線路を補強し、レールを重量レールにかえなければなりません。

 鉄道部長が提起したとおり、清津(チョンジン)−吉州(キルチュ)間の複合線鉄道の建設は中止し、そこに敷く計画だった重量レールを貨物通過能力が最も緊張している新成川(シンソンチョン)−高原(コウォン)間の鉄道に敷くべきです。新成川−高原間のレールを重量レールにかえれば、鉄道輸送のネックが一つ解消され、国の全般的輸送需要を十分充足させることができます。

 輸送のネックを解消するためには、鉄道とトラック、船の連携輸送を発展させなければなりません。

 いま炭鉱と鉱山には、石炭と鉱石が積まれていながらも、トラックがなくて運び出せずにいます。

 勝利(スンリ)自動車総合工場には「自主(チャジュ)64」号トラックの生産能力が十分にととのっているのですから、鉄鋼材を提供すれば増産することができます。勝利自動車総合工場に鉄鋼材を提供して「自主64」号トラックの量産をはかるべきです。

 農業部門では、今年の農業生産でいま一度新たな高揚を起こして、党の示した穀物生産目標を必ず達成しなければなりません。

 人民の食・衣・住の問題を社会主義的要求に即応して円滑に解決するうえで最も重要なのは、食の問題です。私がいつもいうことですが、空腹とは妥協できません。まして、周辺の情勢が複雑なときに、人民にひもじい思いをさせてはなりません。

 我々は今年、穀物を計画どおり生産して、人民生活第一主義の原則を貫かなければなりません。

 今年、奮闘して穀物を計画どおり生産すれば、家畜用の飼料も円滑に供給することができます。そうすれば、ご飯を腹いっぱい食べ、肉も食べることができるでしょう。

 すでに道別の穀物生産目標を定めたのですから、各道はそれを達成するために奮闘しなければなりません。

 穀物の収量を高めるためにはなによりもまず、潅漑工事に力を入れて用水の問題を円滑に解決しなければなりません。

 これまで我が国では多くの潅漑工事をしましたが、まだ用水は不足しています。用水の問題を円滑に解決せずには、安定した農業を営むことも、ヘクタール当たりの収量を高めることも不可能です。

 昨年の営農経験からしても、用水の問題を解決するのは極めて重要です。昨年、少なからぬ協同農場ではヘクタール当たり8トン以上の穀物を生産しましたが、その秘訣の一つは用水を十分に使ったところにあります。用水が多ければ、ヘクタール当たり8トンどころか、10トン以上も生産できます。

 現在、世界の各地域で日照りがつづき農作を台無しにしており、多くの国が食糧難に見舞われています。通報によれば、日照りはこれからも長引くことが予見されています。我々は潅漑工事を大々的におこなって、いかなる日照りかつづいても安定した多収穫がおさめられるようにしなければなりません。農業の水利化を高い水準で完成しておけば、かえって日照りが農作に有利になるかもしれません。

 農作に必要な用水の問題を円滑に解決するためには、各道が進めている水路工事を早急に終えなければなりません。いま、黄海南道と黄海北道、平安南道と平安北道など西海岸の各道で水路工事を大々的に進めていますが、水路の総延長距離は400キロメートルに達します。この水路工事が完成すれば、西海岸地帯の用水問題は完全に解決されます。

 昨年、延白(ヨンペク)平野では、用水不足で粗米のヘクタール当たり収量を高めることができませんでした。延白平野は、我が国で指折りの平野の一つです。我が国の大きな平野としては、湖南(ホナム)平野と載寧(チェリョン)平野、延白平野、ヨルトゥ三千里が原をあげることができます。延白平野に用水を十分に送れば、そこでも文徳(ムンドク)郡のようにヘクタール当たり8トン以上の籾米を生産することができるでしょう。

 いま、西海岸地区の各道が進めている水路工事は、なんとしてでも4月15日以前に終えなければなりません。大きな水路工事をするだけでは意味がありません。用水を田畑まで導入できるように、小水路も設けるべきです。

