金 日 成

チュチェの革命の旗を固守し、社会主義建設を
力強くおし進めるために
朝鮮労働党中央委員会第6期第13回総会での結語 
1988年3月7〜11日


 わが国周辺の情勢と社会主義経済建設を促進する課題について述べようと思います。

 わが国は、地理的に大国に囲まれている半島の国です。歴史をふりかえってみれば、わが国は大国の影響を多く受けました。我々の時代にいたっても一部の人のあいだには、周辺諸国が何かをするとそれをのぞき見し、気を引かれる傾向があらわれています。それで、私は主体性を強化し自主性を堅持するよういつも強調しているのです。

 国によって、その環境と具体的実情はそれぞれ異なります。個々の国の革命については、その国の党が責任を負います。ある国の党が新しい政策を提示したとすれば、それはその国に必要であったからでしょう。我々は、自国の自主性を守るだけでなく、他国の自主性も尊重しなければなりません。我々は、他の国の党が実施する政策を尊重すべきです。

 しかし、我々は、他の国がすることをそのとおり真似る必要はありません。我々は、あくまでも、わが国の具体的現実から出発すべきです。もし、我々にこれまで誤ったことがあるならば、検討して改めるのが当然ですが、誤ったこともないのに他の国が何かを改めるからと、我々もそうせねばならないというものではありません。

 我々は、これまで主体的立場にしっかり立ち、わが国の具体的現実に即してすべての政策を実施してきたし、それは、すべて立派な結実をもたらしました。

 こんにち、わが党のように組織的、思想的に統一団結し、ゆるみのない党はありません。わが党は、最も有力で革命性の強い党であります。わが党は、革命伝統を正しく継承し、党の革命的路線を一貫して堅持しています。

 昔は王朝がかわるたびに政策が変わりました。新しい君主や皇帝が王座につけば新しい政策をうちだしたものです。しかし、革命家はそうする必要がありません。革命家は、指導者かかわるとしてもひきつづき共産主義に向かって進まなければならないのですから、それまでの革命的な路線を堅持すべきです。

 わが党が創立当初からこんにちにいたるまで創造し決定したことは、すべて正当なものです。それゆえ、わが党は、これまでのものをすべて継承しています。

 大衆指導方法の問題をとってみても、わが党は既に久しい前からチョンサンリ(青山里)精神、チョンサンリ方法の要求どおり、幹部が常に大衆のなかに入り、大衆の声を聞いて活動してきました。わが党の創造したチョンサンリ方法は最もすぐれた活動方法です。

 わが党の創造したテアン(大安)の事業体系も、最もすぐれた経済管理システムだといえます。テアンの事業体系は、提起される問題を大衆と協議し、大衆の意見をまとめて党委員会で討議、決定した後、支配人は行政権をもってそれを実行し、党書記は、政治的方法によって大衆を奮い起こす活動システムです。

 テアンの事業体系ではまた、党委員会の指導のもとに職業同盟組織などの勤労者団体組織が党委員会の決定の実行に大衆を積極的に奮い起こすようになっています。テアンの事業体系にまさる活動体系、経済管理システムはないといえます。

 大衆指導においてまだ難があるとすれば、それは、幹部が党の大衆活動方法と指導体系の要求を完全に体得せず、それを実生活に立派に具現していないことです。ですから、わが党の創造した大衆指導体系と大衆との活動方法についても、かれこれ言うことはなく、経済管理システムについても云々することはありません。我々は、わが党の創造したチョンサンリ精神、チョンサンリ方法とテアンの事業体系をひきつづき固守しなければなりません。

 私が既に何回も強調していることですが、我々が提示した農村テーゼにまさる社会主義農村建設綱領はありません。社会主義農村問題に関するテーゼには、農村において思想革命、技術革命、文化革命を遂行する問題をはじめ、農村問題解決の方途がすべて明示されています。農村テーゼに提示された技術革命の課題に従い、農村における水利化、電化、機械化、化学化を実現すれば、農民を骨のおれる労働から解放し、農業生産を速やかに伸ばすことができます。

 わが党の社会主義農村問題に関するテーゼがいかに正当であるかということは、既に実生活によって明白に検証されています。我々は、わが党の農村テーゼを高くかかげ、協同経営制度をさらに強化し、しだいに全人民所有の大農場制に移行する方向にひきつづき進むべきです。

 わが党が偉大であるばかりか、わが党の指導を受ける朝鮮民主主義人民共和国は、また実に栄えある共和国です。わが共和国は、思想における主体、政治における自主、経済における自立、国防における自衛の革命路線を立派に具現しています。

 朝鮮人民もやはり偉大な人民です。朝鮮人民のように組織的、思想的にかたく団結した人民は世界のどこにもありません。

 わが国では、党の指導のもとに党員はもちろん、全人民が組織生活をしています。子どもは託児所と幼稚園で集団生活をしており、少年は少年団組織で、青年は社労青組織で、労働者は職業同盟組織で、農民は農業勤労者同盟組織で、女性は女性同盟組織で組織生活をしています。わが国ではまた、誰もが学習をしています。幹部は、党学習体系と講演体系に網羅されて毎週集団的に学習し、幹部だけでなく、全党、全人民、全軍が、すべて学習しています。

 我々が樹立したわが国の社会主義制度についていうならば、それは最もすぐれた社会制度です。

 わが国には、職業がなくてさまよい歩く失業者は一人もいません。わが国では、国家がすべての勤労者に食・衣・住の条件をいっさい保障しており、誰を問わず、この世に生まれたときから食の権利を保障されています。すべての人に食の権利を保障する我々の食糧供給制は、重要な共産主義的施策です。

 わが国では、誰もが学ぶ権利をもっています。就学前児童は託児所や幼稚園に入る権利をもち、就学年齢に達した青少年は11年制の義務教育を受ける権利と大学に進学する権利をもっています。誰であれ、その水準にさえ達していれば、昼間大学に入学して学び、昼間大学に入れない人は夜間大学などの働きながら学ぶ体系に網羅されて思う存分学ぶことができます。わが国では、人民学校の学童から大学生にいたるまで、すべての学生・生徒が全くの無料教育を受けています。

 わが国では、無料治療制が実施され、すべての勤労者が病気の治療について心配することなく生活しています。ある国では、有料治療制を実施して以来、医療従事者のサービスが向上したといいますが、カネで問題を解決しようとするのは誤りです。

 わが国の社会主義制度は、実にすぐれた制度です。誰もがみな安定した職業を保障され、無料教育と義務教育制、無料治療制の恩恵をこうむり、税金という言葉さえ知らず幸せに暮らすわが国の社会主義制度にまさる制度はありません。我々はただ、いかにすれば、この立派な制度を固守し、さらに強化発展させることができるか、いかにすれば社会主義の完全な勝利をいっそう早めることができるかという一念で奮闘すべきです。

