金 日 成

朝鮮半島の非核化とアジア・太平洋地域の
平和と安全に関する国際会議の参加者に送る祝賀文
−1988年10月18日− 
 
 私は、世界平和評議会の主催のもとにわが国の首都平壌で開かれた朝鮮半島の非核化とアジア・太平洋地域の平和と安全に関する国際会議を熱烈に祝い、会議に参加した各国の代表と賓客の皆さんにあたたかいあいさつを送ります。

 あなたがたの今回の平壌会合は、現在、国際政治分野で解決がまたれる切実な問題を討議することになるため、朝鮮人民はいうまでもなく、アジアと世界の平和愛好人民の大きな関心を集めています。

 こんにち人類は、平和で繁栄する新世界を建設する途上で新しい時期を迎えています。世界平和勢力の頑強な闘争と積極的な努力により、長いあいだ対決と冷戦の雰囲気が支配していた国際関係では、しだいに緩和の局面が開かれており、これは人々に平和な未来への希望をいだかせています。

 しかし、帝国主義反動勢力は、人類共同の繁栄を志向する時代の流れに逆行し、依然として力の政策を追求して経済の軍事化と軍備競争に拍車をかけ、社会主義諸国に反対し、発展途上諸国の人民を抑圧、搾取するための侵略と略奪策動をさらに強化しています。特にアメリカは、アジア・太平洋地域に対する支配権と統制権を確立せんとする野望のもとに、この地域に膨大な核兵力を展開し、諸人民を軍事的に脅迫しており、そのため、アジア・太平洋地域では、国家と民族の自主権が侵害され、世界の平和と安全を脅かす複雑な情勢が生じています。

 アジア・太平洋地域の情勢を好転させるのは、こんにち全般的国際情勢の緩和過程を促進し、世界の強固な平和を保障するうえで提起される緊迫した問題であり、朝鮮半島の緊張を緩和し平和と安全を保障することは、アジア・太平洋地域の情勢を好転させる闘いの重要な一環をなしています。

 いまアメリカは、彼らの侵略的なアジア・太平洋戦略にもとづき南朝鮮を恒久的な植民地軍事基地として掌握するための「二つの朝鮮」策動を強化する一方、南朝鮮に核兵器と各種の近代的戦争手段を大々的に持ち込み、南朝鮮とその周辺でチーム・スピリット合同軍事演習をはじめ、大規模の戦争演習を頻繁におこなっています。アメリカは、いわゆる「オリンピック安全保障」の口実のもとに、わが国周辺の海域に集結させた攻撃型空母戦団をオリンピック競技が終わったいまになっても引き上げさせず、挑発的な軍事騒動をひきつづき繰り広げています。

 アメリカの侵略と戦争策動により、わが国には、いつ戦争が起こるかわからない緊張した情勢が生じています。

 いまのように膨大な核兵器が南朝鮮に展開されている状況のもとで朝鮮で戦争が勃発すれば、それは、すぐさま朝鮮半島の範囲を越えてアジア・太平洋地域はもちろん、世界的範囲に拡大し、そうなれば世界数億万の人民が核の惨禍を免れなくなるでしょう。

 朝鮮における核戦争の危険を取り除き平和を保障するためには、南朝鮮からアメリカ軍と核兵器を撤収させ、朝鮮半島の非核化を実現し、朝鮮の統一問題を平和的に解決しなければなりません。

 朝鮮労働党と朝鮮民主主義人民共和国政府は、わが民族の運命と世界平和偉業への崇高な使命感から、朝鮮半島の緊張を緩和し、朝鮮の統一問題を平和的に解決する合理的な提案を示し、その実現のために誠意ある努力を尽くしています。