 水路工事に必要な設備と資材は、無条件適時に供給しなければなりません。

 いま、セメントと鋼材が適時に供給されないので、水路工事が速く進められていません。水路工事に必要なセメントと鋼材はそれほどの量でもないのに、それを適時に供給しないのを見ると、幹部が米の貴さをよく知らないようです。幹部が粥をすすり、何日か飢えてみたりすれば、米の貴さがわかるでしょう。幹部は、水路工事に関心を払い、必要な設備と資材を優先的に供給しなければなりません。

 今回の総会参加者が、水路工事に必要な設備と資材を間違いなく生産、供給すると決意したのですから、必ずそのとおり実行しなければなりません。党中央委員会総会で決意したことが、決して口先だけの決意になってはなりません。党中央委員会総会で実行すると決意すれば、それはとりもなおきず党の決定となります。

 交通委員会では、水路工事に必要な設備と資材を適時に輸送する対策を立てるべきです。

 当該の機関、企業所は、農業の水利化に必要な揚水機と変圧器、モーターを間違いなく生産、供給し、揚水用動力に使う電力も十分に供給しなければなりません。

 ヘクタール当たりの穀物収量を高めるためにはまた、肥料を多くほどこさなければなりません。

 田畑に潅水システムをうち立てて用水を十分に供給する状況のもとで、肥料を多くほどこせば、それだけ穀物の収量が高まるものです。

 今年の肥料供給は一律にせず、水利化の実現程度によって2つの部類に分けるべきです。水利化のゆきとどいた協同農場には、ヘクタール当たり窒素肥料1トン、燐酸肥料1.2トン、カリ肥料200キログラムを供給し、水利化のゆきとどいていない協同農場にはヘクタール当たり窒素肥料800キログラムを基準にして、各種の肥料がほどこせるように供給すべきです。窒素肥料の施肥量と穀物収量の比率は1対10ですから、水利化のゆきとどいている協同農場ではヘクタール当たり窒素肥料を1トンほどこせば10トンの穀物を生産することができるでしょう。窒素肥料をヘクタール当たり1トンほどこして8、9トンの穀物を年産しても結構です。

 農村に農薬、フィルムなどの営農物資を計画どおり供給し、トラクターも多く供給しなければなりません。

 急を要する苗床除草剤からまず早急に輸入して供給すべきです。

 現在、農村では、故障したトラクターを適時に修理できないので、稼働できないのが少なくありません。トラクター工場と農業機械工場に鋼材を供給して、トラクターとその部品を多く生産して協同農場に供給すべきです。

 果物の生産を増やすことが重要です。今年、果物の生産増大をはかる積極的な対策を立てなければなりません。

 都市と農村に近代的な住宅を多く建設すべきです。

 平壌市に5万所帯の住宅を建設しなければなりません。そうすれば、人民の住宅問題は円滑に解決されるでしょう。平壌市では光復通りと青春通りを建設した、その意気、その気概で、1991年までに5万所帯の住宅を建設するために奮闘しなければなりません。

 新義州、恵山(ヘサン)、咸興(ハムフン)、江界(カンゲ)などの道都と各地方でも、住宅建設を力強く推進すべきです。

 朝鮮人民の誰もが、立派な服を着、白米のご飯に肉汁を食べ、かわら家で暮らせるようにするのが我が党の構想です。これは、決して空想でも幻想でもありません。我々が織物と穀物の生産目標を達成し、住宅を多く建設すれば、我が党のこの構想を実現することができます。

 人民経済のすべての部門、すべての単位で浪費をなくし、より多く節約しなければなりません。

 人民経済のすべての部門、すべての単位で資材を15〜30%節約する目標を立てて節約運動を力強く展開すべきです。

 現在、我が国では、従業員一人当たりの生産高が高いとはいえず、多くの労働力を浪費しています。

 労働力の管理を改善し、技術革命を強力に推進して、2、3年内に工業部門従業員一人当たりの生産高は1万5000ウォン、建設部門従業員一人当たりの建設組立高は6000ウォン以上に高めなければなりません。