 我々は、偉大な党、偉大な政権、偉大な人民をもっており、最もすぐれた社会主義制度をうち立てたことに対し、相応の自負をいだいて誇ることができます。

 私が、きょうみなさんに強調したいのは、常にチュチェの革命の旗を固守し、我々の方式で生きるべきだということです。今後、情勢がどのように変化しようと、我々は既に自分が選択した革命の道から少しも退くことができません。我々は、わが党の政策をあくまで擁護、実行し、高い革命性をもって自主、自立、自衛の道を力強く前進しなければなりません。

 社会主義経済建設をさらに力強くおし進めるべきです。

 私が既に何回も述べ、このたび全党員に送る党中央委員会の手紙にも指摘されているように、現在、経済活動で重要なのは、生産を正常化し、党の輸出第一主義と農業第一主義の方針を貫徹し、鉄道を重量化、電化し、重要対象の建設を促進することです。この5つの課題を立派に遂行して我々の経済を一段階引き上げるなら、わが国は先進諸国の水準に到達し、社会主義の高峰を極めることになるでしょう。そのときになれば、朝鮮人民は外国に劣らずより裕福に暮らすことができます。

 第1に、工場、企業所の生産を高い水準で正常化しなければなりません。

 生産を正常化するのは、非常に重要なことです。

 こんにちわが国では、人々の思想・精神状態もすぐれており、万事が順調に進んでいます。我々に不足するものがあるとすれば、それは商品が豊富でなく、食肉が足りないことです。しかし、この問題も我々がもう少し努力すれば、十分解決することができます。

 我々が築いた経済的元手はたいへんなものです。我々には、紡織工場、被服工場、メリヤス工場、製靴工場、小麦粉加工工場、トウモロコシ加工米工場、穀物加工工場など数多くの軽工業部門の工場があり、機械工場をはじめ、重工業部門の工場も非常にたくさんあります。いまはわが国にあるべき工場は、ほとんどそろっているといえます。現在の工場、企業所を円滑に稼働させるだけでも、我々は申し分ない暮らしをすることができます。

 工場、企業所の生産を正常化すれば、すべての問題が順調に解決されます。衣料問題や日用必需品の問題も解決されます。

 現在、工場、企業所の生産が正常化されないのは、原料や資材がなくてのことではありません。それは、政務院や政務院の各委員会、部の責任幹部、道党責任書記や道行政・経済指導委員会の委員長が主人らしく仕事にうちこまないためです。

 生産を正常化するためには、鋼材と石炭を大量に生産しなければなりません。ところが、経済幹部は、鋼材と石炭の生産を増大させる積極的な対策を講じていません。

 最近、黄海製鉄連合企業所では鉄鉱石を切らせて鋼鉄が満足に生産できないとのことですが、鉄鉱石は茂山鉱山連合企業所で大量に採掘しています。私は既に昨年、黄海製鉄連合企業所が茂山鉱山連合企業所の鉄精鉱を船で運んで使うよう指示しました。これは、幹部が仕事の手配さえすれば十分可能なことです。鉄鉱石は、茂山鉱山連合企業所だけでなく、西海岸地区の鉱山にもあります。苔灘鉱山にもあり、殷栗鉱山にもあります。ところが黄海製鉄連合企業所では、そこで採掘される鉄鉱石を運んでこようとはせず、茂山鉱山連合企業所で生産される鉄精鉱を運搬する対策も講じないで、鉄鉱石がなくて鋼鉄が満足に生産できないと泣き言ばかり言っています。幹部の仕事ぶりがこうなので、生産の正常化がなされないのです。

 現在、わが国では、工作機械を増産することが極めて切実を要求となっています。工作機械を提供すべき対象は広範囲にわたっています。人民軍でも近代的な戦闘技術機材を多く保有しているので修理基地が必要であり、農業部門でもトラクターやトラックを多く保有しているので修理基地が必要です。そして、道ごとに必要な機械設備が自力で生産できるように機械工場を一つずつ整え、大きな工場には充実した工作・動力職場を整えてやらなければなりません。そのためには、多くの工作機械が要求されます。それで、工作機械の需要を充足させるために、第3次7か年計画期間に工作機械の生産能力をどれほど増大させるべきかを検討してみた結果、現在の工作機械工場の生産を正常化すれば工作機械の国内需要を充足させることができるばかりか、多くの工作機械を外国に輸出することもできるという結論を得ました。

 国産の工作機械は、決して立ち後れたものではありません。いまいくつもの国が、わが国の工作機械を買いたいといっています。最近、わが国を訪問したある国の工作機械および工具工業省の次官は、自分たちが資材を提供するから工作機械工場の合弁をしようと提案し、工作機械を大量に買いたいといいました。

 工場、企業所の生産が正常化されるか否かは、もっぱら、政務院の責任幹部をはじめ、幹部の経済組織活動と生産指揮いかんにかかっています。政務院の責任幹部と各委員長、部長、道党責任書記、道行政・経済指導委員会委員長は高い責任感をもって経済組織活動と生産指揮を正しくおこなうべきです。

 第2に、輸出第一主義の方針を貫徹しなければなりません。

 私が元日の朝、政務院総理と副総理を集めて、今年の経済活動でとらえていくべき五大課題を提示したとき、輸出問題についてことに強調しましたが、輸出計画は満足に遂行されていません。

 現在、輸出源がなくて輸出計画が遂行できないのでもありません。問題は、幹部が努力しないところにあります。工作機械を大量に生産しておきながら適時に輸出できなかったのも、政務院が包装用の材木を提供しなかったからです。私が包装材がなくて工作機械が輸出できないことを知って適時に対策を講じなかったなら、生産ずみの工作機械もいまなお輸出できずにいることでしょう。

 我々は何としてでも輸出計画を毎月遂行しなければなりません。私は、国家計画委員会委員長から輸出計画の遂行状態について報告を受けていますが、彼の話によれば今月の輸出計画は遂行できるとのことです。

 我々は、輸出第一主義の方針を必ず貫徹しなければなりません。党中央委員会の委員のなかには、工場、企業所の支配人や党書記もおり、政務院の委員長、部長もいますが、みんなで努力して今年度の輸出計画を無条件遂行しなければなりません。我々が輸出計画を遂行できなければ、原油とコークス用炭を輸入することができなくなり、そうなれば鋼材の生産や自動車の稼働も不可能になります。