 我々は、自主、平和統一、民族大団結の3大原則にもとづいて祖国統一問題を解決する現実的方途として、中立、非同盟の高麗民主連邦共和国を創立するという提案を示しました。我々は、ここ数年だけでも、我々とアメリカとのあいだに平和協定を締結し、北と南のあいだに不可侵宣言を採択する提案と朝鮮半島を非核地帯・平和地帯にする提案、多国的軍縮会談を開催する提案、北南国会連席会議を招集する提案など、数多くの平和提案を示しました。しかし、我々の公明正大な提案は、アメリカと南朝鮮当局者の侵略策動と分裂主義的立場のため、どれ一つ実現されていません。

 いま南朝鮮の青年学生と広範な人民は、アメリカ帝国主義の支配と干渉が持続するかぎり、平和と民主主義と社会的変革の念願は実現できないということを自覚し、反米自主化、反ファッショ民主化、祖国統一をめざす闘いに果敢に立ち上がっています。

 アメリカは、南朝鮮に膨大な侵略兵力を駐留させるいかなる理由も口実もなく、まして、非核国である我々と対峙して南朝鮮に核兵器を持ち込み、そこを核基地にするなんの名分もありません。

 南朝鮮に配備された核兵器が他の社会主義諸国を的にしたものであるなら、ソ米間に核兵器一部撤廃の合意がなされている状況のもとで、アメリカは当然、南朝鮮からも核兵器を撤去しなければなりません。

 南朝鮮からアメリカ軍と核兵器を撤収させ、朝鮮半島の平和を保障する問題は、全朝鮮人民と世界の広範な平和勢力が共同で闘うとき、成功裏に解決することができます。

 私はこの機会をかりて、朝鮮の平和と平和的統一をめざす朝鮮人民の正当な闘いを積極的に支持声援している世界各国の政府と平和愛好人民に深い謝意を表します。

 私は今回の平壌国際会議が、朝鮮問題の平和的解決をめざす国際世論をいっそう強く呼び起こし、朝鮮半島とアジア・太平洋地域全般の情勢を好転させ、この地域の平和と安全を保障するための共同偉業遂行における世界平和愛好勢力の戦闘的連帯の強化に貢献する重要な契機になるものと信じます。

 戦争を防止し平和を守る闘争は、人類を核の惨禍から救い、自主的で平和な新しい世界を建設するための聖なる偉業であり、歴史発展に逆行する現代帝国主義は平和と自主性を擁護する世界各国人民の共同の敵であります。

 現代は、世界の進歩的人民とすべての平和愛好勢力がかたく団結し、帝国主義戦争勢力に反対する共同闘争にいっそう果敢に立ち上がることを求めています。

 世界の進歩的人民と広範な平和愛好勢力が強力な国際的連携を結び、反帝・自主の旗のもとにいたるところで反戦・反核・平和運動を力強く展開するならば、帝国主義者の侵略と戦争政策を阻止、破綻させ、世界の平和と安全を守ることができるでしょう。

 軍備競争を中止して軍縮を実現し、他国にある侵略軍隊と侵略的軍事基地を撤去させて世界の各地域に非核地帯・平和地帯を設置するのは、現段階の平和運動で提起される重要な問題です。

 我々は、国際緊張を緩和し、核戦争を防止し、軍縮を実現するための社会主義諸国をはじめ、平和愛好諸国の建設的な発起と努力を積極的に支持し、世界の各地域に非核地帯・平和地帯を設置するための各国政府と人民の闘いにかたい連帯を送ります。

 朝鮮人民は今後とも、朝鮮半島とアジア・太平洋地域から侵略軍隊と核兵器を撤収させ、非核地帯・平和地帯を設置するため積極的に闘い、自主、平和、親善の理念のもとに社会主義諸国と非同盟諸国人民、世界のすべての平和愛好人民とかたく団結して、核兵器がなく侵略と戦争のない、自主的で平和な新しい世界を建設するためにあらゆる努力を尽くすでありましょう。

 私は、朝鮮半島の非核化とアジア・太平洋地域の平和と安全に関する国際会議が、人類の平和偉業に献身している皆さんの共同の努力によって、朝鮮人民と世界平和愛好人民の期待と念願どおり成功裏に進められ、立派な結実をもたらすよう望みます。
出典:『金日成著作集』41巻 

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