 今年、節約運動を力強くくりひろげ、財政・銀行機関でウォンによる統制を強め、計画より原価を工業部門では2%、基本建設部門では3%以上引き下げ、流通費を5%以上減らし、経費予算資金を10%以上節約しなければなりません。これだけでも大きな余財を得ることになります。

 人民経済のすべての部門、すべての単位では、増産、節約の予備をより多く探し出さなければなりません。

 今年、社会主義財産の総調査確認をおこなわなければなりません。政務院と当該機関では今年に社会主義財産の総調査確認をおこなって、人民経済各部門の財産を正確に調査登録し、国家財産をよりきちょうめんに管理し、効果的に利用するようにしなければなりません。

 これから20世紀の最後の10年間を立派にたたかうことが極めて重要です。全人民が、最大限に増産し節約するという党の戦闘的呼びかけにこたえ、90年代の進軍に拍車をかけて第3次7か年計画を完遂し、つづいて新たな展望計画をもう一度遂行すれば、我々は社会主義の高峰をきわめることになるでしょう。そうなれば、社会主義が、政治、経済、文化のすべての分野で資本主義とは比べようもなくすぐれていることがいっそう明白になるでしょう。その時になって我々は、朝鮮人民が社会主義の道を選び、その道を前進してきたことが至極正当であったことをはっきりと結論づけることができるでしょう。

 社会主義の高峰をきわめるためには、共産主義の2つの要塞、思想的・政治的要塞と物質的要塞をともに占領する闘争をひきつづき力強く展開しなければなりません。

 我が党はこれまで、思想的・政治的要塞と物質的要塞の占領において思想的・政治的要塞の占領を先行させる原則を堅持し、この事業ですでに大きな成果を達成しました。我が国では、全党が思想、意志のうえでかたく団結しており、全人民が党のまわりにかたく団結しています。そのため、我が国は、政治的に安定しており、すべての面で速やかな発展を遂げています。

 思想的・政治的要塞と物質的要塞をともに成功裏に占領する根本的方途は、思想革命、技術革命、文化革命を力強く推進することです。

 我々は社会主義建設において、思想、技術、文化の三大革命路線を一貫して堅持しています。我が党の3大革命路線は、いかなる偏向や紆余曲折もなしに社会主義を成功裏に建設することのできる極めて正当な路線です。我々が革命と建設でこれまで達成した成果にもとづいて3大革命路線をひきつづき堅持していくならば、今後10年内に政治的・思想的要塞と物質的要塞の占領において決定的な前進を遂げることができるでしょう。

 我々はなによりもまず、思想革命を力強く推進して、社会の全構成員を共産主義的人間につくりあげなければなりません。

 社会の全構成員を共産主義的人間に育てるためには、かれらを革命化、労働者階級化しなければなりません。我々は、党員と勤労者のあいだでチュチェ思想教育と共産主義教育を強化して、かれらすべてが「一人はみんなのために、みんなは一人のために」という集団主義的原則にもとづいて働き、生活するようにしなければなりません。

 革命化、労働者階級化は、誰をとわず必要ですが、特に幹部が先にしなければなりません。幹部が、自分自身を革命化、労働者階級化せず、他人にばかり革命化・労働者階級化せよと要求してはなりません。幹部はまず、自分自身を革命化、労働者階級化してこそ、社会の全構成員の革命化・労働者階級化を正しく指導することができます。

 幹部は革命課題の遂行に献身することにより、革命的実践を通じてみずからを革命化・労働者階級化しなければなりません。幹部は特に、生産者大衆のなかに深く入ってみずからをたえず鍛えなければなりません。党は、すべての活動を抗日遊撃隊式にしよう、金日成的活動方法を見習おう、という立派なスローガンを示しましたが、幹部がそれを実践しなければ何の役にも立ちません。幹部は、抗日遊撃隊式に工場、企業所に出かけて労働者を革命課題の遂行へ奮起させ、その過程で労働者階級の革命精神を学ばなければなりません。