 今後、輸出計画を遂行できなかった幹部に対しては、党的にも行政的にも、そして、法的にも厳しく問題視すべきです。

 第3に、農業第一主義の方針を貫徹しなければなりません。

 我々は、既に久しい前から食糧を自給自足してきました。数年前には、わが国で食糧・農業増産に関する非同盟およびその他発展途上諸国の討論会も開催しました。ところが、ここ数年間、幹部が農業に関心を払いませんでした。誰よりも深く関心を払うべき総理が農業に関心を払わず、農村にもよく出向きませんでした。幹部が農業に無関心であったため、昨年度の作柄はかんばしくありませんでした。

 昨年、私は、農村を物質的、技術的に援助するいろいろな措置を取り、黄海南道で水路工事も大々的におこなったので、営農実績があがるものと思いました。ところが、昨年の農作は不振でした。

 にもかかわらず、幹部は、その原因をはっきり調べず、腕をこまぬいていました。それで、私は検閲グループを各道に派遣して昨年度の営農状況を検閲する措置を取り、その後、道別に会議も開きました。その過程で、昨年度の農作が不調に終わった原因が明らかになりました。

 昨年の稲作が不調に終わった主因は、苗を丈夫に育てず、田植えを適期にしなかったところにあります。

 もともと稲苗は、稲床で50日間育てて6、7葉になってから移植しなければなりません。そうしないと田植えをした後、苗立ちが長びくようになります。種を適期にまきつけて苗を丈夫に育てるためにはフィルムが十分になければなりませんが、昨年は農業部門にフィルムを満足に提供できませんでした。それで、苗を丈夫に育てることができなかったのです。昨年、速成冷床苗を取り入れて、6、7葉にならない苗を移植したので、少なからぬ苗が枯れてしまいました。

 私がこれまで農業を直接指導する過程で得た経験によれば、田植えを適期にすることが極めて重要です。いつだったか、黄海南道載寧郡出かけて農民たちと話し合ったことがありますが、彼らは田植えを5月25日にしたものと6月5日にしたものとでは、ヘクタール当たりの収量においてほぼ1トンもの差があるというのでした。すなわち、田植えが10日遅れればヘクタール当たり収量が1トンも落ちるということです。ですから、田植えを適時にせず一日遅れるたびに、ヘクタール当たり100キログラムの減収となるわけです。私はその後、農民たちの話が正しいということを確信しました。稲の生育過程をみると、昼は暑く夜は涼しいと枝分かれが多くなります。わが国では5月から6月中旬までは昼間の温度が上がり、夜間の温度が下がりますが、6月末ごろからはもう昼夜の温度の差があまりなくなるので、そのころになると分けつが停滞し、枝分かれがするとしても空枝になってしまいます。したがって、田植えを5月25日前に終えてこそ、稲が適温の状況で枝を多くはりだすことができます。ところが、昨年は田植えを5月25日前に終えることができませんでした。

 昨年のトウモロコシの作柄がかんばしくなかった主因は、潅漑がほどこされていない畑に直播きをしたところにあります。潅漑がほどこされていない畑に直播きをすると、うまく発芽しません。

 私は以前から、トウモロコシは潅漑がほどこされている畑にだけ直播きをし、そうでない畑には直播きをしないようにと話してきました。にもかかわらず昨年、黄海南道では、潅漑がほどこされているかいないかに関係なく、一律に直播きをしました。その結果、トウモロコシが満足に発芽せず、欠株が多くなりました。その後、欠株を補植しましたが、背丈に甚だしいむらが生じ、結局は不作に終わりました。

 私は、もう以前のように農村にたびたび出かけて現地指導ができないのですから、幹部が営農事業をもっと着実に指導すべきなのですが、そうしていません。

 今年は他のことが多少できなくなっても、農業第一主義の方針を貫徹して営農実績をあげるべきです。

 営農実績をあげるためには、主体的農法の要求を厳守しなければなりません。

 協同農場では、稲苗を50日間丈夫に育てて6、7葉になってから移植すべきです。水田の基本面積の田植えは5月25日までに全部終え、苗床の跡の田植えは5月末までに完了すべきです。

 農業を主体的農法の要求どおり営むためには、農村にフィルムを十分に提供しなければなりません。今年は、稲の苗床の88%の面積にかぶせるフィルムを提供するつもりでしたが、幹部が70%分しか提供できないというので、そうすることにしました。

 私が最近、今年度の営農準備状況を調べてみたところ、不十分な状態でした。特に、フィルムが十分に用意されていません。幹部は、フィルムがなければ営農に支障をきたすことをみすみす知りながら、フィルムの生産に関心を払いませんでした。南興青年化学連合企業所で昨年6月から12月まで生産した高圧ポリエチレンのうち、毎月少しずつフィルムの生産にまわしていたなら、いまになってフィルムの心配をする必要はないはずです。

 稲の苗床の70%の面積にかぶせるフィルムを提供する見積もり案には、中央が、買い入れるものと道が自力で間に合わせるものがあり、確保ずみのものと、これから生産すべきものもあります。フィルムの生産で問題となるのは、高圧ポリエチレンを生産、供給することです。

 近ごろ、南興青年化学連合企業所でナフサが供給されなくて高圧ポリエチレンが生産できないというので、総理に他のことは少々後回しにしても、南興青年化学連合企業所の高圧ポリエチレン生産と肥料生産をとらえて指導するよう指示しました。今回の総会で南興青年化学連合企業所の党責任書記が、肥料生産を増やして肥料年度内に計画を完遂し、高圧ポリエチレンも指示どおりに全量生産供給すると誓いましたが、無条件そのとおりにすべきです。南興青年化学連合企業所が奮闘しなければ、今年の農作は失敗しかねません。私は今朝もフィルムのことで心配しましたが、南興青年化学連合企業所で高圧ポリエチレンを指示されたとおり、全量生産供給するとのことですから、安心できます。もう何日かすると稲の冷床の播種がはじまるのですから、農村に早くフィルムを送らなければなりません。

 今年の営農にかかわる物資の供給は、政務院の各委員会、部と工場、企業所が、責任をもっておこなうべきです。農業部門に耕耘(注:「耘」は田の草をとる意。田畑をたがやし雑草を除去すること)用の燃料油を優先的に供給し、トラクターの修理・整備用部品も十分に提供し、小農器具も供給すべきです。

 今年度の農作で成果をあげるためには、現在の耕地をよく肥やし、土地管理を正しくおこなわなければなりません。

 私が中央人民委員会で、今年、田畑に堆肥をたくさん運び出すよう指示した後、その実行状況について報告を受けていますが、偽りの報告をする道や郡が少なくないようです。列車の窓から見ると、田畑に運び出された堆肥はいくらもありませんでした。それである幹部に、平安南道の粛川郡、文徳郡、大同郡一帯と平壌市の中和郡、江南郡一帯を一まわりさせました。彼が帰ってきて報告するのを聞いてみると、田畑に敷かれている堆肥があまりないとのことです。

 政務院の各委員長、部長、道党責任書記、道行政・経済指導委員会委員長、道農業経営委員会委員長は、農業第一主義の方針を堅持し、営農に関する指導を実質的におこなわなければなりません。特に、各道党責任書記と道農業経営委員会委員長長は、自道の農業を責任をもって正しく指導しなければなりません。

 今回の総会を終えたら、直ちに営農に拍車をかけるべきです。

 第4に、鉄道の重量化、電化を力強く推進しなければなりません。

 鉄道の重量化で重要なのは、100トン貨車を多くつくることです。いまは、60トン貨車で貨物を輸送していますが、100トン貸車をつくって使えば、はるかに多くの貨物を輸送することができます。機関車が60トン貨車を50両連結しては3千トンの貨物しか輸送できませんが、100トン貨車を50両連結すれば5千トンの貨物を輸送することができます。最近、100トン貨車で平壌火力発電所へ石炭を輸送したところ、発電所の労働者たちがたいへん喜んだそうです。輸送のネックを解消するためには、決定的に100トン貨車を多くつくって利用しなければなりません。

 100トン貨車を大量に生産するためには、それに必要な鋼材を提供しなければなりません。100トン貨車の生産で他に問題となることはありません。100トン貨車の大量生産問題は、結局、必要な鋼材の生産供給いかんにかかっています。政務院では何としてでも鋼材生産を増やし、100トン貨車の生産に必要な鋼材を十分に提供しなければなりません。

 鉄道を軽量化するうえで、レールはさほど問題になりません。レールを重量レールに変えなくとも100トン貨車は引けます。けれども、重量レールを大量に生産して敷けばなお有利です。

 鉄道の重量化と同時に、電化されていない鉄道区間の電化を全部実現すべきです。このたび石炭問題を取りあげたとき調べてみると、まだ電化されていない鉄道区間が少なくありません。電化されていない鉄道の全区間を電化すれば、より多くの貨物を輸送することができます。各道党委員会と道行政・経済指導委員会、そして、政務院の各委員会、部では電化されていない鉄道区間の電化を力強く推進すべきです。

 第5に、重要対象の建設を早めなければなりません。

 我々が今年度に主力をそそぐべき対象は順川ビナロン連合企業所と沙里院カリ肥料連合企業所の建設、金策製鉄連合企業所の第2段階拡張工事、炭鉱と発電所の建設、光復通りと平壌市の重要対象の建設です。

 何よりも、順川ビナロン連合企業所の建設に力を集中しなければなりません。

 順川ビナロン連合企業所を建設すれば、そこから年間カーバイド100万トン、メタノール75万トン、ビナロン10万トン、窒素肥料90万トン、塩化ビニール25万トン、苛性ソーダ25万トン、炭酸ソーダ40万トンなど各種の化学製品と蛋白質飼料30万トンが生産されるようになります。そうなれば、人民の衣食問題がより円滑に解決され、わが国は長者になれます。

 順川ビナロン連合企業所でビナロンが10万トン生産されれば、織物の問題が完全に解決されるようになります。順川ビナロン連合企業所と2・8ビナロン連合企業所で生産されるビナロン、清津化学繊維連合企業所と新義州化学繊維連合企業所で生産されるスフ、これにオーロンとモビロンを合わせれば年間22万トンの化学繊維が生産されることになります。そうなれば、第3次7か年計画に予見されている15億メートルの織物生産目標を達成することができます。

 ビナロンさえあれば多くの問題が解決されます。ところが問題なのは、いまなおビナロンで各種の織物を上手に織ることができず、毛糸のようなものの質をよくすることができないことです。懸案の科学技術上の問題を完全に解決し、ビナロンの織物や毛糸のようなものの質を早く高めるべきです。

 順川ビナロン連合企業所が建設されれば、窒素肥料の問題も円滑に解決されます。現在、わが国に大規模の窒素肥料生産基地が咸興と南興の2か所にしかないため、そのいずれかの工場で肥料生産計画が遂行されないと、窒素肥料の不足で人民経済の各部門に支障をきたすようになります。やがて順川ビナロン連合企業所が建設されれば、大規模の窒素肥料生産基地が3つになりますが、そうなれば窒素肥料の需要は十分にみたせるでしょう。

 順川ビナロン連合企業所で窒素肥料が90万トン生産されれば、わが国でそれを田畑にヘクタール当たり1トンほどこしても、数10万トンが余ります。余った窒素肥料を輸出してカリ肥料を輸入すれば、カリ肥料の問題も解決できます。

 数10万トンの窒素肥料の余裕があればダイナマイトの問題も解決されます。現在、人民経済の各部門では、ダイナマイトが不足して生産と建設に支障をきたしています。炭鉱、鉱山や多くの建設場でダイナマイトが不足しているといっていますが、いまでは硝安によるダイナマイト製造法が開発されたので、硝安さえあればダイナマイトの心配はしなくてすむようになりました。茂山鉱山連合企業所の労働者は、創意を発揮し、硝安によるダイナマイトの製造に成功しました。ダイナマイトを使う工場、企業所は、これからはダイナマイト工場にばかり依存せず、茂山鉱山連合企業所でのように硝安を用いて自力でダイナマイトを製造すべきです。

 人民軍では、平壌──開城間の高速道路の建設で、ダイナマイト不足のため支障を受けているとのことです。人民軍でもダイナマイトを自力で製造すべきです。平壌──開城間高速道路の建設にはトロチルを多少提供し、硝安を補給すれば間に合うでしょう。

 茂山鉱山連合企業所でのようにすれば、どこでもみな自分の手でダイナマイトを製造することができます。ただし、ダイナマイトは、必ず社会安全機関の統制のもとに製造し、使用すべきです。

 人民経済の各部門で必要なダイナマイトを自力で製造させるためには、硝安の提供が問題ですが、順川ビナロン連合企業所が建設されて窒素肥料が生産されるようになれば、この問題も解決されます。もちろん、順川ビナロン連合企業所では硝安を生産するのではなく、尿素を生産することになります。しかし、その尿素肥料は農業部門にまわし、そのかわり硝安をダイナマイト製造元に提供すればよいでしょう。

 順川ビナロン連合企業所に10万トンのビナロンと90万トンの窒素肥料の生産能力が計画どおりそなえられるか否かは、竜城機械連合企業所と城津製鋼連合企業所が、それに必要な特注設備とステンレス鋼を適時に生産供給するか否かに大きくかかっています。竜城機械連合企業所の党責任書記が90万トンの窒素肥料生産能力の造成に必要なコンプレッサーと合成塔をつくるといいましたが、党中央委員会の総会で決意したことですから必ず実行しなければなりません。