 技術革命を力強く推進して、すべての勤労者を骨のおれる労働から完全に解放し、文化革命を推進して旧社会の文化的後進性を徹底的になくし、社会主義・共産主義文化を創造しなければなりません。

 我々は、これまで文化革命の遂行に大きな力を入れ、文化建設のすべての分野で輝かしい成果をおさめました。我々は現在、135万のインテリ大集団を擁しています。これは高等教育を受けた人が人口14人当たり一人の割合になることを意味します。これは世界的に極めて高い水準です。解放直後には、わずか数十名にすぎなかった技術者、専門家の隊伍がこんにち135万に増えたのは朝鮮人民の大きな誇りであり、これは我々が社会主義建設を成功裏におし進める大切な元手となります。遠からずして、我が国の技術者、専門家の隊伍は200万になるでしょう。

 我々は自力更生、刻苦奮闘の革命精神をもち、我々の方式で社会主義を建設しなければなりません。

 これまで我々は、社会主義建設で他人の真似をしたり、助けを受けたりしたことがありません。我々は社会主義建設で提起されるすべての問題を自主的立場と創造的立場に立って我々の方式で解決し、自力更生、刻苦奮闘の革命精神を発揮し、戦後の廃墟のなかからこんにちのような社会主義強国をうち立てました。西海(ソヘ)閘門と順川(スンチョン)ビナロン連合企業所、光復通りなど全国各地に建設された労働党時代の数多くの記念碑的建造物は、自力更生の偉大な所産です。朝鮮人民が自力更生して数多くの記念碑的建造物を建てたことについて、外国人は驚嘆しており、資本家でさえ非常に感心しています。昨年、共和国北半部を訪ねた南朝鮮のある資本家は、光復通りと順川ビナロン連合企業所の建設現場を参観して帰っては、建設では北朝鮮にかなわないといいました。資本主義国のある財閥も訪朝したとき、西海閘門を見て非常に驚き、同行した我が国の幹部に、自分の考えではこの閘門の建設におよそ70億ドルはかかったと思えるが、そんなに多額の資金をどこから借りて建設したのか、朝鮮が望むなら10億ドルぐらい貸してもいいといったそうです。同行の幹部が、外国の借款を受けてではなく、我々自身の力で閘門を建設したのだ、あなたが2000億ドルぐらい貸すというなら話は別だが、10億ドルだったら要らないというと、かれは何もいえなかったそうです。資本家から融資を受けて建設するのは好ましくありません。資本家の世話になって多くの負債をかかえると、しまいにはかれらに従属させられるようになります。我々はあくまでも自力更生を基本としなければなりません。

 我々はチュチェ思想の旗、3大革命の旗を高くかかげ、自力更生、刻苦奮闘の革命精神を発揮して、継続革新、継続前進することによって、社会主義の完全な勝利を促進しなければなりません。

 このたび、極めて適切な時期に、党中央委員会総会で増産と節約運動を強化する問題を討議したと思います。総会で討議して決定書を採択するのにとどまっては意味がありません。仕事の手配を綿密にして、総会の決定を確実に実行しなければなりません。

 かつて、1956年12月総会の決定を受けとめて、幹部が下部に出向き、党員と勤労者をチョンリマの大高揚へと奮起させたように、今回も幹部が総会の決定を受けとめて下部に出向き、党員と勤労者を「90年代の速度」を創造するたたかいに奮起させなければなりません。

 私は、すべての党員と勤労者が、党の戦闘的呼びかけに積極的に呼応し、より多く増産し、より多く節約する運動を力強く展開し、社会主義建設でいま一度革命的大高揚を起こすものと確信します。

出典:『金日成著作集』42巻


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