 順川ビナロン連合企業所を建設し、それが順調に操業するようになれば、その建設に動員された一部の陣容を2・8ビナロン連合企業所の改造工事にふり向ける考えです。

 沙里院カリ肥料連合企業所の建設に力をそそぐべきです。

 沙里院カリ肥料連合企業所が建設されれば、カリ肥料51万トン、アルミナ42万トンが生産されます。

 沙里院カリ肥料連合企業所の建設は、食糧問題の解決で極めて重要な意義を有します。

 いま、農業生産を増大させるうえで最も不足しているのがカリ肥料です。昨年の末に延豊地区へ出かけて農民たちと話し合ってみましたが、价川郡宝富協同農場管理委員長の話によると、以前はカリ肥料をかなり使ったが、昨年は満足に使えなかったとのことです。カリ肥料を使わなければ、満足な収穫が得られるはずがありません。作物はカリ成分を摂取できなければ実がよく実りません。窒素肥料ばかりほどこしてカリ肥料を使わなければ、青草のときには大豊作と見えても、秋になると穀物が満足に実らず、しいなが多くなります。カリ肥料を使わずに作物をつくるのは結局、草づくりをするのと同じことです。近年、わが国で果物がよくできないのも、カリ肥料を使わないからです。カリ肥料の生産供給は、わが国農業の生命線ともいえます。

 沙里院カリ肥料連合企業所を建設してカリ肥料を51万トン生産すれば、農業生産に必要なカリ肥料を十分に供給することができます。わが国では、田畑にカリ肥料をヘクタール当たり200キログラムほどこすのか適量です。わが国の耕地面積は合計200万ヘクタールですから、沙里院カリ肥料連合企業所でカリ肥料を51万トン生産すれば、ヘクタール当たり200キログラムほどこしても余ります。肥料は51万トン以上は必要ありません。

 沙里院カリ肥料連合企業所の建設にあたって、今年はカリ長石を100万トン焼成する工程だけ整え、アルミナの分離工程は持ち越す考えです。アルミナの分離工程を整えるとなると、発電所を建設し、ボイラーも設置しなければならないので、特注設備を生産するのが困難です。それで、今年はカリ長石を100万トン焼成する工程だけ整え、焼成珪素カリ肥料を生産することにする考えです。こうすれば、来年度に沙里院カリ肥料連合企業所で焼成珪素カリ肥料を生産してカリ肥料の問題を解決することができます。

 沙里院カリ肥料連合企業所にカリ長石を100万トン焼成する工程を整えれば、カリ成分が7、8%の焼成珪素カリ肥料を200万トン生産できるとのことですが、それくらいなら結構なものです。標準カリ肥料のカリ含有量が50%ですから、カリ成分が8%の焼成珪素カリ肥料200万トンを標準肥料で換算すれば32万トンになります。カリ肥料が標準肥料で32万トンなら少ない量ではありません。

 沙里院カリ肥料連合企業所を建設してカリ長石を300万トン処理すれば42万トンのアルミナが得られますが、それで約20万トンのアルミニウムを生産することができます。アルミニウム20万トンというのはたいへんな量です。20万トンのアルミニウムを国際市場で売れば、数億ドルの外貨を獲得することができます。

 沙里院カリ肥料連合企業所は、重要な建設対象ですから、これに力を集中しなければなりません。今年は特注設備を生産するのがむずかしいので、カリ長石を100万トン焼成する工程だけ整えますが、来年は、その能力向上をはかると同時に、アルミナの分離工程も整えるべきです。

 金策製鉄連合企業所の第2段階拡張工事を早急に終えなければなりません。

 金策製鉄連合企業所圧延分工場の冷間圧延職場は建設して長くなりますが、いまだに設備をフル稼働させていません。この冷間圧延職場がフル稼働されていないので、外国から冷間圧延製品を輸入しています。多くの投資をして近代的な大規模工場を建設しておきながら、それを満足に稼働させることができないのでは、よい暮らしはできません。我々がこの冷間圧延設備をフル稼働させ、そこから生産される冷間圧延製品を輸出するだけでも多額の外貨を獲得することができます。

 金策製鉄連合企業所圧延分工場の冷間圧延職場をフル稼働させるためには、この企業所の第2段階拡張工事を完成しなければなりません。この第2段階拡張工事が完成すれば、熱間圧延能力も高まります。この工事を完成し、今後、精錬炉まで設置すれば、金策製鉄連合企業所で良質の冷間圧延鋼材を大量に生産することができます。

 これまでは、金策製鉄連合企業所の第2段階拡張工事を早めようとしても、外国から輸入することになっていた重要な設備が搬入されなかったのでそうできませんでしたが、いまはその問題が解決されました。

 外国から金策製鉄連合企業所の第2段階拡張工事に必要な設備が今月中に全部納入されそうだとのことですが、力を集中して今年の4月15日までに工事を終えなければなりません。

 金策製鉄連合企業所の第2段階拡張工事を早急に完成し、圧延設備をフル稼働させ、7月からは鋼材生産を増大させるべきです。

 第二金属工場建設連合企業所では、金策製鉄連合企業所の第2段階拡張工事を4月15日までに終えた後、整理作業にあたる陣容だけ残し、主な陣容を茂山鉱山連合企業所にまわすべきです。

 私が今年の新年の辞でも述べ、また、このたびの全党員に送る党中央委員会の手紙にも指摘されているように、茂山鉱山連合企業所をさしあたっては3万トン、展望としては1500万トン能力の近代的な大規模の鉄精鉱生産基地に整えるべきです。

 私は、茂山鉱山連合企業所を近代的な大規模の鉄精鉱生産基地にするため、昨年、党中央委員会政治局の委員を咸鏡北道党責任書記として派遣しました。咸鏡北道党責任書記の果たすべき重要な課題は、金策製鉄連合企業所の第2段階拡張工事を早急に終えて鋼材生産を正常化し、茂山鉱山連合企業所の鉄精鉱生産能力を1500万トンに向上させ、そこに300万トンの非焙焼ペレット生産能力を造成することです。

 金策製鉄連合企業所の第2段階拡張工事を終えたのち、茂山鉱山連合企業所へ移動する第二金属工場建設連合企業所の陣容は、300万トンの非焙焼ペレット生産能力を造成する一方、茂山鉱山連合企業所の拡張にも同時に取り組むべきです。そうしてこそ、西部地区の金属工場に供給する鉄精鉱の問題も解決することができます。

 第二金属工場建設連合企業所では、一部の陣容を西部地区にまわして、チョンリマ製鋼連合企業所に200万トン能力の製鋼工場を新設しなければなりません。この200万トン能力の製鋼工場を新設すれば、チョンリマ製鋼連合企業所は第3次7か年計画の鋼鉄生産目標の達成に大きく寄与できるでしょう。

 チョンリマ製鋼連合企業所に新設する200万トン能力の製鋼工場では非焙焼ペレットでつくった鉄で鋼鉄を生産することになります。したがって、これは完全に国内燃料に依拠する製鉄工業だといえます。国内燃料に依拠して鋼鉄を生産するようになれば、誰かにコークス用炭の提供を求める必要もなくなります。

 チョンリマ製鋼連合企業所に新設する製鋼工場も早急に完成しなければならない重要な対象です。この工場の建設に必要な圧延設備をどのような方法で解決するかという問題が提起されますが、それは2つの道しかありません。その1つは、圧延設備を大安重機連合企業所が自力で設計し製作することであり、1つは外国から輸入することです。この2つの方途をともに検討してみるべきです。一部の幹部の話によれば圧延設備を輸入することができるとのことですが、それは安全とはいえません。圧延設備を解決する最善の方法は自力でつくることです。

 炭鉱建設に力をそそぐべきです。

 いま人民経済各部門の石炭需要はますます高まっていますが、石炭生産がそれに追いつけない状態です。我々は、炭鉱建設に力を入れて石炭生産を大幅に増大させなければなりません。石炭工業部門では、安州地区、順川地区、价川地区、徳川地区、北部地区の炭鉱と雲谷炭鉱などの主要炭鉱を改造拡張し、新しい炭鉱をどしどし開発しなければなりません。

 炭鉱を多く建設して石炭生産を増大させると同時に、石炭を節約し効果的に利用する努力をしなければなりません。

 発熱量の高い無煙炭は、鉄やカーバイドを生産する重要な重工業部門の工場でだけ使うようにすべきです。そして、軽工業部門の工場と地方産業工場、家庭では、低カロリー炭や黒鉛状無煙炭を使うようにしなければなりません。この問題は、既に公表された中央人民委員会の決定にも指摘されています。党組織は、石炭節約問題を重要な政策的問題としてあくまで実行しなければなりません。

 咸興毛紡織工場では、既設のボイラーを低カロリー炭ボイラーに改造し、金野青年炭鉱で産出される石炭を利用しているとのことですが、それは非常によいことです。咸鏡南道では他道の無煙炭を多く使っていますが、これからは無煙炭の利用をできるだけ少なくすべきです。

 低カロリー炭や黒鉛状無煙炭が利用できる各種ボイラーを製作して農村住宅のセントラル・ヒーティング化を実現すべきです。家庭での炊飯用燃料はメタンガスを生産して使うか、風力発電機や水車式発電機を設置して電力を生産して使えばよいでしょう。今後メタノールが多量生産されるようになれば、家庭ではそれを利用して炊飯もできます。最近、試験的にメタノールを利用して炊飯をさせてみましたが、石油よりにおいもせず好適です。

 現在進行中の発電所の建設を早急に完成しなければなりません。

 何よりもまず、泰川発電所の建設に力をそそぐべきです。

 泰川発電所の建設がはかどらないので、発電所の建設問題で会議も何回かおこないましたが、いまだに泰川発電所は完工されでいません。何としてでも泰川発電所の建設を早急に終えなければなりません。

 泰川発電所の建設では、トンネルが全部貫通したので、さほど問題になることはありません。幹部が仕事の手配さえ手ぬかりなくすれば、工事をすぐ終えることができるでしょう。発電所の建設を早急に終えるには、松院ダムを計画どおりに早く築造する必要があります。泰川発電所の建設が完成すれば、そこから数10万KWの電力が生産されるので、電力不足をかなり解消することができます。

 渭原発電所の建設も早急に終えるべきです。泰川発電所を建設しても、水源が枯渇すれば電力を満足に生産することができません。渭原発電所の建設を早く終えれば、泰川発電所で電力が円滑に生産されない場合でも、電力供給の安全を保障することができます。渭原発電所の建設を早く終えて操業させなければなりません。

 渭原発電所が完工すれば、そこから生産される電力のうち半分はわが国が利用し、半分は中国側が利用することになっています。中国が建設した台平湾発電所が最近操業をはじめましたが、そこから生産される電力のうち10万KWほどはわが国が利用できます。

 3月17日発電所の第3段階工事も早急に完成しなければなりません。

 泰川発電所と渭原発電所の建設、3月17日発電所の第3段階工事が終わり、台平湾発電所から約10万KWの電力が供給されるようになれば、100万KW以上の電力が得られます。全党員に送る党中央委員会の手紙にも指摘されているように、電力工業部門では、上半期内に120万KVA以上の発電能力を造成しなければなりません。

 寧遠発電所と南江発電所の建設を促進すべきです。

 寧遠発電所と南江発電所の建設は、平壌市の水害を防止するうえで重要な意義があります。我々は、1967年度の大洪水以後、大同江に大同江発電所を建設し、西海閘門と美林閘門門などいくつもの閘門を建設しました。それで、いまは平壌市が水害をこうむるおそれはありません。しかし、万が一の大洪水が過ぎ去ったのか、再来するかは誰も予知することができません。洪水から平壌市をより安全に保護するためには、寧遠発電所と南江発電所を建設しなければなりません。寧遠発電所と南江発電所を建設しておけば、平壌市は万が一の大洪水が来ても何ら被害をこうむることがないでしょう。

 南江発電所の建設では輸送の難題はそれほどありませんが、寧遠発電所の場合は輸送が最大の難題です。いま軍人が寧遠に出動して発電所を建設していますが、輸送が難題で工事が順調にはかどっていません。泰川発電所松院ダムの建設状況を見ると、トラックで物資を輸送するのか並大抵でありません。性能のよいトラックをいくら提供しても、峠がけわしく道路が悪いのですぐ破損し、セメントを計画どおり運べないありさまです。寧遠発電所の建設に必要なセメントを川の解氷を待って筏で運搬するといいますが、それでは工事が期日内に終わらなくなるかも知れません。

 私の考えでは、寧遠発電所の建設でネックとなっている輸送問題を解決するためには、空中ケーブルを設置するのがよさそうです。空中ケーブルを設置すれば、燃料油を節約し、トラックの問題も提起されることがなく、物資をより早く運搬することができます。今後、大興郡にも発電所を建設しなければならないので、空中ケーブルを寧遠発電所止まりにせず、大興郡まで延長して設置すべきです。党中央委員会経済計画部と政務院、国家計画委員会で具体的に見積もってみるべきです。

 寧遠発電所と南江発電所の建設を成功裏に推進するためには、セメントを十分に生産供給しなければなりません。

 富山里セメント工場の改造工事を終え、そこで生産されるセメントを寧遠発電所の建設にふり向けるべきです。政務院と平安南道党委員会、平安南造行政・経済指導委員会が責任をもって、富山里セメント工場の改造工事を今年度の上半期内に終えるべきです。

 今後、寧遠発電所と南江発電所で生産される電力は平壌市に供給すべきです。

 光復通りの建設と平壌市内の重要対象の建設を積極的に推進すべきです。

 来年度にわが国で第13回世界青年学生祭典を開催することを世界に公表したのですから、何としてでも光復通りの建設と平壌市内の重要対象の建設に拍車をかけて早急に終えるべきです。

 平壌で世界青年学生祭典を開催するのは大きな意義があります。これはオリンピック競技大会などの比ではありません。我々が祭典行事を立派に準備して祭典が順調におこなえるようにすれば、わが共和国の威力を全世界に示し、労働党時代に生きる朝鮮人民の栄誉と誇りをとどろかすことができます。

 光復通りの建設と平壌市内の重要対象の建設に全党的、全国家的な力をそそぎ、来年の4月15日までに完成しなければなりません。建設に必要な鋼材、セメントなどの資材を適時に提供し、外貨獲得運動を広範に展開して平壌市の建設を積極的に支援しなければなりません。

 浅海養殖をさかんにすべきです。

 イガイ(貽貝)やコンブなどの養殖には、資材がいくらもかかりません。浅海養殖は、浮きや綱さえあればよいのです。順川ビナロン連合企業所の建設が完成すれば、ビナロン製の綱は十分に提供できるので、浅海養殖をさかんにすることができます。浅海養殖場1ヘクタールの造成にビナロン製の綱が1トン必要だとしても、1万ヘクタールを造成するのには1万トンもあればよいでしょう。

 今年度は現在の浅海養殖場まで合わせて1万ヘクタールまでとし、来年度からは毎年1万ヘクタールずつ新たに造成する運動を展開すべきです。そうすれば、第3次7か年計画の末には浅海養殖場が合計6万ヘクタールになり、副食物の問題がより円滑に解決されるでしょう。

 資料によると、イガイ養殖場1ヘクタール当たり、スペインでは600トン、インドでは500トンのイガイを収穫しているとのことです。ところが、わが国の幹部は1ヘクタールの養殖場で400トンのイガイが収穫できるといっています。そうだとしても、イガイを養殖して輸出すれば多くの外貨を得ることができます。

 イガイ養殖場ではコンブもヘクタール当たり100トンは収穫できますが、その値段はかなり高いものです。生のコンブ100トンを乾燥すると10トンになりますが、干しコンブはその品質によって国際市場で1トン当たり1000〜1800ドルで売れるといいます。干しコンブ1トン当たり1000ドルとしても、イガイ養殖場1ヘクタールで収穫するコンブを乾燥して売れば、そのカネでトウモロコシを100トン買い入れることができます。

私は今回の総会で、我々がみんなで取り組み、東海岸にコンブとイガイの養殖場を毎年1万ヘクタールずつ達成する運動を展開することを呼びかけます。毎年、浅海養殖場を1万ヘクタールずつ造成してコンブとイガイを養殖すれば、コンブを売っては穀物を買い、イガイを売っては食肉を買ってくることができます。

 イガイは蛋白質の多いすぐれた食品です。近ごろ、イガイの身をすりつぶしてつくった練り製品を食べてみましたが、美味でした。イガイの練り製品を食べると動脈硬化の予防にもなるでしょう。

 数年前に資料を一つ見たことがあります。それによると、昔、ギリシャのある王様が長生きするためにイガイでいろいろな料理をつくって食べたとのことです。こういうことから推して、昔からギリシャの方ではイガイの養殖がさかんであったようです。

 浅海養殖場を約10万ヘクタール造成する展望目標を立て、それを実行する運動を展開すべきです。いまからでも浅海養殖場を1年に1万ヘクタール以上造成する運動を展開するとよいのですが、そうするとなると、それに必要な資材を提供する余力がありません。浮きはセメントや鉄板でもつくれるので問題ありませんが、綱を提供することが問題です。順川ビナロン連合企業所でビナロンが年間10万トン生産されるようになれば、それを1万トンくらいずつ提供することができますが、いまのところ、それは不可能です。最近、テトロン綿を5000トン輸入して軽工業部門に割り当て、そのかわり5000トンのビナロン綿を養殖場の造成用にまわしましたが、それでは浅海養殖場を5000ヘクタールしか造成できません。

 養殖をさかんにすれば、人民の食生活問題がスムーズに解決されます。1万ヘクタールの浅海養殖場にイガイを養殖すれば、年間400万トンの収穫が得られますが、そのうち300万トンは輸出し、100万トンは人民に供給することが.できます。人民の食生活水準を高めるためには、400万トンのうち100万〜200万トンは人民にふりあてるべきでしょう。

 西海岸では、主に海面干拓をおこない、東海岸では浅海養殖をしなければなりません。東海岸では高城以北から西水羅までの全区間にわたって浅海養殖をすべきです。東海岸で浅海養殖を大々的にすれば、消費して余った分だけ輸出しても多くの穀物を輸入することができます。咸鏡南道と咸鏡北道、江原道ではイガイを養殖して輸出し、トウモロコシや小麦、大豆も輸入することができ、そうすれば穀物問題を自力で解決することができます。黄海南道の沿海も浅海養殖に適しているといいます。南浦以南の西海岸でも養殖をすべきです。

 人民軍でも1万ヘクタールくらいの浅海養殖場をつくるべきです。人民軍では自力で綱を輸入して、浅海養殖場の造成を急ぐべきです。人民軍では浅海養殖場の造成計画を再検討し、軍団別に計画を正確に与えるべきです。そうして、軍人の食生活を豊かにしてこそ、彼らが有事の際に立派に戦うことができます。

 慈江道や両江道のように海に面していない道では、他道の沿海を利用して養殖業をし、その産物を道内の人民に供給しなければなりません。

 エビの養殖は多くしないことです。エビは餌が多くかかるので供給しきれません。エビを養殖するよりも、その餌をニワトリに給与して卵を得るほうが有利です。エビの養殖は、小さな養殖場を設けて、エビについての研究をする程度にするのがよいでしょう。

 浅海養殖をさかんにするためには、それについての科学研究を深めなければなりません。浅海養殖は、同じ養殖場でイガイとコンブを混養する方法がよさそうです。

 今後、浅海養殖場の造成を重要な課題とし、力を集中して力強く推進すべきです。

 終わりに、200日間戦闘を進めるうえで提起されるいくつかの問題について述べることにします。

 我々が、共和国創建40周年をひかえて200日間戦闘を力強く展開し、重要対象の建設を完成して操業すれば、多くの問題が解決され、第3次7か年計画を成功裏に遂行しうる確固たる保障がもたらされます。やがて第3次7か年計画の目標が達威されれば、わが国の経済的基盤はいっそう強力なものになるでしょう。

 我々が200日間戦闘をどう展開するかということは、外国人も注視しています。ところが、幹部は、まだ200日間戦闘に積極的に取り組んでおらず、戦闘指揮を正しくおこなっていません。

 幹部は、敗北主義に陥って座り込んではいけません。敗北主義にとりつかれては革命闘争をつづけることができません。

 我々が、抗日武装闘争期に日本帝国主義との戦いで勝利したのも、祖国解放戦争期(朝鮮戦争)にアメリカ帝国主義との戦いで勝利したのも、決して敵に比べて力が強かったからではありません。また、我々が戦後、廃墟のなかから復興建設をして立ち直ったのも、何かの元手があったからではありません。我々は、常に勝利の確信をいださ、勇気を奮い起こして闘ったため百戦百勝することができたのです。

 現在、我々は、過去とは比べようもない有利な条件のもとで革命を進めています。我々には、強力な党があり、偉大な人民があり、強固な自立的民族経済の基礎があります。それゆえ、こんにち、我々にとってなし遂げられないことはありえません。すべての幹部は、勇気と確信をいださ、党の示した200日間戦闘目標を達成するために奮闘しなければなりません。

 200日間戦闘期間に達成すべき目標は、既に明白に示されています。

 我々が200日間戦闘期間にとらえていくべき重要な問題は、第1に電力生産であり、第2に鋼材と石炭生産であり、第3にセメントと原木の生産であり、第4に輸送です。このいくつかの問題をとらえて正しく指導すれば、輸出品生産を伸ばし、営農資材を十分に供給することもできます。

 先にも述べましたが、金策製鉄連合企業所の第2段階拡張工事を早急に終えることが極めて重要です。私は、咸鏡北道党委員会と金策製鉄連合企業所党委員会、それと連関した工場、企業所の党委員会が力を合わせ、金策製鉄連合企業所の第2段階拡張工事を計画どおり間違いなく完成するものと信じます。

 200日間戦闘の組織と指揮を綿密におこなうべきです。

 200日間戦闘中央指揮部の最高司令官は、私が務めます。副司令官としては政務院総理と党中央委員会経済計画部担当書記、金属・採掘工業担当副総理、この3人をおくことにします。そして、作戦局長は、国家計画委員会委員長が務めるべきです。政務院の各委員長、部長は、軍隊式にいえば軍団長といえます。誰もが担当部門の活動を責任をもって指導しなければなりません。

 総理は、本来の職務を果たしながら、平安北道の経済活動を受け持って指導しなければなりません。

 平安北道には、なすべき仕事がたくさんあります。平安北道では200日間戦闘期間に新義州化学繊維連合企業所のスフ2万トン生産能力造成の工事を終えなければなりません。平安北道がこの工事を終えなければ、順川ビナロン連合企業所で10万トンのビナロンが生産されても織物を満足に生産することができません。

 石灰芒硝鉱山の開発も積極的におし進めるべきです。現在、軍人が工事に取り組んでいますが、設備と資材を円滑に提供しないので、計画どおり推進されていません。

 製紙工場も正常に稼働させるべきです。

 平安北道内のすべての機械工場で生産を正常化しなければなりません。特に、楽元機械連合企業所では、12台の酸素分離機と掘削機などの機械設備を計画どおり生産し、8月8日工場では、特注設備を確実に生産供給すべきです。

 200日間戦闘期間に平安北道に提起される最も重要な課題は、泰川発電所の建設を終えることです。

 総理は、1か月のうち20日間は平安北道に出張して活動し、10日間は政務院にもどって活動しなければなりません。総理が平安北道で活動する期間に提起される問題は、作戦局長である国家計画委員会委員長が私の承認を受けて実行すればよいのです。

 党中央委員会経済計画部担当書記は、咸鏡南道の経済活動を受け持って指導しなければなりません。咸鏡南道の経済活動は重要です。咸鏡南道では、鉛、亜鉛、マグネシア・クリンカー、化学肥料の生産計画を確実に遂行しなければなりません。特に、竜城機械連合企業所に、順川ビナロン連合企業所の建設に必要な特注設備を適時に生産させなければなりません。

 金属・採掘工業担当副総理は、金属工業部門と石炭工業部門を担当するかたわら、平安南道と南浦市の経済活動を指導しなければなりません。特に、大安重機連合企業所が重要建設対象に送る特注設備を適時に生産するよう、責任をもって指導しなければなりません。

 セメント生産問題の解決にあたっては、副総理兼建設・建材工業委員会の委員長がひと働きすべきです。

 各道における200日間戦闘の司令官は、各道党委員会の責任書記です。道党責任書記は、道人民委員長を兼ねているので、党権と行政権を併有しています。ですから、道党責任書記が道の司令官になるのか当然です。道の副司令官は、道行政・経済指導委員会委員長です。

 200日間戦闘の課題は道別に与えられているのですから、各道では200日間戦闘を立派に組織指揮しなければなりません。特に、平安南道と平安北道、咸鏡南道と咸鏡北道が200日間戦闘に力を入れなければなりません。これらの道が受け持った課題を確実に遂行しなければ、国家的な輸出計画を円滑に遂行することも、人民経済各部門の生産を正常化することもできません。

 200日間戦闘の日報は、政務院と国家計画委員会、そして、私に提出しなければなりません。私は、他の部門の日報は受けないことにし、重要な部門の日報だけ受けることにします。

 200日間戦闘の成果いかんは、指揮メンバーが各自の役割をどう果たすかにかかっています。中央指揮部のメンバーはいうまでもなく、各道党責任書記と政務院の委員長、部長がみな各自の役割を十分に果たさなければなりません。

 幹部は、党性をさらに鍛え、みずからを革命化、労働者階級化しなければなりません。いまなお、幹部のあいだには、党性に欠け、革命化、労働者階級化されていない事柄が少なからずあらわれています。私は、1966年の党代表者会議で、社会の全構成員を革命化、労働者階級化することについて強調しました。そのときから、もはや20余年が過ぎ去りました。この20余年のあいだに、数多くの人がわが党のふところで革命の指揮メンバーに育ちました。すべての幹部が、党性を鍛え、みずからを革命化、労働者階級化するため積極的に努力しなければなりません。

 党中央委員会は、このたび幹部と党員を信じて手紙を送ったのですから、すべての幹部が200日間戦闘を勝利をもって締めくくり、共和国創建40周年を意義深く迎えることで党の信頼と期待にこたえるべきです。

 道党委員会をはじめ、各級党組織は、党が手配したとおり全党員に送る党中央委員会の手紙に示された課題と200日間戦闘計画を遂行する対策を党会議で討議し、その実行へ党員と勤労者を奮起させるべきです。
                                                
出典:『金日成著作集』41巻


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